ルーサー、依然 昏睡状態。母親は回復に自信
4月16日、ニューヨークの自宅で倒れたルーサー・ヴァンドロスは、その後も意識を回復せずに依然昏睡状態が続いている。いくつか外電が入っているので、まとめて紹介しよう。
ルーサー・ヴァンドロスの母親、メアリー・アイダ・ヴァンドロスが12日(月曜)にステートメントを発表した。「息子は必ず回復します。回復すべきなのです。彼は、私が持っている最後の宝物だから。彼は、唯一生き残っている子供なのです」
母は、2ー3日おきにルーサーを見舞い、手を握り、彼が好きなアレサ・フランクリンやディオンヌ・ワーウィック、彼自身のレコードをかけている、という。ルーサーが倒れた直後はかなり危険な状態が続いたが、以後は危険ながらも安定した状態になっている。現在は器官切開し人口呼吸器が呼吸を助けている。「息子がよくなるのは時間の問題だと思う。ただし、ゆっくりなペースですが」と母は言う。
ルーサーの新作アルバム『ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー』は、全米で6月10日に発売が予定されているが、この曲は亡き父、メアリーの夫に捧げられたもので、母はこれを聞いて涙したという。母はルーサーの状態いかんにかかわらず発売を遅らせないで欲しいという。「きっと息子も、予定通りリリースされることを願っていると思う。彼自身、このアルバムを大変気に入っていましたから。カンバックした際には、奇跡の復活物語として語られてほしいわ」という。
一方、ルーサーが80年代に2枚のアルバムをプロデュースし、元々ルーサーのあこがれのシンガーのひとりであったアレサ・フランクリンは、地元デトロイトの教会で、徹夜の祈りを捧げる。ここには仲間でもあるフォー・トップス、アレサの息子たちエディー、キーカーフなども参加する予定。
+++++
Wake Up, Vandross
夢。
ルーサーは、1951年4月20日ニューヨークに4人兄弟の末っ子として生まれた。上に姉2人、兄がいた。母のコメントから、すでに3人の子供たちは他界していることになる。父親はルーサーが8歳の頃(1959年頃)死去。
13歳の時に、ブルックリン・フォックス・シアターでディオンヌ・ワーウィックのショウを見て感激し、シンガーになる決意をした。ルーサーは言う。「(ステージで)ディオンヌが赤いシフォンのドレスに身を包み、歩きながら『エニワン・フー・ハド・ア・ハート』を歌った。その時のことを今でも覚えている。彼女は僕の前を横切って歩いた。その瞬間僕は音楽で一生暮らしていきたいと思ったんだ」
彼は高校を卒業するとウエスタン・ミシガン大学に入学。しかし、大学生活は孤独で、退屈だった。友人もほとんどなく、ガールフレンドもなく、スポーツに熱中することもなく、彼の人生は音楽だけだった。ルーサーの人生はヘッドフォンの中にあった。ヘッドフォンから流れてくるアレサやディオンヌの歌声だけが彼の友人だった。
大学をドロップアウトするとき、彼は医学を志していたルームメートに告げた。ルームメートは「君が大学を逃げ出すなんて信じられないな」と言った。ルーサーは答えた。「なあ、君が医者になり、僕が病気になったら、僕は君のところにリムジンで乗りつけよう。僕は逃げだすんじゃない。僕は自分の夢を追いかけるんだ」
その後、彼はセッションシンガーとして人気となり、自身のグループのアルバムも発表、81年にソロ第1弾『ネヴァー・トゥ・マッチ』をだし、以後大ヒットを続出、80年代にもっとも人気のソウル、R&Bシンガーとなった。そして、人気シンガー、プロデューサーともなったルーサーの元にあるシンガーのプロデュースの仕事の依頼がくる。誰あろう、彼の幼い頃からの大アイドル、アレサ・フランクリンだった。
ルーサーがそのときのことを興奮気味に話す。「僕が子供の頃、もしアレサがレストランで食事をしていたら、きっと頭に血が上って、彼女が食べてるスペアリブでもなんでもいいからサインしてくれ、って頼んだと思う。彼女をプロデュースしないかと頼まれたときのショックを想像してみてよ。81年のことだった。僕は覚えてる。椅子に座って彼女がドアから入って来るのを待っていたとき、僕の心臓は止まったよ。彼女は僕を見るなり、『ヴァンドロス』と言った。彼女はいつも僕を『ヴァンドロス』と呼ぶ。それ以外呼んだことがない。彼女は言った。『私は「ジャンプ・トゥ・イット」が気に入ったよ。やりたいようにやって、終わったら教えておくれ』」
このアルバムは、アレサにとっても久々の大ヒットとなる。そして、それから22年余。2003年5月、アレサ・フランクリンは、一月以上昏睡状態の親友ヴァンドロスのために、教会で祈りを捧げる。彼女は「アメージング・グレイス」を歌う。アレサは、ヘッドフォンの中に生きていた少年時代のルーサーに生きる喜びと意味を与えた。そして、今再び、彼に第二の命を授けようとしている。アレサのソウルは叫ぶだろう。「Wake Up, Vandross(ウェイク・アップ、ヴァンドロス=起きろ、ヴァンドロス)」 届け、その叫びよ、ヴァンドロスへ。
4月16日、ニューヨークの自宅で倒れたルーサー・ヴァンドロスは、その後も意識を回復せずに依然昏睡状態が続いている。いくつか外電が入っているので、まとめて紹介しよう。
ルーサー・ヴァンドロスの母親、メアリー・アイダ・ヴァンドロスが12日(月曜)にステートメントを発表した。「息子は必ず回復します。回復すべきなのです。彼は、私が持っている最後の宝物だから。彼は、唯一生き残っている子供なのです」
母は、2ー3日おきにルーサーを見舞い、手を握り、彼が好きなアレサ・フランクリンやディオンヌ・ワーウィック、彼自身のレコードをかけている、という。ルーサーが倒れた直後はかなり危険な状態が続いたが、以後は危険ながらも安定した状態になっている。現在は器官切開し人口呼吸器が呼吸を助けている。「息子がよくなるのは時間の問題だと思う。ただし、ゆっくりなペースですが」と母は言う。
ルーサーの新作アルバム『ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー』は、全米で6月10日に発売が予定されているが、この曲は亡き父、メアリーの夫に捧げられたもので、母はこれを聞いて涙したという。母はルーサーの状態いかんにかかわらず発売を遅らせないで欲しいという。「きっと息子も、予定通りリリースされることを願っていると思う。彼自身、このアルバムを大変気に入っていましたから。カンバックした際には、奇跡の復活物語として語られてほしいわ」という。
一方、ルーサーが80年代に2枚のアルバムをプロデュースし、元々ルーサーのあこがれのシンガーのひとりであったアレサ・フランクリンは、地元デトロイトの教会で、徹夜の祈りを捧げる。ここには仲間でもあるフォー・トップス、アレサの息子たちエディー、キーカーフなども参加する予定。
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Wake Up, Vandross
夢。
ルーサーは、1951年4月20日ニューヨークに4人兄弟の末っ子として生まれた。上に姉2人、兄がいた。母のコメントから、すでに3人の子供たちは他界していることになる。父親はルーサーが8歳の頃(1959年頃)死去。
13歳の時に、ブルックリン・フォックス・シアターでディオンヌ・ワーウィックのショウを見て感激し、シンガーになる決意をした。ルーサーは言う。「(ステージで)ディオンヌが赤いシフォンのドレスに身を包み、歩きながら『エニワン・フー・ハド・ア・ハート』を歌った。その時のことを今でも覚えている。彼女は僕の前を横切って歩いた。その瞬間僕は音楽で一生暮らしていきたいと思ったんだ」
彼は高校を卒業するとウエスタン・ミシガン大学に入学。しかし、大学生活は孤独で、退屈だった。友人もほとんどなく、ガールフレンドもなく、スポーツに熱中することもなく、彼の人生は音楽だけだった。ルーサーの人生はヘッドフォンの中にあった。ヘッドフォンから流れてくるアレサやディオンヌの歌声だけが彼の友人だった。
大学をドロップアウトするとき、彼は医学を志していたルームメートに告げた。ルームメートは「君が大学を逃げ出すなんて信じられないな」と言った。ルーサーは答えた。「なあ、君が医者になり、僕が病気になったら、僕は君のところにリムジンで乗りつけよう。僕は逃げだすんじゃない。僕は自分の夢を追いかけるんだ」
その後、彼はセッションシンガーとして人気となり、自身のグループのアルバムも発表、81年にソロ第1弾『ネヴァー・トゥ・マッチ』をだし、以後大ヒットを続出、80年代にもっとも人気のソウル、R&Bシンガーとなった。そして、人気シンガー、プロデューサーともなったルーサーの元にあるシンガーのプロデュースの仕事の依頼がくる。誰あろう、彼の幼い頃からの大アイドル、アレサ・フランクリンだった。
ルーサーがそのときのことを興奮気味に話す。「僕が子供の頃、もしアレサがレストランで食事をしていたら、きっと頭に血が上って、彼女が食べてるスペアリブでもなんでもいいからサインしてくれ、って頼んだと思う。彼女をプロデュースしないかと頼まれたときのショックを想像してみてよ。81年のことだった。僕は覚えてる。椅子に座って彼女がドアから入って来るのを待っていたとき、僕の心臓は止まったよ。彼女は僕を見るなり、『ヴァンドロス』と言った。彼女はいつも僕を『ヴァンドロス』と呼ぶ。それ以外呼んだことがない。彼女は言った。『私は「ジャンプ・トゥ・イット」が気に入ったよ。やりたいようにやって、終わったら教えておくれ』」
このアルバムは、アレサにとっても久々の大ヒットとなる。そして、それから22年余。2003年5月、アレサ・フランクリンは、一月以上昏睡状態の親友ヴァンドロスのために、教会で祈りを捧げる。彼女は「アメージング・グレイス」を歌う。アレサは、ヘッドフォンの中に生きていた少年時代のルーサーに生きる喜びと意味を与えた。そして、今再び、彼に第二の命を授けようとしている。アレサのソウルは叫ぶだろう。「Wake Up, Vandross(ウェイク・アップ、ヴァンドロス=起きろ、ヴァンドロス)」 届け、その叫びよ、ヴァンドロスへ。
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