【ダズ・バンド・ファンキー・ライヴ】

文句なし。

「日本には8ー9回来てるよ。一番最初に来たのは、渋谷の『ライヴ・イン』だよ。それから、大阪のブルーノート、日比谷の公園でもやった。(日比谷野外音楽堂のこと)」 めちゃくちゃかっこいいギターのマーロン・マクレインがそう語ってくれた。

元々は70年代中期にオハイオ州クリーヴランドで結成されたセルフ・コンテインド・グループ。「オハイオ・ファンク」の中軸を担う連中だ。中心メンバーのスキップ・マーティン(リード・ヴォーカル)とサックスで実質的なリーダー、ボビー・ハリスは「26年来の親友」とステージで言っていた。スキップはグループがモータウン入りした80年ごろ参加したということらしい。いずれにせよ、四半世紀以上の歴史を持つファンク・グループだ。

月曜にもかかわらず、コットンは満席。観客席には、随分と知り合いがいた。

久々に見たダズ・バンドは、めちゃくちゃかっこよかった。スタジオでレコーディングを聴いているかのように、正確なリズムで、しかも、120パーセントのファンク・グルーヴを醸し出していた。ベースの音も、ドラムスの音も、ギターも、キーボードも、リズムの音がすべてくっきりと聴こえ、どれも抜群のグルーヴがあり、観客は今にも立ち上がりそうな爆発寸前の様相を呈していた。

7曲目の「ジョイスティック」で、マグマは一気に噴煙を伴って大爆発した。観客に踊りや動きを指示しやらせたり、歌わせたり、徹底したエンタテインメントが実に楽しい。ここまでやっていただければ脱帽だ。

ダズ・バンドは、当初キンズマン・ダズと名乗っていた。クリーヴランドにあった「キンズマンズ・グリル」のハウスバンドだったことから来ている。「ダズ」は当時の流行の言葉で、「ディスコ」と「ジャズ」とを合わせた新語だった。20世紀から2枚アルバムを出し、80年代に入ってモータウン入り。82年、世紀の大ヒット「レット・イット・ウィップ」が誕生し、一躍人気バンドとなった。ということもあってか、ブリックで大ヒットした「ダズ」を彼らなりのアレンジで披露。

ギターのマーロン・マクレインは他のアーティストのプロデュースをしたり、また、ダズに参加して7年のドラマー、レイモンド・カフーンは、なんとギャップ・バンドで18年間ドラマーをやってきた人物だと言う。ギャップのアルバムを見てみるとしっかり彼の名前がクレジットされていた。

例えば「ジョイスティック」は、後半が自由な「エクステンション(延長もの)」。いわゆるジャム・セッションになっていた。リード・ヴォーカルでもあるスキップ・マーティンはここで、ボビーとトランペット対サックスのバトルを繰り広げる。マイルス・デイヴィスを意識したようなジャジーなトランペットとファンキーのサックスソロが交互に演奏され緊張感を高める。近くで立って踊っていた男性がめちゃくちゃ踊りがうまかった。ダンサーかと思っていたら、バンドメンバーにステージの上に引っ張りあげられ、一踊り。大いに盛り上げた。

本当にライヴバンドたたき上げの連中によるライヴは最高だ。しかも、このコットン・クラブは、こういうファンク・バンドの音が驚異的にいい。PAの相性がいいのだろう。ブルーノートよりも、野太い、ファンク向きの音に仕上がっているような気がした。あるいは、エンジニアがそのように狙っているのか。

メンバーそれぞれのソロ・パートもしっかり用意され、充分楽しめる。アンコール前の本編最後は、最近亡くなったというメンバー、テリー・スタントン(88年にスキップが一時期クール&ギャングのリード・シンガーになった時にダズ・バンドに入ったシンガー)に捧げた「ユー・アー・マイ・スターシップ」だった。元々ノーマン・コナーズでヒットしたバラードで、グループからそのテリーへ捧げる歌としては、ぴったりだった。

文句なしだぜ、ダズ・バンド。

THE DAZZ BAND
ザ・ダズ・バンド
Bobby Harris (vo,sax), Skip Martin (vo,tp), Marlon McClain(vo,g),
Nate Philips(vo,b), Reginald Jones(key), Raymond Calhoun(ds)

Setlist

show started 21:33
01. Keep It Live
02. Swoop (I’m Yours)
03. (Disco) Dazz (Brick)
04. Ain’t Nuthin’ But A Jam Y’All
05. Heartbeat
06. (Down Stairs Lounge)[Drum Solo]
07. Joystick (Extention)
08. Let It All Blow
09. You Are My Starship (Norman Conners)
Enc. Let It Whip
show ended 22:54

(2006年7月24日、丸の内コットンクラブ=ダズ・バンド・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Dazz Band
2006-144

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