【フィリップ・ウー&ニューヨーク・オールスターズ・ファイナル】

寂しい。

昼間、タワーレコードS氏より「今日フィリップに行こうとおもったのですが、お店にかけたら立ち見でぎゅうぎゅうとのこと。来月もあるので、来月にしようかと思っていますが、アドヴァイスをください」とのメール。来月のコットンのとはメンバーが違って、今日のメンバーは今日が最後だから見たほうがいいですよ、と連絡。結局、来ることになった。

もともとは、シンガー、タイ・スティーブンスとキーボードのフィリップ・ウーのふたりか3人のアコースティックセットで行うはずだったこの日のライヴ。タイ自身がどうしてもバンドでやりたいということで、結局、いつもと同じ「ニューヨーク・オールスターズ」が勢ぞろいした。フィリップとオールスターズの最後のライヴ。彼らはご存知のように、久保田利伸のバックバンドで来日中。しかし、久保田ライヴもあと2本、8月6日で終了する。そして彼らは7日には帰国の途につく。

30人も入れば満席の四谷メビウス。立ち見も含め超満員。60人以上集まったのではないか。3セット、16曲、たっぷり楽しませてもらった。

今回初めて聴いたのは、ファーストセットの6曲目。「ウィズ・ユー・アイム・ボーン・アゲイン」。タイとフェリシアのデュエットは見事だった。まるで、ソープオペラを見ているようなドラマティックなパフォーマンス。しかも、これ、今日2人でやるのは初めてだという。いやあ、まいった。

セカンドとサードで、タイは自身のアルバム『アクエリアン・マインド』から2曲、オリジナルを披露した。「ファウンド」と「オール・ザ・ラヴ」。ともに観客から喝采を浴びた。

タイの歌う姿を見ていて思った。彼の歌声や歌い方が今は亡きカール・アンダーソンを思い出させる、と。横から見る風貌なども近いのかもしれない。カールや、あるいは、アル・ジャロウ、また、ジョージ・ベンソン的な雰囲気も醸し出す。

サードセットのトップは、「ムーン・ダンス」という曲で、僕は知らなかった。今日、同行S氏が、ヴァン・モリソンの曲で、ボビー・マクファーリンやアニタ・ベイカーのヴァージョンもありますよ、と教えてくれた。さすが。僕はやはりこのあたりの「白人系」は弱い。(笑) (調べてみると、アニタのヴァージョンは、『ラプチャー〜ライヴ』に収録。ほかに、フィリップ・ベイリー、ラムゼイ・ルイスなどもやっていた) 

今夜の圧巻は、やはり最後の最後になったサードセットでのタイの「サムデイ・ウィル・オール・ビー・フリー」とフェリシア、ユリ、タイによるアレサ・フランクリンの「ナチュラル・ウーマン」だろう。タイは本当にダニーものが似合う。ダニーがいたら、きっとこんな風に歌うのではないかとさえ思ってしまう。タイとフランク・マッコムのコラボを見てみたいな。サードセットが始まる前にフェリシアに「今日は『エイント・ノー・ウエイ』を歌わないの」と尋ねると、喉の調子があんまりよくないので、今日は『ナチュラル・ウーマン』にしておくわ」との答え。彼女にとっては「エイント・ノー・ウエイ」より「ナチュラル・ウーマン」のほうがイージーらしい。それにしても、3人の「ナチュラル・ウーマン」は見事だった。

こういう小さい店で目の前でライヴをやってくれるとほんとに、身近に音楽がある感じがする。彼らも楽しみでやって、それをお客さんもエンジョイできる。いい雰囲気だ。こういう店におけるしっかりしたライヴが多数あれば、もっともっと音楽人口も増えるような気がするのだが・・・。

これにて、ニューヨーク・オールスターズのライヴはしばしおあずけ。フィリップがさかんに「寂しい、寂しい」を連発していた。それはみんな同じ思いだ。

■フィリップ・ウー・ライヴ予定 (「ソウル・サーチン・ザ・セッション」でおなじみシャンティーとフィリップのコラボが実現!)

◎フィリップ・ウー&シャンティー
2006年8月18日(金)、19日(土)
丸の内コットンクラブ 
フィリップ・ウー・バンド・フィーチャリング・シャンティ
8.18.friのみ
Philip Woo(key,hca), Shanti(vo), 石成正人(g), Clifford Archer(b), Tommy Campbell(ds)
8.19.satのみ
Philip Woo(key,hca), Shanti(vo), ’Hank’ Nishiyama (g), Clifford Archer(b), Jay Stixx(ds)
4200円 7時と9時半の2ステージ

予約・お問い合せ03-3215-1555受付時間 (11:00 a.m.〜11:00 p.m.)

◎フィリップ・ウー&ブレンダ・ヴォーン・デュオ
2006年9月3日(日) 開場6時、演奏6時半、8時(2ステージ)
下北沢 ラカーナ(La Cana)
03-3410-0505 チャージ2500円 プラス1ドリンク500円

◎フィリップ・ウー・オフィシャル・サイト
http://www.k5.dion.ne.jp/~p.woo/index.html

■メンバー Members

Philip Woo (Keyboard)
Nishiyama "Hankoya" Fumio (Guitar)
Ralph Rolle (Drums)
Carlos Henderson (Bass)
Felicia Graham (Vocal)
Ty Stephens (Vocal)
Kamino Yuri (Vocal)

■Setlist ( )=singers, [ ]=original artist

First Set
show started 20:09
1. Sunshine Alley (Instrumental) [Stanley Turrentine]
2. That Girl (Ty) [Stevie Wonder]
3. Dindi (Ty) [Antonio Carlos Jobin]
4. Let’s Stay Together (Ralph) [Al Green]
5. I’m Going Down (Felicia) [Rose Royce]
6. With You I’m Born Again (Felicia & Ty duet) [Syretta & Billy Preston]
show ended 20:50

Second Set
show started 21:25
1. Shadows (Instrumental) [Dean Brown]
2. Flying Easy (Ty) [Donny Hathaway]
3. Found (Ty) [Ty Stephens]
4. I Can’t Stand The Rain (Yuri) [Ann Peebles]
5. Closer I Get To You (Yuri & Ty) [Roberta Flack & Donny Hathaway]
show ended 22:05

Third Set
show started 22:42
1. Moon Dance (Ty) [Van Morrison]
2. All The Love (Ty) [Ty Stephens]
3. Someday We’ll All Be Free (Ty) [Donny Hathaway]
4. You Make Me Feel Like A Natural Woman (Felicia, Yuri, Ty) [Aretha Franklin]
5. Superstition (Felicia, Yuri, Ty) [Stevie Wonder]
show ended 23:27

(2006年8月2日水曜、四谷メビウス=フィリップ・ウー・ウィズ・ニューヨーク・オールスターズ)
ENT>MUSIC>LIVE>Woo, Philip & New York All Stars
2006-150

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