【ルーサー母親が息子の新作をプロモート】

ロニー。

ルーサー・ヴァンドロスの未発表曲2曲を含むベスト・アルバム『アルティメート』が日本でもリリースされるが、アメリカではこのアルバムのプロモーションに母親であるメアリー・アイダ・ヴァンドロスが尽力している。アメリカのバルティモア・サン紙にとてもよい記事が掲載されていたのでご紹介したい。この記事の筆者ラショッド・オリソンは、同紙のR&Bエディター、音楽評論家のようで、週一のコラムを書いている。アーカイブを見たところ、けっこう興味深い記事を書いているので、これから定期的に見ていこうかなと思った。

ルーサーのベストについての記事は同紙2006年8月31日付けに掲載された。(以下は大意)

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ルーサーの母、大きな喪失に耐える

メアリー・アイダ・ヴァンドロスにとって、いまだ傷は癒えない。いかにしてその痛みを和らげればいいのか、その方法はわからない。彼女にいた4人息子の最後の息子を埋葬してから一年経っても、母親は息子の音楽を聴くことができない。

「なんとか聴けるように少しずつがんばっているの。かつてはまったくだめだったけれど、そのうちなんとかね」 

今年82歳になるメアリー・ヴァンドロスはため息をついて語る。「たまたま、ラジオやテレビから(ルーサーの)音楽が流れてくると、スイッチを切るわ」 今回は新作アルバムのプロモーションに手を貸しているが、取材時にはルーサーの話しと同時に糖尿病の恐ろしさについても、語っている。ルーサーの父も1959年、ルーサーが8歳の時に糖尿病で他界している。「私は母親としてあまりに多くのものを失ってきました。4人の息子のうち3人を糖尿病で、そして、ひとりを喘息(ぜんそく)で亡くした。これまでも大きな痛みを感じてきました。これからも、そう感じるでしょう」

メアリーは今年、11人いる孫のうちのひとり、31歳のレイモンをやはり糖尿病で亡くしている。そのため、この病気への知識を持ち、対処するように強く勧める。

ルーサーの健康問題について母は語り合ったことはなかったという。ルーサーに糖尿病の問題があることを知ったのは、2003年4月16日、ルーサーがニューヨークの自宅アパートで倒れた時のことだった。

ファミリーたちはルーサーのことを親しみを込めて「ロニー」と呼ぶ。これはルーサーのミドルネーム「ロンゾーニ」を短くしたものだ。ロニーは、自分がツアーに出るときに、親戚たちをよく連れて行った。甥っ子、姪っ子などが子供の頃、彼らのおしめをステージ横や楽屋で変えていたという。

メアリーはルーサーの音楽を聴いていると微笑むが、すぐに悲しみが襲ってくるという。そして涙が溢れてきて、その音楽を止める。ルーサーの音楽に母は孤独感(ロンリネス)を感じるという。「今、彼の音楽を聴くととても心が痛む。神様、いつになったら、こんな苦しみを終わらせてくれるのかしらと思う。でも、ロニーは彼の音楽で世界中の人々を幸せにしたのよね。それが彼に授けられた才能だったのね」

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ENT>ARTIST>Vandross, Luther

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From the Baltimore Sun

Luther’s mother bears pain of great loss
Music Notes: Rashod D. Ollison

http://www.baltimoresun.com/entertainment/bal-li.popcol31aug31,0,2369829.column?coll=bal-home-columnists

Originally published Aug 31, 2006

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