【フィリップ・ウー、ロイ・エヤーズと28年ぶりのリユニオン・ライヴ〜フィリップ・ウー・インタヴュー(パート2)】

フィリップ・ウーが来る11月5日と6日、恩師ロイ・エヤーズをスペシャル・ゲストに迎えて、コットンクラブでライヴを行う。フィリップがロイとの出会いを語ってくれた。

(昨日までのあらすじ)

シアトルに住むハイスクールの生徒フィリップは、地元のライヴハウスで行われていたジャズ・ヴィヴラフォーン(鉄琴)奏者、ロイ・エヤーズのライヴを見に行き、そこで飛び入りでキーボードを演奏する。ロイに気に入られたフィリップは、その2年後、ロイのバンドに誘われて加入。初仕事がシカゴのライヴハウスでのセッションだった。初めて飛行機に乗って向かったシカゴのライヴハウスの楽屋で、フィリップは驚くべきゲストと出会う。

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弟子恩師。

「ここ(楽屋)にいてもいいかな」とその男はフィリップに向かって言った。なんとそう言った男は、地元シカゴ出身のシンガー、ソングライターでありフィリップのヒーローのひとり、ダニー・ハザウェイだったのだ!! 「彼といろいろ話したよ。そこにいること自体、ものすごく幸せだった」 

フィリップはいまでも、ダニーの作品を多く演奏する。「ゲットー」「サムデイ・ウィル・オール・ビー・フリー」「ア・ソング・フォー・ユー」「ラヴ・ラヴ・ラヴ」・・・。彼がダニーの作品を演奏する時、あのシカゴの「ラッツォーズ」の楽屋での邂逅(かいこう)がよぎることもある。

ロイとのバンド人生は、信じられないほどエキサイティングだった。いつもツアーをして全米中を回り、多くの有名アーティストたちと共演した。70年代を代表するファンキー・ジャズ、R&B、ソウル・アーティストたちだ。フィリップが同じライヴショウで名前を連ねたアーティストたちは、グローヴァー・ワシントン、フレディー・ハバード、エスター・フィリップス、パーラメント、ファンカデリック、ロニー・ロウズ、ギル・スコット・ヘーロン、ヒュー・マサケラ、ウォー、クルセイダーズ、アル・ジャロウ、LTD、ごく初期のキャメオ、マーヴィン・ゲイ、MFSB、テンプテーションズ、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、オージェイズ、BBキング、コーク・エスコヴィードなどなどだ。それまでレコードで聴いてファンになっていたようなアーティストたちに次々と会えるようになり、フィリップは大いに興奮し喜んだ。

ロイ・エヤーズのバンドは、大学、シアター、ジャズ・クラブ、大きなフェスティヴァルとどこでも演奏した。大きな会場での演奏と小さなジャズ・クラブでの演奏では観客の反応が違う。そうしたものを、彼は身体で覚えていった。アメリカ中の大きな都市はほとんど行ったという。「当時の音楽は、とても自由(free)だった。自分がプレイしたいように、本当に自由に弾けた。ソロ・パートも自分がやりたいだけ、弾けた。お客さんも、僕のソロが終わって、名前が紹介されると、『ウー!!! ウー!!!』と叫んで大いに喜んでくれた。ロイ・エヤーズ・バンドを辞めた後も、ソロ・パートを弾く時にはいつもこのスタイルで続けた」

ロイとの最初のレコーディングについてフィリップはこう振り返る。「最初のは、『エヴリバディー・ラヴズ・サンシャイン』(1976年)で、アルバムの一部をロスアンジェルスで録音した。確か、バンドがツアーに出る前だった。僕は最初はただスタジオにいただけだったんだが、その時のロイのドラマーだったリッキー・ロウソンが『なんでウーにプレイさせないんだ』って言い続けてくれたんだ。結局、その夜、3曲でプレイすることになった。その春にニューヨークでレコーディングを終えた」

「ニューヨークではいつでも『エレクトリック・レディー・スタジオ』を使っていた。ここでのレコーディングは本当に素晴らしかった。というのも、いつも必ず偉大なアーティストの誰かが、傑作アルバムをレコーディングしていたからだ。そこで僕は、チック・コーリア、ヤン・ハマー、ブレッカー・ブラザース、スティーヴ・ガッド、クリス・パーカー、ナラダ・マイケル・ウォルデン、ジョン・マクラクリン、ピーター・フランプトンなんかに会った。結局、僕がプレイしたロイのアルバムは、『ヴァイブレーション』(1976年)、『ライフライン』(1977年)、『スターブーティー』、『レッツ・ドゥ・イット』(1978年)、『ユー・センド・ミー』(1978年)、『RAMP』、そして、『フィーヴァー』(1979年)だ」

フィリップは、ロイのバンドを1978年暮れに辞めた。

フィリップはその後、フランキー・ベヴァリー&メイズなどに参加。また多くのスタジオセッションに参加、アメリカのソウル、ジャズ系のファーストコールのキーボード奏者となる。

今回のライヴは、ロイがブルーノートにやってくるところから実現した。ロイがブルーノート後に東京に残り、フィリップのライヴのゲストとして登場する。言ってみれば、今回は弟子が恩師を迎えてのライヴということになる。同じステージに立つのは28年ぶりだ。

フィリップにとっても歴史的な一夜になるだろう。特別な感情が湧きあがるかもしれない。こんなライヴは見逃せない。

■フィリップ・ウー・アンド・ロイ・エヤーズ ユビクイティー・リユニオン・ツアー

2006年11月5日(日)、11月6日(月)
丸の内コットンクラブ
http://www.cottonclubjapan.co.jp/ccj/top.html

ENT>MUSIC>ANNOUNCEMENT>Woo, Philip
ENT>MUSIC>STORY>Woo, Philip

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