【テンプスはアトランティックに3枚のアルバムを録音していた】

幻。

アメリカ最強のソウル・ヴォーカル・グループといえばモータウンが誇るテンプテーションズ。60年代から70年代にかけての大躍進振りを見ればその形容詞に誰も文句はないところだろう。

ところで、そのテンプテーションズ、長い間モータウン所属だが、77年からほんの2年ほど、モータウン以外のアトランティック・レコードに在籍していたことがある。彼らがモータウン以外からアルバムを出したのは、唯一このアトランティックだけだ。(最新作を除く) そこで彼らは2枚のアルバムを発表した。『ヒア・トゥ・テンプト・トゥ・ユー』(1977年)と『ベアバック』(1978年)である。

前者がフィラデルフィアのベイカー・ハリス・ヤングのトリオによってプロデュースされ、後者がデトロイトでかつて多くのヒットを生み出したホランド・ドジャー・ホランドのうちのホランド兄弟によってプロデュースされている。

一般的にはこの2枚で彼らはアトランティックを離れたことになっているのだが、なんと実はもう一枚アルバムを録音していたのだ。1978年から79年のことで、やはりフィラデルフィアのロン・カーシーのプロデュースでフルアルバムが録音されていたという。

しかし、2枚目のリリース後、彼らと契約した担当者がアトランティックを去っていったこともあり、また2枚目がそれほど売れなかったこともあって、録音はしたものの結局お蔵入り、幻の1枚になってしまった。

またここで主としてり−ド・ヴォーカルを取るルイス・プライスも、これら2枚でテンプテーションズからは去る。彼のヴォーカルは特に問題はないが、ただ相性がそれほどぴったりこなかったのだろう。

1作目がフィリーで録音されていて、なかなか興味深い出来だっただけに、このロン・カーシー・プロデュースものもいつか日の目を見るといいのだが。

たまたま、今回『ヒア・トゥ・テンプト・ユー』のライナーを書くことになり、テンプスのオーティス・ウィリアムスが書いた自伝を読み返していて、3枚目があることを知った。前後のアトランティックに移籍した経緯、また当時のリード、デニス・エドワーズが辞める話など、かなり書き込んだので、興味ある方はぜひお読みください。

(2007年1月24日に発売になります。しかも今回の再発はすべて1500円(税込み)というリーズナブルなお値段です。(笑) なお、ライナー自体は、発売後適当な時期にウェッブにアップする予定です) 

■『ヒア・トゥ・テンプト・トゥ・ユー』

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