【ドゥーワップ・グループ、スパニエルズのリード、プーキー・ハドソン死去】

おやすみ。

50年代に活躍したドゥーワップ・グループ、スパニエルズのリード・シンガー、プーキー・ハドソンが去る2007年1月16日、メリーランド州キャピトル・ハイツの自宅で死去した。72歳だった。死因は胸腺のガン。昨年秋に一時期回復し、ステージにも戻ったが、再度体調を崩していた。最後のレコーディングが昨年10月に行われた『アンクラウディー・クリスマス』というCDで、これは今年の秋にリリースされる予定。スパニエルズの最大のヒットは、1954年の「グッドナイト・スイートハート、グッドナイト」。この曲に関してはスパニエルズのものをカヴァーした白人のマクガイアー・シスターのものがオリジナルより大ヒットした。その後、70年代に入って映画『アメリカン・グラフィティー』でも使用された。

この「グッドナイト・スイートハート、グッドナイト」は、ハドソンが当時つきあっていた女の子とデートし、彼女の家に行ったが夜中になってしまい、その両親に早く帰れと言われ、その道すがら思いついた作品だという。「帰るのはつらいが、おやすみ、恋人よ」というメッセージだ。

スパニエルズは他に、「ベイビー・イッツ・ユー」、「ピース・オブ・マインド」、「レッツ・メイク・アップ」などのヒットを放った。

彼の唱法は後の男性ヴォーカリスト、例えばスモーキー・ロビンソン、アーロン・ネヴィルなどに大きな影響を与えた。ネヴィルは、かつてこのハドソンとクライド・マックファーター、ナット・キング・コールをもっとも影響を受けたシンガーと語ったこともある。

ハドソンは1934年6月11日、アイオワ州デモイン生まれ。本名ソーントン・ジェームス・ハドソン。インディアナ州ゲイリーで育ち、同地の教会でゴスペルなどを歌っていたが、そこのルーズヴェルト・ハイスクールで結成されたのがスパニエルズだった。

50年代にヒットを放ったものの、60年代に入るとヒットも途絶え、仕事もなくなり、一時期ホームレスになったこともあった、という。その後1980年代になるとオールディーズ・ブームも盛り上がり、仕事が増えてきた。80年代のインタヴューで、その時点でずっと新曲を書いてきているが、ファンはみな古い曲を聞きたがるという。

「グッドナイト・スイートハート、グッドナイト」は1954年に彼が書いた作品で、自らも歌っていたが、この曲の印税をもらい始めたのは、なんと1990年代に入ってからだという。1991年、リズム&ブルーズ基金から表彰され、2万ドルの賞金をもらった。スパニエルズはこの資金を元に、『40周年』というアルバムを作り、後にコレクタブルズ・レコードから再リリースされている。

おやすみ、プーキーさん。ご冥福をお祈りしたい。

ENT>OBITUARY>Hudson, Pookie: June 11, 1934 - January 16, 2007 (72)

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