【趣味は音楽〜スティーヴィー・ワンダー・バンドのジャムセッション】
趣味。
「趣味、それは音楽です」 音楽が大好きで大好きで、そこに楽器があれば、すぐに触って音を出したい。誰かがいいプレイをしていたら、自分もそれ以上のプレイをしてみたい。音楽好きなプレイヤーはみなそんなことを思う。そんな音楽が大好きでたまらない連中が、遊びで楽器があるところに集まり、ジャムセッションを繰り広げた。
夕方、ソウルメイトのひとりチーボーから「今日の夜、青山のレッドシューズでスティーヴィーのバンドが来てジャムセッションをします。よければどうぞ」とのメールが飛び込んだ。チーボーは、週一か適当な時にレッドシューズでDJをやっている。とるものもとりあえず、現在来日中のワンダロジスト、ケニー・グールドと原口さんに声をかけ現地に向かう。途中でフィリップ・ウーにも電話してみると、ちょうど六本木にいる、ロニーとは長い友達だというので、飛んでくることになった。
メンバーは9時半近くに到着。楽器をセッティングして、ちょっとだけ音合わせをして、すぐに「ヴィジョンズ」を演奏し始めた。やってきたのは、ドラムス、ギター、ベース、キーボード、サックス、ヴォーカル2人。(メンバーの名前は下記リストを参照) 「ヴィジョンズ」は「トゥル〜〜ル〜〜ル〜〜」の部分だけコーラスが入り、あとはジャズ風、インストゥルメンタルに変身。そのコーラスをやっていたリンが、つづいて「オール・アイ・ドゥー」を。さらに、席に座っていたキースがおもむろに歌いだしたのが、「アイ・キャント・ヘルプ・イット」! スティーヴィー作品でマイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』に入っている作品だ。キースは酔っ払ってるせいか、超ごきげんで音程はちょろちょろはずし気味だったが、みんな実に楽しそうにやっている。その後長尺のインストゥルメンタルをジャムセッションした後、あのイントロがでた! 音は狭い所で聴くこともあってか、かなりの迫力。
さいたま初日で披露した「チューズデイ・ハートブレイク」だ。それ以来、久々にかなりの回数聴いていたので、実に嬉しい。イントロからライアンのサックスが入る。そして、歌は、なんとキーボードのロニー・フォスター! 途中からアップテンポにして、各ソロをいれ、またもとのテンポに戻し、曲を終えた。全部その場でアドリブでアイコンタクトでやる。サックスのライアンは、初日にはこの曲を知らずにソロがほとんど出来なかったが、この日はしっかり曲も知っていて、ちゃんとできていた。
ライヴ後、「今日は、覚えてたね!」と彼に言うと、「ああ、あれ以来、しっかり覚えたよ!(笑) あの時は、スティーヴィーが全然予告なくやり始めたんでついていけなかった(笑)」。 今回はドラムスのクリスとサックスのライアンが、スティーヴィー・バンドに初登場。2人とも初来日。ライアンは兄貴分のマイケル・フィリップスがプリンスのバンドに入ったために、彼からこのスティーヴィーの仕事をやらないかと誘われ入った。話すとすごく真面目で、若そうだったので年を聞いたら1981年生まれの25歳だった。ということは、彼が演奏している曲は、ほとんどすべて彼が生まれる前の曲ということになる。
セットリストについて彼はこう説明した。「そう、おおまかなセットリストはあるんだ。だけど、スティーヴィーに限っては(セットリストは)ないも同然だね。(笑) すぐ、ちょくちょく変わるから。(サックスの)僕は、イアフォーンをつけてないんで次の曲を知らない。キース(・ジョン=バックコーラス)とドラマーのクリスはイアフォーンをつけてるからわかると思うけどね。僕はスティーヴィーがやり始めた曲についていくだけだよ」
ロニー・フォスターは、スティーヴィー・バンドに出たり入ったり。スティーヴィーと一緒に来たのは1988年以来だという。その他でも10回以上来ている。ファンキーな歌もよかったが、キーボードソロはもうたまらない。ロニーも、自分たちの自由なジャムセッションだからリラックスしているのだろう。
セカンドセットの1曲目では、フィリップがロニーに誘われキーボードを披露。フィリップがめちゃくちゃ濃かった。ベースのネーサンの横で見ていたロニーはフィリップの演奏が終わると近寄ってハグ。「ロニーとは30年以上知ってるんだ。彼は僕のヒーローのひとり」とフィリップは言う。
リンは以前にも会ったことがある。キーボードのウェイン・リンゼイとCDを出したこともあり、また、ベイビーフェイスなどのバックで来日している。
どのメンバーも、本当にプレイするのが好きで好きでたまらないという感じ。途中で知らない人がトロンボーンを持って入って、ちょっとしたソロを聞かせた。これがまた、なかなかよかった。音楽の元に、まさに一つになっている。演奏が終わり、ネイサンがマイクを取ってメンバー紹介。「トロンボーンの君、名前は?」 「マークだ」 「マークに大きな拍手を〜」 見知らぬ同士もプレイさえできれば、もうそこにはミュージシャンシップという友情が生まれる。
こういうジャム・セッションが出来る場所があるというのは素敵なことだ。クリス、モリスらは他が帰っても残って、レコードやCDに合わせて楽器をプレイしていた。アメリカのミュージシャンたちって、普段からこんなことばっかりやってるんだろうな。これは力がつくわけだ、と痛感した。
この原稿を書くためにロニーのことをちょっと調べたら、なんと誕生日が1950年5月13日、ニューヨーク・バッファロー生まれ。ほんとですか。誰かと一緒ではあ〜りませんか。そう、スティーヴィー・ワンダーその人です。年も日にちも一緒。本当かい。縁浅からぬものがある。
Thank you for your good music, brothers! & Lynn!
■ フィリップのブログ
http://blog.goo.ne.jp/philipwoo/d/20070222
■ メンバー
Chris Johnson (Drums)
Nathan Watts (Bass)
Ronnie Foster (Keyboards)
Morris O’Connor (Guitar)
Ryan Kilgore (Sax)
Munyungo Jackson (percussion)
Keith John (Vocal)
Lynn Fiddmont (Vocal)
Philip Woo (Keyboards)
Mark Miller (Trombone)
■Setlist
performance started 21:32
01. Visions
02. All I Do (Lynne Fiddmont on Vocal)
03. I Can’t Help It (Michael Jackson) (Keith John on Vocal)
04. (Instrumental, Jam)
05. Tuesday Heartbreak (Ronnie Foster on Vocal)
performance ended 22:30
performance started 22:50
01. (Instrumental, Jam) (Philip Woo on Keys, Mark Miller on Trombone)
02. Mercy, Mercy
performance ended 23.17
(2007年2月22日木曜、青山レッドシューズ=スティーヴィー・ワンダー・バンド・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Wonder, Stevie Band
2007-24
趣味。
「趣味、それは音楽です」 音楽が大好きで大好きで、そこに楽器があれば、すぐに触って音を出したい。誰かがいいプレイをしていたら、自分もそれ以上のプレイをしてみたい。音楽好きなプレイヤーはみなそんなことを思う。そんな音楽が大好きでたまらない連中が、遊びで楽器があるところに集まり、ジャムセッションを繰り広げた。
夕方、ソウルメイトのひとりチーボーから「今日の夜、青山のレッドシューズでスティーヴィーのバンドが来てジャムセッションをします。よければどうぞ」とのメールが飛び込んだ。チーボーは、週一か適当な時にレッドシューズでDJをやっている。とるものもとりあえず、現在来日中のワンダロジスト、ケニー・グールドと原口さんに声をかけ現地に向かう。途中でフィリップ・ウーにも電話してみると、ちょうど六本木にいる、ロニーとは長い友達だというので、飛んでくることになった。
メンバーは9時半近くに到着。楽器をセッティングして、ちょっとだけ音合わせをして、すぐに「ヴィジョンズ」を演奏し始めた。やってきたのは、ドラムス、ギター、ベース、キーボード、サックス、ヴォーカル2人。(メンバーの名前は下記リストを参照) 「ヴィジョンズ」は「トゥル〜〜ル〜〜ル〜〜」の部分だけコーラスが入り、あとはジャズ風、インストゥルメンタルに変身。そのコーラスをやっていたリンが、つづいて「オール・アイ・ドゥー」を。さらに、席に座っていたキースがおもむろに歌いだしたのが、「アイ・キャント・ヘルプ・イット」! スティーヴィー作品でマイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』に入っている作品だ。キースは酔っ払ってるせいか、超ごきげんで音程はちょろちょろはずし気味だったが、みんな実に楽しそうにやっている。その後長尺のインストゥルメンタルをジャムセッションした後、あのイントロがでた! 音は狭い所で聴くこともあってか、かなりの迫力。
さいたま初日で披露した「チューズデイ・ハートブレイク」だ。それ以来、久々にかなりの回数聴いていたので、実に嬉しい。イントロからライアンのサックスが入る。そして、歌は、なんとキーボードのロニー・フォスター! 途中からアップテンポにして、各ソロをいれ、またもとのテンポに戻し、曲を終えた。全部その場でアドリブでアイコンタクトでやる。サックスのライアンは、初日にはこの曲を知らずにソロがほとんど出来なかったが、この日はしっかり曲も知っていて、ちゃんとできていた。
ライヴ後、「今日は、覚えてたね!」と彼に言うと、「ああ、あれ以来、しっかり覚えたよ!(笑) あの時は、スティーヴィーが全然予告なくやり始めたんでついていけなかった(笑)」。 今回はドラムスのクリスとサックスのライアンが、スティーヴィー・バンドに初登場。2人とも初来日。ライアンは兄貴分のマイケル・フィリップスがプリンスのバンドに入ったために、彼からこのスティーヴィーの仕事をやらないかと誘われ入った。話すとすごく真面目で、若そうだったので年を聞いたら1981年生まれの25歳だった。ということは、彼が演奏している曲は、ほとんどすべて彼が生まれる前の曲ということになる。
セットリストについて彼はこう説明した。「そう、おおまかなセットリストはあるんだ。だけど、スティーヴィーに限っては(セットリストは)ないも同然だね。(笑) すぐ、ちょくちょく変わるから。(サックスの)僕は、イアフォーンをつけてないんで次の曲を知らない。キース(・ジョン=バックコーラス)とドラマーのクリスはイアフォーンをつけてるからわかると思うけどね。僕はスティーヴィーがやり始めた曲についていくだけだよ」
ロニー・フォスターは、スティーヴィー・バンドに出たり入ったり。スティーヴィーと一緒に来たのは1988年以来だという。その他でも10回以上来ている。ファンキーな歌もよかったが、キーボードソロはもうたまらない。ロニーも、自分たちの自由なジャムセッションだからリラックスしているのだろう。
セカンドセットの1曲目では、フィリップがロニーに誘われキーボードを披露。フィリップがめちゃくちゃ濃かった。ベースのネーサンの横で見ていたロニーはフィリップの演奏が終わると近寄ってハグ。「ロニーとは30年以上知ってるんだ。彼は僕のヒーローのひとり」とフィリップは言う。
リンは以前にも会ったことがある。キーボードのウェイン・リンゼイとCDを出したこともあり、また、ベイビーフェイスなどのバックで来日している。
どのメンバーも、本当にプレイするのが好きで好きでたまらないという感じ。途中で知らない人がトロンボーンを持って入って、ちょっとしたソロを聞かせた。これがまた、なかなかよかった。音楽の元に、まさに一つになっている。演奏が終わり、ネイサンがマイクを取ってメンバー紹介。「トロンボーンの君、名前は?」 「マークだ」 「マークに大きな拍手を〜」 見知らぬ同士もプレイさえできれば、もうそこにはミュージシャンシップという友情が生まれる。
こういうジャム・セッションが出来る場所があるというのは素敵なことだ。クリス、モリスらは他が帰っても残って、レコードやCDに合わせて楽器をプレイしていた。アメリカのミュージシャンたちって、普段からこんなことばっかりやってるんだろうな。これは力がつくわけだ、と痛感した。
この原稿を書くためにロニーのことをちょっと調べたら、なんと誕生日が1950年5月13日、ニューヨーク・バッファロー生まれ。ほんとですか。誰かと一緒ではあ〜りませんか。そう、スティーヴィー・ワンダーその人です。年も日にちも一緒。本当かい。縁浅からぬものがある。
Thank you for your good music, brothers! & Lynn!
■ フィリップのブログ
http://blog.goo.ne.jp/philipwoo/d/20070222
■ メンバー
Chris Johnson (Drums)
Nathan Watts (Bass)
Ronnie Foster (Keyboards)
Morris O’Connor (Guitar)
Ryan Kilgore (Sax)
Munyungo Jackson (percussion)
Keith John (Vocal)
Lynn Fiddmont (Vocal)
Philip Woo (Keyboards)
Mark Miller (Trombone)
■Setlist
performance started 21:32
01. Visions
02. All I Do (Lynne Fiddmont on Vocal)
03. I Can’t Help It (Michael Jackson) (Keith John on Vocal)
04. (Instrumental, Jam)
05. Tuesday Heartbreak (Ronnie Foster on Vocal)
performance ended 22:30
performance started 22:50
01. (Instrumental, Jam) (Philip Woo on Keys, Mark Miller on Trombone)
02. Mercy, Mercy
performance ended 23.17
(2007年2月22日木曜、青山レッドシューズ=スティーヴィー・ワンダー・バンド・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Wonder, Stevie Band
2007-24
コメント