(註、ネタばれがあります。これからごらんになる方は、あなたのリスクにおいてお読みください)
【『ハーレム・ナイツ第6回』、俺は繰り返さない〜オマー・エドワーズ】
プライド。
このところすっかり夏休みの横浜の風物詩のひとつとなった感のあるイヴェント『ハーレム・ナイツ』。数えて6回目。今回もさっそく初日を見た。昨年はアリソン・ウィリアムスだった。もうあれから、1年か。なんと早いこと。今年は、ヴォーカルのロイとタップダンスのオマー以外はメンバー一新。すでに全公演ほぼ満席であとは立ち見だけだという。もはや、『ハーレム・ナイツ』というイヴェントに観客が来ていることは間違いない。年齢層も10代から60代くらいまで、男女比も半々くらい。年配の男性、女性が多いのが特徴だ。
音楽的には、アジザ(Aziza)というアーティスト名で活動している女性が、音楽ディレクターとしてバンドをまとめていた。が、実はこのアジザ、以前リンダ・ウィリアムスという名前で、アリスタで1979年に『シティー・リヴィング(City Living)』というアルバムを出していた人物。最近では、ナタリー・コールのツアーの音楽ディレクターを担当したりしていた、という。日本は初めて。ナタリーの歌で知られる「ラ・コスタ」は、彼女の作品ということで、彼女も演奏していた。
最初のシンガー、マーベルはミシシッピー生まれニューヨーク在住の本格派女性R&Bシンガー。かなり力はある。迫力もあり、ゴスペルに根ざしたシンガーで安心して聴ける。日本にも数回来日したことがある、という。そのうちの1回はブルーノートのレジーナ・ベルのバックコーラスを担当したそうだ。
第二部、最後にでてくるロイは昨年もでていたが、いきなり、バリー・ホワイトばりの低音で迫ってきた。他に、サム・クック、オーティス・レディングなどのオールド・スクールものをこなした。
しかし、この日のハイライトはやはりタップ・ダンスのオマー・エドワーズだ。
下記セットリストの11「イントロ」では舞台下手(観客席から見て左手)にちょっとしたボックスがあり、その下の部分だけがあいている。そこから白いスーツの足元だけが見えるようになっている。その足元だけがタップを踏み、まもなく、全身を現す。なかなかやるものだ。
オマーのタップは、体の中心線がぶれない。それにしても、いろいろなアイデアを次々と出してくる。タップのアイデアの総合デパートだ。ロナルド・アイズレーなみのステッキを持って床を叩く。パンパンパンと実に心地よいリズム感あふれる音が響く。(下記セットリストで14)
そして、舞台下手から2メートルくらいの写真パネルが登場した。ちょっと遠めからはわからなかったが、そこに映っていたのは、あの伝説のボクサー、モハメド・アリだった。そして、そのパネルの裏に行ったオマーがそこから出てくると、彼はボクサー・パンツだけを履いて完璧にボクサーになって登場した。いきなり、ボクシングをしながら、タップだ。ボクサー、タップダンサー。なんという斬新なアイデア。彼の手にかかると、いや、足にかかると、どんなことでも、タップになってしまうのだな、と痛感した。
第二部で「僕のかあちゃん、アフリカから来た」といいながら、はだしのタップに。(下記セットリスト18)(なぜ裸足かは過去記事をごらんください)
ただ、バンド全体、オマーもまだ初日ということもあってか、全開という感じはしなかった。おそらく、2−3日すると、徐々にギアもトップに入り、もっともっとすごいものになっていくのだろう。
ライヴが終わると、すぐにシンガー、ミュージシャンたちが出てきてお客さんと写真を撮ったり、サインをしたりしてくれる。こうしたフレンドリーなところも、とてもすばらしい。
オマーがでてきたので、さっそく声をかけた。「去年も、おととしも見ましたよ」というと、ほんとなのか「君のことを覚えてるよ」といい、いきなり、「マハメド・アリはわかったか?」ときいてきた。「ボクサーのところ?」 「そうだ、あれはアリなんだよ」 「ああ、なるほど〜〜」 「アリのダンスだ」 「ああ、そうだ、アリはいつも自分のボクシングをダンスだと言っていたもんね」 「そうなんだ。みんなわかったかなあ」 「いや、わからないんじゃないか。はっきり、言葉で言ったほうがいいよ、トリビュート・トゥ・モハメド・アリとか」 「なんで、またアリを?」 「彼の夢を見たんだ。去年くらいかな。それでやることにした」
彼の周りにも写真やサインを求める人たちが集まり、一息あって、「僕はあなたの『ニューズペーパー』のパフォーマンス(2年前に見せた演目)が大好きなんだ。またやらないの?」と尋ねた。「おお、あれか。気に入ってくれてるのか。だが、俺は(同じことは)繰り返さないんだ(I don’t repeat)」ときっぱり。なるほど、それゆえ、次々といろいろなアイデアを無尽蔵に、そして惜しげもなく出してくるのか。「でも、いつかじゃあ、君のためにやるよ」 ほんとなのか。(笑)
この『ハーレム・ナイツ』の目玉の出し物がオマー・エドワーズのタップに、まちがいなくなっている。タップやダンスに興味がある人たちにお勧めだ。しかも、毎回すべての出し物が違うところがすばらしい。
「アイ・ドント・リピート(俺は繰り返さない)」に、オマーのプライドが光る。
■ライヴは、7月25日(水)から29日(日)まで、毎日。詳細は下記ランドマーク・タワー・ウェッブへ
問い合わせ先 ランドマークホール:TEL 045-222-5050 (月〜金 10:00〜17:00) ランドマークプラザ:TEL 045-222-5015 (月〜日 11:00〜20:00)
■横浜ランドマークタワー公式ページ
http://www.yokohama-landmark.jp/event/details/0707_harlem.html
■過去3回のライヴ評
July 28, 2006
Harlem Nights Vol.5: Alyson Williams Sings Wide Variety Of Music, Omar Edwards Taps With New Idea
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_28.html
July 29, 2005
Harlem Nights: Omar Edwards, Barefoot Tap Dancer
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200507/2005_07_29.html
2004/07/31 (Sat)
Harlem Nights III: Bring Your Cake For Lonnie’s Birthday
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200407/diary20040731.html
■メンバー
Omar Edwards (Tap Dancer)
Aziza (Linda Williams) (Keyboards, Musical Director)
Marbel Allen (Singer)
Roy Bennett (Singer)
Mike Grey (Trombone)
Sly Scott (Sax)
Emanuel Chulo Gatewood (Bass)
Alex Alexander (Drums)
Setlist: Harlem Nights Vol.6 @ Landmark Hall, July 25, 2007
セットリスト: ハーレム・ナイツ Vol.6 @ランドマーク・ホール
( ) indicates songs’ original acts or the acts who make the song popular
show started 19:03
-band-
01. Do Re Mi
02. Party People
03. La Costa (Natalie Cole)
04. Knocks Me Off My Feet (Stevie Wonder)
-Marbel Allen-
05. For Your Love
06. Moondance
07. What A Difference A Day Makes (Esther Phillips, others)
08. You Don’t Know What Love Is (Standard-1941)
09. Love For Sale (Cole Porter)
10. My Favorite Thing (From The Sound Of Music)
-Omar Edwards-
11. (Intro) Call The Law
12. Minnie The Moocher (Cab Calloway)
13. Reasons (Earth Wind And Fire)
14. Puttin’ On The Ritz (Ko Kaine) (Harry Richman)
15. The Greatest Dancer (A Tribute To Muhammad Ali)
show ended 20:23
Second set
show started 20:46
-Omar Edwards-
16. I Feel Hornsy (with sax and trombone players)
17. Entourage/Cuban B
18. Wind For Me
19. Jammin (cross battle with drummer and tap dancer)
20. You Don’t Know My Name (Alicia Keys)
-Roy Bennett-
21. I’m Gonna Love You Just A Little More Baby (Barry White)
22. Can’t Get Enough Of Your Love, Babe (Barry White)
23. (What A) Wonderful World (Sam Cooke)
24. Chain Gang (Sam Cooke)
25. Love TKO (Teddy Pendergrass)
26. Only You (Teddy Pendergrass)
27. I’ve Been Loving You Too Long (To Stop Now) (Otis Redding)
28. (Sittin’ On) The Dock Of The Bay (Otis Redding)
29. (Get Up I Feel Like Being Like A) Sex Machine (James Brown)
30. It’s A Man’s Man’s Man’s World (James Brown)
31. I’ll Take You There (Staple Singers)
32. I Believe I Can Fly (R Kelly)
-all-
33. Amen (Impressions, Otis Redding, etc)
performance ended 21:48
show ended 21:50
(2007年7月25日水曜、横浜ランドマーク・ホール=ハーレム・ナイツ VOL.6)
ENT>MUSIC>LIVE>Harlem Nights Vol 6
ENT>MUSIC>LIVE>Edwards, Omar
ENT>MUSIC>LIVE>Allen, Marbel
ENT>MUSIC>LIVE>Bennett, Roy
2007-91
【『ハーレム・ナイツ第6回』、俺は繰り返さない〜オマー・エドワーズ】
プライド。
このところすっかり夏休みの横浜の風物詩のひとつとなった感のあるイヴェント『ハーレム・ナイツ』。数えて6回目。今回もさっそく初日を見た。昨年はアリソン・ウィリアムスだった。もうあれから、1年か。なんと早いこと。今年は、ヴォーカルのロイとタップダンスのオマー以外はメンバー一新。すでに全公演ほぼ満席であとは立ち見だけだという。もはや、『ハーレム・ナイツ』というイヴェントに観客が来ていることは間違いない。年齢層も10代から60代くらいまで、男女比も半々くらい。年配の男性、女性が多いのが特徴だ。
音楽的には、アジザ(Aziza)というアーティスト名で活動している女性が、音楽ディレクターとしてバンドをまとめていた。が、実はこのアジザ、以前リンダ・ウィリアムスという名前で、アリスタで1979年に『シティー・リヴィング(City Living)』というアルバムを出していた人物。最近では、ナタリー・コールのツアーの音楽ディレクターを担当したりしていた、という。日本は初めて。ナタリーの歌で知られる「ラ・コスタ」は、彼女の作品ということで、彼女も演奏していた。
最初のシンガー、マーベルはミシシッピー生まれニューヨーク在住の本格派女性R&Bシンガー。かなり力はある。迫力もあり、ゴスペルに根ざしたシンガーで安心して聴ける。日本にも数回来日したことがある、という。そのうちの1回はブルーノートのレジーナ・ベルのバックコーラスを担当したそうだ。
第二部、最後にでてくるロイは昨年もでていたが、いきなり、バリー・ホワイトばりの低音で迫ってきた。他に、サム・クック、オーティス・レディングなどのオールド・スクールものをこなした。
しかし、この日のハイライトはやはりタップ・ダンスのオマー・エドワーズだ。
下記セットリストの11「イントロ」では舞台下手(観客席から見て左手)にちょっとしたボックスがあり、その下の部分だけがあいている。そこから白いスーツの足元だけが見えるようになっている。その足元だけがタップを踏み、まもなく、全身を現す。なかなかやるものだ。
オマーのタップは、体の中心線がぶれない。それにしても、いろいろなアイデアを次々と出してくる。タップのアイデアの総合デパートだ。ロナルド・アイズレーなみのステッキを持って床を叩く。パンパンパンと実に心地よいリズム感あふれる音が響く。(下記セットリストで14)
そして、舞台下手から2メートルくらいの写真パネルが登場した。ちょっと遠めからはわからなかったが、そこに映っていたのは、あの伝説のボクサー、モハメド・アリだった。そして、そのパネルの裏に行ったオマーがそこから出てくると、彼はボクサー・パンツだけを履いて完璧にボクサーになって登場した。いきなり、ボクシングをしながら、タップだ。ボクサー、タップダンサー。なんという斬新なアイデア。彼の手にかかると、いや、足にかかると、どんなことでも、タップになってしまうのだな、と痛感した。
第二部で「僕のかあちゃん、アフリカから来た」といいながら、はだしのタップに。(下記セットリスト18)(なぜ裸足かは過去記事をごらんください)
ただ、バンド全体、オマーもまだ初日ということもあってか、全開という感じはしなかった。おそらく、2−3日すると、徐々にギアもトップに入り、もっともっとすごいものになっていくのだろう。
ライヴが終わると、すぐにシンガー、ミュージシャンたちが出てきてお客さんと写真を撮ったり、サインをしたりしてくれる。こうしたフレンドリーなところも、とてもすばらしい。
オマーがでてきたので、さっそく声をかけた。「去年も、おととしも見ましたよ」というと、ほんとなのか「君のことを覚えてるよ」といい、いきなり、「マハメド・アリはわかったか?」ときいてきた。「ボクサーのところ?」 「そうだ、あれはアリなんだよ」 「ああ、なるほど〜〜」 「アリのダンスだ」 「ああ、そうだ、アリはいつも自分のボクシングをダンスだと言っていたもんね」 「そうなんだ。みんなわかったかなあ」 「いや、わからないんじゃないか。はっきり、言葉で言ったほうがいいよ、トリビュート・トゥ・モハメド・アリとか」 「なんで、またアリを?」 「彼の夢を見たんだ。去年くらいかな。それでやることにした」
彼の周りにも写真やサインを求める人たちが集まり、一息あって、「僕はあなたの『ニューズペーパー』のパフォーマンス(2年前に見せた演目)が大好きなんだ。またやらないの?」と尋ねた。「おお、あれか。気に入ってくれてるのか。だが、俺は(同じことは)繰り返さないんだ(I don’t repeat)」ときっぱり。なるほど、それゆえ、次々といろいろなアイデアを無尽蔵に、そして惜しげもなく出してくるのか。「でも、いつかじゃあ、君のためにやるよ」 ほんとなのか。(笑)
この『ハーレム・ナイツ』の目玉の出し物がオマー・エドワーズのタップに、まちがいなくなっている。タップやダンスに興味がある人たちにお勧めだ。しかも、毎回すべての出し物が違うところがすばらしい。
「アイ・ドント・リピート(俺は繰り返さない)」に、オマーのプライドが光る。
■ライヴは、7月25日(水)から29日(日)まで、毎日。詳細は下記ランドマーク・タワー・ウェッブへ
問い合わせ先 ランドマークホール:TEL 045-222-5050 (月〜金 10:00〜17:00) ランドマークプラザ:TEL 045-222-5015 (月〜日 11:00〜20:00)
■横浜ランドマークタワー公式ページ
http://www.yokohama-landmark.jp/event/details/0707_harlem.html
■過去3回のライヴ評
July 28, 2006
Harlem Nights Vol.5: Alyson Williams Sings Wide Variety Of Music, Omar Edwards Taps With New Idea
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_28.html
July 29, 2005
Harlem Nights: Omar Edwards, Barefoot Tap Dancer
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200507/2005_07_29.html
2004/07/31 (Sat)
Harlem Nights III: Bring Your Cake For Lonnie’s Birthday
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200407/diary20040731.html
■メンバー
Omar Edwards (Tap Dancer)
Aziza (Linda Williams) (Keyboards, Musical Director)
Marbel Allen (Singer)
Roy Bennett (Singer)
Mike Grey (Trombone)
Sly Scott (Sax)
Emanuel Chulo Gatewood (Bass)
Alex Alexander (Drums)
Setlist: Harlem Nights Vol.6 @ Landmark Hall, July 25, 2007
セットリスト: ハーレム・ナイツ Vol.6 @ランドマーク・ホール
( ) indicates songs’ original acts or the acts who make the song popular
show started 19:03
-band-
01. Do Re Mi
02. Party People
03. La Costa (Natalie Cole)
04. Knocks Me Off My Feet (Stevie Wonder)
-Marbel Allen-
05. For Your Love
06. Moondance
07. What A Difference A Day Makes (Esther Phillips, others)
08. You Don’t Know What Love Is (Standard-1941)
09. Love For Sale (Cole Porter)
10. My Favorite Thing (From The Sound Of Music)
-Omar Edwards-
11. (Intro) Call The Law
12. Minnie The Moocher (Cab Calloway)
13. Reasons (Earth Wind And Fire)
14. Puttin’ On The Ritz (Ko Kaine) (Harry Richman)
15. The Greatest Dancer (A Tribute To Muhammad Ali)
show ended 20:23
Second set
show started 20:46
-Omar Edwards-
16. I Feel Hornsy (with sax and trombone players)
17. Entourage/Cuban B
18. Wind For Me
19. Jammin (cross battle with drummer and tap dancer)
20. You Don’t Know My Name (Alicia Keys)
-Roy Bennett-
21. I’m Gonna Love You Just A Little More Baby (Barry White)
22. Can’t Get Enough Of Your Love, Babe (Barry White)
23. (What A) Wonderful World (Sam Cooke)
24. Chain Gang (Sam Cooke)
25. Love TKO (Teddy Pendergrass)
26. Only You (Teddy Pendergrass)
27. I’ve Been Loving You Too Long (To Stop Now) (Otis Redding)
28. (Sittin’ On) The Dock Of The Bay (Otis Redding)
29. (Get Up I Feel Like Being Like A) Sex Machine (James Brown)
30. It’s A Man’s Man’s Man’s World (James Brown)
31. I’ll Take You There (Staple Singers)
32. I Believe I Can Fly (R Kelly)
-all-
33. Amen (Impressions, Otis Redding, etc)
performance ended 21:48
show ended 21:50
(2007年7月25日水曜、横浜ランドマーク・ホール=ハーレム・ナイツ VOL.6)
ENT>MUSIC>LIVE>Harlem Nights Vol 6
ENT>MUSIC>LIVE>Edwards, Omar
ENT>MUSIC>LIVE>Allen, Marbel
ENT>MUSIC>LIVE>Bennett, Roy
2007-91
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