【17年ぶりキース・スウェットのエロエロライヴ】

スウェット。

彼のデビュー作「アイ・ウォント・ハー」が大ヒットし、「ニュー・ジャック・スウィング」の幕が切って落とされたのは、ちょうど今から20年前の1987年のことである。キース・スウェット、そして、彼をコ・プロデュースしたテディー・ライリーはまもなく一世を風靡、全米の音楽業界を席巻する。その勢いで1990年10月、キースは初来日。国立代々木体育館と翌日横浜文化体育館という大きな会場(前者が約1万3000人、後者で5000人=後者は半分くらいの入り)で行われたライヴでは、のりのいいリアルな「ニュー・ジャック・スウィング」のシンガーと思いきや、それ以上に、セクシーなR&Bシンガーだということを見せ付けていった。

それからちょうど17年ぶりの来日は、小さなビルボード・ライヴ(収容300人)。5層目まで満員だ。さすが客層の主流は1980年代後半から1990年代前半のバブル時代を経験してきたおそらく現在30代後半から40代だった。

1曲目の「サムシング・ジャスト・エイント・ライト」のイントロが始まるなり、全員総立ちになる。ニュー・ジャック系のリズムのいい作品とスロー・バラードとが適度に混ざり合い、ブラック・コンテンポラリーな色を徹底して出す。先日来日したテディー・ライリーのときもかなり観客から受けていた印象をもったが、「ニュー・ジャック・スウィング」人気、根強い。

僕の席からはドラムス、ベースとキーボード兼任、もうひとりキーボード、コーラス2人(1人はラッパー)の5人編成に見えたが、ビルボード・ライヴのウェッブでは7人編成と書かれている。はて。いずれにせよ、極端な話、ドラムスとキーボード、ベースだけで「ニュー・ジャック・スウィング」は生まれる。けっこう打ち込みっぽく聴こえた。女性コーラスもキーボードからでてきた。

バラードでの女性を煽るいやらしさぶりはさすがだ。こういうエロエロさ加減はどうしても日本人では出せない。ニュー・ジャックもエロエロ・ソウルバラードもいいし、キース・スウェットのライヴを見ていると、何でもイケイケだったバブル時代がフラッシュバックしてくる。ヒット曲が多いだけあって、さすがに次々と曲が始まると観客の歓声も大いにあがる。スローでは通路でチークダンスを踊るカップルも。このあたりのアーティストって今でも十分受けるんですねえ。

しかし、「アイ・ウォント・ハー」のヒットなんか、ついこの前のように思える。キースのアルバムは1枚目から3枚目と8枚目の日本盤ライナーノーツを書いた。久々に読み返してみた。4枚目から6枚目までは松尾潔さんが書いている。(7枚目がなぜか手元になかった) 1枚目ではまだ「ニュー・ジャック・スウィング」という言葉はなかったものの、そのリズムについて説明していた。それにしても20年も歌い続けて、またライヴハウスにやってくるというのはすごいな。継続は力なり。

アンコールを終えてキース・スウェットが舞台から降りてくると体中スウェット(汗)いっぱいだった。彼ほど能書きなど不必要で、体で愛とセックスを歌うシンガーはいない。まさに究極のシンガー・オブ・セックス・アンド・ソウル。

■ キース・スウェット最新作『ベスト・アルバム』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000UYGCB2/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ キース・スウェット・ライヴは今日10月30日、東京・ビルボード・ライヴ、その後大阪、福岡へ

■ メンバー(ビルボード・ライヴ、オフィシャル・ウェッブによる)

キース・スウェット/Keith Sweat(Vocals)
テレンス・カーター/Terence Carter(Back Vocals)
カランドラ・グレン/Calandra Glenn(Back Vocals)
ルイス・ヒル/Lewis Hill(Back Vocals / Rapper)
ディヴィッド・エヴァンス/David Evans(Keyboards / Musical Director)
アダム・レジスター/Adam Ledgister(Keyboards)
アンドレ・ハリス/Andre Harris(Bass)
ランディー・ハッチンソン/Randy Hutchinson(Drums)

■ Setlist: Keith Sweat Live At Billboard Live, October 29, 2007
セットリスト: キース・スウェット 

Show started 21:31
01. Something Just Ain’t Right
02. Don’t Stop Your Love
03. My Body
04. Keep It Coming
05. Make It Last Forever
06. Make You Sweat
07. I’ll Give All My Love To You
08. Just Got Paid
09. I Want Her
10. (There You Go) Tellin’ Me No Again
11. Nobody
Encore. Twisted
Show ended 22:45

(2007年10月29日月曜、六本木・ビルボード・ライヴ=キース・スウェット・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Sweat, Keith
2007-143

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