【ピーボ、いろいろ秘密を語る】
秘密。
ライヴ後、ピーボ・ブライソンと話す機会があった。12回のセットをやったということで、かなり解放感でもあったのだろう。ピーボは雄弁だった。
松尾さんが「かつては音楽ライターで、DJであなたにインタヴューしたこともありましたが、今は音楽プロデューサーでK君をプロデュースしています」と自己紹介すると、ピーボが「おおおっ、彼は歌がじつにうまいね。とても才能がある」といきなり賞賛。「彼は自分で曲も書くのかな」「書きますよ」
それにしても、1週間、おつかれさま。声、強いですねえ。でも、初日も見たんですが、初日と比べると、声が弱くなってるような気がしました。「ああ、6日間、1日2ショーは大変なんだよ。だいぶ、声も(初日より)弱くなったよ(笑)」 「あなたはタバコを吸いますね。喉に悪くないんですか」 「いや、僕のはこれなんだ。ナチュラル・タバコ。成分がみんな自然のものを吸ってるんだ」と言ってそのタバコの箱を見せてくれた。「これが喉をよく保つ秘密さ(笑)」
松尾さん、以前インタヴューしたときの話をして、合間を見て、どちらからともなく、またまた「何で『フィール・ザ・ファイアー』やらないんですか」としつこく尋ねる。(笑) 「いやあ、それって(日本で)人気あるのかい?」 「ありますよ」と2人で声を揃える。松尾さん。「初期の頃のヒット曲をメドレーでもいいからやったらどうですか」 「ああ、そういえばメドレーでやってたことあるよ。『レット・ザ・フィーリング・ショウ』『アイム・ソー・イントゥ・ユー』『リーチン・フォー・ザ・スカイ』『アイ・アム・ラヴ』なんかをやって、そして『フィール・ザ・ファイアー』にもってくんだ」 「それやってくださいよ」と2人でハモる。僕。「スティングの2曲は、多すぎませんか」「そうか、確かにな。1曲でもいいかもしれないな。スティングの曲は個人的にすごく気に入ってるんだ。」 「エヴリ・ブレス・・・」なんかは将来、自分でレコーディングしますか?」 「うん、したいね」 松尾さん。「あの頃の曲だと、ボビー・コールドウェルの『ホワット・ユー・ウント・ドゥー・フォー・ラヴ』なんてどうですか」 「おおっ、大好きだよ!」と言って、なんと、いきなりピーボ、その曲をうたい始める!! 松尾氏やんやの喝采をいれ、歌を終わらせないようにたくましい努力。途中、「ぱっ、ぱっ」っとトランペットの音まで入れ込んで。ピーボのりのり。1分くらいは歌ってくれたかなあ。これはラッキーだった。(笑)「1曲目(のスティング)を落として、『フィール・ザ・ファイアー』かこの『ホワット・ユー・・・』あたりに差し替えようかな。次に来日するときには、そうするよ」
「ところで、あなたは本当によく日本語しゃべりますね。誰か先生でもいるんですか。それともブルーノートのスタッフにでも教わるんですか」「いや、僕は自分で勉強してるんだよ。その秘密はこの本だよ」と言って奥から一冊の本を持ってくる。『ジャパニーズ・フォー・ダミーズ(サルでもわかる日本語)』。「これで、勉強してるんだ。これ、文法的なこと、日本語の構造とか、わかりやすく解説されてる。もっとも、僕が最初に手に入れた日本語の本は、『ジャパニーズ・フォー・セヴンデイズ(7日でしゃべれる日本語)』。でも、7日でぜんぜんしゃべれなかった。(笑) この『ダミーズ』の本は、いろいろあるんだよ。『文法・フォー・ダミーズ』とか、『ファイナンス・フォー・ダミーズ』とか。言葉では、僕は『イタリア語』と『ラテン語』『フランス語』のダミーズを持ってるよ。CDついてるから、日本語の発音もこれで覚えるんだ」 これが、ピーボの日本語の秘密だ!
ほ〜〜〜っ、これは恐れ入った。海外からのアーティストは、周囲のスタッフや通訳に自分が言いたいことを聞き、それをローマ字で書いて覚えたりする。もちろん、ピーボもそれもするだろうが、この本があれば、自分で作文できるだろう。「グラミーをカクトクしました」もでてくるわけだ。
「ほら、日本であちこちに1人で行くとき、まわりの人とコミュニケーション、取れたほうが楽しいだろう。それに地下鉄なんて乗っても、日本語がわからないと迷ってしまう」 「ええっ、地下鉄、乗るの? ピーボさん」 「あ〜〜、乗る、乗る」 「1人で?」 「オー・イエス」 思わず、「スイカ持ってますか」と尋ねそうになったが、「スイカ」の説明を英語でするのが、ちょっと大変そうだったので、急遽やめた。だが、これだけ語学に熱心であれば、電子辞書をお勧めしたい。「電子辞書は持ってますか?」「いやあ、持ってないなあ」「次は電子辞書ですね。これは、とっても便利ですよ」
「ところで、あなたが今日も歌ったアル・ジャロウの『ノット・ライク・ディス』、素晴らしいですね。なんでまた、この曲を?」 「あの曲はものすごく難しいんだよ。コード、バックのバンドとのハーモニー、テンポ。シンガーとしてものすごくチャレンジなんだ。それほど多くのシンガーはあの歌はできない。僕はあれが歌えるということで、他の普通のシンガーとは違うんだ、ということが示せると思うんだよね」 他のシンガーが歌えない曲を歌えて個性的なシンガーということだ。なるほど、あれは、シンガーとしてのプライドが凝縮されているのだ。それは歌うときに力も入るというもの。
そして、「ミッシング・ユー」。「これは、あなたにとってもスペシャルな曲ですが、初日、あなたが歌ったとき、目が赤くなっていましたね。今日はどうでした?」 「初日は、我を失った。(I lost it) 今日は、(歌っていたとき)姉や母の顔が浮かんできた。でも、今日は大丈夫だったよ。そうそう、(作者の)レデシーには会ったことあるよ」 ピーボは姉、自分、弟、妹の4人兄弟。2歳年上の姉をしばらく前に失った。「姉はまだ若かったんだよ。僕より2歳年上なだけでね、母親は85歳くらいだったかな。2人とも素晴らしい女性だった。姉の子供、2人は僕がけっこう面倒を見てるんだ。僕はアンクル・ピーボだな(笑)」 「ミッシング・ユー」を歌うとき、ピーボは今は亡き母と姉を思い浮かべる。これから何十回、何百回と歌っていく作品だ。将来もときには感極まることもあるだろう。これが、「ミッシング・ユー」を歌うときのピーボの涙の秘密だ。
楽屋に行ったのが1時前。出てきたら、1時半近かった。20分以上いたのかな。この間、われわれはずっと立ち話である。ほんとにみんな立ち話が好きである。
『ジャパニーズ・フォー・ダミーズ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0764554298/soulsearchiho-22/ref=nosim/
ENT>MUSIC>LIVE>Bryson, Peabo
ENT>MUSIC>ARTIST>Bryson, Peabo
秘密。
ライヴ後、ピーボ・ブライソンと話す機会があった。12回のセットをやったということで、かなり解放感でもあったのだろう。ピーボは雄弁だった。
松尾さんが「かつては音楽ライターで、DJであなたにインタヴューしたこともありましたが、今は音楽プロデューサーでK君をプロデュースしています」と自己紹介すると、ピーボが「おおおっ、彼は歌がじつにうまいね。とても才能がある」といきなり賞賛。「彼は自分で曲も書くのかな」「書きますよ」
それにしても、1週間、おつかれさま。声、強いですねえ。でも、初日も見たんですが、初日と比べると、声が弱くなってるような気がしました。「ああ、6日間、1日2ショーは大変なんだよ。だいぶ、声も(初日より)弱くなったよ(笑)」 「あなたはタバコを吸いますね。喉に悪くないんですか」 「いや、僕のはこれなんだ。ナチュラル・タバコ。成分がみんな自然のものを吸ってるんだ」と言ってそのタバコの箱を見せてくれた。「これが喉をよく保つ秘密さ(笑)」
松尾さん、以前インタヴューしたときの話をして、合間を見て、どちらからともなく、またまた「何で『フィール・ザ・ファイアー』やらないんですか」としつこく尋ねる。(笑) 「いやあ、それって(日本で)人気あるのかい?」 「ありますよ」と2人で声を揃える。松尾さん。「初期の頃のヒット曲をメドレーでもいいからやったらどうですか」 「ああ、そういえばメドレーでやってたことあるよ。『レット・ザ・フィーリング・ショウ』『アイム・ソー・イントゥ・ユー』『リーチン・フォー・ザ・スカイ』『アイ・アム・ラヴ』なんかをやって、そして『フィール・ザ・ファイアー』にもってくんだ」 「それやってくださいよ」と2人でハモる。僕。「スティングの2曲は、多すぎませんか」「そうか、確かにな。1曲でもいいかもしれないな。スティングの曲は個人的にすごく気に入ってるんだ。」 「エヴリ・ブレス・・・」なんかは将来、自分でレコーディングしますか?」 「うん、したいね」 松尾さん。「あの頃の曲だと、ボビー・コールドウェルの『ホワット・ユー・ウント・ドゥー・フォー・ラヴ』なんてどうですか」 「おおっ、大好きだよ!」と言って、なんと、いきなりピーボ、その曲をうたい始める!! 松尾氏やんやの喝采をいれ、歌を終わらせないようにたくましい努力。途中、「ぱっ、ぱっ」っとトランペットの音まで入れ込んで。ピーボのりのり。1分くらいは歌ってくれたかなあ。これはラッキーだった。(笑)「1曲目(のスティング)を落として、『フィール・ザ・ファイアー』かこの『ホワット・ユー・・・』あたりに差し替えようかな。次に来日するときには、そうするよ」
「ところで、あなたは本当によく日本語しゃべりますね。誰か先生でもいるんですか。それともブルーノートのスタッフにでも教わるんですか」「いや、僕は自分で勉強してるんだよ。その秘密はこの本だよ」と言って奥から一冊の本を持ってくる。『ジャパニーズ・フォー・ダミーズ(サルでもわかる日本語)』。「これで、勉強してるんだ。これ、文法的なこと、日本語の構造とか、わかりやすく解説されてる。もっとも、僕が最初に手に入れた日本語の本は、『ジャパニーズ・フォー・セヴンデイズ(7日でしゃべれる日本語)』。でも、7日でぜんぜんしゃべれなかった。(笑) この『ダミーズ』の本は、いろいろあるんだよ。『文法・フォー・ダミーズ』とか、『ファイナンス・フォー・ダミーズ』とか。言葉では、僕は『イタリア語』と『ラテン語』『フランス語』のダミーズを持ってるよ。CDついてるから、日本語の発音もこれで覚えるんだ」 これが、ピーボの日本語の秘密だ!
ほ〜〜〜っ、これは恐れ入った。海外からのアーティストは、周囲のスタッフや通訳に自分が言いたいことを聞き、それをローマ字で書いて覚えたりする。もちろん、ピーボもそれもするだろうが、この本があれば、自分で作文できるだろう。「グラミーをカクトクしました」もでてくるわけだ。
「ほら、日本であちこちに1人で行くとき、まわりの人とコミュニケーション、取れたほうが楽しいだろう。それに地下鉄なんて乗っても、日本語がわからないと迷ってしまう」 「ええっ、地下鉄、乗るの? ピーボさん」 「あ〜〜、乗る、乗る」 「1人で?」 「オー・イエス」 思わず、「スイカ持ってますか」と尋ねそうになったが、「スイカ」の説明を英語でするのが、ちょっと大変そうだったので、急遽やめた。だが、これだけ語学に熱心であれば、電子辞書をお勧めしたい。「電子辞書は持ってますか?」「いやあ、持ってないなあ」「次は電子辞書ですね。これは、とっても便利ですよ」
「ところで、あなたが今日も歌ったアル・ジャロウの『ノット・ライク・ディス』、素晴らしいですね。なんでまた、この曲を?」 「あの曲はものすごく難しいんだよ。コード、バックのバンドとのハーモニー、テンポ。シンガーとしてものすごくチャレンジなんだ。それほど多くのシンガーはあの歌はできない。僕はあれが歌えるということで、他の普通のシンガーとは違うんだ、ということが示せると思うんだよね」 他のシンガーが歌えない曲を歌えて個性的なシンガーということだ。なるほど、あれは、シンガーとしてのプライドが凝縮されているのだ。それは歌うときに力も入るというもの。
そして、「ミッシング・ユー」。「これは、あなたにとってもスペシャルな曲ですが、初日、あなたが歌ったとき、目が赤くなっていましたね。今日はどうでした?」 「初日は、我を失った。(I lost it) 今日は、(歌っていたとき)姉や母の顔が浮かんできた。でも、今日は大丈夫だったよ。そうそう、(作者の)レデシーには会ったことあるよ」 ピーボは姉、自分、弟、妹の4人兄弟。2歳年上の姉をしばらく前に失った。「姉はまだ若かったんだよ。僕より2歳年上なだけでね、母親は85歳くらいだったかな。2人とも素晴らしい女性だった。姉の子供、2人は僕がけっこう面倒を見てるんだ。僕はアンクル・ピーボだな(笑)」 「ミッシング・ユー」を歌うとき、ピーボは今は亡き母と姉を思い浮かべる。これから何十回、何百回と歌っていく作品だ。将来もときには感極まることもあるだろう。これが、「ミッシング・ユー」を歌うときのピーボの涙の秘密だ。
楽屋に行ったのが1時前。出てきたら、1時半近かった。20分以上いたのかな。この間、われわれはずっと立ち話である。ほんとにみんな立ち話が好きである。
『ジャパニーズ・フォー・ダミーズ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0764554298/soulsearchiho-22/ref=nosim/
ENT>MUSIC>LIVE>Bryson, Peabo
ENT>MUSIC>ARTIST>Bryson, Peabo
コメント
ずいぶん昔に楽屋でたばこを吸いながら
どなっていたピーボを見かけましたが、
あれはたばこではなかったんですね。。。
ひみつがいっぱいのページ、ありがとうございます。
ミーハーなので、can you stop the rainが
最終日にもやっぱり聞きたかったなー。
6月を楽しみにいたします。
昨年に比べて短かったような気がしましたが、
heavenly やcount on meはCDをそのまま再現していて
びっくり、うっとりしました。
ニューアルバムから3曲歌ってくれましたが
let the feeling flow,love is always find the way,after all,i can’t imagineなど
ライブで聴いてみたい曲は他にもたくさんあります。
熱狂的ピーボファンの私、
今回は尊き友人のおかげで楽屋に入れて頂きましたが
頭が真っ白になり何も話せませんでした・・・
ピーボの個人的な情報はなかなか得られませんので
今回の記事、本当に嬉しかったです。
ありがとうございました。
(6月に何かあるのでしょうか・・・)
↓
○ love always finds a way