【ケヴィン・オウエンス】
ファルセット。
レイ・グッドマン&ブラウンは、元々はモーメンツというソウル・ヴォーカル・グループだった。1979年、モーメンツはそれまで所属していたニュージャージーのシルヴィア・ロビンソンが持つスタング・レコードから、メジャーのポリドール・レコードに移籍する。ところがそのとき、シルヴィア側から、『モーメンツ』というグループ名の権利は、シルヴィア側にあるので、その名前を使ってはならないと言われた。そこで、彼らはグループ名変更を余儀なくされる。
新しいグループ名はメンバー3人のファミリー・ネームをつけた。ハリー・レイのレイ、アル・グッドマンのグッドマン、ビリー・ブラウンのブラウンだ。3人あわせて「レイ・グッドマン&ブラウン」。新規名前で出した記念すべき第一弾が、あの「スペシャル・レディー」だ。イントロのアカペラから始まる名曲だ。
レイ・グッドマン&ブラウンは、順調にアルバムをリリースしたが、1982年、彼らが3枚のアルバムを出した後、リード・シンガーのハリー・レイがソロに独立。ハリー・レイはモーメンツ時代の古巣スタング・レコードに戻り、ソロ・アルバムを出す。これを機にグループは、新たなリード・シンガーとして、ニューヨークなどで活躍していたシンガー、ケヴィン・オウエンスをいれて再出発を計った。
ところが、ハリー・レイのソロ活動は1982年11月にシングルの小ヒットが1曲でただけで、思うように成功せず、結局彼は再びレイ・グッドマン&ブラウンに復帰。その場合、ケヴィンが4人目のシンガーとして少し後ろに下がることになる。
1992年春にレイ・グッドマン&ブラウンは、横浜本牧にあったアポロ・シアターでライヴを行う。ここには若干元気がなかったが、ハリー・レイがいた。そして、その年の10月1日、ハリー・レイが急死。ハリーは45歳の若さだった。
こうして、それまでにもハリー・レイ役を演じていたことがあるケヴィン・オウエンスが改めて、「レイ」として、名実ともにリードを取るようになった。
ケヴィンは1980年代から1990年代にかけて、ニューヨークのスタジオ・セッション・シーンでの売れっ子シンガーであり、多くの有名シンガーのバックなどもつけていた。1970年代以降にアルバムをだしたニューヨークのヴォーカル・グループ、リヴレーションの2枚目以降に参加したりもしている。
バックの仕事の中でよく知られているのが、かのルーサー・ヴァンドロスのレコーディング、ライヴにおけるコーラスの仕事だ。1990年代にはいってのルーサーのライヴでは、メンバー紹介のところで、ルーサーに「レイ・グッドマン&ブラウンのリード・シンガーをやっているケヴィン・オウエンス!」と言って紹介され、1分ほどだが、ルーサーとケヴィンがモーメンツ時代のヒット「ラヴ・オン・ア・トゥ・ウェイ・ストリート」を歌うシーンがある。これはなかなかすばらしい。
ケヴィンは、ハリー・レイ役を演じたが、ルーサー・ヴァンドロスのバックコーラスの仕事があると、そちらに行ってしまうので、そのときのためにもうひとりのリード・シンガー、通称アイスことラリー・ウィンフリーが加入。ケヴィンがいるときは、ラリーはバックで、ケヴィンがいないときはラリーでリードのパートを担当という4人体制になった。
ケヴィン・オウエンスは、言ってみれば、ニューヨークのスタジオ・セッション・シーン、リヴレーション、ルーサー・ヴァンドロス、そして、レイ・グッドマン&ブラウンと、ファルセット・ヴォイスのシンガーとしては、かなり王道を歩んでいるということも言える。ケヴィンは1992年に唯一のソロアルバムを出すが、そこにはもちろんルーサーもバック・コーラスとして名を連ねている。
モーメンツ時代、レイ・グッドマン時代、ともに素晴らしい楽曲が多数あるので、ぜひケヴィンにはハリー・レイに勝るとも劣らぬ活躍を期待したい。
(2008年7月15日、ケヴィンとレイの部分について書き直しました。安井さんいつも貴重な情報をありがとうございます)
ENT>ARTIST>Owens, Kevin
ファルセット。
レイ・グッドマン&ブラウンは、元々はモーメンツというソウル・ヴォーカル・グループだった。1979年、モーメンツはそれまで所属していたニュージャージーのシルヴィア・ロビンソンが持つスタング・レコードから、メジャーのポリドール・レコードに移籍する。ところがそのとき、シルヴィア側から、『モーメンツ』というグループ名の権利は、シルヴィア側にあるので、その名前を使ってはならないと言われた。そこで、彼らはグループ名変更を余儀なくされる。
新しいグループ名はメンバー3人のファミリー・ネームをつけた。ハリー・レイのレイ、アル・グッドマンのグッドマン、ビリー・ブラウンのブラウンだ。3人あわせて「レイ・グッドマン&ブラウン」。新規名前で出した記念すべき第一弾が、あの「スペシャル・レディー」だ。イントロのアカペラから始まる名曲だ。
レイ・グッドマン&ブラウンは、順調にアルバムをリリースしたが、1982年、彼らが3枚のアルバムを出した後、リード・シンガーのハリー・レイがソロに独立。ハリー・レイはモーメンツ時代の古巣スタング・レコードに戻り、ソロ・アルバムを出す。これを機にグループは、新たなリード・シンガーとして、ニューヨークなどで活躍していたシンガー、ケヴィン・オウエンスをいれて再出発を計った。
ところが、ハリー・レイのソロ活動は1982年11月にシングルの小ヒットが1曲でただけで、思うように成功せず、結局彼は再びレイ・グッドマン&ブラウンに復帰。その場合、ケヴィンが4人目のシンガーとして少し後ろに下がることになる。
1992年春にレイ・グッドマン&ブラウンは、横浜本牧にあったアポロ・シアターでライヴを行う。ここには若干元気がなかったが、ハリー・レイがいた。そして、その年の10月1日、ハリー・レイが急死。ハリーは45歳の若さだった。
こうして、それまでにもハリー・レイ役を演じていたことがあるケヴィン・オウエンスが改めて、「レイ」として、名実ともにリードを取るようになった。
ケヴィンは1980年代から1990年代にかけて、ニューヨークのスタジオ・セッション・シーンでの売れっ子シンガーであり、多くの有名シンガーのバックなどもつけていた。1970年代以降にアルバムをだしたニューヨークのヴォーカル・グループ、リヴレーションの2枚目以降に参加したりもしている。
バックの仕事の中でよく知られているのが、かのルーサー・ヴァンドロスのレコーディング、ライヴにおけるコーラスの仕事だ。1990年代にはいってのルーサーのライヴでは、メンバー紹介のところで、ルーサーに「レイ・グッドマン&ブラウンのリード・シンガーをやっているケヴィン・オウエンス!」と言って紹介され、1分ほどだが、ルーサーとケヴィンがモーメンツ時代のヒット「ラヴ・オン・ア・トゥ・ウェイ・ストリート」を歌うシーンがある。これはなかなかすばらしい。
ケヴィンは、ハリー・レイ役を演じたが、ルーサー・ヴァンドロスのバックコーラスの仕事があると、そちらに行ってしまうので、そのときのためにもうひとりのリード・シンガー、通称アイスことラリー・ウィンフリーが加入。ケヴィンがいるときは、ラリーはバックで、ケヴィンがいないときはラリーでリードのパートを担当という4人体制になった。
ケヴィン・オウエンスは、言ってみれば、ニューヨークのスタジオ・セッション・シーン、リヴレーション、ルーサー・ヴァンドロス、そして、レイ・グッドマン&ブラウンと、ファルセット・ヴォイスのシンガーとしては、かなり王道を歩んでいるということも言える。ケヴィンは1992年に唯一のソロアルバムを出すが、そこにはもちろんルーサーもバック・コーラスとして名を連ねている。
モーメンツ時代、レイ・グッドマン時代、ともに素晴らしい楽曲が多数あるので、ぜひケヴィンにはハリー・レイに勝るとも劣らぬ活躍を期待したい。
(2008年7月15日、ケヴィンとレイの部分について書き直しました。安井さんいつも貴重な情報をありがとうございます)
ENT>ARTIST>Owens, Kevin
コメント
モーメンツ時代のものは、更に手に入れにくいんでしょうねぇ。
「フィールン・ソウル」で聴いて以来、ずっと気になってるんですが…
一番手に入りやすいもので、吉岡さんお薦めNo.1を教えて頂けませんか?
たとえば、最初の1枚でしたら、次のベストは?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005YD6I/soulsearchiho-22/ref=nosim/
さきほど見たら、在庫ありみたいにでてました。輸入盤ですが、安いのでいいんではないでしょうか。
ベスト以外ですと、最初の3枚がお勧めです。これはなかなか入手難しいかも。あと、モーメンツのベストも入手できればいいかと思います。
達郎さんが、日曜のサンデイ・ソングブックでモーメンツの「アイ・ドント・ウォナ・ゴー」をかけてました。