★マイケル・ジャクソンの死とマーヴィン・ゲイの死

愛情欠落。

マイケル・ジャクソンの死については何から書いていいか、正直わからない。とりあえず、一昨日、簡単に「マイケルが成し遂げたこと」をまとめたが、書きたいことは山ほどあり、あれはほんの氷山の一角だ。

個人的なマイケルとの接点や思い出についても書いてみたいが、なかなか整理がつかない。

そんな中、金曜日朝から取材を受けたりラジオに出たりする中で、いろいろ話をしているうちに、徐々に少しずつ自分なりの考えがまとまってきた。

そして、昨日(日曜)、『ソウル・ブレンズ』に出ているときに、DJオッシーと「(この番組では)先週のマーヴィンが父の日特集で、父との確執が話題になったけど、このマイケルも父との確執があって、何か因縁めいたものを感じるね」という話しになった。

その通りで、マイケル・ジャクソンも幼少時代に父親から体罰を受け、長い間、マイケル自身が父から愛されていないと感じていた。なぜマイケルの父も、マーヴィンの父も、よりによって兄弟の中で一番才能がある子供に冷たくあたるのだろう。これは解明したい永遠の謎だ。やはり自分にないものを持っていることに嫉妬するのだろうか。

そうした幼少時代の愛情の欠落が、彼をより内向的な性格にした。そして彼は幼い頃からスターだったために、通常の子供が経験する子供時代を経験することができなかった。この十代の「子供時代の欠落」「父からの愛情の欠落」が、彼の後の性格、行動に大きな影を落とすことになる。よって我々通常の人間の常識がまったく通用しない人間になってしまった。そんな彼を我々の尺度にはめ込んで話をしようとしても、土台無理なのだ。そして人は自分と異質のものを排除しようとする。これもまた、別の意味での人種差別と言ってもいい。

マイケル・ジャクソンは生涯、「黒人」と「白人」という人種問題に悩まされ、また、「一般地球人」と「特殊な家庭に生まれ育った特殊な才能を持った異星人」という人種の狭間に悩まされ続けたのだ。

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生贄(いけにえ)。

僕がおととい「マイケル・ジャクソンが成し遂げたこと」の最後に「マイケルはメディアに翻弄されたメディアの最大級の犠牲者でもあった」と書いたのは、フジ・テレビで放送された2時間の特番を見たからだ。もともと同様のことは感じていたが、アメリカのメディアはまだしも、日本のメディアは、マイケルが音楽、エンタテインメントの世界で成し遂げたことをまったくといっていいほど紹介しない、紹介しなければ、評価のしようもない。数字だけ並べればいいというものではない。彼がなぜこれほどの宇宙一のスーパースターになったのかを正しく説明できなくては2時間も番組をやってもまったく意味がない。

この国のメディアは、アート、エンタテインメントに対して口先だけは評価するようなことを言うが、真にその意味を理解していないようだ。次にこの件に関することを書くときには、マイケルはメディアの最大の生贄(いけにえ)になったアーティストとしたい。

昨日、ニューヨークに住む写真家のしおりさんからメールが来た。(僕のブログへリンクを張ったのでその挨拶メールだった) 彼女はマイケルを2002年ごろ(20歳のとき=彼女は1982年生まれ)、「アース・ソング」で知り、衝撃を受けたという。彼女がそれまでテレビなどで見ていたマイケルは、変人のマイケルの姿ばっかりだったと言い、自身のブログでこう書いている。

「不運にもそれまで私の周りには、
彼がこんなにも才能溢れるエンターテイナーだなんて
教えてくれる人はいなかった。

私の世代でそれを知ってる人は実は少ないのかも。

だから20歳の時に初めて「アース・ソング」を聴いた時も、
「ビリー・ジーン」のライブ・パフォーマンスの映像を見た時も、
衝撃が大きすぎて本当に鳥肌がたった。

それと同時に今後はメディアのいう事を鵜呑みにするものか! と
自分の安易さを恥じたのも覚えている」(川崎詩織のブログ=2009年6月28日付けより)

全文の載ってる彼女のブログは、こちら↓
http://shiorikawasaki.blog.shinobi.jp/Date/20090628/1/

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地獄。

昨日の『サンデイ・ソング・ブック~モータウン・アーカイブ』で山下達郎さんは、マーヴィン・ゲイの自伝・伝記『マーヴィン・ゲイ物語』を読了したことを話し、最後にジャクソン5の「アイ・ウォント・ユー・バック」をかける前に、マイケルの逝去のことを「マーヴィン・ゲイ同様にアメリカ芸能界の地獄で燃え尽きてしまいました」と評した。本当にその通りだと思う。

I Want You Backは、世界中の誰もが、マイケルに戻ってきて欲しい、という願いだ。それは前日のラファエル・サディークがライヴでこれを歌ったことにも現れている。そして、僕はマイケルにこの曲を贈りたい。You Are Not Alone.

このYouをマイケルに置き換えて捧げたい。

You Are Not Alone 
(Written by R.Kelly, Song by Michael Jackson)

Another day has gone
I’m still all alone
How could this be
You’re not here with me
You never said goodbye
Someone tell me why
Did you have to go
And leave my world so cold

Everyday I sit and ask myself
How did love slip away
Something whispers in my ear and says
That you are not alone
For I am here with you
Though you’re far away
I am here to stay

But you are not alone
For I am here with you
Though we’re far apart
You’re always in my heart
But you are not alone

’Lone, ’lone
Why, ’lone

Just the other night
I thought I heard you cry
Asking me to come
And hold you in my arms
I can hear your prayers
Your burdens I will bear
But first I need your hand
Then forever can begin

Everyday I sit and ask myself
How did love slip away
Something whispers in my ear and says
That you are not alone
For I am here with you
Though you’re far away
I am here to stay

For you are not alone
For I am here with you
Though we’re far apart
You’re always in my heart
For you are not alone

Whisper three words and I’ll come runnin’
And girl you know that I’ll be there
I’ll be there

You are not alone
For I am here with you
Though you’re far away
I am here to stay
For you are not alone
For I am here with you
Though we’re far apart
You’re always in my heart

For you are not alone
For I am here with you
Though you’re far away
I am here to stay

For you are not alone
For I am here with you
Though we’re far apart
You’re always in my heart

For you are not alone...

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毎日新聞に筆者のコメントが掲載されています。(2009年6月26日付け夕刊)↓
http://mainichi.jp/enta/music/news/20090626dde041200032000c.html
(時間の経過とともにリンクが消える可能性があります)

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告知。

今日、『カキーン』(TBS954hz=関東地区)(月曜午後6時~9時)ゲスト出演します

マイケル・ジャクソン特集。ノーナ・リーブスの西寺郷太さんやホフディラン・小宮山さんらとともに「マイケルが私たちに残したもの」を探ります。6時から登場する予定。時間がたっぷりあるので、西寺さんらとじっくりとマイケル談義ができると楽しみにしています。

番組ホームページ
http://www.tbsradio.jp/kakiiin/
番組へのメールは、 kakiiin@tbs.co.jp  まで。

ENT>ARTIST>Jackson, Michael
ENT>ANNOUNCEMENT>Jackson, Michael

コメント

nophoto
なんとかしてください
2009年7月12日1:34

ameblo.jp/n-masakazu/entry-10288456499.html↑URL晴れないと言うので、httpだけはずしました。ひどいです。なんとかしてください。世界のスパースターマイケル・ジャクソンの突然の死は、世界を駆け巡った。多くの人々がマイケル・ジャクソンの死に驚き悲しみに包まれた。死亡と同時に、死の謎が取りざたされるのは、生前のスキャンダラスでドラマチックな生き方が原因だ。 天才ミュージシャンマイケル・ジャクソンとスキャンダルは表裏一体であった。特に整形と少年への性的虐待はマイケルの代名詞であった。その二つが死に関係あるとは思えないが、マイケル・ジャクソンの死は、ドラマチックで謎に満ちスキャンダル性に溢れているような気がする。現在予想される死因は薬の飲みすぎというシンプルなものだが、その薬の飲みすぎに至るまではスキャンダラスな要因が重なったと思っている。 世界のマスコミがその死を伝え、早過ぎた死への悲しみの声が伝えられた。ある人はスキャンダラスな一生と言い、ある人はゴシップに彩られた一生と言い、ある人は20世紀のアメリカを代表的するアーテイストと言い、オバマ大統領以前に黒人の地位を高めた人と言い、ある人はデームズ・デイーンと同様に伝説なったと言う。そして、あるファンは自分の青春の終了を宣言した。奥の人はそれぞれのマイケル・ジャクソンに別れを告げた。 黒人であった。黒人として生まれ、黒人としての差別を受け、黒人の誇りを抱きデビューした。音楽も踊りも黒人独特の感性でしか到達し得ない独特のものだった。しかし、何時しか黒人的なものがなくなりつつあった。音楽の知らない人間でも、黒人か白人かぐらいの判断は容易だ。それは、肌の色だけでなく精神的な色彩もあるが、マイケル・ジャクソンは白人化して、 黒人とは思えないようになっていた。重ねた整形は、黒人から白人への精神的な転換願望も含んでいたと思った。もちろん、ファンでもなく音楽も知らない人間の一般的な情報からの判断で。 ロサンゼルス検視局は26日、マイケル・ジャクソンの遺体は検視局にあると発表した。検視局の担当者は「心停止と伝えられているので、体全体を調べることになった。検視の結果が出るまでには6週間から8週間かかるだろう」と言った。現在考えられる最も有力な死因は、医師に処方された薬の飲み過ぎだ。ダンスの練習中にケガをして、その処方薬の飲み過ぎが死につながったと言うのである。 「ムーンウオーク」と呼ばれる奇抜な歩き方のダンスが永遠に残り、「キング・オブ・ポップ」と呼ばれた黒人歌手は伝説なった。マドンナは、偉大な才能を失ったコメントし、悲しみが止まらないとコメントした。音楽を知らない私は、ダイアナ・ロス主演映画のカカシ役が印象に残るが、マイケル・ジャクソンは何時までもカカシとして残りそうだ。 ネバーランドと呼ばれた家で、大人になることを拒んだような私生活は、少年であり続けたい願望だった。その願望が少年への憧憬となり、少年への性的虐待に繋がった。少年心がなければマイケル・ジャクソンの音楽は生まれなかったと、勝手に想像する。マイケル・ジャクソンは伝説になった。私はカカシの印象しかないが、マイケル・ジャクソンは多くのものを残して天国に行った。