◎ベティー・ライト自身名義初来日ライヴ

【Betty Wright First Japan Live】

アフロ。

太陽とパームツリーの街、フロリダ州マイアミから生まれた「マイアミ・サウンド」。そんなマイアミから登場した女性シンガー、ソングライター、ベティー・ライトの自身初名義ライヴ。ボビー・ウーマックの17年ぶりの来日に続いて、南部からのベティー初来日はソウル・ファンにとっては嬉しいところ。もちろん、ベティーとしてのライヴは初めてなのだが、彼女は1991年グローリア・エステファンのバックコーラスの一員として来日はしている。

ベティー・ライトには1980年代中ごろ、ニューヨークで行われていた「ニュー・ミュージック・セミナー」で会ったことがある。彼女がパネル・セッションで話をしていて、その後、立ち話をした。大変快活で頭脳明晰、よくしゃべる人という印象を持った。シンガーとしても成功したが、あれだけ業界を俯瞰して見ることができればプロデューサー的な裏方でも十分やっていけるだろうなあと思ったものだ。マイアミのヘンリー・ストーンのTKレコードに関してはやまほど書きたいことはあるが、また別の機会に。ベティー・ライト1983年のアルバム・ライナーノーツも書いたことがあった。

さて、ライヴはドラムス、ギター、ベース、キーボード、パーカッション、コーラス3人という8人編成バンドにベティーがステージ中央に立つ。今回は特別にセカンドがなくなり、ファーストのみ2日の編成。

いきなり赤いワンピースのような派手な衣装に、特大の丸いアフロ・ヘアーで登場。あれはカツラか本物か。70年代風というか、オールドスクール風でインパクトがある。ライヴは全体的に南部のチトリン・サーキットで見ているような空気感が漂う。ベティーの声は、まったく衰えることを知らず、ひじょうによく声が通る。

一番有名な「クリーン・アップ・ウーマン」が1971年のヒットだが、これはのちに多くのアーティストにサンプリングされたりカヴァーされたりして、よく知られる。超ヴェテランだが、最近でもルーツと一緒に作ったアルバムがグラミーにノミネートされたり、現役ばりばりだ。そのルーツとの共作からも披露。

http://youtu.be/r0ssMVL9I1Q



ちょうど、その作品がグラミーにノミネートされ、会場に向かう途中でホイットニーの死を知った、という。そんな話をしてから、ホイットニーへのトリビュートとして「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」をコーラス3人と歌った。このコーラス3人のうち2人がベティーの娘だそうで、客席から見て真ん中と向かって左(センター寄り)が娘だと思ったのだが…。二人が赤のおそろいを着てるように見えたので、それが娘たちかと思った。またギタリストはベティーの兄弟だそう。(弟か兄かは判明せず)

歌声は健在で、よく出ている。特に低めの声が印象よく、一方、時折ミニー・リパートンのような超高い声を出してインパクトもあるのだが、多用するとちょっと小さい子供の悲鳴のようにも聞こえてしまうので、たまに出すのがいいのではないかと思う。

意外だったのが、「私はザディコ・ミュージックが大好き。そして私は46年それを歌っている」といって彼女のヒット「シューラ・シューラ」を歌ったこと。これがザディコを源流に持つとは、今まで気づかなかった。

確かにマイアミという土地柄、ゴスペル、ラテン、ソウル、レゲエだけでなく、南部のザディコなどの要素も入ってくるのはうなづける。

驚いたのは、「クリーン・アップ・ウーマン」の後半でジェームス・ブラウン・メドレーを披露したこと。ブラウンが好きなのだろうが、6曲近くメドレーでやったのには驚いた。

このライヴも比較的ゆるい感じで、セットリストは、ベティーが自由自在に変えていくのだろう。

ベティーの最近の仕事では、なんと言ってもジョス・ストーンのファーストのプロデュースぶりが際立っているが、そうしたオールド・スクールとしての貫禄は十分に出していた。

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■メンバー

ベティー・ライト / Betty Wright(Vocals)
アッシャー・ウィリアムズ / Asher Williams(Background Vocals)
アイシャ・”ボンブシェル”・ライト / Aisha ”Bombshell" Wright(Background Vocals)
アシャーラ・ジェンキンズ / Ashaala Jenkins(Background Vocals)
エイベル・パボン / Abel Pabon(Keyboards)
チャールズ・ライト / Charles Wright(Guitar)
アンジェロ・モリス / Angelo Morris(Bass)(ミュージカル・ディレクター)
イグナシオ・ヌニェス / Ignacio Nunez(Percussions)
ジェラルド・ワーレン / Gerald Warren(Drums)

■セットリスト
Setlist: Betty Wright @ Billboard Live Tokyo, February 27, 2012

show started 19:09
01.After The Pain
02.In The Middle Of The Game (Don’t Change The Play)
03.(do you remember…) ??
04.Medley: I Wanna Sex You Up?? – After The Pain?? -- Tonight’s The Night –
05.The Greatest Love Of All
06.Surrender (from new CD)
07.Shoorah Shoorah
08.Clean Up Woman – a riff of Sex Machine – Lickin Stick – I Got Feeling – Say It Loud, I’m Black & Proud - Sex Machine – Pass The Peas – Clean Up Woman
09.Keep Love New (from new CD)
10.No Pain, No Gain
Show ended 20:27

(2012年02月27日月曜、ビルボードライブ東京、ベティー・ライト・ライヴ)
ENT>LIVE>Wright, Betty
2012-

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