●ドナルド・ダック・ダン、最終公演翌日に東京で死去

【Donald “Duck” Dunn Dies In Tokyo At 70】

訃報。

メンフィス・ソウルの立役者の一人であり、ブッカー・T&ザ・MGズのベース奏者、ドナルド・ダック・ダンが、2012年5月13日日曜日、東京都内のホテルで死去した。70歳。ダンは、前日土曜日まで5日間コットンクラブとブルーノートで計10本のショーをこなしていた。土曜日のブルーノートでのセカンド・ステージが最後のステージとなった。ホテルでおそらく睡眠中に死去した模様。

ダンは、相棒のスティーヴ・クロッパー(ギター)、レスター・スネル(キーボード)、スティーヴ・ポッツ(ドラムス)、エディー・フロイドとともに、5人で「スタックス」名義のライヴを行なっていた。

スティーヴ・クロッパー、ブッカーTらも弔辞を述べている。特にスティーヴ・クロッパーとは、誕生日も一月ほどしか違わないため、同時代の仲間だ。

来日中にソウル系アーティストが死亡した例は、1996年5月17日、横浜のライヴハウスで、ステージに上がった直後にそこで倒れ、そのまま息を引き取ったブルーズ・アーティスト、ジョニー・ギター・ワトソン、また、1996年4月18日、シックのベース奏者、バーナード・エドワーズがライヴの翌日に亡くなった件がある。

筆者は5月12日(土)のファースト・ステージを見たが、確かに椅子に座ってプレイしていたので、疲れていたのかとも思ったが、特別変わった様子には見受けられなかった。ただ、先週予定されたインタヴューを背中が痛いということでキャンセルしたりして、体調は万全ではなかったらしい。

今回のツアー自体も、体調が悪いので、キャンセルする話も若干あったようだったが、本人は行きたいということで、来日した。

最終日土曜日もファースト・ステージを終えた後、周囲のメンバーから「セカンドは、無理してやらなくてもいいよ」と言われていたが、「(ツアーの)最後だから」といってステージを勤め上げたという。これが生涯最期のステージになってしまった。

ダンおよびエディー・フロイド、スティーヴ・クロッパーらは翌日日曜日午前にホテルをチェックアウトする予定だったが、集合時刻になってもダンが現れず、部屋の応答がなかったため、ホテルのマスターキーで部屋を開けたところ、ベッドでダンが息を引き取っていたという。

ダンは、相棒のスティーヴ・クロッパー(ギター)、レスター・スネル(キーボード)、スティーヴ・ポッツ(ドラムス)とともに、4人で「スタックス」名義のライヴを行なっていた。

スティーヴ・クロッパー、ブッカーTらも弔辞を述べている。

メンフィス音楽シーン関連では、ここ一ヶ月で、リヴォン・ヘルム、アンドリュー・ラヴ、スキップ・ポッツらの死去が相次いでおり、大きな痛手となっている。

スキップ・ポッツ死去(5月1日死去)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11240284003.html

アンドリュー・ラヴ死去(4月12日死去)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11223452899.html


■ブッカーT&ザ・MGズ 映像 (60年代のメンバー、ダンも映っている)

これは、ダンのアップが映ってる。

http://youtu.be/U-7QSMyz5rg



http://youtu.be/dHq4laFwAEM



高齢化社会 / 忌野清志郎 (ここには、アンドリュー・ラヴも。打ち上げなどでもダンが映っている)

http://youtu.be/5IbCbbOFQsw



Booker T. & the MG.’s
 Steve Cropper / Guitar
 Donald "Duck" Dunn / Bass
 Booker T. Jones / Keyboards
 Anton Fig / Drums
Memphis Horns and Jim Horn
 Andrew Love Tenor Sax
 Wayne Jackson / Trumpet
 Charles Rose / Trombone
 Jim Horn / Baritone Sax


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評伝。

ドナルド・ダック・ダンは1941年11月24日テネシー州メンフィス生まれ。盟友ギタリストのスティーヴ・クロッパーとは、学生時代からの親友同士で50年以上の友人。高校時代にスティーヴ・クロッパーらとバンドを結成。ミュージシャンとして活動を開始。60年代に入って、ブッカーTのMGズのメンバーになり、スタックス・レコードのハウス・ミュージシャンとなった。

スティーヴと作ったバンドは、ロイヤル・スペーズ、さらにマーキーズと名前を変え、後者は1961年「ラスト・ナイト」のヒットを放つ。1962年、ブッカーTとスティーヴ・クロッパーがMGズを結成。グループは1962年、「グリーン・オニオン」がヒットして一躍メインストリームに躍り出るが、この曲のベースはダンではない。最初のベース奏者はルイー・スタインバーグという人物だったが、1964年、ダンに変わった。

ダンのベースは、数々のスタックスのヒットで聴かれる。代表的な作品はオーティス・レディングの「リスペクト」「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」、サム&デイヴの「ホールド・オン・アイム・カミング」など。1967年の「ヒップ・ハウグ・ハー」のヒットで、さらに人気を高める。

またヒップホップ世代がサンプリングするようになると、彼らの「メルティング・ポット」などのベースラインは、しばしばサンプリングされるようになった。

2000年代には、ダンはエリック・クラプトン、ロッド・スチュワート、スティーヴ・ニックス、トム・ぺティーらとプレイするようになった。

2012年4月19日に亡くなったリヴォン・ヘルムのRCOオールスターズとも一緒に活動をしていた。

また1980年の映画『ブルース・ブラザーズ』でも顔をだしている。

■ドナルド・ダック・ダン、ライヴ評

忌野清志郎、ブッカーT&ザ・MGズライヴにまたまた飛び入り
2008年11月21日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081121.html

■ブッカーT&ザ・MGズ

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000QUCPWU/soulsearchiho-22/ref=nosim/

OBITUARY>Dunn, Duck, Donald (November 24, 1941 – May 13, 2012, 70-year-old)

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