◎キャンディ・ステイトン~サザン・ホスピタリティーにあふれたステージ

【Candi Staton : Tons Of Southern Hospitality】

暖かみ。

1960年代から1970年代にかけてソウル・ミュージック・シーンでヒットを放った南部のシンガー、いわゆるサザン・ソウル・シンガーのひとり、キャンディ・ステイトンがキャリア50年超で初来日。これは期待が高まる。

そして、彼女はやってきた。いかにもサザン・ソウル・シンガー風の銀と黒のラメっぽい衣装。バンドもいなたいサザン・ソウル風バンド。そのステージからは、キャンディのサザン・ホスピタリティーに溢れる人の良さそうなキャラクターが全開だった。

サザン・ホスピタリティーとは、南部の人たち特有の誰にでも親しくフレンドリーに接し、振舞うこと。南部風の気のいいお母さん、という感じだ。

また基本的にはサザン・ソウル、ゴスペル、R&B、ちょっとファンクっぽいもの、ディスコなどの要素が適度にまざっている。そして、一番感じるのが南部らしくカントリーと融合しているソウルという点だ。定番「スタンド・バイ・ユア・マン」、エルヴィスでもおなじみ「イン・ザ・ゲットー」「サスピシャス・マインド」などのカントリー調の曲がキャンディにはとてもよくあっている。このあたりは、ドロシー・ムーアとも通じるものがあるかもしれない。

最初ステージに出て、歌い始めたその佇まいがグラディス・ナイトを思わせた。グラディスもまたサザン・ホスピタリティーあふれるシンガーだが、キャンディは歌自体が軽い感じがしてちょっと意外だった。

5曲目「…オールドマンズ・ハート」に入る前、MCで「昨日、ブルーズ&ソウル(マガジン)が私をインタヴューして、その人たちは私がもう忘れてしまったようなフェイムの曲を全部持ってきた。私さえ、レコード持ってないようなものね。リック・ホールと最初にレコーディングした曲のひとつを歌います」と説明して、これを歌った。彼女は日本のファンがそうした古いフェイム時代のものに興味を持っていることがとても嬉しいようだ。

そして、ライヴを見ていると、僕はやはりこの人の声が好きなんだな、と改めて思った。暖かみのある声、それはグラディスにも共通する。

今回のキャンディのセットリストは、アメリカのライヴハウスでやるなら、まあ、妥当な選曲だと思うのだが、こと日本だとうるさ方のソウル・ファンたちはフェイム時代の曲をより聴きたがっている。キャンディあたりだとほんとにニッチなしかし、超熱心なファンが多いので、セットリストなども日本仕様にそうした微調整をするといいかもしれない。いっそのこと日本でやるライヴは、全曲フェイム時代の作品で1曲だけ「ヤング・ハーツ・ラン・フリー」をいれるくらいでもいいのかもしれない。

とはいえ、本来だったらこちらからアメリカに出向かなければ見られないようなアーティストが日本で見られるのだから、そのことに感謝したい。よく来日してくれた、と。

■音源ユーチューブから

Candi Staton - Stand by Your Man

http://youtu.be/6A-1hIS58os



Candi Staton - " I’d Rather Be An Old Man’s Sweethear "

http://youtu.be/Esh-SPS2gPA



特販。

来日にあわせて、ワーナー・ミュージックから通販限定のアルバムが発売。ワーナーの通販サイト(楽天経由など)でしか入手できない。なんと2枚組みで、豪華ライナーは4色印刷。しかも、初めてリマスターして音も圧倒的によくしたそうだ。担当者に聞くと、ごく小ロットをプレスして確実に熱いファン層に届けたい作品としてリリースしたとのこと。返品のリスクを減らし、その代わり直販で、大部数は狙わない。

http://item.rakuten.co.jp/warnermusic/wqcd-20/?scid=af_ich_twitter01

これは通常のフェイム時代の作品集

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004XX2BUW/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

キャンディ・ステイトン/ Candi Staton (Vocals)
マーク・ヴァンダーグフト/ Mark Vandergucht (Guitar)
ブライアン・ヘンリー/ Brian Henry (Keyboards)
ザヴィアー・バーネット/ Xavier Barnett (Background Vocals)
スーザン・フロンジャー / Susan Fulonger (Background Vocals)
アーネスト・マコーン / Ernest Mckone (Bass)
クリスピン・テイラー/ Crispin Taylor (Drums)

■ セットリスト
Setlist : Candi Staton, June 30, 2012 @ Billboard Live Tokyo

show started 18:05
01.Listen To The Music
02.Stand By Your Man – Stand By Me – Stand By Your Man
03.Nights On Broadway
04.I Feel The Same
05.I’d Rather Be An Old Man’s Sweetheart
06.You Don’t Have Far To Go
07.Suspicious Minds
08.In The Ghetto
09.Young Hearts Run Free
10.You Got The Love
Enc. Hallelujah Anyway
Show ended 19:13


(2012年06月30日土曜、ビルボードライブ東京、キャンディ・ステイトン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Staton, Candi
2012-

コメント