◎ボブ・ジェームスのスタジオへようこそ~スティーヴ・ガッド~ウィル・リーらとともに (東京ジャズパート8)

【Silhouette On Bob’s Back】

超絶。

それぞれが超一流の腕前を持つミュージシャンたちが5人揃いステージを繰り広げる。特にボブ、スティーヴ、ウィルという3人は中でも日本で人気の高いミュージシャンたちで、彼らが一堂に会するだけで満員に。

全体的な印象は音が小さいな、ということ。そして、音が小さくても、ありあまるほど充分なグルーヴ感がある。そして久々にまるでスタジオでレコーディングしているのではないかと思わせられるほどの精密で緻密なライヴだった。スティーヴ、ウィルらとレコーディング・セッションをするので、みなさん「ボブ・ジェームス・スタジオへいらっしゃい、それをみなさんにお見せしましょう」という趣だ。

ちょうど僕が座った席からボブの背中に、ギタリストの影が映って、それが動く。その様子がなかなか幻影的でいい雰囲気だった。

今回ボブは、紙の楽譜はウィル・リーが書いた新曲だという「ア・シンプル・ウェイ・トゥ・セイ・アイ・ラヴ・ユー」だけで、あとはアイパッドを使っていた。意外と楽譜の前面を映し出すのには小さいと思うのだが、あれで全部見られるのか、それとも適当なところでページをめくっているのか。暗譜していて、ただ一応置いているだけなのかな。

今回のライヴのコンセプトは、1970年代にあったジャズ、フュージョン・レーベル、CTIへのトリビュート、というもの。CTIアーティストや作品を次々と演奏した。セットリストが誰もが知っている曲、わかりやすい曲ばかりなので、とても親しめる。

ボブ・ジェームスが語る。「次の曲はCTIのアルバムの『ワン』(1974年4月リリース)で一番最後に録音した曲です。ほとんどアルバムは完成していて、もう一曲だけいれようとなり、その場でリフを作り録音したのです。自分たちもそれほど注目していなかったので、アルバムB面の最後にいれました。ところがそれから何十年かあと、新しい動きがでました。ヒップ・ホップ、ラップです。彼らがこの曲を発見してくれたのです。今日の我々のヴァージョンにはラップは入ってませんが、我々はヒップなので、今からこの曲でホップしましょう」こうして始まったのがヒップ・ホップの世界でサンプリングされている「ノーティラス」だった。これはランDMC、トライブ・コールド・クエスト、メアリーJブライジなど50曲以上でサンプリングされている。

本編最後は、おなじみの「ウェストチェスター・レディー」。これもヒップ・ホップ・アーティストにサンプリングされている。

5人のメンバーは、完璧に息があっている。そしてそれぞれがみな超うまい。

まさにジャズ・クラブの王道ライヴといえるライヴだった。

Bob James "Westchester Lady" (1976)

http://youtu.be/VN671Fe8wS8



ライヴ・ヴァージョン~フォールプレイ

http://youtu.be/INowlo9-6vE



■ベスト

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005QYV1/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

Bob James(p,key) ボブ・ジェームス(ピアノ、キーボード)
Steve Gadd(ds) スティーヴ・ガッド(ドラムス)
Will Lee(b) ウィル・リー(ベース)
Dave McMurray(sax) デイヴ・マクマレイ(サックス)
Perry Hughes(g) ペリー・ヒューズ(ギター)

■セットリスト
Setlist : Bob James Quintet

show started 21:37
01.Mister Magic
02.Choose Me
03.Autumn Leaves
04.White Moth
05.A Simple Way To Say, “I Love You”
06.Nautilus
07.Westchester Lady
Enc. Farandole
Show ended 23:17

(2012年9月4日火曜、東京ブルーノート、ボブ・ジェームス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>James, Bob
2012-

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◎ボブ・ジェームス~いぶし銀のヴェテランたち

【Bob James: Experienced Hand’s Classy Touch】

いぶし銀。

「東京ジャズ」2日目日曜最後の登場、オオトリがボブ・ジェームス・クインテット。メインのライヴ評は上記ブルーノート・ライヴ評をごらんください。

ボブ・ジェームス、ウイル・リー、そして、スティーヴ・ガッド、このトライアングルは強力。誰もが充分な経験を持ったいぶし銀アーティストだ。今回の目玉は、日本の松田聖子が「スキヤキ」を歌ったところ。たくさん拍手を受けていた。驚いたのは、ライヴ後、彼女が楽屋ロビーでメディアにボブと並んでインタヴューを受けたが、流暢な英語で答えていたこと。英語がとても上手で驚いた。

■メンバー

Bob James (Piano)
Steve Gadd (Drums)
Will Lee (Bass)
Dave McMurray (Sax)
Perry Hughes (Guitar)
++
Matsuda Seiko (Vocal)

■セットリスト
Setlist : Bob James Quartet, September 9, 2012 @ Kokusai Forum A

show started 20:30
01.Mister Magic
02.White Moth
03.Angela (Theme From “Taxi”)
04.Don’t Mess With Mister T.
05.Fnandole
06.Sukiyaki
07.Put Our Hearts Together
Show ended 21:30

(2012年9月8日日曜、東京国際フォーラム、フォーラムA、東京ジャズ、ボブ・ジェームス・クインテット・ライヴ)
2012-

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