◎ウィル・リー・バンド~若手二人と匠3人のコラボレーション

【Will Lee Band: Collaboration of 3 Veterans and 2 New & Developing Acts】

エンジョイ。

ちょうどウィル・リー・バンドを入口で会った沼澤尚さんと一緒に見ることになった。さすがにウィル・リーとスティーヴ・ガッドが名前を連ねるとライヴは超満員。時折、沼澤さん直々の解説を受け、とても楽しんだ。

一曲目からものすごい「黒いグルーヴ」。そこで彼になんでこんなに黒くなれるんでしょうね、と尋ねた。すると「いやあ、僕も初めて彼らのレコードを買ったとき、ウィルが白人だったんで、ほんとびっくりしちゃったんですよ。なんでなんでしょうね(笑)」と。

この前、ジャームス・ギャドソンが沼澤さんのイヴェントで来日したとき、成田でばったり(東京ジャズに来る)スティーヴ・ガッドと会ったという。ギャドソンとガッドという二人のレジェンドの邂逅。すごいツーショットだ。

沼澤さんはガッドとの対談などを雑誌などでよく頼まれたそうだが、全部断っているという。「あまりに神すぎて、自分がドラムをやってるなんて、彼の前で言えないですよ」。近くに行ったことはあるが、ツーショットの写真も恐れ多くてとても撮れないそうだ。

「ガッド、あのバスドラを両足で同時に叩くでしょう。普通は、右・左足を交互に叩くんですよ。ああやって叩くのって彼くらいなんですよ。ああ叩くとがつんと太くなる」

ウィル・リー、スティーヴ・ガッド、チャック・ローブのヴェテラン3人にジュリアとオリー若手2人。特にヴェテラン勢は「職業・音楽家」あるいは「職業・プロフェッショナル・ミュージシャン」という肩書きがぴったりだ。あるいは「職業・ドラム家」「ベース家」という称号も差し上げたい。

本編最後ハイラムとの24丁目バンドの曲でウィル・リーとチャック・ローブが客席内を走り回りながらプレイ、ふだんはワインなどを置いておくちょっとした台の上に乗り、まるでお立ち台での演奏を見せた。ウィルはその後客席のテーブルにも乗りプレイ。あの盟友ハイラム・ブロックがテーブルに乗ってプレイしていたが、その再現だ。

沼澤さんが「ガッドがめちゃくちゃ楽しそうにプレイしてる。何十回って彼のライヴは見てるけど、あんな楽しそうにやってるのを見たことがない」という。それだけ、ガッドもこのメンバーでのライヴをエンジョイしているということなのだろう。それは、ステージを見ていても充分に伝わってくる。

ウィル・リーを軸に長年つきあってきた仲間が一緒に同じ方向を向いてひとつのイメージを共有して音楽を奏でる。仕事ではなく楽しみでやる。それが楽しくて、たまらないのだ。それを見ているこちら側もとても楽しめる。ミュージシャンシップの正しいあり方がそこにはある。

ウィル・リー、スティーヴ・ガッド、チャック・ローブはまさに完璧なヴェテランの匠。ジュリオとオリーは期待の若手。新旧のニューヨーク魂が炸裂した一夜となった。

■最大の発見

発見。

ステージ向かって左側のジュリオ・カマーシーはサックス、トランペットだけでなく、ギター、パーカーッション、キーボードまで操る超マルチ・タレントだ。向かって右のオリー・ロックバーガーはまさに顔で演奏する感じ。大げさなパフォーマンスが印象に残る。

この二人はニューヨーク・ローカルで活躍している30代ミュージシャンで共に初来日。ジュリオはイタリア出身でこのところずっとニューヨークに住んでいるという。そもそも始めた楽器はドラムからというので、このプロジェクトに誘われたときは狂喜乱舞したことだろう。

このジュリオは今回の「最大の発見」だ。

ジュリオのすっごいビデオ。一人6役か?

Introducing Giulio Carmassi - HD
http://youtu.be/nrodqXa55AY



オリー・ロックバーガー

http://olirockberger.com/#&slider1=2

"I’ll Do the Rest" Oli Rockberger @ Rockwood Music Music Hall, NYC
http://youtu.be/wogvyk1HTAM



■メンバー

Will Lee (b,vo), ウィル・リー
Steve Gadd (ds), スティーヴ・ガッド
Chuck Loeb (g), チャック・ローブ
Giulio Carmassi (key,vo), ジュリオ・カマーシー
Oli Rockberger (key,vo) オリー・ロックバーガー

■セットリスト
Setlist : Will Lee’s Family featuring Steve Gadd & Chuck Loeb @ Cotton Club, November 27, 2012

Show started 18:33
1. Hello Tokyo
2. Kissing My Love
3. If You Wanna Boogie
4. Fooled Him
5. Simple Way To Say I Love You
6. Leavin’ My Troubles Behind
7. Georgy Porgy [Toto]
8. Hello Like Before [Bill Withers]
9. Shoppin’ Round Again [24th Street Band]
Enc. Watching The River Flow
Show ended 19:57

(2012年11月27日火曜、丸の内コットンクラブ、ウィル・リー・ファミリー・ライヴ)
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