◎ パースエージョンズ~結成半世紀を経てまだ現役感たっぷりのアカペラ最長老グループ
2012年12月29日 音楽◎ パースエージョンズ~結成半世紀を経てまだ現役感たっぷりのアカペラ最長老グループ
【Persuasions Setlist : 5 Decades Of A Cappella Sung More Than 60 Minutes】
アカペラ。
1962年、昭和37年結成のアカペラ・グループの大御所。結成50周年にして初来日。オリジナル・メンバー2人を含む5人組だ。初来日ということで、アカペラ好きの僕としては今年最大級の期待を持って見た。
赤いジャケットを着た5人が颯爽とステージにあがり、いきなり、カウントもせずに始まった最初の5人ひとかたまりのワンヴォイスでノックアウトさせられた。予想以上に声の厚みがあり、声だけでやられた。アカペラならではの声の力強さ。声がパワーを持ち、そのパワーの波が容赦なく観客席に押し寄せる。
特に古株ジミーのベース・ヴォーカルは地上最強だ。ただ「ボンボン・バンバン・ボボボン」などとしか歌っていないのに、このボトムを支えるパワーはなんなのだろう。そして、リードを取るデイヴはときおりサム・クックのようにさえなる。
実は結成50年ともなれば、よぼよぼでかなりオールディーズっぽいのかとも思っていた。ところが実際に生で見ると、二人のオリジナルは現役ばりばり、特にベースのジミーはものすごいベースで、しかもリードを歌うデイヴはヴェテラン・シンガーとして油が乗り切っている。こんなに現役感があるアカペラ・グループとは思わなかった。だからなおさら驚き、喜びもひとしおだった。
多くの曲のリードは、ステージ客席から見て右から2番目のスキンヘッド・デイヴが歌う。そして曲によって、リードが入れ替わる。下記セットリストにデイヴ以外がリードを取るときのリード・ヴォーカルの名前をいれておいた。
立ち位置は左から、一番大柄なリチャード(フィラデルフィア出身・在住、メンバーになって3年ほど)、クリフ・ドーソン(ソロでアルバムも出しているヴェテラン。7-8年在籍)、オリジナルのジェイオーティス、リードのデイヴ(これまでにドリフターズで2度来日経験があり、今回は3回目の来日。10年近くメンバー、ただしジミー、ジョイオーティスたちとは40年近く知り合い)、ジミー(ベース、ヴァージニア出身)。デイヴ以外は名実ともに初来日。
まさにオールドスクールのヴォーカル・グループ、アカペラ・グループで、特に毛色の変わった奇をてらったことをやるわけでもない。ひたすらベース・ヴォーカルにリード、その周りをコーラスがつけるという基本中の基本のヴォーカル・グループだ。やはり、5人の重厚なハーモニーは圧巻だ。
ドミーノズの「シックスティー・ミニット・マン」のカヴァーなど、ジミーの低音でリードを歌う。ドゥワップの18番。もうたまらない。日本だったら、シャネルズ佐藤善雄さん、ゴス北山陽一さんらがやるであろう、あの低音をジミーが野太い声でやる。
彼らはゴスペル、ブルーズ、ソウル、ドゥワップ、ポップ、ロック、フォーク、トラディショナルとあらゆる曲を、自分たちスタイルにしてしまう。その音楽的許容量の広さは驚くばかりだ。なにしろ、U2の曲やボブ・ディラン、ビートルズだけのカヴァーでアルバムを作ってしまうのだから、ジャンルを超え、ボーダーレスだ。
グループメンバーは本当に歌うことが大好きでしょうがない、という感じがほとばしり出ていた。特にインタヴューしたときも、話の途中に曲名がでてくるや、一斉にその曲を歌いだす。一人が歌い始めるとすぐに残りのメンバーがコーラスをつける。もうたまらない。インタヴューどころではない。(笑)
この日は客席に誕生日の人がいた。ライヴ、サイン会終了後、彼ら5人はそのテーブルに行き、誕生日の女の子に向かって「ハッピー・バースデイ」をその場で歌って聞かせた。女の子は「もう泣きそう」と言っていた。
ジェイオーティスはひょうきんでいつでも人を笑わせたり、笑ったりする陽気な人物、ジミーは比較的しかめっつらで硬派のイメージだが、皮肉なことを言って、ジョイとジミーの凸凹コンビ具合が最高にいい。たぶん60年近く一緒にいるから、兄弟以上の絆でつながっているのだろう。
セットリストは微妙に変わる。
この日はゴスペラーズ北山さんと一緒に見たのだが、彼もじっくり聞き入っていた様子。特にジミーのベースにインスパイアーされたようだ。ライヴ後すぐにサイン会、その後『ソウル・ブレンズ』用のコメント取りをするので一緒に楽屋に行った。そこでのインタヴューの模様は1月第1週の「ソウル・サーチン」でご紹介します。
クリフ・ドーソンは1980年代にアルバムをだしたアーバン系のシンガー。
最年長はジョイオーティス71歳、一番若いのがデイヴで57歳。平均年齢を計算すると63歳である。だがまだまだ現役アカペラ・グループだ。
(この項つづく)
パースエージョンズは土曜日2ステージ。5時と8時、丸の内コットンクラブ。問合せ電話03-3215-1555まで。
アカペラ好き、ヴォーカル・グループ好き、ドゥワップ好き、コーラス好きなら一度はチェックしておいて絶対に損はない。
初日の様子動画。(約2分)
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2012/1226_persuasions/
アクセス
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/access/
■Moonlight And Music
http://youtu.be/-ziOyBRRmKU
■メンバー
立ち位置左から
Richard Hidlebird (second tenor / baritone vo )
Cliff Dawson (first tenor vo),
Jayotis Washington (baritone vo),
Dave Revels (second tenor / lead vo),
Jimmy Hayes (bass vo),
■セットリスト パースエージョンズ
Setlist: Persuasions @ Cotton Club, December 27, 2012
Basically all the songs lead by Dave Revels except otherwise indicate ( )
[ ] denotes original acts
Show started 18:31
01.We Still Ain’t Got No Band [Persuasions]
02.Don’t Let Him Take Your Love from Me [Temptations]
03.Drip Drop [Drifters] (Jerry Leiber / Mike Stoller)
04.Temptations Medley: Don’t Look Back – Runaway Child, Running Wild – Cloud Nine – Oom Pow
05.Good Old A Cappella (Soul To Soul, Brother To Brother) [Persuasions]
06.60 Minute Man [The Dominoes] (Jimmy)
07.Yesterday [The Beatles]
08.In The Ghetto [Elvis Presley] (Jimmy)
09.Old Man River (Jayotis & Cliff) [Traditional]
10.Dance With My Father [Luther Vandross] (Cliff)
11.Besame Mucho [standard]
12.500 Miles Away From Home [folk traditional]
13.Stand By Me [Ben E King] (Richard)
14.Buffalo Soldier [Persuasions]
15.I Still Haven’t Found What I’m Looking For [U2]
16.People Get Ready [Impressions]
Enc. Chain Gang [Sam Cooke]
Show ended 19:40
Second set
Show started 21:02
01.We Still Ain’t Got No Band [Persuasions]
02.Looking For An Echo [Persuasions]
03.Good Old A Cappella [Persuasions]
04.Temptations Medley: Don’t Look Back – Runaway Child, Running Wild – Cloud Nine - Oom Pow
05.Yesterday [Beatles]
06.Besame Mucho [Standard]
07.Old Man River [Traditional]
08.60 Minute Man [Dominoes]
09.500 Miles Away From Home [Folk Traditional]
10.Dance With My Father [Luther Vandross]
11.Moonlight And Music (shout out to Soul Blends/Soul Searchin) [Ruby & Romantics]
12.Stand By Me [Ben E King]
13.Like A Rolling Stone [Bob Dylan]
14.People Get Ready {Impressions}
Enc. Chain Gang [Sam Cooke]
Show ended 22:10
(2012年12月27日木曜、丸の内コットンクラブ、パースエージョンズ・ライヴ)
ENT>LIVE>Persuasions
■Persuasions Sings U2
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000AQKUCM/soulsearchiho-22/ref=nosim
■Persuasions Street Corner Symphony
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000008N7/soulsearchiho-22/ref=nosim/"
■Knocking On Bob’s Door
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004FQKY7E/soulsearchiho-22/ref=nosim/
Video Do It A Cappella
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000652AI/soulsearchiho-22/ref=nosim/"
Cliff Dawson
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001T21K7K/soulsearchiho-22/ref=nosim/"
Dave Revels
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000KP6LOE/soulsearchiho-22/ref=nosim/
【Persuasions Setlist : 5 Decades Of A Cappella Sung More Than 60 Minutes】
アカペラ。
1962年、昭和37年結成のアカペラ・グループの大御所。結成50周年にして初来日。オリジナル・メンバー2人を含む5人組だ。初来日ということで、アカペラ好きの僕としては今年最大級の期待を持って見た。
赤いジャケットを着た5人が颯爽とステージにあがり、いきなり、カウントもせずに始まった最初の5人ひとかたまりのワンヴォイスでノックアウトさせられた。予想以上に声の厚みがあり、声だけでやられた。アカペラならではの声の力強さ。声がパワーを持ち、そのパワーの波が容赦なく観客席に押し寄せる。
特に古株ジミーのベース・ヴォーカルは地上最強だ。ただ「ボンボン・バンバン・ボボボン」などとしか歌っていないのに、このボトムを支えるパワーはなんなのだろう。そして、リードを取るデイヴはときおりサム・クックのようにさえなる。
実は結成50年ともなれば、よぼよぼでかなりオールディーズっぽいのかとも思っていた。ところが実際に生で見ると、二人のオリジナルは現役ばりばり、特にベースのジミーはものすごいベースで、しかもリードを歌うデイヴはヴェテラン・シンガーとして油が乗り切っている。こんなに現役感があるアカペラ・グループとは思わなかった。だからなおさら驚き、喜びもひとしおだった。
多くの曲のリードは、ステージ客席から見て右から2番目のスキンヘッド・デイヴが歌う。そして曲によって、リードが入れ替わる。下記セットリストにデイヴ以外がリードを取るときのリード・ヴォーカルの名前をいれておいた。
立ち位置は左から、一番大柄なリチャード(フィラデルフィア出身・在住、メンバーになって3年ほど)、クリフ・ドーソン(ソロでアルバムも出しているヴェテラン。7-8年在籍)、オリジナルのジェイオーティス、リードのデイヴ(これまでにドリフターズで2度来日経験があり、今回は3回目の来日。10年近くメンバー、ただしジミー、ジョイオーティスたちとは40年近く知り合い)、ジミー(ベース、ヴァージニア出身)。デイヴ以外は名実ともに初来日。
まさにオールドスクールのヴォーカル・グループ、アカペラ・グループで、特に毛色の変わった奇をてらったことをやるわけでもない。ひたすらベース・ヴォーカルにリード、その周りをコーラスがつけるという基本中の基本のヴォーカル・グループだ。やはり、5人の重厚なハーモニーは圧巻だ。
ドミーノズの「シックスティー・ミニット・マン」のカヴァーなど、ジミーの低音でリードを歌う。ドゥワップの18番。もうたまらない。日本だったら、シャネルズ佐藤善雄さん、ゴス北山陽一さんらがやるであろう、あの低音をジミーが野太い声でやる。
彼らはゴスペル、ブルーズ、ソウル、ドゥワップ、ポップ、ロック、フォーク、トラディショナルとあらゆる曲を、自分たちスタイルにしてしまう。その音楽的許容量の広さは驚くばかりだ。なにしろ、U2の曲やボブ・ディラン、ビートルズだけのカヴァーでアルバムを作ってしまうのだから、ジャンルを超え、ボーダーレスだ。
グループメンバーは本当に歌うことが大好きでしょうがない、という感じがほとばしり出ていた。特にインタヴューしたときも、話の途中に曲名がでてくるや、一斉にその曲を歌いだす。一人が歌い始めるとすぐに残りのメンバーがコーラスをつける。もうたまらない。インタヴューどころではない。(笑)
この日は客席に誕生日の人がいた。ライヴ、サイン会終了後、彼ら5人はそのテーブルに行き、誕生日の女の子に向かって「ハッピー・バースデイ」をその場で歌って聞かせた。女の子は「もう泣きそう」と言っていた。
ジェイオーティスはひょうきんでいつでも人を笑わせたり、笑ったりする陽気な人物、ジミーは比較的しかめっつらで硬派のイメージだが、皮肉なことを言って、ジョイとジミーの凸凹コンビ具合が最高にいい。たぶん60年近く一緒にいるから、兄弟以上の絆でつながっているのだろう。
セットリストは微妙に変わる。
この日はゴスペラーズ北山さんと一緒に見たのだが、彼もじっくり聞き入っていた様子。特にジミーのベースにインスパイアーされたようだ。ライヴ後すぐにサイン会、その後『ソウル・ブレンズ』用のコメント取りをするので一緒に楽屋に行った。そこでのインタヴューの模様は1月第1週の「ソウル・サーチン」でご紹介します。
クリフ・ドーソンは1980年代にアルバムをだしたアーバン系のシンガー。
最年長はジョイオーティス71歳、一番若いのがデイヴで57歳。平均年齢を計算すると63歳である。だがまだまだ現役アカペラ・グループだ。
(この項つづく)
パースエージョンズは土曜日2ステージ。5時と8時、丸の内コットンクラブ。問合せ電話03-3215-1555まで。
アカペラ好き、ヴォーカル・グループ好き、ドゥワップ好き、コーラス好きなら一度はチェックしておいて絶対に損はない。
初日の様子動画。(約2分)
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2012/1226_persuasions/
アクセス
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/access/
■Moonlight And Music
http://youtu.be/-ziOyBRRmKU
■メンバー
立ち位置左から
Richard Hidlebird (second tenor / baritone vo )
Cliff Dawson (first tenor vo),
Jayotis Washington (baritone vo),
Dave Revels (second tenor / lead vo),
Jimmy Hayes (bass vo),
■セットリスト パースエージョンズ
Setlist: Persuasions @ Cotton Club, December 27, 2012
Basically all the songs lead by Dave Revels except otherwise indicate ( )
[ ] denotes original acts
Show started 18:31
01.We Still Ain’t Got No Band [Persuasions]
02.Don’t Let Him Take Your Love from Me [Temptations]
03.Drip Drop [Drifters] (Jerry Leiber / Mike Stoller)
04.Temptations Medley: Don’t Look Back – Runaway Child, Running Wild – Cloud Nine – Oom Pow
05.Good Old A Cappella (Soul To Soul, Brother To Brother) [Persuasions]
06.60 Minute Man [The Dominoes] (Jimmy)
07.Yesterday [The Beatles]
08.In The Ghetto [Elvis Presley] (Jimmy)
09.Old Man River (Jayotis & Cliff) [Traditional]
10.Dance With My Father [Luther Vandross] (Cliff)
11.Besame Mucho [standard]
12.500 Miles Away From Home [folk traditional]
13.Stand By Me [Ben E King] (Richard)
14.Buffalo Soldier [Persuasions]
15.I Still Haven’t Found What I’m Looking For [U2]
16.People Get Ready [Impressions]
Enc. Chain Gang [Sam Cooke]
Show ended 19:40
Second set
Show started 21:02
01.We Still Ain’t Got No Band [Persuasions]
02.Looking For An Echo [Persuasions]
03.Good Old A Cappella [Persuasions]
04.Temptations Medley: Don’t Look Back – Runaway Child, Running Wild – Cloud Nine - Oom Pow
05.Yesterday [Beatles]
06.Besame Mucho [Standard]
07.Old Man River [Traditional]
08.60 Minute Man [Dominoes]
09.500 Miles Away From Home [Folk Traditional]
10.Dance With My Father [Luther Vandross]
11.Moonlight And Music (shout out to Soul Blends/Soul Searchin) [Ruby & Romantics]
12.Stand By Me [Ben E King]
13.Like A Rolling Stone [Bob Dylan]
14.People Get Ready {Impressions}
Enc. Chain Gang [Sam Cooke]
Show ended 22:10
(2012年12月27日木曜、丸の内コットンクラブ、パースエージョンズ・ライヴ)
ENT>LIVE>Persuasions
■Persuasions Sings U2
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000AQKUCM/soulsearchiho-22/ref=nosim
■Persuasions Street Corner Symphony
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000008N7/soulsearchiho-22/ref=nosim/"
■Knocking On Bob’s Door
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004FQKY7E/soulsearchiho-22/ref=nosim/
Video Do It A Cappella
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000652AI/soulsearchiho-22/ref=nosim/"
Cliff Dawson
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001T21K7K/soulsearchiho-22/ref=nosim/"
Dave Revels
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000KP6LOE/soulsearchiho-22/ref=nosim/
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