(速報) ◎グレゴリー・ポーター~ジャズとソウルの境界線を彷徨って
2013年3月7日 音楽(速報) ◎グレゴリー・ポーター~ジャズとソウルの境界線を彷徨って
【Gregory Porter : Walking On Thin Line Between Jazz And Soul】
両部門。
ニューヨーク在住の新進気鋭ジャズ・シンガー、グレゴリー・ポーターの本人名義としては初来日ライヴ。1971年11月4日ロス・アンジェルス生まれというので、41歳ということになる。これまでに、ハーレム・ジャズ・マシーンのメンバーとして、2008年7月、2010年9月に来日している。
2010年11月にリリースされた『ウォーター』がグラミー賞の「ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム」にノミネートされ、2012年2月リリースの2作目『ビー・グッド』はグラミー賞の「ベスト・トラディショナルR&B」部門にノミネート。つまり、ジャズ、R&B両部門で評価されているわけだ。そして、イギリス、ヨーロッパでも人気が沸騰中だそう。
そんな中での来日はブルーノート1日とコットンクラブ1日公演。
昨年のオランダ・フリーラントにおける「イントゥー・ザ・グレイト・ワイド・オープン」という音楽フェスティヴァルでのライヴ映像が約1時間ネットで見られる。これを見てからライヴに臨んだのでかなり楽しめた。今回はこのメンバーがそっくりそのまま来日。サックスのヨウスケ・サトウ(佐藤洋祐)さんは日本人。2008年頃ニューヨークに行ってまもなく、出入りするようになったジャズ・クラブでグレゴリーらと知り合い、すでに4年くらい一緒にやっているそうだ。このメンバーはほぼ不動という。
●Into The Great Wide Open 2012ライヴ映像。(2012年9月のもの)(約1時間以上) (オランダ・フリーラントにおける「イントゥー・ザ・グレイと・ワイド・オープン」音楽フェスティヴァルでのライヴ映像)
http://www.youtube.com/watch?v=d-NO0SV3kfI&feature=share&list=PLMFHVdi7XW44Gjs8GSm3YYgxYqyhB7tug
境界線。
ポーターは、ロス・アンジェルス生まれ。大学はフットボールの奨学金を得て行ったが肩を怪我して諦め音楽の道へ。ジャズ・クラブで歌っているうちにヒューバート・ロウズ、エロイーズ・ロウズらと知り合い、ミュージカルなど幅広く活躍するようになった。
声を聴くと、ソウルとジャズのちょうど中間あたりにいて、彼自身で言うナット・キング・コール、ダニー・ハザウェイらの影響が色濃いトーンだ。一言で言えば、ジャズだが若干のソウル寄りな雰囲気があって、それこそうまくいけば「第二のダニー・ハザウェイ」としてもいけるのではないかと思った。(褒めすぎか(笑))
僕は彼の歌声を聴いていて、ウィル・ダウニングや、カール・アンダーソンらのそんなにシャウトしないブラック系シンガーの系統のように感じた。まさに、ジャズとソウルの間にある薄い境界線の上を彷徨っているかのような存在だ。
同じくセカンドを見たブラック・ミュージックの音楽評論家、林剛さんは、「ジャズを歌うときのビリー・ポールみたい。アルバム『ゴーイング・イースト』のような音と歌の世界だ」と感想を述べていた。
偶然青山の食事処でばったり会った松尾潔さん川口大輔さんらと一緒にブルノに行き、ライヴ後歓談。松尾さんは「今年ブルノで見たライヴではもっともいいライヴじゃないかと思いました。番組でも何度もかけていたんで、期待度高かったのもありますけどね。ビル・ウィザーズとか、テリー・キャリアとか、黒人のシンガー・ソングライター的にもいいし、『1960ホワット?』なんて、ハウス的な見地から見ても、そういうDJ好みの声としてもいい」ととてもお気に召した様子。
なんと松尾さんは「アワ・ラヴ」という曲の歌詞をとても気に入り番組で訳して朗読したほどだという。あいにくこの日はこの曲をやってくれなかった。松尾さんは詩人としてのグレゴリーも高く評価しているようなので、僕も彼の歌詞をちょっとじっくり読んでみようと思う。
フレンドリー。
サイン会後、下りてきたグレゴリーと軽く話せたが、そのとき松尾さんが「なんで『アワ・ラヴ』やってくれなかったんですか」と言うと、「じゃあ、シャウトしてくれよ。僕は何を歌おうか迷ってたりするから(笑)」との切り返し。
グレゴリーのライヴも事前にセットリストなしだそう。なので、観客のリクエストがあればその場でやり始めることもあるらしい。8日にコットンクラブに行かれる方は覚えていくといいかもしれない。
彼に新作はと問うと「今年中には出せると思う」。この新作は、なんとユニバーサル・フランスからでるもので、グレゴリーは同社と契約。ジャン・フィリップ・アラールがプロデュースするという。ユニバーサル・フランスでディー・ディー・ブリッジウォーターなどをプロデュースしてきた人物。
そして、どういう経緯で「1960ホワット?」を作ったのかと聞いたところ、「1960年代にはあちこちで、いろいろな人が殺された。マーティン・ルーサー・キング、マルコムX、JFK、デトロイトだけのことではないんだ。あの頃のこと全般を描きたかったんだよ」とのこと。すると「裏の『ドリームガールズ』ですね」と松尾さん。
僕は彼の歌にあまりゴスペル臭を感じなかったが、昔はゴスペルを歌っていたそうだ。
実際に会うとグレゴリーは実に大きい。190センチはあるのではないか。まさにスポーツ選手体格だ。そして誰とでも気軽に話し、とてもフレンドリー。いっぺんにファンになった。ステージを見るだけでなく、ちょっとでも会って話をすることは、そのアーティストを知るために、とっても有益だ。
彼は現在ベッドフォード・スタイヴェサントに住んでいるというので、「(同地に住む、映画監督の)スパイク・リーは友達か?」と聞いたら、「うーん、会ったことはある」と答えた。
ライヴはもう一日コットンクラブで2013年3月8日にもある。この種類の音楽が好きな人には強力にお勧めだ。
COTTON CLUB コットンクラブ
〒100-6402 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルTOKIA 2F
TEL 03-3215-1555
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/index.html
~~~
■セカンド・アルバム『ビー・グッド』(2012年2月)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B006OE7XM4/soulsearchiho-22/ref=nosim/
「ビー・グッド」PV
http://youtu.be/9HvpIgHBSdo
■『ウォーター』2010年11月、ファースト・アルバム
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003D5X3VM/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■サックス佐藤さんのホームページ
http://yosukesato.sub.jp/
■メンバー
Gregory Porter (vo) グレゴリー・ポーター(ヴォーカル)
Aaron James (b) アーロン・ジェイムス(ベース)
Chip Crawford (p) チップ・クロフォード(ピアノ)
Yosuke Satoh (sax) ヨウスケ・サトウ佐藤洋祐(サックス)
Emanuel Harrold (ds) エマニュエル・ハロルド(ドラムス)
■Setlist Gregory Porter @ Blue Note Tokyo, March 6, 2013
Show started 21:37
01.God Bless The Child
02.Mother’s Song
03.Be Good (Lion’s Song)
04.On My Way To Harlem
05.Bye Bye Blackbird
06.Wisdom
07.Illusion
08.Work Song (Chain Gang Song)
09.I Fall In Love Too Easily
10.1960 What?
Enc. The Way You Want To Live
Show ended 23:04
(2013年3月6日水曜、ブルーノート東京、グレゴリー・ポーター・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Porter, Gregory
2013-
【Gregory Porter : Walking On Thin Line Between Jazz And Soul】
両部門。
ニューヨーク在住の新進気鋭ジャズ・シンガー、グレゴリー・ポーターの本人名義としては初来日ライヴ。1971年11月4日ロス・アンジェルス生まれというので、41歳ということになる。これまでに、ハーレム・ジャズ・マシーンのメンバーとして、2008年7月、2010年9月に来日している。
2010年11月にリリースされた『ウォーター』がグラミー賞の「ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバム」にノミネートされ、2012年2月リリースの2作目『ビー・グッド』はグラミー賞の「ベスト・トラディショナルR&B」部門にノミネート。つまり、ジャズ、R&B両部門で評価されているわけだ。そして、イギリス、ヨーロッパでも人気が沸騰中だそう。
そんな中での来日はブルーノート1日とコットンクラブ1日公演。
昨年のオランダ・フリーラントにおける「イントゥー・ザ・グレイト・ワイド・オープン」という音楽フェスティヴァルでのライヴ映像が約1時間ネットで見られる。これを見てからライヴに臨んだのでかなり楽しめた。今回はこのメンバーがそっくりそのまま来日。サックスのヨウスケ・サトウ(佐藤洋祐)さんは日本人。2008年頃ニューヨークに行ってまもなく、出入りするようになったジャズ・クラブでグレゴリーらと知り合い、すでに4年くらい一緒にやっているそうだ。このメンバーはほぼ不動という。
●Into The Great Wide Open 2012ライヴ映像。(2012年9月のもの)(約1時間以上) (オランダ・フリーラントにおける「イントゥー・ザ・グレイと・ワイド・オープン」音楽フェスティヴァルでのライヴ映像)
http://www.youtube.com/watch?v=d-NO0SV3kfI&feature=share&list=PLMFHVdi7XW44Gjs8GSm3YYgxYqyhB7tug
境界線。
ポーターは、ロス・アンジェルス生まれ。大学はフットボールの奨学金を得て行ったが肩を怪我して諦め音楽の道へ。ジャズ・クラブで歌っているうちにヒューバート・ロウズ、エロイーズ・ロウズらと知り合い、ミュージカルなど幅広く活躍するようになった。
声を聴くと、ソウルとジャズのちょうど中間あたりにいて、彼自身で言うナット・キング・コール、ダニー・ハザウェイらの影響が色濃いトーンだ。一言で言えば、ジャズだが若干のソウル寄りな雰囲気があって、それこそうまくいけば「第二のダニー・ハザウェイ」としてもいけるのではないかと思った。(褒めすぎか(笑))
僕は彼の歌声を聴いていて、ウィル・ダウニングや、カール・アンダーソンらのそんなにシャウトしないブラック系シンガーの系統のように感じた。まさに、ジャズとソウルの間にある薄い境界線の上を彷徨っているかのような存在だ。
同じくセカンドを見たブラック・ミュージックの音楽評論家、林剛さんは、「ジャズを歌うときのビリー・ポールみたい。アルバム『ゴーイング・イースト』のような音と歌の世界だ」と感想を述べていた。
偶然青山の食事処でばったり会った松尾潔さん川口大輔さんらと一緒にブルノに行き、ライヴ後歓談。松尾さんは「今年ブルノで見たライヴではもっともいいライヴじゃないかと思いました。番組でも何度もかけていたんで、期待度高かったのもありますけどね。ビル・ウィザーズとか、テリー・キャリアとか、黒人のシンガー・ソングライター的にもいいし、『1960ホワット?』なんて、ハウス的な見地から見ても、そういうDJ好みの声としてもいい」ととてもお気に召した様子。
なんと松尾さんは「アワ・ラヴ」という曲の歌詞をとても気に入り番組で訳して朗読したほどだという。あいにくこの日はこの曲をやってくれなかった。松尾さんは詩人としてのグレゴリーも高く評価しているようなので、僕も彼の歌詞をちょっとじっくり読んでみようと思う。
フレンドリー。
サイン会後、下りてきたグレゴリーと軽く話せたが、そのとき松尾さんが「なんで『アワ・ラヴ』やってくれなかったんですか」と言うと、「じゃあ、シャウトしてくれよ。僕は何を歌おうか迷ってたりするから(笑)」との切り返し。
グレゴリーのライヴも事前にセットリストなしだそう。なので、観客のリクエストがあればその場でやり始めることもあるらしい。8日にコットンクラブに行かれる方は覚えていくといいかもしれない。
彼に新作はと問うと「今年中には出せると思う」。この新作は、なんとユニバーサル・フランスからでるもので、グレゴリーは同社と契約。ジャン・フィリップ・アラールがプロデュースするという。ユニバーサル・フランスでディー・ディー・ブリッジウォーターなどをプロデュースしてきた人物。
そして、どういう経緯で「1960ホワット?」を作ったのかと聞いたところ、「1960年代にはあちこちで、いろいろな人が殺された。マーティン・ルーサー・キング、マルコムX、JFK、デトロイトだけのことではないんだ。あの頃のこと全般を描きたかったんだよ」とのこと。すると「裏の『ドリームガールズ』ですね」と松尾さん。
僕は彼の歌にあまりゴスペル臭を感じなかったが、昔はゴスペルを歌っていたそうだ。
実際に会うとグレゴリーは実に大きい。190センチはあるのではないか。まさにスポーツ選手体格だ。そして誰とでも気軽に話し、とてもフレンドリー。いっぺんにファンになった。ステージを見るだけでなく、ちょっとでも会って話をすることは、そのアーティストを知るために、とっても有益だ。
彼は現在ベッドフォード・スタイヴェサントに住んでいるというので、「(同地に住む、映画監督の)スパイク・リーは友達か?」と聞いたら、「うーん、会ったことはある」と答えた。
ライヴはもう一日コットンクラブで2013年3月8日にもある。この種類の音楽が好きな人には強力にお勧めだ。
COTTON CLUB コットンクラブ
〒100-6402 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルTOKIA 2F
TEL 03-3215-1555
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/index.html
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■セカンド・アルバム『ビー・グッド』(2012年2月)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B006OE7XM4/soulsearchiho-22/ref=nosim/
「ビー・グッド」PV
http://youtu.be/9HvpIgHBSdo
■『ウォーター』2010年11月、ファースト・アルバム
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003D5X3VM/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■サックス佐藤さんのホームページ
http://yosukesato.sub.jp/
■メンバー
Gregory Porter (vo) グレゴリー・ポーター(ヴォーカル)
Aaron James (b) アーロン・ジェイムス(ベース)
Chip Crawford (p) チップ・クロフォード(ピアノ)
Yosuke Satoh (sax) ヨウスケ・サトウ佐藤洋祐(サックス)
Emanuel Harrold (ds) エマニュエル・ハロルド(ドラムス)
■Setlist Gregory Porter @ Blue Note Tokyo, March 6, 2013
Show started 21:37
01.God Bless The Child
02.Mother’s Song
03.Be Good (Lion’s Song)
04.On My Way To Harlem
05.Bye Bye Blackbird
06.Wisdom
07.Illusion
08.Work Song (Chain Gang Song)
09.I Fall In Love Too Easily
10.1960 What?
Enc. The Way You Want To Live
Show ended 23:04
(2013年3月6日水曜、ブルーノート東京、グレゴリー・ポーター・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Porter, Gregory
2013-
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