■◇ 『シュガーマン 奇跡に愛された男』~今日の「ソウル・サーチン・レイディオ」

【Searching For Sugar Man on Soul Searchin】

映画。

今日の「ソウル・サーチン・レイディオ」は、昨日(2013年3月16日)からロードショー公開されている音楽ドキュメンタリー映画『シュガーマン 奇跡に愛された男 (原題、Searching For Sugar Man)』についてご紹介します。

ちなみに試写を見たときの感想はこちら。

映画『シュガーマン 奇跡に愛された男~Searching For Sugar Man』
2013年02月01日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20130201.html

『ソウル・ブレンズ』(インターFM、76.1mhz毎週日曜午後1時~3時)内「ソウル・サーチン・レイディオ」(午後2時半~)は、関東地区の方はラジコを通じてパソコンでも聞けます。

http://radiko.jp/#

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『シュガーマン 奇跡に愛された男~Searching For Sugar Man』とは

掲示板。

1970年3月、一枚のアルバム『コールド・ファクト』がロスのサセックスからリリースされた。ロドリゲスというシンガー・ソングライターの作品だ。自らギターを弾き、社会への鋭いまなざしで独特の歌詞を持っていた。そのときは、「ネクスト・ボブ・ディラン」などともてはやされた。1971年11月、さらに第二作『カミング・フロム・リアリティー』が出たが、アメリカではまったく売れなかった。ところが、これがオーストラリアや南アフリカでリリースされるとじわじわと人気となった。ロドリゲスの熱心なファンとなった南アフリカでレコード店を経営する愛称「シュガーマン」ことシガーマンとクレイグ・バーソロミューが、この謎のシンガー、ロドリゲスについて調べ始める。噂では客に集中して聴いて欲しいためにステージで客に背を向けて歌う、ステージ上で銃で自殺した、いや焼身自殺したなどの都市伝説が語られていた。1997年4月、インターネットで「The Great Rodriguez Hunt」というロドリゲスを探すウェッブサイトを開設、ロドリゲスに関する情報を集め始める。1997年9月、これを見た「ロドリゲスの娘」と名乗るエヴァが書き込みを残す。果たして、ロドリゲスは生きているのか? まさに「事実は小説より奇なり」を地でいく圧巻のストーリーである。これをドキュメンタリー映画にしたのが、この『シュガーマン 奇跡に愛された男(サーチング・フォー・シュガーマン)』だ。

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サーチング。

ロドリゲスのことを調べれば調べるほど、おもしろい。

ロドリゲスに関するあらゆる情報があるメインのサイトは、こちら。(英語)
http://www.sugarman.org/index.html

ロドリゲスを探し出した南アフリカの「シュガーマン」ことスティーブン・シガーマンStephen ’Sugar’ Segermanが共同オーナーの南ア・ケープタウンにあるレコード/CDショップ「マブ・ヴァイナル」のサイト。
http://www.mabuvinyl.co.za/

Mavu Vinal
2 Rheede Street, Gardens
Cape Town 8001 South Africa
+ 27 (0) 21-423-7635

Shop Hours:
Mabu is open 7 days a week....
Monday-Friday: 9am till 7pm
Saturday: 9am till 6pm
Sunday: 11am till 3pm

週7日営業で休みなし。朝9時からレコード屋さん、やってるんだ。ちなみに日本との時差はマイナス7時間。日本が夕方6時(18時)のとき南アは午前11時。

いまや、ここは映画のヒットもあり世界的な観光地化しているという。7インチ、12インチのレコード、アナログLP、CD、カセット、雑貨などのほかにレコード・プレイヤーなども置いてあるという。中古LPなどの買取・販売もしているようだ。

なんかここの店内の写真などを見ていると、下北沢の「フラッシュディスク・ランチ」あたりを思い浮かべる。

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芸名。

ロドリゲスが2枚のアルバムをだしながらも、まったくアメリカでは売れなかった。その理由はひとつだけはないだろうが、いろいろな観察がある。

音楽評論家の五十嵐正さんは、「1960年代半ばのプロテスト・フォークには遅く、1970年代のニュー・ソウルには早い、という2つの社会的メッセージがこめられた音楽ムーヴメントのちょうど谷間というタイミングの悪さがあったのでは」という。

その通りだと思う。また、1970年という年を考えると、僕はレコード会社から「ロドリゲス」でなく、芸名「ロバート・ロドリゲス」などとしたらどうか、と言われたが、彼は頑として拒絶したという話にも興味をもった。実際、最初のシングルは「ロッド・リゲス (Rod Riguez)」というアーティスト名で「ロッド」というアメリカ風の名前になっていた。

当時メキシコ系アーティストはほとんどおらず、それに対するラジオDJの無意識の拒絶感を考えるともっともな提案だ。それを断るロドリゲス本人の姿勢も筋が通っている。

同じサセックス・レコードから1971年にデビューするビル・ウィザースが見事にヒットしていくが、それを考えると、ロドリゲス登場は1年ほどタイミングが早かったのかとも思える。

サセックスの社長、クラレンス・エイヴォントはロドリゲスにある程度かけていたと思う。何しろ、ちゃんとした予算を取ってレコーディングはしていたからだ。それは音を聴けばわかる。

南アフリカで人気であるなら、同地のラジオでどの曲が人気となったのか調べようとしたが、どうやら放送禁止になったようで、南アのチャートなどにはまるで記録がないようだった。ただし、シュガーマンのサイトでは、南アフリカでは「アイ・ワンダー」「シュガーマン」が人気だったという。ラジオではまったくかからなかったが、同地のミュージシャンたちがライヴハウスで彼の作品をカヴァーして歌っていて、人気を得ていたという。

また、南アでは特に黒人はラジオを「聴くこと」さえ禁じられていた。それほど文化的にも遮断されていた。そこで彼らはいろいろなものにカモフラージュしたラジオを考え出して作りだしていた。

こんな本まであった。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757207778/soulsearchiho-22/ref=nosim/"

CBSテレビ『60ミニッツ』

http://www.cbsnews.com/video/watch/?id=7424704n



「重労働は恥ずかしいことではない。貧しいことも恥ずかしいことではない。貧しいからといって馬鹿ということではない」(ロドリゲス)

新録音。

さて、ロドリゲスはすでに30曲以上の新曲を用意していて、いつでもレコーディングできるそうだ。新作フル・スタジオ・アルバムとしては42年ぶりとなる。

3月はオーストラリア・ツアー。

TOUR DATES*:
2013-
March 19 Tue, Mon 25 & Tue 26 Mar - Enmore Theatre, Sydney
Sun 31 Mar & Mon 1 Apr - The Tivoli, Brisbane

ロドリゲスについては、まだまだ奥が深いのでまた何かちゃんとまとめてみたい。

■映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』2013年3月16日(土)から角川シネマ有楽町などでロードショー公開

映画公式ホームページ。予告編など。
http://www.sugarman.jp/

■サントラ:ロドリゲスの歌が入ってます

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00AAKVWZM/soulsearchiho-22/ref=nosim

■ロドリゲスの幻のデビュー・アルバム 『コールド・ファクト』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001BKVWYG/soulsearchiho-22/ref=nosim

■ロドリゲスの2作目『カミング・フロム・リアリティー』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001TCHDPS/soulsearchiho-22/ref=nosim/

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