◎クインシー・ジョーンズが見据える未来~ライヴ・アット・ブルーノート (セットリスト付き)

【Quincy Jones : Showcases His Past, Present And Future】

未来形。

アメリカ・エンタテインメント界最大の大物プロデューサー、クインシー・ジョーンズ。

そのクインシーの80歳のバースデイ・パーティーが2013年7月28日、東京ブルーノートで行われた。今回の来日は、広島での平和式典出席がメインで、その後東京公演が決まった。ブルーノートのショーは、東京国際フォーラムでのビッグ・バンド形式のものとは違い、一言で言えばクインシー・プレゼンツの新人ショーケースという雰囲気だ。ハウス・バンド的にジャズ・トリオをベースにしたアコースティック・セットだ。クインシーは一番前のテーブルに友人たちと座り、ちょっとMC的にしゃべったり、新人を紹介した。

楽屋から自席にスタッフに伴われて歩いていったが、気持ち猫背になり、背が小さくなっていたような気がした。

クインシーはこれまでに、常に自身の過去を検証しつつ現在を作り、未来へつなげてきている。彼の中では、音楽は常に過去・現在・未来がひとつになっている。この夜はまさにクインシーのそんな過去・現在・未来の一部を垣間見せた。ただし過去はパティー・オースティンとサイーダ・ギャレットのみであとは現在進行形から未来だ。

御年80歳にしてなおも未来を見据えるところにクインシーのすごさがある。

クインシーはこれまでにも、リオン・ウェア、ミニー・リパートン、アル・ジャロウ、パティー・オーストン、グレッグ・フィリンゲインズ、ジェームス・イングラム、ブラザース・ジョンソン、テヴィン・キャンベル、タミアなど次々と無名の新人を見つけては世に送り出し、スターにしていった。

この夜登場した若手、11歳のピアニスト、エミリー・ベアー、16歳のギタリスト、アンドレアス・ヴァラディー、19歳のシンガー、ニッキ・ヤノフスキーなどは、クインシーからすれば孫かひ孫のような若手。そのお披露目というライヴだった。そして、よくこれだけ新しい若手を次々と発見するなあとそのクインシーの新しい才能への傾注ぶりに改めて感心した。

これら新人ではカナダ出身のニッキ・ヤノフスキーが歌ったアリーサ・フランクリンの大ヒット「エイント・ノー・ウェイ」がすばらしかった。まあ、曲が良いというのも大いにあるが。これ一曲だけ聴いて、僕がレコード会社のディレクターだったら、「契約したい」と思う。

そして、サイーダ・ギャレット作者本人がグレッグ・フィリンゲインズとのピアノ一本を伴奏にコーラスを一人加えて歌うアコースティックの「マン・イン・ザ・ミラー」はさすがに胸に来た。

ただし、クインシー・ジョーンズのライヴときいて、彼の主なヒット、たとえば「愛のコリーダ」を期待した向きにはちょっと肩透かし的なものだったろう。

クインシーは周囲の観客みんなと乾杯をしていた。クインシーと乾杯をしたお客さんは一生そのことを自慢するかもしれない。「私はクインシーと杯(さかずき)を共にした」と。

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7月31日(水)、8月1日(木)、国際フォーラムでのライヴのハウス・バンドは、グレッグ・フィリンゲインズが勤め、日本からホーンセクションも入り、ブルーノート・スタイルとは違い1981年のビッグバンド形式と同じようなスタイルになる。

フォーラムでのハウス・バンドのメンバーなどは次の通り。

ハウス・バンド音楽監督&キーボード:グレッグ・フィリンゲインズ (Greg Phillinganes)
キーボード:ランディ・カーバー (Randy Kerber)
ギター:ディーン・パークス (Dean Parks)
ベース:ニール・スチューベンハウス (Neil Stubenhaus)
ドラム:ジョン・ロビンソン/JR (John Robinson/JR)
パーカッション:パウリーニョ・ダ・コスタ (Paulinho Da Costra)
コーラス:リン・フィドモント(Lynne Fiddmont)、
ジョリー・スタインバーグ(Jory Steinberg)、メラニー・テイラー (Melanie Taylor)

Singers*

パティー・オースティン Patti Austin
ジェームス・イングラム James Ingram
サイーダ・ギャレット Siedah Garrett
ニッキ・ヤノフスキー Nikki Yanofsky

●ビッグ・バンド

音楽監督(Big Band Music Director):ジェリー・ヘイ

トランペット:
佐久間勲/田中充(広島公演)/上石統(東京公演)/入山和代/小林正弘

トロンボーン:
三塚知貴(7/31:川原聖仁)/川原聖仁(7/31:松尾直樹)桐山絵里子/朝里勝久

サックス:
リードアルト 高野猶幸/2nd テナー 小松雄大/3rdアルト 岡村トモ子/
4thテナー 長野次郎(7/31)、石川周之介(8/1&3)/
5thバリトン 井出慎二(7/31&8/1)、長島一樹(8/3)

詳細はこちら。当日券もあります。
http://qj80.jp/

■ メンバー @ Bluenote Sessions, July 28, 2013, Sunday

Quincy Jones : MC

Alfredo Rodriguez Trio:
--Alfredo Rodriguez (piano)
--Reinier Elizarde (bass)
--Henry Cole (drums)

Andreas Varady (guitar)

Patti Austin (vocal)
Randy Kerber (piano)

Justin Kauflin (piano)

Emily Bear (piano)

Nikki Yanofusky (vocal)

Siedah Garrett (vocal)
Greg Phillinganes (piano)

Jory Steinberg (chorus)

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セットリストThe 80th Celebration Live Gala Party @ Bluenote Tokyo, July 28, 2013
Setlist : The 80th Celebration Live Gala Party

20:02 Q to the seat
20:04 Video1
20:09 Q talk
20:11 live started
01.Invasion Parade – Alfredo Rodriguez Trio
02.Answers – Alfredo Rodriguez Trio + Andreas Varady
03.Our Love Is Here To Stay – Patti Austin + Randy Kerber (piano)
04.You Can’t Take That Away From me – Patti Austin + Randy Kerber
Video 2: Justin Kauflin& Clark Terry
05.For Clark – Justin Kauflin (solo)
06.Blue Note – Emily Bear + Alfredo Rodriguez Trio
07.Bumble Boogie – Emily Bear (solo)
08.Ain’t No Way [Aretha Franklin] – Nikki Yanofsky + Alfredo Rodriguez Trio
09.Accentuate The Positive – Nikki Yanofsky + Alfredo Rodriguez Trio
10.My Funny Valentine – Siedah Garrett + Greg Phillinganes (piano)
11.Man In The Mirror – Siedah Garrett + Greg Phillinganes + Jory Steinberg (chorus)
Show ended 21:23
21:28 Q out

(2013年7月28日日曜、ブルーノート東京、クインシー・ジョーンズ・80スセレブレーション・ライヴ・ガラ・パーティー)
ENT>MUSIC>LIVE>Jones, Quincy

クインシー・ベスト

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