●キャットフィッシュ・コリンズ死去~JBズ、Pファンク軍団でギター

(一足先、8月7日にツイッターで速報したキャットフィッシュの訃報記事です)

【Phelps “Catfish” Collins Dies At 66】

訃報。

ファンク・ベーシスト、ブッツィー・コリンズの兄でギタリストのフェルプス・キャットフィッシュ・コリンズが、2010年8月6日、死去した。66歳だった。長い間、癌を患っていた。ジェームス・ブラウン・バンド、また、ジョージ・クリントンのパーラメント/ファンカデリックを経て、ブッツィーズ・ラバー・バンドの一員としてファンキーなギターを聴かせた。愛称の「キャットフィッシュ(ナマズ)」は、ルックスがナマズに似ていることからつけられた、という。

フェルプス・コリンズは、1943年か1944年、オハイオ州シンシナティーの生まれ。(誕生日がまだ不明なので、1944年か1943年か確定できない。誕生日が8月7日以降の場合、1943年生まれ。一部報道でブッツィーの8歳年下と書いてあるのがあったので、その場合も1943年生まれ) 弟のブッツィー・コリンズは1951年10月26日生まれで、ブッツィーの7-8歳上になる。1968年、地元でザ・ペースメイカーズというファンク・バンドを弟、キャッシュ・ワディー、フィリップ・ウィンらと結成。その後、ジェームス・ブラウンのJBズのメンバーが給料引き上げを画策したときに、ブラウンは彼らを解雇、そのときにこのペースメイカーズの面々をバックバンドに雇い入れた。

ブラウンのバックバンド時代には、「スーパーバッド」、「セックス・マシーン」、「ギヴ・イット・アップ・オア・ターン・イット・ルーズ」、「ゼアワズ・ア・タイム」、「ソウル・パワー」などの作品をレコーディングしている。1971年、彼らはブラウンの元を去り、その後、ファンカデリックの『アメリカ・イーツ・イッツ・ヤング(アメリカは若者を食い物にしている)』(1972年6月リリース作品)に参加したのをきっかけに、ジョージ・クリントンのパーラメント/ファンカデリック軍団に加入する。パーラメントの『ファンケンテレキー・VS・プレイスボー・シンドローム』(1977年)、『モーター・ブーティー・アフェアー』(1978年)などに参加。約4年ほど、Pファンク軍団で活動した後、1976年に、ブッツィーらとともにブッツィーズ・ラバー・バンドを結成。以後はこのバンドをホームベースとして活躍していた。キャットフィッシュ・コリンズは、その後、セッション・ミュージシャンとしてディーライト、フリークベースらのセッションにも参加している。(1976年からしばらく、活動がだぶる時期もある)

リズム・ギターに定評があり、ジェームス・ブラウンのファンク度満載の時期のギターをプレイしていたことから、ブラウン・ファンクの立役者の一人とも言える。

Youtube

http://www.youtube.com/watch?v=dDGpeW4sUUs&feature=player_embedded

■ ブッチーズ・ラバー・バンド

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003097AFQ/soulsearchiho-22/ref=nosim/

Cincinnati.com
Updated: 9:14 am | August 6, 2010
Bootsy’s brother succumbs to cancer

http://news.cincinnati.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/AB/20100806/ENT03/308070007/

ENT>OBITUARY>Collins, Catfish Phelps (1943 or 1944 – Aug 6, 2010, 66 years old)

◎ドラムライン・ライヴ~ブラック・ミュージックの歴史を俯瞰

【Drumline Live: Showcase Of History Of Black Music】

ドラムライン。

2002年製作の映画『ドラムライン』(日本公開は2004年)をライヴで見せようという企画。昨年(2009年)4月に引き続いての来日公演。国際フォーラムA(収容約5000人)が満員になっていて、しかも、東京5日間の後、兵庫、大阪、福井、静岡、名古屋など8月28日(土)まで全国を回る。すごい人気にびっくり。客層年齢層はかなり広い。フジテレビが後援についているので、テレビCMを見て来た人も多いのだろう。

一言でいえば、黒人大学にある伝統的なマーチング・バンドによる、ブラック・ミュージックとダンスの歴史を見せ、聴かせるというエンタテインメント・ショー。

基本的には昨年と同内容だが、いくつか新しいプログラムも組み込んだ。たとえば、昨年はなかった「マイケル・ジャクソン・メドレー」など。昨年4月の時点ではマイケルはもちろん存命。下記セットリストで蛍光ライトだけが光る出し物「ミッドナイト・マジック」などは、最後にパックマンが登場して、それらを食べてしまう、というおもしろい演出だ。

メンバーは現役の大学生などがいるのだろうか。ジャズ、ゴスペル、ソウル、ファンク、最近のヒップ・ホップ、スイング、セカンドラインなどの音楽要素を、少しずつ見せていく。30人近いメンバーと5人のダンサーたちが繰り広げるショーは、その人数からして圧巻だ。個々のミュージシャン、ダンサーの技量を見るというより、全体的なパッケージとして、よく構成され、振り付けがなされていて、それが見ていて楽しい。

オープニング、途中、最後などメンバーは客席に降りてくる。また最後のアンコール部分では観客で楽器を持ってきた人たちをステージにあげ、一緒に演奏する。まさに、パーティー・タイムだ。この会場の一体感は、ここに来ないと味わえない。

また途中で何箇所かナレーションでブラック・ミュージックとはといった解説がはいるのだが、ちょっと長くしゃべるので、ここは観客向けには字幕が欲しいと思った。

メンバーの中には昨年も来た人もいれば、今年初めての人もいるようだ。ちなみに、オーディションは2010年4月に大々的に行われ、2010年7月に約3週間、毎日リハーサルが行われた。

アンコールのところで、今回の宣伝に一役買っていたデイヴ・スペクター氏もステージに上がっていた。降りてきたところ声をかけたら、「今からインタヴューして、翌日(木曜)の『特ダネ』で流すんだ」と言っていた。

ところで、このライヴの中で、HBCUという言葉がでてくる。最近は、黒人の大学=ブラック・カレッジのことを、HBCUという言葉で表すそうだ。これは、Historically Black Colleges And Universitiesの略で、直訳すると「歴史的黒人大学」となる。パンフレットにこのことが2ページにわたって書かれてあり、勉強になった。

■ ドラムライン・ライヴ
http://www.fujitv.co.jp/events/drumline/

http://www.youtube.com/watch?v=ZfIh0Y0ZTSo

■ 過去記事

2009年04月24日(金)
ドラムライン・ライヴ@国際フォーラム
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090424.html
(昨年のライヴ評)

2004/05/02 (Sun)
Movie "Drumline": Another Field Of Dreams
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200405/diary20040502-1.html
(ドラムライン・ライヴの元になった映画『ドラムライン』評)

■ ドラムラインCD

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006YXU0/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ ドラムラインDVD

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001EI5M8C/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 珍しい選曲、キャメオのTalkin’ Out The Side Of Your Neck 収録のベスト。元はアルバム『She’s Strange』収録。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000001DYS/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ メンバー 

Drum Major; Brian Snell
Woodwind; Jacque Bell, Larry Smith
Trombone; Christina Anderson, Edwin Blakley, Terry Jones, Jr., Dunwoody Mirvil, Antonie Swain,
Trumpet; Larry Allen, Aheisha Duke, Eddy Falcon, Preston Kendall, Charles Madison, K.D.Morley, Yamin Mustafa, Anthony Scott, Donla Willis McBee, Cormesha Johnson, Vera Musgrove III
Euphonium; Anthony Charles, Cliffton Robinson,
French Horn; Darrell Johnson, Herbert Little
Sousaphone/Tuba; Michael Jones, Jr., Brandon Kirksey, Umar Taqqee, Trenton Wright
Percussion; Alex Blake III, Isaiah Ellis, Jeremy George, Tovah Lovely, Anthony Pasquini, Jason Price, Erin Robinson, Bernard Smith

Dancers; Jacque Bell, Jasmine Cooper-Cade, Alicia Dixon, Shimri Israel

Musical Director; Don P.Roberts
Assistant Musical Director; Brian Snell
Live Host; Slater Thorpe III

■セットリスト
Setlist: Drumline Live
“ “ denotes title of scene

01. Intro: “Africa The Dance” (Solo dance to All)
02. “Shout It Out The HBCU Experience”: Brace Yourself -- Talkin’ Out The Side Of Your Neck –
03. In The Stone - Do I Do - Sir Duke
04. >>Narration (You’ve Really Got A Hold On Me -- )
05. “American Soul” : Proud Mary - Baby Love - My Girl – Respect - Night Time Is The Right Time - I Got The Feeling
06. “The King; The Best Of Michael Jackson”: Beat It – Billie Jean – Smooth Criminal – Wanna Be Starting Something – Thriller
07. “Midnight Magic “(蛍光色のダンス~パックマン):
08. “Gospel Revival”: Amazing Grace  – Ragtime?? – ?? – Amen – Call Him Up – I Just Can’t Stop Jesus??
performance ended 20:04

performance started 20:24
01. “Street Beat”: Usher – Jump On It – Snare battle
02. “Swingin’ Time USA” : Sing, Sing, Sing – Georgia On My Mind – It Don’t Mean A Thing (If Ain’t Got That Swing)
03. “Halftime”: Are You My Woman – Get Ready – I Heard The Rumor – Between The Sheets – Shining Star
04. “Drum Line Dream Girls”; Dreamgirls – You Can’t Touch This
05. “The Ultimate Drum Battle” Rocky Theme - 3 on 3 to 2 on 2 to 1 on 1
06. “Funky Footwork” : I Want You Back -- ?? -- ?? -- ??
07. “Come Join The Parade” : When The Saints Go Marchin’ In
Enc. “Mardi Gras Style”
Show ended 21:25

(2010年8月11日水曜、国際フォーラムA=ドラムライン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Drumline Live

◎シャンティー・メジャーからデビュー

【Shanti Live At Motion Blue】

雲。

シャンティーが昨年からコロンビアとの話を進め、2010年6月23日、同レーベルからのアルバム『ボーン・トゥ・シング(Born To Sing)』をリリースした。一応、メジャー・デビュー作というふれこみだ。さすがにコロンビアがついたということもあり、かなりあちこちでヘヴィーにプロモーションされ、記事なども露出している。この新作をフィーチャーしたミニ・ツアーを敢行、7月23日、横浜モーション・ブルーでライヴを行った。これを機にどんどんその存在が知られるようになるといい。

今回は、ギターのハンコ屋さんが音楽ディレクターとなり、ドラムス(ジェイ・スティックス)、ベース(クリフ・アーチャー)、ギター2名(木原良輔)のバンド編成。ファーストとセカンドを入れ替えずに、全曲違う楽曲を聴かせた。このところアコースティックな編成が多かったので、バンド編成は久しぶり。名古屋、大阪などでやってきて、横浜にのぞんだ。

ナチュラルな魅力のシャンティー。MCでどこでも平衡に立つとんぼの話をしたのだが、そこでそれを紹介して「ま、私の話にはオチがないんですけどね」といったのが受けた。

ステージには、「ゆうやけ(Yuyake)」のプロモーション用ビデオで使われた雲がいくつかぽっかりと浮かべられていて、かわいかった。が、それが途中で落ちてきたのは驚いた。(笑)

■シャンティ過去関連記事 

2004/03/20 (Sat)
Shanti Live At MoBius
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040320.html
(シャンティの初ライヴ評。2004年) 

April 04, 2006
"Soul Searchin Talking Vol.5" (Part 3)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_04_04.html
(ソウル・サーチン~マーヴィン・ゲイに初登場。「ピーセス・オブ・クレイ」を熱唱) 

May 17, 2007
Shanti Live @ Blues Alley ; Music & Shanti Will Be As One
http://blog.soulsearchin.com/archives/001775.html
(シャンティ、ブルース・アレーでのライヴ評) 

July 15, 2007
Shanti Live At Motion Blue
http://blog.soulsearchin.com/archives/001893.html
(2007年5月のブルース・アレーでのライヴの短縮版) 

August 18, 2007
Live M! Day Two:
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_08_18.html
(先月、ライヴMでのライヴ。カヴァー曲中心のライヴ) 

2007年09月16日(日)
シェア(共有)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20070916.html

2007年09月28日(金)
【シャンティ・ライヴ~足元を固めつつ】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20070928.html

2007年11月01日(木
【シャンティ、アコースティック・トリオでハロウイーン】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20071101.html

2008年06月22日(日)
シャンティ&松本圭司・デュオ
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080622.html

2009年06月23日(火)
シャンティ・ライヴ@コットン・クラブ
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10285907603.html

2009年04月21日(火)
スプーキーという名のグループ、東京ライヴ初登場
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10246479446.html

このほかに、『ソウル・サーチン』イヴェントのアイズレイ・ブラザース、ルーサー・ヴァンドロス、マーヴィン・ゲイの回にも参加しています。

■メジャー・デビュー・アルバム、通算2作目『ボーン・トゥ・シング』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003GYCNN4/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ファースト・アルバム『シェア・マイ・エア』(フランス録音)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00137N3MG/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー
Shanti(vo,g)、西山 "HANK" 史翁(g)、木原良輔(g)、Clifford Archer(b)、Jay Stixx(ds)

■ セットリスト
Setlist : Shanti @ Motion Blue Yokohama, July 23, 2010

01. Closing Time
02. Killing Me Softly With His Song
03. Manatsu No Kajitsu
04. Our Song
05. Speak Your Heart (Acoustic)
06. Aqua’s Lullaby (Acoustic)
07. Cry Me A River
08. Talking Low
09. Wake Up To The Sun

2nd set
show started 21:02
01. Look Back
02. As God Loves You
03. They Can’t Take This Away From Me (Acoustic)
04. From This Moment On (Acoustic)
05. Curtain Call (Acoustic)
06. Fly Me To The Moon
07. Spooky
08. Weary
09. Yuyake
Enc. Good Night (Acoustic)
Show ended 21:56

(2010年7月23日金曜、横浜モーション・ブルー=シャンティー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Shanti


◎ハヴァナ・ラカタン~灼熱の音楽とダンスが爆発

【”Havana Rakatan”* Explosion of Rhythm, Music, Action And Dance】

灼熱。

キューバを本拠とするダンス・カンパニーのキューバ音楽とそのダンスを集大成して見せるショーが、この『ハヴァナ・ラカタン』だ。2時間ほど、彼らの熱い音楽とダンスは、我々をキューバへ旅させてくれる。

新しいキューバの音楽、サルサ、ラテン、マンボ、ルンバなど、さまざまなタイプの音楽がこのステージにあふれ、同時に様々な種類のダンスがここで踊られる。13人のダンサー、9人のバンド。彼らが繰り広げる灼熱のダンスワンダーランドは、音楽と踊りがいかにキューバの日常、人々の生活に根付いているかを改めて感じさせてくれた。本当に普段の生活に、音楽とダンスが「水」のように当たり前に存在しているのが目に浮かぶ。歌があり踊れれば、人生ハッピー。そうした明るい前向きな姿が全面に出る。

彼らの踊りを見ていてさらに感じたことは、キューバに限らず、アフリカでも南米でもどこでも世界中にあてはまるが、リズムがあるところに音楽が生まれ、音楽があるところに、人間の体の「動き」が生まれ、それが「ダンス」というものになっていく、という流れだ。リズム→音楽→動き→ダンスという一連の流れは、有史以来今日まで様々に形を変えて発展してきている。一見社交ダンスのように思えるダンスから、バレエを彷彿とさせるダンス、ヒップホップ・ダンサーがやりそうなロボットダンスを思わせるダンスなど様々な動き、ダンスは圧巻だ。

それにしても、ダンサーたちの強靭な体と美しい肉体には惚れ惚れする。しかも体は柔らかくしなやか。そして、リズムが強烈にアピールすれば、体は小刻みに震え、リズムを肉体化する。みな軸がぶれずに踊り、素晴らしい。

たとえば、女性ダンサーが腰を動かす。キューバでは激しく、震えるように動かす。しかし、ハワイのフラダンスではゆったりと優雅に動かす。同じ腰を動かすのでも、地域によって違う。しかし、地域によって違っても動作の根本は同じだ。きっと、地球の根っこではどちらもつながっているのだろう。

冒頭、港がスクリーンに映り、そこに一人の男が微動だにせず立っている。それも絵の一部かと思えるほど、動かない。しかし、音楽があるところまで行った瞬間、その男もスイッチが入ったように激しく動き出した。静から動に移った瞬間だ。そして、生バンドの姿が見えないと思ったら、2曲目からその港が映ったスクリーンの向こう側にバンドがいたことがわかった。粋な演出だ。20分の休憩をはさんで、第一部、第二部それぞれ50分ずつ。灼熱の国からやってきた灼熱のエンタテインメントだった。踊りをやっている人には超お勧めだ。



■ ハヴァナ・ラカタン

詳しくはこちら↓
http://www.havanarakatan.jp/
ハヴァナ・ラカタンは、2010年8月6日から8月15日まで。

■メンバー

Nilda Guerra (director, choreographer)

Amarylis Pons Mesa (assistant director)
Mariluz Ramirez Perez (assistant choreographer)
Yoanis Reinaldo Pelaez Tamayo (assistant choreographer)
Yordan Mayedo Perez (choreographer)
Alexander Duran Toirac (dancer)
Joel Garmendia Diaz (assistant choreographer)
Kenia Margarita Anaya Salazar (dancer)
Misael Maure Matos (dancer)
Berto Mirabal Lopez (dancer)
Nayara Nunez Oliva (dancer)
Maria Mercedes Perez Rodriguez (dancer)
Nadiezhda Caridad Valdes Carbonell (dancer)
Sissi Hernandez Quesada (dancer)

Rolando Ferrer Rosado (musical director)
Geidy Chapman (lead vocal)
Michel Antonio Gonzales Pacheco (lead vocal)
Abel Gutierrez Rios (bongos)
Ruben Pascual Longchamp (congas)
Ramon Elias Catasus Abrea (guitar, vocal)
Aliandis Mora Cristi (tres guitar)
Frankis Lagno Rodriguez (trombone)
Alberto Pellicer (trumpet)

■ セットリスト(シーンリスト)
Setlist: Scene

Act 1
Show started 13:05
01. Malecon
02. Afro-Flamenco
03. Guateque
04. Guajira En Flor
05. Manicero
Performance ended 13:54

Break

Act2
Performance started 14:16
01. Mambo Ay Ay Ay
02. Bolrero
03. Que Te Hace Pensar?
04. Inconciencia
05. Parsy Llego A La Havana
06. Proposiciones
07. Rumba En Luyano
08. Salsa Rakatan
Show ended 15:07

(2010年8月7日土曜、国際フォーラムC=ハヴァナ・ラクタン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Havana Raktan
2010-


◎スティーヴィー・ワンダー・ライヴ~圧倒的余裕の自己紹介ライヴ

【Stevie Wonder Live At Summer Sonic】

余裕。

音楽神スティーヴィー・ワンダーの2003年12月、2007年2月以来3年6ヶ月ぶり通算16回目の来日公演。今回はいわゆる「夏フェス」「サマーソニック」の出演アーティストのひとりとして登場した。基本的にはこうしたフェスでは、多くの出演者のひとりということで、アーティスト側も最大公約数的、自己紹介的、ショーケース的なライヴになるということなのだろう。約73分、次々とヒットを少しずつ歌っていった。

このライヴは、ずいぶんと「はしょってるな」と感じたのは下記セットリスト5からのメドレー。「リボン・イン・ザ・スカイ」「ステイ・ゴールド」「レイトリー」とピアノ曲メドレーは、通常のライヴだとここだけで15分は行く。この日は3曲で5分。一曲をずいぶん短くしてる、ライヴ時間も短いのかなと思ったのだが、後から考えると、9時にはライヴを何が何でも終わらせなければならなかったという事情があるようだ。

また、セットリストの流れも、通常だと曲から曲へ、スティーヴィーが先導して、ノンストップで流れていくのだが、この日は一曲を終えると、次には何をしようかと考え考えやっているようにも見えた。たぶん、時間調整をしていたのかもしれない。いずれにせよ、各曲どれも短くまとめ、曲数を増やそうとしていた。ま、もちろん、それはそれでよいのだが。結局、ショーケース用のショートヴァージョン・ライヴということになった。

とは言っても、夏フェスにやってくる圧倒的に若いファンにむけて、スティーヴィーが自己紹介的にライヴを見せたのは大いに意義があるところ。ここで初めてスティーヴィーを見た人たちが、次のスティーヴィーのフルスケールのライヴに来て、より感動を深くしてくれればいいのではないだろうか。

それにしても、圧巻はスティーヴィーの声。イアモニターの調子が悪かったようで、何度も付け直したり、コーラスのキース・ジョンに何かを言ったりしていたが、そんなことは関係なく、スティーヴィーの声力は素晴らしかった。

ちなみに、下記の8は、最近自分が気に入った曲がある、みんな歌ってくれないかな、と言って観客に歌わせようとしたもの。実際は、スティーヴィーはほとんど歌っていない。よくあるコール&レスポンスの一部だ。

驚いたのは、オープニングの「マイ・アイズ・ドント・クライ」と後半に「さくら・さくら」から続けて歌われた「フリー」。どちらもアルバム『キャラクターズ』からの作品。一瞬、僕はなじみがなかったので、「すわ、新曲か」と早合点してしまったほど。前回のライヴなどではまったく歌われなかった楽曲だけに驚いた。「フリー」は、帰ってCDを聞き直したが、断然ライヴの方がよかった。特にここでは20人近くの日本人コーラス隊を従えて歌ったので、迫力も満点。また曲のメッセージもいかにもスティーヴィーらしいものだった。

この日本人コーラス隊は、最後の「アナザー・スター」でも登場。スティーヴィーがステージを去ってから、さらにその後、8人くらいいたか、パーカッションと和太鼓のようなものを叩くプレイヤーたちが登場し、バンドのパーカッション奏者たちと、コール&レスポンスを繰り広げた。このうちのひとりは日本人のヒダノ修一さん、ほかにアフリカ、インド、ブラジル、アラブなどの打楽器奏者と、もともとのスティーヴィー・バンドのパーカッション奏者が一緒になって激しくリズム・バトルを見せた。

今回のバンドはパーカッションが2名を含めた13人編成。これにスティーヴィーだから14人。リズムを主体に考えられているのかとも感じた。ちなみに、今回のキーボードのひとり、ヴィクトリア・セオドーアは、2007年8月からスティーヴィー・バンドに参加したそうで、前回来日時にはいなかった。今回のバンドは、ベースのネイサン・ワッツ、コーラスのキース・ジョン、第一パーカッションのムニョンゴ・ジャクソンなどのほか、ドラムス、ギター、キーボード、コーラスらに新しいメンバーが入っていた。

ところでこの日は黒沢薫さんと一緒に行ったのだが、行く途中で「サマー・ソフト」みたいな、夏曲歌ってくれるといいね、などといろいろとスティーヴィー話に花が咲いた。ベストのCDをかけながら会場に向かったのだが、黒沢さんは、どの曲もCDにあわせて歌う歌う。ものによっては、ウクレレ持参で、ウクレレ弾きながら練習なう、絶好調であった。

ミュージシャン力50のアーティストが全力で100だしきっても、50点のステージだが、ミュージシャン力200のアーティストが60の力でやっても、120点になる、まさにそんな余裕を見せ付けたステージだった。

■スティーヴィー・ワンダー過去ライヴ評、関連記事

2007年前回ツアー総力取材

February 18, 2007
Stevie Wonder Live: Yokozuna Of Musician
http://blog.soulsearchin.com/archives/001594.html
(ここにさらに2003年時のライヴ評一覧なども)

February 19, 2007
Stevie Wonder: Day Two: "Because I Like It"
http://blog.soulsearchin.com/archives/001601.html

February 20, 2007
Stevie Wonder Live: Secret Of His Live Performance
【スティーヴィー・ライヴ、曲順の秘密】 
http://blog.soulsearchin.com/archives/001602.html

February 21, 2007
Stevie Wonder In Nagoya: Sings "Lately" Finally
http://blog.soulsearchin.com/archives/001603.html

February 23, 2007
Special Jam Night; Stevie Wonder’s Band: Music Is My Hobby
http://blog.soulsearchin.com/archives/001605.html

February 25, 2007
Stevie Wonder At Sendai: Show Dedicated To His Mother
http://blog.soulsearchin.com/archives/001607.html

February 28, 2007
Stevie Wonder Osaka Setlist: 4 Songs In A Row From "Innervisions"
http://blog.soulsearchin.com/archives/001610.html

March 01, 2007
Stevie Wonder Japan Tour: It Was A Mini "Innervisions" Tour
http://blog.soulsearchin.com/archives/001611.html

■スティーヴィー・ワンダー、最新ベストアルバム(3枚組み)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003OTLV3Y/soulsearchiho-22/ref=nosim/" name="amazletlink"

■メンバー

Stevie Wonder (vocal, keyboards)

Nathan Watts (bass/musical director)
Stanley (Rochil) Randolph (drums)
Errol Cooney (guitar)
Kyle (Jason) Bolden (guitar)
Roman (Lamar) Jackson (keyboards)
Victoria (Johannita) Theodore (keyboards)
Dwight (Lynn) Adams (Trumpet)
Ryan (Maurice) Kilgore (Sax)

(Darryl) Keith John (chorus)
Dejan (Lyne) Gomez-Woods (chorus)
LaNesha (Louise) Baca(chorus)

Darryl Munyungo Jackson (percussion)
Fausto Cuevas (percussion)

Guests performers:

Shuichi Hidaka (percussion)
Reel Taro?? (percussion)
Dulu?? (percussion)
?? (percussion)
Taro Marcus?? (percussion)
?? du yuri?? (percussion)
Amir Sofi (percussion)

Key Of Life Choir: about 20 Japanese singers

Muntaz Wonder (vocal)

To be confirmed:

Djamel Laroussi (percussion) ?
Martin O’Neill (percussion) ?
Parvinder Singh (percussion) ?

2 youngest son of Stevie

■セットリスト・ スティーヴィー・ワンダー、千葉マリーン・スタジアム 2010年8月8日(日)
Stevie Wonder Setlist: August 8, 2010, Chiba Marine Stadium

Show started 19:49
01.Harmonica Intro to My Eyes Don’t Cry
02.Master Blaster
03.We Can Work It Ou
04.If You Really Love Me
05.Medley (5-7)Ribbon In The Sky
06.Stay Gold
07.Lately
08.Empire State Of Mind (part of)(Stevie tried to let audience sing)
09.Higher Ground
10.Don’t You Worry ‘Bout A Thing
11.Living For The City
12.Sir Duke
13.Signed, Sealed, Delivered And I’m Yours
14.Sakura Sakura to Free
15.My Cherie Amour (with Muntaz)
16.I Just Called To Say I Love You
17.Superstition
18.Another Star to Happy Birthday
19.Drums and percussion play
Show ended 21:02
Fireworks

(2010年8月8日日曜、千葉マリーン・スタジアム=スティーヴィー・ワンダー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Wonder, Stevie
2010-122

◎ソロ・ライヴ~オールド・ソウルとニュースクールの交差点

【Solo Live At Billboard: Crossroad At Old School & New Classic Soul】

ソロ。

メンバーが叫ぶ。「are you ready for some soul?(ソウルの準備はいいか?)」オールド・スクールとニュー・クラシック・ソウルの交差点、ソロ。4人グループなのに、グループ名はソロ。そのソロの1996年、1998年以来12年ぶり3度目の来日。1996年の池袋アムラックス・ホールはもちろん見た。よく覚えている。ビルボードの客席は熱いソウル・ファンが多数集結。僕自身、ファースト・アルバムを大変愛聴し、そのライナーノーツを書いたことから特に思いいれも強いグループ。そのときダニエルに電話インタヴューをしたが、もちろん顔をあわせることはなかった。

さて、いきなり、オージェイズのフィリー・ソウル・クラシック「アイ・ラヴ・ミュージック」から始まり、アカペラでのメドレーへ突入。さらにそのアカペラ・サム・クック・メドレーの最後に2作目アルバムからの曲を、急遽追加で歌った。アカペラは、何でもどこでも曲目を自由自在に入れ替えられるからいい。

ジェラルド・リヴァート作の「メイク・ミー・ノウ・イット」(下記5)など、リヴァートばりの熱さ。ヴォーカル・グループ・ファンとしては、こういうシャウト系、暑苦しい系(褒め言葉です。英語で言うなら、hot & grittyあたりかな)が最近いないだけに、実に嬉しい。そして、そこからなだれ込む「A Change Is Gonna Come」。イントロで観客の興奮はマックスに。

途中のインスト曲の間に黒のスーツに着替え、まさにクラシック・ソウル・グループへ変身。いやあ、これだけオールド・ソウル・クラシックを歌ってくれれば、文句はない。「エクストラ」「へヴン」などファーストからの作品群は、時を経てもその魅力は変わらない。途中で観客からリクエストを募ったり、ライヴ自体、けっこう自由に曲を入れ替えできるようだ。

ライヴ後、ちょっとだけ挨拶に。現在、ニュー・アルバムを作っているとのこと。今考えているテーマは、「フィラデルフィア・ソウル」だそうで、テディー・ペンダーグラス、ハロルド・メルヴィン&ブルーノーツ、スタイリスティックス、オージェイズなどのヒットをカヴァーしたい、という。具体的な曲は、と尋ねると、まだそれは言えない、そうだ。ジョン・レジェンドが「ウェイク・アップ・エヴリバディー」をカヴァーした、というと、「あ、そうだった、あれは、もうできないね」と。最初は全曲カヴァー・アルバムを作ろうと考えたそうだが、それもなんなんで、オリジナル曲を2-3曲いれようかということになっている。ただ、まだプリプロダクションの段階で発売は来年あたりか。

プロデューサーは、複数起用する予定。名前を教えてくれたのは、レズ・レモン(マークスメン)、ビル・ブラス・アーヴィン、ボン・キャズ、ハムザ・リーなど。

ファースト・アルバムの古いソウルと新しいソウルのコンビネーションがものすごく気に入っている、と言ったら、「それがソロだ」と言った。

■ 傑作! ファースト・アルバム

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000012SZ/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■セカンド・アルバム

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000AFE4/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

ユニーク・マック / Eunique Mack(Vocals)
ドーネル・チェーヴァス / Darnell Chavis(Vocals)
ダニエル・ストークス / Danielle Stokes(Vocals)
ロバート・C・アンダーソン / Robert C. Anderson(Bass)

ジェイ・ピー・ディライア / J.P. DeLaire(MD/Keyboards/Saxophone)
ハムザ・リー / Hamza Lee(Keyboards)
マジック・リード / Majik Reed(Keyboards)
マリオ・ドーソン / Mario Dawson(Drums)

■セットリスト
Setlist : Solo, August 7, 2010, At Billboard Live Tokyo

show started 18:06
01. Intro : I Love Music
02. Acapella Medley : Under The Boardwalk – Another Saturday Night – Everybody Loves To Cha Cha Cha – Another Saturday Night – Everybody Loves To Cha Cha Cha – Cupid – Free Stylin All Da Woman
03. Touch Me (Biggie Intro)
04. Nights Like This
05. Make Me Know It
06. A Change Is Gonna Come
07. Band Instrumental (members changing clothes)
08. Love Zone : Love You Down
---. (Introducing band members) 
09. In Bed
10. Extra
11. (Last Night I Made Love) Like Never Before
12. I’ll Take You There - Heaven
Enc. Where Do You Want Me To Put It - Let’s Get It On – Where Do You Want Me To Put It
Show ended 19:13

(2010年8月7日土曜、ビルボードライブ東京=ソロ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Solo
2010-

●ボビー・へブ72歳で死去~「サニー」の大ヒット

【Bobby Hebb Dies At 72】

訃報。

1966年、「サニー」の世界的大ヒットで知られるシンガー・ソングライター、ボビー・へブが2010年8月3日、ナッシュヴィルのセンテニアル・メディカル・センターで死去した。72歳。肝臓癌だった。

「サニー」は、1963年11月に強盗に殺された兄について歌った作品で、物悲しい「サニー」は、兄を意味する。これは1966年に大ヒットし、その後、マーヴィン・ゲイ、ジェームス・ブラウン、フランク・シナトラ、ホセ・フェリシアーノ、ボニーMなど300以上のカヴァー・ヴァージョンが録音された。また、ヘブはソングライターとしてルー・ロウルズの「ア・ナチュラル・マン」を共作、グラミー賞も獲得している。

「サニー」誕生秘話。
2003/08/16 (Sat)
Sunny: Bobby Hebb Sings About His Brother
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030816.html

ボビー・ヘブは1938年(昭和13年)7月26日、テネシー州ナッシュヴィル生まれ。両親(ウィリアムとオヴァーラ・ヘブ)はともに盲目のミュージシャンだった。彼は6歳上の兄、ハロルド(ハル)とともに幼少の頃から、歌って踊るチームとして親とともに活動を始めた。これらの実績を背景に、ナッシュヴィルのカントリーのグランドオール・オプリーに参加。1955年には、一時期軍隊に入った。ケネディー大統領が暗殺された翌日(1963年11月23日)、ボビーの兄ハロルドが、ナッシュヴィルのクラブの外で強盗に襲われ死去。この悲しみを歌った作品が「サニー」となり、1966年に大ヒット。ボビーは一躍有名になる。その後、2005年に、35年ぶりにアルバムをリリース、2008年にいくつかの地域でツアーを行った。その一環で2008年10月には東京ミッドタウンのビルボードライブでライヴを行った。大道芸的なエンタテインメントからキャリアを始めたため、ビルボードライブのライヴでは、スプーンを使った芸を披露していた。

2008年10月31日(金)
「サニー」で有名なボビー・ヘブ・ライヴ
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081031.html

■「サニー」訳詞

「サニー」-ボビー・へブ (サニーを兄として訳してあります)

サニー、昨日、僕の人生は、大雨に降られたよ
サニー、兄貴が僕に微笑んでくれると、痛みも消えたものだ
兄貴が微笑んでくれると、暗い日が過ぎ去り、明るい日がやってくる
僕の輝く兄貴の微笑みは、純真そのもの
兄貴、本当に愛してるよ

サニー、太陽の花束をありがとう
サニー、兄貴が僕にくれた愛にありがとう
兄貴は、すべてを僕にくれた
兄貴のおかげで、10フィート(3メートル)も背が高くなった気分さ

サニー、僕に見させてくれた真実に感謝
サニー、僕に教えてくれたAからZまでのあらゆることに感謝
今、僕の人生は風に飛ばされる砂のようにこなごなだ
兄貴が僕の手を握ってくれたとき、二人の絆は硬く結ばれた

サニー、兄貴の微笑みよ、ありがとう
サニー、兄貴のその優雅なきらめきよ、ありがとう
兄貴は僕の燃える火の発火材
僕も兄貴みたいになりたいんだ
兄貴、本当に愛してるよ

(訳詞=ソウル・サーチャー)

■ 「サニー」収録のアルバム

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000FI8UIQ/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>OBITUARY>Hebb, Bobby (7/26/1938 – 8/3/2010, 72year old)

◎日帰りニューオーリンズの旅~ワイルド・マグノリアス・ライヴ

【One Day Trip To New Orleans: Wild Magnolias Live】

日帰り。

超久しぶり、ニューオーリンズのワイルド・マグノリアスのライヴ。僕が前回見たのが2004年10月なので、もう6年も前か。もう少し近かったような気がしたが。

ドラム、ギター、ベース、キーボード、パーカッションという5人編成バンドにヴォーカル3人、MC1人という布陣。ギターがわれらが山岸潤史、そして、キーボードに日本人女性鍵盤奏者ケイコ・コマキ。バンドメンバーは、ギイチ・ノーウッド・ジョンソンと山岸、ビッグ・チーフ・アルらを除いては、ほとんど新しいメンバーだという。大きなポイントは、メインのボー・ドリスがいないこと。前回来ていたボー・ドリス・ジュニアもいない。

2曲インストゥルメンタルを演奏してから、おもむろにビッグなスーツ(というより日本語では、着ぐるみ!)を着用して登場した3人のインディアン。ものすごいインパクトだ。それにしても、何度見てもこの大きな羽の衣装はすごい。青、黄緑、紫(濃い青)のインディアン衣装。そして、司会者役がネックレスやら、タンバリンなどを観客席に気前よく勢いよく放り投げる。祭りだ、パーティーだ、マルディグラだ。

それにしても、山岸の口をあけながら、ギターをプレイする姿にはしびれる。まさにニューオーリンズのライヴ・パーティー・バンド、面目躍如。細かいことは言わずに、踊って楽しませるバンドだ。

しかし、なぜかこの日は全体的に観客のノリが比較的静かな感じだった。2曲目のベースソロが長すぎたせいか?(笑) ボー・ドリスがいないからか。それともバンドのせいか。しかし、繰り返されるセカンド・ラインのリズムに、徐々に雰囲気にのまれていく。MCは、ライヴが終わるときに言った。「じゃあ、みんなマルディグラで会おう」 MCによると、彼らは毎年マルディグラの時期に、このスーツ(インディアン衣装)を新調するという。さかんに「マルディグラに来い」と叫ぶ。

あの衣装、楽しいニューオーリンズのリズム。客席からも漏れてくる小さなタンバリンの音、一瞬、ニューオーリンズに日帰り旅行に行ったような錯覚を起こさせてくれた。

彼らもまた事前のセットリストがない。そこで下記セットリストは、ライヴ後、山岸に聞いて作った。汗だくの山岸は、「もう何やったかなんて覚えとらへん(笑)」と上機嫌だったが、僕のメモを見ながら「ああ、これはあれ、これは~」と親切に教えてくれた。彼は帰国便を変更したかったが、夏休みでいっぱいのせいか、ビジネスしかあいておらず、追加で2000ドルかかると言われあきらめていた。そして、「これから(赤坂)ミラクルに繰り出す」と元気いっぱいだった。来週あたりから、今度は別のニューオーリンズのバンドでパリに飛ぶと言っていた。

■ワイルド・マグノリアス・ファースト

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005FMKK/soulsearchiho-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank

■『ライフ・イズ・カーニヴァル』(1999年作品)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000I7JN/soulsearchiho-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank


■前回ライヴ評

2004/10/16 (Sat)
Life Is Carnival, Their Live Is Addictive: Wild Magnolias Live
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200410/diary20041016.html

■メンバー

ノーウッド・ギイチ・ジョンソン / Norwood “Geechie” Johnson(Lead Vocals / Percussions)
ジュン・ヤマギシ / June Yamagishi(Guitar)
ベニー・タナー / Benny Turner(Bass)
ケイコ・コマキ / Keiko Komaki(Piano/Keyboards)
ジェフリー・アレキサンダー / Jeffrey Alexander(Drums)
ガイ・ア・ゲインズ / Guy A Gaines(Percussions)

ビッグ・チーフ・アル / Big Chief Al(Mardi Gras Indian Dancer/Vocals)
フラッグボーイ・スキーター / Flagboy Skeeter(Mardi Gras Indian Dancer/Vocals)
スパイボーイ・アレン / Spyboy Allen(Mardi Gras Indian Dancer/Vocals)

■セットリスト ワイルド・マグノリアス ビルボードライブ東京
Setlist : Wild Magnolias, August 5, 2010

Show started 21:33
01.Hideaway (Instrumental)
02.I’m Torn Down (Instrumental + Vocal by bass)
03.Iko Iko
04.Lil Liza Jane
05.Two-Way-Pak-E-Way
06.Party
07.Big Chief
08.New Suits
09.Smoke My Peace Pipe (Smoke It Right)
10.Wild Magnolias
11.Hey, Not Baby
Enc. Injuns, Here We Come
Show ended 23:13

(2010年8月5日木曜、ビルボードライブ東京=ワイルド・マグノリアス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Wild Magnolias

◎フィリップ・ウー&フレンズ・ライヴ(パート2): ケーブルテレビを無料で見る方法

【Philip Woo Live Part 2: The Day Philip And Ralph First Met】

初。

フィリップが、「それでは、自分が知っているもっとも素晴らしい、スピリチュアルなシンガーをご紹介しよう」と言って、名前を呼び上げたのが、なんとドラマーで、すでに何曲もこの日歌いこんでいたラルフ・ロールだった。そう呼ばれて、ラルフも誰のことかとひょーきんに驚いていた。

フィリップによればこうだ。「僕たちが知り合って25年以上経つと思うが、彼と一緒にいると笑いが絶えない。笑いはソウル(魂)にいいんだよLaughing is good for your soul」

すると、次の曲に行く前に、ラルフがジェフリーとの出会いを語った。

「僕もフィリップと初めて会ったときの話をしよう。もう20数年前のことだと思う。僕たちはそれぞれ別のシンガーのバンドで一緒にロードにでていた。フィリップはジェフリー・オズボーンのバンドで、僕は、今では誰も知らないであろうシンガーのバンドでね。ちなみにオラン・ジュース・ジョーンズっていうんだけど。(思わずここで、僕は『知ってるよ』と声をだした(笑))「I saw you walking in the rain」(ラルフが歌う) 僕たちは同じホテルに泊まっていた。いいか、25年前のことだ。そこで、お互い自己紹介して知り合った。最初に名前を名乗っていきなりフィリップは、「君は、ケーブルテレビのただ見のやりかた知ってるか」って言うんだよ。「もちろん、知らない」と答えた。すると、どっちかの部屋に行って、彼はケーブルテレビの裏の配線はごちょごちょやって、切ったりくっつけたりしたんだ。すると、この部屋でいくらケーブルテレビを見ても、誰かほかの部屋にチャージされる、というんだな。こいつは、すごい。彼はオレの一生の友達だって確信したよ(笑)」

ところで、一曲目などでトークボックスを聞かせた柿崎さん。ライヴ後、この話を聞いた。中学生の頃(14歳)、ジェフ・ベックのベック・ボガート&アピースが来日(1973年5月)したとき、ジェフ・ベックがトークボックスのようなものを使っていたのを見て、衝撃を受け、それを再現しようと考えた、という。

柿崎さん、相当機械に強いようで、そのステージで遠めに見たものから想像で似たようなものを作ったという。これはすごい。「機械オタクですか」と尋ねたら、笑いながら「オタクではありません、機械には好きで強いですが…」と応えた。

柿崎さんのトークボックスの基本的な仕組みを簡単に説明してもらった。「シンセサイザーの音をスピーカーからホースでひっぱってきて、それを口につっこみ、口の音と合わせてマイクで拾う。それを外に出す」 ヴォコーダーとはちょっとまた違うという。「その昔は、イヤホンを口の中にいれてしゃべってたりしたんです」とも。もうこのトークボックスは、長い間やっているそうだ。「頭の血がなくなってしまうか、相当、頭の細胞、つぶれてます(笑)」 これをやると、みな頭が強烈な酸欠になるらしい。

さて、久保田バンドでも活躍するオリヴィア・バレルがスティーヴィーの「ドンチュー・ウォーリー・バウト・ア・シング」を。何度も聴いたことはあったが、人前で歌うのは初めて、と説明してから歌った。控え室では一生懸命歌詞カードを覚えていたが、本番ではカードなしで歌えたようだ。さすが。オリヴィアも9月22日に中目黒・楽屋(らくや)で久々のソロ・ライヴを行う。

最後のアンコールは、出演者全員に観客で来ていたシャンティもステージにあがり、スライの「サンキュー」を大合唱。エンディングでは、バンド演奏も終わり、「thank you」のフレーズを全員アカペラで歌いながら、楽屋に引き上げていった。お見事。

以下、この日の出演者の今後のライヴ予定とニュース。みんなそれぞれ大活躍中だ。

■ ブレンダ・ヴォーンの新曲、映画に使用される

ブレンダが新しく録音し、まもなく配信でリリースされる作品「Worst Is Over」
が、アメリカのインディ映画『N Secure(インセキュアー)』に使用されることになった。同映画のサウンドトラックにも収録される。この映画は今年秋(10月か11月ごろ)から全米600館で公開予定。

またこのシングル・リリースの後、2011年早い時期にアルバム、また書籍(自伝)も出すために準備をしている、という。

■メンバー・今後のライヴ予定 

BRENDA VAUGHN  2010年8月6日(金) @銀座スイング
「スーパー・ソウルフルライブ」~ジャズ、ソウル、ファンク、そしてゴスペル、最高のグルーヴィナイト!~
b. 坂本竜太  g. 松田肇  p.新澤健一郎  dr. 中沢剛  vo. ブレンダ・ヴォーン
open 18:00 1st show 19:00- 2nd show 21:00- (入替なし)
チャージ 3680円(別途ワンフード&ワンドリンクのオーダー)
銀座SWING/中央区西銀座2−2 銀座INZ-2 2F /TEL 03-3563-3757

西山‘HANK’史翁 2010年8月11日(水)@四谷三丁目Mebius
UNKNOWN MOOD SPECIAL
http://hank711.blog134.fc2.com/
http://www.mebius-yotsuya.jp/

西山‘HANK’史翁  2010年8月14日(土)  @吉祥寺Sometime
Marty & Friends Special Guest Paul Jackson
後藤輝夫(sax)、羽仁知治(p)、西山"HANK"史翁(g)、Wornell Jones(b)、
Marty Bracey (ds) スペシャル・ゲスト:Paul Jackson (vo,b)
http://hank711.blog134.fc2.com/
http://www.sometime.co.jp/sometime/

西山‘HANK’史翁 2010年8月16日(月) @横浜モーション・ブルー・ヨコハマ
Marty & Friends Special Guest Paul Jackson
http://hank711.blog134.fc2.com/
http://www.motionblue.co.jp/

YURI 2010年8月19日(木)ライヴ @代官山ループ
http://plaza.rakuten.co.jp/divafresh/
http://www.live-loop.com/live.html

PHILIP WOO 2010年8 月20日 ライヴ@四谷メビウス
http://blog.goo.ne.jp/philipwoo/
http://www.mebius-yotsuya.jp/

西山‘HANK’史翁2010年8月21日(土) @銀座山野楽器本店7Fイベントスペース“JamSpot”
小沼ようすけ&SHANTIスペシャル・ライヴ *要招待券18:00~
Shanti(Vo)小沼ようすけ(G)西山Hank史翁(G)

MARU 2010年9月1日(木) ライヴ@渋谷プラグ
http://www.marudiva.com/
http://marudiva.sblo.jp/
http://www.shibuya-plug.tv/top.html

OLIVIA 2010年9月22日(水)中目黒楽屋
http://moreolivia.blogspot.com/
http://www.rakuya.net/

YURI 2010年9月28日(火)ライヴ(リリース・ライヴ)
http://plaza.rakuten.co.jp/divafresh/

BRENDA VAUGHN 2010年10月26日(火)ブルース・アレイ
http://www.brendavaughn.com/
http://www.bluesalley.co.jp/

OLIVIA 2010年11月22日(月)下北沢440
http://moreolivia.blogspot.com/
http://www.club251.co.jp/440/

BRENDA VAUGHN 2010年12月28日(火)ブルース・アレイ
http://www.brendavaughn.com/
http://www.bluesalley.co.jp/

KORAN DANIELS (Sax)毎週月曜日 日本橋マンダリンホテル37階夜8時10分、9時10分、10時10分、11時10分。いずれも40分ステージ。インストゥルメンタル・トリオ
http://www.mandarinoriental.co.jp/tokyo/

■メンバーブログなど

フィリップ・ウー
http://philipwoo.jp/default.aspx

ラルフ・ロール
http://web.mac.com/phatkatproductions/Ralph_Rolle/Welcome.html

クリフ・アーチャー
http://www.myspace.com/cliffordarcher

西山‘HANK’史翁
http://hank711.blog134.fc2.com/

ゲイリー・アドキンス
http://www.garyadkins.com/

柿崎洋一郎
http://blogs.yahoo.co.jp/dogsoul_k

ENT>MUSIC>LIVE>Woo, Philip

◎フィリップ・ウー&フレンズ・ライヴ(パート1): 東京ナンバーワン・ソウルフル・ナイト ~ おばあちゃんの手の思い出

(YMN納涼ソウル放談パート4は、明日以降におおくりします)

【Philip Woo & Friends Live : The Story Of Grandma’s Hands】

ソウル。

フィリップ・ウーが久保田利伸バンドのメンバーらと一夜限りのソウル・ミュージック・セッション。この趣旨の企画は、前回久保田ツアー2006年時に同様の試みを行っていたので、4年ぶり。

気心知れた仲間たち、そしてミュージシャンみんなが知っている曲ばかり、ということで、特にリハーサル日を設けることなく、当日のリハだけでできてしまうところが、毎度感心する。今回はシンガーも多く、さまざまなヴァリエーションでソウル・ヒットがこれでもかこれでもかと登場。1970年代からのソウル・ミュージック好きにはたまらない。しかも、これが東京のライヴハウスで聞くことができるなんて、本当に嬉しい。

多くの曲でドラムのラルフが喉を聞かせ、そのほかの曲でブレンダ・ヴォーン、ユリ、ゲイリー・アドキンス、そしてオリヴィアがリードを取った。まさに東京ソウル・ショー、東京ニューヨークのソウルパワーだ。

ファースト1曲目、いきなりキーボードの柿崎さんがトークボックスで、ロジャーばりにロジャーの「カリフォルニア・ラヴ」をやりだし、度肝を抜かされた。ブレンダが歌うゴスペル曲「ゴーイング・オヴァー・ヨンダー」は、聴きなれたせいかブレンダの持ち歌のようにさえ聴こえる。お見事。

そして、驚かされたのが、ゲイリーが突然呼び出されフィリップのピアノ一本バックで歌った下記セットリスト5の「アット・ディス・モーメント」。ゲイリーが歌っている間誰か思い出せず、彼が戻ってきて尋ねたら、ビリー・ヴェラだとの答え。そうだ! あのブルーアイド・ソウル・シンガー、ビリー・ヴェラ&ザ・ビーターズのヒット。名曲である。なんでもゲイリーが昔からこの曲を好きで、フィリップとよくやっていたという。だから、リハなしでもすぐにその場でできた。

ゲイリーに、ビリー・ヴェラがジュディー・クレイと歌ったヒット曲は知ってるかと聞くと、知らない、という。そこでゲイリーのアイフォンですかさず検索。その曲、「ストーリーブック・チルドレン」が出てきて、彼はさっそくダウンロードしていた。そこで、ビリー・ヴェラについて、彼に少し解説してしまった。この曲は、日本のアルファ・レコードで成功した村井さんらが、アルファUSAを作って、契約して出したヒット曲。ビリー・ヴェラはジュディー・クレイとのデュエット・ヒットを出したが、当時60年代は異人種間カップルということで、大変だったこと。ビリーは基本的にはソングライターだがR&B音楽について詳しく、その後、ブルーノートで制作の仕事もする、などという話をした。ゲイリーも、最初聞いたときは、黒人だと思ったという。僕もそれこそ20年以上ぶりに聴いた。

■「グランドマズ・ハンド」の思い出

そして、さらに印象に残ったのはセカンド、「グランドマズ・ハンズ(おばあちゃんの手)」のところ。フィリップが祖母の話をしてから、ブレンダが客席後方からノーマイクで実にブルージーに歌いながら、ステージにあがり、そこでバンドが入ると、今度はメロディーに乗せてブレンダも自分の祖母の話をすこしして、「グランドマズ・ハンド」(ビル・ウィザース)を歌い始めた。

フィリップはこんな思い出話をした。「僕が12歳の頃、いっしょによく遊んでいた友達2人といつもいろんなライヴを見に行っていた。マディー・ウォーターズ、シカゴ、ジョー・コッカー、スティーヴ・ミラー・バンド、タジ・マハール、タワー・オブ・パワー、デイヴィッド・サンボーンがポール・バターフィールドと一緒にやってた頃、BBキング…。ありとあらゆるアーティストを見に行った。ライヴが終わると僕たちは、おばあちゃんがやっていたカフェに遊びに行ったものだ。スキッドローという地域にあった。兵隊や海の男たちが出向いて、一杯ひっかけ、そんな酔っ払いばかりがいるような地域だ。おばあちゃんのチャイニーズ・カフェは、シャングリラーズという名だった。ライヴ後に行くので、いつも夜中の12時半くらいになっていた。おばあちゃんはよく言っていた。『あんたたち、12歳の子供がこんな12時半に何やってんの』 

でもおばあちゃんは僕たちに冷たいコーラと温かいシュリンプ・フライド・ライス(エビ・チャーハン)を大きなボールいっぱい作ってくれたんだ。僕たちはそのフライド・ライスを食べ、冷たい昔ながらのコーラを飲む。そして、2時過ぎになるだろうか。帰り際に、おばあちゃんはいつも、4ドルを何かに包んでその手から僕のポケットにぎゅっと押し込んでくれるんだ。そして、耳元でおばあちゃんはいつも言う。『おじいちゃんには内緒だよ』(観客から笑い) そう、僕にとってのおばあちゃんの手(Grandama’s Hands)っていうのは、その4ドルをくれる手なんだ。祖母は僕のことをとても愛してくれていた。おばあちゃん、愛してるよ」 

そして、しゃべり終えるとフィリップはおもむろにブルージーなハーモニカを吹き出した。それにあわせ、客席後方からブレンダのgrandma’s handsという生声が聞こえてきた! ブレンダの声がだんだん近づいてきて、僕の横を通り、ステージに進んでいった。ステージまではノーマイク。ステージに上がるとマイクをとる。するとバンドは曲のイントロを演奏し始めていた。今度は、ブレンダが「私のおばあちゃんは、今、96歳でミシシッピーで元気にしています~」といったことをメロディーに乗せて歌いだしたのだ。そして、曲本編へ。すばらしい歌唱、いやあ、感動した。

ブレンダは曲が終わり、「私のグランマは、めちゃくちゃ元気なんですが、さびしいんです。96歳で、友達という友達がみんな先に亡くなっていて孤独なんです。電話をすると、日本ではまだライス(米)を食べているのか、みんな着物をきているのか、といわれる。(笑) 彼女にとっての日本はいまでも米と着物なの(笑)」といった話をした。

フィリップにライヴ後に「なぜいつも4ドルなの?」と尋ねた。「さあ、わからないな。たぶん、4ドルをふたつに折ると、たくさんお金があるように見えたからじゃないか。でも、12歳にとっての4ドルはビッグマネーだよ」ちなみにこの祖母は、フィリップの母方の祖母だそうだ。

確かに5ドル札だと1枚になってしまう。4ドルだったら、ふたつに折れば8枚に見える。チャイニーズの知恵かもしれない。いい話ではないか。

おそらく、誰にでもあるようなちょっとした祖母の話、そして、そこから歌われたビル・ウィザースの「グランドマズ・ハンド」。いつになく、この曲の魅力が伝わってきた。

(この後、ラルフ・ロールがフィリップと初めて出会ったときの話をします)

(この項、続く)

■ ビル・ウィザース 『ベスト』 「グランドマズ・ハンズ」収録

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00004THKR/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■前回の久保田バンド、ニューヨーク・オールスターズのときのライヴ評

July 13, 2006
Philip Woo Band: So Tight, So Funky
http://soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_13.html

July 21, 2006
Philip Woo & New York Allstars: Don’t Leave Me This Way (Japanese Version)
http://soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_21.html

同じく英語版。セットリストなど↓
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_20.html

■今回メンバー

Philip Woo Presents“TOKYO+N.Y.=SOUL POWER!”

(Pf/HAMMOND B-3/Fender Rhodes/Synth) Philip Woo (Vo) Brenda Vaughn (Ds/Vo) Ralph Rolle (B) Cliff Archer (Key) 柿崎洋一郎 (G) 西山‘HANK’史翁 (Sax) Koran Daniels
(Vo) Yuri Kamino, Gary Adkins, Olivia Burrell

■ セットリスト
Setlist : Philip Woo Presents Tokyo & New York = Soul Power, August 3rd, 2010, Blues Alley Meguro

( )= original artist
[ ]= tonight’s lead singer

show started 19:42
01. California Love (Roger) [Kakizaki on talkbox]
02. Give Me Your Love (Curtis Mayfield) [Ralph]
03. Let’s Stay Together (Al Green) [Ralph]
04. Going Over Yonder (Hawkins Family) [Brenda Vaughn]
05. At This Moment (Billy Vera) [Gary Adkins]
06. You Got The Love (Rufus/Chaka Kahn) [Yuri]
07. I’ll Take You There (Staple Singers) [Brenda Vaughn]
Performance ended 20:46

Second set

Performance started 20:21
08. Everything Is Everything (Donny Hathawy) [Philip]
09. Groovin (Rascals) [Ralph]
10. Grand ma’s Hand (Bill Withers) [Brenda]
11. It’s A Man’s Man’s Man’s World (James Brown) [Brenda + Ralph +Gary + Olivia +Yuri]
12. La La La Means I Love You (Delfonics) [Gary Adkins + Lyn? & Kamata Mizuki]
13. People Get Ready (Impressions) [Ralph]
14. Don’t You Worry ‘Bout A Thing (Stevie Wonder) [Olivia Burrell]
15. I’ll Be Around (Spinners) [Ralph]
16. Them Changes (Buddy Miles) [Brenda]
Enc. Thank You (Sly & Family Stone) [All + Shanti]
Show ended 23:04

(2010年8月3日火曜、目黒ブルース・アレイ=フィリップ・ウー&フレンズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Woo, Philip
2010-118


○YMN参集~松尾潔・中田亮・吉岡正晴~YMN納涼ソウル放談(パート3)

【Yoshioka, Matsuo & Nakata: YMN Summit: Dinner With Soul Talking (Part 3)】

ソウル放談。

昨日のパート2が大変好評だったので、この「ソウル放談」、今日も文字起こししてみます。(笑) けっこう大変なんですよ。(笑) 昨日のまでは、大体メモと記憶でぱーっと書いちゃったんですが、今日のは少しテープを聴きなおして、ポイントを書こうかな、と。山下達郎さんの番組の「納涼夫婦放談」から拝借して、勝手に「YMN納涼ソウル放談」と題してみました。

別にこの日の食事会はテーマも何もなく、ただ食事でも、という趣旨だったんですが、それでも濃い話になりそうな予感はあったので、僕は、「ただの食事会」に、よりによってジョエル・ウィットバーン(マーヴァ・ホイットニー的な発音で行けば、ジョエル・ホイットバーンか。しかし、Whitney, WhitburnとかWhiはホイとか、ウイとか表記がブレますなあ。ノーマン・ホイットフィールドがよく見かける表記ですが、僕はウィットフィールドで書くことも多い。迷う、ぶれる=脱線失礼)の「ホットR&Bシングルス」の本を持ってきました。

現在はほぼ絶版で、たぶん、新しいのがもう少しでリリースされると思うので、下記は買い時ではありません。一応、持ち込んだのが、これ、という参考画像ということで↓

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0898201608/soulsearchiho-22/ref=nosim/

たまたま中田さんがこの本の存在をご存知なかったので、軽くこのチャート本について解説するところから話が進みました。

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■ ジョエル・ウィットバーンのチャート本

チャート。

中田さん。「この人、ジョエル・ウィットバーンはR&Bチャートだけやってるんですか?」 「いや、あらゆるジャンル、やってます。ポップ、R&B、カントリー…」 「ひょっとして、この人、ジェームス・ブラウンのドキュメンタリーに出てきた人じゃないですか。めちゃくちゃ早口で~」 「あれ、それは覚えてないけど、そうなんだ。R&Bのシングルもアルバムもあります」 

松尾さん。「僕もこれ、改訂版が出るたびに買ってます。ただこういう本の形態としては、これあたりが最後になるんじゃないかと思いますね。そもそもこういう本って、別に読んで楽しむっていうものでもないので、一番ウェッブにむいてますよね。クリックすればすぐにアルバム(を買い)に行けるとかね。ただどうやって課金するかっていうのは別に問題としてあるでしょうけどね」

「確かCDロムで売り出してるんじゃないかなあ」と僕。「メンバーになると使えるとか」と中田さん。松尾さん。「日本でもオリコンあたりがこういうのを作ればいいと思うんだけど、なかなか出てこないですねえ。ま、ビルボードのチャート自体が、エアプレイだけで1位になったりする時代だけにね…」

松尾さん。「いやあ、これはラジオの仕事とかしてると、必携なんですが、この本の唯一のウイークポイントは、チャートインしたときの日付は書かれてますが、1位にならない限り、何年何月何日に最高位を獲得したかわからないんですよね。たとえばね、90年代、ボーイズ・トゥ・メンが異常に強かったときに、TLCの『ベイビー・ベイビー・ベイビー』は2位を6週間(ポップ・チャートでのこと)とか続けてるんですよ。だけど、(この本からは)いつからいつまで2位だったか、わからないんですよ。いつ(どの曲と)争っていたのか、もしかしたら(その曲がなければ)1位になれたかもしれない、というのがわからない。でも、このあたりは、デジタルだったら簡単にできますよね」

■ 楽曲のロンジェヴィティー(息の長さ)

ロンジェヴィティー。

「音楽制作者だと、曲のロンジェヴィティー(長期性、息の長さ)、寿命みたいなものを考えますよね。日本だと最初の週に1位初登場して、あとは落ちるみたいなことがありますけど。じわじわと上がっていき、どれくらいロングテールで生き延びたか、なんていうのは興味ありますよね。たとえば、グレン・ジョーンズの『アイヴ・ビーン・サーチン』なんて曲は、年間通してやたら売れてたりしてたんですよ。ジョンBの『ゼイ・ドント・ノウ』とか、『アー・ユー・スティル・ダウン』とかも、やたら長く売れてたんですよ。これらは1位は取ってないのに、年間チャートでは相当上位に来てるんですよ。でもそのあたりは、うまく読み取らないといけない」

さっそく、その場でチェック。グレン・ジョーンズ、これは1992年のヒットで、チャートに30週入って最高位8位、ジョンBは「ゼイ・ドント・ノウ」が1998年のヒットで42週チャートインして最高位2位。「アー・ユー・スティル・ダウン」も1998年で48週チャートインして最高位9位、TLCは、ポップで6週間2位。松尾さん、よく覚えてるなあ。

吉岡。「そうそう、だからチャート自体は全部、いるんですよ。(笑) 当時はR&Bチャートとポップ・チャート、毎週1枚ずつコピーしてチャートだけのものを持ってました」 「だったら、この本、いらなくなっちゃうって話じゃないですか?(笑)」 「いやいや、そんなことはないです。毎週のチャートもいるし、この本もいる(笑)」 「あ、そうか…(笑)」 「チャート1年分でもたいしたことないですよ。(と1センチくらいの厚さを指で示す) でも、10年分になると、けっこう重くなります。(笑) だから、この本でいつ初登場したか目星つけて、チャート本体を調べる、って形ですね」

吉岡。「というのは、つい最近までなんですよ。最近はグーグルでチャート自体がけっこう探せるんですよ。どこからどこまで入力されてるかはわからないんですけど、けっこう意外とでてきますよ」 中田。「あ、そうだ、この前、グーグルで調べてたら、(ブラック雑誌の)エボニーの昔のがでてきて、その広告でジェームス・ブラウンのツアー広告なんかが出てました。僕、ジェームス・ブラウンの年表、趣味で作ってるんですけど、その広告から何年何月何日にどこでライヴやったとかけっこうわかりましたね」 松尾。「それ、趣味じゃないでしょう。(笑) しかし、あのグーグルってどんどん強気で何でもやってますけど、あれは何であんなに強気なんですかねえ」 吉岡。「さあ、わからないんだけど、最初にやっちゃえば、後から既得権でなんとかなるだろう、みたいな感じじゃないんですかねえ、ユーチューブと一緒じゃない?(笑)」 松尾。「有線放送が先に電信柱、使っちゃえばいい、みたいな(笑)」吉岡。「ところで、中田さん、JB年表、『マイケル・ジャクソン全記録』みたいに本にできますよ、やりましょうよ(笑)」 

■ 名声のロンジェヴィティー(継続性)

前菜。

松尾。「ジェームス・ブラウンっていうのは、黒人音楽の歴史におけるピカソみたいなものだと思うんですよ。サム・クック、ジャッキー・ウィルソン、オーティス・レディングとかにしても、70歳代で新作出してないわけでしょう。若くして死んでるわけだし。だけどJBはそれくらいやってた。そういう意味で、ピカソ」 中田。「そういう意味でいえば、マイケル・ジャクソンも長い活動歴がありますよね。デビューが若かった、ということもありますからね。ま、リトル・リチャードもBBキングもすごいですけどね。今は、レイ・チャールズ亡くなっちゃったから」 

松尾。「今、BBキングが仮に死んでも、あの店(BBキング・ライヴハウスのこと)は残りますよね。あれが、成功したというのはすごいですよね。イギリスのジャズシーンにサックス奏者でロニー・スコットという人がいますけど、ウェストエンドに『ロニー・スコッツ』という店やってるんですよね。お店が(東京の)ビルボードライブやブルーノートみたいなもので、そういう店があると、名声のロンジェヴィティー(永続性)がでてきますよね。ロニー・スコッツは僕は好きでイギリス行くたびに行ってるんですけど、それこそ、ライヴが終わったあと、ミュージシャンたちと話ができたりという雰囲気がいいですよね。ロイ・エアーズと初めて話をしたのも、そこでしたね。キャパは300人くらいかな。あんまりおしゃれじゃなくて、作りがダサくていいんですよ。で、ロニー・スコットが亡くなったのは十年以上前(1927年1月28日生まれ、1996年12月23日死去)ですが、このところまた名前が取りざたされてて、なぜかというと、ロニー・スコットの昔のガール・フレンドの孫がエイミー・ワインハウスなんですって(笑)」

「エイミー・ワインハウスが二枚目でブレイクしたときに、ブルーノートスケールでジャズっぽいね、っていう話になって、実はエイミーのおばあちゃんがロニー・スコットのガール・フレンドだったという話だったんですね。妙に、ジャズっぽさの裏打ちする話になってたんですよね」

まだまだ食事は前菜1品目。果たしてどこまで続くのか。

■ TLC 「ベイビー・ベイビー・ベイビー」収録。ボーイズ・トゥ・メンの「エンド・オブ・ザ・ロード」に阻まれ、ポップで1位になれず

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005EG1B/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ BBキングとエリック・クラプトン

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HH08/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ エイミー・ワインハウス ジャズの流れを汲むエイミー。「リハブ」が超大ヒット

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001P9KUNC/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>ESSAY>YMN Summit


○YMN参集~松尾潔・中田亮・吉岡正晴(パート2)~マーヴァ・ホイットニーが語るジェームス・ブラウン・エピソード

【Yoshioka, Matsuo & Nakata: Dinner With Soul Talking (Part 2)】

(昨日からの続き)

マーヴァ。

「ソウル・ドレッシング」は壁にアーニー・バーンズの作品や新進気鋭のアーティストの作品などが額装されている。ここは2008年7月29日に開店して2010年7月29日にちょうど2年になった。(訪問したのは30日) 札幌の名ソウルバーの名前を冠したレストランだ。

後半おもしろかったのが、中田さんがてがけたジェームス・ブラウン・ファミリーのディーヴァ、マーヴァ・ホイットニーとのさまざまな話。中田さんは、ご存知の通りオーサカ=モノレールというJBファンクを伝承するバンドをやっている。その彼は1960年代にブラウン・ファミリーで活躍したディーヴァ、マーヴァ・ホイットニーのアルバムをプロデュース、2006年に日本発売、ツアーも敢行した。その過程で中田さんは多くの時間をマーヴァと過ごし、さまざまな話を彼女から聞いた。それまで、ジェームス・ブラウンについては、レコード、CD、ビデオと本くらいでしか情報を得ていなかったが、貴重な一次情報をふんだんに入手することができた。マーヴァによるジェームス・ブラウン像というものを中田さんが知り、そのあたりから、それまで持っていたブラウン像が変化していったという話になった。

■Call The General

中田さんの話。「(2006年6月に)マーヴァ・ホイットニーと沖縄ツアーに行ったときのことです。ちょうど、基地のアウトドアでもライヴを行う予定だったんですが(こちらはメインではなかった)、雨で急遽中止になって、メインでブッキングしていたライヴ・ハウスだけでやることになった。(ちなみに、このムンドというライヴハウスは今は閉店してしまったが、血のにじむような努力をして沖縄に良質の音楽を届けていた。マーヴァのライヴも大変助けていただいた) チケットは思ったほど売れてなかったんです。あんまり客も来てないから、少し開演を遅らせようということになった。で、それをマーヴァに言いに行ったんです。すると、マーヴァが『あたしたちは、沖縄にいるんだろ。ここ、沖縄は米軍の基地があるんだよね』『はい』『何人くらいいるんだ、兵隊は?』『さあ』『10万人か20万人くらいいるのか』『いやあ、そこまでは…』すると、マーヴァがいきなり『Call The General(将軍に電話しろ)』って言うんですよ。『マーヴァが今、沖縄にいる。レジェンダリー・ソウル・ショーをやるから、ソウルミュージックを聴きたい人は行くように』と基地内の放送で言ってもらえと。一応、地元の人に連絡取ってもらったんですが、なかなか放送とかもできなくて、しかも、もう開演30分くらい前の急な話だったんで、ジェネラルには電話できなかったんですけどね。自分的には、あのマーヴァの『コール・ザ・ジェネラル(将軍に電話しろ)』っていうのが、ま、いまどきの日本にはない概念で、60年代にヴェトナム戦争に行った人ならではの発言で、60年代にあこがれてる若造としては、めちゃ盛り上がったんですよ」

しかし、現実離れした話ですばらしい。(笑) ヴェトナム戦争に慰問に行ったときの話などもいろいろ聞いたという。中田さんは同年、マーヴァとヨーロッパ・ツアーも行った。

「マーヴァとヨーロッパ・ツアーに出たときのことです。マーヴァは、とにかく、昔ジェームス・ブラウンの自家用飛行機で旅をしていたこともあるくらいで、めちゃくちゃお嬢様。それに荷物がものすごく多いんです。たった6回の公演で、靴と洋服だけででっかいスーツケース3つもあるんですよ。それも日本じゃ売ってないような、超でかいスーツケースですよ。当然、飛行機では超過料金取られますよ。それは、僕が払うんで。(笑) だから、マーヴァに『荷物、多すぎるから少し減らしてくれ』って言ったんです。そうしたら、『リョー、今日ステージに立って、その同じ服や靴履いて翌日も写真撮られてそれがインターネットにでも流れてみ。あいつ、同じのしかもってないぞってバカにされるぞ。ジェームスは、楽屋にこんなに(両手をぐっと広げる)靴並べてたんだ。だからこれくらい必要なんだ。お前も、ちゃんと毎日違うもん着ろ』って言われたんですよ。なんでも、ジェームスが話の基準なんです(笑)。 あたしは、ミュージック・ビジネスのことをみんなジェームスから教わった。だから、今、あたしがあんた(中田さんのこと)に教えてやっとるんだ(笑)」

■グーで顔面

「あるとき、まだマーヴァがジェームス・ブラウン・レヴューにいたときのことです。(JBズのメンバー)ピー・ウィー・エリスとマーヴァが遊びで一緒に並んで、ハモンド・オルガンを弾いてたんだそうです。オルガン椅子ってこう、長いでしょう。そこに2人並んで。そうして楽屋に戻って二人きりになったら、いきなりブラウンからグーで顔面が~んと殴られたんだって。『お前、何やってんのや』って。『ジェームス・ブラウンの女が、その部下と一緒にオルガン弾いてるとは何事か』ってことなんでしょうね。すげえと思いましたよ。

それを聞いて、「JBってのは、狭量な男だなあ(笑)」と松尾さん。「まあ、ある意味、自らの小ささを知っていたからこそ、あれくらいの大きなことができたってことなのかもしれませんね」

中田さん。「付け加えると、実は『マーヴァ・ホイットニーはスターなので、バンドメンバーと仲良くしてはいけない』んですよ。基本的にマーヴァは、バンドメンバーと無駄話をすることを禁じられていたんです」

アイク&ティナ・ターナーの2人の関係を彷彿とさせるエピソードだ。

ジェームス・ブラウンの人心掌握術は、僕はかねてから田中角栄と似ているものを感じていた。そのあたりは、3人の意見が一致。中田さんから、マーヴァによるブラウンの人心掌握術の話も。

それによるとこうだ。たとえば、メイシオなんかが、待遇が悪い、ギャラが低いなどと文句を言うとブラウンは彼をクビにする。何ヶ月か経って、誰かにメイシオはどうしてるか調べて来いという。調べてきて報告する。田舎(生まれ故郷)で、たいして仕事はないみたいですよ、と。ブラウンはただ聞く。それからまた何ヶ月か経って、奴はどうしてるか、調べて来いという。スタッフが調べてきて、報告する。仕事はないみたいで、たいしたことはしてないみたいですよ、と。ブラウンは動かない。それからまた何ヶ月かしてスタッフに調べて来いという。仕事がなくてかなり生活にも困窮してるみたいですよ、と報告があがる。ブラウンはただ聞くだけ。そして何ヶ月か経ってまた調べさせる。かなり生活に困窮しているみたいで、自分の楽器を売ったか質屋にいれたみたいです、と。すると、そこでやっとブラウンは彼に電話する。「どうしてる? 戻りたいか?」 相手は「戻りたいです」と言う。そこで、ブラウンは以前の給料より安い値段でその男を再び雇い入れるのだ。ブラウンによれば、「余計な金をやると、ロクなことはない」という。すごいしめつけだ。

そういうこともあって、ブラウン・キャンプの人間は、出たり入ったりがひじょうに多い。一度クビになっても戻ってくることが繰り返される。まさにブラウン流ショー・ビジネスの掟だ。

これを聴いて、僕はジョージ・クリントンが同じようなボス的存在だということを感じた。そして、そのブラウンのミュージシャン掌握術が唯一きかなかったのが、ブッツィー・コリンズだという話をした。ブッツィーはクビになっても、若かったこともあり、また、シンシナティーでは実家に住んでいたこともあったのか経済的に困窮しなかったのか、あるいは、ミュージシャン仕事がすぐに次々入ってきたこともあってか、ブラウンの元には戻らなかった。それまでのブラウン・キャンプのミュージシャンより一世代若かったということも若干メンタリティー的に違ったのだろう。

■ ブラウンの教え

マーヴァも人に対するときに、ブラウンだったらこうするであろう、ということをやってくる、という。ブラウン仕込みということか。そして、マーヴァは、自分はブラウンからクビになったとは決して言わない。必ず「自分から辞めたんだ」と言うそうだ。

マーヴァは、一時期、往年のグループ、プラターズに入っていたこともあるという。松尾さんは、NHK-BSで『エンタテインメント・ニュース』の番組をやっていた頃、プラターズにインタヴューし、ライヴを渋谷公会堂でも見たことがある、という。たぶん、その中にマーヴァがいたような気がする、という。

「マーヴァは絶対同じライヴで、女性シンガーと一緒にやるのを嫌いましたね。同じショーでは、女性シンガーとは同じステージには立たなかった。相手の女性シンガーがどんな格下の新人でもね。で、言うんですよ、『リョー、お前、たとえばジョー・テックスと一緒のステージに出るか?』って。僕は、正直、ぜんぜん気にしないで出られるんですけど、その場では『いえ、出れません』って答えたんですけどね。(笑)」(中田さん) そのステージではあくまでワン・アンド・オンリーでなければプライドが許さないのだろう。

松尾さん。「まあ、いっときでも(マーヴァが)ジェームス・ブラウンの寵愛(ちょうあい)を受けたということは、私は一時期でも黒人音楽界のファースト・レイディーでもあった、と思ってるんでしょうね」

僕。「確かに。となると、マーヴァの中に、自分が落ち目という意識とかはぜんぜんないの?」 中田さん。「ぜんぜんありますよ。(笑) たとえば、グラディス・ナイトはええよなあ、一年365日、ラスヴェガスでショーができて~。あそこは家族でマネージメントやってるから、家族全員が潤って、金たくさん入って、あれは最高や、みたいに言ってます。おもしろいのは、アレサ・フランクリンとか、グラディスとかと、(自分を)基本的に並列に捉えてる。もちろんアレサが自分よりも歌がうまいということはわかってるんですよ。でも、それまでにいたるチャンスとかめぐり合わせとか、そういうのがいろいろあって、自分があそこまで行けたかどうかはわからんやけど、というのもあるんですよね。そうやって、(彼女たちと)並列に語るんで、そういうの聴いてると、僕もジェームス・ブラウンなれるのかって思っちゃったりもします(爆笑)」

(この項、もう少し続くかも)

■マーヴァ・ホイットニー(オーサカ=モノレールと)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000K2VFPC/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ マーヴァ・ホイットニー唯一の日本ライヴ

April 22, 2006
Marva Whitney, Another James Brown Diva, Will Be Coming To Japan For The First Time
http://blog.soulsearchin.com/archives/000976.html

June 09, 2006
Marva Whitney: It’s Her Thing, Waiting For The Day For 30+ Years
【マーヴァ・ホイットニー・ライヴ~30年以上待ちつづけたその日】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200606/2006_06_09.html
ライヴ評。

■ソウル・ドレッシング(恵比寿)

http://www.souldressing.jp/

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○YMN参集~松尾潔・中田亮・吉岡正晴(パート1)

【Yoshioka, Matsuo & Nakata: YMN Summit: Dinner With Soul Talking (Part 1)】

ノンストップ。

昨年(2009年7月)の『ソウル・サーチン:ザ・セッション~アイズレイ・ブラザース』のときに、松尾・中田両氏をご紹介したのだが、そのとき今度ゆっくり食事でもしましょう、という以前からの懸案が1年越しでやっと実現。3人の頭文字をとって、YMOではなく、YMNの会。

恵比寿「ソウル・ドレッシング」というソウルマンにとっては、絶好の場所で食事をし、そのまま「アリ・オリ」に流れるという王道の一夜。話はノンストップで約8時間ほど続いた。

冒頭、「よく考えてみると、この3人はみなジェームス・ブラウンに会ったことがあるんですね」と松尾さん。松尾さんは、サンフランシスコでミスター・ブラウンに振り回され、最終的に東海岸に向かう飛行場のラウンジでぎりぎりなんとか取材ができた、という話。すでに、どこかの雑誌に何度か書いたという話だ。中田さんは数年前(2002年か2003年)に、横浜アリーナでライヴを見たときに、JBフォロワーの第一人者、関さんを介して会うことができたという。中田さんがライヴを見たのは1992年の大阪城ホールが初めて。僕は2回目の来日を見て、何度か会ったが一番印象的なのは、オークラで一緒に食事をしたとき、あるいは自宅訪問したとき。松尾さん、「今日は、中田さんをインタヴューしまくりますよ~~(笑)」。

話題はとりとめもなく、川の流れのように。話した量は、松尾・中田・吉岡が4-4-2くらいの比率か?(笑) いや、4.5-4.5-1か?(笑) 以下は記憶の流れのままに、順不同。自分的には話したこと、話されたことのインデックス、という感じだ。

邦画の話(西川美和監督についてなど、僕はちんぷんかんぷん=(笑))、中田さんがサントラ若干絡んだ話、オーサカ=モノレールをはじめとする日本のインスト・バンドの話、そこからクール・スプーン、ゴスペラーズ、ライムスター、スチャダラパーなどを輩出したファイル・レコードはすごいという話、JBは、ソウル界のピカソだ、70越えても新譜出してた、すごいという話、オーサカがヨーロッパでのライヴを始めた話、そのツアーの苦労話、しかし、10年以上バンドをやり続けられることは、素晴らしいという話、そこからロンドンのライヴ・ハウス、ロニー・スコッツの話、ロニー・スコットの昔のガールフレンドの孫がエイミー・ワインハウスだという話(情報源・松尾氏)。

中田さんが最初に夢中になったのが、YMOだったという話、松尾さんが初めて音源制作にリミックスという形で足を踏み入れたときの話、僕がレコードの輸入を一番初めに始めたときの話、どう買って、どう売り始めたのかという話、中田さんがブラック・エクスプロイテーション映画『コフィー』を買い付けたときの話、僕と中田さんが初めて会ったのは、そのときのことで、もう10年くらい前になる、映画の買い付け、日本での配給は大変だという話、中田さんが今興味を持っている『ハーレム・フェスティヴァル』(1969年)という映画のような記録映像の話。

松尾さんが、昔12インチなんかに書いてあるレコード会社の電話番号に電話をしたという話、その時はジョスリン・ブラウンの家にかかったらしいという話、中田さんはロスのMGMの電話番号を調べて、直接電話したが、最初にかけた場所は同名のヘアサロンだったという話、同じく『セイヴ・ザ・チルドレン』(映画)の話、そのあたりから(『コフィー』主演の)パム・グリアの話になり、松尾さんが知り合ったRCAのA&Rマン、ケヴィン・エヴァンスの奥さんがパム・グリアだと知って腰を抜かしたという話、中田さんが映画をDVD化するにあたり、その特典映像を作るためにコロラドまで行ってパム・グリアにインタヴューしたときの話。

アル・グッドマン追悼話、松尾さんがNHK-FMでその追悼で何をかけるかという話(放送は8月4日水曜)、中田さんがAIを日本のアーティストでは一番好きだという話、最近の若い人たちの音楽の聴き方がMP3プレイヤーなどで、聴くのでミュージシャン、プロデューサー・クレジットもなく、アーティストが誰かさえもわからずに聴いている、アルバム単位で聴くことがなくなっている、という話。最近はたとえば、ケミストリーのアルバムをプロデュースした松尾さんの名前もプロデューサーというクレジットが配信ではないので、でてこないという話。中田さんは、ブラウン・ファミリーのディーヴァ、マーヴァ・ホイットニーと日本ツアー、ヨーロッパツアーを一緒に行っている。そのときは、移動中、ふだんからたくさんの話を直接聞いた。そのマーヴァ話。

このほかにもまだまだあったと思うが、この中から適当にピックアップして、明日以降にご紹介しよう。松尾さんが、この食事会が始まるまえに、「ブログネタになればいいですね」と言っていたと思うが、1日だけでは到底収まらないほどの濃い内容の座談会になった。(笑) そういうこともあると思い、僕はカセット(いまどき!=ICレコーダーではない)を持っていって話を録音し続けた。(笑) しかし、話に夢中になり、途中で電池が切れていたことに後で気づいた。(失笑) でも6時間分くらいは録音できていたみたいだ。

(YMN参集は、YMO散会をもじってるんですけど…)

(この項つづく)

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◎ハーレム・ナイツ第9回(パート1)~マイク・デイヴィスがトリ~モノマネ、ヴォイパありの多彩な2時間半

(内容が少しでます。これからごらんになる方で事前に内容をお知りになりたくない方はご注意ください)

【Harlem Nights Featuring Kim Davis & Mike Davis】

ハーレム。

横浜ランドマーク・タワーが出来た翌年の1994年に第一回、2003年に第二回、以降毎年7月に行われている横浜夏の風物詩「ハーレム・ナイツ」は、今回で9回目になる。来年は10周年。毎回完売となっている人気イヴェントだが、今年も5日間6回の公演が完売。この人気には驚くばかり。しっかりした企画、運営の賜物だろう。

さて、今年は第9回で、これまでとの大きな違いはタップ・ダンサー、オマーが参加していないこと。そのかわり、ヴォイス・パーカッション、インパーソネーター(モノマネ)など芸多彩なアーティストが加わった。僕は2004年の第三回から7年連続で見ているが、少しずつ内容が変わり、毎回楽しめる。

今回の目玉は、ソウル・ファンにとっては、しばらく前にシックのライヴで来日していた女性R&Bシンガー、キンバリー・デイヴィスと、1992年ジャイヴからアルバム『ホエン・オンリー・ア・フレンド・ウィル・ドゥ』をリリースしたマイク・デイヴィス。実は、マイク・デイヴィスは現場に来るまで気づかず、会場であのジャイヴのマイクとソウル・ファンに教わってあわてた次第。(笑) 

キンバリーはシックの時はバックコーラスの位置づけだったのに対し、ここでは堂々とメインを張るシンガーを演じ、迫力もあり、歌のうまさも際立つ。下記セットリストに示したソウル・クラシックは見事に歌いこなす。

そして、おもしろいのがCPレイシーという数々のアーティストのモノマネをするアーティスト。まずは、スティーヴィーで登場するが、実物よりやせているが、しぐさとか、顔立ちがサングラスをかけるとそっくり。お客さんの中には本物のスティーヴィーが来たものと思った人がけっこういたようだ。(笑) 「すごいわ、スティーヴィー・ワンダー、見ちゃった」と言っていた観客が何人かいたそうだ。

その後、いわゆるヒューマン・ビートボックスをやるケニー・モハメドが登場。リズム感もあってまあまあうまいのだが、ちょっと今回は時間が長すぎの感もある。年配のお客さんにはこのビートボックスは、若干理解しづらいかもしれない。もちろんハーレムの息吹は感じるが。

再びCPの登場で、今度は「ゴッド・ファーザー・オブ・ソウル」ジェームス・ブラウン。JBよりやせていて、どちらかというとMCのダニー・レイみたいなJBであったところも愛嬌。また割り、華麗な横すべりステップ、そして、マントショーもちゃんとやるのだが、残念ながら観客には伝わっていなかったようだ。これはこれで僕は大いに楽しめた。

第二部では、CPが今度はマイケル・ジャクソンに扮して2曲。これも衣装もあり、なかなか見せる。歌の似せ方もうまい。

そして、最後に、本日のトリという雰囲気でマイク・デイヴィスの登場。アポロのアマチュア・コンテストで何度も優勝したという歌の実力はオリガミ付きのマイクは、ここではソウル・クラシックをこともなげに歌う。特に印象に残ったのは、「マスカレード」。(前日=初日はやらなかったのかな?) スムーズなソウル、クワイエット・ストーム系が似合うような気がした。24では、キンバリーと見事なデュエットで「ホエア・イズ・ラヴ」を聴かせた。前述の1992年のジャイヴから出たアルバム収録曲は基本的にはなかったが、同アルバム収録のマクファーデン&ホワイトヘッドの「エイント・ノー・ストッピン・アス・ナウ」を最後アンコールで全員で歌って大いに盛り上げた。

今回はヴォイス・パーカッション、モノマネ、そして、本格派シンガー2名、という構成でハーレムを感じさせた「ハーレム・ナイツ」。9回目を向かえ、来年はいよいよ第10回になる。これも楽しみだ。

ライヴ後メンバーはすぐにホールにでてサイン会。

(この模様は明日に続く)

◎ ライヴは、日曜まで。当日券が若干でるかもしれないので、下記にお問い合わせください。

■マイク・デイヴィス 1992年作品

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000004YZ/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 関連リンク

ハーレムのアーティストを発掘し日本に送り出すもうひとりのハーレムの重鎮、トミー・トミタさんと松尾公子さんのブログ。『ハーレム・ナイツ』関連の記事も多数あります
http://tommyny.exblog.jp/14290328/ (今年のリハの模様など)
http://tommyny.exblog.jp (トップページ)

■ 横浜ランドマーク・タワー公式ページ内イヴェント詳細

横浜ランドマーク・ホールのハーレム・ナイツのサイト
http://harlemnights.jp/

ライヴは、2010年7月28日(水)から8月1日(日)まで毎日。詳細は下記ランドマーク・タワー・ウェッブへ

問い合わせ先 ランドマーク・ホール:TEL 045-222-5050 (月~金 10:00~17:00) ランドマークプラザ:TEL 045-222-5015 (月~日 11:00~20:00)
http://www.landyou.jp/event/hall/index.html

チケットは完売していますが、若干の立見席などが当日発売されます。 詳細はお問い合わせください。

■ 過去のハーレム・ナイツ関連記事

2009年07月30日(木)
ハーレム・ナイツ8 (パート1)~オマー・エドワーズ、マイケルに捧げる
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090730.html
2009年、前回のハーレム・ナイツの模様

2009年07月31日(金)
オマー、マイケル・ジャクソン、マーヴィン・ゲイを語る~ ハーレム・ナイツ(パート2)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090731.html
「ハーレム・ナイツ」第8回2009年のライヴ評

July 24, 2008
Harlem Nights Vol.7 Has Just Started
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080724.html
第7回2008年評。

July 26, 2007
"Harlem Nights Vol.6" At Landmark Tower: "I Don’t Repeat" Says Omar
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20070726.html
第6回2007年ライヴ評

July 28, 2006
Harlem Nights Vol.5: Alyson Williams Sings Wide Variety Of Music, Omar Edwards Taps With New Idea
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200607/2006_07_28.html
第5回2006年ライヴ評

July 29, 2006
Alyson Talks, Omar Talks: Harlem Nights
http://blog.soulsearchin.com/archives/001164.html

July 29, 2005
Harlem Nights: Omar Edwards, Barefoot Tap Dancer
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200507/2005_07_29.html
第4回2005年ライヴ評

2004/07/31 (Sat)
Harlem Nights III: Bring Your Cake For Lonnie’s Birthday
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200407/diary20040731.html
第3回2004年ライヴ評

■メンバー 

KIMBERLY DAVIS (vocalist)
C. P. LACEY (dancer, singer)
KENNY MUHAMMAD (human orchestra)
MIKE DAVIS (vocalist)

VINCE JACKSON (keyboards)
BYRON JACKSON (bass)
DEAN JAMES (drums)
EZRA BROWN (sax)

■ セットリスト ハーレムナイツVol.9@ランドマーク・ホール
Setlist: Harlem NightsVol 9 @ Landmark Hall, July 29,2009
[ ] denotes singers/performer
( ) denotes song’s original artists

1st set
show started 19:00
01. Spain (Instrumental) (Chick Corea) [Band]
02. I Will Always Love You (Dolly Parton, Whitney Houston) [Kimberly Davis] 02-08↓
03. Street Life (Crusaders, Randy Crawford)
04. Tell Me Something Good (Rufus/Chaka Kahn)
05. Rock Steady (Aretha Franklin)
06. Fever (Otis Blackwell, Peggy Lee)
07. If I Ain’t Got You (Alicia Keys)
08. No One (Alicia Keys)
09. Signed, Sealed And Delivered, I’m Yours (Stevie Wonder) [C.P.Lacey]
10. The Human Orchestra [Kenny Muhammad]
11. Sex Machine (James Brown) [C.P.Lacey]
Performance ended 20:00

Break

Performance started 20:20
12. The Human Orchestra [Kenny Muhammad] including a riff of Planet Rock
13. The Way You Make Me Feel (Michael Jackson) [C.P. Lacey]
14. Billie Jean (Michael Jackson) [C.P.Lacey]
> Mike Davis On The Stage ↓
15. Oh, Happy Day (Edwin Hawkins Singers)
16. My Girl (Temptations)
17. I Just Called To Say I Love You (Stevie Wonder)
18. (Sitting On The) Dock Of The Bay (Otis Redding)
19. What You Won’t Do For Love (Bobby Caldwell)
20. This Masquerade (Leon Russell, George Benson, Carpenters)
21. You Are The Sunshine Of My Life (Stevie Wonder)
22. I Wish (Stevie Wonder)
23. Superstitions (Stevie Wonder)
24. What’s Going On (Marvin Gaye)
25. Mercy, Mercy Me – What’s Going On (Marvin Gaye)
26. Where Is The Love (Roberta Flack & Donny Hathaway) [Kimberly & Mike]
27. Lovely Day (Bill Withers)
Enc. Ain’t No Stoppin’ Us Now (MacFadden & Whitehead) [All]
Show ended 21:43

(2010年7月29日木曜、横浜ランドマーク・ランドマークホール=ハーレム・ナイツ9ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Harlem Nights 9
2010-114
●アル・グッドマン(レイ・グッドマン&ブラウン=モーメンツ)63歳で死去

【Al Goodman Dies At 63】

訃報。

1960年代以降活躍を続けてきたR&Bヴォーカル・グループ、レイ・グッドマン&ブラウンの一員、アル・グッドマンが2010年7月26日(月)死去した。63歳だった。死因、死去した場所などはまだわからない。CNNなどが報じている。

http://edition.cnn.com/2010/SHOWBIZ/Music/07/28/goodman.death/#fbid=QieV77nWm71

アル・グッドマンは、1947年3月31日ミシシッピー州ジャクソン生まれ。1960年代中期から東部に出てきて、ニュージャージーのシルヴィア・ロビンソンとジョー・ロビンソンらと知己を得て、レコーディングなどにアドヴァイスをしていた。当時、シルヴィアが売り出そうとしていたモーメンツのメンバーは頻繁に変遷していたが、1969年頃までに、アル・グッドマン、ビリー・ブラウン、そして、ハリー・レイの3人になった。モーメンツは1970年に「ラヴ・オン・ア・トゥー・ウェイ・ストリート」、1973年に「セクシー・ママ」、1975年に「ルック・アット・ミー」などのスイート・ソウルの大ヒットを飛ばした。特にハリー・レイのファルセットが大きな魅力となっていたが、同時にビリーとアルのバリトン、テナーの声も魅力的だった。

1979年、モーメントはシルヴィアの元から離れポリドールに移籍。このとき、シルヴィアのレーベルが名前の権利を持っていたために、グループ名をモーメンツからレイ・グッドマン&ブラウンに変更。移籍第一弾で「スペシャル・レイディー」が大ヒットした。以後は、レイ・グッドマン&ブラウンとして多くのヒットを放った。1980年代半ばからは、EMIに移籍、作品を出し、また、ニューヨークのハッシュ・プロダクションがマネージしていた。

レイ・グッドマン&ブラウンは、ハリー・レイを含んだグループで1992年に横浜の今はなきアポロ・シアターに来日、しかし、同年10月1日、ハリー・レイが45歳という若さで急死。以後、グループ活動はしばし休止したが、イーヴァン・ブラウン(現在、スタイリスティックスのメンバー)、ケヴィン・オウエンスなどのシンガーをリードにして、活動を続けていた。

2002年1月のライヴ評。
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/laybrown20020113.html
(ビリー・ブラウンのMCが泣けます。)

2008年7月の来日ライヴ評。
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080708.html
(このときは、ハロルド・メルヴィン&ブルーノーツとのダブルビル)

アルとビリーのサイン。↓「スペシャル・レディー」は2002年、「ア・モーメント」は2008年。

(写真)

++++

横浜アポロでの思い出

レイ・グッドマン&ブラウンは、最初のアルバム数枚のライナーノーツを書いたこともあり、ひじょうに思い入れが強いグループだ。モーメンツも好きだったから、この一歩洗練されたレイ・グッドマン&ブラウンもいい。

横浜の本牧にほんの短期間だけあったアポロ・シアター。1992年ごろのことだが、それこそかなりひんぱんにソウル系のライヴがあった。とは言っても、横浜という場所柄か、なかなか成功にはいたらず、短命で終わった。2年間もメインのライヴはなかったのではないか。ここで見たライヴで印象に残っているのは、アフター・7、シャカ・カーン、そして、このレイ・グッドマン&ブラウンだ。レイたちは、ライヴが終わったら本当にすぐにロビーにでてきてサイン会を始めていた。まだ汗も拭き終わらないような状態だったように記憶する。そのファン思いのことをよく覚えている。

その後、レイなしのレイ・グッドマン&ブラウンは、上記ライヴ評の2002年のものがひじょうに印象に残っている。アルもいなくなってしまったビリーとしては、どうするのだろうか。心配だ。

■ベスト・アルバム (現在、廃盤のようです)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000001EIS/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>OBITUARY>Goodman, Al (March 31, 1947 July 26, 2010 – 63 year-old)

■『ソウル・ブレンズ』10周年記念イヴェント

【Soul Blends 10th Anniversary Event】

10.

インターFM(76.1mhz=関東地区)で毎週日曜日に放送されているソウル専門番組『ソウル・ブレンズ』が2001年4月からスタートし、現在10年目を迎えている。これを記念して、2010年7月27日(火曜)、麻布十番のクラブ・ディックス・ラウンジで、リスナー200人を招待して盛大に行われた。

ライヴは、ラップ・ユニット、アイス、ハウス系シンガー、リサ、そして、リサともコラボレーションがあるDJヴァーヴァルのDJなどでひとしきり盛り上がった。いずれもこのところ飛ぶ鳥をも落とす勢いのアーティマージュ所属のアーティスト。さながらアーティマージュ・ナイトになった感もした。

マーヴィン・デンジャーフィールド、チサト、そして、僕もちょっとだけステージにあがりご挨拶。真夏の真っ盛り、多数ご来場いただき、ありがとうございます。

『ソウル・ブレンズ』10周年イヴェントは、今回は、お酒のシーバス・リーガルのスポンサードで開催。ということで、途中で、「乾杯の音頭を」といきなりマーヴィンに振られた。まったく想定していなかったので、「チアーズ」「カンパーイ」というのも、なんなんで、その場で「シーバス!」と言ってみた。

みなさん、おつかれさま。そして、『ソウル・ブレンズ』さらなる10年、がんばっていきましょう。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001S5KZWE/soulsearchiho-22/ref=nosim/

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000HEZ2ZW/soulsearchiho-22/ref=nosim/

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001OFB8K6/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>EVENT>Soul Blends

★プリンス新作『20TEN』は、新聞、雑誌の付録でリリース

【Prince New Album “20TEN”】

リリース。

プリンスの周辺があわただしい。プリンスは2010年7月、約1年ぶりの新作『20TEN』(トゥエンティー・テン)を発表したが、その配給をイギリスの大衆紙「デイリー・ミラー」7月10日付けへの付録としてリリース。ほかに、スコットランドの「デイリー・レコード」紙、ベルギーのHet Nieuwsblad紙、雑誌はフランスのクーリエ誌、ドイツ版ローリング・ストーン誌などの付録となった。デイリー・ミラーの新聞自体は1.6ユーロ。日本円で200円弱。新聞を買えばCDがもれなくついてくる。デイリー・ミラーは通常120万部ほど売れているそうだが、この日の発行部数は、プリンスのCDをつけたためさらに約30万部増えたという。

デイリー・ミラー紙は同時にプリンスのインタヴューを掲載。この中でプリンスは、これまでのインターネットに対するスタンスを変えたことを宣言している。プリンスは言う。「インターネットは完全に終わった。なぜ僕がアイ・トューンズやその他のネットに新曲を渡さなければならないのか、その理由がわからない。彼らは(僕の新作に)アドヴァンスを払わない。それで、音が手に入らないと怒っている。インターネットはMTVと同じだ。一時期MTVはヒップでかっこよかったが、あるときから完全に時代遅れになった」

また、プリンスはこの新作『20TEN』は新聞雑誌の無料付録だけで、デジタル・ダウンロード用には配信しないという。同時に彼のオフィシャルのホームページも閉鎖した。アメリカでのリリースなどもまったく未定。

日本では輸入盤としてアマゾンなどで入手できる。またタワー、HMVなどにも入荷した。正式な日本盤のリリースはまだきいていない。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003UNYWX0/soulsearchiho-22/ref=nosim/

プリンスのアルバムとしては、昨年の『ロータスフラワー・ミネアポリス・サウンド』以来のもの。前作も1部が日本でリリースされただけで、あまり話題にはならなかった。

さて、今作は、じっくり聴いてみると、プリンスの初期のサウンドに雰囲気が似ている。特にファーストから3枚目くらいのようなサウンドのイメージがした。1970年代から1980年代のサウンドだ。

そして、9曲目の「エヴリバディー・ラヴズ・ミー」が終わると、トラック10から76までは無音トラックで、トラック77にシークレット・トラック「Laydown(レイダウン)」が収録されている。

それにしても、ウェッブは閉鎖、ネットでのダウンロードはなし、新譜は新聞の付録というリリース。誰もが考えないことをやってくるプリンスだが、その他の国でのリリースはどうなるのだろう。既存のレコード/CD流通に不信感を持っているのだろうが、それを打ち破るかと思われたインターネットも拒否するとなると、次のステップはどうなるのか。このアルバムから何かがラジオでかかってヒットし始めたら、どうなるのだろうか。まったく想像できない。

◎今週日曜(8月1日)『ソウル・ブレンズ』内「ソウル・サーチン」で、この『20TEN』をご紹介する予定です。

ENT>ARTIST>Prince

◎プリンス・フランスとベルギーでのライヴ・レポート(パート2)

【Prince Live Report From France And Belgium】

熱狂。

壮絶プリンス・ライヴ・レポート。第二弾。プリンスが2010年7月9日、10日、フランスとベルギーでライヴを行った。その模様をプリンス・フォロワーのツナさんが観戦。セットリスト、メンバーもある詳細なものなので、フランス編とベルギー編の2パートにわたっておとどけします。ツナさん、大変ありがとうございます。今日はパート2、ベルギー編。(明日はプリンスの新譜『20TEN』をご紹介します)

+++++

プリンス・ベルギー・ライヴ・レポートby TUNA

2日目の会場は、フランスのお隣ベルギーのウエルステルという街。前日のアラスからブリュッセルまで電車で約1時間半。そこからさらに電車で25分ほどのルーベン駅というところで降ります。国は変わるのですが、EU圏のためか、パスポートチェックなどもまったくありません。この日の会場も実に足の便は悪く遠かったのです。ルーベン駅から会場まで臨時バスがでていて、それに揺られてしばらく行くと、畑のど真ん中で降ろされました。そこから一本道をさらに15分歩くと、いきなり広い敷地に設営されたステージや飲食のテントと仮設トイレが忽然と姿を現しました。私自身、野外フェスの参加自体が初めてのことだったので、ただの何もないところにいつのまにかこうしたものが出来てしまうことに感心しました。

この日は疲れていたのでゆっくり行ったのですが、それでも前から2列目を獲得できました。ライヴを見ている時間より、それを待つ時間のほうがはるかに長い。

このときの前座ラリー・グラハムの時は大雨、さらに稲光でしたが、なぜかプリンスの時には止みました。それでも、「パープル・レイン」の時にはまた降ってきたりと結構大変でした。このときも観客は数万人規模だったといいます。スクリーンで見る限り入口からステージまであれだけの距離があったスペースにびっちり人が詰まっていましたから。

「マウンテンズ」からジャクソンズの「シェイク・ユア・ボディー」の流れは去年の公演でもやっていた流れです。マイケルの生前には演っていなかったので、彼なりの追悼だと思います。かつてファンク・マスター、リック・ジェームスが亡くなった後も同様にリック・ジェームスの作品をプレイし、追悼していました。ジェームス・ブラウンの曲などは以前から結構演奏していました。この日のアンコールはギター弾きまくりでした。ピッチが遅いと「ミュージコロジー」早くなるとオハイオ・プレイヤーズの「ラヴ・ローラーコースター」みたいな感じでした。

プリンスは今年の誕生日に「ホット・サマー」という曲を発表しましたが、このライヴでは、『プラネット・アース』収録の「ギター」という曲の中にちょっといれこむだけでした。

それにしても、2日間の壮絶なライヴ観戦でした。

■The Band Members

Prince - vox, guitar, bass, keyboards
Cora Coleman-Dunham - drums
Josh Dunham - bass
Morris Hayes - keyboards
Cassandra O’Neal - keyboards
Frederic Yonnet - harmonica
Shelby J. - vox
Elisa Dease - vox
Liv Warfield - vox

■セットリスト プリンス@ウエルステル・フェスティヴァルパーク、2010年7月10日
Setlist : Prince @ Werchter, Festivalpark July 10th, 2010

前座
18:00 : Jamie Lidell

19:15 : Mint Condition

20:15 : GCS

21:30

01. Intro - Venus De Milo
02. Let’s Go Crazy - Delirious - Let’s Go Crazy (reprise)
03. 1999
04. Little Red Corvette
05. Controversy
06. Take Me With U
07. Guitar (inc. Hot Summer chant)
08. Purple Rain
09. Angel (by Shelby J. with Cassandra O’ Neal and Elisa Dease)
10. Nothing Compares 2 U (with Shelby J.)
11. Kiss
12. Mountains - Shake Your Body (Down To The Ground) (by Elisa Dease)
13. Everyday People (with Larry Graham and Stokley Williams)
14. I Want To Take You Higher (with Larry Graham and Stokley Williams)
15. Forever In My Life
16. Purple Rain (intro) - Ol’ Skool Company - Also Sprach Zarathustra

17. Dance (Disco Heat)

18. Partyman
19. Musicology (inc. Love Rollercoaster guitar line)
20. Peach

23:40 : END

(2010年7月10日土曜、ベルギー・ウエルステル・フェスティヴァル・パーク、プリンス・ライヴ)


◎プリンス・フランスとベルギーでのライヴ・レポート(パート1)

【Prince Live Report From France And Belgium】

熱狂。

プリンスが2010年7月9日、10日、フランスとベルギーでライヴを行った。その模様をプリンス・フォロワーのツナさんが観戦。ライヴ・レポートをお願いした。セットリスト、メンバーもある詳細なものなので、フランス編とベルギー編の2パートにわたっておとどけします。ツナさん、大変ありがとうございます。

+++++

プリンス・フランス・ライヴ・レポート by TUNA

体力勝負。

プリンスのライヴは、3年前に『スーパーボウル』のハーフタイム・ショーで見ました。ただ、あれは3階席というはるか遠くだったこと、また、20分程度の短いショーだったので、特に深い印象はありませんでした。プリンス・ライヴはそれ以来、プリンスのフル・ショーのライヴとして私が見るのは4年ぶりになります。ただし、プリンス自身は昨年(2009年)4月にロスアンジェルス郊外のコウチラというところで、夏にスイスのモンルー・ジャズ・フェス、フランスで2日間公演しています。それ以来だと思います。

会場はフランス北部アラスの街にあるラ・シタデルというところ。パリから日本の新幹線のようなTGVという電車に乗って北に向かうこと約50分。アラス駅に到着。そこから15分ほど歩いて会場に。夏フェスなども行われる大きな会場で、パール・ジャム、ブラック・アイド・ピーズなどもここでライヴをやります。とにかく開場まで長時間待って並びました。開場時間に、並んでいたファンが一斉に自分の場所を取る為に走るなんて知らなかったから驚きましたが、なんとか最前列を取りました。でも、直ぐに後ろをみたら人が幾重にも並んでいたので、もうその時点でトイレやビールや食べ物を諦めました。長時間並んだ上、こんな状態だったから私よりも身体の大きな方が失神して警備員に担ぎ出された人も何人もいました。それぐらい過酷でした。(笑)一番前のポジションを獲得してからは、私は水分も取らないように注意しました。日本ほど湿度はないのですが、熱中症のようになって担ぎ込まれた人もいたようです。

我々は「ゴールデンサークル」というステージ前のスペースで124ユーロ(約14000円=1ユーロ・112円換算)。真ん中から仕切られていて、その後ろは80ユーロ(約9000円)だったかな。もう後ろを見ても背が高い人たちばかりでどれぐらい人がいるか見当つきませんでしたが、スクリーンで会場全体を映す限り2~3万人ぐらいいるように見受けられました。開場まで約9時間、前座のミント・コンディションとラリー・グラハム開演まで約12時間、プリンスの登場まで約14時間待ちました。いわゆるスタンディングですから、始まるまでがほんとに長かった。ミント、グラハムだけでも2時間経っているので、本当に体力勝負でした。

プリンスは7月にリリースされたばかりの新作アルバム『20Ten』のジャケットをデザインされた衣装を着てました。驚いたのは、ステージ下でギターを手渡す係がいなかったこと。前回来日時はいたのですが、今回は曲ごとにギターとピックを渡したり、チューニングをしたりする人がいないので、曲ごとに自分でギターを持ち替えていました。今までギターは投げ捨てていた人なのに(笑)大事に扱っていて大人になったなぁと思いました。マイクスタンドの両側に一本ずつギターを立てかけていましたが、「キス(Kiss)」が始まる前には、ダンスをするスペースを作る為に自らギターを遠くに置いてぶつからないように配慮しており、そんな姿に驚きました(笑)

下記セットリストにある「セクシー・ダンサー VS ル・フリーク(Sexy Dancer vs Le Freak)」ですが、これは、ユーチューブを視聴いただければわかりますが、「セクシー・ダンサー」のイントロで驚かせたと思ったら、プリンスがリズムを弾きながら、バックコーラスがシックの大ヒット「ル・フリーク」の歌詞を歌い、オーディエンスが「フリーク・アウト」と叫ぶのです。見事なコール&レスポンスで実に格好よかった。

また、ツアーの前半にはシーラEも同行していたのですが、この2日間はステージには現れませんでした。MCで「What Time Is It?」なんていうからフランスでは復活が噂されているザ・タイム(The Time)が飛び入り出演するのかと思いきや、「Time To Get Funky」なんていうコール&レスポンスでちょっと驚いたやらがっかりだったり(笑)

ちなみに、プリンス本人は最前列にいた私に気がついたのかステージから降りてきて何人かに握手というかハイタッチをしに来たときは一番最初に来ましたよ! (註:プリンスは、ツナさんのことを知っています)

下記セットリスト「マウンテンズ」のところでは、ジャクソンズの大ヒット「シェーク・ユア・ボディー」をいれてやっていました。

バンドメンバーについてですが、ドラムスとベースは夫婦。ドラムスのコーラ・コールマンは、フランク・マッコムで来日もしています。数年前に来日したときに、プリンスのホームパーティーに呼ばれたという話をしていました。そのあたりをきっかけにプリンス・バンドに入ったのでしょう。キーボードのカサンドラは、シーラEのバンド、COEDのメンバー。私はプリンス・バンドでは今回初めてみました。またハーモニカが入るのも初めて見ましたが、現地では人気の人のようでした。ひょっとしたらここ(フランス)だけのゲストかもしれません。キーボードのモーリスは、長年プリンス・バンドで活躍しています。10年くらいはいるのではないでしょうか。ただし、来日時にははいってませんでしたが。ヴォーカルのシェルビーはスーパーボールでも見ていますが、今回はスキンヘッドになっていました。残る2人のヴォーカルは私は今回初めて見ました。バンドは、ひじょうにタイトでかっこよかった。素晴らしかったです。熱狂しました。

最初のアンコール1曲目の「ダンス・(ディスコ・ヒート)(Dance (Disco Heat) (inc. Housequake and Everybody Loves Me chants))ですが、「ダンス(ディスコ・ヒート)」はディスコ・シンガー、シルヴェスターの大ヒット。それに新譜に収録されている「エヴリバディー・ラヴズ・ミー」をメドレーのような形でやっていました。なんと、CDを聴く前にライヴで披露していました。その時にはわかりませんでしたが、CDを聴いて驚きました。

ここの前でやった会場ではアンコールは2回だったそうで、3回目のアンコールはここ以降だけのようです。

結局3回のアンコールに応えてくれ、深夜12時くらいまで2時間15分のステージでした。

■プリンス最新盤 『20TEN』(2010年7月リリース)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003UNYWX0/soulsearchiho-22/ref=nosim/

以下がメンバーとセットリストです。

■The Band Members

Prince - vox, guitar, bass, keyboards
Cora Coleman-Dunham - drums
Josh Dunham - bass
Morris Hayes - keyboards
Cassandra O’Neal - keyboards
Frederic Yonnet - harmonica
Shelby J. - vox
Elisa Dease - vox
Liv Warfield - vox

■Setlist: Prince July 9, 2010, @La Citadelle, Arras, France

19:45 : Mint Condition

20:40 : Graham Central Station

21:45 Prince

01. Intro - Venus De Milo
02. Let’s Go Crazy - Delirious* - Let’s Go Crazy (reprise)
03. 1999
04. Little Red Corvette
05. Take Me With U
06. Guitar (inc. Hot Summer chant)
07.Controversy (inc. Love Rollercoaster guitar intro)
(with Fred Yonnet harmonica and Cassandra keyboards solo)
08. Sexy Dancer vs Le Freak - Controversy (reprise)
09. Angel (by Shelby J., with Liv Warfield and Elisa Dean)
10. Nothing Compares 2 U (with Shelby J.) (with Morris Hayes solo)
11. Mountains - Shake Your Body (Down To The Ground) (by Elisa Dean)
12. Everyday People (with Larry Graham and Stokley Williams)
13. I Want To Take You Higher* (with Larry Graham and Stokley Williams)
14. Alphabet St.* (with Larry Graham and Stokley Williams)

22:57 : BREAK

23:02 : ENCORE
15. Kiss
16. Purple Rain*
17. Thunderstorm break

23:17 : BREAK

23:20 : ENCORE
18. Dance (Disco Heat) (inc. Housequake and Everybody Loves Me chants)
19. Peach (inc. Fred Yonnet harmonica solo)
20. Purple Rain (intro) - Ol’ Skool Company

23:42 : BREAK

23:46 : ENCORE
21. Forever In My Life
22. 7 (un refrain)
23. Let Go, Let God improvisation
24. Thunderstorm final

23:59 : END

(2010年7月9日金曜、フランス・アラス・ラシタデル=プリンス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Prince

◎トクズ・ラウンジ~黒沢薫飛び入り

【TOKU’s Lounge: Kurosawa Kaoru Jumped In】

セッション。

ゆったりとまったりと、お互いよく知っているミュージシャンもそうでないミュージシャンも、ただひとつ「音楽」という共通言語のもと、瞬時にファミリーになれる、そんな真夜中のジャム・セッション「トクズ・ラウンジ」。トランペット・フルーゲルホーン奏者でありヴォーカリストでもあるトクが毎月1回不定期日に開催しているセッション。前月6月は、久保田利伸さんの番組『ソングス』の収録があったため、大変な人数が集まったが(残念ながら僕は事前に聴いていたものの、別件があり不参加)、今月は日程が早かったせいか、ゆったりめ。

楽器奏者は、長い曲だと曲の途中でも平気でチェンジ。各人のソロは、バンド・リーダー的存在のトクの指示だったり、楽器奏者の目線だったり。本当に自由スタイルだ。何も計画されたところがない。予定調和の完全に真逆。

この日はゴスペラーズの黒沢さんが遊びに来ていた。前月も遊びに来ていて久保田さんと一緒に「ロック・ウィズ・ユー」を歌ったが、オンエアはされていない。すっかりこの雰囲気が気に入ったようで、今月もスケジュールのすきを狙って遊びにきた。「バタフライ」「ストラスバーグ」という2曲の定番インストが終わるあたりで、マルと黒沢さんに、「ねえ、ここで歌物やらないと、またインストになっちゃうよ」とちょっとけしかけてみる。「歌物~~」って叫んでみれば? というと、「いやあ、さすがに僕、自分では言えないですよ~」 わかったじゃあ、僕が言う。「う・た・も・の~~~」。マルが「吉岡さん、いい人(笑)」 するとそれが聴こえたかどうか、はっきりはしないのだが、ミュージシャンたちが話し合って、「ロック・ウィズ・ユー」が流れ始めたのだ。やった。黒沢さんは、この日は歌詞を買ったばかりのアイパッドにいれて、歌う気マンマン。アイパッドだと、暗がりでもよく歌詞が見え、しかも拡大もできるので、超便利のようだ。

「ロック・ウィズ・ユー」のイントロがなったら、黒沢さん、すかさずヴォーカル・マイクにかけよる。トクが歌い、途中から歌いはじめ、ひとしきり歌って、もりあげる。それを見ていたマルが「黒沢さん、スターオーラ全開ですね。がはは」と感心しきりだった。

おもしろかったのは、次にどうも、トクを説き伏せたらしく「ゴールデン・レイディー」をやることになった。後半、さびの「ゴールデ~~ン・レディー~~」のところは、どんどんキーが転調して上がっていくのだが、黒沢さん、どんどん左腕・指で上を指し、ミュージシャンにもう半音上げてと、繰り返す。5-6回それを繰り返し、最後のほうはもうこれ以上声が出ないのではないかというほど高音部を歌い、拍手大喝采を浴びた。これはおもしろかった。

「いやあ、たまにこういう決まりのない自由なのやると、ほんと、楽しいね。いつもはきっちり作りこんだのをやっているから」とご満悦。どうやら、黒沢さんがトクと一緒に歌ったのは、FM番組『フィールン・ソウル』以来とのこと。すると席に戻ってきた黒沢さんに、お客さんが「よかった、よかったです。歌、超うまーいですねえ。どこかで歌われてるんですか」とかけよって来た。その子は黒沢さんを知らなかったのだ。普段日本の音楽を聴かないファンがここには多い。「こういうところで歌うと勉強になります」と黒沢さん。

この日は、さすがに僕も疲れ気味だったので、ファーストだけで退散した。

■ メンバー

TOKU(ヴォーカル、フルーゲルホーン、トランペット)
藤井伸昭 (ドラムス)
柴田敏弥 (キーボード)
ヨシダサトシ(ギター)
中村ケイスケ (トランペット)
後藤克臣(ベース)
サトウユウタ 
小沼ようすけ (ギター)
トリヤミユキ(アルト・サックス)
ヤマモトヒロユキ(ベース)
黒沢薫 (ヴォーカル)
ほか

■ 過去関連記事

2010年04月29日(木)
トクズ・ラウンジ~真夜中のセッションのダイアログ
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10520684304.html

2010年04月04日(日)
トクズ・ラウンジ~ゆるーく、しかし、マジで
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100404.html

2010年02月27日(土)
トクズ・ラウンジ:深夜の熱きセッション
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10468984654.html

2009年12月31日(木)
トクズ・ラウンジ~ジャム・セッションの爆発
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10423256472.html

June 24, 2009
トクズ・ラウンジ~ロイ・ハーグローヴ・グループが参加
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090624.html

May 30, 2009
トクズ・ラウンジ:素晴らしきミュージシャンシップの大爆発
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10270594203.html

■参考CD

M1 Butterfly / Herbie Hancock

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00002649R/soulsearchiho-22/ref=nosim/

M2 Strasburg / Roy Hargroove

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00144662W/soulsearchiho-22/ref=nosim/

M3 Rock With You / TOKU’s version

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001HBQLDG/soulsearchiho-22/ref=nosim/

M4 Golden Lady / Stevie Wonder

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00004S363/soulsearchiho-22/ref=nosim/

M5 Fly Me To The Moon / Frank Sinatra

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00170NLVW/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ セットリスト
Setlist: TOKU’S LOUNGE

Performance started 0:52
01. Butterfly [Herbie Hancock]
02. Strasbourg / St. Denis [Roy Hargrove]
03. Rock With You [Michael Jackson/Toku]
04. Golden Lady [Stevie Wonder]
05. Fly Me To The Moon
Performance ended 02:14

(2010年7月21日水曜・深夜、西麻布=トクズ・ラウンジ)
ENT>MUSIC>LIVE>Toku’s Lounge


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