●【小川隆夫さん語る: 絶好調トーク(パート3)~マイルス・デイヴィスの巻】

キャンセル。

駒場東大前の夜は更けていく。満員だったお客さんも小川さんに挨拶をして少しずつ帰路につく。僕と内田さんは、小川さんと談笑を続ける。小川さんの本職は優秀なブラック・ジャックのような整形外科医だ。医師としての仕事の合間に大好きな音楽の仕事、とりわけジャズ関係の仕事を精力的にこなしている。

そして、小川さんといえば、マイルス・デイヴィスである。たぶん、小川さんファンの方、『マイルス・デイヴィスの真実』をお読みになった方はご存知のエピソードなのだろうが、小川さんの話しっぷりが実にうまく、引き込まれた。僕は初めて聞いたので、また、おそらくこの「ソウル・サーチン」読者にも初めての方が多いと思うので、記憶の限り彼の話を再現してみたい。

小川さんのマイルスとの初遭遇は、なんと驚くなかれ1964年、14歳のときだった。彼の兄がガールフレンドと行くためにチケットを2枚買っていたが、その彼女に振られたので、弟(小川さん)にくれた。弟はわけもわからず新宿の厚生年金ホールに見に行った、という。まだマイルスのレコードもほとんど聴いていなかった。実際ライヴを見ても、2階席の一番上のほうでほとんど見えず、あんまり印象にも残っていなかった。後に自分がレコードをぼつぼつ集め始めて、「ああ、そういえば、このマイルスのコンサート、行ったことあるなあ」ということを思い出した程度だった。

物心ついてからは、マイルス一直線になっていき、もちろん、ジャズ評論家としてマイルスのレコードはかなりコンプリートに集め、ブートレッグ(海賊盤)も相当収集するようになる。そんな小川さんだが、初めてマイルス・デイヴィス本人に会ったのは、いつですか、と聞くと「1985年3月1日」と間髪をいれずその日にちが返ってきた。日本のレコード会社(CBSソニー=当時)から、マイルスがちょうどレコーディングしていた最新作についてインタヴューをして、できればマスターを持ってきてくれと依頼された。そこで、インタヴューの日取り、場所などがレコード会社によって設定された。

このときのアルバムは、『ユー・アー・アンダー・アレスト』となるが、実際にリリースされるのは1985年9月のこと。3月の時点では完成したマスターテープを、アメリカ本国CBSの人間さえ聴いていなかった。音もなく、巨匠マイルスにインタヴューするということで小川さんもかなり焦った。そりゃそうだ。最新作についてのインタヴューをするのに、それを聴いていないことには話しは始まらない。しかも相手はマイルスだ。あのぎょろっとした目で睨まれた日にはひとたまりもない。

2月末のインタヴュー予定日、場所はニューヨーク。あっさり、マイルスからキャンセルされた。改めて、別の日が設定された。第二の日程になったら、また、キャンセルされた。アーティストのインタヴューのキャンセルは日常茶飯事だ。僕もそうした経験は何度もあるが、デイヴィッド・リッツが言うように、取材する側は辛抱強くひたすら待つしかないのだ。アーティストが口を開かない限り、記事は誕生しない。

遅刻。

小川さんが日本に戻る日が刻々と迫ってきた。もう今回のインタヴューはないかと思われたとき、マイルスが会うと言ってきた。しかし、とんでもないことに、その場所はカリフォルニア・マリブのマイルスの自宅だという。飛行機で5-6時間はかかる。とは言っても、もちろん、小川さんはカリフォルニアに飛んでいくことになる。ニューヨークを朝一番に飛び、ロスに昼ごろ到着して、マリブに車で行く。マイルスからは当初、2時間程度の時間がもらえることになったという。

ところが、マイルスのインタヴューは一筋縄ではいかない。よりによって、その日乗った飛行機が大幅に遅れたのだ。どうがんばっても、指定された時刻には間に合わなくなった。そこで、ロスのCBSのスタッフがかけあい、2時間のところを30分でもいいから時間をくれと交渉し、承諾された。

こうして小川さんは、巨匠マイルスを何時間か待たせた男となった。

空港からマリブまで飛ばし、自宅に到着すると、マイルスは意外と上機嫌だった。そこは当時のガールフレンド、シシリーと住んでいた家だった。開口一番、小川さんはマイルスに謝った。「新作アルバムのインタヴューに来たが、実はまだそのアルバムの音を聴いていない。申し訳ない」 するとマイルスは言った。「当たり前だ。そのマスターは、まだ誰にも渡してない。オレのところにしかないんだからな。聴きたいか?」 小川さんはその場でレコード会社の人間さえも聴いていなかった最新作を、マイルス直々の(レコード)プレイで聴かされる。

予定の30分なんて、レコードを聴くだけであっという間に過ぎる。だが、マイルスはそんな時間のことなど気にかける様子もなく、小川さんの質問に淡々と答えた。オフィシャルのインタヴューを一通り終えると、マイルスは彼に尋ねた。「これからどうするんだ?」 「飛行機に乗って、ニューヨークに帰ります」日本に戻るなら、LAから直接戻ればいいようなものの、このときの日本・アメリカのチケットがニューヨークから戻るものになっていたので、一度戻らなければならなかったのだ。ほとんど西海岸日帰りコースだ。飛行機の出発時刻までにはしばらく余裕があった。するとマイルスが「じゃあ、しばらく、いろ」という。そこで家を案内されたり、インタヴューではない雑談をするようになった。

マイルスの車好きは有名だ。黄色のフェラーリに乗っている。マイルスはそれを見せてくれた。「乗りたいか?」とマイルスは言う。小川さんはもちろん乗る、助手席に。家の近くをしばしドライヴとしゃれた。

そう、小川さんはマイルスにフェラーリを運転させた男だったのだ。

時が経つにつれ、小川さんとマイルスは徐々に近づいていく。いろんな雑談の中で、マイルスの足の傷の話しになった。マイルスは当時、右足に手術を受け、それが失敗し、びっこをひいていた。小川さんによれば、その手術を執刀した白人医師が、マイルスが黒人のため、本当だったらありえないような手術を行い、傷つけたという。人種差別でそういうことをする者がいるという。マイルスは人種差別には、相当な一家言を持っていた人物だ。

マイルスはすでにいくつかリハビリをしていたが、効を奏せず、痛がっていた。小川さんは1981年から1983年にかけてニューヨーク医科大学でリハビリテーションを専攻しており、それはまさに彼の専門であった。そこで、帰り際、いくつかのリハビリの仕方をメモに残し、伝授していった。

再会。

それから4ヵ月後。1985年7月末。マイルスが『ライヴ・アンダー・ザ・スカイ』のために来日する。一目再会したいと思った小川さんは、彼を追っかけて滞在先のホテルまで行き、マイルスを待ち受けた。マリブで会ったときは、周りにガードマンなどもいなかったが、さすがに来日時にはがっちり周囲は御付の人に固められ、インタヴューはもちろんどこの媒体もなし、一目会うのさえ不可能のように思えた。

マイルスご一行が新宿のホテルのロビーに到着した。彼の周りには屈強な連中が何人もいる。とても近づけそうにない。すると、なんとマイルス本人が、小川さんを見つけ、「こっちに来い」と手招きするではないか。マイルスのところに近づくと、マイルスは小川さんに言った。「ほら、ちゃんと歩いてるだろ」 そう、4ヶ月前に彼が伝授したリハビリをマイルスはちゃんとやって、その効果があったのだ。若干びっこの跡はあったが、マリブで会ったときより数段よくなっていた。そして、「部屋に来い」と言われ、マイルスの部屋に招かれたのである。

小川さんはこれを機にマイルスと急速に親しくなっていき、来日のたびに、またニューヨークなどで何度も会うようになる。マイルスは彼のことを「マイ・ドック(my dock=my doctor)」と呼ぶ。整形外科医という仕事が、まったく予期せぬところで、マイルスとの邂逅を一段深みのあるものにしたのだ。

1964年、14歳のときに、兄からのお下がりで何もわからず初めて見たマイルス・デイヴィスのコンサートから21年。マイルスに憧れ、ファンとなった小川さんは、ついに彼のマイ・ドックとなった。まさにこれぞ「縁」であり、「運命」そして「必然」なのだろう。

小川さんは、マイルスに「マイ・ドック」と言わせた男なのだ。

(この項、つづく)

ENT>MUSIC>ARTIST>Davis, Miles
ENT>PEOPLE>Ogawa, Takao

△【BAY FM 『ベイ・ライン・ゴー・ゴー』(6月4日木曜夕方)にゲスト出演】

ゲスト。

マーヴィン・ゲイの伝記『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』のプロモーションの一環で、来る2009年6月4日(木曜)、千葉県のFM局ベイ・FM(78.0mhz)の夕方の人気番組『ベイ・ライン・ゴー・ゴー』(16時~18時50分)に吉岡正晴がゲスト出演する。出演時刻は、同番組内「ミュージック・フォーカス・スペシャル」のコーナー、18時10分くらいから、約30分程度。

番組DJ伊津野亮さんのブログ
http://djryo.blog.ocn.ne.jp/oyazi/2009/05/780fm_a29e.html

番組ウェッブ
http://www.bayline-gogo.com/wordpress4/

番組宛てEメール : gogo@bayfm.co.jp

■ 6月4日以降の出演番組一覧↓

May 29, 2009
『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』宣伝活動開始
http://blog.soulsearchin.com/archives/002934.html

今後、新たに決まりましたら、改めてご案内いたします。

ENT>BOOK>Divided Soul

☆【小川隆夫さん : 絶好調トーク(パート2)~生粋のコレクター(ネイティヴ・コレクター)の巻】

炸裂。

駒場東大前の「オーチャード・バー」はとても、営業店があるとは思えない住宅街にある。駐車場が近くにあるので、そこに僕が車を停めていたら、真横に黄色のポルシェが停めようとしてきた。ポルシェの排気管からでてくるガソリンの匂い。変形の土地にある駐車場でなかなか停めにくい。

そこから歩いて1分、オーチャード・バーは住宅街にぽっつりと佇む一軒家だった。中に入るとまもなく小川さんが大きな荷物を持ってやってきた。

「お久しぶりです、これどうぞ」 そう挨拶をしてマーヴィンの『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』を彼に手渡した。すると間髪を入れず、「ああ、じゃあ、これ」と言って小川さんが大きな荷物の中から彼の著作『ブルーノート大辞典 1500番台編』(東京キララ社・刊)を手渡してくれた。「いいですね、この物々交換!(笑)」 

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309908349/soulsearchiho-22/ref=nosim/

『音楽ゼミナール』本編が終わったあと、小川さんはファンの方とお話をしたり、写真を撮られたりしていたが、一段落したところで、ゆっくりお話をした。

最初はお互いの本の話し。

『マーヴィン・ゲイ物語』は、約448ページ。本文は35万字超。ディスコグラフィーなどの部分を数えるとおそらく40万字を超える。重さ740グラム。2900円(税別)。『ブルーノート大辞典』は、434ページ、680グラム。3500円(税別)。どちらも厚さは2.8センチくらい。文字数は最初のディスコグラフィーのところは、それほど字がつまっていない。本の大きさはどちらも同じでハード・カヴァー、上製だ。内容の熱さはどちらも100点満点だ。

小川さん。「『マイルス・デイヴィスの真実』は、2段で500ページちょい。400字で1400枚(約56万字)くらいかなあ。最初のうちは、そんなに書くつもりなかったのに、どんどん書いちゃって。編集者が同級生だったんで、『増えちゃったよ』っていったら、『もう、いいよ』ってヤケになっちゃってね。(笑) 3800円で5000部初版。今、3刷りだよ。たぶんこういう本って高くても買う人は買うんだろうね。部数は値段に関係ないんだろう」 それは、すごい! これは、さすがに画期的だそうだ。マーヴィンも、それくらい売れないかなあ。「あれは(『マイルス』本)3大新聞の書評に載ったんだ。今までで著作は、単独だけで40冊くらいです。共著も含めるともっとある」 

そういえば、彼はブログもあっという間に書き上げる。一日分を2-30分程度で書くというのを、以前自身のブログの中で紹介していた。

小川さんは書くのが本当に速いので有名な男だ。

「じゃあ、この『60年代の音楽』は、たとえば10回くらいやって、本にするんですか」と僕が訊くと、「いやあ、わからないなあ。死ぬまでやって本にならなかったりして。(笑)ジャズでも、ロックでも、いくらでもジャンル分けできるしね…」 「しかし、小川さんは、ジャズだけでなく、ロックでも日本のものでも、何でも詳しいんですか」 「詳しいかどうかわからないけど、(自分は)みんな好きだよ。ロックは、ビートルズのアメリカ盤の本書いたり…。ビートルズは、日本盤、アメリカ盤、イギリス盤、特に初期の頃のはみんな違ってるのよ」 「で、日・米・英、みんな持ってるんですか」 「うん、ステレオ、モノラルも両方ね。でも、唯一ね、日本盤の帯付きが、昔、俺、全部帯切っちゃってたから、ないんだよ」「うわああ。もったいない。帯…。あれねえ、僕は捨てない主義ですが…」 「うん、でももう買えないね、(ものによっては)1枚70万円くらいするんだよ。東芝の初期のは掛け帯っていう奴だったんだ。(ビートルズの)初代のディレクターは、さっきの草野さん(漣健児)の弟だよ」 そこに内田さん。「今度、ビートルズは紙ジャケが復刻されるらしいですよね」 「そうそう、でも、それは帯はない」 「で、どこの(国の)盤にするんですか」 「それが今、問題なのよ(笑) どうなるんだろうね」 

泥沼。

ということで、小川さんは、ビートルズのほか、ローリング・ストーンズ、それぞれのソロ、各国盤、全部買う。「小川さん、ちょっと待って。イギリス盤とEU盤っていうのは、違うんですか?」 「いやあ、それがね、そんときによって違うんだよ。(笑) イギリス盤っていうのは今は原則的になくて、インターナショナル盤っていう訳のわかんないのがあるんだ。(笑) でも、EU盤とはバーコードが違ってたりするんだ」 「EU盤とインターナショナル盤はどこでプレスされてるんですか」 「わかんないなあ。でも、バーコードが違ってたら、買わなきゃなんないし。もうよくわかんないよ。(笑)」 なんと、小川さん、ビートルズなど東芝EMIから、EMIジャパンになったときや、消費税が3%から5%になって再発されたときも、買ったという。すごい徹底振りだ。その結果、同じ内容のCDが何枚も(10枚単位で)、揃うことになるという。恐れ入りました。コレクターの鏡だ。小川さんがそこで一言、「困ります!」。(周囲爆笑) 自分で自分を追い込むタイプとお見受けした。(笑)

というわけで、小川さんは、ビートルズ、ストーンズ、日英米、コンプリートを目指している男であった。

アメリカに行くと、やはりお決まりのレコード屋めぐり。自分のお気に入りのものを安い値段で発見するととりあえず買っておく。特にシールド(ビニールの封がされたもの)を見つけたら、安ければ、とりあえず買うという。だから、けっこうシールドものも集まってるそうだ。

初めてアメリカに行ったのは1973年、16日間くらいの、ニューヨーク、ロス、ラスヴェガス、ハワイなどを周るいわゆるパック旅行だった。23歳、医学部の学生だった。あちこちの街でレコード店をめぐり、その頃、アルバム1枚50セントくらいでいくらでも買えたので、買っては船便で日本に送っていた。

レコード、CDの整理は、きっちりアーティストのABC順。ファミリー・ネームで分けている。マイルス・デイヴィスは、Dに入る。昔は7インチも集めていたが、最近はさすがにやめたという。そして、自分で自分の持っているレコード、CDのデータ・ベースを自分の使いやすいようにコツコツ作っているそうだ。「何でも集める、何でも揃えるのが好き」だと小川さんは言う。だから、最初ブルーノートのレコードをある程度集めたときに、その番号が抜けているところをどんどん埋めたくなっていった、という。生来のコンプリート・コレクターだ。

小川さんのライナーノーツ・デビューは1983年。それから、現在までなんと3000枚以上のライナーを書いた。2年目くらいからは、年100枚以上のペースがほとんど続いているそうだ。1年だけ100枚にならなかった年があったそうだが、多い時は年に300枚近くになったこともあるという。僕が初めてライナーを書いたのは1975年、メジャー・ハリスの『マイ・ウェイ』(「ラヴ・ウォント・レット・ミー・ウェイト」が入っているアルバムだ。以来、僕もけっこう書いたが、1300枚くらいか。年間で80枚を超えたときはあったが、平均50枚程度。今は数えるほど。だから、小川さんのライナーの数ははんぱなく、すごい数字なのだ。途中から、小川さんは自身のライナーに「ジョブ・ナンバー(仕事ナンバー)」みたいなものをつけるようになった。これは、知り合いのエンジニアが自分の仕事したテープに「ジョブ・ナンバー」というのをつけていたのを見て、「これは、いい」と思ってやるようになった、そうだ。

小川さん、自分が書いたものはすべて保存している。途中からワープロ、パソコンになり、そのデータはもちろん残っているが、驚いたことに、1983年以降でデータ化されていない自身の原稿を、数年分、コツコツとパソコンで打ち、データ化しているそうだ。恐れ入った。

何でも揃え、きっちり整理する男だった。

しかし、小川さん、僕が興味をもつところもつところ、すべて徹底的にやっているので、話が尽きない。はっきり言って話しは泥沼に入っている。(笑) 駒場東大前の夜は更けていく…。

(この項、続くものと思われる・・・(笑))

ENT>PEOPLE>Ogawa, Takao

◎小川隆夫さんの音楽"トーク絶好調"ゼミナール

【何でも知ってる音楽物知り、歩く百科辞典・小川隆夫さんの音楽ゼミナール】

百科辞典。

以前から気になって見に行きたいと思っていたジャズ評論家の小川隆夫さん主催のトーク・イヴェント、「音楽ゼミナール」を2009年5月29日(金)やっと見に行った。会場は駒場東大前の住宅街にあるオーチャード・バーという小さなバー。なにかテーマを決めてトーク(脱線あり)をしながら音楽をかけていくというもの。今回は、昨年8月以来通算21回目。テーマは、「60年代音楽シリーズ第一弾:ザ・ヒット・パレードの時代」。テレビ番組『ヒット・パレード』を軸に日本のポップス黎明期にスポットをあてたトークと音楽の紹介だ。早めに行ったが、すぐに20席ほどが満席に。

小川さんはマイルス・デイヴィスをはじめとして多くのジャズ関係の著作を残されているが、実はソウル、R&B、はたまた60年代のポップス、グループ・サウンズ、歌謡曲などにも造詣が深い。そして60年代のポップス、歌謡曲などの音楽についての本を書きたいと思った、という。でも書くよりも、話したほうが自分は楽なので、選曲をして、話をして、それを録音し、原稿に起こしたらいいのではないかということで、このテーマでのゼミをスタートさせたそうだ。

日本のポップス、グループ・サウンズなどの実に細かい裏話などをしながら、アイ・ポッド(小川さんは4台以上所有=各1万曲収録)を使って、その関連曲を次々とかけていく。当日のセットリストは下記を参照していただくとして、曲間のトーク・ネタでおもしろかったものをいくつか。

小川さんはアイ・ポッド自体を何台も持ち、ジャンル分けして、使い分ける男だった。

小川さんは1950年渋谷に生まれ、育つ。初の洋楽体験は、おそらく1956年頃、ジーン・ヴィンセントの「ビー・バップ・ア・ルーラ」であった。その当時はSP盤78回転で、蓄音機も手巻きで1曲終わると針を交換し、ねじを巻いてかけていた。音楽の魅力に惹きつけられた小川少年はFENやら他のラジオを聴いて、どんどん音楽にはまり、レコードを欲しがるようになる。

小学生、中学生時代、渋谷・百軒店(ひゃっけんだな)に「ひまわり」という電器屋さんがあった。まだ道玄坂にヤマハはなかった。その頃はいわゆる電器屋でレコードを売っていた。小学生、中学生ではそれほどの小遣いがあったわけではない。小学生時代の小遣いがせいぜい月500円程度だった。6歳年上の兄がいてある日兄と一緒に電器屋にいくと、兄はお金を払わずにレコードを持って帰ってくる。なんだと思ったら、ツケで買うというシステムがあることを知る。そこで、どんどん欲しいレコードをツケで買うことを覚える。では一体そのツケは誰が払っていたのか、ときくと、親が払っていたそうだ。(笑)「だけど、自分は、それなりに自己規制するんですよ(笑)」。

小川さんは小学生、中学生時代からレコードをツケで買っていた男だった。

小川さん本人も一体何回続くかわからない、という「60年代音楽シリーズ」。今回のゼミの中でも、彼が注目したのは、漣健児(さざなみけんじ)という人だ。アメリカやヨーロッパなどの洋楽曲に、実に巧みに日本語の歌詞を乗せ、それを日本でヒットさせてしまった人物である。それはそれは見事な歌詞だ。60年代のヒット・ポップスの多数の訳詞をてがけているのが、漣健児さん。「洋楽を日本に定着させた大きな貢献者、日本の洋楽の裾野を広げたことで、(洋楽シーンが)次なる時代を迎えることができた」と小川さんは分析する。まったくその通りだと思う。ここ試験にでる重要ポイントです。(笑)

April 11, 2005
Nat King Cole Sings "Love" In Japanese In A Beautiful Way
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_04_11.html
漣健児氏の傑作のひとつ、「ラヴ」。

June 08, 2005
Shoo Kusano Died At 74
【草野昌一氏(漣健児の本名)、74歳で死去】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200506/2005_06_08.html

14と15は、日本でヒットした15は、その20年以上も前にヒットした14に酷似しているという話をしてのかけ比べ。もともとトニー・ベネットがオーディション・テープで吹き込んだ曲だそうだ。

おもしろかったのは、スリー・ファンキーズの「浮気なスー」(オリジナルはディオン)をかけるときのエピソード。このスリー・ファンキーズからひとりメンバーが辞めて補充されたときに加入したのが、手塚しげおという男で、この人はその前年にテレビの少年時代劇『矢車剣之助』の主役、矢車剣之助をやっていた人だった、というお話をした。テレビのアイドルみたいな人がこのグループに加入したので、よく覚えていた、と小川さんは言う。しかし、そんなこと、よく覚えてますね、と言うと、「高校時代、友達とどこかへ行ったとか、旅行に行ったなんて話はぜんぜん覚えてないんですが、そういうこと(音楽ネタ、レコードネタ)は、事細かに覚えてるんです。なんか変なんですよ(笑)」

小川さんは、こと音楽のことになると、人がすっかり忘れているようなことを全て覚えている男だった。

このゼミナールが終わったあと、小川さんとゆっくり話をした。マイルス・デイヴィスの話しなど、ノン・ストップ、『小川隆夫の絶好調トーク!』で実におもしろかった。それにしても、歩く百科辞典だ。

(というわけで、その模様は、明日以降へ続く)

小川さんのブログにはすでに金曜のことがアップされています。
http://blog.excite.co.jp/ogawatakao/10336726/
(何枚か写真が掲載されています。一番上の写真で、僕に似た人物が寝てるように見えますが、それは寝てるのではなく、下を向いてメールを打っているところです。(笑)その手前は一緒に行ったソウルメイト、内田さん=彼も大変エンジョイしました)

■ セットリスト 小川隆夫の音楽ゼミナールVol.21 @オーチャード・バー、駒場東大前、2009年5月28日(金)
Setlist: (  )=かけたアーティスト [ ]=そのオリジナル

show started 20:02
01. ビー・バッブ・ア・ルーラ(ジーン・ヴィンセント)[ジーン・ヴィンセント ]
02. ビキニ・スタイルのお嬢さん(パラダイスキング)[ブライアン・ハイランド]
03. Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Poladot Bikini (Bryan Hyland)(上記02のオリジナル)
04. ザ・ヒット・パレードのテーマ
05. 可愛い花(ザ・ピーナッツ)[フランスの曲「Petite Fleur」]
06. おおキャロル(かまやつひろし)[ニール・セダカ]
07. 悲しき60歳(坂本九)[トルコのヒット曲「ムスターファ」のカヴァー]
08. 可愛いベイビー(中尾ミエ)[コニー・フランシス]
09. ヴァケーション(コニー・フランシス、日本語ヴァージョン)
10. 渚のデイト(伊東ゆかり)[コニー・フランシス]
11. ルイジアナ・ママ(飯田久彦)[ジーン・ピットニー]
12. Sweet 16 (ニール・セダカ)
13. すてきな16才(弘田三枝子)[ニール・セダカ]
14. The Boulevard Of Broken Dreams (夢破れし並木道)(トニー・ベネット&スティング) [Tony Bennett]
15. ワン・レイニー・ナイト・イン・トウキョウ(越路吹雪)[アントニオ古賀、越路吹雪、西田佐知子、和田弘とマヒナスターズ、ピーナッツなど]
16. 浮気なスー(スリー・ファンキーズ)[ディオン]
17. ロカ・フラ・ベイビー(ほりまさゆき)[エルヴィス・プレスリー]
18. ブルージーンと皮ジャンパー(内田裕也)[アダモ]
19. 君はわが運命(ミッキー・カーティス)[ポール・アンカ]
show ended 21:32

(2009年5月29日金、駒場東大前・オーチャード・バー=小川隆夫の音楽ゼミナール第21回)
ENT>MUSIC>EVENT>Ogawa Takao’s Music Seminar
2009-55

○トクズ・ラウンジ:素晴らしきミュージシャンシップの大爆発

Toku’s Lounge : Great Musicianship Is Happening

【トクズ・ラウンジ~ジャム・セッション】

ジャム。

ジャズ・ミュージシャン、トクが主催し、トクがDJをし、さらに友人のミュージシャンたちに声をかけ、ゆるい感じでジャム・セッションを繰り広げる「トクズ・ラウンジ」が、いい感じで音楽好きのファンの注目を集め始めた。僕は先月この「トクズ・ラウンジ」のことを聞いていたが、ぜひ見たいと思い、5月28日(木)深夜、西麻布のバーに出向いた。

「トクズ・ラウンジ」は月1回不定期の日程で行われているDJ、ライヴ・イヴェント。もともと2008年9月から、トクがDJをするイヴェントとして始まった。その後今年に入ってから、楽器を揃え、トクがミュージシャン仲間に声をかけ、遊びにきたところでジャム・セッションをするというスタイルになりつつある。先月はエンディア・ダヴェンポートや久保田利伸さんなども遊びにきたという。まったく告知はせず、誘われたミュージシャンが音楽好きに声をかけるという口コミスタイルで徐々に大きくなっている。

バーの最高責任者・賢志さんが昨年トクと話をしているときに、「何かやりたいね」というところから始まった。ライヴも「お互いギャラとか、レコード会社とか関係なく、純粋に音楽だけでつながって、やりたいものをやる。ある意味、誰も誰に対しても責任がない(ジャム・セッション)」というスタイルになっている。

この日はマイルス・デイヴィスの誕生日(1926年5月26日)が2日前ということで、マイルスの曲ばかりをかけ、マイルス曲をライヴでやることになった。

ちょうど僕が店に着いたころ(午前1時すぎ)にはファースト・セットの終わり近くで、マイルスの「ウォーキン」を激しくやっていた。ほぼ満席。この日の編成は、ドラムス2人、ギター、ベース、キーボード2人、サックス、トランペット(トク)。ツイン・ドラムの迫力に驚いたが、そのうちのひとりは、ニューヨーク出身の強力新人、フェイクー。プレイを見るのは2度目だが、こうしたジャズのインプロヴィゼーションでも思い切り叩き、その迫力は圧倒的だ。そして、初めて見る女性ベース奏者、但野友香さんが目を引いた。現在はテキサスを本拠にしているそうで、ただいま一次帰国中。一番最初に好きになったベース奏者はジェームス・ジャマーソンで、そこからソウル系が好きになり、さらにジャズにのめりこんだという。ジャズを勉強したくて、テキサス州に行ったという。

ゆったり始まったセカンドは、徐々に各プレイヤーの温度があがり、「ツツ」から2曲目になる頃には、沸点近くになっていた。各人のソロが実にスリリングに展開し、それぞれのミュージシャンの力が思う存分出ていた。お互い目を見たり、トクがソロへの指示を出したり、次へ進む意思疎通もうまく行き、それぞれの持ち場での実力発揮が、いい形で炸裂していた。「このセッションは2度とない」とトクが言うように、まさに、一期一会の勝負、一期一会のミュージシャンシップの大爆発だった。

バー最高責任者、賢志さんはこのセッションのために、キーボードを家から持ってきて、さらにはドラム・セットを1セット購入した。「今回は、ただ単にジャム・セッションをやるだけでなく、ある程度きっちりとそれぞれのミュージシャンがストーリーを作るプレイをしてくれるように頼んだ」という。僕はフェイクーの真後ろあたりで見ていたが、徐々に彼の背中のシャツに汗が滲んできていた。爆音の中には何の縛りもなく、自由な音楽の爆発があった。こういう形の自由なセッションの場があるということは、実にすばらしい。

■ メンバー トクズ・ラウンジ @ 西麻布 2009年5月28日(木)深夜

トク(TOKU)(トランペット、フルーゲルホーン)
柴田敏弥(キーボード)
モロズミ・ヒロ(キーボード)
藤井伸昭(ドラムス)
フェイクー(Phekko)(ドラムス)
笹井BJ克彦(ベース)(インディゴ・ジャム・ユニット)
吉田智(ギター)
但野友香(ただの・ゆか)(ベース)
トミー・キャンベル(ドラムス)

■ セットリスト トクズ・ラウンジ 2009年5月28日深夜
Setlist : 

xx. Walkin’

Second Set

show started 02:43
01. Tutu
02. In A Silent Way
show ended 03:31

(2009年5月28日木曜深夜、西麻布=トクズ・ラウンジ)
ENT>MUSIC>LIVE>Toku’s Lounge
2009-54

◆『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』宣伝活動開始

宣伝。

昨日(2009年5月28日)、マーヴィン・ゲイ本人が語った唯一の伝記『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』(デイヴィッド・リッツ著、吉岡正晴翻訳=ブルース・インターアクションズ刊)がみなさまのおかげで無事発売されました。ありがとうございます。発売に伴い吉岡正晴本人が宣伝活動をいたします。

この本は、1)マーヴィン本人が赤裸々に語った唯一の伝記・自伝、2)英語以外で世界初翻訳、3)オリジナルよりも多くの写真、4)改訂版(1991年発行)以降のアップデート情報掲載、5)現在までのアルバム・ディスコグラフィー、といった特徴があります。

いくつかFM番組出演などが決まっていますので、お時間ある方、ぜひお聴きください。

プロモーション・トップを飾るのは、今年1月ゲスト出演させていただいた松任谷由実さんの『スイート・ディスカヴァリー』。はやくもあさって31日日曜の午後1時すぎです。いったいどんな話がとびだすか。東京FM系列37局で全国放送されますので、各地でお聴きください。

■『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』吉岡正晴出演番組一覧

2009.05.28現在(放送日順に並べてあります。このほか、現在進行中のものがあり、確定次第お知らせします)

『松任谷由実のスイート・ディスカヴァリー』 DJ松任谷由実
東京FM系37局ネット 日曜日 13時~
放送日 2009年5月31日(日) 
番組ウェッブ http://www.tfm.co.jp/yuming/
おたよりフォーム http://www.tfm.co.jp/yuming/timeless/index.html
約50分ほどマーヴィンの話をする予定

『大西貴文のザ・ナイト』 DJ大西貴文 
FMバードおよびコミュニティーFM全国66局ネット 月~金21時~24時
放送日 6月5日(金)出演22時~23時くらいの間 (生放送)
(コミュニティーのネット局一覧=下記参照)
DJ大西貴文ブログ http://blog.livedoor.jp/tkcompany/
メールのあて先 nite@musicbird.co.jp

『STARLIGHT CRUISIN’』 DJ人見欣幸
湘南ビーチFM 火曜19時半~21時
放送日 6月9日(火)19時半~21時 (生放送)
まるまるマーヴィン特集。本の内容とからめて。本の校正をしていただいた人見氏と本の内容とマーヴィンについてのトーク。
この局は音楽も含めてインターネットで全国、全世界で聞くことができます。
ストリーミングを聴くアドレス 
http://www.simulradio.jp/asx/shonanbeachfma.asx
番組アドレスhttp://www.beachfm.co.jp/ 
メールのあて先 letter@beachfm.co.jp

『人見欣幸の音楽三昧』 DJ人見欣幸 
FMブルー湘南(横須賀FM放送、78.5MHz)  毎週土曜日 午後14:00〜15:00
放送日 6月20日(土)
番組ウェッブhttp://www.yokosukafm.com/
リクエストなどの送りフォーム http://www.yokosukafm.com/request/
1時間出演し、マーヴィンと本の話し。

『ソウル・ブレンズ』 DJマーヴィン・デンジャーフィールド、ちさと
インターFM76.1mhz 日曜日 15時~17時
放送日 6月21日(日) 「山野ミュージック・ジャム」16時半~ (生放送)
番組ウェッブhttp://www.interfm.co.jp/n03_pro/soul.cgi
メールのあて先marvin@interfm.jp
2時間マーヴィン・ゲイ特集。吉岡正晴は4時半に登場

『ダンシング・グルーヴ』 DJ鈴木しょうじ
FM横浜84.7mhz 月曜24時~28時
放送日 6月22日(月曜・深夜) 出演24時半~25時ころまで (生放送)
番組ウェッブ
http://www.fmyokohama.co.jp/onair/program/DancingGrooveMon/index.html
メールのあて先 show-g@fmyokohama.co.jp

『ブギー・ナイツ』 DJ大西貴文
K-MIX(静岡、78.4mhz) 金曜19時~20時
放送日 7月3日(金)19時~20時
「ブラック&ホワイト・コーナー」(出演19時40分頃~)
メールフォームのアドレス https://www.k-mix.co.jp/form/boogie_nights/

+++++

このほか、山下達郎さんの『サンデー・ソングブック』で6月いっぱいモータウンの特集を行い、その中でマーヴィン・ゲイも紹介されそうです。今回のモータウン特集は、10年前に行った番組の完全アーカイブになるとのこと。

『山下達郎のサンデー・ソングブック』 DJ山下達郎
東京FM系37局 日曜日 14時~
6月4週間モータウン特集 
番組ウェッブ http://www.smile-co.co.jp/tats/index_ssb.html
リクエスト・お便りの宛て先:〒102-8080 東京FM「山下達郎サンデー・ソングブック」係

ほかに『SOUNDSCAPE THEATER』(湘南ビーチFM) 5月30日(土)15時00分~18時30分でマーヴィン・ゲイの特集。
番組アドレスhttp://www.beachfm.co.jp/ 
メールのあて先 letter@beachfm.co.jp 
この局は音楽も含めてインターネットで全国、全世界で聞くことができます。
ストリーミングを聴くアドレス 
http://www.simulradio.jp/asx/shonanbeachfma.asx

この後も決定次第順次お伝えします。

+++++

『大西貴文のザ・ナイト』 DJ大西貴文 
FMバードおよびコミュニティーFM全国66局ネット一覧です。コミュニティー・ラジオの周波数などは、各地の新聞・ウェッブなどをごらんください。

〔北海道〕エフエムわっぴー FMおたる FMアップル FMねむろ FMいるか FMパンプキン
〔青森〕FMジャイゴウェーブ FMいわぬま
〔秋田〕FMゆーとぴあ Radio A
〔福島〕FMきたかた
〔岩手〕奥州FM
〔新潟〕Radio CHAT FMピッカラ FMゆきぐに FM-J エフエムとおかまち ラジオアガット
〔群馬〕FM OZE ラジオななみ
〔茨城〕FMパルルン FMかしま
〔千葉〕木更津エフエム
〔埼玉〕エフエム茶笛
〔東京〕調布エフエム FM844(立川)
〔神奈川〕レディオ湘南 エフエム戸塚
〔山梨〕FM-KOFU Radio VILLA
〔静岡〕FM マリンパル FMボイスキュー FMチャオ G-sky765
〔長野〕FMさくだいら FM軽井沢 エルシーブイFM769 エフエムとなみ
〔福井〕ラジオあいらんど
〔愛知〕FMやしのみ(豊橋)FMおかざき MID FM(名古屋)ラジオラヴィート FM PIPI
〔京都〕FMいかる FMキャッスル
〔奈良〕FMハイホー
〔大阪〕FM HANAKO エフエム貝塚 千里ニュータウンFM
〔兵庫〕エフエムみっきぃ FMジャングル エフエム宝塚
〔岡山〕エフエムゆめウェーブ
〔広島〕FM尾道
〔山口〕しゅうなんFM カモンエフエム
〔島根〕エフエムいずも
〔香川〕エフエム サン FM まんでがん815
〔徳島〕B-FM791
〔愛媛〕エフエム ラジオバリバリ
〔福岡〕スターコーンFM
〔熊本〕熊本CITY FM 791 KAPPA FM
〔宮崎〕サンシャインFM

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ENT>RADIO>Gaye, Marvin
ENT>BOOK>Gaye, Marvin


★ブリック・ライヴ

【アトランタ出身のファンク・グループ、ブリック・ライヴ】

大騒ぎ。

アトランタのファンク・グループ、ブリックの1年8ヶ月ぶり、2度目の来日ライヴ。キーボード奏者が来日できなくなったために、ピンチ・ヒッターでフィリップ・ウーが参加。

やはりセンターのジミー・ブラウンの才人ぶりが目立つ。彼はトランペット、サックス、トロンボーン、クラリネット、そして、フルートなどを操りつつ、ヴォーカルもとる。器用な人だ。ドラムス、ギター、キーボードで作るリズム隊はファンク・バンドならではのもの。かなり音が大きかった。フィリップは一月ほど前に参加を要請されたそうで、事前に音源などをもらい、練習してきたそうだ。5曲目で、彼は比較的長尺のソロをダイナミックに聴かせた。

まだ初日のせいか、バンドもあったまっていない感じはしたが、週末に向けて徐々によくなっていくだろう。ただ、一曲がかなり長い印象がある。「デュージック」のあとのドラム・ソロは長すぎだ。

しかし、観客の中に、ディスコDJのヴェテラン、アトムとその仲間が来ていて、「イエー」「ヤー」などの掛け声を、これでもかこれでもかと、大きな声で出していた。2-3回声を出しただけで、アトムとわかった。(笑)ほんと、声、でかい。かなり最初から飛ばしていたが、相当飲みまくっている感じ。バンド・メンバーもこれだけ騒いでくれれば、嬉しいだろう。こういうところで音楽とミュージシャンに対して大騒ぎする客はライヴのいいお客さん。

で、ライヴ後、アトムにマーヴィン・ゲイ伝記『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』(デイヴィッド・リッツ著)を見せびらかしにいった。すると、本をとって見て、開本一番、「うわ、字、めちゃ多い」。ぐでんぐでんになりながら、「吉岡君の文章、かたいからなあ」と一言。アトムは読んでくれそうにもない…。(苦笑) でも、アトムと一緒に来ていたソウル好きな仲間は、「買います、買います!」と表紙を見て興奮していた。

この表紙の写真が僕の周囲ではえらく評判がいい。『ホワッツ・ゴーイン・オン』の頃の写真だ。それと、中の登場人物一覧がいいとも言われた。この人物紹介を読むと、本文を読みたくなったそうだ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860203186/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ ブリック過去記事(前回来日時ライヴ評)

September 24, 2007
Brick Gonna You Sweat
http://blog.soulsearchin.com/archives/002040.html

■ メンバー:ブリック (2009年5月26日~29日まで)

Jimmy Brown (vo,tp,tb,as,fl)
Reginald Hargis(vo,g)
Raymond Ransom(vo,b)
Victor Alexander(ds)
Philip Woo(key)
TC Jason(key/5.28のみ)

■ セットリスト : ブリック @ コットン・クラブ
Setlist : Brick @ Cotton Club, May 26, 2009

show started 21:32
01. Intro
02. Ain’t Gonna Hurt Nobody
03. Sweat (Til You Get Wet)
04. Happy
05. Can’t Wait (featuring Philip solo)
06. Dusic
07. Drum Solo
08. We Don’t Wanna Sit Down, We Wanna Get Down
Enc. Dazz
show ended 22:37

(2009年5月27日火曜、丸の内コットン・クラブ=ブリック・ライヴ)
ENT>LIVE>Brick
2009-53

(ライヴ評。内容出ます。これからごらんになる方は十分ご注意ください)

▲タワー・オブ・パワー~ホーン炸裂41年のソウル・バンド

【タワー・オブ・パワー~ソウルとファンクを愛して】

ドゥー・ワップ。

サンフランシスコ・ベイ・エリアの10人のソウル・ファンク侍(さむらい)、タワー・オブ・パワーの2007年3月、2008年5月以来1年ぶりの通算19回目の来日ライヴ。次回は来日20回記念か。毎回熱心なファンを集めるタワーのライヴは、つねにハード・ドライヴィングなファンク魂を炸裂させる。今回もその例にもれない。

毎回思うのが、彼らの圧倒的な日本での人気だ。たぶん、しっかりとしたリズムと、わかりやすくかっこいいホーン・セクションと、なによりもメロディーがしっかりして日本人の心の琴線に触れるものが多い、といった要因がいくつもあるからだろう。

今回のライヴは、2009年2月に出た新作『グレイト・アメリカン・ソウルブック』からの作品3曲なども含めたセットリストに。印象に残ったのは、「スティル・ディッギン・オン・ジェームス・ブラウン」から新作収録のジェームス・ブラウン作品メドレーをはさみ、また、「スティル・ディッギン…」に戻るあたり。「タワー・オブ・パワー! タワー・オブ・パワーは41年間、ソウル・ミュージックをプレイしているソウル・バンドだ!」 そう言っていきなり、「スティル・ディギン…」になだれ込むや、観客は総立ちだ。そして、サビを観客に歌わせる。ここでのブラスのあおりがまさに、ジェームス・ブラウン・バンドそのものだ。

本当に彼らのルーツはジェームス・ブラウン・ファンクだということがよくわかるシーンだ。これだけでなく、「ソー・アイ・ガット・トゥ・グルーヴ」でも、ミスター・ブラウンの「スーパーバッド」のリフを実に自然に織り込む。「ホワット・イズ・ヒップ」でも、ジェームス・ブラウンの「ソウル・パワー」がでてくる。ブラウン・ファンにはたまらない一瞬だ。前者でベース・トロンボーンのドックが腰をブルブル振るわせるところなど最高におもしろい。

最新作からの1曲「ラヴランド」が聴けたが、奇しくも日曜日(5月17日)、ジェームス・ギャドソンのライヴでギャドソン本人のドラムスと歌で聴いていたので、同じ曲をオリジナルとタワーのカヴァーでほぼ同週に聴けたというのが何かの縁か。

彼らの最大の魅力は、5人のホーン・セクションが奏でるハーモニーであり、ときに激しいバトルとなるパフォーマンスだ。それは1950年代にストリートで黒人のブラザーたちが、歌声だけでバトルを繰り広げていたドゥー・ワップの時代を思い起こさせる。言ってみれば、彼らのホーン・セクションのハーモニーは、ホーンのドゥー・ワップだ。

ただ昨年5月の2時間半超ライヴを味わってしまうと、この73分では物足りなく感じてしまうなどと言ったら、ひんしゅくか。ま、あれが特別だったと割り切らなくては…。(笑)

(タワー・オブ・パワーは、まだ5月27日(水)広島クアトロ、28日(木)大阪・心斎橋クアトロ、30日(土)31日(日)ブルーノート東京と公演があります)

■ タワー最新作 ここからは3曲ライヴで披露

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001IZ5B9G/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 過去関連記事

February 03, 2009
Tower Of Power’s New Album Is Also Soul Cover CD
http://blog.soulsearchin.com/archives/002816.html

May 26, 2008
Tower Of Power Live: Power Of Horns, Rhythms, Vocals And Everything (Part 1): Hi Energy Funk Exploded More Than 2 Hours & Half
【タワー・オブ・パワー、ブルーノート史上初、2時間半超ライヴ(パート1)】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002535.html
2008年5月のタワー最終日ライヴ・レポート。パート1。5月27日付け、28日付へ続く。

May 27, 2008
Tower Of Power Live (Part 2) : History Of Tower Of Power
【タワー・オブ・パワー・ライヴ(パート2)~歴史集大成ライヴ】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002536.html

May 28, 2008
Tower Of Power Live (Part 3): Any Questions? Asked Emilio Number Of Times
http://blog.soulsearchin.com/archives/002546.html
【タワー・オブ・パワー・ライヴ(パート3)~歴史集大成ライヴ】

March 17, 2007
Tower Of Power Live: Continuation Makes Power
http://blog.soulsearchin.com/archives/001645.html

2004/01/21 (Wed)
Down To The Night Club: Tower Of Power Show What Is Hip
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040121.html

2004/01/22 (Thu)
Stranger Turned To Be A Friend By Power Of Tower & Champagne
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040122.html

February 24, 2006
Tower Of Power Live: It’s Soooo Hot Downstairs, Upstairs, Too
http://blog.soulsearchin.com/archives/000852.html

■ メンバー

イミーリオ・カスティーヨ(テナー・サックス、ヴォーカル)Emilio Castillo(ts,vo)
ラリー・LB・ブラッグス(ヴォーカル)Larry Braggs(vo)
トム・ポリッツァー(サックス)Tom Politzer(sax)
スティーブン・“ドック”・クプカ(バリトン・サックス)Stephen "Doc" Kupka(sax)
マイク・ボガート(トランペット、フリューゲルホルン、ヴォーカル) Mike Bogart(tp,flh,vo)
アドルフォ・アコスタ(トランペット、フリューゲルホルン)Adolfo Acosta(tp,flh)
ロジャー・スミス(キーボード、ヴォーカル)Roger Smith(key,vo)
マーク・ハーパー(ギター)Marc Harper(g)
フランシス・ロッコー・プレスティア(ベース)Francis Rocco Prestia(b)
デイヴィッド・ガルバルディー(ドラムス)David Garibaldi(ds)

■ セットリスト タワー・オブ・パワー@ブルーノート東京、2009年5月25日月曜
Setlist : Tower Of Power @ Blue Note Tokyo, May 25th, 2009

show started 21:31
00. CD: Funk The Dumb Stuff (Monster On A Leash)
01. We Came To Play
02. Soul With A Capitol "S"
03. Can’t Stand To See Her Slaughter
04. On The Serious Side
05. Only So Much Oil In The Ground
06. How Could This Happen To Me
07. So I Got To Groove ~ A Riff Of "Super Bad"
08. Willing To Learn
09. It’s Not The Crime
10. Loveland [Watts 103rd Street Band]
11. You Met Your Match
12. So Very Hard To Go
13. Diggin’ On James Brown (medley to)
14. It’s A New Day - Mother Popcorn - There It Is - I Got The Feelin’ - Still Diggin’ On James Brown
Enc. What Is Hip - A Riff Of "Soul Power"- What Is Hip
show ended 22:54

(2009年5月25日月曜、ブルーノート東京=タワー・オブ・パワー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Tower Of Power
2009-52

■ブランディー10年ぶりのライヴ~心機一転新たなチャレンジ

【ブランディー10年ぶりのライヴ】

心機一転。

1999年6月以来約10年ぶりの来日となった若手R&Bシンガー、ブランディーのライヴ。前回は、当時の渋谷公会堂で見た。そのときはちょうど2枚目の『ネヴァー・セイ・ネヴァー』が出た後の来日だったが、今回はソニー移籍第一弾『ヒューマン』(通算5作目=2008年12月リリース)が出ての来日。なかなかいいタイミング。観客層も、かなり若い人中心。

ドラムスにキーボード3人(曲によってベース、ギターも)、コーラス2人といういかにも今風のバンド構成でぐいぐいと押してくる。2人のコーラスとともに、ブランディーはがんがん踊る。アップテンポの曲の振り付けがかわいい。そして、ブランディー、めちゃくちゃ細くて、キュート。踊りの動きがどこかしらマイケル・ジャクソンを思わせるところもある。パフュームがやりそうなロボット・ダンスも披露した。歌もしっかりとしている。

「ありがとう」「こんにちは」など端々に日本語を交え、観客との交流も積極的。10曲目大ヒット「ボーイ・イズ・マイン」のあたりで一番前に陣取っていた男子をステージに引っ張り上げる名前を尋ねると彼は「ケンチャンマン」と答えた。戸越銀座のソウルバー「オブライエン」のマスターではないか。(笑)しばらくごぶさたしてるなあ。ほかにも観客から日本語を教わったり(こ・ん・ば・ん・は)、アンコールでもステージに男子をあげ、彼のためにスローを歌ったりとサーヴィス満点だ。

ブランディーは1979年2月11日生まれ。現在30歳だが、14歳でアトランティックと契約、デビューが1994年夏で15歳のとき。早熟な子役デビューだから30にして業界歴15年、それはたいしたキャリアだ。結婚、出産、離婚、さらには2006年12月にフリーウェイで交通事故を起こしたりと、若干暗い話題があり、またしばらくテレビ、映画などで活動していたが、『ヒューマン』のリリース、10年ぶりの来日、各地へのツアーなどと、心機一転音楽活動を本格化させるようだ。

■ ブランディー最新作『ヒューマン』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001O7715A/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ メンバー

ブランディー / Brandy (Vocals)
キンバリー・モント / Kimberly Mont (Background Vocals)
シェリー・ハウク ガレスピー / Sheri Hauck-Gillespie (Background Vocals)
ギルバート・スミス / Gilbert Smith (Keyboards)
ネルソン・ジャクソン / Nelson Jackson (Keyboards/Guitar)
ジョージ・ジョンソン / George Johnson (Drums)
カーン・ブラントリー / Kern Brantley (Keyboards/Bass)

■セットリスト ブランディー ビルボード・ライヴ
Setlist : Brandy @ Billboard Live May 25, 2009

show started 19:02
01. Afrodisiac
02. Who Is She To You
03. What About Us
04. Full Moon
05. Almost Doesn’t Count
06. Sittin’ On Top Of The World
07. Best Friend
08. I Wanna Be Down
09. Baby
10. Boy Is Mine
11. Torn Down
12. Have You Ever
13. Talk About Love -- introducing members
Enc. Long Distance
Enc. Right Here
show ended 20:10

(2009年05月26日月曜、ビルボード・ライヴ東京=ブランディー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Brandy
2009-51

●レコード地獄に足を一歩踏み入れた新人19歳とどっぷり頭までつかった61歳の邂逅

【レコードが取り持つ19歳と61歳】

出版記念。

先週の金曜日(2009年5月22日)、通称「白川会」が下北沢のソウルおでん屋「エクセロ/しずおか屋」であった。ソウル好き白川さんが音頭を取り、周囲のソウル好きを集めている会合で、ソウル評論家の大御所、鈴木啓志さん、松尾潔さんらが集まった。前回は2008年12月でそのときのことはちょっと本ブログでも書いた。

December 03, 2008
Another Soul Summit At Shizuoka-Ya
【もうひとつのソウル・サミット~鈴木啓志氏パソコン始める】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_12_03.html

今回は、白川さんに「マーヴィン・ゲイ出版記念会」と銘打っていただいたのだが、発売が一週遅れたため、いらした方が本を入手できず、僕が持ち込んだ見本の一冊をみんなで「あーだこーだ」いいながら眺めることになった。すいません。ここでも結果的に「本・見せびらかし会」になってしまった。

鈴木さん曰く。「いやあ、これ(マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル)は読んだもんなあ。何度も何度も。これは、リッツの本の中で一番いい出来だよね。他に、アレサとかジェリー・ウェクスラーとかもあるけど、このマーヴィンの本が一番完成度が高い。内容がいいね」

「たぶん、それはマーヴィンが死んだ後に出たこととも関係あると思いますよ。アレサとか、リッツが原稿書いても、けっこう、本人からここは削ってくれっていう注文があったり、自分が言ったことを否定したりして書き直しさせられたこともあるらしいんですよ」と僕。

35周年。

なんとこの日は、途中から「しずおか屋」店主富田さんも参加。富田さんによると、「しずおか屋」も元もとの「エクセロ」がスタートしたのが1974年なので、今年で35周年になる、という。あのマーチンが通った「エクセロ」だ。そこで去年あたりから、今年は何かをやろうと考えているそうだ。近日中に正式発表があるので楽しみに待ちたい。

地獄へ道連れ。

今回は白川さんが、まだ大学一年生で音楽マニアの泥沼という地獄に足を踏み入れつつある古明地(こめいじ)君を連れてきた。なんとあこがれの人が「ワーナーの宮治(淳一)さん」だという。宮治さんというのは、山下達郎さんなどと並んでオールディーズの大専門家にしてマニア、コレクター。ビーチ・ボーイズなどオールディーズ全般の知識・情報量が圧倒的な業界内ではよく知られた人物だ。この大学生君は達郎さんの『サンデイ・ソングブック』を毎週録音し何度も聴いて、そこからレコードを研究したり買ったりしているという。

「好きなシンガーは」と聞くと、「マーヴィン・ジュニアです」と答える。マーヴィン・ゲイではない。シカゴのデルズのリード・シンガー、マーヴィン・ジュニアだ。そして「一番好きなファルセットは、テッド・ミルズです」。ブルー・マジックのリード・シンガーだ。恐るべき19歳! (笑) 

それを聴いた松尾さん。「憧れの人が宮治さんって、どっかおかしくない?」と大苦笑。19歳ながらアルバイトのお金を全部、レコード、CDにつぎ込み、すでにコレクションは1000枚近くになっているそうだ。将来はレコード会社に入って、オールディーズのコンピレーションなどを編纂したいという。その彼は鈴木さんが編纂し、松尾さんなども執筆している「ブラック・ミュージック・ディスク・ガイド」を持参し、鈴木さん、松尾さんのサインをねだっていた。その本もかなりボロボロで、あちこちのページに蛍光ペンでラインが引かれている。年季の入ったヴェテラン・レコード・コレクターと新人コレクターの邂逅。果たしてその20年後はどうなる? 

疑惑。

ところで、鈴木さんがパソコンを導入したということを前回のブログで書いた。そうしたらそれを読んだ鈴木さん周辺のソウル・マニアたちが、鈴木さんに「鈴木さんもついにパソコン、導入したんですってね」と言ったらしい。それを聞いて鈴木さんは「なんか、みんな僕がパソコンやり始めたの知ってるんだよね。なんで、みんな知ってるんだろう」とえらく不思議がったそうだ。あれ、前回会ったとき、鈴木さん、僕のブログ見てるって言ってたような。(笑)

すると新事実発覚! どうやら一度は見たらしいが、その後、どうやってホームページを見ればいいのかわからなくなったらしく、「ソウル・サーチン」にも一度しかアクセスしていないらしいのだ。それって、「見てるよ」という表現でいいのか。(笑)

三茶まで鈴木さんを送る車内での会話。なぜミスター・アナログ鈴木さんがデジタル(パソコン)を導入したかというと、海外とレコードのオークションなどをするときに、かつてはファクスでやりとりをしていたが、さすがに相手方がメールでやりとりをしてくれと要望してきて仕方なく導入したらしい。そりゃあ、いまどきファクスはないでしょう。(笑)

で、再び、「メールやりとりできるなら、メアド教えてくださいよ」と僕が言うと、「知らないんだよ。なんか、暗号みたいな記号で覚えられないんだ」。(確か前回もこのやりとりをした) おそらく最初に振り分けられた乱数で決められた暗号のようなアドレスなのだろう。普通はそれを自分で好きなアドレスに変更するが、それができなかったらしい。「じゃあ、わかりました、とにかく僕のメアド、ここに書いてありますから、空メールでいいので、一度送ってくださいよ」「わかった、やってみる」とミスター・アナログ。

さらに話しを聞くと、鈴木さん、相手から来たメールに返事は書けるらしいが(つまり、「返信」でメールを送るのだろう)、自分から相手に発信できないらしい。しかも、メールはほとんど、というか全部、海外とのもので、英語でやっている。なので、日本語変換ができない、あるいは日本語が打てない疑惑も浮上した。ところで、鈴木さんにどんぴしゃのメール・アドレスってなんだろう・a href=mailto:Boneway_suzuki@...>Boneway_suzuki@...とかsoulcityusa@...とかbluesandsoul_suzuki@...とか。

「いやあ、でも、鈴木さんがパソコンやってるっていうこと自体が、ほんと、隔世の感があるなあ」と僕がしみじみ言うと、松尾さん、「いやあ、吉岡さんが隔世の感と言うほうのが、ほんとおもしろいですよ」。

でも僕はあの研究熱心な鈴木さんがネットにはまったら、1日30時間くらいやって、それこそディープ・ソウルだなんだと情報収集を徹底的にやりそうな予感がしている。ネットがない時代にあれだけの情報を日本にいながらにして集めることができた彼なのだから、ネットを使うノウハウなんか手に入れたら、鬼に金棒だ。ネットには鈴木さんが興味を持つであろう情報がわんさかあるわけだから。

あれから3日経つが、鈴木さんからの初メールはまだ到着していない…。

ENT>ESSAY>

△『ソウル・サーチン:ザ・セッション~アイズリー・ブラザーズ』7月開催

【2年4ヶ月ぶりの『ソウル・サーチン』】

発表。

昨日、概要を発表した『ソウル・サーチン:ザ・セッション~ア・トリビュート・トゥ・アイズリー・ブラザーズ』だが、2007年3月のアレサ以来のものになる。前回終えたところで、参加メンバーなどとともに雑談をしているうちに、徐々にアイズリーかカーティスか、というおぼろげなイメージができてきていた。

これまで7回の『ソウル・サーチン』は、いずれもソロ・シンガーだった。前回が初めての女性シンガー、アレサだった。そこで、初めてグループものにチャレンジしてみよう、ということで、アイズリーになった。

アイズリーは、レコード上では「3+3」、つまり兄弟、従兄弟ら計6人だけですべてをまかなっている。あらゆる音は、この6人で作っているというのが、彼らのキャッチフレーズだ。では、これを再現するときに、6人でできるかというと、実際はレコーディングではオーヴァーダビングをしているために、ライヴではできないのだ。ギターなども2人必要になる。パーカッションも多重録音している。

昨日の段階でまだ名前が発表できなかったもうひとりのギタリスト兼ヴォーカリストは、ガッツ改め中澤信栄だ。確認が取れたので、発表。ガッツは、彼のライヴでも多数のアイズリー楽曲を歌っていたり、またアーニー・アイズリーばりにギターを披露する。『ソウル・サーチン~アイズリー』になくてはならない存在だろう。おそらく、カーティスのときも。

このほかに若干まだ確定したり、していなかったりといった方が何名かいらっしゃる。近いうちに全容を明らかにできると思う。いずれにせよ、熱い一夜になることはまちがいない。

アイズリーといえば、そのリード・シンガー、ロナルド・アイズリーである。あのセクシーな歌声、ステッキを持ち、贅沢な毛皮のコートを着て、サングラスをかけ、大きなリムジンにでも乗ってでてきそうな、あのキャラクターは誰にも代え難い。だがその贅沢病も度がすぎたか、脱税で有罪、刑務所入りを果たしている。ニュースなどによると彼の釈放は2010年4月だという。それを読んで、来年の4月に刑満了釈放記念でやればよかったかな、とも一瞬思ったが、もうすでに決めてしまっていたので、この7月に堂々とロナルド応援キャンペーンをやるつもりでやろうと思う。

アイズリーのヒット曲は80曲近く。サンプリングされている曲だけでも20曲以上ある。歴史も50年以上。サンプリング回数が一番多いアイズリー楽曲は、「ビトウィーン・ザ・シーツ」、カヴァーも含めると50ヴァージョン以上ある。続いて多いのが「フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー」だ。一部をメドレーにしたところで、どう選んでも演奏できるのは20曲がいいところ。選曲と誰がどれを歌うか、大きな悩みが生まれてくる。

なお、2デイズ、基本的には同じセットリストで行う予定で、内容は同じになるはずです。



イヴェント名 『ブルース・アレー・ジャパン・プレゼンツ~ソウル・サーチン: ザ・セッションVol.3 ~ア・トリビュート・トゥ・アイズリー・ブラザーズ』
日時 2009年07月14日(火曜)  July 14 (Tuesday), 2009 19時半~
日時 2009年07月15日(水曜) July 15 (Wednesday), 2009 19時半~
出演 ケイリブ・ジェームス&ザ・ソウル・サーチャーズ・フィーチャリング・フィリップ・ウー
ゲスト 木下航志、シャンティほか
トーク・パネリスト 司会 吉岡正晴、松尾潔(予定)、尾臺順子、岡伸昭
会場  目黒・ブルース・アレー http://www.bluesalley.co.jp/
住所  〒153-0063 東京都目黒区目黒1-3-14
ホテルウィング・インターナショナル目黒B1F
電話  03-5740-6041(予約専用電話)当日のお店の番号03-5496-4381
料金  5500円(チケット代)+525円(席料)+ドリンクなど、立ち見は5000円 当日券は各料金\500UP (各税込)
主催・制作  ソウル・サーチン実行委員会
お問い合わせ先  soul_searchin_the_session@yahoo.co.jp

予約 2009年5月26日(火曜)16時よりブルース・アレーで受けつけます。

1)ホームページから

予約用ホームページ http://www.bluesalley.co.jp/
上記ホームページにアクセスし、右上reservationのボタンをクリック、指示にしたがって必要事項を記入の上、予約。

2)電話で 予約センター 03-5740-6041に電話して予約。

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(おしらせ)

マーヴィン・ゲイ伝記『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』の発売に関して

この本の発売日は5月28日とお伝えしてありますが、さきほど、アマゾンをのぞいたところ、お急ぎ便を選ぶと翌日に配達されると出ました。どうやら、すでにアマゾンの倉庫には何冊か入荷しているようです。一日も早く読みたいと思われる方は、お急ぎ便はいかが? 350円ほどプラスになりますが。通常配送でよければ、本自体が1500円以上なので送料無料。

湘南ビーチFMのDJ、タカシさんが紹介してくれています。感謝。
http://ameblo.jp/dj-dada/day-20090523.html

■ 『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』(ブルース・インターアクションズ)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860203186/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>ANNOUNCEMENT>Soul Searchin

☆発表! イヴェント『ソウル・サーチン』2年4ヶ月ぶりに開催決定

【『ソウル・サーチン』2年4ヶ月ぶりに開催~アイズリーズにスポット】

開催決定。

本当にお待たせしました。前回『ソウル・サーチン:ザ・セッション~アレサ・フランクリン』が行われたのが2007年3月のこと。2007年は「ソウル・サーチン」関連ライヴが多かったが、2008年はほとんどなく、周囲からまだか、まだかと言われてはや1年。やっと決まりました。

来る2009年7月14日(火曜)と7月15日(水曜)、会場は目黒・ブルース・アレー。(詳細は下記参照)

回を重ねるごとに観客動員も増え、内容も濃くなっている「ソウル・サーチン」。2年4ヶ月ぶりの今回は『ソウル・サーチン:ザ・セッション』として第3回、『ソウル・サーチン・トーキング』から数えて通算8回目。毎回一組のアーティストをピックアップし、そのアーティストについてのパネリストによるおもしろディープなトークとケイリブ・ジェームス&ザ・ソウル・サーチャーズとゲストによるソウルフルなパフォーマンスを見せるイヴェント。今回のアーティストは、アイズリー・ブラザーズです。しかも、2006年7月以来3年ぶりに目黒ブルース・アレーに戻り、なんと2デイズ!

ライヴ演奏は、毎回強力なパフォーマンスを見せるケイリブ・ジェームス&ザ・ソウル・サーチャーズ・フィーチャリング・フィリップ・ウー。コーラスにディーヴァ・グレイのときにも活躍したロビー・ダンジー(クリストルの元メンバー、ほかにモリス・デイ、インコグニートなどのバック・コーラスも担当)、AI、久保田利伸などのバック・コーラスで活躍中のユリ、さらにこのところ東京ベースで本格的に活躍を始めているタイロン・デイヴィス(1960年代に活躍したシカゴのシンガーとはもちろん別の人です。シカゴのデイヴィスは故人)が参加。アイズリーズは6人だが、この「ソウル・サーチン」のステージには10人が乗る。そして、ゲストに木下航志、シャンティほかが登場。未確定出演者も、追って発表されます。

トーク・パネリストは、吉岡正晴が司会で、「レコード大賞」受賞作詞家/プロデューサー、松尾潔氏(どちらか1日になる可能性もあり)、尾臺順子さん(NHK-FM『ザ・ソウル・ミュージック』DJ)、岡伸昭氏(フット・ペインティング・アーティスト)と鉄壁のレギュラー陣。

なお、今回は2デイズあるため、予約はブルース・アレーに一本化しています。直接、ブルース・アレーにお申し込みください。詳細は下記にあります。

また、今回アーティストはアイズリー・ブラザーズですが、5月28日発売のマーヴィン・ゲイ伝記『マーヴィン・ゲイ物語~引き裂かれたソウル』を会場で即売する予定です。もちろん、7月まで待てないという方は、アマゾンなどで
お求めください。

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6ディケード。

アイズリー・ブラザーズは1956年ごろ、オハイオ州シンシナティーでアイズリー4人兄弟で結成。4人のうち1人が交通事故で急死し以後3人のヴォーカル・グループとして活動。1962年に「トゥイスト&シャウト」が大ヒット、後にこれをイギリスのビートルズがカヴァーしたことにより、一躍注目のグループに。1966年、モータウン入り。「ディス・オールド・ハート・オブ・マイン」などがヒット。1969年、モータウンを離れ、自身でTネック・レコードを設立、「イッツ・ユア・シング」が大ヒット。この頃からバックを別の3人の兄弟、従兄弟で支えるようになり、6人組となる。1973年、このTネックがCBSの配給となり、ここから出すレコードをすべてさせるようになる。

1985年、アイズリー・ブラザーズはワーナーへ移籍、1986年、オケーリー・アイズリーが急死。その後、リード・シンガー、ロナルド・アイズリーがソロ活動を始めたりするが、現在はロンとアーニーの2人でアイズリー・ブラザーズを名乗っている。しかし、2006年、ロンは脱税で告発され有罪となり、収監されている。収監が終わるのは2010年4月の予定だ。

1950年代から2000年代まで6ディケード(=10年の単位)にわたってヒットを出している長寿グループだ。ヒット曲も80曲近い。

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詳細は次の通り。


イヴェント名 『ブルース・アレー・ジャパン・プレゼンツ~ソウル・サーチン: ザ・セッションVol.3 ~ア・トリビュート・トゥ・アイズリー・ブラザーズ』
日時 2009年07月14日(火曜)  July 14 (Tuesday), 2009
日時 2009年07月15日(水曜) July 15 (Wednesday), 2009
出演 ケイリブ・ジェームス&ザ・ソウル・サーチャーズ・フィーチャリング・フィリップ・ウー
[ケイリブ・ジェームス=キーボード・ヴォーカル、フィリップ・ウー=キーボード、ゲイリー・スコット=サックス&パーカッション、高田真=ドラムス、原武=ベース、マサ小浜=ギター、近日発表=ギター・ヴォーカル、ロビー・ダンジー=コーラス、タイロン・デイヴィス=コーラス、ユリ=コーラス]
ゲスト 木下航志、シャンティほか
トーク・パネリスト 司会 吉岡正晴、松尾潔(予定)、尾臺順子、岡伸昭
(出演アーティストはさらに増える見込みです)
Kaleb James & The Soul Searchers Featuring Philip Woo
[Kaleb James=Keyboards, Vocal, Philip Woo=Keyboards, Gary Scott=Sax, Percussion, Takada Shin=Drums, Hara Takeshi=Bass, Masa Kohama=Guitar, to be announced=Guitar, Vocal, Robbie Danzie=Vocal, Tyron Davis=Vocal, Yuri=Vocal]
Guests: Kishita Kohshi, Shanti and more
Panelists; Yoshioka Masaharu (MC), Matsuo "KC" Kiyoshi, Odai Junko, Oka Nobuaki

開場 18時
セッション 第一部 19時半~20時45分 第二部 21時~22時15分 (予定) (入れ替えではありません。また、一部と二部の内容は異なります。予約をされた方 で19時までにお入りいただければ、座席は確保いたします。以後は当日ご来場の方を ご案内する場合がありますのでご了承ください。座席数は約130です)
会場  目黒・ブルース・アレー http://www.bluesalley.co.jp/
住所  〒153-0063 東京都目黒区目黒1-3-14
ホテルウィング・インターナショナル目黒B1F
電話  03-5740-6041(予約専用電話)当日のお店の番号03-5496-4381
行き方  JR山手線・目黒駅西口を降りて、右に出て恵比寿方向へ進み目黒通り(一方通行)を渡って左折、100メートル弱・坂を降りた右側。地下一階。駅から徒歩3分。
地図  http://www.bluesalley.co.jp/
料金  5500円(チケット代)+525円(席料)+ドリンクなど、立ち見は5000円 当日券は各料金500UP (各税込)
主催・制作  ソウル・サーチン実行委員会
お問い合わせ先  soul_searchin_the_session@yahoo.co.jp

内容  トーク・パネリストが、アイズレイ・ブラザースについて縦横無尽に語り、ケイリブ&ソウル・サーチャーズとゲストたちがアイズレイズの作品群を自由自在に再現します。アイズレイを知らない人にはわかりやすく、よく知っている人にはマニアックなネタを、歌と演奏とトークで、アイズレイの魅力をたっぷりご紹介する、アイズレイ三昧な夜です。

予約  お席は予約された方を優先してご案内しますので、ご予約をお勧め いたします。2009年5月26日(火曜)16時より予約を承ります。ブルース・アレーで予約を受けます。

1)ホームページから
予約用ホームページ http://www.bluesalley.co.jp/
上記ホームページにアクセスし、右上reservationのボタンをクリック、指示にしたがって必要事項を記入の上、予約。

2)電話で 予約センター 03-5740-6041に電話して予約。

それでは、7月14日、15日に目黒ブルース・アレーでお会いしましょう。

+++「ソウル・サーチン」これまでの記録+++

第1回 ソウル・サーチン・トーキング
2003年11月27日 スティーヴィー・ワンダー 
会場・六本木ブレイブ・バー
第2回 ソウル・サーチン・トーキング
2004年4月22日 スティーヴィー・ワンダー 
会場・中目黒楽屋
第3回 ソウル・サーチン・トーキング
2004年9月22日 ダニー・ハザウェイ  
会場・中目黒楽屋
第4回 ソウル・サーチン・トーキング
2005年6月26日  レイ・チャールズ
会場・目黒ブルース・アレー
第5回 ソウル・サーチン・トーキング
2006年4月1日  マーヴィン・ゲイ
会場・目黒ブルース・アレー
第6回 ソウル・サーチン・ザ・セッション第1回 
2006年7月1日  ルーサー・ヴァンドロス
会場・目黒ブルース・アレー 

―― ソウル・サーチン・プレゼンツ・グレイト・ディーヴァ・グレイ・ショー
2007年1月9日 ディーヴァ・グレイ
会場・目黒ブルース・アレー

第7回 ソウル・サーチン・ザ・セッション第2回 
2007年3月26日  アレサ・フランクリン
会場・六本木スイートベイジル(STB139)

―― ライヴM 
2007年8月16日、17日 アコースティック・ソウル・サーチャーズ
会場・藤が丘マルターノ

―― フィリー・ソウル・ナイト
2007年10月5日 フィリー・ソウル・サーチャーズ
会場 メトロ銀座駅コンコース
―― フィリー・ソウル・クリスマス・ナイトイン・ギンザ
2007年12月7日 フィリー・ソウル・サーチャーズ
会場 メトロ銀座駅コンコース

第8回 ソウル・サーチン・ザ・セッション第3回 
2009年7月14日、15日 アイズレイ・ブラザース
会場・目黒ブルース・アレー

EVENT & ANNOUNCEMENTS>Soul Searchin’ The Session Vol.3

◎中澤信栄(のぶよし)=元Gatz=「夢物語」発売記念ライヴ

【出生魚~ガッツ→中澤信栄となる】

出生魚。

ブリは生まれた頃はワカシ(ワカナゴ)といい、少し成長するとイナダ、さらに、ワラサ、そして一番大きくなったところで、ブリと呼ばれるという。こういう成長にともない名前が変わる魚を出生魚という。

ガッツこと中澤信栄(のぶよし)は、過去9年でこんな風に名前をかえてきた。

2000年6月Gats TKB Show
2006年~ Gats
2007年7月 Gatz
2009年3月 中澤信栄

ワカシ(ワカナゴ)→イナダ→ワラサ→ブリ

それぞれの活躍のタイミングで名前を変え、ついにドリカムのDCTレーベルからの再デビューを機に本名の中澤信栄にアーティスト名を変えた。中澤はまさに出世魚ならぬ出生歌手で、ついに、ブリになった。

そんな中澤信栄としてのデビュー曲「夢物語」の発売記念ライヴ。ファースト・セット5曲、セカンド10曲プラス・アンコールの約2時間。今回は全曲オリジナルで、ファーストが比較的アコースティック系、セカンドがホーン・セクション3人を加え、バンド・サウンド系だ。ブラス・セクションが入ったセカンドの2曲目、3曲目あたりはちょっと景気のいいアース・ウィンド&ファイアー・サウンドを彷彿とさせる。

シンガー・ソングライターとして、もはや完成していると言っていいだろう。楽曲もまとまっていて、しかも、歌も安定している。あとは、1-2曲名刺代わりの大ヒットがでて、ホール・ツアーでも出来るようになればいいのではないだろうか。たぶん、ちょっとしたきっかけだろう。素材そのものだったノラ・ジョーンズのデビュー作にちょっとした味付けをし、大ベスト・セラーにしあげたアリフ・マーディン的なものがあればいいのだ。

ガッツは、いや中澤は今、ドリームス・カム・トゥルーで全国ツアー中。ドリカムの開演予定時刻30分前から時間をもらい、歌っているという。

ガッツ、いや中澤のブルース・アレー前回は2008年10月、そして、はやくも次回のライヴが決まった。9月13日(日曜)、横浜モーション・ブルーだ。

しかし、ガッツ、いや中澤もう名前変えないようねえ。また変えたら、出生魚ならぬ「大出生魚」だ! (笑)

■ 中澤信栄デビュー・シングル

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001RO90BS/soulsearchiho-22/ref=nosim

■ 過去関連記事

October 24, 2008
Gatz Live At Blues Alley
【ガッツ・ライヴ~雨にも負けず…】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_10_24.html
(ここからさらに過去記事を辿れます)

■ メンバー

中澤信栄(GATZ) 「NEW A.O.R NIGHT!!」
~1ST シングル「夢物語」リリース記念ライブ~

(Vo/G)中澤信栄(なかざわ・のぶよし)(GATZ) (Harmonica/Key)西脇辰弥 (B)下野ヒトシ (Ds)高田真 (Per)坂井“Lambsy”秀彰 (Sax)本間将人 (Tp)川上鉄平 (Tb)石戸谷斉(いしとや・ひとし)(Cho)有坂美香、高橋あずみ
★ Guest (G)石成正人

■ セットリスト 中澤信栄ライヴ『ニュー・AOR・ナイト』2009年5月21日(木)@目黒・ブルース・アレー
Setlist : Nakazawa Nobuyoshi @ Blues Alley, Meguro; May 21,2009

first set
show started 19:44
01. Wake Up (中澤ギター弾き語り)
02. 季節の中で (+西脇)
03. Melody (+高田、下野、坂井、有坂、高橋)
04. 地球に抱かれてる
05. 夢物語(アコースティック・ヴァージョン)

second set
show started 20:49
01. Something (Instrumental) (Band +本間、川上、石戸谷)
02. Long Vacation
03. 心配ないよ
04. 交差点
05. Be With You
06. Excuse (+石成)
07. Stay
08. Journey (bass solo by Shimono Hitoshi) 
09. 夢物語
10. ありがとう
Enc. メッセージ
show ended 22:10

(2009年5月21日木曜、目黒・ブルース・アレー=中澤信栄ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Nakazawa, Nobuyoshi
2009-48

○【ロイ・エヤーズ(エアーズ)、渋谷の若者を熱狂させる】

スタンディング。

ロイ・エヤーズ(Roy Ayers)としては、2006年11月、2007年10月、2008年7月以来10ヶ月ぶりの来日ライヴ。16回目くらいの来日か。(2003年を本人談の11回目として) 普段はブルーノート、コットンなどでのライヴが多いが、今回は渋谷デュオでクラブ・イヴェント的な切り口でのショー。ちょうど会場に入ると、DJ(ムロ)、オープニング・アクト(クロマニオン)が終わり、ロイのライヴは5分ほど前に始まったという。なかなか前に進めない中、少し入っていくと、なんとギターのハンコ屋さん。前日(5月17日・日)に続き2日連続の遭遇。盟友フィリップ・ウーから誘われてやってきたという。

驚いたのは観客。ブルーノートなどと比べて圧倒的に客層が若い。ほんとに普段クラブにいるような人たちが、スタンディングの会場を覆いつくしている。5-600人は入っていたのではないだろうか。熱気もすごく、気温もかなり暑い。

前回来日と同じいつものメンバーでの熱い熱いライヴ。グルーヴのあるのり、ロイの強烈なキャラクター、みな渋谷の若者からやんやの喝采を集める。

ライヴ評としては、2007年10月のもの、2004年3月のものなどを読んでいただければいいかと思うが、それにしても相変わらず若い。現在68歳。「みんなからすると、おじいちゃんのような年齢だけど…」というロイだが、音楽は気持ちを若くする。

バンドの各メンバーがしっかり持ち場を押さえ、自分の仕事をきっちりとこなす。そして、全員がひとつのグルーヴに向けて、力を傾ける。そして生まれるOne Nation Under A Groove. このワン・ネーションはいつも気持ちよい。

同じアーティストの同じパフォーマンスでも観客のタイプがこれだけ違いながら、こちらも圧倒的に熱狂的に受け入れられているところが、ものすごく興味深い。ブルーノートは座って見るが、ここはみんな立って見る。ロイの音楽のターゲットは、年齢層の高いところから低いところまでまさに階層を串刺しにして縦断しているかのようだ。ロイのようにクラブ系DJたちからも支持されているアーティストなどは、こうした渋谷でのスタンディングのライヴでもどんどんいけるということになる。

途中で飛び入りで入ったのは、キーボード奏者フィリップ・ウー。ロイの愛弟子で、その後フランキー・ベヴァリー&メイズのメンバーになった超強力アーティスト。ロイとの関係は下記関連記事で。この日はキーボードの状態のせいもあってか、ファンクネスではなく、メロー・マッドネスのパフォーマンス。(ここでフライヤー配ればよかったね、フィリップ。(笑)) ハンコ屋さんによれば、フィリップの長尺ソロ、「あれくらい長いソロでないと、ストーリーを作れない」とのこと。なるほど、ミュージシャン視点のお言葉。

フィリップ・ウー・バンドは7月にコットン・クラブでアリ・オリ・ウッドソンのソロ・ライヴのバックをてがける。ロイは楽屋でフィリップをわが子のように歓待し、You’re the man を連発していた。2人は1973年にシアトルで邂逅しているので、すでに36年のつきあいだ。わお! It’s the history.

■ ロイ・エヤーズ過去関連記事

July 09, 2008
“Funkin’ Party For Blue Note”(Part 1) : Superstars Of Jazz Fusion Live
http://blog.soulsearchin.com/archives/002601.html
(前回来日時、ライヴ評)

October 25, 2007
Roy Ayers & Bilal Live At Billboard
http://blog.soulsearchin.com/archives/002104.html
(ロイ・エヤーズ前々回来日ライヴ評)過去記事一覧も。

October 08, 2006
Philip Woo Will Be At Cotton Club With Roy Ayers: Reunion First In 28 Years : Philip Reveals His First Encounter With Roy (Part 1)
http://blog.soulsearchin.com/archives/001312.html
フィリップ・ウーはロイ・エヤーズのバックを務めたところから、音楽業界に足を踏み入れた。フィリップとロイの関係。

November 06, 2006
Philip Woo And Roy Ayers Live: After 28 Years...
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_11_06.html

November 07, 2006
Keyboard Wizard Meets Vibraphone Master: Philip & Roy
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_11_07.html
フィリップとロイのパフォーマンス。

2004/03/11 (Thu)
Roy Ayers Live At Blue Note: Music Is My Lady, My Mistress
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040311.html

2003/08/21 (Thu)
Roy Ayers Live At Motion Blue: Music Makes Him Young
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20030821.html

■waxpoetics JAPAN and contrarede presents
ROY AYERS Japan tour 2009
ROY AYERS
GUEST:CRO-MAGNON / INO hidefumi
DJ:MURO

■ メンバー

Roy Ayers- Vibe, Vocal,
Mark Adams- Keyboards,
John Pressley- Vocal,
Donald Nicks- Bass,
Lee Pearson- Drums,
Ray Gaskins-Sax,
++Philip Woo-Keyboards (walk-in)

■セットリスト ロイ・エヤーズ @渋谷デュオ、2009年5月19日(火)
Setlist : Roy Ayers @Shibuya Duo, May 19,2009

show started 21:45
01. Evolution
02. Love Will Bring Us Back Together
03. Searchin (Featuring Philip Woo)
04. No Stranger To Love
05. We Live In Brooklyn (Tokyo), Baby
06. Sunshine
07. Night In Tunisia including a riff of “My Favorite Things”
08. Let Me Be Your Sugar~Always There
Enc. Can You Feel It?
show ended 23:21

(2009年5月18日月曜、渋谷デュオ=ロイ・エヤーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Ayers, Roy
2009-46

◆ジョニー・ギター・ワトソン・トリビュート・ライヴ~ギャドソンのドラムスを満喫して

【ジョニー・ギター・ワトソン・トリビュート・ライヴ】

満喫。

日曜日、六本木のAライフでのソウル・オヤジ、川畑氏のソウルバー歴30周年記念パーティーは、ライヴ後、ミュージシャンたちの控え室でいろいろ雑談をしていたらえらく遅くになってしまい、外に出たら夜が明けていた。控え室はえらく煙かった。最近は日が長くなった。スクープのTAKEさんには、ファーストが始まる前にいきなり、「ソウルあるとこ、吉岡さんありですね」と言われた。確かにそう見えるかも。(笑) 彼や、サックスのナオちゃん、ブレンダに、出来たばかりのマーヴィン本サンプルを見せると、みんな異様に反応する。なんと写メを撮られ、さっそくアップしてくれた。暗くてよくわからないかもしれないが、となりはスクープTAKEさん。

http://blog.naoh3.com/?eid=1195779

そして、その席で翌日(5月18日=月曜)に横浜ブリッツで『ジョニー・ギター・ワトソン・トリビュート』ライヴをギャドソンたちがやるというので、見に行くことになった。5時から1本四谷で打ち合わせがあったので、現地に着いたのは7時過ぎだったが、下記セットリスト円道一成さんあたりから見られた。円道さんがいるとは知らなかったので、驚いた。今まで大きなところで見たことがなかったが、さすが筋金入りのソウル・円タテイナー(わざと円道にちなんで円にしてみた)、客とのやり取りも、つかみもOK。

11曲目からこの日のテーマ、ジョニー・ギター・ワトソン楽曲が。エディ藩さん、永井隆さんなど、日本のブルーズ界で活躍する人たちが登場。こういうソウル、R&B、ブルーズになるとこのギャドソンのドラムスは圧倒的だ。彼のドラムは気持ち控えめで、でも出すところは出し、あちこちのフレーズに品があって実にかっこいい。もちろんファンクネスとグルーヴもたっぷり。ちょっとクロウト好みなのかな。この日一番よかったのは、「スーパーマン・ラヴァー」。二日続けてのギャドソン・プレイ、満喫だ。

下記セットリスト15あたりで途中ポンタ氏とギャドソンがツイン・ドラムになるところがあったが、2人のキャラクターの対照的な違いが如実に出ていて興味深かった。

この日は元々渋谷デュオでのロイ・エヤーズに行く予定だったので、ライヴ終了後挨拶もそこそこに渋谷へ直行。

■メンバー Johnny Guitar Watson Tribute

BAND:山岸潤史(G)/James Gadson(Dr)/清水興(B)/吉弘千鶴子(Key)
Guest:村上“ポンタ”秀一/Nasty Girls/円道一成/永井隆/エディ藩他

■セットリスト: ジョニー・ギター・ワトソン・トリビュート @横浜ブリッツ
Setlist : Johnny Guitar Watson Tribute @ Blitz, Yokohama, May 18, 2009

show started
01. Opening
02. I Love U-All (Shodai)
03. What’s Going On (Shodai)
04. Supremes Medley (Nasty Girls)
05. Chapel Of Love (Nasty Girls)
06. Sex shooter (Nasty Girls)
07. Midnight Hour (Endo Issey)
08. When Something’s Wrong With My Baby (Endo Issey)
09. Mustang Sally (Endo Issey)
10. Won’t Be Long (Nasty Girls)
> Johnny Guitar Watson Tribute (#11 to #14, #18 to #23)↓
11. Stormy Monday Blues (Eddy Ban)
12. Walkin’ The Dog (Eddy Ban)
13. Gangster Of Love (Gadson on Vocal)
14. Woke Up This Morning
>
15. Nasty Girl (Nasty Girls, Murakami Ponta)
16. Nigai Namida (Nasty Girls, Murakami Ponta)
17. Got To Be Real (Nasty Girls, Murakami Ponta)
> Johnny Guitar Watson Tribute (#18 to #23)↓
18. Cuttin’ In
19. Hey Little Mama (Nagai Takashi)
20. Those Lonely Nights (Nagai Takashi)
21. Superman Lover (Gadson on Vocal)
22. Tata
23. A Real Mother For Ya
show ended 21:00

(2009年5月18日月曜、横浜ブリッツ=ジョニー・ギター・ワトソン・トリビュート・ライヴ)
ENT>LIVE>Watson, Johnny Guitar
2009-45

★川畑満男氏ソウル・バー歴30周年記念パーティー~フィーチャリング・ジェームス・ギャドソン

【豪華絢爛大ソウル・パーティー】

豪華。

全国ソウル・バー総本山赤坂ミラクル・オウナー、川畑満男氏のソウル・バー歴30周年を記念したパーティーが2009年5月17日(日曜)、東京・六本木のA-LIFE(エー・ライフ)で行われた。3フロアで複数のDJプレイがあったほか、ライヴも。それがこの日の最大の目玉で、ロス・アンジェルスからやってきた伝説のドラマー、ジェームス・ギャドソンをフィーチャーしたライヴ・バンドのショー。ここにニュー・オーリンズからの山岸潤史、キーボードにやはりかつてニュー・オーリンズで活躍した吉弘千鶴子、ベースになにわの清水興という強力ファンク部隊が揃っての演奏となった。

会場は、全国のソウル・バー関係者、音楽ファン、ソウル・ファン多数であふれかえっていた。ソウル・バーは日曜が休みのところが多いため、多くのソウル・バー・マスターが登場していた。沖縄オージー、都内恵比寿・ブラウン・シュガー、川崎ソウル・ビート、大宮ディープ、下北沢しずおかや、リトル・ソウル・カフェ、ダンステリアその他多数だ。おや、マイケル&ケイコがいないぞ…。(笑)

さらにこのほかに川畑さんとゆかりのあるミュージシャンたちが多数かけつけ、楽屋はごった返していた。

ライヴは第一部が4人での山岸オリジナル曲や、ジョニー・ギター・ワトソン曲、バンド・オブ・プレジャーの曲など。いずれものり抜群で、ブルーズ調の曲でも観客は踊る。第二部がこの4人をベースに、当日遊びに来たミュージシャンたちが次々と入れ替わり立ち代りステージにあがり、ジャム・セッションを繰り広げた。

それにしても、みんな楽しそうにプレイしてる。ソウルオヤジ川畑さんの元に集まったみんなが好き勝手に、自分たちの好きな音楽を思い切りエンジョイしている、という感じだ。ある種、ファミリー・パーティーのような楽しいジャム・セッションで、たとえば、山岸の熱血プレイぶりに、思わず僕もステージ横から「ヤマギシー~~」と声をかけてしまった。(笑)こんな楽しいパーティーは、川畑さんのキャラクターのなせる業か。

第二部で僕は初めてみたが、北京一さんの「かたつむり」というのがめちゃくちゃおもしろかった。ブルーズ調のバックに乗せ、パントマイム風動きと、おもしろいストーリー展開が最高に楽しい。聞くと、北京一さんは、その昔北京一・京二として漫才をやっていたが、その後単身渡米しロスでパントマイムを勉強し、帰国後はソー・バッド・レヴューを結成、リード・シンガーとなった。現在は歌とそのパフォーマンスを合体させたものをやっている、という。この「かたつむり」は彼の18番だそうだ。

しかし、この4人、たかが4人でよくこれだけのリズム、サウンドを作ることができる。

第二部ではまたまた熱いジェイ公山のサム・クックなどでオールド・スクール客を熱狂させる。そして、最後2曲、ギャドソンの盟友、ビル・ウィザースの2曲「キッシング・マイ・ラヴ」と「ユーズ・ミー」は、本物のジェームス・ギャドソンのドラムスで最高だった。あのチッチッチという独特の音が、レコードそっくりでもうたまらない。客の中からも、「本物だよ、本物がやってるよ」という声が聞こえてきた。

このギャドソンのドラム・プレイについては、川畑さんがMCで「僕が一番好きなドラマーなんです。あんまりでしゃばらないで、でも、ちゃんと自分らしさがあって」といったようなことを言っていたが、本当にその通りだ。

ジェームス・ギャドソンは、1939年6月生まれ。現在69歳、来月70歳だ。ワッツ103(ワンハンドレッド・サード)ストリート・バンド、ビル・ウィザースなどを皮切りに、セッション・ドラマー、プロデューサーとして多数の作品に参加してきた、伝説のドラマーだ。しかし、伝説というよりも、まるでまだまだ現役の超強力なドラマーだった。しかも、歌も歌うのだからたまらない。

下記セットリストをごらんになるとわかると思うが、今は亡きジョニー・ギター・ワトソンの作品が多いことに気づかれるだろう。実は、ジェームス、山岸らは、今回この川畑パーティーともう一件、トリビュート・トゥ・ジョニー・ギター・ワトソンのライヴのために、来日したのだ。それは翌日月曜のことなので、それは明日レポートする。

ワトソンは1996年5月17日、横浜の「ブルーズ・カフェ」というライヴ・ハウスで1曲目が始まってステージにでてきたところで倒れ、そのまま帰らぬ人となった。もちろん観客は、それが最初は演出だと思ったが、何分経っても起き上がらないので、ミュージシャンたちが焦り始め、ことの重大さに気づいたのだ。5月17日は、それからちょうど13年である。

(この項、つづく)

■ メンバー

James Gadson (Drums)
Shimizu Kou (Bass)
Yamagishi Junshi (Guitar)
Yoshihiro Chizuko (Keyboards)
+++
Jay Kouyama (Vocal), Chaka (Vocal), Take (Vocal), Kita Kyoichi (Vocal), Hank Nishiyama (Guitar), Jimmy Hashizume (Drums), Minamisawa Kaz (Guitar), Nao (Sax), horn sections, among others

■ セットリスト ジェームス・ギャドソン・バンド@Aライフ 2009年5月17日
Setlist : James Gadson Band @ A-Life, May 17, 2009

show started 22:16
00. MC Kawabata Mitsuo
01. Slap Jack [Yamagishi Jun]
02. Superman Lover [Johnny Guitar Watson - 1976]
03. 12:23 [Yamagishi Jun]
04. Cuttin’ In [Johnny Guitar Watson - 1962]
05. Woke Up This Morning [B.B.King]
06. Long Distant Lover [Band Of Pleasure]
07. Born Under A Bad Sign [Albert King, William Bell]
08. Love Land [James Gadson, Charles Wright & Watts 103rd Street Rhythm Band]
show ended 23:10

Second set
show started 01:02
01. Holy Ghost [Bar Kays] (Jay Kouyama)
02. A Change Is Gonna Come [Sam Cooke] (Jay Kouyama)
03. Special Lady [Band Of Pleasure] (Chaka & James Gadson)
04. Got To Be Real [Cheryl Lynn] (+3 horn players, Take from Skoop On Somebody, +girl singer)
05. Taste Of Tokyo [Band Of Pleasure] (James sings)
06. Katatsumuri [Kita Kyoichi]
07. Untitled Jam Session (featuring Ichiro)
08. Kissing My Love [Bill Withers]
09. Use Me [Bill Withers]
show ended 2:45?

(2009年5月17日日曜、六本木Aライフ=ジェームス・ギャドソン・グループ、川畑満男ソウル・バー歴30周年記念パーティー)

ENT>MUSIC>LIVE>Gadson, James
2009-44

▲【『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』、5月28日までに店頭に】

発売。

昨年(2008年)9月からスタートし、なんやかんや足掛け8ヶ月かかったマーヴィン・ゲイ本人が語った唯一の伝記『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル(Divided Soul)』(ブルース・インターアクションズ)が完成、見本が昨日できてきた。2009年5月28日までに書店、大手CDショップなどに並ぶ。アマゾンにもそれまでに入荷、28日から出荷になる。アマゾンは28日までに予約を入れれば、28日もしくは29日に出荷となるので、早ければ翌日お手元に届くはずだ。

■ 『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』(ブルース・インターアクションズ)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860203186/soulsearchiho-22/ref=nosim/

僕がこの本を入手したのが、1985年5月。当時僕は多くの雑誌をアメリカやイギリスから取り寄せて、かたっぱしから見ていたが、日本語に訳して、広く紹介したいと思った初めての洋書がこのマーヴィンの自伝だった。それから干支も2周した24年後にこうしてその夢が実現した。感無量である。

一冊の本を作りあげるまでには、何度も表紙や、本の形のものを試し刷りする。そんな一部をご紹介。

(写真はこちらのブログをご覧くださいhttp://blog.soulsearchin.com/

写真中央の白い本。これは、いわゆる「束見本(つかみほん)」といって、最終的な本と同じ紙質、ページ数で製本したもの。これによって、本の質感、外観、また厚さなどがわかる。最終的なページ数は、もちろん、文字数によって決まるので、束見本もかなり最終段階にならないとできない。だが、これができると本のカヴァーのデザインができる。このマーヴィンの本は、当初ソフトカヴァーで予定されたが、きっちりした本にしようということで、いわゆる表紙の硬いハード・カヴァーになった。カヴァーを取るとオレンジ色一色の、重厚な洋書のような雰囲気になる。

白い束見本の上にあるのが、『ディヴァイデッド・ソウル』の1991年刊行のソフトカヴァー、その右が1985年の初版ハード・カヴァー。左側のマーヴィンのモノクロの写真が、今回の日本版の表紙に使われた写真。下に映っている紙の束は、本文の一台ごとにまとめられたもの。一台で16ページ分がひとくくりになり、それが27台分集まり、一冊の本になる。

本書にかけるカヴァーは、書店で一番目に入るものだけに、かなり重要で、編集者、デザイナーは何度も色校(色の校正)を見る。今回は、マーヴィンの顔写真が選ばれたが、これも何枚ものマーヴィンの写真から厳選された。ファンの方はおわかりになるかと思うが、『ホワッツ・ゴーイング・オン』のときの写真の1枚である。日本独特の帯も、いろいろ頭を使うところ。

さまざまな本の制作にかかわっていただいたみなさん、ありがとうございます。いよいよ書店、CDショップに並びます。

ENT>BOOK>Gaye, Marvin / Divided Soul

A Man Who Taught Exile To Ei Rokusuke

【新旧レコード大賞受賞作詞家の邂逅】

邂逅。

松尾潔さんが、2009年3月21日(土)にTBSラジオの番組『土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界』にゲスト出演し、彼が学生時代を過ごした阿佐ヶ谷周辺をレポートした。松尾さんがこの番組に出るのは初めてで、永さんは松尾さんがエグザイルの作詞をしていることをスタッフから教わるが、なんとエグザイルの存在自体を知らなかった。そのことには、リスナーから多数の電話がかかってきたが、永さんは松尾さんとのやりとりがおもしろかったので、彼に興味を持った。ほとんど日本の曲をかけない番組ながら、当日は番組後半でエグザイルの曲をかけたことにスタッフも驚いたという。そこで改めて松尾さんへのスタジオでの出演依頼がきて、昨日(2009年5月16日)、ゲスト出演を果たした。

午後12時20分すぎから、途中に新型インフルエンザのニュースがはいってきてしまったため、20分程度の出演になってしまったが、これがおもしろかった。

永さんは開口一番、「僕も作詞をしていました。でも、あるとき、中村八大(作曲家、永さん作詞で多数の作品がある)に『これからはもう言葉とメロディーじゃない。これからはビートの時代だ。だからあなたには(作詞は)もう無理だと思う』と言われて、他にもいろいろあったんですが、それでやめたんです」と約40年前(1968年前後)に作詞をやめた理由を語った。

そして、「くわ…」と言って口ごもり、その瞬間、松尾さんが「くわたけいすけ(桑田佳祐)さんですか?」と返し、「そうそう、その桑田佳祐、あそこからわからない。歌詞がわからない。…(最近の作品は)言葉が選ばれてない。言いたいこと全部言っちゃってるから。そんな感じがするんですね」と言ったのだ。この永さんの「くわ…」と松尾さんの受けが最高におもしろかった。

中村八大氏が40年以上も前に、これからはビートの時代だと言ったのも大変な慧眼(けいがん)だが、その点に意見を求められた松尾さんは「(半分は同意しつつ)それでも、変わり行く変わらないものがあります」と現状を説明した。

永さんはさらに「みんなが(一緒に)歌う曲が今はない。ある時代、ある世代、ある場所でめちゃくちゃ支持されてる。でも、そのほかが置いてけぼりになってる」と現状を嘆き、「最近はみんなパーソナルなことばかり歌うんですか」と松尾さんに尋ねる。「たしかに、日記から出てきたような詞が多いですね」と松尾さん。

永さんが作詞をやめようと思ったその頃の1968年、松尾さんが九州・福岡に誕生する。そんな松尾さんと永さんとの最初の接点は、松尾さんが小学校3-4年頃(1975年~76年頃)、九州・佐賀の市民会館で行われた「永六輔、江藤淳の講演会」のときだった。母親が江藤淳氏の著作『海舟余波』(1974年発表)をもち、講演会後、サインをもらおうと出口で待っていると、そこに永さんが現れ、その江藤さんの本に無理やりサインをもらったというのだ。永さんはそのとき、「私でいいんですか」と苦笑したそうだが、母は「いいんです」と答え、サインをもらったという。そしてそのとき永さんが少年の頭をなでたことを松尾さんはよく覚えている。松尾さん曰く「まあ、今から思えば初めて見た文化人だった」。

1933年4月10日生まれの永さんは、1959年12月、第1回レコード大賞で水原弘の「黒い花びら」で作詞を担当、大賞を受賞する。それから49年後、ちょうど第50回のレコード大賞(2008年12月)で松尾さんはエグザイルの「ティアモ(Ti Amo)」で大賞受賞。

この日の永六輔・松尾潔対談は、レコード大賞の半世紀の歴史、第1回と第50回という節目を飾るふたりの対談となった。

ちなみに1933年という年は奇しくも、永さんのほかに、松尾さんに大きな影響を与えたクインシー・ジョーンズ、さらに、ジェームス・ブラウンの生年でもある。最初、この番組に出演を依頼されたときは、「(それらを含めて)あらゆる点で、感無量でした」と松尾さんは言った。

新旧レコード大賞受賞作詞家の邂逅、ここにありだ。

ENT>RADIO>Ei, Rokusuke
ENT>SONGWRITER>Ei, Rokusuke / Matsuo Kiyoshi

●ウェイマン・ティズデール44歳で死去~スター・バスケ選手からスター・ベース奏者へ

訃報。

バスケット・ボールの選手として華やかな成功を収め、また音楽の世界にもジャズー・ベーシストとして入り、アルバム8枚をリリースしてきたウェイマン・ティズデールが2009年5月15日(金)朝、入院中のアメリカ・オクラホマ州の病院で死去した。ガンで闘病中だった。44歳。

ウェイマンは1964年6月9日、オクラホマ州タルサ生まれ。父は地元では大変有名な牧師で、そこには父の名を冠した通り「L.L.ティスデール・パークウェイ」ができたほど。ウェイマンは当初音楽に夢中になったが、大きくなるにつれ、バスケットに熱中。オクラホマ大学でバスケの選手となる。1984年のロス・アンジェルス・オリンピックでは、アメリカ代表チームの一員となり、バスケット・ボールの金メダルに貢献した。12シーズン、プロのチーム(NBA)、インディアナ・ペイサーズ、サクラメント・キングスなどで活躍。

2007年2月8日、自宅の階段から落ちて足を怪我、この治療過程で骨肉腫が発覚。治療にはいった。しかし、いったん治癒したかに見えたが、2008年夏、ガンの転移のため、右足をひざから切断、義足での生活となった。多くの人にはいつも笑顔のウェイマンとして知られていた。

ティズデールは、ベース奏者としても大変評価が高く、1995年モータウン傘下モージャズ・レーベルから『パワー・フォワード』でデビュー、いわゆるスムース・ジャズ・シーンで人気を集め、2008年のアルバム『リバウンド』まで計8枚のアルバムを出した。

October 04, 2008
Joe Sample Talks (Part 2): Dave Koz Live: The Most Choreographed Sax Player In The Jazz
http://blog.soulsearchin.com/archives/002692.html

2008年10月のデイヴ・コズのライヴに参加、来日予定だったが、治療に専念するために断念。デイヴは次回の来日には必ずや、ウェイマンを連れてくると言ったが、実現しなかった。ティズデールは先月、化学治療の後、全米ツアーにでたところだった。

ウェイマンは妻と4人の子供に送られる。ご冥福をお祈りする。

■ ウェイマン・ティズデール 遺作『リバウンド』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0017TCSIK/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>MUSIC>OBITUARY>Tisdale, Wayman (June 9, 1964 - May 15, 2009, 44)

◎【ソウル・ナッツ4周年パーティー】

4周年。

三宿のソウル・バー、ファンキー居酒屋「ソウル・ナッツ」が4周年を向かえ、そのパーティーが2009年5月10日二子玉川のライヴハウス「ピンク・ノイズ」で行われた。

ダンス・パフォーマンス、ライヴ、DJなどで、普段のソウル・ナッツの常連などソウル好き、ダンス好きが多数集まった。ライヴは、おなじみワンダラーズがメインとなりソウル・ヒットを歌い、そこにゲスト(レディーキューブ、シュガピンプス)がはいる形で展開。司会ホスト役のマイケル鶴岡は、この日は司会だけでなく、ダンスもし、さらにワンダラーズに混ざってパンチョ鶴岡を名乗りパーカッションまで担当した。

驚いたのが、ライヴ後半、司会のマイケルに「特別ゲストがやってきました」と言って紹介されたゴスペラーズ、村上てつやさん。マイケルに呼び出され、ステージにあがるとその場でバンドと打ち合わせをして、「スタンド・バイ・ミー」を歌った。村上さんは地声だけでなく、ファルセット(裏声)もなかなか力強い。観客に、サビ部分を歌わせたり、さすがに一気にお客さんをつかんだ。ちょうど村上さんはこの日、地方から帰ったばかりで、「(ステップの)先生に頼まれたら、来ないわけに行かないでしょう」と駆けつけたという。

■セットリスト ソウル・ナッツ4周年パーティー
Setlist : Soul Nuts 4th Anniversary Party: "Super Fly" @ Pink Noise, May 10, 2009

show started 20:18
01. Michael & Yuki Dance
02. Michael, Yuki & Keiko Dance (Temptations Medley)
~Wonderers Review
01. Move On Up
02. How Sweet It Is (To Be Loved By You)
03. Ain’t Too Proud To Beg
04. You’ve Really Got A Hold On Me
05. You’ll Never Find Another Love Like Mine
06. What Does It Take (To Win Your Love)
~Lady Cube
07. Got To Be Real
08. Lady Marmalade
09. Play That Funky Music
10. Le Freak
~Suga Pimps
11. (Sitting In The) Dock Of The Bay
12. What’s Going On
13. Stand By Me (Murakami Tetsuya)
14. Back Field In Motion
15. Trying To Live My Life Without You
Enc. Funky Nassau
show ended 21:47

(2009年5月10日日曜、二子玉川・ピンク・ノイズ=ソウル・ナッツ4周年記念パーティー)
ENT>LIVE>Soul Nuts Anniversary Party
ENT>SOUL BARS>Soul Nuts
2009-41

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