【ピーボ・ブライソン8年ぶりの新作とともに来日】

貴公子。

彼にキャッチフレーズをつけるといくらでもできる。「ミスター・エンタテイナー」、「バラードの貴公子」、「ミスター・ジェントルマン」、「世界一腰の低いシンガー」、「世界一日本語をしゃべる外国人シンガー」、「理想的シンガー」「デュエット・キング」…。

正確な発音、正しい発声、まさにきちんとしたシンガーの王道を行くシンガー中のシンガー。歌のうまさでは群を抜いたシンガー、それがピーボ・ブライソンだ。日本にも何度もやってきて、すっかりおなじみの彼がスタジオ新録によるオリジナル・フル・アルバムとしては、1997年11月全米発売の『ピース・オン・アース』(クリスマスアルバム=日本発売は1999年11月)、1999年3月の『アンコンディショナル・ラヴ』以来8年10ヵ月ぶりの新作『ミッシング・ユー』を出し、しかも今週ブルーノートにタイミングよく来日する。(このほかに2002年企画物のデュエットアルバムがある)

昨日(1月20日、日曜)、『ソウル・ブレンズ』内「山野ミュージック・ジャム」でもこの新作を紹介したが、これがなかなかいいでき。番組でもご紹介した「ミッシング・ユー」は、なんとソングライターにグラミー賞ノミネート・アーティスト、レデシーの名前がある。また、アンジェラ・ボフィルの作品「アイ・トライ」のカヴァーもいい。

彼の初来日は1991年10月、その後1994年に2度来日して以降は、ほとんど毎年のようにやってきて、しかも日本人シンガーのゲストでやってきた回数もあるので、正確な来日回数はもう数え切れない。

彼に初めて会ったのはその初来日のとき。その後何度かインタヴューしているが、いつもフレンドリーで楽しい。今年のライヴではまたバラを配るのかな。そして、楽屋から出てステージに上がるとき、観客全員と握手するのだろうか。おそらく、ライヴではこの新作から何曲か歌うだろう。昨年のライヴは見ていないので、久々に見に行こうかな。

■ ブルーノートで2008年1月25日から1月30日まで公演
http://www.bluenote.co.jp/jp/schedule/

2008年1月22日(火)、23日(水)「ドリーム・ライヴ2008」(大阪シアタードラマシティー)にも出演

■ 過去関連記事

February 11, 2006
Norman Brown & Peabo Bryson Live
http://blog.soulsearchin.com/archives/000823.html
ギタリスト、ノーマン・ブラウンとのショウ。

September 14, 2005
Peabo Threw Roses For Ladies Only
http://blog.soulsearchin.com/archives/000516.html
バラを配るピーボ。

2003/10/01 (Wed)
"I’m Your Servant" Peabo Bryson Shook Hands With Every Audiences
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/diary20031001.html
私はあなたの僕(しもべ)です、とピーボは言う。

■ 最新盤 『ミッシング・ユー』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000XAMCXA/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>MUSIC>ARTIST>Bryson, Peabo
【これからのライヴ】

目白押し。

それにしても、ものすごい量の来日アーティスト群。1月から3月末あたりまでをざっと、日本人アーティストも含めてピックアップしてみると〜。

ボビー・マクファーリン 1月22日、23日@墨田トリフォニーホール
イクミ・ストリート(リーダウェイ) 1月24日@恵比寿・キツネ 午後8時から 2000円 (東京モウタウン・ショウ)
ピーボ・ブライソン 1月25日から@ブルーノート
深町純 1月26日@FJ‘s
ガッツ 1月28日@ブルース・アレイ
パティー・オースティン1月31日から@ブルーノート東京 (今回はビッグバンドです)
シャンティ 2月1日@モーションブルー
セルジオ・メンデス 2月6日から@ブルーノート
プラターズ 2月7日から@ビルボード東京
ジェイ公山 2月11日@スイートベイジル
アン・ヴォーグ 2月11日から@ビルボード東京
伊東たけし 2月15日@コットンクラブ (新作はソウル・ヒットのカヴァー集)
チャック・ブラウン&ソウル・サーチャーズ 2月16日、17日@ビルボード東京 (ゴー・ゴー・サウンドの帝王、久々の来日)
デューク・エリントン 2月21日から@ビルボード東京
クルセイダーズ 2月25日から@ブルーノート東京
ケイシー&ジョジョ 2月25日から@ビルボード東京
インコグニート 2月28日から@ブルーノート東京
ロバータ・フラック 3月3日から@ビルボード東京
フィリップ・ウー・バンド 3月6日@ブルース・アレイ
ブレンダ・ヴォーン 3月13日@ブルース・アレイ
シェリル・リン 3月17日から@ビルボード東京
ジーノ(日野賢二):スティーヴィー・ワンダー・トリビュート 3月19日@ブルース・アレイ
ジェイ公山 3月30日@ブルース・アレイ
テイク6 4月7日から@ブルーノート東京

若干、抜けているのがあるかもしれませんが。松尾潔さんも言っているが、まさに「東京はソウルタウン」ですねえ。このほかに、アレキサンダー・オニール&シェレールが5月にビルボードで決まったらしいですね! 

上記の中では、3月13日のブレンダ・ヴォーンはぜひご注目を。東京在住レディー・ソウル・ナンバー・ワンです。ブルース・アレイでの3回目のライヴ。

ENT>LIVE>ANNOUNCEMENT
【指揮者ボビー・マクファーリン〜音の魔術師は健在】

500兆回。

前回僕が彼のライヴを見たのが2004年2月なので、ほぼ4年ぶり。初来日が1990年だったからもう18年も前のこと。毎回、彼のステージには度肝を抜かされる。今回はフルオーケストラの指揮者だ。おそれいった。

彼の指揮ぶりが、おもしろい。第一楽章が終わって客が拍手をしそうになると、振り向いて、手で「まだ拍手はしないで」と押さえる。時に、指揮棒を振らずに、あごに手をやりながら、演奏者たちを見ている。

モーツァルトをやった後、彼がひとりになり、いわゆるヴォイス・パフォーマンス。ほとんど即興で、彼の口と手だけで音を生みだす。毎度のことながら、圧倒的だ。4曲目にスタンダードの「スマイル」をやった。複数の音が出ているように聴こえる。口はひとつなのに。まさに音の魔術師ぶりは健在だ。

観客の取り込み方も実にうまい。3−4の音を教え、その音を観客に歌わせる。観客が出した音にあわせて、スキャットでメロディーを作って歌う。観客がいつのまにかヴォイセストラ、伴奏をつけているのだ。

圧巻は「アヴェ・マリア」。彼がリズムのぱぱぱぱぱぱ〜というところを繰り返し、観客が「アヴェ・マリア」の主旋律を歌う。観客がちゃんとそれを歌詞付きで歌ったから驚いた。最初の一・二行ならなんとかわかるかもしれないが、けっこう最後までみんな歌った。クラシックを聴く人は「アヴェ・マリア」のメロディーなど、歌えて当然なのだろうか。すごい。主旋律が観客で、ボビーはその装飾リズムを歌うのだ。会場がひとつになって「アヴェ・マリア」を紡ぐ。感動的で涙がでそうになった。歌を覚えていき、歌ったあなたがシンガーなら、バイオグラフィーに「ボビーと共演」と書ける。

本編が終わり、4回ほど拍手に迎えられて登場。最後は、通訳を伴って、観客に「僕に何か聞きたいことがあったら、何でもきいてくれ」と言って質疑応答になった。こんなこと、ありか。(笑) 帰り始めた観客が戻ってきた。ユーモアあふれる、ジョークを交えた質疑応答になった。

「あなたの声は何オクターヴ?」 ボビーが低い音から高い音まで歌ってみせ、「うん、4(オクターヴ)だな」(笑) 

「ステージ前、声のウォームアップはどうしてるんですか」 「僕は一日中歌っているから、ウォームアップは必要ないんだ」(笑)

「楽団員には、どのように接しましたか」 「リラックスするように言ったよ」

「なぜ、あなたは今日『ドント・ウォーリー、ビー・ハッピー』を歌わなかったんですか」「いや、あの曲は1988年の11月以来やってないんだ。大ヒットするまでに、僕はその曲を500兆回やったからね、もうやらないんだ。それをやると、留まっている感じだろう。僕はもっと前に進みたいんだ」 500トリリオンと言ったのだ。そう彼が言った瞬間、僕は数字がわからなくなった。(笑) もっとも1988年11月以来やっていないというの彼特有のジョークだが…。

僕も質問した。「あなたは、絶対音感をお持ちですか」「僕は不完全音感だよ(I have imperfect pitch)」と彼は答えた。普通、絶対音感に対しては、それがない場合、反対語の「相対音感(リレイティヴ・ピッチ)」と答える。そこをインパーフェクト(不完全な)という言葉を選ぶあたりが、ボビーらしい。

●ライヴは、今日1月23日(水)もすみだトリフォニー・ホールであります。座席は余裕であります。(苦笑)

■    過去関連記事

2004/02/04 (Wed)
Bobby McFerrin Live: The Master Of Voice
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200402/diary20040204.html
2004年、ボビーのソロライヴ

■    セットリスト ボビー・マクファーリン
The Art Of Bobby McFerrin Super Orchestra Concert
Setlist : Bobby McFerrin @ Sumida Triphony Hall, January 22, 2008
ジョセフ・リン (ヴァイオリン)
新日本フィルハーモニー交響楽団

First set
Show started 19:04
01.    レオナード・バーンスタイン 『キャンディード』序曲 Leonard Bernstein: “Candide” Overture
02.    ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト 『ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219 「トルコ風」 Wolfgang Amadeus Mozart : Concerto For Violin and Orchestra No.5 in A Major K.219
 第一楽章 快速に、明瞭にーゆるやかにー快速に、はっきりと I. Allegro aperto ; Adagio ; Allegro aperto
 第二楽章 ゆるやかに II. Adagio
 第三楽章 ロンド/メヌエットのテンポでー快速にーメヌエットのテンポで III. Rondeau: Tempo di menuetto ; Allegro ; Tempo di menuetto
*    カデンツァ(ソロの即興)はジョセフ・リンによるもの
03.    ヴォイス・パフォーマンス Voice Performance
 01.    Improvisation #1
 02.    Improvisation #2
 03.    Improvisation #3
 04.    Smile
 05.    Blackbird
 06.    Improvisation #4
 07.    Ave Maria
Performance ended 20:15

-break-

Second set
Performance started 20:35
04.    フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ 交響曲第4番 イ長調「イタリア」 Felix Mendelssohn Bartholdy : Symphony No.4 in A Major, “Italian”
 第一楽章 快速に、生き生きと I. Allegro vivace
 第二楽章 歩くような速さで、動きをもって II. Andante con moto
 第三楽章 動きをもって中庸の速さで III. Con moto moderato
 第四楽章 サルタレロ/極めて速く IV. Saltarello : Presto
Enc.1.
Enc.2.
Enc.3 ベートーベン 第9第二楽章(ほんのイントロ)
Enc.4 Question And Answers
Show ended 21:26

(2008年1月22日火曜、墨田トリフォニーホール=ボビー・マクファーリン・ライヴ、スーパー・オーケストラ・コンサート)
ENT>MUSIC>LIVE>McFerrin, Bobby with New Japan Philharmonic Orchestra
2008-7

△Sugar Shack Is Forever

2008年1月24日
【シュガー・シャックよ、永遠に】

ざくざく。

今年1月14日に惜しまれながら18年弱の歴史に幕を閉じた横浜のソウル・バー「シュガー・シャック」。現在、日々片付け撤収作業が行われているが、そのうちの一日におうかがいして、『ソウル★魂』のために、時間を割いていただくことになった。

これは、『ソウル★魂』(スカイパーフェクトTV795チャンネル・グラフィティー・チャンネル 毎月第4土曜日午後10時、第1回だけ10時半からスタート)の第二回で「ソウル・バー」にスポットをあてて、シュガー・シャックを舞台に、ここでオウナーの石川さん、さらにゲストに「日本一ソウル・バーを訪問している男」高畠さんを向かえ、ソウル・バー談義をしようというもの。

石川さんや高畠さんには、「ソウル・バーとは」「理想のソウル・バーとは」「ソウル・バーのこだわり」などを軸に、シュガー・シャックの18年をじっくりと振り返っていただこうと思う。

すでにクローズして1週間以上を経て、お店はかなり片付けが進んでいるが、その分ものが散らかっているそうだ。僕は石川さんにどんどん片付けていただいてかまいません、仮にがらんどうになった場所でもかまいません、シュガー・シャックその後、みたいな感じでもいいので、と伝えた。

高畠さんは、横浜ベイスターが優勝した1998年には、なんとほとんど毎日のように横浜球場とシュガー・シャックに入り浸っていたらしい。(笑)

その思い出を書いた高畠さんのブログ↓
http://d.hatena.ne.jp/hatake-1961/20080114/1200318480

実はこれを読んで、ぜひ高畠さんにもご登場願いたいと思い、出演を依頼したら「シュガーのためなら、なんでもやります」とご快諾いただいた。ありがとうございます。

さきほど、高畠さんと軽い打ち合わせのために電話で話したら、日本全国のソウル・バーで自分なりに思い出の曲はあります、と言われた。う〜む、さすがだ。

石川さんのブログ↓
http://ameblo.jp/konnichiwahiroya/
最近は、古い秘蔵写真が続々掲載されてます

石川さんと電話で話したら、「思い出の曲ねえ、ビリー・ポールとか、うちで『ミー・アンド・ミセス・ジョーンズ』歌ってきましたよ、あ、それからアン・ヴォーグのシンディとかよく来たんでアン・ヴォーグの曲とか…」なんて話がポンポンでてくる。一体どんなソウル談義になるんだろう。秘蔵話も、ざくざく、間違いなし。楽しみだ。

+++++

『ソウル★魂』 

■『SOUL★魂』 第1回
◎放送チャンネル・スカイパーフェクトTV・グラフィティー・チャンネル795チャンネル
初回放送 2008年1月26日(土)22:30〜23:00
再放送 1月27日(日)24:00〜、1月31日(木)26:30〜、2月13日(水)24:30〜、2月22日(金)24:30〜、3月2日(日)21:30〜

■『SOUL★魂』 第2回
◎放送チャンネル・スカイパーフェクトTV・グラフィティー・チャンネル795チャンネル
初回放送 2008年2月23日(土)22:00〜
再放送2月27日(水)24:30〜、3月1日(土)22:00〜、
(第2回の再放送日時はさらに増えます)

ENT>SOUL BARS>Sugar Shack
【シュガー・シャック秘話】

お宝話。

カーステレオにいれたのは、マーヴィン・ゲイのアルバム『アイ・ウォント・ユー』。久々にこれを聴きながら、車を横浜に走らせた。目的地は1月14日に閉店した横浜のソウル・バー「シュガー・シャック」。昨日このブログで書いた通り、『ソウル★魂』の第二回の収録だ。予想はしたが、オウナー石川さん、ソウル・バー評論家・高畠さんとのトークは、あちこちに飛び火、いや、脱線しながら大変おもしろいものになった。

最初のコーナーで、おそらく5分くらい用に石川さんと話した部分は、なんと25分近くになってしまった。僕は気づかず、後からスタッフに言われてびっくり。僕はインタヴュー役でただ話を訊くだけだったが、質問とその答えに熱中してしまい、時が経つのを忘れ、さらに、台本の進行も忘れてしまうほどだった。(苦笑)

詳しい話は、2月末のオンエア(あるいは、その後のインターネットでの配信など)をごらんいただくとして、編集が終わったあたりで、没になっている部分の話はこのブログなどでもご紹介したいと思う。

「シュガー・シャック」は、横浜の店だけに、横浜ベイスターズの選手たちがよく来た。マホームス、ブラッグス、ローズなどの話、ブラッグスの婚約者でのちに結婚するアン・ヴォーグのメンバー、シンディの話など。ベイスターズがセリーグで優勝、さらに日本一になった1998年などは、シュガー・シャックは「ソウル・バー」ではなく、「ベイ・スターズ・バー」になっていたほどだという。(笑) 

またミュージシャンではビリー・ポール(お店でチキン・シャックのインスト・ヴァージョンにあわせて「ミー・アンド・ミセス・ジョーンズ」を歌ったという)、オハイオ・プレイヤーズ(一ヶ月、毎日来た)、キャメオ(最初店が混んでいて、端の席に座っていたが、頭がとびでてて目立ったのでラリー・ブラックモンだとわかった)、クール・アンド・ザ・ギャングなどたくさんの話を聞かせていただいた。

石川さんは、来店したアーティストのサイン、ベイスターズの選手のサイン入りバット、写真、グッズなど多くのものを揃えていてくれた。そのあたりの写真などもご紹介できると思う。

また、本編では使われないと思うが、やってくるブラザーの客層も、横須賀に入ってくる空母によって違い、ちゃんとした連中と、若くて問題ばかりおこす連中とくっきり差がでたという。そうした連中が来ていたころは毎週末、店で喧嘩が起こっていたそうだ。

日本全国津々浦々ソウル・バーを渡り歩いている高畠さんも、シュガー・シャックでの思い出もたくさんあり、さらに、全国のソウル・バーの話などもふんだんにしていただいた。

当初収録は2時から5時までの予定だったが、大幅に伸びて終了したのが7時を過ぎていた。スタッフのみなさん、おつかれさまでした。

■『ソウル★魂』第二回は2008年2月23日午後10時〜 スカパー795チャンネル グラフィティー・チャンネル

第一回はいよいよ今週末、2008年1月26日午後10時半〜11時。

ENT>SOUL BARS>Sugar Shack
ENT>TV>Soul Damashii
【ピーボ、母と姉のために捧げる】

鏡。

このところ毎年のようにやってくるソウル界の貴公子、ピーボ・ブライソン。タイミングよく8年ぶりの最新作『ミッシング・ユー』をひっさげての約1年ぶりの来日。新作がなかなかいい出来だったので、そこからの曲も期待して会場に足を運んだ。

バンドは、キーボード3(うち1人はベース兼任)、ドラムス、ギター、パーカッション(サックスも)、コーラス2の計8人。客層は比較的年齢層高しという感じだが、20代から30代の若い女性の姿も。

オープニング、いつもの通り、観客全員(この日は200人弱か)と握手してからステージにあがる。本当にピーボの「お客様は神様です」的姿勢には頭が下がる。そして、歌のうまさは折り紙付き。100万の言葉を持ってしても、彼の歌のうまさは表現しきれない。

この日まず驚いたのは、3曲目に最初の新曲「カウント・オン・ミー」を歌ったところ。もちろん僕も生では初めて聴くが、その前に、日本でもレグノのタイヤのCMで使われおなじみの「愛のセレブレーション」を歌ってから、これにつないだ。

おそらく100万回は歌ってきたであろう「愛のセレブレーション」とまだせいぜい100回程度しか歌ってきていないであろう「カウント・オン・ミー」の歌唱クオリティーがまったく変わらないのだ。どんな新曲でも人前で歌うときには、完璧に完成させている。時に歌いこんだ曲とそうでない曲の差がわかってしまうシンガーもいる。僕はこの新曲とスタンダードの完成度の違いのなさに感銘した。リアル・プロだ。「カウント・オン・ミー」は彼がタイトル曲に選ぶだけあって、実にすばらしい楽曲。ピーボの代表曲のひとつにもなりそうな気配がする。

おもしろい選曲だと思ったのが、6曲目で歌われた「ノット・ライク・ディス」。ほとんどア・カペラ状態で、客席に下りて、近くの女性の肩を抱きながら歌い上げた。浪々と歌うこれも胸に響く曲だった。最初わからなかったが、タイトルから調べたら、アル・ジャロウの1983年のアルバム『ジャロウ』に収録されている1曲だった。

そして、もっとも感動的な瞬間が訪れたのは、ピーボが最新作のアルバム・タイトル曲「ミッシング・ユー」を歌ったとき。彼はイントロにのせて、こんなことを言った。

「これはあらゆる意味で、スペシャルな歌。誰もが誰かや何かを懐かしむ、恋しいと思う(ミッシングする)ものです。あなたも僕のことを恋しいと思って欲しい、そして僕もあなたたちを恋しいと思う。東京のみなさん、愛してます!(ここは日本語) 僕はこの曲を、母と姉に捧げます(for my mother, and my sister)」

「暖かい日々も寒い冬も過ぎ去っていった。君を最後に抱きしめたのはそんな寒い季節だった。今でも君が恋しい。君が恋しい。僕の思い出の中で、君は神聖なるもの。君の微笑が、君の笑い声が、いまだに僕の胸を締め付ける。今でも君を思い出す。君が恋しいんだ」(「ミッシング・ユー」一部)

後半、涙の粒こそ頬を伝わらなかったが、ピーボの目は赤くなっていた。きっと、天国の母と姉を思い浮かべてしまったのだろう。曲調とピーボの歌とその赤くなった目に胸が熱くなった。

母マーティー・ブライソンは4人の子供をもうけ、子育てのためにすべてをなげうった。2歳年上の姉アグネス・ブライソン・ウィリアムスは2004年に55歳で亡くなった。アルバム『ミッシング・ユー』はこの2人に捧げられている。

だが、もっと感銘を受けたのが、きっと心では号泣しているにもかかわらず、歌、歌唱そのものはまったくぶれることなく、完全にしっかりと歌っていたことだ。普通、ここまで感情移入したら、声が震えたり、音程をはずしたり、最悪歌えなくなってしまうだろう。日本のアイドルが泣きながら、歌えなくなってしまうのが思い出される。しかし、ピーボは決してぶれない。目をつぶって彼を見ずに聴いていたら、ちゃんとしっかり歌っていると思うにちがいない。ここでもプロフェッショナルを感じた。

次の曲「ホール・ニュー・ワールド」でデュエットの相手をするキム・ケイジも、ステージに上がったとき、もらい泣きをしたのか顔がくしゃくしゃになっていたように見えた。この曲も、ピーボの代表曲になるに違いない。

ピーボは、曲の後半になって、ロードマネージャーから手渡された12本のバラを観客(女性のみ)に配り始める。もらった幸運な12人は大喜びだ。MCのあちこちで日本語をはさみ、90度のお辞儀を深々とし、バラを配り、そして、最高級にうまい歌を聴かせ感動させるピーボ・ブライソン。シンガーの鏡である。

(ピーボの項、続くかも)

■ ライヴは1月30日(水曜)まで毎日。午後7時と9時半。日曜は6時半と9時。ブルーノート東京。
http://www.bluenote.co.jp/jp/index.html

■ 過去関連記事

February 11, 2006
Norman Brown & Peabo Bryson Live
http://blog.soulsearchin.com/archives/000823.html
2年前のギタリスト、ノーマン・ブラウンとのショウ。

September 14, 2005
Peabo Threw Roses For Ladies Only
http://blog.soulsearchin.com/archives/000516.html
3年ぶりのライヴ。バラを配るピーボ。

2003/10/01 (Wed)
"I’m Your Servant" Peabo Bryson Shook Hands With Every Audiences
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/diary20031001.html
私はあなたの僕(しもべ)です、とピーボは言う。

January 21, 2008
Peabo Bryson Will Be Coming To Japan With New Album
http://blog.soulsearchin.com/archives/002270.html

■ 最新盤 『ミッシング・ユー』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000XAMCXA/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ アル・ジャロウ 『ジャロウ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000564JF/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ メンバー

Peabo Bryson (vo) ピーボ・ブライソン(ヴォーカル)
Diana Dentino(key) ダイアナ・デンティーノ(キーボード)
Dave Iwataki(key) デイヴ・イワタキ(キーボード)
Michael Hoskin(sax,per) マイケル・ホスキン(サックス、パーカッション)
Derek Scott(g) デレク・スコット(ギター)
Dwight Watkins (music director, b, vo) ドゥワイト・ワトキンス(ミュージック・ディレクター、ベース、ヴォーカル)
Kemmerin Blalark(ds) ケメリン・ブララーク(ドラムス)
Kristie White(back vo) クリスティ・ホワイト(バック・ヴォーカル)
Kim Cage Riley(back vo) キム・ケイジ・ライリー(バック・ヴォーカル)

■Setlist : Peabo Bryson Live At Blue Note Tokyo, January 25, 2008
セットリスト ピーボ・ブライソン
[transcribed by the soul searcher]

Show started 21:42
01. Intro ~ If You Love Somebody Set Them Free (1985-Sting)
02. Tonight I Celebrate My Love (1983-Peabo Bryson & Roberta Flack)
03. Count On Me (2008 - “Missing You”- Peabo Bryson)
04. Every Breath You Take (1983 - Police)
05. King Of Sorrow (2000 - Sade)
06. Not Like This (1983 - Al Jarreau)
07. Can You Stop The Rain (1991 - “Can You Stop The Rain” – Peabo Bryson)
08. Show & Tell (1973-Al Wilson, 1989-Peabo Bryson)
09. Missing You (2008 -“Missing You”)
10. Whole New World (1992-Peabo Bryson & Regina Belle)
Enc. Ain’t Nobody (1983-Rufus, 1999-Peabo Bryson)
show ended 23:02

(2008年1月25日金曜、ブルーノート東京=ピーボ・ブライソン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Bryson, Peabo
2008-8
【ピーボ・ブライソン〜新作からもっと歌う】

共通点。

金曜(2008年1月25日)のライヴは、東京では初日。そういうこともあってか、いくつか課題はあったが、全体的にはいいライヴだった。例えば、何度もハウリングがあって、PAの状態なども万全ではなかった。また、セットリストも事前のものと若干その場で変えて、ピーボが歌いたい曲を歌ったようだ。ブルーノートのサイトでセットリストが紹介されているが、僕が見たセカンドの実際の曲目と若干違っている。ブルーノートのサイトで紹介されているのが、おそらく当初の予定の曲目だったのだろう。実際にやった曲(オープニングの「イフ・ユー・ラヴ・サムバディー」と比較的その場でやったように見えた6曲目のアル・ジャロウの「ノット・ライク・ディス」)の2曲が、現場で変更されたようだ。ピーボはさかんに音楽ディレクターのドワイトに話していた。

ところで、とてもおもしろかったのが、ロードマネージャーが絶妙のタイミングでピーボのところに、紅茶を持っていくシーン。マネージャーが中腰になって、ステージの中央まで行き、ティーカップからこぼれないように慎重にピーボに渡す。

初日は2回ほど、紅茶が差し出された。ピーボはそれを後ろ向きになってすする。そのマネージャー氏とライヴ後少し話す機会があった。「あのタイミングはどうやってわかるのですか。彼(ピーボ)から指示でもあるの?」 「いや、彼の声を聴いてれば(タイミングは)わかるんだ。僕はもう何年も彼についているので、彼の声の調子の変化がすぐわかる。ちょっと喉があれてきたなと思ったら、すぐに紅茶を持っていく」 なるほど、そういうことだったんだ。

「ところでバラは何本用意しているの?」 「毎回、それぞれのショーで一ダース、12本だよ」

ピーボの帰り際に通路で少しだけ話ができた。「新作、とても気に入りました」「ありがとう。これから、新作からの曲、もっと歌うよ」 「『アイ・トライ』もやりますか?」 「もちろん」 「ところで、『フィール・ザ・ファイアー』は歌わないのですか」 「うーん、日本ではこれ、そんなに人気がないんじゃないか?」 「いやあ、そんなことはないですよ。コアなファンの間ではとても人気が高いですよ」 「そうかあ、じゃあ、考えるよ」 

「フィール・ザ・ファイアー」は2006年2月に来日したギタリストのノーマン・ブラウンとのライヴの時に歌った。もっとも、アルバムを20枚も出しているピーボからすると、自分のレコーディングしたレパートリーだけでも、200曲にはなる。

「フィール・ザ・ファイアー」、最近われらがブレンダ・ヴォーンがカヴァーしていた。(2007年10月11日、目黒ブルース・アレー) ふと思ったのだが、ピーボとブレンダのデュエットなんて、実にスリリングでぜひ聞いてみたいと思った。ブレンダ&ピーボで「ホール・ニュー・ワールド」とか「ビューティー・アンド・ザ・ビースト」とか、「フィール・ザ・ファイアー」とか、なんとか実現できないかなあ。

ところで、以前ピーボにインタヴューしたとき、「イフ・エヴァー・ユーアー・イン・マイ・アームス・アゲイン」を作ったプロデューサー、ソングライターであるマイケル・マッサーの話になった。すると、「いやあ、レコーディングは何度も何度もやり直されてまいったよ。また将来一緒にやるかって? やらない、やらない」と笑いながら答えてくれた。

そのときだったか、彼のバング・レコードからのデビュー・アルバム(1976年)を持っていったとき、開口一番ピーボが言った一言が強烈に印象に残っている。「おおっ、僕のファースト、ルーサー(・ヴァンドロス)がバックをやってるんだよ、これ」 そうそう、ルーサーは1951年4月20日生まれ、ピーボは1951年の4月13日生まれ、たった1週間しか違わない。本当に同期、同僚、仲間という感じなのだろう。ピーボのほうがデビューは早かったが。

そして、もう一点、ピーボとルーサーの共通点。ピーボをキャピトル・レコードに引っ張ってきた敏腕ディレクターが、ラーキン・アーノルド。そして、そのラーキンがCBSに移籍して、そこで1981年に引き抜いたのがルーサー・ヴァンドロスである。ピーボもルーサー同様、カヴァー曲の多いシンガーで、しかもそのカヴァーの解釈が抜群にうまい。

今度はピーボにルーサーの作品でもカヴァーしてもらいたい。

■ ピーボ・ブライソン今回のライヴ評

January 26, 2008
Peabo Bryson Sung “Missing You” For His Mother And His Sister
http://blog.soulsearchin.com/archives/002288.html

ENT>MUSIC>ARTIST>Bryson, Peabo
ENT>LIVE>Bryson, Peabo
まったり。

いよいよ今回から8年目。グランド・ピアノから変わってヤマハCP80での演奏もかなり聴きなれてきた。この日は、深町さん旧知の村上ポンタ氏が遊びに来て、ちょっと練習をしたいと申し出たが、深町さんに却下された。(笑) ここFJズには、ドラム・セットがない。う〜む、どのような練習風景になったのだろうか。それはそれで興味深い。深町さんとポンタ氏は、1970年代初期に五輪真弓のレコーディングで一緒になって以来だという。30年以上の仲間だ。

ファーストの2曲目の途中で、ピアノの一弦が切れてしまったと深町さんは告白した。その曲が終わった後、切れた鍵盤を叩いて、音がでないところを客に見せた。この日は比較的長尺の曲が4曲。そして、お題拝借もいつもより少し長めの作品になった。とはいうものの、最近は観客が少なめでお題拝借もなかなか応募がない。

このお題拝借は、観客から4−5音のメロディーをもらい、その場でその音を元に深町さんが即興で1曲作るというもの。過去のセットリストを眺めるとわかるが、大体お題拝借は2分程度。この日は2分56秒と3分超で長かった。

長い間見ている僕の独断で感想を言わせてもらえれば、長いほうが、80パーセントの確率でいい作品が多い。なぜかはわからない。その曲に集中して、どんどんいいメロディーなりフレーズが思いついてくるので、長くなるのではないだろうか。曲として完成度が高くなるイメージだ。もっとも、同じ長くても、本人がいいメロディーが浮かばずに、悶々とそれを探し続けて長くなることもある。おそらく残り2割はそうして、冗長な作品になったときなのだろう。深町さん本人もしばしば言う。「即興演奏なんて、即興でやってるんだから、(出来が)いいときもあれば、悪いときもあって、当たり前。出来がよくないときには、拍手なんかしちゃあだめです」。

この日はなぜか犬連れのお客さんが何人かいて、途中でワンちゃんがほえたりしていた。

全体的にはいつになく、まったりとした感じで進んだ会であった。

ところで、次回第86回は通常だと2月最終土曜日で、23日になる予定だったが、その日、深町さんが北九州でスリー・ディグリーズのライヴのバックを務めるため、定例会は特別に翌24日の日曜になる。

(そのスリー・ディグリーズ関連の話を深町さんから聞いたので、明日以降にご紹介します)

■スリー・ディグリーズ・ライヴ

日時:2008年2月23日(土)18:15開場/19:00開演会場:福岡県福岡市・北九州芸術劇場・中劇場
チケット:前売6,000円/当日6,500円
問い合わせ フロム・ワン:093-962-5011

出演:スリー・ディグリーズ
バック演奏: 深町純(Pf)/正木五郎(D)/井島正雄(B)/田部俊彦(TS)/神野成紀(G)/上村麻虎斗(key)/山野哲正(Tp)/山下逸郎(Per)

東京は2008年2月13日〜19日ケントス・グループにて。ケントスでのライヴのバックは、ケントスのハウスバンドが担当します。

■セットリスト
Setlist : Fukamachi Jun #85, @FJ’s, January 26, 2008
セットリスト 深町純 85回 

1st set
show started 20:05
01. 2008年1月26日20時05分の作品(14:23)
02. 2008年1月26日20時23分の作品(24:31)
03. 2008年1月26日お題拝借作品1(2:56)
04. 2008年1月26日お題拝借作品2 (3:31)
show ended 21:08

2nd set
show started 21:33
01. 2008年1月26日21時55分の作品(15:55)
02. 2008年1月26日22時10分の作品(16:34)
show ended 22:28

■過去の音楽比率(ライヴ全体の中での音楽の割合を表します)(単位は%)

2005年11月 第一部 41.70 第二部 51.82
2005年12月 第一部 39.86 第二部 58.91
2006年01月 第一部 58.81 第二部 67.23
2006年02月 第一部 38.4  第二部 49.7
2006年03月 第一部 50.9  第二部 92.7
2006年04月 第一部 53.1   第二部 57.3
2006年05月 第一部 45.15 第二部 82.08
2006年06月 第一部 52.16 第二部 59.02
2006年09月 第一部 47.77 第二部 77.63
2007年01月 第一部 65.53 第二部 54.97
2007年02月 第一部 53.88 第二部 49.33
2007年04月 第一部 65.26 第二部 68.58
2007年05月 第一部 40.89 第二部 58.19 【恵比寿・アートカフェ最終回】
2007年06月 第一・二部(通し)64.78 (2時間50分)【祐天寺FJ’s1回目】
2007年07月 第一部 66.23 第二部 66.45
2007年08月 第一部 67.03 第二部 68.04
2007年09月 第一部 71.16 第二部 67.30
2007年10月20日 第一部 67.81 第二部 49.29 (通算82回)
2007年10月27日 第一部 96.00 第二部 74.65 (サントリー・ホール・ブルー・ローズ)
2007年11月24日 第一部 66.96 第2部 77.04 (通算83回)
2007年12月29日 第一部 60.67 第二部 58.38
2008年01月26日 第一部 71.90 第二部 59.06 (第85回) 

(2008年1月26日土曜、祐天寺FJズ=深町純ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Fukamachi, Jun
2008-9
【新曲に輝き増すガッツ・ライヴ】

輝増。

ガッツの新年第1弾ライヴは、ブルース・アレー。ガッツはここ半年だと、2007年8月モーション・ブルー、同年10月ブルース・アレー、同年12月モーション・ブルーとやってきていて、今回は前回から1ヶ月ぶりにブルース・アレー。彼は昨年8月のライヴから、毎回新曲を何曲か書いては歌うということをやっていて、それを続けて今回のライヴでは全16曲中彼の定番となっている2曲を除いて、すべてここ半年以内に初公開された作品ばかりとなった。1年前のライヴとはがらりと演奏曲が変わったということになる。すばらしいチャレンジだ。

ここ1年はガッツも、ミュージシャンとしてもシンガーとしても大きく成長したということになるだろう。まずなんと言っても、新曲の楽曲のクオリティーの高さだ。どんどん曲作りがうまくなっている。

僕は前述台風のときの2007年10月のライヴを見られなかったが、例えば、「グッド・タイム」はアース、エモーションズ風でいいグルーヴ、ファーストでちょっと僕に刺さったのが「真夏の海」。サザン・オールスターズ風というイメージもしたが、ヒット性ありのきらきらソング。さらに、セカンドの「心配ないよ」(2007年10月初演)は、初めて聴いたが「心配ない・・・まちがいない・・・」などのキャッチーな言葉とメロディーが覚えやすく、例えばヒロミ・ゴーあたりが歌うとおもしろいのではないかと思った。

ぴかぴかの新曲、セカンドの1曲目「ウェイク・アップ」は、ガッツのマーヴィン・ゲイ「セクシュアル・ヒーリング」へのオマージュか。ギターの弾き語りで、「ひとりタック&パティー」という感じがした。

ガッツのとろとろの「メロディー」(セカンド4曲目)の歌詞、「不器用だから歌うしかできない」といったラインは、ガッツは自分自身のことだという。彼によれば、この曲は別に誰かと喧嘩してできたわけでなく、「ミュージシャン、音楽をする人を主人公に1曲書いてみたいと思った。でも、リスナーにはできるだけ(曲が描く)状況は浮かばせたくないと思っているんです。むしろ、聴いた人の心情をそこに入れて欲しいと思って作りました」と語る。

バックのバンドも、前回までとほぼ同じ布陣で、強力。西脇トゥーツ・ワンダーさんと2人でやったアンコールの「メッセージ」を歌う前にガッツは言った。「自分が書いている音楽で、いつかみんなの背中を音楽でちょっとでも押せればいいなあと思ってます」 まっとうなミュージシャンだ。すばらしい。もっと輝ける。

客席には、ガッツの作品「ありがとう」の歌詞を、書道家の博子さんが書いたかっこいい作品が飾られていた。また、この日はドリームス・カム・トゥルーの中村さんらご一行が来ていた。

ちなみに「輝増。」は、ガッツは「輝きます」と読んでください。そして、今年はガッツの時代が「輝増(きます)」と読みます。

今日のセットリストには、曲名の横に初演を書き記した。どれだけ新曲かたっぷりごらんください。その前に、ガッツの過去記事を集めたらこんなになってしまいました。

■ ガッツ・ブログ
http://tkb.gats.tv/

■ ガッツ・過去記事
(新しい順に並べてあります。古い順からお読みになりたい場合は、下の日付ブログ[最古2003年6月]からどうぞ)

December 29, 2007
Frank McComb & Gatz Live: Back To Back
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_12_29.html

August 25, 2007
Gats → Gatz New Live: New Beginning
http://blog.soulsearchin.com/archives/001981.html

July 10, 2007
Gatz [Gats] Will Be Background Chorus For Dreams Come True
http://blog.soulsearchin.com/archives/001889.html

May 10, 2007
Gats Live: Mr. Bassman Will Be Break This Year
http://blog.soulsearchin.com/archives/001762.html

October 20, 2006
Gats Live; Soulful Wonderer Gats
【全国をギター1本で回る流離のソウル・シンガー、ガッツ】
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200610/2006_10_20.html

July 03, 2006
"Soul Searchin’ : The Session Vol.1" (Part 2): Full Of Roses In Her Arms
http://blog.soulsearchin.com/archives/001113.html

March 16, 2006
Gats Birthday Live
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200603/2006_03_16.html

July 12, 2005
Gats Live With The Funkiest Band In Tokyo
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_07_12.html

2005/03/04 (Fri)
Friends Joined Gats To Sing "What’s Goin’ On"
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200503/diary20050304.html

2004/11/24 (Wed)
GATS Soul Live At Motion Blue
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200411/diary20041124.html

2004/11/18 (Thu)
Spirit Of The Boogie Live At Blues Alley
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200411/diary20041118.html

2003/06/27 (Fri)
GATS TKB SHOW Live At Shibuya Boxx
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200306/diary20030627.html

■メンバー

GATZ(vo,g)、西脇辰弥(key,arr)、渕上祥人(g)、下野人司(b)、高田 真(ds)、木村“キムチ”誠(per)、本間将人(sax)、中村恵介(tp)、五十嵐誠(tb)、音音(ねね)(cho)、

Setlist : Gatz Live @ Blues Alley, January 28,2008
セットリスト ガッツ ブルース・アレー
[ ] に初演を明記。[2007/12 Motion Blue] は2007年12月にモーション・ブルーで初演したことを示します。

First set
Show started 19:43
01. It’s My Love [2007/12 Motion Blue]
02. Good Time [2007/8 Motion Blue]
03. Excuse [2007/10 Blues Alley]
04. 抱きしめて [2007/12 Motion Blue]
05. Big Sky Blues [2007/8 Motion Blue]
06. 真夏の海 [2008/01 Blues Alley]
07. 夢物語 [2008/01 Blues Alley]
show ended 20:26

Second set
Show started 21:02
01. Wake Up [2008/01 Blues Alley]
02. Beautiful Day [2008/01 Blues Alley]
03. Great Escape [2007/8 Motion Blue]
04. Melody [2007/12 Motion Blue]
05. 心配ないよ [2007/10 Blues Alley]
06. 君の瞳 [2008/01 Blues Alley]
07. ありがとう [more than 3 years ago]
Enc. 地球に抱かれてる [2007/10 Blues Alley]
Enc. メッセージ [more than 3 years ago]
Show ended 22:12

(2008年1月28日月曜、目黒ブルース・アレー=ガッツ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Gatz
2008-11
【ジーノズ・グルーヴ炸裂】

JJ。

3人のJに1人のP、3JPsか、これは。(笑) あるいは、JJ.JP(ジェイ・ジェイ・ドット・ジェイピー)なんていうのもありかも。人気ベース奏者、ジーノ(日野賢二)主導のファンク系バンドのライヴ。メンバーは、ヴォーカルのジェイ、ジーノ、ドラムのジェイ・スティックス、そして、キーボードのペニーKの4人。インストゥルメンタル(演奏曲)以外のヴォーカルはジェイとジーノが取る。ジェイをかなりフィーチャーしたショーと言ってもいい。ヴォーカルのジェイはフィリピンのセブ島出身だそうで、そのちょっと変わった日本語のイントネーションを聞いたとき、九州か沖縄あたりの出身の日本人かと思った。それを彼に言ったら、「もっと、南ね(笑)」。

なにより、ドラムスとベース、そしてそれにからむキーボードの3人が作りだすサウンドが最高だ。ジーノは、ベースをときにギターのように弾くので、ベースとギター奏者がいるかのごとく錯覚してしまう。

ジーノのベースを聞いていると、いつも、彼が影響を受けた先輩たちの魂が感じられる。たとえば、いつか彼が影響を受けたベース奏者特集というのもどうだろう。ジャコ・パストリアス、ラリー・グラハム、ルイス・ジョンソン、スタンリー・クラーク、マーカス・ミラーなどなど。

最初ジェイのヴォーカルを聴いていて、どんなパターンの曲調があうのか、まったくつかめなかったが、最後の曲「カラー・マイ・ハート」とアンコールの「アイ・ウォント」を聴いていて、この路線があうかもしれないと思った。ちょうど彼の声が元シャラマーのハワード・ヒューイット系なので、たとえば、ダイナスティーの「ヒア・アイ・アム」とか、そのほかのリオン・シルヴァーズがプロデュースしそうな作品や、ブラザース・ジョンソンの「ストンプ」などの、いかにもウェスト・コースとの明るい曲がいいような気がした。

この3人のバンドは超強力だけにどんなバラードでもグルーヴ感たっぷりに演奏できるが、ヴォーカリストはいろいろ試行錯誤して、自分にあう楽曲を選んだほうがいいと思う。たぶん彼はソロでやるよりも、バンドの何人かいるヴォーカルの1人という位置づけがぴったりくるのではないだろうか。ただジーノとジェイの日本語のやりとりが、妙におもしろい。

■ ジーノ過去関連記事

October 26, 2007
Jino Is Always Funky: He Always Give Space For The Musicians
http://blog.soulsearchin.com/archives/002105.html

May 30, 2007
Jino Hino Kenji Live At Cotton
http://blog.soulsearchin.com/archives/001794.html

September 23, 2006
Jino Jam Featuring Maru: One Thing Leads To Another
http://blog.soulsearchin.com/archives/001276.html

October 27, 2005
Jino Jam Live: Mr. Bass Man Is Sooo Funky
http://blog.soulsearchin.com/archives/000605.html

■メンバー
JAY(vo) meets JINO(b) Vol.2

Jay Vergara(vo)、日野 "Jino" 賢二(b)、PENNY-K(key)、Jay Stixx(ds)

■セットリスト
Setlist : Jay Meets Jino @ Motion Blue, January 27, 2008
ジーノ・ライヴ @ モーション・ブルー

First Set
01. Hope Of Love
02. Still
03. City Lights
04. Baby, Come To Me [Patti Austin, James Ingram]
05. Leon
06. Aaliyah
07. Summertime [Standard]
08. Bad Girl [Donna Summer]

Second set
Show started 19:35
01. Enoch’s Meditation (Inst) [Robert Glasper “Canvas” - 2005]
02. For The Foundations (Inst) [Robert Glasper]
03. Happy Birthday to Jay
04. What’s Going On [Marvin Gaye]
05. Let’s Stay Together [Al Green]
06. I Just Called To Say I Love You [Stevie Wonder, Raul Midon]
07. Marvin Said
08. Come Together [Beatles]
09. Let Me “B”
10. Only In Love
11. Color My Heart
Enc. I Want [Chaka Kahn - “The Woman I Am” - 1992]
Show ended 21:14

(2008年1月27日日曜、横浜モーション・ブルー=ジーノ・ジェイ・ジェイ・ペニーK・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Jino, Jay, Jay, Penny K
2008-10
【シーナ・イーストン、ショーをキャンセル…が、】

キャンセル。

1月29日(火曜)に、ビルボード・ライヴに松尾潔さんとイギリスの歌姫シーナ・イーストンのライヴを見に行く予定だった。バックコーラスのメンバーに、フィリップ・イングラムという名前があり、これはちょっと興味あり、という感じだったのだ。セカンド(9時30分スタート)に行く予定で、フィリップ・イングラムが以前在籍していたモータウンのヴォーカル・グループ、スウィッチのアルバムなんぞを引っ張りだし、ビルボードに持っていこうと思っていた矢先に電話が鳴った。

ビルボードの担当の方からで、なんとシーナ・イーストン、ファーストの途中で声が出なくなり、ファーストは3−40分でステージを降りてしまった、という。そしてもう声が出ないので、セカンド・ショーはキャンセルになったとのこと。キャンセルは確定です、ときっぱりと言われた。じゃあ、バンドは今日は解散ですか、フィリップに会えますか、と尋ねると、彼は出先で現場にいってないので、詳細はわからない、しかし、ショーがキャンセルになったことは確実だ、これからひたすらお詫びの電話と、対応をしなければならないという。もし、フィリップに会えるなら、ビルボードまで行ってもいいかな、くらいには思った。

松尾さんと電話で話すと、じゃあ今日はお互い家でおとなしくしてますか、ということで、ビルボード行きはなくなった。そこで久しぶりに雑談をしている中で、ピーボ・ブライソンの話に。彼が僕のブログを読んで、久々に行こうかなという気になったとのことなので、じゃあ、ラスト(水曜セカンド)に行きましょうとあいなった。

その後、キャンセルを聞いたもののビルボードの入口まで行った友人Sちゃんからは、中から音が聴こえてきた、という報告がきて、どういうことだろう、とは思った。CDでも流して、食事でも食べさせているのかと想像した。

そして、翌日いろいろ調べてみると、どうやら、シーナは出てこなかったが、バックのバンドだけで、チャージ無料でライヴをやってみせたというではないか。えええっ、ていうことは、フィリップがほとんど歌ったってこと? ガ〜〜ン、超ショック〜〜。見たかった〜〜。こんなことって、天地がひっくり返っても、もうないだろう。これを知って、いやあ、ほんと愕然とした。やっぱり、現場には一度は足を運ばないと…。(苦笑)

実はこれには伏線があり、僕の車がちょうどこの日車検で、車がなかった。そして、冷たい雨も降っていたので、電車かあるいはタクシーで行くのもめんどうかな、と思ってしまったのだ。ふだんはかなりフットワーク軽いのだが。(笑)車検じゃなければ、とりあえず、行くだけは行っていたような気がするから、まあ、悔しいというか、ちぐはぐというか。(笑) ま、これも運命か。

そんなこととはつゆ知らず、同日深夜、Kちゃんからメール。ブルーノートにピーボ・ブライソンを見に行ったという。そうしたら、セカンドが50分押しで始まり(ということは10時20分頃のスタート)、アンコールで平原綾香さんが登場し、『ビューティー・アンド・ザ・ビースト(美女と野獣)』をデュエット。ライヴ終了は12時近くになり、そのアンコールが終わるなり、レジに長蛇の列ができた、という報告が飛び込んだ。

キャンセルあり、飛び入りあり、東京ミュージック・タウンなり〜。

シーナ・イーストンは東京の前に福岡で25日、26日と歌った。27日1日休み、28日は無事こなし、29日のファーストから調子悪くなった。翌30日の大阪公演もキャンセル、31日に関しては様子を見ることになっている。

■ メンバー

フィリップ・イングラム/Phillip Ingram(Background Vocals)
ジョー・スプレイカー/Joe Spraker(Keyboards/Music Director)
エリック・ティウォルト/Eric Tewalt(Saxophone)
デイヴ・ハート/Dave Hart(Guitar)
アール・キャンベル /Earl Campbell(Drums)

■ セットリスト (フィリップ・イングラム・ショーか???)
(僕は実際には見ていません。ので、誰がリードを歌ったのかははっきりしません。一応、ご参考までに。ちなみに、下記セットリスト5曲目はプリンス関係メドレーです)

01. Stop To Love [Luther Vandross]
02. The Lover In Me
03. Strut
04. I Say A Little Prayer
05. Medley : U Got The Look [Prince]
Sugar Walls
The Glamorous Life [Sheila E.]
06. We’ve Got Tonight
07. On My Own
08. Telefone
09. Morning Train (Nine To Five)
10. Almost Over You
11. Modern Girl
12. For Your Eyes Only

(2008年1月29日火曜、ビルボード東京=シーナ・イーストン・バンド・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Easton, Sheena

1 2