第二回。

すでにこの日記ではおなじみの木下航志くん。彼の昨年8月下北沢ライヴハウス以来のライヴ。前回はキャパも100人くらいの小さな会場だったが、今回はタウンホールという約260席のコンサートホール。着実に階段を昇っている。会場はほぼ満員。バンドも、ドラムス、ギター、ベース、キーボード、サックスにコーラス2人、これに木下くんという構成でかなり大掛かりなバンドになった。僕にとっては第二回の鑑賞だ。

7時ちょうどに暗転し、幕が上がるとすでにバンドメンバーと木下くんがスタンバイしていて、一曲目のインスト曲「ピック・アップ・ザ・ピーセス」を演奏し始めた。アヴェレージ・ホワイト・バンドのファンキーなのりのり曲だが、観客はじっと静かにバンドを見つめている。

2曲目はスティーヴィーの「イズント・シー・ラヴリー」。全体的にバンドの音が大きく、木下くんのヴォーカルがなかなか聴きづらかった。ソウル、日本の歌謡曲、トラディショナル、オリジナルなどさまざまなものが選曲されている。やはりしばらくはこの路線で、わが道を模索していくのだろう。

木下くんが中央に座り、キーボードを弾き、歌を歌っているので彼がバンドの中心なのだが、彼がバンド・マスター、音楽ディレクターだという印象はまだない。しかし、きっと10年後には、彼が堂々としたバンド・マスターになるのだろうな、と思った。

そこで、彼がバンド・マスターではないということで、コーラスに歌わせる「ヒートウェイヴ」やサックスに歌わせる「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」がどうしても浮く。例えば、彼がスティーヴィーやジェームス・ブラウンのように、完全にボスで若手に一曲歌わせてやろう、チャンスをやろう、という立ち位置であれば、これも様になるが、なんといっても彼はこの中で最年少。なかなかうまく整合性がとれない。

今回はバンドとのものが、歌声が聴きづらかったこともあり、やはり、ピアノ1本の弾き語りが聴きやすかった。また、妙な司会ぶりがあいかわらずおもしろい。この日着ていたスーツは、なんとしばらく前に彼がニューヨークに行ったときに買ってもらったものだという。「買ってもらった」という表現が彼らしくて、いい。あるいは、アンコール前の最後の曲のときに、はっきり「では次はアンコール前の最後の曲で・・・」と言って笑いをとった。

ニューヨークではゴスペルクワイアーと共演してきた。そして、6月に愛知万博でそのゴスペルクワイアーと1日、一緒にライヴをするという。本場のゴスペルクワイアーと一緒にやって彼はどんな刺激を受けてきたのだろうか。これは楽しみだ。

木下航志、1989年5月8日鹿児島生まれ。現在15歳。まもなく16歳になる。そう、1989年は平成元年である。言ってみれば、将来の平成生まれの初のスーパースターだ。

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■木下航志・関連記事、前回のライヴ評

2004/08/14 (Sat)
Kishita Koshi Live: The Live Performance I Really Desired To See
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200408/diary20040814.html

2004/08/15 (Sun)
Talent Of Musicians VS Talent Of Listeners
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200408/diary20040815.html

2003/12/29 (Mon)
Stevie Gave Love & Courage To Everybody
木下航志くんとの出会い
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200312/diary20031229-1.html

2004/04/30 (Fri)
Kishita Koushi: 14-Year-Old Genius, I’d Call Him "Little Koushi"
ドキュメンタリーで知って
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200404/diary20040430.html

■Kishita Koshi Live At Shimokitazawa Town Hall
2005.4.1

( )はオリジナル・アーティスト

show started 19:02

01. Pick Up The Pieces (Average White Band)
02. Isn’t She Lovely (Stevie Wonder)
03. フェリス
04. Georgia On My Mind (Ray Charles)
05. マグノリア
06. 君の名前を呼んだあとに
07. Yesterday (Beatles)

--10 minutes break--

08. そして僕は途方に暮れる (木下航志ピアノソロ)(大沢誉志幸 )
09. 熱き心 (木下航志ピアノソロ)(小林旭)
10. 少年時代 (木下航志ピアノソロ)(井上陽水)

11. Amazing Grace (木下航志ピアノソロ) (Traditional)
12. Valdes In The Country (Donny Hathaway)
13. Heatwave (歌・セイ&しおり)(Martha & The Vandellas)
14. What A Wonderful World (歌・藤井康一)(Louis Armstrong)
15. Someday We’ll All Be Free (Donny Hathaway)
16. 響け僕の歌
17. 通り雨
18. チャレンジャー

アンコール

19. You’ve Got A Friend (James Taylor, Donny Hathaway)
20. 絆
21. 竹田の子守唄 (木下航志ピアノソロ)

show ended 20:57

■木下航志&ヒズ・フレンズ・メンバー

木下航志 (ヴォーカル、ピアノ、キーボード)
名村武 (ギター)
藤井康一 (サックス、ハーモニカ)
ドクター・キョン (キーボード)
後藤敏昭 (ドラムス)
大里和生 (ベース)
セイ&岩美志保里 (コーラス)

■木下航志・オフィシャル・ホームページ

http://www.kishitakohshi.com/

(2005年4月1日金曜、下北沢タウンホール=木下航志・ライヴ)