◎フェスティヴァル・ホールの精霊~山下達郎・フェスの杮落としに登場
2013年5月6日 音楽◎フェスティヴァル・ホールの精霊~山下達郎・フェスの杮落としに登場
【Yamashita Tatsuro At Newly Opened Osaka Festival Hall ~ Soul And Spirit Of Hall】
達郎色。
2008年12月に幕を閉じた大阪のコンサート・ホール、フェスティヴァル・ホールが4年半を経て完成。その杮落としの一人に山下達郎が登場した。そのためだけに彼は2013年5月3日と4日、2日間だけのショーを行なった。
このところのいつもと同じツアー・メンバーでのショー。しかし選曲はふだんあまりやらない曲、何十年ぶりかにやる曲、おそらくもう二度とやらないであろう曲などを前半に、そして後半にはよく知られている曲を配置。またライヴ・ハウスでやるようなゆるい雰囲気での、しかし濃密な3時間となった。
彼のライヴを見ていつも思うことは、ファンが熱いなあということ、大人だなあ、ということ。今回は特に高い競争倍率を勝ち抜いてのプラチナ・チケットだったからなおさらだろう。ミディアム調~アップテンポの曲から始まろうが、客席は立ち上がらない。しっかり座って音楽に耳を傾けじっくり聴く。そういう意味で音楽を聴くことに成熟したファンが来ているコンサートだ。
そして今回は達郎さん本人が難易度の高い曲も選んだと言っていたが、ある意味達郎作品はどれも難易度が高く、これらの曲をきちんと聴かせるには相当な腕のミュージシャンでないとまとめられない。それにきっちりと応えるミュージシャンたちも見事だ。中でもドラムスの小笠原くんはこのバンドの、リズムの中心隊としてすっかり堂々とした存在感を見せてその著しい成長振りに驚かされた。
僕が彼のライヴを前回見たのが約1年前の中野サンプラザだったが、ツアー当初は少し線が細いかなと思ったが1年前にもすごく骨太になったなあと感じていたが、6年目に入りいい意味ですっかり「達郎色」に染まっているのだと思う。
精霊。
4年半の歳月を経て建設された新しいフェスティヴァル・ホール。旧ホールは客席レヴェルが3層だったが、今回は4層になっている。下から見ると1階フロアから4階フロアまであるように見え、天井がすごく高くなった印象だ。
本人も「建物はまったく違う新しい物になったが、ここの土地にいる神というかそういうものはずっとここにいて、以前と同じ空気感がする」といったニュアンスのことをMCで言っていたが、本当にそんな感じだった。
このフェスティヴァル・ホールに僕が来たのは2008年12月が初めてのこと、以来2度目が今回。4年半前、達郎さんの最初の音を聴いた瞬間、「音がいいホール」ということをすぐに悟った。それから4年半、建物自体が新しくなり、外観も椅子も床も内装全般もまったく綺麗に様変わりしていたが、ホールの中に入った瞬間、以前来たことがあるような不思議な感覚に囚われた。もちろん「同じホール」なのだからそう思って当然なのかもしれない。いや、だが、「違う建物」のはずだ。しかしこれは何なのだろうと思っていたところ、MCでのそういう説明がありなんとなく納得した。
そう、きっと何十年と培われていた旧・フェスティヴァル・ホールに残された地と汗と涙の精霊が、その土地に残っていたのではないかと感じた。
「House Is Not A Home」~ディオンヌ・ワーウィック、ルーサー・ヴァンドロスなども歌うバート・バカラック&ハル・デイヴィッドの名曲。ハコとしてのハウス(家)は、家族が住むホーム(家)ではない、恋人であるあなたがいないハウスはもはやホームではない。ハウスに住む人の魂、そこに根付くソウル、スピリット、それがあってのホームということだが、このフェスティヴァル・ホールにも芸人、パフォーマー、アーティストたちのソウルが宿ってこそのホールだということだ。その意味で、アーティストやミュージシャンたちがそこにいなければ、ホールではない。House Is Not A Hall。逆に彼らのパフォーマンスが積み重なることによってHouse Became A Hallということでもある。
話が逸れたが、新しい建物になったがそこにはフェスティヴァル・ホールの精霊がずっと棲み続けているのではないか、ということを、そこに入ったときに感じた。これは、ここに来てみなければ決してわからなかったことであり、大変な驚きだった。
印象記。
いくつか印象に残ったことのメモから。
「大阪のここフェスティヴァル・ホールに初めて立ったのは1980年5月27日。2008年12月、旧フェスティヴァル・ホールが閉館するときにコンサートを行なった。今回はそれ以来」
前半にめったにやらない曲目をセットリストにいれた件について。「落語の春風亭 柳好(しゅんぷうてい・りゅうこう)はいつも客から十八番の『がまの油』か『のざらし』という演目をやってくれと言われる。あまりに同じ物ばかり言われるので、嫌気がさしていた。『木戸銭もらっちまえば、こっちのもん』という名言で、お客に来てもらったら、演目はこっちが勝手に決められる、という気持ちで今回は臨んだ」(笑)
「普段のツアーではやらない曲を選んだ。単発的なライヴは相当久しぶり。初めて今日、山下達郎を見に来た人は(知らない曲が前半にかかるのは)災難だと思ってください。(笑) 大阪のお客さんはのりがいいので、もってかれる。(拍手)」
「最近は誰もかしこもカヴァーばかりやるが、今日は(自分も)ここでもカヴァーをやってみよう思う(笑)」と言ってビーチ・ボーイズとラスカルズの曲を。
その後アカペラ・コーナー。1曲目だけ一応「ドント・アスク・ミー・ロンリー」 を決めていたが以後はその場のノリでやる曲を決めたという。初日は「スタンド・バイ・ミー」。2日目は「アマポーラ」だったという。
2ヶ月に一度くらい文楽を見に大阪に来ているらしい。そのとき入ったミナミの居酒屋がけっこう気に入っているそうだ。
4曲目まではほぼノンストップで一気にたたみかけたが、その後はしゃべって曲をやってというスタイルに。「ライヴ・ハウスのようにゆるゆる(ずぶずぶ)ですが、こういうのもいいな」。(正確な文言ちょっと自信なし)
「普段政治の話はしないが、自分たちのような仕事は世の中が平和で余裕がなければ成り立たない。そのためには平和で、ある程度余裕がある生活ができることを願っている。自分は政治的には安保闘争に挫折した世代。朝鮮籍の一年先輩がいたが1970年代初頭に北朝鮮に渡るというので上野駅に見送りに行った。それ以来40年以上彼がどうしているか、生きているかどうかもわからない。会いたいとは思っているが、その彼について書いた曲が『ダンサー(Dancer)』だ」と解説してからこれを歌った。
そう言われてから歌詞に耳を傾けると、確かにそうしたメッセージが聞き取れるが、それまでは普通に踊れる感じの曲なのでそんな重い思い入れがある曲だとは夢にも思わなかった。新発見。
「今年は『メロディーズ』30周年、『シーズンズ・グリーティングス』20周年。ツアーは4シーズン目、6年目に入る。55歳で始めたときは60、還暦までと思ったが、今還暦になり、とりあえず出来るところまでやりたい。次の目標は65歳。75歳の三波春夫さんはまだまだがんばっている」
「レッツ・ダンス・ベイビー」の定番のクラッカーのところでは客席でのクラッカーがいつになく多かったようで、その煙の匂いがしばらく鼻にきて、煙かった。
アンコール途中で最前列に座っていた何名かの熱心なファンが垂れ幕を広げると、達郎さんたちがそれを取り上げ、ステージから客席に向かって広げた。そこには何枚も張り合わされた紙にこう書かれていた。「最高の音楽 ありがとう」。
アンコールのところで器官にツバか水が入ってしまって、「ライド・オン・タイム」までちょっと苦しかったそう。「ライド・オン・タイム」で戻ったらしい。
単発。
というわけで今回のライヴ2本は、単発的色彩が強いもの。本格的なツアーは2013年8月末から12月24日まで計49本が予定されている。
それにしても達郎さん、声、よく出る。単発だけにめったに聴けない曲が聴けたライヴ、ということで大変な希少価値のある文字通りのプレミアム・ライヴだった。
そして本稿でも最前列のファンの言葉を再掲。
「最高の音楽 ありがとう」。
2008年12月のフェスティヴァルホール
正面入口、レッドカーペット。またホールまでのエスカレーターも長いので、お早めに会場にお越しください、とアナウンス
外観。高層ビルになりました
■山下達郎・過去関連記事
(古い順に並べて見ました)
=2008年、ライヴ復帰、シーズン1=
May 07, 2008
Yamashita Tatsuro Live At Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎~素晴らしき人生】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080507.html
May 11, 2008
Yamashita Tatsuro Acoustic Mini Live @ Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎・アコースティック・ミニ・ライヴ・セットリスト】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080511.html
(2008年5月アコースティック・ミニ・ライヴ記事)
大阪フェスティヴァル・ホール最後の日↓
December 29, 2008
Yamashita Tatsuro @ Osaka Festival Hall Final
【山下達郎~フェスティヴァル・ホール最後の日】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081229.html
2009年05月12日(火)
全身全霊でかけぬけた50本~山下達郎2008-2009ツアー最終日終了
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090512.html
+++
2010年07月08日(木)
ハーヴィー・フークワ80歳で死去~ムーングロウズのリード・シンガー:マーヴィン・ゲイの育ての親
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10584608240.html
+++
=2010年、シーズン2=
山下達郎、デビュー35周年ライヴ・ツアー~刻まれ続ける音楽と人生の年輪
2010年11月07日(日)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20101107.html
山下達郎ライヴ2010、39本終演~物質に付加価値を与える「体験」
2010年11月09日(火)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10701547198.html
=2011~2012、シーズン3=
山下達郎の音楽を知っている人生と、知らない人生
2012年4月9日
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20120409.html
山下達郎~全国をかけ抜けたツアー・シーズン3
2012年05月14日(月)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11248277310.html
+++
山下達郎・シアター・ライヴを見て~軸ブレずに四半世紀
2012年08月31日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11341325362.html
■山下達郎オフィシャルウェッブ
http://www.tatsuro.co.jp/
ライヴスケジュール 2013年8月末から12月24日まで49本
2013年5月14日(火)12時からイープラス(ファミリーマート)でチケット先行予約開始。先行予約は5月27日(月)18時まで。全49本。
http://www.tatsuro.co.jp/live/
■『TATSURO YAMASHITA LIVE At Festival Hall 2013.5.3-4』 メンバー
山下達郎 (歌、ギター)
伊藤広規 (ベース)
難波弘之 (ピアノ、ローズ)
柴田俊文 (キーボード)
佐橋佳幸 (ギター)
宮里陽太 (サックス)
小笠原拓海 (ドラムス)
国分友里恵 (バックヴォーカル)
佐々木久美 (バックヴォーカル)
三谷泰弘 (バックヴォーカル)
■セットリスト
[ ] denotes original artist
2013年5月3日金曜
show started 18:11
00. Intro (Acapella)
01. 新・東京ラプソディー (新・大阪ラプソディー) (東京の歌詞を大阪に代えて)
02. Love Space
03. Music Book
04. 僕らの夏の夢 ~ a riff of こいのぼり
05. あしおと
06. ドリーミング・デイ
07. Futari
08. God Only Knows [Beach Boys]
09. Groovin’ [Rascals]
10. Don’t Ask Me To Be Lonely [Dubs]
11. Stand By Me [Ben E King]
12. Dancer
13. 希望という名の光 ~ a riff of People Get Ready ~ 今日をこえて ~ 蒼氓 Ray Of Hope
14. Bomber
15. Let’s Dance Baby ~ a riff of 函館の女(函館を大阪に代えて)~大阪しぐれ~スイート・ホーム・大阪~I Got A Woman
16. アトムの子 ~ a riff of 鉄腕アトムのテーマ
17. Loveland Island
Enc. Sparkle
Enc. Funky Flushin~硝子の少年
Enc. Ride On Time
Enc.愛を描いて –Let’s Kiss The Sun-
Enc. Your Eyes
Ending CD “That’s My Desire” [Dion & The Belmonts]
Show ended 21:03
(2013年5月3日金曜、大阪フェスティヴァル・ホール、山下達郎ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Yamashita, Tatsuro
~~~~
■セットリスト~2013年5月4日土曜分
00. Intro (Acapella)
01. 新・東京ラプソディー (新・大阪ラプソディー)
02. Love Space
03. Music Book
04. 僕らの夏の夢
05. あしおと
06. ドリーミング・デイ
07. Futari
08. God Only Knows [Beach Boys]
09. Groovin’ [Rascals]
10. Don’t Ask Me To Be Lonely [Dubs]
11. Amapola
12. おやすみロージー
13. Dancer
14. 希望という名の光
15. Bomber
16. Let’s Dance Baby
17. アトムの子
18. Loveland Island
Enc. Sparkle
Enc. Funky Flushin~硝子の少年
Enc. Ride On Time
Enc.愛を描いて –Let’s Kiss The Sun-
Enc. Down Town
Enc. Your Eyes (Acapella)
Ending CD “That’s My Desire” [Dion & The Belmonts]
(2013年5月4日土曜、大阪フェスティヴァル・ホール、山下達郎ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Yamashita, Tatsuro
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008ASKW0C/soulsearchiho-22/ref=nosim/
【Yamashita Tatsuro At Newly Opened Osaka Festival Hall ~ Soul And Spirit Of Hall】
達郎色。
2008年12月に幕を閉じた大阪のコンサート・ホール、フェスティヴァル・ホールが4年半を経て完成。その杮落としの一人に山下達郎が登場した。そのためだけに彼は2013年5月3日と4日、2日間だけのショーを行なった。
このところのいつもと同じツアー・メンバーでのショー。しかし選曲はふだんあまりやらない曲、何十年ぶりかにやる曲、おそらくもう二度とやらないであろう曲などを前半に、そして後半にはよく知られている曲を配置。またライヴ・ハウスでやるようなゆるい雰囲気での、しかし濃密な3時間となった。
彼のライヴを見ていつも思うことは、ファンが熱いなあということ、大人だなあ、ということ。今回は特に高い競争倍率を勝ち抜いてのプラチナ・チケットだったからなおさらだろう。ミディアム調~アップテンポの曲から始まろうが、客席は立ち上がらない。しっかり座って音楽に耳を傾けじっくり聴く。そういう意味で音楽を聴くことに成熟したファンが来ているコンサートだ。
そして今回は達郎さん本人が難易度の高い曲も選んだと言っていたが、ある意味達郎作品はどれも難易度が高く、これらの曲をきちんと聴かせるには相当な腕のミュージシャンでないとまとめられない。それにきっちりと応えるミュージシャンたちも見事だ。中でもドラムスの小笠原くんはこのバンドの、リズムの中心隊としてすっかり堂々とした存在感を見せてその著しい成長振りに驚かされた。
僕が彼のライヴを前回見たのが約1年前の中野サンプラザだったが、ツアー当初は少し線が細いかなと思ったが1年前にもすごく骨太になったなあと感じていたが、6年目に入りいい意味ですっかり「達郎色」に染まっているのだと思う。
精霊。
4年半の歳月を経て建設された新しいフェスティヴァル・ホール。旧ホールは客席レヴェルが3層だったが、今回は4層になっている。下から見ると1階フロアから4階フロアまであるように見え、天井がすごく高くなった印象だ。
本人も「建物はまったく違う新しい物になったが、ここの土地にいる神というかそういうものはずっとここにいて、以前と同じ空気感がする」といったニュアンスのことをMCで言っていたが、本当にそんな感じだった。
このフェスティヴァル・ホールに僕が来たのは2008年12月が初めてのこと、以来2度目が今回。4年半前、達郎さんの最初の音を聴いた瞬間、「音がいいホール」ということをすぐに悟った。それから4年半、建物自体が新しくなり、外観も椅子も床も内装全般もまったく綺麗に様変わりしていたが、ホールの中に入った瞬間、以前来たことがあるような不思議な感覚に囚われた。もちろん「同じホール」なのだからそう思って当然なのかもしれない。いや、だが、「違う建物」のはずだ。しかしこれは何なのだろうと思っていたところ、MCでのそういう説明がありなんとなく納得した。
そう、きっと何十年と培われていた旧・フェスティヴァル・ホールに残された地と汗と涙の精霊が、その土地に残っていたのではないかと感じた。
「House Is Not A Home」~ディオンヌ・ワーウィック、ルーサー・ヴァンドロスなども歌うバート・バカラック&ハル・デイヴィッドの名曲。ハコとしてのハウス(家)は、家族が住むホーム(家)ではない、恋人であるあなたがいないハウスはもはやホームではない。ハウスに住む人の魂、そこに根付くソウル、スピリット、それがあってのホームということだが、このフェスティヴァル・ホールにも芸人、パフォーマー、アーティストたちのソウルが宿ってこそのホールだということだ。その意味で、アーティストやミュージシャンたちがそこにいなければ、ホールではない。House Is Not A Hall。逆に彼らのパフォーマンスが積み重なることによってHouse Became A Hallということでもある。
話が逸れたが、新しい建物になったがそこにはフェスティヴァル・ホールの精霊がずっと棲み続けているのではないか、ということを、そこに入ったときに感じた。これは、ここに来てみなければ決してわからなかったことであり、大変な驚きだった。
印象記。
いくつか印象に残ったことのメモから。
「大阪のここフェスティヴァル・ホールに初めて立ったのは1980年5月27日。2008年12月、旧フェスティヴァル・ホールが閉館するときにコンサートを行なった。今回はそれ以来」
前半にめったにやらない曲目をセットリストにいれた件について。「落語の春風亭 柳好(しゅんぷうてい・りゅうこう)はいつも客から十八番の『がまの油』か『のざらし』という演目をやってくれと言われる。あまりに同じ物ばかり言われるので、嫌気がさしていた。『木戸銭もらっちまえば、こっちのもん』という名言で、お客に来てもらったら、演目はこっちが勝手に決められる、という気持ちで今回は臨んだ」(笑)
「普段のツアーではやらない曲を選んだ。単発的なライヴは相当久しぶり。初めて今日、山下達郎を見に来た人は(知らない曲が前半にかかるのは)災難だと思ってください。(笑) 大阪のお客さんはのりがいいので、もってかれる。(拍手)」
「最近は誰もかしこもカヴァーばかりやるが、今日は(自分も)ここでもカヴァーをやってみよう思う(笑)」と言ってビーチ・ボーイズとラスカルズの曲を。
その後アカペラ・コーナー。1曲目だけ一応「ドント・アスク・ミー・ロンリー」 を決めていたが以後はその場のノリでやる曲を決めたという。初日は「スタンド・バイ・ミー」。2日目は「アマポーラ」だったという。
2ヶ月に一度くらい文楽を見に大阪に来ているらしい。そのとき入ったミナミの居酒屋がけっこう気に入っているそうだ。
4曲目まではほぼノンストップで一気にたたみかけたが、その後はしゃべって曲をやってというスタイルに。「ライヴ・ハウスのようにゆるゆる(ずぶずぶ)ですが、こういうのもいいな」。(正確な文言ちょっと自信なし)
「普段政治の話はしないが、自分たちのような仕事は世の中が平和で余裕がなければ成り立たない。そのためには平和で、ある程度余裕がある生活ができることを願っている。自分は政治的には安保闘争に挫折した世代。朝鮮籍の一年先輩がいたが1970年代初頭に北朝鮮に渡るというので上野駅に見送りに行った。それ以来40年以上彼がどうしているか、生きているかどうかもわからない。会いたいとは思っているが、その彼について書いた曲が『ダンサー(Dancer)』だ」と解説してからこれを歌った。
そう言われてから歌詞に耳を傾けると、確かにそうしたメッセージが聞き取れるが、それまでは普通に踊れる感じの曲なのでそんな重い思い入れがある曲だとは夢にも思わなかった。新発見。
「今年は『メロディーズ』30周年、『シーズンズ・グリーティングス』20周年。ツアーは4シーズン目、6年目に入る。55歳で始めたときは60、還暦までと思ったが、今還暦になり、とりあえず出来るところまでやりたい。次の目標は65歳。75歳の三波春夫さんはまだまだがんばっている」
「レッツ・ダンス・ベイビー」の定番のクラッカーのところでは客席でのクラッカーがいつになく多かったようで、その煙の匂いがしばらく鼻にきて、煙かった。
アンコール途中で最前列に座っていた何名かの熱心なファンが垂れ幕を広げると、達郎さんたちがそれを取り上げ、ステージから客席に向かって広げた。そこには何枚も張り合わされた紙にこう書かれていた。「最高の音楽 ありがとう」。
アンコールのところで器官にツバか水が入ってしまって、「ライド・オン・タイム」までちょっと苦しかったそう。「ライド・オン・タイム」で戻ったらしい。
単発。
というわけで今回のライヴ2本は、単発的色彩が強いもの。本格的なツアーは2013年8月末から12月24日まで計49本が予定されている。
それにしても達郎さん、声、よく出る。単発だけにめったに聴けない曲が聴けたライヴ、ということで大変な希少価値のある文字通りのプレミアム・ライヴだった。
そして本稿でも最前列のファンの言葉を再掲。
「最高の音楽 ありがとう」。
2008年12月のフェスティヴァルホール
正面入口、レッドカーペット。またホールまでのエスカレーターも長いので、お早めに会場にお越しください、とアナウンス
外観。高層ビルになりました
■山下達郎・過去関連記事
(古い順に並べて見ました)
=2008年、ライヴ復帰、シーズン1=
May 07, 2008
Yamashita Tatsuro Live At Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎~素晴らしき人生】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080507.html
May 11, 2008
Yamashita Tatsuro Acoustic Mini Live @ Hamarikyu Asahi Hall
【山下達郎・アコースティック・ミニ・ライヴ・セットリスト】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080511.html
(2008年5月アコースティック・ミニ・ライヴ記事)
大阪フェスティヴァル・ホール最後の日↓
December 29, 2008
Yamashita Tatsuro @ Osaka Festival Hall Final
【山下達郎~フェスティヴァル・ホール最後の日】
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081229.html
2009年05月12日(火)
全身全霊でかけぬけた50本~山下達郎2008-2009ツアー最終日終了
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090512.html
+++
2010年07月08日(木)
ハーヴィー・フークワ80歳で死去~ムーングロウズのリード・シンガー:マーヴィン・ゲイの育ての親
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10584608240.html
+++
=2010年、シーズン2=
山下達郎、デビュー35周年ライヴ・ツアー~刻まれ続ける音楽と人生の年輪
2010年11月07日(日)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20101107.html
山下達郎ライヴ2010、39本終演~物質に付加価値を与える「体験」
2010年11月09日(火)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10701547198.html
=2011~2012、シーズン3=
山下達郎の音楽を知っている人生と、知らない人生
2012年4月9日
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20120409.html
山下達郎~全国をかけ抜けたツアー・シーズン3
2012年05月14日(月)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11248277310.html
+++
山下達郎・シアター・ライヴを見て~軸ブレずに四半世紀
2012年08月31日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11341325362.html
■山下達郎オフィシャルウェッブ
http://www.tatsuro.co.jp/
ライヴスケジュール 2013年8月末から12月24日まで49本
2013年5月14日(火)12時からイープラス(ファミリーマート)でチケット先行予約開始。先行予約は5月27日(月)18時まで。全49本。
http://www.tatsuro.co.jp/live/
■『TATSURO YAMASHITA LIVE At Festival Hall 2013.5.3-4』 メンバー
山下達郎 (歌、ギター)
伊藤広規 (ベース)
難波弘之 (ピアノ、ローズ)
柴田俊文 (キーボード)
佐橋佳幸 (ギター)
宮里陽太 (サックス)
小笠原拓海 (ドラムス)
国分友里恵 (バックヴォーカル)
佐々木久美 (バックヴォーカル)
三谷泰弘 (バックヴォーカル)
■セットリスト
[ ] denotes original artist
2013年5月3日金曜
show started 18:11
00. Intro (Acapella)
01. 新・東京ラプソディー (新・大阪ラプソディー) (東京の歌詞を大阪に代えて)
02. Love Space
03. Music Book
04. 僕らの夏の夢 ~ a riff of こいのぼり
05. あしおと
06. ドリーミング・デイ
07. Futari
08. God Only Knows [Beach Boys]
09. Groovin’ [Rascals]
10. Don’t Ask Me To Be Lonely [Dubs]
11. Stand By Me [Ben E King]
12. Dancer
13. 希望という名の光 ~ a riff of People Get Ready ~ 今日をこえて ~ 蒼氓 Ray Of Hope
14. Bomber
15. Let’s Dance Baby ~ a riff of 函館の女(函館を大阪に代えて)~大阪しぐれ~スイート・ホーム・大阪~I Got A Woman
16. アトムの子 ~ a riff of 鉄腕アトムのテーマ
17. Loveland Island
Enc. Sparkle
Enc. Funky Flushin~硝子の少年
Enc. Ride On Time
Enc.愛を描いて –Let’s Kiss The Sun-
Enc. Your Eyes
Ending CD “That’s My Desire” [Dion & The Belmonts]
Show ended 21:03
(2013年5月3日金曜、大阪フェスティヴァル・ホール、山下達郎ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Yamashita, Tatsuro
~~~~
■セットリスト~2013年5月4日土曜分
00. Intro (Acapella)
01. 新・東京ラプソディー (新・大阪ラプソディー)
02. Love Space
03. Music Book
04. 僕らの夏の夢
05. あしおと
06. ドリーミング・デイ
07. Futari
08. God Only Knows [Beach Boys]
09. Groovin’ [Rascals]
10. Don’t Ask Me To Be Lonely [Dubs]
11. Amapola
12. おやすみロージー
13. Dancer
14. 希望という名の光
15. Bomber
16. Let’s Dance Baby
17. アトムの子
18. Loveland Island
Enc. Sparkle
Enc. Funky Flushin~硝子の少年
Enc. Ride On Time
Enc.愛を描いて –Let’s Kiss The Sun-
Enc. Down Town
Enc. Your Eyes (Acapella)
Ending CD “That’s My Desire” [Dion & The Belmonts]
(2013年5月4日土曜、大阪フェスティヴァル・ホール、山下達郎ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Yamashita, Tatsuro
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008ASKW0C/soulsearchiho-22/ref=nosim/