魂汗涙。
ファンキー、ソウルフル、ダンサブル、エネルギッシュ。ソウルとスゥエットとティアーズがそこにあった。あるいは、ガッツ、スゥエット&ティアーズ。
インディ系で活躍している日本人グループ、ガッツ(スペルはThe Guts)のライヴが初台のライヴハウス、ザ・ドアーズであった。ワンマンライヴ(一アーティストの単独ライヴ)は、3度目だという。
リードヴォーカル、大和を中心にドラム、ギター、ベース、キーボードに3管(トロンボーンにサックス2本)、そして、女性コーラス2人という計10人の大所帯バンド。一言で言えば、とってもまとまっていて、完成度が高いショウを見せたもらった。正直、びっくりした。曲もヴァリエーションがあるし、ステージの構成もまとまってるし、激しくみんな動き、踊るし、何より飽きさせない。なんといっても3管の生の迫力は、ソウル系バンド好きにはたまらない。バーケーズとかクール&ギャングとか、スタックス系の音が存分に出てきて、楽しめた。
「スイート・ソウル・ミュージック」とか「ホールド・オン」とか、クール&ギャング風とか「ピーターガン」とか、「ダンス天国」とかいろいろ聞いたことがあるフレーズがたくさんでてきて、カヴァーなのかオリジナルなのか僕の頭上にクエスチョン・マークが点灯したが、通して聞いてみると、やはりオリジナルだということを認識した。(笑) 全部日本語だし。
ヴォーカル以外、ドラムもギターもベースもキーボードも、管楽器も、みんなソロがあったり、ちゃんと出番があり、変化をつけてる。これでステージがもう少し広ければ、ダンサーも3人くらいつけられるんじゃないだろうか。
リーダーの大和は、サザンオールスターズとか好きなのかな。1−2曲、サザンを思わせる曲があった。入口で、今日のライヴでも歌われた3曲(「SHOWTIME」、「恋せよ乙女」、「日本代表」)が入ったCDが配られた。いくつか宿題は残っているようだが、こういうライヴたたき上げバンドは、CDより、絶対ライヴのほうが映える。ナオミちゃんに不二子ちゃん、前面にでて、可愛いし。ガッツももっともっとライヴやれば、人気でてくるんじゃないでしょうか。
ザ・ガッツのホームページは下記。
http://theguts.infoseek.livedoor.com/index.html
(2003年7月19日土曜日・初台ドアーズ=ザ・ガッツ(The Guts)ライヴ)
ファンキー、ソウルフル、ダンサブル、エネルギッシュ。ソウルとスゥエットとティアーズがそこにあった。あるいは、ガッツ、スゥエット&ティアーズ。
インディ系で活躍している日本人グループ、ガッツ(スペルはThe Guts)のライヴが初台のライヴハウス、ザ・ドアーズであった。ワンマンライヴ(一アーティストの単独ライヴ)は、3度目だという。
リードヴォーカル、大和を中心にドラム、ギター、ベース、キーボードに3管(トロンボーンにサックス2本)、そして、女性コーラス2人という計10人の大所帯バンド。一言で言えば、とってもまとまっていて、完成度が高いショウを見せたもらった。正直、びっくりした。曲もヴァリエーションがあるし、ステージの構成もまとまってるし、激しくみんな動き、踊るし、何より飽きさせない。なんといっても3管の生の迫力は、ソウル系バンド好きにはたまらない。バーケーズとかクール&ギャングとか、スタックス系の音が存分に出てきて、楽しめた。
「スイート・ソウル・ミュージック」とか「ホールド・オン」とか、クール&ギャング風とか「ピーターガン」とか、「ダンス天国」とかいろいろ聞いたことがあるフレーズがたくさんでてきて、カヴァーなのかオリジナルなのか僕の頭上にクエスチョン・マークが点灯したが、通して聞いてみると、やはりオリジナルだということを認識した。(笑) 全部日本語だし。
ヴォーカル以外、ドラムもギターもベースもキーボードも、管楽器も、みんなソロがあったり、ちゃんと出番があり、変化をつけてる。これでステージがもう少し広ければ、ダンサーも3人くらいつけられるんじゃないだろうか。
リーダーの大和は、サザンオールスターズとか好きなのかな。1−2曲、サザンを思わせる曲があった。入口で、今日のライヴでも歌われた3曲(「SHOWTIME」、「恋せよ乙女」、「日本代表」)が入ったCDが配られた。いくつか宿題は残っているようだが、こういうライヴたたき上げバンドは、CDより、絶対ライヴのほうが映える。ナオミちゃんに不二子ちゃん、前面にでて、可愛いし。ガッツももっともっとライヴやれば、人気でてくるんじゃないでしょうか。
ザ・ガッツのホームページは下記。
http://theguts.infoseek.livedoor.com/index.html
(2003年7月19日土曜日・初台ドアーズ=ザ・ガッツ(The Guts)ライヴ)
Zydeco: That’s What It Is
2003年7月22日ザディコ。
夜7時過ぎから自由が丘のマルディグラで、守島さんのザディコを聴くイヴェントがあり、のぞきに行く。僕はザディコについては、ほとんど知らないのだが、初めて日本人バンド(キキ・ヨシタケ&ザディコ・バンド)のザディコ・ライヴを聴いた。このタイプも、CDよりライヴのほうが、絶対にもりあがる音楽だ。
今週火曜、水曜にライヴがあるクリス・アルドワンのCDも次々と紹介され、ちょっと予習できた。
「パパ・ウォズ・ア・ローリング・ストーン」(テンプスのヒット)とか「パッス・ザ・ダッチー」(ミュージカル・ユースのヒット)などをいわゆるザディコ風にアレンジしてやってるんですね。レゲエという音楽スタイルが、なんでもかんでも、即座にその独自のスタイルにしてしまうのと同じ。このザディコを言葉で表すのは難しい。しいていえば、アコーディオンが特徴的な、ニューオーリーンズのケイジャンミュージックから派生した非常にのりのいい音楽、といったところか。
僕がザディコについて知ったのは、ジョー・サンプルのライヴでのこと。ただ、クリフトン・シェニエールというアーティストの名前は聞いたことがあり、たぶん、レコードも聞いたことがあったように思う。しかし、それがザディコというタイプの音楽というのはよくわからなかった。ちなみに、このジョー・サンプルのレヴューでは僕は「ザディゴ」と書いてますが、たぶん、そのとき、そう聞こえたんでしょう。「ザディコ」が正しいです。
そうそう、Zydecoの発音ですが、ズィディコとか、ザイディコとかの説もあるらしいのですが、僕はザディコでいいと思う。ニューオーリーンズにはめっぽう強い守島さんhttp://www.alles.or.jp/~morishim/によれば、フランス語のLes Haricotから来ている、と。これだと、フランス語のリエゾンで、「レザリコ」になって、ザディコになまっていくというのはとても自然です。
このイヴェントにも来ていたデイリー・ヨミウリのライター、レス・コールス氏のクリス・アルドワン紹介記事(2003年7月17日付けデイリー・ヨミウリhttp://www.yomiuri.co.jp/newse/20030717woa7.htm)によると、ザディコは、les haricots ne sont pas sales から来ているそうです。このフランス語の意味は、豆(ビーンズ)は塩辛くない。これが転じて、厳しいとき、そのときは辛いといったことを意味するそうです。
さて、せっかく自由が丘まで来たのだから、帰りに珈琲屋アンセーニュダングルによることにした。一人でカウンターに座ると、マスターがいきなり、「JB来ますねえ」とJB来日のチラシを出して、話しかけてきた。そして、しばしJBとソウル話に花が咲いた。
マスターがこの店のこと何か書かれましたか、と尋ねるので、自分のホームページの日記に書きました、というと、彼自身はインターネットはやらないそうだが、いろいろ人から聞いたりする、とのことでした。というわけで、ホームページのアドレスなどをお教えしてきました。
夜7時過ぎから自由が丘のマルディグラで、守島さんのザディコを聴くイヴェントがあり、のぞきに行く。僕はザディコについては、ほとんど知らないのだが、初めて日本人バンド(キキ・ヨシタケ&ザディコ・バンド)のザディコ・ライヴを聴いた。このタイプも、CDよりライヴのほうが、絶対にもりあがる音楽だ。
今週火曜、水曜にライヴがあるクリス・アルドワンのCDも次々と紹介され、ちょっと予習できた。
「パパ・ウォズ・ア・ローリング・ストーン」(テンプスのヒット)とか「パッス・ザ・ダッチー」(ミュージカル・ユースのヒット)などをいわゆるザディコ風にアレンジしてやってるんですね。レゲエという音楽スタイルが、なんでもかんでも、即座にその独自のスタイルにしてしまうのと同じ。このザディコを言葉で表すのは難しい。しいていえば、アコーディオンが特徴的な、ニューオーリーンズのケイジャンミュージックから派生した非常にのりのいい音楽、といったところか。
僕がザディコについて知ったのは、ジョー・サンプルのライヴでのこと。ただ、クリフトン・シェニエールというアーティストの名前は聞いたことがあり、たぶん、レコードも聞いたことがあったように思う。しかし、それがザディコというタイプの音楽というのはよくわからなかった。ちなみに、このジョー・サンプルのレヴューでは僕は「ザディゴ」と書いてますが、たぶん、そのとき、そう聞こえたんでしょう。「ザディコ」が正しいです。
そうそう、Zydecoの発音ですが、ズィディコとか、ザイディコとかの説もあるらしいのですが、僕はザディコでいいと思う。ニューオーリーンズにはめっぽう強い守島さんhttp://www.alles.or.jp/~morishim/によれば、フランス語のLes Haricotから来ている、と。これだと、フランス語のリエゾンで、「レザリコ」になって、ザディコになまっていくというのはとても自然です。
このイヴェントにも来ていたデイリー・ヨミウリのライター、レス・コールス氏のクリス・アルドワン紹介記事(2003年7月17日付けデイリー・ヨミウリhttp://www.yomiuri.co.jp/newse/20030717woa7.htm)によると、ザディコは、les haricots ne sont pas sales から来ているそうです。このフランス語の意味は、豆(ビーンズ)は塩辛くない。これが転じて、厳しいとき、そのときは辛いといったことを意味するそうです。
さて、せっかく自由が丘まで来たのだから、帰りに珈琲屋アンセーニュダングルによることにした。一人でカウンターに座ると、マスターがいきなり、「JB来ますねえ」とJB来日のチラシを出して、話しかけてきた。そして、しばしJBとソウル話に花が咲いた。
マスターがこの店のこと何か書かれましたか、と尋ねるので、自分のホームページの日記に書きました、というと、彼自身はインターネットはやらないそうだが、いろいろ人から聞いたりする、とのことでした。というわけで、ホームページのアドレスなどをお教えしてきました。
Moominmamma & James Brown
2003年7月23日ジェームス・ブラウンがフィンランドでライヴ。
ムーミン。
ジェームス・ブラウンが去る2003年7月17日(木曜)フィンランドのヘルシンキで行われたジャズ・フェスティヴァルでライヴを見せ、そのステージに、タルヤ・ハロネン・フィンランド大統領が登場、会場の大喝采をあびた。ハロネン大統領は同国始まって以来初の女性大統領。観客は、「タルヤ、タルヤ」の大合唱をし、大統領とジェームス・ブラウンを歓迎した。
今年59歳のハロネン大統領は、「ムーミン・ママ」との愛称で親しまれているが、髪を振り乱しながらジェームスブラウンの音楽で踊った、という。ただし、歌うようにうながされたが、歌は歌わずにマイクを通じて、「ここに来ていただいてありがとうございます。ミスター・ジェームス・ブラウン、ただ、私はショウガールではないので(歌えません)」とコメントした。
ハロネン大統領は、2000年3月に就任以来爆発的な人気を集め、世論調査によれば現在も94パーセントという驚異的な支持率を保っている、という。元外務大臣だった彼女は、以前から音楽好きとして知られ、様々なジャズフェスティヴァルなどに顔を見せていた。ムーミンママの愛称は、フィンランドの人気作家ヨハンセンが生み出したキャラクター、ムーミンから。
ジェームス・ブラウンは精力的にライヴを続けており、8月2日アトランティック・シティー、8月15日シカゴの「ハウス・オブ・ブルース」などで演奏した後、10月に来日する。
ムーミン。
ジェームス・ブラウンが去る2003年7月17日(木曜)フィンランドのヘルシンキで行われたジャズ・フェスティヴァルでライヴを見せ、そのステージに、タルヤ・ハロネン・フィンランド大統領が登場、会場の大喝采をあびた。ハロネン大統領は同国始まって以来初の女性大統領。観客は、「タルヤ、タルヤ」の大合唱をし、大統領とジェームス・ブラウンを歓迎した。
今年59歳のハロネン大統領は、「ムーミン・ママ」との愛称で親しまれているが、髪を振り乱しながらジェームスブラウンの音楽で踊った、という。ただし、歌うようにうながされたが、歌は歌わずにマイクを通じて、「ここに来ていただいてありがとうございます。ミスター・ジェームス・ブラウン、ただ、私はショウガールではないので(歌えません)」とコメントした。
ハロネン大統領は、2000年3月に就任以来爆発的な人気を集め、世論調査によれば現在も94パーセントという驚異的な支持率を保っている、という。元外務大臣だった彼女は、以前から音楽好きとして知られ、様々なジャズフェスティヴァルなどに顔を見せていた。ムーミンママの愛称は、フィンランドの人気作家ヨハンセンが生み出したキャラクター、ムーミンから。
ジェームス・ブラウンは精力的にライヴを続けており、8月2日アトランティック・シティー、8月15日シカゴの「ハウス・オブ・ブルース」などで演奏した後、10月に来日する。
熱厚暑。
なるほど、これがザディコですか。かなりアップテンポの感じで、なによりもアクセントはアコーディオン。そして、肩からエプロンのようにかけているパーカッション。これはラブボード、もしくはウォッシュボードという名前のようですが、確かに洗濯板みたい。このふたつがザディコの要っていう感じでした。
虎ノ門のJT本社ビルのホールで行われたニューオーリンズのクリス・アルドワンのライヴ。バンド・サウンドは、ドラム、ギター、ベースにアコーディオンと先のパーカッションの5人だけだが、実に厚い。ヴォーカルは、クリスとパーカッションがとるが、二人ともそのヴォーカルが実に熱い。もう鉄が炉の中で燃えたぎるようだ。そして、その熱くなった鉄で、会場の気温はどんどん暑くなる・・・かと思うと、実は、意外とそうではなかった。(笑)
会場がこ綺麗でおしゃれで、約100人のお客さんが小さなテーブルを前に、しっとり座ってるわけです。なんか、こういうザディコっていうような音楽は、もっと天井低くて、それこそタバコの煙ムンムンで、雑多でごった煮的な会場で、汗だくで聞くっていうのが、いいんじゃないでしょうか。(笑) 会場と音楽がアンバランスすぎる。(笑) 会場、ひょっとして禁煙? そういえば、みんな外のロビーでタバコ吸ってたなあ。JTなのに。(苦笑)
ウィルソン・ピケットの「ドント・レット・ザ・グリーン・グラス・フール・ユー」やボブ・ディランの「ノッキン・オン・ヘヴズ・ドア」なんかが、ザディコのリズムになっておもしろかった。最後には、あの「テキーラ」までが、ザディコ風味に味付けされ、なんでもレゲエのリズムで味付けられるのと同じように、いかなる曲もザディコになるんだな、と思った。
音楽自体、ザディコ自体は熱く、厚く、暑くて、エンジョイしました。
涼冷爽。
そして、最後の曲を聞く前に、ブルーノートに移動。今度は、打って変わっての涼、冷、爽という文字が浮かび上がるようなジョイスのライヴ。クリスが熱厚暑だとすれば、ジョイスは、涼冷爽。気温が一気に下がった。しかも、湿度まで低くなった感じです。
今回はスペシャルゲストに、伝説のボサノヴァのギタリスト、カルロス・リラを迎えている。このカルロスが一曲ごとに、日本語で一言コメントをするのだが、これが、おもしろい。曰く・・・「次の曲は田舎のボサノヴァです」「次の曲はとても甘くてロマンティックなボサノヴァです」「次はジャズスタイルのボサノヴァです。わかりましたか? わかりませんかあ?」「次の曲は黒人スタイルのボサノヴァです」。黒人スタイルのボサノヴァ、よくわからなかった。(笑)
ボサノヴァも、ミュージシャンの人間性をよく投影する音楽だと思う。彼の歌と演奏を聞いてなんとなくそう思った。
土着的なニューオーリンズと都会的なブラジル・ボサノヴァ。蒸し暑くむさくるしいところから、一挙にさわやか爽快なところへ。
ちょっと肌寒い冷夏の東京の夜に瞬間移動。それは、ニューオーリンズからブラジルへの旅路。
(2003年7月22日火曜・虎ノ門JT本社ビル、アフィニス・ホール=クリス・アルドワン&ダブル・クラッチンのライヴ)
(2003年7月22日火曜・東京ブルーノート=ジョイス・スペシャル・ゲスト・カルロス・リラのライヴ)
(ジョイスは、7月26日まで)
クリス・アルドワン記事ページ。
http://www.chocolatecream.co.jp/datail/ChrisArdoin.html
ジョイス紹介記事ページ。ブルーノート東京。
http://www.bluenote.co.jp/art/20030721.html
なるほど、これがザディコですか。かなりアップテンポの感じで、なによりもアクセントはアコーディオン。そして、肩からエプロンのようにかけているパーカッション。これはラブボード、もしくはウォッシュボードという名前のようですが、確かに洗濯板みたい。このふたつがザディコの要っていう感じでした。
虎ノ門のJT本社ビルのホールで行われたニューオーリンズのクリス・アルドワンのライヴ。バンド・サウンドは、ドラム、ギター、ベースにアコーディオンと先のパーカッションの5人だけだが、実に厚い。ヴォーカルは、クリスとパーカッションがとるが、二人ともそのヴォーカルが実に熱い。もう鉄が炉の中で燃えたぎるようだ。そして、その熱くなった鉄で、会場の気温はどんどん暑くなる・・・かと思うと、実は、意外とそうではなかった。(笑)
会場がこ綺麗でおしゃれで、約100人のお客さんが小さなテーブルを前に、しっとり座ってるわけです。なんか、こういうザディコっていうような音楽は、もっと天井低くて、それこそタバコの煙ムンムンで、雑多でごった煮的な会場で、汗だくで聞くっていうのが、いいんじゃないでしょうか。(笑) 会場と音楽がアンバランスすぎる。(笑) 会場、ひょっとして禁煙? そういえば、みんな外のロビーでタバコ吸ってたなあ。JTなのに。(苦笑)
ウィルソン・ピケットの「ドント・レット・ザ・グリーン・グラス・フール・ユー」やボブ・ディランの「ノッキン・オン・ヘヴズ・ドア」なんかが、ザディコのリズムになっておもしろかった。最後には、あの「テキーラ」までが、ザディコ風味に味付けされ、なんでもレゲエのリズムで味付けられるのと同じように、いかなる曲もザディコになるんだな、と思った。
音楽自体、ザディコ自体は熱く、厚く、暑くて、エンジョイしました。
涼冷爽。
そして、最後の曲を聞く前に、ブルーノートに移動。今度は、打って変わっての涼、冷、爽という文字が浮かび上がるようなジョイスのライヴ。クリスが熱厚暑だとすれば、ジョイスは、涼冷爽。気温が一気に下がった。しかも、湿度まで低くなった感じです。
今回はスペシャルゲストに、伝説のボサノヴァのギタリスト、カルロス・リラを迎えている。このカルロスが一曲ごとに、日本語で一言コメントをするのだが、これが、おもしろい。曰く・・・「次の曲は田舎のボサノヴァです」「次の曲はとても甘くてロマンティックなボサノヴァです」「次はジャズスタイルのボサノヴァです。わかりましたか? わかりませんかあ?」「次の曲は黒人スタイルのボサノヴァです」。黒人スタイルのボサノヴァ、よくわからなかった。(笑)
ボサノヴァも、ミュージシャンの人間性をよく投影する音楽だと思う。彼の歌と演奏を聞いてなんとなくそう思った。
土着的なニューオーリンズと都会的なブラジル・ボサノヴァ。蒸し暑くむさくるしいところから、一挙にさわやか爽快なところへ。
ちょっと肌寒い冷夏の東京の夜に瞬間移動。それは、ニューオーリンズからブラジルへの旅路。
(2003年7月22日火曜・虎ノ門JT本社ビル、アフィニス・ホール=クリス・アルドワン&ダブル・クラッチンのライヴ)
(2003年7月22日火曜・東京ブルーノート=ジョイス・スペシャル・ゲスト・カルロス・リラのライヴ)
(ジョイスは、7月26日まで)
クリス・アルドワン記事ページ。
http://www.chocolatecream.co.jp/datail/ChrisArdoin.html
ジョイス紹介記事ページ。ブルーノート東京。
http://www.bluenote.co.jp/art/20030721.html
Sound of Footsteps in Empty Valley
2003年7月25日苛斂誅求。
まず読めないでしょうね。初めてこの四文字熟語、聞きました。読みは「かれん・ちゅうきゅう」です。gooの辞書によるとこうです。 〔「斂」は収める、「誅」は責めるの意〕 年貢・税金などをむごくきびしく取り立てること。「取り立てが―をきわめる」
重い税金、税金の取り立てが厳しいことなんですね。で、だから何? それが、今日のライヴを見せたグループ、「neo.jp(ネオ・ドット・ジェイピー)」の一曲目に演奏された曲のタイトルです。
neo.jpは、シターラという独特の楽器をプレイする石間秀機さん、キーボードの深町純さん、ドラムスの堀越彰さんの3人組。他の誰もやらないような音楽をやろうということで集まった3人です。
石間さんによってシタ−ラと名づけられたギターは、6弦ですが、ゆるくチューニングしているために、普通に弾くよりは低い音がでて、上の弦を弾くと、あたかもベースを弾いているかのような音がでます。シタールとギターをあわせたような楽器で、これは、この石間さんが考案し、完全カスタムメードで作らせたもの。一応、注文があれば、作ることは作るが、とりあえずまだ石間さんしか持っていない、というオリジナル楽器です。
また、ドラムスの堀越さんは、かなりパワフルで歯切れがよく、ずっと聴いていたら、どこかかのパワフルドラマー、デニス・チェンバースを思わせられた。相当強力です。
石間さんのコンセプトは「ア・ニュー・サウンド・フロム・ジャパン」ということで、それがグループ名にも現れています。
そして、このグループによって演奏される曲名が、どれもおもしろい。石間さんが簡単に紹介してから演奏を始めます。「カレンチュウキュウ」なんて聴いたってわかりません。そこで、電子辞書に文字を打ち込むと、じゃ〜〜〜ん! 変換! 「苛斂誅求」 と出てきます。でも、液晶暗いので読むのちょっと大変。
さらに、「優曇華(うどんげ)」(3000年に一度しか咲かない花)、「偶詠(ぐうえい)」(ふでの遊び)、「禅問答・そもさん」、「空谷(くうこく)の跫音(きょうおん)」(寂しい山中に響く足音。転じて、寂しく暮らしているときの思いがけない訪問やうれしい便りのたとえ)と続きます。
第二部のオープニングは、「懸壅垂(けんようすい)」、そして「迦陵頻伽(かりょうびんか、または、からびんか)」「テレクション・インテリ」「採蘇羅(さそら)」「起請文(きしょうもん)」と続きます。それぞれの言葉の意味を知りたい方は、ぜひ辞書などをおひきください。gooの辞書に、コピー&ペーストして国語辞典で検索すれば、さくっと意味がでます。曲名を耳で聞いて、なんのこっちゃと思い、辞書を引くと、必ずでてくるんで、びっくりです。
メンバーで集まってこういう感じ、などと言いながら、ジャムセッションをして、曲を作りあげていくそうです。3人、それぞれがほかにない音楽、日本だけの音楽を作ってみたいという共通認識を持って、試行錯誤を繰り広げているユニットということでしょうか。既存の言葉で言えば、ジャンルはまったくありませんが、ジャズというか、ファンクというか、激しいリズムに、前衛的なギターとキーボードのサウンドが絡み合って、独特の世界を生み出しています。このトリオの音がある次元から上に来ると、聞き手のそのときのスピリット・レヴェルがあがっていくような効果もあるようです。
停滞化している音楽業界にこのneo.jpは空谷の跫音となるでしょうか。
(2003年7月23日水曜・横浜サムズアップ=neo.jp(ネオ・ドット・ジェイピー)のライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>neo.jp
まず読めないでしょうね。初めてこの四文字熟語、聞きました。読みは「かれん・ちゅうきゅう」です。gooの辞書によるとこうです。 〔「斂」は収める、「誅」は責めるの意〕 年貢・税金などをむごくきびしく取り立てること。「取り立てが―をきわめる」
重い税金、税金の取り立てが厳しいことなんですね。で、だから何? それが、今日のライヴを見せたグループ、「neo.jp(ネオ・ドット・ジェイピー)」の一曲目に演奏された曲のタイトルです。
neo.jpは、シターラという独特の楽器をプレイする石間秀機さん、キーボードの深町純さん、ドラムスの堀越彰さんの3人組。他の誰もやらないような音楽をやろうということで集まった3人です。
石間さんによってシタ−ラと名づけられたギターは、6弦ですが、ゆるくチューニングしているために、普通に弾くよりは低い音がでて、上の弦を弾くと、あたかもベースを弾いているかのような音がでます。シタールとギターをあわせたような楽器で、これは、この石間さんが考案し、完全カスタムメードで作らせたもの。一応、注文があれば、作ることは作るが、とりあえずまだ石間さんしか持っていない、というオリジナル楽器です。
また、ドラムスの堀越さんは、かなりパワフルで歯切れがよく、ずっと聴いていたら、どこかかのパワフルドラマー、デニス・チェンバースを思わせられた。相当強力です。
石間さんのコンセプトは「ア・ニュー・サウンド・フロム・ジャパン」ということで、それがグループ名にも現れています。
そして、このグループによって演奏される曲名が、どれもおもしろい。石間さんが簡単に紹介してから演奏を始めます。「カレンチュウキュウ」なんて聴いたってわかりません。そこで、電子辞書に文字を打ち込むと、じゃ〜〜〜ん! 変換! 「苛斂誅求」 と出てきます。でも、液晶暗いので読むのちょっと大変。
さらに、「優曇華(うどんげ)」(3000年に一度しか咲かない花)、「偶詠(ぐうえい)」(ふでの遊び)、「禅問答・そもさん」、「空谷(くうこく)の跫音(きょうおん)」(寂しい山中に響く足音。転じて、寂しく暮らしているときの思いがけない訪問やうれしい便りのたとえ)と続きます。
第二部のオープニングは、「懸壅垂(けんようすい)」、そして「迦陵頻伽(かりょうびんか、または、からびんか)」「テレクション・インテリ」「採蘇羅(さそら)」「起請文(きしょうもん)」と続きます。それぞれの言葉の意味を知りたい方は、ぜひ辞書などをおひきください。gooの辞書に、コピー&ペーストして国語辞典で検索すれば、さくっと意味がでます。曲名を耳で聞いて、なんのこっちゃと思い、辞書を引くと、必ずでてくるんで、びっくりです。
メンバーで集まってこういう感じ、などと言いながら、ジャムセッションをして、曲を作りあげていくそうです。3人、それぞれがほかにない音楽、日本だけの音楽を作ってみたいという共通認識を持って、試行錯誤を繰り広げているユニットということでしょうか。既存の言葉で言えば、ジャンルはまったくありませんが、ジャズというか、ファンクというか、激しいリズムに、前衛的なギターとキーボードのサウンドが絡み合って、独特の世界を生み出しています。このトリオの音がある次元から上に来ると、聞き手のそのときのスピリット・レヴェルがあがっていくような効果もあるようです。
停滞化している音楽業界にこのneo.jpは空谷の跫音となるでしょうか。
(2003年7月23日水曜・横浜サムズアップ=neo.jp(ネオ・ドット・ジェイピー)のライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>neo.jp
Chicago Police Apologize To Ice Cube
2003年7月26日 シカゴ警察、アイス・キューブに謝罪
シカゴ警察が、22日、ラッパーで俳優でもあるアイス・キューブに、シカゴ近辺で起きている暴行事件の容疑者がアイス・キューブに似ていると発表したことに対し、謝罪した。
警察はシカゴのウィッカー公園で起きた3件の女性暴行事件の容疑者を追っているが、20日(日曜)に容疑者は20代半ばの黒人で、人気ラップアーティスト、アイス・キューブを思わせる人物と発表していた。シカゴのCBS系列のテレビ局は21日にその発表に基づきニュースを報じるときに、アイス・キューブのビデオを流した。
警察のスポークスパーソンは、「このような表現はすべきではなかった。すぐに取り消そうとしたが、アイス・キューブ氏には深くお詫び申し上げる。なんら悪意はなかった」と発表した。
一方、そのアイス・キューブは今週から、昨年リリースされてヒットした映画『バーバーショップ』の続編『2』の撮影に入っている。
+++
味。
このところ、ラッパーというよりもっぱら俳優仕事のほうが多いアイス・キューブだが、僕が初めて彼の俳優としての存在感に感心させられたのは、やはり、92年の『ボーイズ・ン・ザ・フッド』だった。これは、当時新進気鋭のジョン・シングルトン監督の作品。
こうしたリアルなブラック・コミュニティーを描いた映画を見せつけられると、本当にやるせなくなる。今の日本はかなり危ない状況ではあるが、それでも、たとえば映画の舞台となるようなカリフォルニアのサウスコンプトンとかに比べれば、まだ日本は安全といえるだろう。シングルトンの作った映画、あるいは、アイス・キューブが出てくる映画などを見ていると、映画なのにドキュメンタリーを見ているような気になってくる。
そういう意味では、アイス・キューブって、実に味のある俳優になっているなあ、と思う今日このごろでした。歌手上がりの俳優はなかなか成功しないが、ラップ上がりの俳優は、みないいです。トゥパックもね。
シカゴ警察が、22日、ラッパーで俳優でもあるアイス・キューブに、シカゴ近辺で起きている暴行事件の容疑者がアイス・キューブに似ていると発表したことに対し、謝罪した。
警察はシカゴのウィッカー公園で起きた3件の女性暴行事件の容疑者を追っているが、20日(日曜)に容疑者は20代半ばの黒人で、人気ラップアーティスト、アイス・キューブを思わせる人物と発表していた。シカゴのCBS系列のテレビ局は21日にその発表に基づきニュースを報じるときに、アイス・キューブのビデオを流した。
警察のスポークスパーソンは、「このような表現はすべきではなかった。すぐに取り消そうとしたが、アイス・キューブ氏には深くお詫び申し上げる。なんら悪意はなかった」と発表した。
一方、そのアイス・キューブは今週から、昨年リリースされてヒットした映画『バーバーショップ』の続編『2』の撮影に入っている。
+++
味。
このところ、ラッパーというよりもっぱら俳優仕事のほうが多いアイス・キューブだが、僕が初めて彼の俳優としての存在感に感心させられたのは、やはり、92年の『ボーイズ・ン・ザ・フッド』だった。これは、当時新進気鋭のジョン・シングルトン監督の作品。
こうしたリアルなブラック・コミュニティーを描いた映画を見せつけられると、本当にやるせなくなる。今の日本はかなり危ない状況ではあるが、それでも、たとえば映画の舞台となるようなカリフォルニアのサウスコンプトンとかに比べれば、まだ日本は安全といえるだろう。シングルトンの作った映画、あるいは、アイス・キューブが出てくる映画などを見ていると、映画なのにドキュメンタリーを見ているような気になってくる。
そういう意味では、アイス・キューブって、実に味のある俳優になっているなあ、と思う今日このごろでした。歌手上がりの俳優はなかなか成功しないが、ラップ上がりの俳優は、みないいです。トゥパックもね。
Motown Forever
2003年7月27日モータウン。
なぜか、モータウンのカヴァーアルバムがほぼ時を同じくして2枚発売される。一枚が、既に7月9日に日本発売された元ドゥービー・ブラザースのマイケル・マクドナルドのその名も『モータウン』(ユニヴァーサル)。もう一枚が、なんとギタリスト、リー・リトナーの『ア・トゥイスト・オブ・モータウン』(ヴァーヴ)で、これは9月3日日本発売。
マイケル・マクドナルドのほうは、実によく練られて制作された感がある。まあ、ブルーアイドソウル・シンガーとして、マクドナルドは以前から定評があったので、彼がモータウンのヒットをカヴァーしても、非常に納得がいくところだ。選曲もなじみの深い曲を中心に、いいアレンジでまとめた。マーヴィン・ゲイの「アイ・ウォント・ユー」、「ディスタント・ラヴァー」など、マクドナルド風でもあり、マーヴィンの面影も感じられ、なかなかいいヴァージョン。また、テンプスの「シンス・アイ・ロスト・マイ・ベイビー」も彼の声にあっていて、かなりいい。全体的に、いい雰囲気のポップアルバムにしあがっている。
20年前だったら、僕は彼がこのようなアルバムを出しても、そんなに耳を傾けなかったと思う。これを今何度も何度もプレイヤーに乗せて、へヴィーローテーションで聴いてしまうというのは、僕のソウルに対する許容度が広くなっていることと、やはり時代的に、歌物が恋しいという背景があるのだろう。この程度のソウル度でも、十分ソウルっぽく感じてしまう周りとの比較級の問題だと思う。つまり、昔はもっともっと濃いソウルがあったから、そっちに行っていたが、今はほとんどそういうのがないから、マクドナルドのソウル度に感じてしまうというわけだ。彼自身のソウル・ミュージックに対するスタンス、距離感はまったく変わっていない。別に否定的に言ってるわけではない。
さて、一方のリー・リトナーのアルバムは、う〜〜む、なんというか、はっきり言うとマイケルのアルバムと比較するとかなり、やっつけ仕事の感がする。これは彼の『ツイスト・オブ・ジョビン』、『ツイスト・オブ・マーリー』に続くカヴァーシリーズの第3弾ということになる。「インナー・シティー・ブルース」「パパ・ウォズ・ア・ローリング・ストーン」など全11曲選曲はいいが、演奏は軽くまとめた、という感じ。なにかの番組のBGMには使えるが、一曲しっかり正座して耳を傾けましょう、というところまではいかない。
おそらくみんなワンテイクかツーテイクで録音したような感じの出来だ。もちろん、ゲストの名前はすばらしい。ジョージ・ベンソン、ウィル・ダウニング、リサ・フィッシャー(「パパ」を歌う)、ブレンダ・ラッセル(「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」)、ジェラルド・オルブライトなどなど。アイデアでこれはと思ったのは、エドウィン・スターの「ウォー」とマーヴィンの「ホワッツ・ゴーイング・オン」をメドレーにしてで録音したところ。メッセージ的にもつなげられる2曲だ。
そうは言ってもモータウン・ファンは、やっぱり買うだろう。モータウン企画は、永遠に不滅だ。
なぜか、モータウンのカヴァーアルバムがほぼ時を同じくして2枚発売される。一枚が、既に7月9日に日本発売された元ドゥービー・ブラザースのマイケル・マクドナルドのその名も『モータウン』(ユニヴァーサル)。もう一枚が、なんとギタリスト、リー・リトナーの『ア・トゥイスト・オブ・モータウン』(ヴァーヴ)で、これは9月3日日本発売。
マイケル・マクドナルドのほうは、実によく練られて制作された感がある。まあ、ブルーアイドソウル・シンガーとして、マクドナルドは以前から定評があったので、彼がモータウンのヒットをカヴァーしても、非常に納得がいくところだ。選曲もなじみの深い曲を中心に、いいアレンジでまとめた。マーヴィン・ゲイの「アイ・ウォント・ユー」、「ディスタント・ラヴァー」など、マクドナルド風でもあり、マーヴィンの面影も感じられ、なかなかいいヴァージョン。また、テンプスの「シンス・アイ・ロスト・マイ・ベイビー」も彼の声にあっていて、かなりいい。全体的に、いい雰囲気のポップアルバムにしあがっている。
20年前だったら、僕は彼がこのようなアルバムを出しても、そんなに耳を傾けなかったと思う。これを今何度も何度もプレイヤーに乗せて、へヴィーローテーションで聴いてしまうというのは、僕のソウルに対する許容度が広くなっていることと、やはり時代的に、歌物が恋しいという背景があるのだろう。この程度のソウル度でも、十分ソウルっぽく感じてしまう周りとの比較級の問題だと思う。つまり、昔はもっともっと濃いソウルがあったから、そっちに行っていたが、今はほとんどそういうのがないから、マクドナルドのソウル度に感じてしまうというわけだ。彼自身のソウル・ミュージックに対するスタンス、距離感はまったく変わっていない。別に否定的に言ってるわけではない。
さて、一方のリー・リトナーのアルバムは、う〜〜む、なんというか、はっきり言うとマイケルのアルバムと比較するとかなり、やっつけ仕事の感がする。これは彼の『ツイスト・オブ・ジョビン』、『ツイスト・オブ・マーリー』に続くカヴァーシリーズの第3弾ということになる。「インナー・シティー・ブルース」「パパ・ウォズ・ア・ローリング・ストーン」など全11曲選曲はいいが、演奏は軽くまとめた、という感じ。なにかの番組のBGMには使えるが、一曲しっかり正座して耳を傾けましょう、というところまではいかない。
おそらくみんなワンテイクかツーテイクで録音したような感じの出来だ。もちろん、ゲストの名前はすばらしい。ジョージ・ベンソン、ウィル・ダウニング、リサ・フィッシャー(「パパ」を歌う)、ブレンダ・ラッセル(「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」)、ジェラルド・オルブライトなどなど。アイデアでこれはと思ったのは、エドウィン・スターの「ウォー」とマーヴィンの「ホワッツ・ゴーイング・オン」をメドレーにしてで録音したところ。メッセージ的にもつなげられる2曲だ。
そうは言ってもモータウン・ファンは、やっぱり買うだろう。モータウン企画は、永遠に不滅だ。
公開録音。
何十本というスポットライトが、2階の遠くからステージを照らす。ずいぶんとライトとステージの間には距離があるのに、ステージ上ではその熱が感じられるほど暑い。
横浜クイーンズスクエアで公開録音が、26日夕方行われた。公開放送は、5月の青山通り沿いでの仮設スタジオ以来だが、このクイーンズスクエアのほうは、集まっている人の数がはんぱではなかった。1階から3階まで、ステージが見えるところには、かなりの人が集まっている。その数約1500人ほど。
ガッツTKBショウ、光永亮太、そして、ゴスペラーズという豪華ゲストを従えての公開放送ということで、各アーティストの熱心なファンが、ステージ前のほうに立ったまま陣取っている。すでに何時間も待ってる人たちもいて、その手には団扇も。
そんな中、マーヴィンとたまちゃんが、つつがなく進行。『ミュージック・ジャム』のコーナーも、今回は公開で録音。紹介したのは、話が楽なマライア・キャリーにした。前回5月の時には、U2などを選んでしまって、ちょっと苦労したので。(笑)
たくさんの人の前や、照明などの暑さの中にいると、しゃべることなんかをぱっと忘れてしまう。冷静にこれとあれをしゃべろうと思ってもなかなか、100パーセントは思い通りに行かないもの。やはり頭の回転が普段より2−3割は落ちているような感じがした。ま、そのほうが早口にならなくていいんですが。(笑)
その点、マライアならネタはいくらでもあるので、あれを忘れたり、これを忘れたりしても、大丈夫。会場に来ていた人の中で、マライアを知ってる人、ときいたら、ほとんどの人が知っていた。好きな人と聞くと、まあまあ7割くらいかな。で、先月のライヴ行った人、と聞いたら、ほとんど拍手がなかった。これが意外でおもしろかったというか、ずっこけた、というか。みんなマライア見に行ってないのだろうか。(笑)
それより、観客とのやりとりという点では、ゴスペラーズの曲のイントロを一瞬だけ聞かせてその曲名を当ててもらい、賞品をあげるというコーナーではすごいものを見せてもらった。(笑) イントロ、ほんの1秒の半分くらいで、会場から「は〜〜い」と一斉に声があがった。また、逆回転クイズというのもやって、ある曲を逆回転で聞かせ曲名を当ててもらうというものだが、これも、すぐに正解がでた。この部分は放送では使われないんだが。
1500人以上の人の前でなにかをしゃべったのって、ひょっとして初めてかも。かなり圧倒されました。
何十本というスポットライトが、2階の遠くからステージを照らす。ずいぶんとライトとステージの間には距離があるのに、ステージ上ではその熱が感じられるほど暑い。
横浜クイーンズスクエアで公開録音が、26日夕方行われた。公開放送は、5月の青山通り沿いでの仮設スタジオ以来だが、このクイーンズスクエアのほうは、集まっている人の数がはんぱではなかった。1階から3階まで、ステージが見えるところには、かなりの人が集まっている。その数約1500人ほど。
ガッツTKBショウ、光永亮太、そして、ゴスペラーズという豪華ゲストを従えての公開放送ということで、各アーティストの熱心なファンが、ステージ前のほうに立ったまま陣取っている。すでに何時間も待ってる人たちもいて、その手には団扇も。
そんな中、マーヴィンとたまちゃんが、つつがなく進行。『ミュージック・ジャム』のコーナーも、今回は公開で録音。紹介したのは、話が楽なマライア・キャリーにした。前回5月の時には、U2などを選んでしまって、ちょっと苦労したので。(笑)
たくさんの人の前や、照明などの暑さの中にいると、しゃべることなんかをぱっと忘れてしまう。冷静にこれとあれをしゃべろうと思ってもなかなか、100パーセントは思い通りに行かないもの。やはり頭の回転が普段より2−3割は落ちているような感じがした。ま、そのほうが早口にならなくていいんですが。(笑)
その点、マライアならネタはいくらでもあるので、あれを忘れたり、これを忘れたりしても、大丈夫。会場に来ていた人の中で、マライアを知ってる人、ときいたら、ほとんどの人が知っていた。好きな人と聞くと、まあまあ7割くらいかな。で、先月のライヴ行った人、と聞いたら、ほとんど拍手がなかった。これが意外でおもしろかったというか、ずっこけた、というか。みんなマライア見に行ってないのだろうか。(笑)
それより、観客とのやりとりという点では、ゴスペラーズの曲のイントロを一瞬だけ聞かせてその曲名を当ててもらい、賞品をあげるというコーナーではすごいものを見せてもらった。(笑) イントロ、ほんの1秒の半分くらいで、会場から「は〜〜い」と一斉に声があがった。また、逆回転クイズというのもやって、ある曲を逆回転で聞かせ曲名を当ててもらうというものだが、これも、すぐに正解がでた。この部分は放送では使われないんだが。
1500人以上の人の前でなにかをしゃべったのって、ひょっとして初めてかも。かなり圧倒されました。
Minnie Riperton & Leon Ware
2003年7月29日接点。
ミニー・リパートンのバラードばかりを集めたCDが東芝からでるので、いろんな昔の彼女の作品を聴いています。ミニーの「ラヴィン・ユー」が入っているアルバム『パーフェクト・エンジェル』に続く作品が『アドヴェンチャー・イン・パラダイス』です。この中で、リオン・ウェアの曲がいくつか歌われているわけですね。
このアルバムは、75年5月に発売されていますが、ちょうど、「ラヴィン・ユー」が大ヒットした直後の作品です。「ラヴィン・ユー」に続くとなると、みな「ラヴィン・ユー」系の曲を望んだのですが、見事にそのタイプの曲はない。ここが潔いというか、あっぱれというか。
さて、リオン・ウェアとスコット・ギャロウェイという人がいます。リオンは、昔からけっこうアルバムをだし、アンダーグラウンドでは非常に人気の高いシンガー・ソングライターです。スコットは、まあ、誰も知らないと思いますが、アメリカの音楽ジャーナリストで、コンピレーションの編纂、選曲などもする人。彼は、ミニーの2枚組『ペタルス』を編纂しています。そこにいたるまでの苦労話がなかなか興味深かった。
リオンがミニーと出会ったのは、なんとクインシー・ジョーンズのセッションでした。クインシーの74年5月に発表されたアルバム『ボディーヒート』の中に、「イフ・アイ・エヴァー・ルーズ・ディス・ヘヴン」というリオンが書いた曲があります。これはその1年後75年8月からアヴェレージ・ホワイト・バンドがカヴァーして大ヒットさせますが、その曲をリオンと一緒に歌っているのがミニー・リパートンです。この時点で、ミニーはまだ「ラヴィン・ユー」のヒットを出していませんから、まあ、無名です。
そして、リオンが曲作りに参加した『アドヴェンチャー…』が75年5月に発売されます。また、リオンはこの後、彼がプロデュースなどに参加したマーヴィン・ゲイのアルバム『アイ・ウォント・ユー』が76年4月からヒットします。こうして、リオンの名は業界内でどんどんと高まっていくわけです。
果たして、リオンとミニーの接点、どんな展開になるんでしょうねえ。
ミニー・リパートンのバラードばかりを集めたCDが東芝からでるので、いろんな昔の彼女の作品を聴いています。ミニーの「ラヴィン・ユー」が入っているアルバム『パーフェクト・エンジェル』に続く作品が『アドヴェンチャー・イン・パラダイス』です。この中で、リオン・ウェアの曲がいくつか歌われているわけですね。
このアルバムは、75年5月に発売されていますが、ちょうど、「ラヴィン・ユー」が大ヒットした直後の作品です。「ラヴィン・ユー」に続くとなると、みな「ラヴィン・ユー」系の曲を望んだのですが、見事にそのタイプの曲はない。ここが潔いというか、あっぱれというか。
さて、リオン・ウェアとスコット・ギャロウェイという人がいます。リオンは、昔からけっこうアルバムをだし、アンダーグラウンドでは非常に人気の高いシンガー・ソングライターです。スコットは、まあ、誰も知らないと思いますが、アメリカの音楽ジャーナリストで、コンピレーションの編纂、選曲などもする人。彼は、ミニーの2枚組『ペタルス』を編纂しています。そこにいたるまでの苦労話がなかなか興味深かった。
リオンがミニーと出会ったのは、なんとクインシー・ジョーンズのセッションでした。クインシーの74年5月に発表されたアルバム『ボディーヒート』の中に、「イフ・アイ・エヴァー・ルーズ・ディス・ヘヴン」というリオンが書いた曲があります。これはその1年後75年8月からアヴェレージ・ホワイト・バンドがカヴァーして大ヒットさせますが、その曲をリオンと一緒に歌っているのがミニー・リパートンです。この時点で、ミニーはまだ「ラヴィン・ユー」のヒットを出していませんから、まあ、無名です。
そして、リオンが曲作りに参加した『アドヴェンチャー…』が75年5月に発売されます。また、リオンはこの後、彼がプロデュースなどに参加したマーヴィン・ゲイのアルバム『アイ・ウォント・ユー』が76年4月からヒットします。こうして、リオンの名は業界内でどんどんと高まっていくわけです。
果たして、リオンとミニーの接点、どんな展開になるんでしょうねえ。
100 Ways To Appreciate for Quincy Jones
2003年7月30日無名。
ミニーつながりで、クインシー・ジョーンズの作品から「ボディーヒート」、「イフ・アイ・エヴァー・ルーズ・ディス・ヘヴン」(どちらも、ミニーが歌っています)などを聴いているうちに、彼のベストアルバム(2枚組)と『デュード』(81年)をゆっくり聴いてしまった。クインシーの歴史は大変なものだが、この70年代から80年代中期にかけての作品っていうのは、もう神がかっているとしか言いようがありません。
「イフ・アイ・エヴァー・・・」なんか、ミニー・リパートン、アル・ジャロウ、そして、リオン・ウェアが一緒に歌ってるんですからねえ。3人とも74年当時には無名です。ミニーがブレイクするのは75年「ラヴィン・ユー」で、アルは76年の『グロウ』のアルバムから。リオンは、裏方として、やはり76年のマーヴィンの『アイ・ウォント・ユー』あたりからです。
次から次へと当時は無名だが、後に有名になるような若き才能たちが結集して、これでもかというほどのリアル・ミュージックを聴かせる。ミュージシャンたちが奏でるその音は、すべて生音。やはり、音楽というのはすぐれたミュージシャンが作らないといけないんだなあ、とつくづく感じる。コンピューターを扱う人間が音楽を作っても、だめだということですね。
クインシーの81年のアルバム『デュード』は、でた当時もすりきれるほど聴いたものだが、今聴いても、本当に新鮮。またクインシーは若い連中と仕事をするのが大好きで、ここでもいろいろと抜擢している。一番脚光を浴びたのはやはり当時はまったく無名のジェームス・イングラムです。もともとソングライターが書いたデモテープで歌っていたところ、クインシーにこの声が欲しいと言われ、その曲を本番でも歌い、それがヒットしたという歌手です。その曲は、「ジャスト・ワンス」。ジェームス・イングラムの実質的なデビュー・ヒットになりました。ピアノのイントロから始まる美しい曲。そして、彼はもう一曲「ワン・ハンドレッド・ウェイズ」という曲も歌い、これもヒットさせます。
この「ワン・ハンドレッド・・・」で、彼はグラミーを獲得。クインシーに、自らのデビューアルバムを出す前にグラミー賞を獲得してしまった男、と呼ばれることになります。それまで、一曲50ドル程度のギャラで、作曲家のデモテープで歌っていた無名のシンガーは、クインシーに認められたことで、一躍スターのシンガーになりました。ジェームスは、100の方法でクインシーに感謝してもしきれないでしょう。
ミニーつながりで、クインシー・ジョーンズの作品から「ボディーヒート」、「イフ・アイ・エヴァー・ルーズ・ディス・ヘヴン」(どちらも、ミニーが歌っています)などを聴いているうちに、彼のベストアルバム(2枚組)と『デュード』(81年)をゆっくり聴いてしまった。クインシーの歴史は大変なものだが、この70年代から80年代中期にかけての作品っていうのは、もう神がかっているとしか言いようがありません。
「イフ・アイ・エヴァー・・・」なんか、ミニー・リパートン、アル・ジャロウ、そして、リオン・ウェアが一緒に歌ってるんですからねえ。3人とも74年当時には無名です。ミニーがブレイクするのは75年「ラヴィン・ユー」で、アルは76年の『グロウ』のアルバムから。リオンは、裏方として、やはり76年のマーヴィンの『アイ・ウォント・ユー』あたりからです。
次から次へと当時は無名だが、後に有名になるような若き才能たちが結集して、これでもかというほどのリアル・ミュージックを聴かせる。ミュージシャンたちが奏でるその音は、すべて生音。やはり、音楽というのはすぐれたミュージシャンが作らないといけないんだなあ、とつくづく感じる。コンピューターを扱う人間が音楽を作っても、だめだということですね。
クインシーの81年のアルバム『デュード』は、でた当時もすりきれるほど聴いたものだが、今聴いても、本当に新鮮。またクインシーは若い連中と仕事をするのが大好きで、ここでもいろいろと抜擢している。一番脚光を浴びたのはやはり当時はまったく無名のジェームス・イングラムです。もともとソングライターが書いたデモテープで歌っていたところ、クインシーにこの声が欲しいと言われ、その曲を本番でも歌い、それがヒットしたという歌手です。その曲は、「ジャスト・ワンス」。ジェームス・イングラムの実質的なデビュー・ヒットになりました。ピアノのイントロから始まる美しい曲。そして、彼はもう一曲「ワン・ハンドレッド・ウェイズ」という曲も歌い、これもヒットさせます。
この「ワン・ハンドレッド・・・」で、彼はグラミーを獲得。クインシーに、自らのデビューアルバムを出す前にグラミー賞を獲得してしまった男、と呼ばれることになります。それまで、一曲50ドル程度のギャラで、作曲家のデモテープで歌っていた無名のシンガーは、クインシーに認められたことで、一躍スターのシンガーになりました。ジェームスは、100の方法でクインシーに感謝してもしきれないでしょう。
アクション。
NHK-BS『アクターズ・スタジオ』(29日午後11時10分から)にサミュエル・L・ジャクソンがでていたので、思わず見てしまった。ブラック俳優でも大好きなひとり。出てる映画もいいし、それぞれの役どころもみんないい。
彼はしゃべるし、思った通りおもしろかった。彼が明かしたスパイク・リー監督、クエンティン・タランティーノ監督のエピソードなど最高だ。タランティーノは、いろいろな映画を引用して説明するという話、カメラの向こうで撮影中笑いを堪えているシーンなんか、ジャクソンがタランティーノを真似するところもおもしろい。いかにも、タランティーノって感じだった。
彼が出た『ジャングル・フィーヴァー』(スパイク・リー監督)ではドラッグ中毒の役をやっていたが、その10日ほど前まで彼は本当の中毒だったという。リハビリテーションを受け、そこからでてきてまもなくこの撮影に入った。あの迫真の演技。なるほど。ジャクソンは言った。「(ドラッグについては)まあ、たくさんリサーチしたからな(笑)」 そして、その映画の中で薬中のジャクソンは父親に撃たれて死ぬのだが、その点を「あの時に、オレのドラッグとの関係には終止符を打たれたんだ」ときっぱり言い切った。
今、改めてあのシーンを見て、ふとマーヴィン・ゲイの父親が息子を撃ったというシーンが頭に浮かんだ。もちろんその現場を見たわけではないが。初めて『ジャングル・フィーヴァー』を見たときは、思いつかなかったんだが。厳格な父親とドラッグ中毒の息子。金をせびる息子を見て、何度同じことを繰り返しているのか、もう愛想が尽きた父親。そして、実の息子に銃弾を打ち込む。父が息子を銃で撃つというシーン。ひょっとして、スパイク・リーは、マーヴィンのことを考えていたのだろうか。たまたま偶然か。
実際の元ドラッグ中毒が、ドラッグ中毒役を迫真の演技で演じる。しかし、「オレがドラッグをやめて、頭をクリアにしていたから、できたと思うな」とジャクソンは冷静に振り返る。つまり、リハビリが完了していなければ、あそこまでの演技はできなかったのだろう。
ところで、この番組、いろいろな俳優たちが登場してきて話も面白く大好きなのだが、どうしても司会者リプトンの進行が好きになれない。彼は事前に質問をかなり綿密に用意している。そして、それを何がなんでも聞こうとする。というか、用意した質問はすべてきっちり出すぞ、という感じなのだ。そこで、ゲストが何かおもしろい話をしても、その話から生まれる質問というのがなく、いったん話が途切れて、次の話題(質問)に移ってしまうのである。だから、かなり聞き足りない、ストレスがたまるのだ。
ゲストが最初の質問に答える。そこから、「それは、なに?」とか「どうやってそうなった」とか質問の中から生まれる疑問とか、広がりが必ずあるのだが、そういうのをばっさり切る。だから言ってみれば質問のオムニバスを見ているようなのだ。もちろん、短い時間に多くの質問と答えを詰め込みたいというのはわかるが、「流れ」というものが考えられておらず、ゲストが持っている「ストーリー」が分断されている。
ひとつのストーリーが出てきて、そこから面白い話が展開すれば、それはそれでいいと思う。自然な感じの話が転がれば、それでいいのに。僕が司会者だったら、ある程度の方向性は筋道をつけるが、あそこまで厳格に質問用紙にはこだわらないなあ。まあ、テレビという特性もあるのかもしれないが。それともかなり編集されているのかな。
サミュエル・ジャクソンのような優れた俳優を見ていると、その演技が優れたジャズミュージシャンが演奏するプレイを見ているかのように思えるときがある。アドリブやインプロヴィゼーションがあり、遊びがあり、人々を感動させたり、笑わせたり、泣かせたりするフレーズがあるのだ。そして何より、彼にはリズムがある。
サミュエル・L・ジャクソン、1948年12月21日ワシントンDC生まれ。昭和23年生まれ、ネズミ年です。じっくり話を聞きたい人物のひとりだ。もちろん、彼も聞き応えのあるソウル・サーチン・ストーリーを持っている男にちがいない。
NHK-BS『アクターズ・スタジオ』(29日午後11時10分から)にサミュエル・L・ジャクソンがでていたので、思わず見てしまった。ブラック俳優でも大好きなひとり。出てる映画もいいし、それぞれの役どころもみんないい。
彼はしゃべるし、思った通りおもしろかった。彼が明かしたスパイク・リー監督、クエンティン・タランティーノ監督のエピソードなど最高だ。タランティーノは、いろいろな映画を引用して説明するという話、カメラの向こうで撮影中笑いを堪えているシーンなんか、ジャクソンがタランティーノを真似するところもおもしろい。いかにも、タランティーノって感じだった。
彼が出た『ジャングル・フィーヴァー』(スパイク・リー監督)ではドラッグ中毒の役をやっていたが、その10日ほど前まで彼は本当の中毒だったという。リハビリテーションを受け、そこからでてきてまもなくこの撮影に入った。あの迫真の演技。なるほど。ジャクソンは言った。「(ドラッグについては)まあ、たくさんリサーチしたからな(笑)」 そして、その映画の中で薬中のジャクソンは父親に撃たれて死ぬのだが、その点を「あの時に、オレのドラッグとの関係には終止符を打たれたんだ」ときっぱり言い切った。
今、改めてあのシーンを見て、ふとマーヴィン・ゲイの父親が息子を撃ったというシーンが頭に浮かんだ。もちろんその現場を見たわけではないが。初めて『ジャングル・フィーヴァー』を見たときは、思いつかなかったんだが。厳格な父親とドラッグ中毒の息子。金をせびる息子を見て、何度同じことを繰り返しているのか、もう愛想が尽きた父親。そして、実の息子に銃弾を打ち込む。父が息子を銃で撃つというシーン。ひょっとして、スパイク・リーは、マーヴィンのことを考えていたのだろうか。たまたま偶然か。
実際の元ドラッグ中毒が、ドラッグ中毒役を迫真の演技で演じる。しかし、「オレがドラッグをやめて、頭をクリアにしていたから、できたと思うな」とジャクソンは冷静に振り返る。つまり、リハビリが完了していなければ、あそこまでの演技はできなかったのだろう。
ところで、この番組、いろいろな俳優たちが登場してきて話も面白く大好きなのだが、どうしても司会者リプトンの進行が好きになれない。彼は事前に質問をかなり綿密に用意している。そして、それを何がなんでも聞こうとする。というか、用意した質問はすべてきっちり出すぞ、という感じなのだ。そこで、ゲストが何かおもしろい話をしても、その話から生まれる質問というのがなく、いったん話が途切れて、次の話題(質問)に移ってしまうのである。だから、かなり聞き足りない、ストレスがたまるのだ。
ゲストが最初の質問に答える。そこから、「それは、なに?」とか「どうやってそうなった」とか質問の中から生まれる疑問とか、広がりが必ずあるのだが、そういうのをばっさり切る。だから言ってみれば質問のオムニバスを見ているようなのだ。もちろん、短い時間に多くの質問と答えを詰め込みたいというのはわかるが、「流れ」というものが考えられておらず、ゲストが持っている「ストーリー」が分断されている。
ひとつのストーリーが出てきて、そこから面白い話が展開すれば、それはそれでいいと思う。自然な感じの話が転がれば、それでいいのに。僕が司会者だったら、ある程度の方向性は筋道をつけるが、あそこまで厳格に質問用紙にはこだわらないなあ。まあ、テレビという特性もあるのかもしれないが。それともかなり編集されているのかな。
サミュエル・ジャクソンのような優れた俳優を見ていると、その演技が優れたジャズミュージシャンが演奏するプレイを見ているかのように思えるときがある。アドリブやインプロヴィゼーションがあり、遊びがあり、人々を感動させたり、笑わせたり、泣かせたりするフレーズがあるのだ。そして何より、彼にはリズムがある。
サミュエル・L・ジャクソン、1948年12月21日ワシントンDC生まれ。昭和23年生まれ、ネズミ年です。じっくり話を聞きたい人物のひとりだ。もちろん、彼も聞き応えのあるソウル・サーチン・ストーリーを持っている男にちがいない。
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