【ジョディー・ワトリー・ライヴ】

ダンス。

2004年3月横浜モーション・ブルー、2006年7月、2007年7月丸の内コットン・クラブ以来、およそ9ヶ月ぶりの来日ライヴ。編成は、ドラムス、パーカッション、キーボード、DJ にダンサー2人、プラス・ジョディー・ワトリー。ギターもベースもいない。またコーラスもいないが、いずれの音もキーボードが出す。

1曲目が始まる前からDJが曲をかけて観客をあおる。下記セットリスト冒頭5曲は、完全にダンスを見せるシーン。さすが、「ソウル・トレイン・ダンサーズ」のダンサー上がりだけのことはある。

また「ルッキング・フォー・ア・ニュー・ラヴ」や「フレンズ」などは、かなり大胆にアレンジしたヴァージョンで聞かせた。ダンサー2人とともに激しく踊るが、最初の5曲はピッチも完璧、ヴォーカルの音圧なども一定していて、声にライヴっぽい荒さはまったくなく一瞬の揺るぎも見せなかった。

一方「エヴリシング」からはダンスがなく、声からは吐く息の音も伝わってくる。興味深い選曲は、スティーヴィー・ワンダーの「トゥ・シャイ・トゥ・セイ」。しっとりとしたスティーヴィーの傑作で、これをジョディーがキーボードと2人だけで歌った。全体的には、クラブ風、ラウンジ風のアレンジが多かった。マドンナのヒット「ボーダーライン」、シックの「アイ・ウォント・ユア・ラヴ」などのカヴァーは、なぜ歌うのだろうか。

黒の上下に、黒のハット。ハットや椅子なども使いダンスを見せるヴィジュアル効果は抜群。

■ 過去関連記事

July 08, 2006
Jody Watley Live At Cotton Club
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_07_08.html
(前回ライヴ評)

2004/03/04 (Thu)
Jody Watley Live At Motion Blue: She Never Sung Any Shalamar Song
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040304.html
(前々回ライヴ評)

■    メンバー

ジョディー・ワトリー/Jody Watley(Vocals)
ハヴィック/Havic(Dancer)
ロゼーロ・マッコイ/Rosero McCoy(Dancer)
ロドニー・リー/Rodney Lee(Keyboards)
ビル ’ピース ビスキュイ’ コールマン/Bill ’Peace Bisquit’ Coleman(DJ)
ダニエル・サドウニック/Daniel Sadownick(Percussions)
ドネル・スペンサー Jr/Donnell Spencer Jr(Drums)

■ セットリスト

Setlist : Jody Watley @ Billboard Live, April 13, 2008

Show started
Performance started 21:00
01. Looking For A New Love (New Version)
02. Don’t You Want Me
03. Some Kind Of Lover
04. Still A Thrill
05. Friends (Remix)
06. Everything
07. Precious Love
08. I’m The One You Need
09. Medley (9)-(11): It All Begins With You
10. Too Shy To Say
11. Pure Joy
12. I Love To Love
13. Whenever
14. Saturday Night Experience
15. Bed Of Roses
16. Borderline
17. A Beautiful Life
18. I Want Your Love
Enc. Real Love
Show ended 20:19

(2008年4月20日日曜、六本木ビルボード・ライヴ=序ディー・ワトリー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Watley, Jody
2008-65
【「可愛いいひとよ」マーチンたちがカヴァー】

トリビュート。

日本の生んだディスコ・クラシックとして1970年代から現在にいたるまで、いまだに人気の高いクック・ニック&チャッキーの「可愛いいひとよ」が、カヴァーされる。ご存知の通り、これを歌う3人の1人、ニック岡井さんは、昨年(2007年11月11日)亡くなっており、カヴァーはニックさんへのトリビュートということになる。今回、カヴァーするのは、なんと日本のソウル・シーンで歌い続けるマーチンこと鈴木雅之、バブルガム・ブラザースのブラザー・コーン、そして、その2人をディスコ、ダンスの師とあおぐトンネルズの木梨憲武のトリオだ。

マーチンは、現在新作を準備中で、ここにはこれまで彼がレコーディングしてきたデュエット曲、コラボレート作品を集める。タイトルは『マティーニ・デュエット』になる予定で、6月末の発売予定。菊池桃子とのデュエット「渋谷で5時」さらにその続編となる新録曲「恋のフライトタイム〜12PM」、「ロンリー・チャップリン」、「エンドレス・ラヴ」、「シーズ・マイ・ガール」(エナメル・ブラザース)などが収録される。

「可愛いいひとよ」のアーティスト名は、コック・マック&ノッキー。コックがブラザー・コーン、マックがマーチン、ノッキーが木梨憲武だ。この曲に関しては、それぞれが思い入れをもっている。マーチンもよくディスコに通っていた時代、ステップあるところに必ずこの曲が流れ踊っていた。特に、この3人の中ではコックことブラザー・コーンは、新宿ゲット時代からのニックの大ファン。ニックをダンスの師匠と崇め、崇拝している。そしてそんなコーンに連れられて日夜ディスコに通い詰めていたのが木梨憲武だった。

この新ヴァージョンの「可愛いいひとよ」では、単にカヴァーするだけでなく、いろいろなソウル・ヒットの数々がちりばめられていて、ソウル・ファンなら思わずにやりとしてしまうようなものになっている。

マーチンのデュエット・アルバムには何曲か新録による作品が収録されるが、これもその1曲。今年も9月に『ソウル・サミット』が行われることになっており、そこでこの「可愛いいひとよ」が歌われることになりそうだ。

オリジナルの「可愛いいひとよ」は1972年に最初のシングルがリリースされた。その後、ジャケットを変えて何度かリリースされているが、1973年以降、全国のディスコでこの曲の振り付けがついて、人気となった。海外のソウル、ディスコ作品がかかっていた日本のディスコでプレイされていたほんの数曲の日本語曲のひとつ。もちろんオリジナルの振り付けはニックが担当していた。そして、作詞は誰あろう阿久悠、作曲は大野克夫という名コンビ。これまでにドン勝本らのキング・オブ・ソウルのほか、山瀬まみ、レイジー 、時東ぁみ、ホワッツ・ラヴ(What’s Love?)などもカヴァーしている。

なお、この楽曲の表記だが、当初は「可愛いひとよ」だったが、第二版から「可愛いいひとよ」と、「い」が二文字に表記されるようになった。本来は誤記だが、「かわいい」の音を優先したためらしい。当時のレコード会社にはよくありがちなミスというところが愛嬌だ。

アルバムがリリースされる6月以降、ニックの誕生日(9月29日)、命日(11月11日)へ向けて、「可愛いいひとよ」が盛り上がれば、ニックへのいい供養になりそうだ。

ENT>MUSIC>SONG
【アル・グリーン最新作、コラボ満載】

ハイ・サウンド。

ソウル・シンガー、アル・グリーンがブルーノート移籍第3弾アルバム『レイ・イット・ダウン』を2008年5月27日に全米リリースする。ブルーノートで出た3作の中でもっともアル・グリーンらしさがでた傑作に仕上がっている。プロデュースには、アル・グリーンのほか、ジェームス・ポイザー、そして、ザ・ルーツのクゥエスト・ラヴ。また、ゲスト・シンガーにアンソニー・ハミルトン、コリーン・ベイリー・レイ、さらにジョン・レジェンドまで登場、ということで、このあたりでも大いに話題を集めそうだ。ストリングス・アレンジは、ラリー・ゴールド! 

なによりも、驚くのが、サウンドだ。クゥエスト・ラヴはかなりアル・グリーンが好きと見え、相当研究した成果がでている。特にドラムス。クゥエスト・ラヴ自身がドラムスを叩いているが、これがアル・グリーンがかつて所属したメンフィス・ハイ・レコードのドラマー、ハワード・グライムスのドラミングを実にうまく再現している。さらに、オルガンの入れ方、昔ながらのパーカッションなどのはさみ方など、まるで1970年代のハイ・サウンドが21世紀によみがえったかのようだ。ハイ・サウンドのクローン、出現だ。ひょっとして、メンフィスのハイのスタジオで録音したのか。(詳細クレジットがまだないために録音場所は不明。リリース時には判明する)

また各楽曲が、かつてのアル・グリーン作品を元にしたような作品になっており、古くからのファンも思わずにやりとしてしまいそうなアルバムに仕上がった。

アル・グリーンは、「これまでにウィリー・ミッチェル以外に自分をプロデュースさせたことはなかった。この若者たち、お手並み拝見といったところだったが、出来上がった作品は見事だったよ」と述べている。

個人的には、アンソニー・ハミルトンとアル・グリーンのデュエットなどには大変感銘を受けた。ジョン・レジェンドもあっている。またそれほど黒っぽくないコリーンとのデュエットは、この「ハイ・サウンド」の中に入ってくると、コリーンの声さえも少しソウルフルに聞こえるかのように思えた。

「レイ・イット・ダウン」、「テイク・ユア・タイム」は、「ハウ・キャン・ユー・メンド・ア・ブロークン・ハート」を下敷きに、「ステイ・ウィズ・ミー」は、「シャラ・ラ・ラ」を下敷きに、「ユーヴ・ガット・ザ・ラヴ・アイ・ニード」は「ラヴ・アンド・ハピネス」を、「ノーワン・ライク・ユー」は「タイアード・オブ・ビーイング・アローン」を、「スタンディング・イン・ザ・レイン」は、「テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー」などをベースに作られたような気がする。曲によっては、インスピレーションを受けたものが違うかもしれないが、いずれにせよ、実にアル・グリーン・サウンドが研究され尽くしたアルバムだ。しかし、こんなアルバムを作れるクゥエスト・ラヴは本当にうらやましい。今までのレコーディング・セッションで一番楽しかったのではないだろうか。

まちがいなく、しばらく僕のCDライブラリーの中ではヘヴィー・ローテーションになる。

Track list
01. Lay It Down (Featuring Anthony Hamilton)
02. Just For Me
03. You’ve Got The Love I Need (Featuring Anthony Hamilton)
04. No One Like You
05. What More Do You Want From Me
06. Take Your Time (Featuring Corinne Bailey Rae)
07. Too Much
08. Stay With Me (By The Sea) (Featuring John Legend)
09. All I Need
10. I’m Wild About You
11. Standing In The Rain

(US Blue Note)

ENT>ARTIST>ALBUM>Green, Al

☆War & Lowrider Band

2008年4月24日
【ウォー、そのふたつのグループ】

分裂。

1960年代後期から1970年代初期にかけて、ウェストコーストを本拠にすこしばかりラテン色のあるファンク・サウンドで大人気となったカリフォルニアのグループ、ウォーのベスト・アルバム『ヴェリー・ベスト・オブ・ウォー』がライノ・レコードからリリースされる。(日本盤は2008年3月19日発売)

ウォーは1962年、ハワード・スコット、ハロルド・ブラウンらによってカリフォルニア州ロングビーチで結成された。その後、彼らのライヴ・パフォーマンスを見たイギリスのシンガー、エリック・バードンが彼らにほれ込み、「エリック・バードン&ウォー」としてデビュー。「スピル・ザ・ワイン」などのヒットを放った。バードンは元々イギリスのアニマルズというグループにいた人物。このアニマルズは、「太陽があたる家」「悲しき願い」などの大ヒットで知られる。バードンは2枚のアルバムで抜け、その後はウォーだけで活動、さらに大きなヒットを放った。「シスコ・キッド」「ミー&マイ・ブラザー」、「ギャラクシー」などなど。

そして、このほどアメリカのライノが、これまでいくつかのレーベル(UA、MCA、RCAなど)に分散していた原盤をまとめて、ウォーのベストを出した。それがこのアルバムだ。

このアルバム発売のプロモーションをかねて、メンバーのひとりロニー・ジョーダンのウォーとエリック・バードンが一日だけのライヴを2008年4月21日にロンドンで行った。ところで、ロニーは正確には設立メンバーではないのだが、なぜか彼がグループ「ウォー」の名前の使用権を持っている。オリジナル設立メンバーのうち、ハワード・スコット、ハロルド・ブラウン、BBディッカーソン、リー・オスカー(ハーモニカ)の4人は一緒にバンド活動をしているのだが、ウォーと名乗れず、現在は「ロウライダー・バンド」と名乗って、多くのライヴ活動をしている。

おそらく、グループ名についてはいろいろあったのだろう。今回、ウォーのベストが出るというので、少し調べてみたら、そんなことがわかった。

作品が多くのヒップホップ・アーティストたちにもサンプリングされているウォーは、まさにファンク・リズムの宝庫でもある。ロウライダー・バンドでもいいから、来日しないかなあ。ウォーはかつて、1970年代に来日し、後楽園でライヴを行っている。

■ ヴェリー・ベスト・オブ・ウォー

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001277M8I/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>ARTIST>War
ENT>ARTIST>ALBUM>War
【ブルーマン・グループ〜新感覚のアート・パフォーマンス】

青男。

縁あって、東京・六本木のインヴォイス・シアターで行われている『ブルーマン・グループ』のライヴを見た。これは、もともと1988年に、ニューヨークに住む3人が、顔をブルーに塗って路上でユニークなパフォーマンスをしたところから始まったもの。路上から小さなクラブ、さらに、1991年からオフ・ブロードウェイのアスター・プレイス・シアターへ進出、現在でもイースト・ヴィレッジにあるそのシアターでは『ブルーマン・グループ』が行われている。ニューヨークでの超ロングランの成功を受け、フロリダ、シカゴ、ロンドン、トロントなどでも公演、2007年12月から日本でもライヴが行われている。

オンステージは、顔をブルーに塗り黒の衣装に身を包んだブルーマン3人と上部のステージにミュージシャン4人(ドラムス、パーカッション、キーボード、ギター)。この3人は、決してしゃべらない。顔の表情と動きで、観客を驚かせ、笑わせ、考えさせる。

メッセージは、日本語の字幕とナレーションで語られ、彼ら自身がまったくしゃべらなくても、意味は通じる。それにしても、次々と繰り出されるネタは実にクリエイティヴなアイデアに満ち溢れていて素晴らしい。そして、あれはどうなっているのだろう、という謎もいくつか残った。また、観客いじりもかなりあり、典型的な観客との一体型パフォーマンスになっている。

3人がドラムのようなさまざまな楽器を叩いたりするシーンがいくつかあるが、このドラムのようなものを叩くあたりは、『ストンプ』などを思わせる。

さすがにセットリストは1回見ただけでは作れないが、ざっと順不同でこんな出し物があったと思う。

■ セットリスト
Setlist : Blue Man Group, @ Invoice Theater, April 24, 2008
(順不同、タイトルはすでに名前がついているものは、それらを、また名前がわからないものは、パフォーマンスを見てこちらでつけたもの)

Show started 19:01

Shadow Drum
Drums with Colors
Gum Balls & Marshmallows
Popcorn (Outsiders)
ゴムバンド→遅刻
Drumbone, Pipes 下水管 
Rock Movements
大江戸バナナ (観客を1人ステージに)
Three Kinds Of Posters
木琴のようなもの
Birth Of Animation
Blue Man Paiting (観客を人間拓に)
3 TV Screens
Hang On There (押さえてください)
胃カメラ
大きなドラ
A Tons Of White Papers

Show ended 20:40

しかし、これだけのパフォーマンスと、仕掛けと、ネタ。観客も、一瞬たりとも隙を見せることはできない。1991年からでもすでに17年やっているわけだから、やはり、相当なリピーターを生んでいることはまちがいない。

いやあ、あと何度か見たくなった。

ちなみに、ライヴ中は写真撮影禁止ですが、パフォーマンス後、ブルーマンたちが出口の方に出てきてくれますので、そのときは写真も撮れます。近づくと、ペンキがくっつきそう。

■ なんと公演、9月まで延長

基本的には月曜と火曜が休みだが、毎日。12月から当初は4月までの予定が9月まで続くことになった。
http://blueman.jp/index.html

■過去関連記事

『ノイズ&ファンク』ライヴ評・2003年3月22日付け日記
Bring In ’Da Noise, Bring In ’Da Funk: Soul explosion!
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200303/diary20030322.html

2004/04/10 (Sat)
Sheila E Live @ Duo: Heartbeat From Ancient Times
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200404/diary20040410.html

2004/05/02 (Sun)
Movie "Drumline": Another Field Of Dreams
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200405/diary20040502-1.html
映画についての一般情報。公開映画館、感想など。
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail?ty=mv&;;id=318676

August 17, 2005
Musical "Stomp": Hitting Everything And Became Hit Worldwide
【『ストンプ』、あらゆる物を叩いて世界的ヒットへ】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200508/2005_08_17.html

July 29, 2005
Harlem Nights: Omar Edwards, Barefoot Tap Dancer
ハーレム・ナイツ〜裸足のタップダンサー、オマー・エドワーズ
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_07_29.html

+++++

(2008年4月24日木曜、六本木・インヴォイス・シアター=ブルーマン・グループ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Blue Man Group
2008-66
【ダイアン・リーヴス新作は『ラヴィン・ユー』】

ミニー。

ジャズ・シンガーで来日回数も多くを数えるダイアン・リーヴスが新作『ホエン・ユー・ノウ(邦題・ラヴィン・ユー)』をリリース。プロデュースにジョージ・デュークがあたり、コンテンポラリーなジャズとダイアンのていねいなヴォーカルがマッチし、なかなかいいアルバムに仕上がっている。

基本はアコースティック系だが、なによりも選曲が日本人向け。たとえば、ミニー・リパートンの大ヒット「ラヴィン・ユー」などはまずエアプレイを得れば、「これを歌っているのは誰」ということになるだろう。

なにより驚いたのが、CD1曲目。しっとりとした面影で、テンプテーションズの大ヒット「ジャスト・マイ・イマジネーション」をカヴァーした。まさに最近はやりの「スムース・ジャズ」の範疇にもはいり、しかも、通常のR&Bやポップ部門にも行けそうな感じがする。

あるいは7曲目の「風のささやき」は、ミッシェル・ルグランが映画『クラウン・アフェア』のために書いた作品。彼女もジャズ、フュージョン、最近でいうところのスムース・ジャズというジャンルの中で注目されているヴェテラン・シンガーだ。

■過去関連記事
2004/02/25 (Thu)
A Drop Of Soul : Dianne Reeves Live At Blue Note
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040225.html
2004年2月来日時のライヴ評。

ENT>ARTIST>ALBUM
ENT>MUSIC>ARTIST>Dianne Reeves
【深町純第88回即興キーボード・パーティー】

負け。

全曲即興。その場で思いついたメロディーを次々と奏でるキーボード奏者、深町純の定例キーボード・パーティー。その第88回、セカンド・セット、2曲目。

客席後方の7人組みの若者たちのおしゃべりがずっと続いていた。まるで普通のカフェでおしゃべりをしているかのようだ。演奏者は、そのしゃべりに負けないよう、若者たちを自分の音楽のほうに向かせようとムキになっていた。音楽を聴こうとしない若者たち。その彼らをなんとか振り向かせようとする演奏者。それは、あたかも「北風と太陽の話」のようにも思えた。この場合、演奏者は北風で、若者たちはコートをしっかり抑えていた旅人だ。

そして、曲の途中で演奏者は、ぶっつり演奏を止めた。「ゴメン、集中できなくて。なんとか、話が聴こえてきてしまうと、だめで。なんとか黙らせようと思ったんだけど、若者たちのエネルギーに負けました」

つい最近とあるアーティストが「音楽は勝ち負けだ!」と断言したのを聞いて感嘆していたのだが、奇しくも音楽の勝ち負けが表出した瞬間だった。

ファーストでもちょっとそういう部分があったのだが、僕は、こういうときは曲のエネルギーを高めて、力対力で行くのではなく、むしろぐっと静かにして静寂を作ればいいと思う。この日、深町さんは北風になった。逆に太陽のようにすれば、彼らをだまらせることができたのではないだろうか。ピアニシモのような小さな音で演奏すれば、しゃべっている人たちはその声の大きさに気づく。そして会話を止める。しかし、北風になるのも、太陽になるのも演奏者深町純が自由自在に即興演奏をするがゆえに可能だ。次回はぜひ、太陽になって勝負に勝っていただきたい。(笑)とはいうものの、この日も突然演奏を止める瞬間は、かなり静かになっていたんですけどね。

さて、この日はフランスのハーモニカ奏者ジャン・ラーブルさんが飛び入りで深町さんと即興を聴かせた。深町さんは言う。「こういうのいいよね、すぐ(演奏)やっちゃうっていうの」 

セカンド2曲目は未完で終わった。一通りの告知をしてショウも終了。すると別のお客さんが「さっきのだと後味が悪いので、ちょっと短く即興でやってください」というようなことを言ったらしい。そこで、珍しく深町さんがもう一度キーボードの前に座り、短い曲をやった。その曲の後半には、ハーモニカのジャンさんも乱入し、2人での演奏に。こういう風にできる曲は、いい曲に決まっている。これもまた、即興の妙。

■深町純・定例キーボード・パーティー第89回(2008年5月)は、最終土曜日5月31日、祐天寺「FJズ」で午後8時から、60分程度が2セット。ミュージックチャージは、見て気に入った分を自由に払うシステム。
http://fjs.fukamachi-jun.com/map.html

■セットリスト
Setlist : Fukamachi Jun #88 @FJ’s, April 26, 2008
セットリスト 深町純 88回 

1st set
show started 20:12
01. 2008年4月26日20時12分の作品(20:22)
02. 2008年4月26日20時51分の作品(09:39)
03. 2008年4月26日お題拝借作品1(02.09)
04. 2008年4月26日お題拝借作品2(02.12 ) 愛のある気分
05. 2008年4月26日21時17分の作品(04.04) ハーモニカ奏者ジャンさんと
show ended 21:23

2nd set
show started 21:59
01. 2008年4月26日21時59分の作品 (09.56) ハーモニカ奏者ジャンさんと
02. 2008年4月26日22時08分の作品 (17.00)
show ended 22:28
--MC –
03. 2008年4月26日22時36分の作品 (3.11)  ジャンさんと
show ended 22:40

■過去の音楽比率(ライヴ全体の中での音楽の割合を表します)(単位は%)

2007年07月 第一部 66.23 第二部 66.45
2007年08月 第一部 67.03 第二部 68.04
2007年09月 第一部 71.16 第二部 67.30
2007年10月20日 第一部 67.81 第二部 49.29 (通算82回)
2007年10月27日 第一部 96.00 第二部 74.65 (サントリー・ホール・ブルー・ローズ)
2007年11月24日 第一部 66.96 第二部 77.04 (通算83回)
2007年12月29日 第一部 60.67 第二部 58.38
2008年01月26日 第一部 71.90 第二部 59.06 (第85回) 
2008年02月24日 第一部 64.80 第二部 48.43
2008年03月29日 第一部 67.78 第二部 73.29 (第87回)
2008年04月26日 第一部 54.13 第二部 74.46(第88回)

(2008年04月26日、祐天寺FJズ=深町純ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Fukamachi, Jun
2008-67

?Al Wilson Dies At 68

2008年4月28日
【訃報・アル・ウィルソン68歳で死去】

訃報。

「ショウ&テル」の大ヒットを持つソウル・シンガー、アル・ウィルソンが2008年4月21日(月)、カリフォルニア州フォンタナのカイザー・パーマネント病院で腎不全のため死去した。68歳だった。

アル・ウィルソンは1939年6月19日ミシシッピー州メリディアン生まれ。幼少の頃から教会でゴスペルを歌ってきた。1958年サン・バーナディーノに引越し、事務仕事などで生計を立てていた。軍隊に入るまでにジョニー・レッグス・ハリス&ザ・ステーツメンというグループに参加、軍隊を出た後ロス・アンジェルスに移住。いくつかのグループに参加。

1966年、マーク・ゴードンというマネージャーに認められ、ゴードンの仲介でジョニー・リヴァースの持つソウル・シティー・レーベルと契約。1968年に「ザ・スネイク」のヒットが誕生した。これは、同レーベルの売れっ子だったジョニー・リヴァースがプロデュースを担当。アル・ウィルソンはジョニーのヒット「プア・サイド・オブ・タウン」をカヴァーしている。

その後1973年、ポップな「ショウ&テル」が大ヒットし、全米ナンバーワンに。「ラ・ラ・・ピース・ソング」、「カウント・ザ・デイズ」などのヒットを出した。

2007年、火事のために自宅にあった多くのマスターテープが焼失してしまった、という。

アル・ウィルソンの代表曲「ショウ&テル」は、最近ではピーボ・ブライソンがカヴァーし、ヒットさせ持ち歌として歌っている。アルのヴァージョンも実は、先にジョニー・マティスにレコーディングされており、そのカヴァーだった。

ご冥福をお祈りする。

ENT>OBITUARY>Wilson, Al (June 19, 1939 - April 21, 2008, 68)
【メロー・ライダーズ第5回〜初セラート・スクラッチ・ミックス】

初。

DJイヴェント『メロー・ライダーズ』第5回が横浜ルーサーで行われた。2006年12月以来、1年4ヶ月ぶり。ゴールデン・ウイーク真っ只中、翌日休みという好条件の元、満員のお客さんを迎えて、大いに盛り上がった。

僕は、DJオッシーがしばらく前に入手し、すでに使いこなしている新機材、セラート・スクラッチ・ミックスを借りた。前の週に事前に使用する予定の楽曲をパソコンに取り込んで、この日使い方を軽く教わり、本番に臨んだ。いやあ、これが楽しいというか、おもしろい。いろんなことができるみたいで、じっくり研究すれば、かなりおもしろそうだ。しかし、これは不思議な機械だ。

このセラート・スクラッチ・ミックスの実演を見たのは、DJスピナがやっていた2006年1月のこと。そのときの驚きの様子。↓

December 28, 2005
DJ Spinna(Part 1): The Future Of DJ
【DJの未来図〜セラート・スクラッチ・ミックス】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200512/2005_12_28.html

December 29, 2005
DJ Spinna(Part 2): Record Maniac
【レコード・コレクター、DJスピナ】 
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_12_29.html

January 06, 2006
DJ Spinna: Using Serato Scratch Live
【アナログ音源を自由自在に操るDJ】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200601/2006_01_06.html

オッシーが僕用のファイルを作ってくれ、そこに僕のCDをいれていたが、オッシーのファイルのもの(すでに2000曲以上いれている)も使えるというので、リストを見ていたら、ウルトラ・ハイ・フリクエンシーを発見。フィリーものをかけようと思っていたので、これを使わせてもらい、フィリーにもっていった。

さて、僕の後は村上ルイカ氏登場。彼はすべてアナログのレコードで回した。アル・ジョンソンなんかは、一緒に歌っていた。僕もセカンドセットは、結局、全曲アナログで。

最後はこの日のDJが全員揃って、1曲ずつスロー・バラードをかけて終了。スローは、モニカ、ルーサー、アリーヤ、マーヴィン・ゲイなど。いやあ、お疲れ様でした。

■ タイムテーブル

20:00 tomo
21:00 藤
22:00 OSSHY
22:45 吉岡
23:30 Ruika
24:15 藤
1:00 OSSHY
1:45 吉岡
2:30 Ruika
3:15 OSSHY
4:00 NAMI
4:45 all
end

■ 過去記事

Mellow Ridaz Vol.4 : DJ Batton & Tribute To James Brown
【メロー・ライダーズ第4回〜ジェームス・ブラウン・トリビュート】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200612/2006_12_28.html

October 31, 2005
Mellow Ridaz Vol.3
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200510/2005_10_31.html

August 01, 2005
Mellow Ridaz Vol.2
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200508/2005_08_01.html

August 02, 2005
Mellow Ridaz Vol.2:  Why Dexter Redding Is In Japan?
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_08_02.html

2005/02/03 (Thu)
DJ At Luther
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200502/diary20050203.html
メロー・ライダーズ第一回。

Setlist : Song Selected by Yoshioka Masaharu

DJ started 22:47
01. Cisco Kid / War
02. Psychedelic Shack / Temptations
03. Standing In he Rain / Al Green (New)
04. Let The Music Take Your Mind / Kool & The Gang
05. Looking For A Love / Ryan Shaw
06. We’re On The Right Track / Ultra High Frequency
07. Samson / Ebony Ivory & Jade
08. Yellow Sunshine / Yellow Sunshine
09. It’s So Wonderful / Johnny Williams
10. One Day Of Peace / Love Committee
11. Open Sesami Part 2 / Kool & The Gang
Batten to Ruika at 23:30

Second set : Song Selected by Yoshioka Masaharu
DJ started 01:47
01. Serpentine Fire (Instrumental) / Earth Wind & Fire
02. 100 South Of Broadway / Philadelphia Society
03. I’m Hopelessly In Love / Modulations
04. If You Were There / Ace Spectrum
05. Hearts Be Good / Lee Garrett
06. You’ll Never Find Another Love Like Mine / Lou Rawls
07. Love Means Everything / A Touch Of Class
08. I Just Can’t Say Goodbye / A Touch Of Class
09. Never Get Enough Of Your Love / LTD
10. Penguin At The Big Apple -- Zing Went The Strings Of My Heart / Trammps
Batten to Ruika at 02:30

(2008年4月28日月曜、横浜ルーサー=メロウ・ライダーズVol.5〜DJイヴェント)
ENT>EVENT>Mellow Ridaz

■Serato Scratch Live

2008年4月30日
【セラート・スクラッチ・ライヴ】

発明。

昨日「メロウ・ライダーズ」で初めて使った「セラート・スクラッチ・ライヴ」。これはパソコンに取り込んで使うDJ用ソフトのことだ。楽曲をたくさん詰め込んだ仮想DJミキサーがパソコン内にあると考えればいい。楽曲をハード・ディスクの容量のある限りパソコン内にいれておけばいつでも、取り出し可能だ。外付けハード・ディスクにいれていけば、何万曲と使えるようになる。

しかもそれらは曲目順、アーティスト順、さらにBPM順で瞬時にソート(並べ替え)できる。つないでいるときには、BPM順にして、そこから選ぶこともできるし、アーティスト名から曲を探すこともできる。

PCのモニターに右と左のターンテーブルが映っていて、それぞれのリアルタイムのBPMもでる。デジタル音源になっているので、その楽曲のリメイン(残り時間)も刻々と表示される。

そして、例えば、右のターンテーブルから鳴らすように指定した楽曲は、手元の本物のターンテーブル(昔ながらのレコードを載せるもの)と同期しており、ターンテーブル上に置く、セラート・スクラッチ専用のディスクと同期。そのディスクで、アナログ・レコードとまったく同じように頭だし、戻し、スクラッチなどもできる。

一言で言えば、音源のソースはデジタルだが、使い勝手は昔ながらのアナログ・ディスクとまったく同じ、ということ。テンポを早くしたり、遅くしたりのピッチの変更も通常のアナログと同時、カットイン、カットアウトのタイミングもアナログプレイヤーでDJをやったことがある人なら、誰でもできる。

このセラートの最大のメリットは、膨大な楽曲をハード・ディスクに収めることによって、何百枚、何千枚ものレコードを持ち歩く必要がない、ということ。全米をツアーして回るDJなどには、実際に持ち歩くレコードは限られるので、こうしたほぼ無限大の楽曲を持ち歩けるということは最大のメリットだ。

と、ここまで説明して、なんとなくおわかりいただけただろうか。これはあくまで本当にベーシックな基本中の基本で、他にもいろいろな応用編がある。

しかし、それにしても、一体この機械の中身がどうなって、こういうことができるのかがさっぱりわからない。リアルなターンテーブル上に置くセラート専用のディスク、それに針を載せて頭だしをするのだが、デジタル信号がどういう経緯、経路でここに、あるいはここから伝わるのだろう。こんなものを最初に考えだした人は、「地球は丸かった」ことを発見した人と同じくらい偉い。(笑)

だが、どんなに機材が発達しても、忘れてはならないのは、DJの本質は選曲にあるということ。アナログだろうが、デジタルだろうが、誰のどんな曲をどんな順番でかけるか、それがDJの本質だ。機材はどんな新しいものでも、あくまでも使う道具。なにをどうするかが、DJの力だ。

■正規代理店ヒビノのウェッブ
http://www.hibino.co.jp/proaudiosales/product/rane/seratoscratchlive.html

(2008年4月28日月曜、横浜ルーサー=メロウ・ライダーズVol.5〜DJイヴェント)

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