◎ ケニーG・ライヴ~決して変わらぬサウンドを貫くサックスマン
2011年6月3日 音楽◎ケニーG・ライヴ~決して変わらぬサウンドを貫くサックスマン
【Kenny G】
不変普遍。
超人気サックス奏者、ケニーGの東京一日だけの公演。毎年のようにやってきて、大体国際フォーラム2-3日やるという彼がアジア・ツアーの一環で大阪一日、東京一日だけ立ち寄ってのライヴ。ということで、超満員。観客の年齢層もかなり高い。
僕がケニーGに初めて会ったのは1983年7月のこと。ニューヨーク・トライベッカのカシーフの自宅を訪ねたときに、まだメジャーになる前のケニーがいた。当時カシーフがケニーGをプロデュースしていたからだ。シアトルからニューヨークに初めて来たとかで、カシーフ宅に滞在していた。ほぼ同じ頃、フィリップ・ウーもケニーG、カシーフと親しく、カシーフ邸に行っていた、という。たぶん、それは1984年7月の夏のことだったと思う。その話はまた別の機会に譲るとして、ケニーGは、その後、「ソングバード」などが大ヒットし、世界的スーパースターとなった。
僕もケニーGのライヴを見るのは相当久しぶり。1980年代に初来日以降何度か見た記憶があるが、久々に会場に足を運んだ。なんと隣の席に、元アドリブ編集長の松下さんが。かなりこちらも久々にお会いする。僕を見つけるなり、開口一番「やっと若い人に会えたよ(笑)」と言うのだが、僕でさえ、ここでは若いのか。(笑) 最近は悠々自適で、ジャコ・パストリアスの本の出版や、その他の音源リリースをしている、という。
「いやあ、ケニーG、松下さんと一緒にインタヴューしましたよね。でも、ライヴ見るの、久しぶりなんです」「ああ、そう、久しぶりなんだ。僕は、毎回見に来てるけど、昔とまったく変わりません(笑) きっと、客席の後ろから出てくるよ」
客電が落ち、サックスの音が会場に響きだすと、松下さんの言うとおり、1階客席の一番後ろからサックス吹きながら、登場した。
ドラムス、ギター、ベース、キーボード、パーカッションにケニーGのサックスという布陣。そして、確かにそのパフォーマンスは不変で、普遍だった。
MCでもわかるように、実にサーヴィス精神旺盛の人物。それにしても、大変よく日本語をしゃべった。ケニーG、全曲インストゥルメンタル。歌なし。ケニーGの魅力は、そのエンタテインメントぶりとメロディアスな綺麗なサックスの音色にある。とてもわかりやすいサウンドで、かつてのポール・モーリア・オーケストラなどが受けたニュアンスと同じイージー・リスニング・サウンドとして幅広い層に受ける。それが、最近は「スムース・ジャズ」などとも呼ばれる。
彼の得意技のひとつに「サークル・ブリージング(循環呼吸)」でワンノート(ひとつの音階)を延々と吹き続ける、というものがある。今回も始まってすぐにこれをやり、延々続くうちに拍手も大きくなってくる。なんでも、ケニーGはこれで45分以上一音を出し続け、ギネスブックに載ったとか。
終わった後にこれのやり方も簡単に説明するサーヴィスぶり。「鼻で息を吸いながら、口から吹く。だから、いくらでも永遠にできるんです」と解説。
途中でおもしろいシーンがあった。CDを買った人から抽選で、ケニーのサックスをプレゼントするという企画だ。抽選で選ばれた女性が友人を伴ってステージに上げられる。するとその伴った友人がダウン症か何かなのか、なんらかの疾患を持っている女性のようだった。ケニーが感謝の気持ちを込め、1曲プレイし、そのサックスをケースにしまい、彼女にプレゼントをした。一言二言やりとりがあり、ケニーが送り出そうとしたとき、そのもう一人の彼女が、帰りたくないとダダをこねたのだ。さすがに驚いた彼女が、その彼女を説得にかかり、手を引っ張ろうとするが、いやいやと抵抗する。通訳もやってきて、説得するが、椅子を立とうとしない。
すると、ケニーがサックスを吹き始め、彼自身がその彼女たちの席のほうにうながすように、歩き始めたのだ。だがそれでもその彼女は動こうとしない。観客からも失笑がもれる。ケニーはステージを降り、通路に進んだ。結局、やっとのことで彼女の付添い人にうながされ、席に戻った。思わぬハプニングだった。
この日は客席にレストラン「ノブNobu」のオウナー・シェフが来ていて、観客に紹介し、ライヴ後に行くと言っていた。
アンコール2曲目はなんと「タイタニック」。日本人が聴きたいであろう楽曲を一番最後に持ってくる。さすがだ。そして、音楽的立ち位置を変えず、ヴァリエーションはあるものの基本路線は変えず、来た観客が聴きたいと思うものを徹底してプレイする。頑固一徹、それはあっぱれ。
■ケニーG最新作
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003AL7PLS/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■エッセンシャル(2枚組み)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000EBDCXW/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■メンバー
ケニーG Kenny G (sax)
ロバート・ダンパー Robert Damper (keyboards)
ヴェイル・ジョンソン Vail Johnson (bass)
ダニエル・ベジャラノ Daniel Bejarano (drums)
ロナルド・パウェル Ronald Powell (percussion)
ジョン・レイモンド John Raymond (guitar)
■セットリスト: オーチャード・ホール
Setlist: Kenny G @ Orchard Hall, Shibuya, May 28, 2011
Show started 19:07
01.Home
02.Silhouette
03.G-Bop
04.Havana
05.Percussion solo
06.Forever In Love
07.Heart And Soul
08.Band Introducing
09.Rhythm And Romance
10.Besame Mucho
11.Saxoloco
12.“Sax Present”—Drawing(抽選して1曲プレゼント)
13.Dying Young / Going Home
14.Sade
15.Cadenza
16.Songbird
ENC. Bass Solo
ENC. Pick Up The Pieces
ENC. Titanic
Show ended 21:00
(2011年5月27日金曜、オーチャード・ホール、ケニーGライヴ)
ENT>MUISC>LIVE>Kenny G
2011-
【Kenny G】
不変普遍。
超人気サックス奏者、ケニーGの東京一日だけの公演。毎年のようにやってきて、大体国際フォーラム2-3日やるという彼がアジア・ツアーの一環で大阪一日、東京一日だけ立ち寄ってのライヴ。ということで、超満員。観客の年齢層もかなり高い。
僕がケニーGに初めて会ったのは1983年7月のこと。ニューヨーク・トライベッカのカシーフの自宅を訪ねたときに、まだメジャーになる前のケニーがいた。当時カシーフがケニーGをプロデュースしていたからだ。シアトルからニューヨークに初めて来たとかで、カシーフ宅に滞在していた。ほぼ同じ頃、フィリップ・ウーもケニーG、カシーフと親しく、カシーフ邸に行っていた、という。たぶん、それは1984年7月の夏のことだったと思う。その話はまた別の機会に譲るとして、ケニーGは、その後、「ソングバード」などが大ヒットし、世界的スーパースターとなった。
僕もケニーGのライヴを見るのは相当久しぶり。1980年代に初来日以降何度か見た記憶があるが、久々に会場に足を運んだ。なんと隣の席に、元アドリブ編集長の松下さんが。かなりこちらも久々にお会いする。僕を見つけるなり、開口一番「やっと若い人に会えたよ(笑)」と言うのだが、僕でさえ、ここでは若いのか。(笑) 最近は悠々自適で、ジャコ・パストリアスの本の出版や、その他の音源リリースをしている、という。
「いやあ、ケニーG、松下さんと一緒にインタヴューしましたよね。でも、ライヴ見るの、久しぶりなんです」「ああ、そう、久しぶりなんだ。僕は、毎回見に来てるけど、昔とまったく変わりません(笑) きっと、客席の後ろから出てくるよ」
客電が落ち、サックスの音が会場に響きだすと、松下さんの言うとおり、1階客席の一番後ろからサックス吹きながら、登場した。
ドラムス、ギター、ベース、キーボード、パーカッションにケニーGのサックスという布陣。そして、確かにそのパフォーマンスは不変で、普遍だった。
MCでもわかるように、実にサーヴィス精神旺盛の人物。それにしても、大変よく日本語をしゃべった。ケニーG、全曲インストゥルメンタル。歌なし。ケニーGの魅力は、そのエンタテインメントぶりとメロディアスな綺麗なサックスの音色にある。とてもわかりやすいサウンドで、かつてのポール・モーリア・オーケストラなどが受けたニュアンスと同じイージー・リスニング・サウンドとして幅広い層に受ける。それが、最近は「スムース・ジャズ」などとも呼ばれる。
彼の得意技のひとつに「サークル・ブリージング(循環呼吸)」でワンノート(ひとつの音階)を延々と吹き続ける、というものがある。今回も始まってすぐにこれをやり、延々続くうちに拍手も大きくなってくる。なんでも、ケニーGはこれで45分以上一音を出し続け、ギネスブックに載ったとか。
終わった後にこれのやり方も簡単に説明するサーヴィスぶり。「鼻で息を吸いながら、口から吹く。だから、いくらでも永遠にできるんです」と解説。
途中でおもしろいシーンがあった。CDを買った人から抽選で、ケニーのサックスをプレゼントするという企画だ。抽選で選ばれた女性が友人を伴ってステージに上げられる。するとその伴った友人がダウン症か何かなのか、なんらかの疾患を持っている女性のようだった。ケニーが感謝の気持ちを込め、1曲プレイし、そのサックスをケースにしまい、彼女にプレゼントをした。一言二言やりとりがあり、ケニーが送り出そうとしたとき、そのもう一人の彼女が、帰りたくないとダダをこねたのだ。さすがに驚いた彼女が、その彼女を説得にかかり、手を引っ張ろうとするが、いやいやと抵抗する。通訳もやってきて、説得するが、椅子を立とうとしない。
すると、ケニーがサックスを吹き始め、彼自身がその彼女たちの席のほうにうながすように、歩き始めたのだ。だがそれでもその彼女は動こうとしない。観客からも失笑がもれる。ケニーはステージを降り、通路に進んだ。結局、やっとのことで彼女の付添い人にうながされ、席に戻った。思わぬハプニングだった。
この日は客席にレストラン「ノブNobu」のオウナー・シェフが来ていて、観客に紹介し、ライヴ後に行くと言っていた。
アンコール2曲目はなんと「タイタニック」。日本人が聴きたいであろう楽曲を一番最後に持ってくる。さすがだ。そして、音楽的立ち位置を変えず、ヴァリエーションはあるものの基本路線は変えず、来た観客が聴きたいと思うものを徹底してプレイする。頑固一徹、それはあっぱれ。
■ケニーG最新作
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003AL7PLS/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■エッセンシャル(2枚組み)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000EBDCXW/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■メンバー
ケニーG Kenny G (sax)
ロバート・ダンパー Robert Damper (keyboards)
ヴェイル・ジョンソン Vail Johnson (bass)
ダニエル・ベジャラノ Daniel Bejarano (drums)
ロナルド・パウェル Ronald Powell (percussion)
ジョン・レイモンド John Raymond (guitar)
■セットリスト: オーチャード・ホール
Setlist: Kenny G @ Orchard Hall, Shibuya, May 28, 2011
Show started 19:07
01.Home
02.Silhouette
03.G-Bop
04.Havana
05.Percussion solo
06.Forever In Love
07.Heart And Soul
08.Band Introducing
09.Rhythm And Romance
10.Besame Mucho
11.Saxoloco
12.“Sax Present”—Drawing(抽選して1曲プレゼント)
13.Dying Young / Going Home
14.Sade
15.Cadenza
16.Songbird
ENC. Bass Solo
ENC. Pick Up The Pieces
ENC. Titanic
Show ended 21:00
(2011年5月27日金曜、オーチャード・ホール、ケニーGライヴ)
ENT>MUISC>LIVE>Kenny G
2011-