◎デイヴィッド・フォスター&フレンズ・ライヴ~抜群の司会っぷりのフォスター

【David Foster & Friends : Great Slick MC Foster and Great Musician Foster】

音楽番組。

今年で3年目を迎えるデイヴィッド・フォスター&フレンズのコンサート。テレビの楽しい音楽番組をじっくり見ているような感じで次々良質のアーティストが出てきて、おもしろいトークといい音楽を聞かせてくれる。

なによりデイヴィッドの司会進行っぷりが、うまくて2時間半、笑わせ、楽しませてくれた。

一番前の中央に座っていたタカさん。関係者なのか、一曲目から寝てしまった。するとデイヴィッドはトークで、「あなたの名前は? 私のことを知っているか? 結婚してるのか?」などと質問。「眠ってしまったタカを今日は楽しませるためにやらなければならない」とデイヴィッドが大張り切りになった。で、以後、ことあるごとにタカさんをいじるいじる。そして笑いを取る。タカさんは、英語がほとんどわからないので、デイヴィッドとのやりとりがいちいちかみ合わず、これがまためちゃくちゃおもしろいことになった。

デイヴィッドは客席に降りて一節歌ってくれる人を探すのだが、最初に選んだのが偶然にも日本のシンガー、トク(TOKU)だった。この日僕はケイリブ・ジェームスと一緒に見に行っていたのだが、彼が立ち上がったときには思わずケイリブと「トク???」と顔を見合わせてしまった。デイヴィッドが「じゃあ、20秒歌ってくれ」というと、いきなりお得意18番の「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」をアカペラで歌い出す。するとすぐにバンドがその歌声にあわせ、演奏を始め、結局ほぼワンコーラス・フルで歌いきってしまい大喝采を浴びてしまった。デイヴィッドもかなり驚いたよう。「good じゃなくて greatだよね」 これは、まったく仕込みでもなんでもなく何人か手を上げた中で、デイヴィッドがトクをたまたま選んだだけだったそうだ。後から聞くとトクもデイヴィッドとは面識がなかったという。ああいうのは会場がほんと盛り上がる。

ライヴ・アーティストについて簡単に。

カナダの女性新人、ヘイリーはかわいい、綺麗。「涙そうそう」と「アメージング・グレイス」を日本語英語まぜて。またオペラ・シンガー、フェルナンドとデュエットで「プレイヤー」も堂々とした感じ。これからどんどんプロモーションされていくのだろう。

ポール・ヤング。今回の僕的目玉だったが、意外なことに声がでず、かなり苦しそう。横のケイリブは「あれはタバコが原因なのか、それとも年齢でああなったのか、どっちだ?」と疑問を持っていた。どっちだろう。「鈴木雅之とデュエットを録音し、そのとき来日して以来の日本だよ、1990年前後だと思う」とステージで言っていた。

フェルナンドは、さすが声がきっちりでていて見事。プッチーニの「誰も寝てはならぬ」は、去年はラッセル・ワトソンが歌ったが、このデイヴィッド・フォスター・ショーの定番になっていくのかな。クラシック系のシンガーはみなまず間違いない。

スゥエーデン出身の若者3人組、ダーティー・ループスは、ブリットニー、アデルの曲をかなりオリジナルとは変えてユニークなアレンジで表現。リード・ヴォーカルでキーボードもやるジョンらのルックスがいいので、ルックスでファンがつくかもしれない。すごくいい連中のようだ。

デイヴィッドが自分のヒットのさわりをその場でピアノでポロポロ弾いて、しかも歌ってみせるコーナー。さすがにヒット曲が多く、プロデューサーとしてすごいなあ、というところを印象付ける。

デイヴィッドが一番前に座るタカさんに「僕のことを知っているか?」と問われると、たぶん、質問の意味がわからずに、「ノー」と答えたのだろう。デイヴィッドは自分のことを知らないと言われ、「じゃあ君は誰かに強制的に今日、連れてこられたんだね」とがっくり。そして「こう見えても僕は16のグラミーをもらってるんだ」と返したあたり、実にやりとりがおもしろい。

デイヴィッドがひとりで「ユーアー・ジ・インスピレーション」(シカゴ1984年のヒット)を歌っていると、後ろからピーター・セテラがそっと登場、デイヴィッドを驚かすというベタな演出でピーターのコーナーへ。二人で作った曲のエピソードなども交え4曲。「バイクの音のほうが、曲よりも大事なこの曲」と言って、「ハード・トゥ・セイ・アイム・ソーリー」のイントロのピアノを弾き出すと一斉に盛り上がる。映画『カラテ・キッド』で使用された「グローリー・オブ・ラヴ」は、元々シルヴェスター・スターローンの『ロッキー』用に作ったという。ところが、スターローンが弟に歌わせようとしたので、引き上げたという。ケイリブが「弟のフランクは、(シンガーとしては)最悪なんだよ(笑) だからさ」と教えてくれた。最初はGlory of Gloves (グローヴの栄光、栄光のグローヴ)っていう仮タイトルだったそうだ。それを「グローリー・オブ・ラヴ」にした。僕にはこのナルシストがかったピーターの大げさな歌い方が面白く思えて仕方がない。

そしてベイビーフェイス。ボーイズ・トゥ・メン・メドレーを含めて、いずれも観客をしっかり掴み、虜にした。ボーイズ・メドレーでは、ベイビーフェイスは走って観客席の前から後ろまで一気に往復した。おもしろかったのは、その場で観客からタイトルなどのヒントをもらい、デイヴィッドと一緒に即興で曲を作り、歌うというところ。客席から「アイ・ラヴ・タカ」と声がかかり、それでしばしベイビーフェイスが考え、「アイ・ラヴ・タカ」という曲を完成、さらさらっと歌いきった。いやあ、あれはおもしろかった。ボーイズ・メドレー、さらに「チェンジ・ザ・ワールド」を終えたときと二度のスタンディング・オヴェーション。

二度ほど、デイヴィッドは「アーティストにとっての『キャリア・ソング』がある」という話をした。そのアーティストをファンに印象付ける曲、そのアーティストの歴史でもっとも重要な位置づけになる曲という意味だ。各アーティストにはそんな曲がある。

最後にシャカ・カーン登場。少し痩せて綺麗になった印象。声量まったく問題なし。いきなり、デイヴィッドに「あなたが、タカ・タカ言うから、楽屋で聴いてて私の出番がもう来たのかと思って慌てちゃったわよ」と。タカは、音もシャカ(チャカ)と似ている。そして、シャカの妹はタカ・ブーンと言って、シンガーでもある。デイヴィッド・フォスター作の「スルー・ザ・ファイアー」をデイヴィッドともにやるというのはやはり格別なものがあるだろう。

アンコールはマイケル・ジャクソンの「アース・ソング」。全員が少しずつ歌う。

それにしても、デイヴィッドの司会進行がうまかった。その点で今日のもうひとりのヒーローは「タカさん」。タイ・バンコックで同じショーを見た中尾さんによれば、バンコックでは「フリーダムさん」がすっかりいじられていた、とのこと。毎回、うまくいい客を見つけてるんだな。一番前で寝ていた、というのは絶好の標的になったわけです。(笑) デイヴィッドの名司会ぶりに会場はほとんど反応して笑っていたから、会場の英語力もけっこうあったが、デイヴィッドの英語がものすごくわかりやすいということも大きなポイント。中学生くらいの英会話力があれば、楽しめると思う。だが、それすら苦労していた「タカさん」、受けまくりであった。

しかし、最後のメンバー退場時のBGM、なんでアースの「セプテンバー」なんだろう。デイヴィッドはからんでないんだが。人気曲だからか。謎。

それにしてもこの日はセットリスト、メモるのが大変だった。予定外の曲が多くて。(笑)

こんな楽しい音楽番組ってテレビで放送できないんでしょうか。販売用DVDはもうでていますが。来年も来てくれるかな。

■過去記事 (デイヴィッド・フォスター、去年とおととしライヴ評)

デイヴィッド・フォスター・ライヴ~素晴らしいシンガーを紹介する良質の音楽番組
2011年10月21日(金)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11053689806.html

デイヴィッド・フォスター&フレンズ(Day Two):シンガーの良さを弾き出すその才能
2011年10月22日(土)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11054728945.html

2010年10月21日(木)
デイヴィッド・フォスター&フレンズ~シャリースがすべてを持っていった夜
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10682471281.html#main

2010年10月22日(金)
デイヴィッド・フォスター・ライヴ~時代の変遷によって入れ替わるスター
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10683847162.html#main

2010年10月24日(日)
シャリースの未来~若年層向けヒットと「ビッグ・ソング」での大ヒット
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10685418833.html#main

■デイヴィッド・フォスター

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003TYKGZS/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■新譜 ライヴ

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0052VI2OI/soulsearchiho-22/ref=nosim/"

■出演

アーティストArtist

David Foster
Hayley Westenra
Paul Young
Fernando Varela
Dirty Loops [Jonah, Henrik, Aaron]
Peter Cetera
Babyface (Kenny Edmonds)
Chaka Khan

バンド・メンバー Band

Mo Pleasure (Keyboard)
Boh Cooper (keyboard)
Tariqh Akoni (Guitar)
Richard Pena (drums)
Keith Nelson (Bass)

Audrey Wheeler (vocal)
Tiffany Smith (vocal)
Cudison Kai (vocal)

■セットリスト デイヴィッド・フォスター&フレンズ 
Setlist : David Foster & Friends @ Kokusai Forum A, November 12, 2012

show started 19:18
00.Video montage
01.[David Foster↓] Snowbirds
02.Winter Games
03.[Hayley Westenra↓] I Dreamed A Dream
04.Nada Sou Sou (涙そうそう)
05.Amazing Grace
06.Prayer [with Fernando Varela]
--. Fly Me To The Moon [TOKU from audience]
07.[Paul Young↓] Come Back And Stay
08.Every Time You Go Away
09.[Fernando↓] A riff of When A Man Loves A Woman
10.Nessun Dorma (誰も寝てはならぬ)
--. Audience (male) part of I Will Always Love You
--. Audience (famale) part of Pyramid
11.[Dirty Loops↓] Circus (Britney Spears cover)
12.Rolling In The Deep (Adele cover)
13.[David↓] David Medley: (David sings) a riff of Wild Flower (Skylark) - Look What You Done To Me (Boz Scaggs) – Best Of Me (Kenny Rogers) - After The Love Has Gone (Earth Wind & Fire) - I Swear (All-4-One) – Will You Still Love Me (Chicago) – Nothing You Can Do About It (Airplay) – Mornin’ (Al Jarreau) – Got To Be Real (Cheryl Lynn) – You’re The Inspiration (Peter Cetera came in)
14.[Peter Cetera↓] You’re The Inspiration
15.Stay The Night
16.Hard To Say I’m Sorry
17.If You Leave Me Now
18.Glory Of Love
19.[Babyface – Kenny Edmonds ↓] When Can I See You
20.Boys II Men Medley: I’ll Make Love To You – End Of The Road
21.I Love Taka (make up song on stage, completely adlib by Babyface & David)
22.Change The World
23.[Chaka Khan↓] Tell Me Something Good
24.Through The Fire
25.Ain’t Nobody [+John of Dirty Loops]
26.I’m Every Woman
27.[All] Earth Song
Encore 1. St. Elmos Fire
Encore 2. Conscience
Encore 3. September
Show ended 21:54

(2012年11月12日月曜、国際フォーラム、デイヴィッド・フォスター&フレンズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Foster, David & Friends
2012-