◎アンドレア・ボチェッリの映画『ポルトフィーノから愛を込めて』
2013年2月16日 音楽◎アンドレア・ボチェッリの映画『ポルトフィーノから愛を込めて』
【Andrea Bocelli : Love In Portofino】
ロマンス。
「ホセ・ジェームスの前に、アンドレア・ボチェッリの一日しか公開しない映画があるのですがいかがですか」というEMI・ユニバーサルNさんからのお誘いで、その映画『アンドレア・ボチェッリ~ポルトフィーノから愛を込めて~』を見た。なんと全世界で2013年2月14日一日だけ公開されているという。これは、全米では1月末、日本盤は3月末に発売されるアンドレアの最新作『パッション』のプロモーションの一環で企画されたもの。なんとプロデューサーのデイヴィッド・フォスターが司会でアンドレアやゲストを紹介する見事なライヴ・コンサートの映画だった。
撮影されたのは2012年8月、イタリア西部の小さな街ポルトフィーノ。コンサートが行なわれたのは、この小さな街の広場。そこにちょっとしたステージを作り、椅子とテーブルを置いてコンサートを楽しんでいる。バックの建物の住民や、湾上のヨットに乗りながらライヴを楽しんでいる人たちもいる。なんと優雅な音楽の楽しみ方だろう。
この街、名前も知らなかったが、調べてみると、面積2.6平方キロのふだんは人口500人という村。リッチな人たちが別荘を持っていたりする場所。観光客ばかりだが、バックに映る建物には高級ブランド店が立ち並ぶ高級リゾート地のようだ。
コンサートの席はせいぜい4-500から後ろ側を含めても800席もないと思う。ただ住人、ヨットで見てる人を加えるともう少し多い。ブルーノートを一回り大きくしたようなオープンエアで、なにしろ昔からの建物にライトアップが美しく、その湾とともに見事な景観となっている。
最前列のテーブルにはデイヴィッド・フォスターと同郷の大先輩、ポール・アンカ、音楽家マイケル・ケインや地元の名士などが、シャンパーン(デイヴィッドの発音をアンドレアが直していた)を片手に見ている。
始まったときはまだ陽もあり明るかったが、徐々に暗くなり後半はすっかり夜の帳が落ちていた。
その予告編。素晴らしい景観もわかる。こんなところでライヴを楽しめたら本当に優雅で素敵だ。
http://youtu.be/ADsl5yakB7s
バンドは、ジョン・ロビンソン(ドラムス)、ボー・クーパー(キーボード)、キース・ネルソン(ベース)らを含むリズム隊に約40人のオーケストラ。デイヴィッド・フォスターがあの調子で名司会者ぶりを発揮、次々とゲストを紹介して音楽を奏でる。ゲストにはヘレン・フィッシャー、サンディー、クリス・ボッティー、ボチェッリのフィアンセ、ヴェロニカら多数。
「今日はイタリア語、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語などで歌われますが、共通のテーマはロマンスです」とデイヴィッド・フォスターが言うように、この美しいセッティングでのコンサートというのは、本当に魅せられた。「世界でもっとも愛されているテナー、アンドレア・ボチェッリが地球上でもっとも美しい場所でのアウトドア・コンサート」という触れ込みも大げさではなかった。
ボチェッリの新作『パッション』は2006年の『アムール』をデイヴィッドがプロデュースして以来のもの。アンドレアの歌はもう世界でもっとも愛されているテナーだから間違いない。
選曲は基本的にその『パッション』収録のもの中心だが、これがまた誰でも知ってる曲ばかりで王道の選曲。下記セットリストをご参照あれ。故エディット・ピアフとの「ゴースト・デュエット」など、ナタリー・コールの「アンフォーゲッタブル」でやって以来すっかりデイヴィッドの十八番になっている。
ニール・ダイアモンドの「セプテンバー・モーン」をアンドレアがイタリア語で歌詞をつけて歌った。
そして、最後アンコールでは作者ポール・アンカの前でアンドレアがピアノの弾き語りで「マイ・ウェイ」を歌うという超ベタな演出も見せた。
このポルトフィーノはディズニー・シーの景観のモデルになったと言われる街で、昔から多くのセレブが遊びに来て、その写真が映画の中でも紹介された。
なお、この作品はテレビで放映された後、DVD化一般発売される。
この日の映画館では、ワイン片手に映画を鑑賞されている方もいた。家で見る時もワインかシャンペーン片手に見るのがお勧めだ。いやあ、一度でいいからあんな環境でライヴを見てみたいなあ。
~~~
音楽力。
ひとつ、音楽映画という点で気づいたこと。
どんどん途中からアンドレアとデイヴィッドのマジックにかかり、まるでそこでライヴを楽しんでいるような気分になっていったが、そうなると、数多くあるカメラから撮影された映像がひんぱんに切り替わるのが本当に鬱陶しく感じられる。
つまり、「もっとこの映像をじっくり見せてくれ」という気になる。
2-3曲でいいから湾から望遠で来たクレーンのカメラが切り替えなしにひたすらアンドレアに近づき、彼を正面で撮り、それが一曲中続いていくような映像が欲しかった。音楽に集中すればするほど、音楽がよければよいほど、映像の切り替えなど必要なくなるのだ。
映像を切り変えるのは、一点にとどまっていると観客が飽きるだろうからというのが理由のようだが、音楽に力がある場合、音楽の力そのもので映像に語らせればいいのだ。余計なことはしなくてよろしい。そこまで考えられる映像プロデューサーというか監督はほとんどいないのだろう。たぶん音楽家出身で映像も撮れる人でないとだめなんだろうと思う。
その点、昔の映像はカメラが1台しかなく切り替えができなかったこともあるが、演者の力がストレートに画面から伝わってきた。
音楽ライヴを撮る場合、カメラの台数が多ければ多いほど、アーティスト自体の音楽力のエネルギーがパワーダウンするような気がしてしかたがない。もちろん映像の編集などがうまい場合、映像力はアップしているのだろうが。バランスなのだろう。今回は18曲あるので、そのうちの2-3曲だけでも1曲フルサイズをワンカメラで撮ったらどうなっただろう、と強く思う。
ANDREA BOCELLI: LOVE IN PORTOFINO
Running time: 82 mins
Setlist:
01. Cinema Paradiso (featuring Chris Botti)
02. Senza Fine Enema e Core (featuring Caroline Campbell)
03. Quizas Quizas Quizas
04. A Mano A Mano
05. Perfidia
06. Champagne
07. Corovado (featuring Sandy)
08. Tristeza
09. La Vie En Rose (featuring Edith Piaf)
10. Something Stupid (featuring Veronica Berti)
11. Besame Mucho
12. Love Me Tender
13. September Morn (Neil Diamond song)
14. When I Fall in Love (featuring Helene Fischer, Chris Botti)
15. Roma Nun Fa la Stupida Stasera
16. Era Gla Tuto Provisto
17. Love in Portofino (featuring Caroline Campbell)
18. My Way
Recorded Portofino, Italy, August 2012
■アンドレア・ボチェッリ パッション
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00AG6Z92C/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■関連記事 デイヴィッド・フォスター・ライヴ
デイヴィッド・フォスター&フレンズ・ライヴ~抜群の司会っぷりのフォスター
2012年11月14日(水)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11403508421.html
ENT>MOVIE>Bocelli, Andrea
ENT>LIVE>Bocelli, Andrea
【Andrea Bocelli : Love In Portofino】
ロマンス。
「ホセ・ジェームスの前に、アンドレア・ボチェッリの一日しか公開しない映画があるのですがいかがですか」というEMI・ユニバーサルNさんからのお誘いで、その映画『アンドレア・ボチェッリ~ポルトフィーノから愛を込めて~』を見た。なんと全世界で2013年2月14日一日だけ公開されているという。これは、全米では1月末、日本盤は3月末に発売されるアンドレアの最新作『パッション』のプロモーションの一環で企画されたもの。なんとプロデューサーのデイヴィッド・フォスターが司会でアンドレアやゲストを紹介する見事なライヴ・コンサートの映画だった。
撮影されたのは2012年8月、イタリア西部の小さな街ポルトフィーノ。コンサートが行なわれたのは、この小さな街の広場。そこにちょっとしたステージを作り、椅子とテーブルを置いてコンサートを楽しんでいる。バックの建物の住民や、湾上のヨットに乗りながらライヴを楽しんでいる人たちもいる。なんと優雅な音楽の楽しみ方だろう。
この街、名前も知らなかったが、調べてみると、面積2.6平方キロのふだんは人口500人という村。リッチな人たちが別荘を持っていたりする場所。観光客ばかりだが、バックに映る建物には高級ブランド店が立ち並ぶ高級リゾート地のようだ。
コンサートの席はせいぜい4-500から後ろ側を含めても800席もないと思う。ただ住人、ヨットで見てる人を加えるともう少し多い。ブルーノートを一回り大きくしたようなオープンエアで、なにしろ昔からの建物にライトアップが美しく、その湾とともに見事な景観となっている。
最前列のテーブルにはデイヴィッド・フォスターと同郷の大先輩、ポール・アンカ、音楽家マイケル・ケインや地元の名士などが、シャンパーン(デイヴィッドの発音をアンドレアが直していた)を片手に見ている。
始まったときはまだ陽もあり明るかったが、徐々に暗くなり後半はすっかり夜の帳が落ちていた。
その予告編。素晴らしい景観もわかる。こんなところでライヴを楽しめたら本当に優雅で素敵だ。
http://youtu.be/ADsl5yakB7s
バンドは、ジョン・ロビンソン(ドラムス)、ボー・クーパー(キーボード)、キース・ネルソン(ベース)らを含むリズム隊に約40人のオーケストラ。デイヴィッド・フォスターがあの調子で名司会者ぶりを発揮、次々とゲストを紹介して音楽を奏でる。ゲストにはヘレン・フィッシャー、サンディー、クリス・ボッティー、ボチェッリのフィアンセ、ヴェロニカら多数。
「今日はイタリア語、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語などで歌われますが、共通のテーマはロマンスです」とデイヴィッド・フォスターが言うように、この美しいセッティングでのコンサートというのは、本当に魅せられた。「世界でもっとも愛されているテナー、アンドレア・ボチェッリが地球上でもっとも美しい場所でのアウトドア・コンサート」という触れ込みも大げさではなかった。
ボチェッリの新作『パッション』は2006年の『アムール』をデイヴィッドがプロデュースして以来のもの。アンドレアの歌はもう世界でもっとも愛されているテナーだから間違いない。
選曲は基本的にその『パッション』収録のもの中心だが、これがまた誰でも知ってる曲ばかりで王道の選曲。下記セットリストをご参照あれ。故エディット・ピアフとの「ゴースト・デュエット」など、ナタリー・コールの「アンフォーゲッタブル」でやって以来すっかりデイヴィッドの十八番になっている。
ニール・ダイアモンドの「セプテンバー・モーン」をアンドレアがイタリア語で歌詞をつけて歌った。
そして、最後アンコールでは作者ポール・アンカの前でアンドレアがピアノの弾き語りで「マイ・ウェイ」を歌うという超ベタな演出も見せた。
このポルトフィーノはディズニー・シーの景観のモデルになったと言われる街で、昔から多くのセレブが遊びに来て、その写真が映画の中でも紹介された。
なお、この作品はテレビで放映された後、DVD化一般発売される。
この日の映画館では、ワイン片手に映画を鑑賞されている方もいた。家で見る時もワインかシャンペーン片手に見るのがお勧めだ。いやあ、一度でいいからあんな環境でライヴを見てみたいなあ。
~~~
音楽力。
ひとつ、音楽映画という点で気づいたこと。
どんどん途中からアンドレアとデイヴィッドのマジックにかかり、まるでそこでライヴを楽しんでいるような気分になっていったが、そうなると、数多くあるカメラから撮影された映像がひんぱんに切り替わるのが本当に鬱陶しく感じられる。
つまり、「もっとこの映像をじっくり見せてくれ」という気になる。
2-3曲でいいから湾から望遠で来たクレーンのカメラが切り替えなしにひたすらアンドレアに近づき、彼を正面で撮り、それが一曲中続いていくような映像が欲しかった。音楽に集中すればするほど、音楽がよければよいほど、映像の切り替えなど必要なくなるのだ。
映像を切り変えるのは、一点にとどまっていると観客が飽きるだろうからというのが理由のようだが、音楽に力がある場合、音楽の力そのもので映像に語らせればいいのだ。余計なことはしなくてよろしい。そこまで考えられる映像プロデューサーというか監督はほとんどいないのだろう。たぶん音楽家出身で映像も撮れる人でないとだめなんだろうと思う。
その点、昔の映像はカメラが1台しかなく切り替えができなかったこともあるが、演者の力がストレートに画面から伝わってきた。
音楽ライヴを撮る場合、カメラの台数が多ければ多いほど、アーティスト自体の音楽力のエネルギーがパワーダウンするような気がしてしかたがない。もちろん映像の編集などがうまい場合、映像力はアップしているのだろうが。バランスなのだろう。今回は18曲あるので、そのうちの2-3曲だけでも1曲フルサイズをワンカメラで撮ったらどうなっただろう、と強く思う。
ANDREA BOCELLI: LOVE IN PORTOFINO
Running time: 82 mins
Setlist:
01. Cinema Paradiso (featuring Chris Botti)
02. Senza Fine Enema e Core (featuring Caroline Campbell)
03. Quizas Quizas Quizas
04. A Mano A Mano
05. Perfidia
06. Champagne
07. Corovado (featuring Sandy)
08. Tristeza
09. La Vie En Rose (featuring Edith Piaf)
10. Something Stupid (featuring Veronica Berti)
11. Besame Mucho
12. Love Me Tender
13. September Morn (Neil Diamond song)
14. When I Fall in Love (featuring Helene Fischer, Chris Botti)
15. Roma Nun Fa la Stupida Stasera
16. Era Gla Tuto Provisto
17. Love in Portofino (featuring Caroline Campbell)
18. My Way
Recorded Portofino, Italy, August 2012
■アンドレア・ボチェッリ パッション
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00AG6Z92C/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■関連記事 デイヴィッド・フォスター・ライヴ
デイヴィッド・フォスター&フレンズ・ライヴ~抜群の司会っぷりのフォスター
2012年11月14日(水)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11403508421.html
ENT>MOVIE>Bocelli, Andrea
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