◎ミッシェル・ルグラン・ライヴ~「オータム・オブ・‘12」

【Michel Legrand : Another Legend’s Autumn Of ‘12】

レジェンド。

まさに「レジェンド」の名にふさわしい大物アーティスト、ミッシェル・ルグラン。1932年(昭和7年)2月24日生まれというから、御年80歳。これまでに200本以上の映画音楽やテレビ用音楽、アルバムも100枚以上作ってきているというから巨匠中の巨匠だ。去年の評判を聞いて興味を持っていたので、今年初めて足を運んだ。

すでに墨田トリフォニーでオーケストラとのコンサートもやっていたが、この日はトリオでのブルーノートのライヴは年齢層高いファンで超満員、立ち見まで出るほどだった。ジャズ・ファンというより映画音楽ファンが多いような印象を受けた。

多くの人と同様、僕はミッシェル・ルグランといえば1970年代に映画音楽の作曲家ということで知ったが、ミスター・ルグランが実は生粋のジャズ・ミュージシャンだったということがよくわかった。フランス語なまりの英語でかなり聴き取りにくかったが、最後のアンコールに入る前に「自分は昔、ジャズ・ピアニストとしてやっていきたかった」と言って、自分の夢の中に次々と伝説のピアニストが出てきてプレイしていったと話しながら、その彼らの代表曲を次々とプレイした。デューク・エリントン、ジョー・シュリー、ファッツ・ドミノ、オスカー・ピーターソン、カウント・ベイシーなどを紹介しつつ、少しずつメドレーにしてプレイした。

また、本編最後、代表曲のひとつ「シェルブールの雨傘」は、なんと同じ曲をさまざまなアレンジで次々とメドレーにして聴かせ、まるで違う曲が次々とかかるような感じさえした。これはこの日の最大のハイライト。自分の曲をここまで彩を変えてアレンジできるなんて、なんて素晴らしい才能だろう。

ミッシェル・ルグランの音楽は、映画音楽が多いせいか、とても映像が浮かび上がるような音楽だ。そして、オーケストラとのコンサートでない分、自由度が高い感じがした。

バカラックにしろ、ルグランにしろ、このクラスの伝説の人たちは、やはりその長い年月の積み重ねがそのプレイに存分に現れる。樹齢何百年の太い木の年輪に触れるかのようだ。心残りは「サマー・オブ・’42(おもい出の夏)」(1971年)が聴きたかったこと。別のセットではやっていた。来年、もしオーケストラとのコンサートがあれば、ぜひ見たい。

LES PARAPLUIES DE CHERBOURG(シェルブールの雨傘)

http://youtu.be/3JS4JMY0JWM



Summer Of ’42 (Summer Knows)

http://youtu.be/kWMxX5MGuHI



■ミッシェル・ルグラン

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004OUK25U/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

Michel Legrand(p)
ミシェル・ルグラン(ピアノ)
Pierre Boussaguet(b)
ピエール・バウサエ(ベース)
Francois Laizeau(ds)
フランソワ・レゾー(ドラムス)

■セットリスト

Show started 17:01
01.Ray Blues
02.You Must Believe In Spring
03.The Young Girls of Rochefort ?
04.Dingo Lament
05.Dingo Rock (Song With Miles Davis)
06.What Are You Doing The Rest Of Your Life
07.Family Fugue
08.Les Parapluies De Cherbourg
09.Les Pianistes De Jazz
Show ended 18:14

(2012年10月7日日曜、ブルーノート東京、ミッシェル・ルグラン・ライヴ)
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