◇フェラ・クティー自伝発売~明らかになるその激動の人生

【Fela Kuti: Biography Released】

発売。

アフリカ西部のナイジェリア出身のミュージシャンで黒人解放活動家でもあるフェラ・クティーの自伝『フェラ・クティ自伝』(カルロス・ムーア著、菊池淳子訳)がケン・ブックス/現代企画室から2013年7月11日、発売された。

フェラ・クティーはナイジェリア出身アーティストとして、いわゆる「アフロ・ビート」と呼ばれるビートの強いダンサブルな音楽を作った人物として知られる。ジェームス・ブラウンは、フェラ・クティーの音楽と出会って大きな衝撃を受け、また、フェラもアメリカのR&B、ブラック・ミュージシャン、そしてジェームス・ブラウンと接することで大きな影響を受け、ソウル的なアプローチをするようにもなった。

あまりいいとは言えないが、フェラのことをまったく知らない人のために「アフリカの(あるいはナイジェリアの)ジェームス・ブラウン」と言えば、その偉大さが少しは伝わるかもしれない。常にときの政権と戦い、投獄され、自身の思いを音楽作品にこめたくさんのアルバムを出してきた。

最近ではニューヨーク・ブロードウェイで『フェラ!』という彼を題材にしたミュージカルがロング・ヒットしている。

フェラは1938年10月15日ナイジェリア生まれだが、1997年8月2日、58歳エイズの合併症で死去。1958年から1963年にはイギリス留学。1969年、渡米。アメリカにおける黒人解放運動を見て影響を受ける。

本書はキューバ出身の作家、カルロス・ムーアが1982年、フランス版と英語版を第一版としてリリースした。その後リリースされた第二版を元に日本語化したもの。第二版には英語版とナイジェリア版があり、そのほかドイツ、イタリア、ブラジルなどでもリリースされているが、微妙に違うとのこと。

カルロス・ムーアは1942年11月4日キューバ生まれ。彼は1981年ラゴスに滞在し15時間にわたってフェラにインタヴューをするだけでなく、彼の15人の妻や周辺の関係者にも話を聞いてこの自伝をまとめた。同地では複数の妻を持てる一夫多妻制。フェラは27人の花嫁と同時結婚などもした人物だ。またときの政権に目をつけられ何かにつけ投獄されたりし、そのたびに反体制派としての意思がどんどん強くなっていった。

フェラの伝記物はいくつか出ているが、その多くがこの著作を元にしているようだ。

汚職、腐敗、権力闘争がうずまくナイジェリアで反体制派のフェラは常に目をつけられ、痛めつけられた。第一人称でフェラは自身の歴史を振り返る。それは、まるでジェームス・ブラウンやマイルス・デイヴィスが一人称で自身を振り返るようだ。

翻訳をした菊池さんはこの原書に10数年前に出会いほれ込み、ずっと日本版の出版を祈願して動いていた。直接著者のカルロス・ムーアとやりとりをして、やっとの思いで出版にこぎつけた。

フェラの音楽は、基本的にはライヴ音楽で、ライヴで人気を得た曲をレコーディングするともうライヴではやらなくなった、という。しかし、レコードは膨大な数が出ており、つい最近もCD26枚(+1枚DVD)のボックスセットが出た。

たまたま僕はイギリスで1982年に出た本書の初版本を銀座の洋書店イエナ(いまはもうない)で1985年10月21日、3610円で購入した。当時は本当に洋書が高かった。

フェラ・クティーに興味のある方、アフリカの音楽、ナイジェリアの音楽などに興味のある方はぜひごらんください。

■フェラ・クティー自伝 カルロス・ムーア著、菊池淳子訳 (約25万字超)350ページ・四六版 (18.8 x 12.8 x 3.2 cm) 2300円

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英語版

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CD26枚+DVDボックス

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