【ソウル・エクスプレス・ライヴ】

吉祥寺。

東京在住のブラック・シンガー、ウォーネル・ジョーンズ、ダズル・ジェームス・ノーウッド、JRロビンソンらによるグループ、ソウル・エクスプレスのライヴ。吉祥寺の今は亡きチャ・チャ・ハウスのハウス・バンドだった彼らが、チャチャなき後、地元のライヴハウスで時折やっているライヴ。

気軽にソウルのカヴァー曲が、ファンキーなバンドとともに演奏される。心なしか、ハンコ屋さんのギターもいつもより黒い。ノンストップで続くと、客席の前の方では踊りだす人たちも多数。この観客たちが、吉祥寺独特というか、なかなかユニークで、老若男女、みな自由に生の音楽を楽しみながら踊っている。なんか、この観客とこのバンドを見ていると、ある種、吉祥寺文化圏のようなものさえあるような気がしてくる。

ソウルカヴァーも1970年代から2000年代までそつなくヒット曲が選ばれている。しかも、ユニークなのが、曲によってけっこう凝ったアレンジがされていること。よかったのは、レディー・ヨーとウォーネルが歌った「ラヴリー・デイ」。原曲とはかなり違ったファンキーなアレンジでおもしろかった。あるいは、「スーパースティション」とJBズをミックスして演奏するところなどもユニークだ。

普段から普通にソウルのライヴ・バンドが聴ける場所としてチャ・チャ・ハウスはひじょうに貴重だっただけに、このようなバンドが単発でもライヴをやってくれるのは嬉しい。

■ メンバー
Soul Express
ウォーネル・ジョーンズ[vo.b] Reddy Yo[vo.key]西山"HANK"史翁[g]"DAZZLE"ジェームス・ノーウッド(vo.b) JR.ロビンソン[drs]
guest:Nusty Horns 後藤輝夫(sax)表雅之(sax)

Setlist : Soul Express @ Star Pine’s Café, March 4th, 2008
セットリスト ソウル・エクスプレス
[ ] denotes original artists

Show started 19:45
01. Feel Like Making Love [Roberta Flack, Marlena Shaw]
02. We’re All In This Love Together [Al Jarreau]
03. Papa Was A Rolling Stone [Temptations]
04. Let’s Stay Together [Al Green]
05. Superstition – Doing It To Death (Have A Funky Good Times) [Stevie Wonder, Fred Wesley & JB’s]
06. Between The Sheets [Isley Brothers]
07. You’ve Got A Friend [Carol King, Donny Hathaway]
08. Rhythm of “What’s Going On” with “Mercy Mercy Me” riff. [Marvin Gaye]
Show ended 20:40

Show started 21:25
01. Slipping Into Darkness [War]
02. A Riff Of “Play That Funky Music” to Skin Tight [Wild Cherry, Ohio Players]
03. Lovely Day [Bill Withers]
04. Georgy Porgy [Toto, Eric Benet]
05. Never Too Much [Luther Vandross]
06. Close To You [Maxi Priest]
07. Nobody, Somebody (?)
08. The Glow Of Love – All For You [Change, Janet Jackson]
09. Ain’t No Stopping Us Now [MacFadden & Whitehead]
10. What’s Your Flava [Craig David]
11. I Wanna Be The One (?)
12. Galaxy [War]
13. All I Wanna Do Is Fever (?)
14. September [Earth Wind & Fire]
15. Sex Machine [James Brown]
Show ended 23:00

(2008年3月4日火曜、吉祥寺・スター・パインズ・カフェ=ソウル・エクスプレス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Soul Express
2008-30
【インコグニート〜日本は第2の故郷】

親日家。

このところ毎年のように来日しているイギリス・ベースのジャズ・ファンク・バンド、インコグニートを久々に見た。ジャズ・ファンクというよりは、ポップなパーティー・バンドと言ったほうがいいかもしれない。そのリーダーはモーリシャス出身のブルーイ。親日家という言葉では足りないほど、日本を愛しているブルーイ、まさに日本は第2の故郷だろう。(ちなみに奥さんは大阪出身の日本人の方)

『JVCジャズ』への出演も含めてブルーノートで5日間。この日もほぼ満席。インコグ人気は根強い。やはり、このシンプルな覚えやすいメロディーとわかりやすいポップなサウンドが最大の魅力だ。そして、インコグニート(匿名)と名乗るように、個々のミュージシャンやシンガーにずば抜けた人を選ばず、全体のサウンドの中に個性を標準化しているところがすごい。グルーヴ感のあるバンド・サウンドは気持ちいい。とはいうものの、初めて聴いた男性シンガー、トニー・モムレムはどこかフランク・マッコムを思わせるかなりいい声をしていて、フランクがインコグをバックに歌っているような感じを持った。

ドラムス、キーボード、ギター、ベース、ホーン3人、コーラス4人の11人がオンステージ。客層は30代〜40代を中心に20代も。ブルーイの「初めてインコグニートのライヴに来た人」という問いに半数近くが手をあげた。

日本語をはさみながら、ライヴは進行。「オッパッピー」や「ノッテルカイ!」まで披露。(ちょっと古いところがかわいい)「エジプト」「ドンチュー・ウォーリー」あたりのメドレーの部分は観客も立ち上がり、大いに盛り上がる。

「今からみんなを29年前にお連れしよう。1979年、僕は友人と2人でインコグニートを始めた。その彼、ポール・ターブス・ウィリアムスと一緒に初めてレコーディングした曲が次の曲だ。しかし、そのポールは昨年、44歳という若さでなくなった。これは、その彼に捧げる」と言ってプレイしたのが、「サマー・ハズ・エンデッド」という曲。すでに29年の歴史を誇る堂々たるバンドだ。一方4月にリリースされるという新作『テイルズ・フロム・ビーチ』に収録される「ハッピー・ピープル」も初お披露目した。

「その昔、サンタナのアルバムに『レコーデッド・イン・ジャパン』と書いてあるのを見て、いつか日本に行きたい、と思った。ディープ・パープルの『ライヴ・イン・ジャパン』を聴いて、いつか日本に、と思った。そんなあこがれの日本に来られて本当に幸せです」

本編最後の「モーニング・サン」は、ブルーイがモーリシャスの祖父たちから学んだ哲学。「朝の太陽は、すべてを忘れさせてくれる。いやなことを忘れて新たな1日が始まる。世界中のみんなが朝の太陽を思い切り浴びれば、ワン・ネーションになれる」(下記2002年12月10日付けのインタヴュー記事を参照) そう語って、彼はこれを演奏した。ホーンの3人もずれながらも、かわいい振り付けをして、エンタテインメントに徹していて楽しかった。ブルーイの雰囲気は、セルメンとピーボを足して2で割った感じの人だと思ったとの声も。あ、3人ともブルーノートのドル箱の方々でした。そして3人とも日本好きだしね。(笑)

(この項続く予定)

■過去記事

2002/11/26(TUE)
Grandfather’s lesson
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200211/diary20021126.html

インコグニート(ジャン・ポール・ブルーイ・モニーク)インタヴュー
『トラヴェリング・ミュージシャンのソウル』(2002年12月10日)
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/interview/incognito20021210.html

2002/12/19 (Thu)
One Nation Under A Groove
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200212/diary20021219.html

■メンバー インコグニート INCOGNITO

ジャン・ポール“ブルーイ”モニック(ギター、ヴォーカル)Jean Paul "Bluey" Maunick(g,vo)
イマーニ(ヴォーカル)Imaani(vo)
ジョイ・ローズ(ヴォーカル)Joy Rose(vo)
トニー・モンムレル(ヴォーカル)Tony Momrelle(vo)
チャーリー・ロックウッド(ヴォーカル)Charlie Rookwood(vo)
ポール・グリーンウッド(フルート、サックス)Paul Greenwood(fl,sax)
シッド・ゴウルド(トランペット)Sid Gauld
トレヴァー・マイルス(トロンボーン)Trevor Mires
マット・クーパー(キーボード)Matt Cooper(key)
フランシス・ヒルトン(ベース)Francis Hylton(b)
リチャード・ベイリー(ドラムス) Richard Bailey(ds)

■セットリスト
Setlist : Incognito @ Tokyo Blue Note, March 3, 2008
セットリスト 

Show started 19:08
01. Solar Fire (Instrumental)
02. Thinkin’ About Tomorrow (Instrumental)
03. Pieces Of A Dream
04. Without You
05. I Hear Your Name
06. N.O.T
07. Reach Out
08. Nights Over Egypt
09. Don’t You Worry ‘Bout A Thing
10. Everyday
11. Summer Has Ended
12. Still A Friend Of Mine
13. Happy People
14. Morning Sun
Enc. Always There
BGM. One Love / Bob Marley
Show ended 20:43

(2008年3月3日月曜、東京ブルーノート=インコグニ−ト・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Incognito
2008-29
【ライアン・ショウ語る】

鋼鉄。

それにしても、ライアン・ショウのライヴは衝撃だった。冒頭のアカペラでのサム・クックから終始その声力で圧倒。ここまで歌い倒すシンガーは、最近なかなかいない。しかも、この日は昼間『JVCジャズ』でも歌っているのだ。

まだ27歳のライアンは、1960年代、1970年代のソウル・ミュージックが熱かった頃のヴァイブを呼び起こしている。十代途中まで両親から世俗音楽を聴くことを許されなかったという彼は、ある意味、純粋培養のゴスペル・シンガーだったのかもしれない。そして、そのゴスペルから世俗的なソウル・ミュージックへ今、第一歩を踏み出した。今のこの時代、十代半ばまで世俗のR&Bやヒップホップに触れずに生きてこれるのか。びっくりその1だ。

さてそのライヴが終わってしばらくすると本人が客席に戻り、サイン会を始めた。輸入盤を持っているファンもけっこういる。「他に、サム・クックやオーティス(・レディング)の曲でレパートリーはありますか」「う〜ん、ステージで歌うのはまだないなあ。でも、もちろん、(将来的に)他の曲も歌う可能性はあるよ」「子供の頃は毎週教会に行ってゴスペルを?」「もちろん、ずっと歌ってた」「最近のヒップ・ホップなども聴くのですか」「ああ、聴くよ」「でも、なんでこうした1960年代や1970年代の曲ばかり歌う?」「そういう作品のほうが、マッチ・ベター(よりよい)だからさ」「誕生日を教えてください」「1980年12月25日、6人(男の)兄弟と1人(女の)姉妹がいる(8人兄弟の1人)。僕は3番目」

ところで、この誕生日、オフィシャル・ページを見ると、12月26日とあり、兄弟構成も上から4番目となっていた。ひょっとして彼が3男で上に姉がいるのか。ただこの時のやりとりで、「君の誕生日はクリスマスで、ジェームス・ブラウンの命日と一緒だね」と言ったら、「おう、そうだそうだ」と返してきていた。ただ、ノリで「イエス」と答えたかもしれないので、次回、ライアンに会う機会があれば、再確認してみたい。あちこちのバイオグラフィーで12月26日生まれとあるので、僕が聞き違えたのかなあ。たしかに25と言っていたが。だが、いろいろ調べているうちにワシントン・ポスト紙のインタヴューで12月25日生まれとあった。さて真実は。あ〜、たかが生年月日が一日違うだけでくどい?(笑)

その記事↓
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/06/29/AR2007062900521.html

ライアンの来日は、今回が4回目だという。1回目はなんと日本でも人気のあるアカペラ・グループ、14カラット・ソウルの誰かの代役で来たという。これはびっくりその2。それから2回ゴスペル・クワイアーの一員としてやってきて、今回が4回目。もちろん、ライアン・ショウとしては初来日だ。

1998年、ライアンはニューヨークにやってきて、以来ミュージカルや、ニューヨークのクラブシーンなどで活動してきた。有名なのは、57丁目にあった「モータウン・カフェ」の箱バンドでの仕事。この頃、多くのモータウン・ヒッツやスタックスのヒットを歌ってきて、そういう音楽を気に入った。

そんな中で、現在のミュージシャンたちとも出会った。ベースの「ビッグ・タイニー」ことマイケル・リンゼイ(1981年8月6日生まれ)にベースのヒーローは誰かと尋ねると、ジャケットを広げ着ていたTシャツを見せてくれた。そこにはジャコ・パストリアスの顔が。「他に、マーカス・ミラー、ヴィクター・ウーテン、アンソニー・ジャクソン、リチャード・ボナ…。たくさんいるよ。僕たちは、ヴィレッジの『グルーヴ』という店や、『ヴィレッジ・ヴァンガード』などで演奏したり、ハングアウトしているうちに知り合ったんだ」と言う。大柄の彼がベースを持つと、ベースが小さく見える。

ギターのロバート・グアリグリア(1978年5月16日生まれ)は、このライアン・ショウのバンドに入る前には、ロバート・ランドルフ(スチールパン奏者)のバンドにいて、当初2週間のツアー予定でライアンのバンドに入った。しかし、それが結局54週間も続くことになった、という。当初、このバンドには1人キーボードがいたが、辞めてしまい、その後補充していない。彼のヒーローはレッド・ゼッペリンのジミー・ページ。彼の名前の発音がひじょうに難しく、何度もやってみたが「ダメだ、違う」と言われ、結局「もういい、ロビーGでいいよ」と言われた。(笑) 英語の発音は難しい。小柄な彼がギターを持つと、ギターが大きく見える。

ドラマーにも話を聞こうかと思ったが、女の子と話に熱中していた様子なので、やめておいた。

松尾さん、ライアンに「オーティス・レディングに会ったことはあるか」と直撃。ライアン笑って「ないよ、僕はまだ生まれてない!」と即答。「動いている映像は?」 「ライヴの映像を見た」 僕も「サム・クックに会ったことはあるか」と尋ねようかと思ったが、やめておいた。

最後にライアンにその喉の強さの秘訣はと聞くと「睡眠と水だよ。とにかく、よく寝て、水をたくさん飲むことだ」との答え。ケイシー(&ジョジョの)の喉も「鉄の声」だが、このライアンの喉はさらに「鋼鉄の声」という感じがする。睡眠と水だけであの声を維持か。びっくりその3だ。僕も思い切りたくさん水(1日2リットル目標)を飲んで、たっぷり寝てみよう。朝起きたら「鋼鉄の声」になってるかなあ。

(2008年3月1日土曜、丸の内コットン・クラブ=ライアン・ショウ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Shaw, Ryan
2008-28
【今年ナンバーワンの新人、ライアン・ショウ・ライヴ】

衝撃。

昨年(2007年)7月に輸入盤が出て、今年4月23日日本盤がリリースされる超強力ソウル・シンガーの新人、ライアン・ショウが本邦初ライヴを行った。すでに一部のソウル好事家(DJオッシー含む)の間では、大きな話題になり本格的なソウル・シンガーとして大注目されていたが、この夜、その全貌が明らかになった。

まずこのCD『ディス・イズ・ライアン・ショウ』では、1960年代風サウンドに1970年代のソウル作品などをカヴァー、しかも泥臭く、南部っぽく、ディープ・ソウルになっていた。なによりその声の存在が素晴らしい。しばらく前のジョス・ストーンのデビュー時、あるいはリッキー・ファンテ、アリあたりのデビュー時を漂わせていた。そんなCDを聴いたSちゃんは、ライアンについて「精子が元気に飛び跳ねてそう」と一言コメント。僕自身このCDは、かなり気に入っていたのだが、果たしてライヴではどうなるのか。期待に胸を弾ませ松尾潔さん、オッシーとともにコットンへ。コットンでは偶然隣の席にルーシー・ケントさんも。

会場に着くと驚いたことにこの無名のライアン・ショウのライヴ、ほとんど満員。輸入盤で知ってきたファンか。土曜も前日金曜も、1回のショウしかないからか。どこからこんなに集まるのか。これはすごい。

バンドは、ドラムス、ギター、ベースの3人。ライアン、ステージに上がり、マイクを握っていきなり”I was born by the river in a little tent…”とアカペラで歌いだすではないか! 衝撃が走る。いきなりサム・クック。さらに、アルバムでもカヴァーされていたボビー・ウーマックの「ルッキン・フォー・ア・ラヴ」へ。1−2パンチだ。これらの曲はすべて彼が生まれる前の曲だが、かつてのソウル・ミュージックが「リアル」な響きを持っていた頃の良さを2008年に表現していた。しかも、この声のすごさ。

変化球なし、直球で100マイル(160キロ)以上の剛速球を何も考えずストレートにキャッチャー・ミットめがけて投げるようだ。声で、声力で観客を有無を言わせずねじ伏せる。恐れ入った。まさに彼も声だけで金が取れるシンガーだ。少しサム・ムーアを思わせるようなちょっと甲高いところもあるが、低めの音もがーんとくる。

「レット・イット・ビー」は、まるでアレサかライアンか、ゴスペルシンガーか、というほどゴスペル的な解釈。お見事。ドレッド姿のライアンがボブ・マーレーを歌うというのも、悪くない。

唯一個人的に気になったのが、ギターのロブG。彼は完全にロックの人だった。彼にレイ・パーカー風のバックに徹したリズム・ギターを習得して欲しい。ライヴ後話す機会があったが、好きなギタリストはの問いにすかさず「ジミー・ページ(レッド・ゼッペリン)」ときたもんだ。「わかった、やっぱりね」という感じだ。(笑)でも、話した感じはすごくいい奴。

ショウの圧巻は後半、オーティスの「トライ・ア・リトル・テンダネス」、ピケットの「アイ・ファウンド・ラヴ」、アーマ・フランクリン(一般的にはジャニス)の「ピース・オブ・マイ・ハート」あたりの熱唱系作品群。もし、オーティス・レディングが若かったら、こんな風に歌ったのかとも一瞬思わせられた。「トライ…」は、ファイン・ヤング・カニバルズ以来の見事なオーティス・カヴァーだ。この3曲は文句なく素晴らしいパフォーマンスだ。熱く、暑く、厚く、その声で圧倒してくる。トータス松本さん、忌野清志郎さんらは、もうこのライアンを聴いているだろうか。ぜひ彼らに見せたい。

3曲目で、早くもワキの下に汗をかき、それがシャツから染み出てきたが、中盤では汗は背中にも、そして、最後には腕のところまで汗が滴る。隣にいたMさん「あせワキパットをプレゼントしたいわ」。ワキから腕筋まで汗のつながる瞬間をみた。シンプルな3ピースバンドも、基本的にはすごくいい感じで、たった4人で(音楽業界に)革命を起こせるのではないか、とも思わせられる。ライアンのバンドは、彼の声を引き立たせることに徹底すればいいと思うが、それでもドラムス、ベースはいいコンビネーションだ。

彼は昨年デビューアルバムを出しているので、来年のグラミー賞・新人賞の資格はもうないのだろうか。個人的には、今年初めて知って、ライヴを見たという意味で、早くも彼に「ソウル・サーチン新人賞」を授与したい。「精子コメント」のSちゃん、ライアンのライヴを見て「もう妊娠するかと思った」。

(この項続く=ライヴ後、ミュージシャンとライアンに少し話を聴いたのでその模様などを)

■ デビューアルバム 『ライアン・ショウ・ディス・イズ・ライアン・ショウ』(ビクター、2008年4月23日発売)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0014GUA7M/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー
Ryan Shaw(vo), Robert Guariglia(g), Michael Lindsey(b), Keith McCray(ds)

■セットリスト ライアン・ショウ
Setlist : Ryan Shaw @ Cotton Club, March 1, 2008
setlist transcribed by the soul searcher

show started 19:31
01. A Change Is Gonna Come [Sam Cooke]
02. Looking For A Love [Bobby Womack]
03. I Am Your Man [Bobby Taylor & The Vancouvers]
04. Nobody
05. Overjoyed [Stevie Wonder] (bass solo)
06. We Got Love
07. Let It Be [Beatles]
08. Over & Dune
09. Chosen [To be included upcoming second album]
10. Redemption Song [Bob Marley]
11. Shake It Up
12. I Do The Jerk
13. Try A Little Tenderness [Otis Redding]
Enc.1. I Found A Love [Wilson Pickett]
Enc.2. Piece Of My Heart [Erma Franklin, Janis Joplin]
Enc.3. Do The 45
Show ended 20:58

(2008年3月1日土曜、丸の内コットン・クラブ=ライアン・ショウ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Shaw, Ryan
2008-28
【フィリップ・ウー、メンバー変更】

変更。

来る3月6日目黒ブルース・アレーで行われるキーボード奏者、フィリップ・ウーのメンバー編成が若干変わった。当初予定されていたリード・ヴォーカル、マクサン・ルイスが、帰郷先のロスアンジェルスで交通事故に遭い、日本に戻れなくなったため、急遽、別のシンガーがブッキングされた。今回リードを取るのは、アンドレア・ホプキンスという日本在住の黒人女性シンガー。普段はR&Bを中心に歌っている、という。

また、ギターの西山ハンコ屋が急遽キャンセルに。しかし、グッドニュースも。前回の告知でお知らせした木下航志が、2曲で参加することが確定。ゲストで歌うことになった。まだ演奏曲は最終的には決まっていないが、おそらく1曲は「ワイルド・ホーセス」になるのではないかと見られている。

今回のライヴのタイトルは、『スプリング・ソウル・セレブレーション』。フィリップが好きなソウル作品を、気心の知れた仲間内でセッション的に演奏して楽しもうというコンセプトのライヴだ。

■ 過去記事
February 25, 2008
Philip Woo’s Live Will Be “Spring Soul Celebration”
http://blog.soulsearchin.com/archives/002347.html
(ここに過去記事一覧があります)

◎Philip Woo Session : Spring Soul Celebration

(Vo)Andrea Hopkins (Key)Philip Woo (G) Masa Kohama (B)Keith Williamson (Ds)Jay Stixx Guest: Kishita Kohshi(Vocal)

日時 2008年3月6日(木)午後7時半〜 午後9時15分〜
場所 目黒ブルース・アレー http://www.bluesalley.co.jp/
住所 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-3-14 ホテルウィング・インターナショナル目黒B1F
電話  03−5740-6041(予約専用電話)お店の番号03-5496-4381
前売券 テーブル席(指定)4,000 当日券は500UP (各税込)

ENT>ANNOUNCEMENT>LIVE>Woo, Philip
【クルセイダーズ・ライヴ〜超一流ミュージシャンたちのミュージシャンシップを垣間見る】

オレオレ。

2007年9月の東京ジャズ以来約5ヶ月ぶりのジョー・サンプルの来日はクルセイダーズのメンバーとしてのライヴ。今回は、ドラムにニューヨークのナンバーワン、スティーヴ・ガッドが入り、強力布陣に。客層もクルセイダーズ・ファンらしき人たちが多数。人気の根強さを見せ付ける。

クルセイダーズ、3日間、6回、超満員で札止め。これもスティーヴ効果なのか。息苦しいほどの満席。最初にスティーヴのドラムが出た瞬間、「音、小さい!」。しかし、まさに円熟味か、渋い、大人のジャズといった趣を醸し出した。全編インストゥルメンタルなのに、まったく飽きない。まもなく、ジョーのフェンダーローズの音が響きだすと「ジョー・サンプル・ワールド」が一瞬にして広がる。そして、そこにウィルトン・フェルダーのサックスが絡むと、一瞬にして「クルセイダーズ・ワールド」色に染まる。いいねえ。

1970年代作品を中心に80分余。センスのよい大人の時間を作り出している。1960年代初期にできたウーリッツァーをテキサスからまたまた持ってきたそうで、「これは僕の古いピアノ」と言って紹介した。「いろいろ、新しいシンセサイザーなんかも使ったが、やはりこれよりもファンキーで泥臭いサウンドは出せない」と愛器を説明。

いつもながら、ジョー・サンプルのユーモアあふれる曲解説はおもしろい。例えば、4曲目「バラード・フォー・ジョー」。このジョーはジョー・サンプルのジョーではなく(当たり前か=(笑))、1940年代に大活躍した黒人ボクサー、ジョー・ルイスのこと。デトロイト出身のヒーローだ。「1940年代、アメリカの黒人はみんなボクシングの試合をラジオにかじりついて聴いていた。そしてボクサーのジョー・ルイスが勝てば、黒人はみなハッピーになった。だがジョーが負ければ、アメリカ中の黒人が落ち込んだ。これは、そんなジョー・ルイスへのバラード」。そんなことを言われてこの曲を聴くと、ボクサー・ジョー・ルイスが試合を終えて、静かに佇んでいる姿が浮かぶようだ。

ウィルトン・フェルダーも、ニルス・ラングレンも、スティーヴ・ガッドも、ニック・サンプルもみな自分の持ち場をしっかり押さえながらも、バンドマスター、ジョーを引き立てようという雰囲気が漂う。ある意味、全員プロ中のプロだ。ファースト・クラスのミュージシャンたちの阿吽(あうん)の呼吸を思う存分見せてもらう。

それにしても、この静けさの中にある黒っぽさとグルーヴ感。しかし、そんな空気の中、アンコールでは、レイ・パーカーが「俺の出番だぞ」と言わんばかりに、ヒットを1、2フレーズ歌って、「ゴーストバスター」へ突入。最後はパーティーにしてお開きだ。それまで一歩下がって、ジョーたちを引き立てていたが、ここはオレオレで前面にでてきて思い切り浮き上がった。(笑)

■クルセイダーズは2月29日(金)と3月1日(土)にJVCジャズフェス渋谷オーチャード・ホールに出演します。こちらはチケット当日券などもあり。

■ 過去関連記事

September 22, 2007
Tokyo Jazz 2007: Joe Sample & Randy Crawford, Candy, Etc.
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200709/2007_09_22.html
(ここに過去関連記事一覧があります)

■ メンバー

ジョー・サンプル(フェンダーローズ、ウーリッツァー)Joe Sample (fenders rhodes, wurlitzer)
ウィルトン・フェルダー(サックス)Wilton Felder (sax)
レイ・パーカーJr. (ギター)Ray Parker Jr. (g)
ニルス・ラングレン(トロンボーン)Nils Landgren (tb)
ニック・サンプル(ベース)Nick Sample (b)
スティーヴ・ガッド(ドラムス)Steve Gadd (ds)

■セットリスト
Setlist : Crusaders @ Blue Note Tokyo, February 26, 2008、Tuesday
セットリスト クルセイダーズ

First set:
Show started 19:01
01. Free As The Wind
02. Creepin’
03. I Felt The Love
04. Ballad For Joe (Lewis)
05. The Territory
06. So Far Away
07. Snowflake
08. Put It Where You Want It
Enc. A Riff of It’s Time To Party Now / A Woman Needs Love
Enc. Ghost Busters
Show ended 20:24

(2008年2月26日火曜、東京ブルーノート=クルセイダーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Crusaders
2008-27
【ケイシー&ジョジョ:熱き鉄の声の格闘技】

格闘技。

いやあ、しかし、熱い熱い。ケイシー&ジョジョの久々のライヴ。しばらく前に、六本木ヒルズのイヴェントで2-3曲やったのを見たが、フルショウは久々。

いやあ、しかし、すぐ脱ぐ。2曲目でいきなり、ジャケット脱ぐ。暑いのだろう。すぐに3曲目「ライフ」でシャツのボタン3つはずす。5曲目でそのシャツ脱ぐ。その下には白のアンダーシャツ。しかし、8曲目でそのアンダーシャツも脱ぐ。タトゥーいっぱいの上半身裸。9曲目でちょっとだけ、ズボン下ろす。パンツは脱がない。11曲目ボビー・ウーマックの大ヒット「イフ・ユー・シンク・ユー・アー・ロンリー・ナウ」では、お約束、ボディーガード2人を従え、肩車に乗り、会場内を一周、ファンは熱狂だ。

声の面ではケイシーはまったく問題ない。まさに「鉄の声」(←黒沢薫氏命名)。しかし、ジョジョが少しばかり声がかすれ気味の弱り気味。声のメンテナンスが必要か。だが、2人の声のバトルは、まさに「声の格闘技」(←吉岡正晴命名)。

この日は、ちょうどオフになった黒沢薫さんが彼がかわいがっているシンガー、冨永裕輔くんに勉強のために見せたいということで一緒にやってきた。黒沢さん、「ライフ」あたりから、ケイシー&ジョジョにあわせて、歌う歌う。しかし、バンドの音が超でかいので、黒沢生ヴォイスも埋もれ気味。(って、当たり前か=(笑)) ジョデシー・メドレーもいいが、ケイシー&ジョジョの作品群はまさに黒沢さん青春真っ只中でどの曲も口ずさむ。その彼もジョジョの声を残念がる。

ライヴ後、黒沢さんらとバックステージでケイシー&ジョジョに表敬訪問。ケイシー、黒沢さんに言う。「いやあ、素晴らしい曲(ゴスペラーズの「ひとり」=ケイシーたちが最新作『ラヴ』で英語にしてカヴァー)ありがとう。もっと、曲、くれよ、オーイエー」 「いくらでもありますよ! 『永遠に』とか(笑)」と黒沢さん。ライヴ後だから、ケイシーのりのりの興奮気味。ジョジョに「喉、一週間持つ?」と尋ねると「大丈夫だよ。仕事だから、やらなきゃ」とあっさり。がんばってくれ。

いやあ、しかし、ケイシーは1969年9月2日生まれで38歳、ジョジョが1971年6月10日生まれで36歳。なんかもっと若く見える。そして、いつもケイシーのほうが弟に見えてしまう。やっぱり、来たら毎回見ちゃうなあ。

(この項、ひょっとすると続くかも)

■ケイシー&ジョジョ、3月1日(土)までビルボード・ライヴ東京でライヴ。3月3日〜5日、大阪ビルボード・ライヴに出演。

■ 過去記事

2004/02/13 (Fri)
K-Ci & Jojo Are Half Of Jodeci, K-Ci Is Half Of K-Ci & Jojo: Live At Shibuya Duo
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040213.html

May 24, 2005
KCi & Jojo Live: Hot & Sweat & Explosion
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200505/2005_05_24.html

May 25, 2005
K-Ci & Jojo: Ain’t No Stoppin’ Them Now
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200505/2005_05_25.html

August 30, 2006
K-Ci Hailey On "Soul Blends"
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200608/2006_08_30.html

August 31, 2006
K-Ci Hailey On Top Of Roppongi Hills
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_08_31.html

■セットリスト

Setlist : K-Ci & Jojo @ Billboard Live, Feburary 25, 2008
セットリスト ケイシー&ジョジョ ビルボード・ライヴ

Show started 21:29
01. Intro (Highway)
02. You Bring Me Up
03. Life
04. Jodeci Medley (4 –10): Stay
05. Come And Talk To Me
06. Forever My Lady
07. Feenin
08. Freak ‘n You
09. How Do You Want It
10. Get On Up
11. If You Think You’re Lonely Now
12. Crazy
13. Tell Me It’s Real
Enc. All My Life
Show ended 22:45

(2008年2月25日月曜、ビルボード・ライヴ東京=ケイシー&ジョジョ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>K-Ci & Jojo
2008-26

△Orito Dies At 43

2008年2月27日
【オリト死去】

急逝。

ソウル・シンガー、オリト(アーティスト表記=ORITO=本名・折戸都志郎)が2008年2月23日(土)、ツアー先の大阪のホテルで死去した。43歳だった。死因は急性心不全。

オリトは、1964年6月1日、名古屋出身。商社マンとしてサラリーマンを経験したあと、自分が好きだったソウル・ミュージックを歌いたいということで、1990年代に単身メンフィスの名門スタジオ、ハイ・レコードのロイヤル・スタジオに出向き、アル・グリーンの育ての親、ウィリー・ミッチェルに直談判。自費で3曲のデモ・テープを録音。そのデモ・テープが日本のレコード会社、ビクターの目にとまり、同社と契約。残りの作品を再びメンフィスに渡り、レコーディング、1995年6月21日、満を持してアルバム『ソウル・ジョイント』デビュー。ソウル・ファンの間でも大いに話題になった。

その後1997年5月、2作目『ソウル・フード』、1999年3作目『ロスト・アンド・ファウンド』を発表。最近はインディで活躍していた。

2008年2月22日金曜、大阪・梅田の「サード・ストーン」というお店でギタリスト、星川薫さんと元ヒューマン・ソウルのサシー・トモさんとのライヴを敢行、ライヴ後軽く食事をした後ホテルに戻り、その後他界した。23日正午からミーティングの予定があったが、待ち合わせ場所にやってこなかったため、事務所社長がホテルの部屋に確認に行ったところ、すでに死去していた、という。23日土曜は、大阪・難波の「マーヴィン」でライヴの予定があった。

すでに通夜、葬儀はそれぞれ24日(日)、25日(月)大阪で執り行った。

+++++

追悼。

シンガー、オリトのプロジェクトは当時ビクターのディレクターで、現在渋谷でソウル・バー「モリゲン」を経営する森元さんが力を注いでデビューにいたった。そのときは、テレビの『ニュース・ステーション』でも特集され、そこではウィリー・ミッチェルのコメントも紹介されていた。1995年のことだ。そのファースト・アルバムはウィリー・ミッチェル・プロデュース、全編英語で「レッツ・ステイ・トゥゲザー」なども入っていてちょっとした衝撃だった。

最近では、NHK−FMの尾臺さんの番組『ソウル・ミュージック』のライヴなどにも出演、フル・ショウとしては2004年8月にブルース・アレーで見た。しかしなんと言っても印象的だったのは、青山のソウル・バー、OAが閉店するときのパーティーでのことだ。彼がやってきて、2−3曲歌った。そのとき、彼は泣いていた。2006年3月のことだった。(そのときの様子↓)

March 13, 2006
OA Farewell Party
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200603/2006_03_13.html

それにしても、43歳で急逝とは。マーヴィン・ゲイ(44歳で死去)より若いではないか。ご冥福をお祈りしたい。また、ソウル関係の番組で今後追悼特集などが予定されるはずだ。

ENT>OBITUARY>Orito, 06/01/1964 – 2/23/2008, 43

▼80th Oscar (Final): 2008

2008年2月26日
【第80回オスカー決定】

決定。

第80回アカデミー賞(オスカー)の授賞式が2008年2月24日、午後8時(全米東部時間=日本時間2月25日午前10時)から行われた。事前の予想通り、今年のメイン「ノー・カントリー」が最優秀映画、助演男優賞、監督賞、脚色賞の4部門を獲得した。また主演女優と助演女優の両方にノミネートという快挙を成し遂げているケイト・ブランシェットはどちらも獲得ならずだった。

ソウル・サーチャーのオスカー予想は4年目。77回、78回はそれぞれ10部門(本命7・対抗3)、9部門(本命7・対抗2)で予想し本命・対抗で10割、昨年は24部門全部の予想をして本命で13、対抗で8、はずれが3の.875の的中率。今年は主要10部門で本命で8、対抗で1、はずれが1の9割。しかし全部門では24部門中、本命で13、対抗で4、はずれが7部門の7割8厘と若干ふるわなかった。主要部門ではずれた1部門はもっともむずかしかった助演女優賞。ケイト、エイミー、ティルダの三つ巴で最終的にティルダになった。

オフィシャルサイト(ノミネートなど。英語)
http://oscar.com/

THE 2008 80th OSCAR

01. BEST PICTURE
Atonement (つぐない)
Juno (ジュノ)
Michael Clayton (フィクサー)
勝者 本命 No Country for Old Men (ノー・カントリー)
対抗 There Will Be Blood (ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)

02. BEST ACTOR
対抗 George Clooney, Michael Clayton
勝者 本命 Daniel Day-Lewis, There Will Be Blood
Johnny Depp, Sweeney Todd (スウィーニー・トッド〜フリート街の悪魔の理髪師)
Tommy Lee Jones, In the Valley of Elah (告発のとき)
Viggo Mortensen, Eastern Promises (イースタン・プロミセス)

03. BEST ACTRESS
Cate Blanchett, Elizabeth: The Golden Age (エリザベス〜ゴールデン・エイジ)
本命 Julie Christie, Away From Her (アウェイ・フロム・ハー〜君を想う)
勝者 対抗 Marion Cotillard, La Vie en Rose (エディット・ピアフ〜愛の讃歌)
Laura Linney, The Savages (ザ・サベージ)
Ellen Page, Juno

ここは、ジュリーとマリオンとエレン・ページの三つ巴でかなり接戦。得票率がもし公開されれば、3人とも22%前後で横並びではないだろうか。

04. BEST SUPPORTING ACTOR
対抗 Casey Affleck, The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford (ジェシー・ジェームズの暗殺)
勝者 本命 Javier Bardem, No Country for Old Men
Philip Seymour Hoffman, Charlie Wilson’s War (チャーリー・ウィルソンズ・ウォー)
Hal Holbrook, Into the Wild (イントゥ・ザ・ワイルド)
Tom Wilkinson, Michael Clayton

05. BEST SUPPORTING ACTRESS
本命 Cate Blanchett, I’m Not There (アイム・ノット・ゼア)
Ruby Dee, American Gangster (アメリカン・ギャングスター)
Saoirse Ronan, Atonement
対抗 Amy Ryan, Gone Baby Gone (愛しき者はすべて去りゆく)
勝者 Tilda Swinton, Michael Clayton

ここもケイト、エイミー、ティルダの三つ巴のように思える。

06. BEST DIRECTOR
対抗 Paul Thomas Anderson, There Will Be Blood
勝者 本命 Joel and Ethan Coen, No Country for Old Men
Tony Gilroy, Michael Clayton
Jason Reitman, Juno
Julian Schnabel, The Diving Bell and the Butterfly (潜水服は蝶の夢を見る)

07. BEST ORIGINAL SCREENPLAY
Brad Bird, Ratatouille
勝者 本命 Diablo Cody, Juno
対抗 Tony Gilroy, Michael Clayton
Tamara Jenkins, The Savages
Nancy Oliver, Lars and the Real Girl

08. BEST ADAPTED SCREENPLAY
Paul Thomas Anderson, There Will Be Blood
勝者 本命 Joel Coen and Ethan Coen, No Country for Old Men
Christopher Hampton, Atonement
対抗 Ronald Harwood, The Diving Bell and the Butterfly
Sarah Polley, Away From Her

09. BEST ANIMATED FEATURE
対抗 Persepolis (ペルセポリス)
勝者 本命 Ratatouille (レミーのおいしいレストラン)
Surf’s Up (サーフズ・アップ)

10. BEST ART DIRECTION
対抗 American Gangster
Atonement
The Golden Compass
勝者 本命 Sweeney Todd
There Will Be Blood

皆目わからない。

11. BEST CINEMATOGRAPHY
The Assassination of Jesse James…
Atonement
The Diving Bell and the Butterfly
本命 No Country for Old Men
勝者 対抗 There Will Be Blood

12. BEST COSTUME DESIGN
Across the Universe
本命 Atonement
勝者 対抗 Elizabeth: The Golden Age
La Vie en Rose
Sweeney Todd

13. BEST DOCUMENTARY
対抗 No End in Sight
Operation Homecoming: Writing the Wartime Experience
本命 Sicko
勝者 Taxi to the Dark Side
War/Dance

14. BEST DOCUMENTARY SHORT SUBJECT
勝者 Freeheld
本命 La Corona (The Crown)
対抗 Salim Baba
Sari’s Mother

15. BEST EDITING
勝者 対抗 The Bourne Ultimatum
The Diving Bell and the Butterfly
Into the Wild
本命 No Country for Old Men
There Will Be Blood

16. BEST FOREIGN-LANGUAGE FILM
Beaufort (Israel)
勝者 The Counterfeiters (Austria)
対抗 Katyn (Poland)
本命 Mongol (Kazakhstan)
12 (Russia)

17. BEST MAKEUP
勝者 本命 La Vie en Rose
Norbit
対抗 Pirates of the Caribbean: At World’s End

18. BEST ORIGINAL SCORE
勝者 本命 Atonement
The Kite Runner
Michael Clayton
対抗 Ratatouille
3:10 to Yuma

19. BEST ORIGINAL SONG
勝者 本命 ’’Falling Slowly,’’ Once
’’Happy Working Song,’’ Enchanted
’’Raise It Up,’’ August Rush
’’So Close,’’ Enchanted
対抗 ’’That’s How You Know,’’ Enchanted

20. BEST SOUND EDITING
勝者 The Bourne Ultimatum
対抗 No Country for Old Men
Ratatouille
There Will Be Blood
本命 Transformers

21. BEST SOUND MIXING
勝者 The Bourne Ultimatum
対抗 No Country for Old Men
Ratatouille
3:10 to Yuma
本命 Transformers

22. BEST VISUAL EFFECTS
勝者 The Golden Compass
対抗 Pirates of the Caribbean: At World’s End
本命 Transformers

23. BEST ANIMATED SHORT
対抗 I Met the Walrus
Madame Tutli-Putli
Même Les Pigeons Vont au Paradis (Even Pigeons Go to Heaven)
My Love (Moya Lyubov)
勝者 本命 Peter & the Wolf

24. BEST LIVE-ACTION SHORT
At Night
Il Supplente (The Substitute)
勝者 本命 Le Mozart des Pickpockets (The Mozart of Pickpockets)
Tanghi Argentini
対抗 The Tonto Woman

ENT>MOVIE>AWARDS>Academy, 80th
【フィリップ・ウー、3月のライヴは『スプリング・ソウル・セレブレーション』】

セレブレーション。

日本在住のキーボード奏者、フィリップ・ウーが来る2008年3月6日(木)、目黒ブルース・アレーで久しぶりのライヴを行う。今回のメンバーは、いつものファンキー・ドラマー、ジェイ・スティックス、ギターにハンク西山、さらにギターにマサ小浜、ベースにキース・ウィリアム、そして、メイン・ヴォーカルにマクサンという布陣。

フィリップによれば、今回のライヴは「スプリング・ソウル・セレブレーション」がテーマ。彼の大好きなソウル作品、例えば、アレサ・フランクリン、ビル・ウィザース、スティーヴィー・ワンダーなどからジャズ系キーボード奏者、ジーン・ハリス、ジミー・マッグリフらの作品なども演奏するという。また、ユニークな選曲でタック&パティーの歌もやるという。

さらに、木下航志くんに「ワイルド・ホーセス」を歌ってほしいとリクエストをだしている、という。果たして実現するか。「ワイルド・ホーセス」は、航志くんが昨年8月29日に品川教会で歌ったもの。

フィリップは言う。「今、だいたい30曲くらい候補を絞っている。ここから14−5曲にするつもりだ。ソウルフルなショーにするので、ぜひソウルの好きな人には来て欲しい」

前回でもマクサンが強力な歌を聴かせたが、今回も新たな楽曲でソウルフルな歌声を聴かせてくれるだろう。フィリップ・ファン、マクサン・ファン、70年代ソウル好きの方、ぜひどうぞ。

◎Philip Woo Session : Spring Soul Celebration

(Vo)Maxayn (Key)Philip Woo (G)Hank Nishiyama、Masa Kohama
(B)Keith Williamson (Ds)Jay Stixx

日時 2008年3月6日(木)午後7時半〜 午後9時15分〜
場所 目黒ブルース・アレー http://www.bluesalley.co.jp/
住所 〒153-0063 東京都目黒区目黒1-3-14 ホテルウィング・インターナショナル目黒B1F
電話  03−5740-6041(予約専用電話)お店の番号03-5496-4381
前売券 テーブル席(指定)4,000 当日券は500UP (各税込)

■ 過去記事・フィリップ・ウー関連

November 10, 2007
Philip Woo With Maxyan: Philip Dedicates Show To His Father
http://blog.soulsearchin.com/archives/002140.html
(前回ライヴ評)

October 02, 2007
Philip Woo Live At Blues Alley
【フィリップ・ウー・ライヴ】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_10_02.html

June 06, 2007
Philip Woo: A Tribute To Billy Preston Live
【フィリップ・ウー、ビリー・プレストンへ捧げる】
http://blog.soulsearchin.com/archives/001815.html

June 04, 2007
Philip Woo Promotes His Own Gig
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_06_04.html

May 24, 2007
Philip Woo’s Billy Preston Tribute Again; Jino’s Funky Gig Will Be On Next Week
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_05_24.html

May 23, 2007
Philip & Hank, Yuri Kamino : Mind To Mind Communication
http://blog.soulsearchin.com/archives/001786.html

April 04, 2007
Philip Woo: Tribute To Billy Preston (Part 1)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_04_04.html

April 05, 2007
Philip Woo: Tribute To Billy Preston (Part 2)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_04_05.html

February 16, 2007
Philip Woo & Friends @ Cha Cha House
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_02_16.html
(ここにフィリップ関連過去記事一覧があります)

ENT>ANNOUNCEMENT>LIVE>Woo, Philip
【(速報・訃報)ソウル・シンガー、オリト急死】

メンフィスのソウル・プロデューサー、ウィリー・ミッチェルのところに出向き、彼のプロデュースで日本デビューしたソウル・シンガー、オリト(アーティスト表記=ORITO=本名・折戸都志郎)が去る2008年2月22日か23日、大阪のホテルで急死した。43歳だった。詳細は確認されたら、またお知らせします。
(死亡日は22日か23日で情報が錯綜しています)

http://www.oritosoul.com/
【シャンティ・ライヴ・アット・カモメ】

挑戦。

ナチュラル・ソングバード、シャンティが関内の新しいライヴハウス、カモメに初登場。2004年11月にオープンしたという3年少々のお店だ。なかなかきれいでいい感じのお店。

シャンティにとっては、モーション・ブルー以来約3週間ぶりのライヴ。今回はギター2人とのアコースティック・セット。このギター2人とのヴァージョンは2007年10月31日四谷メビウス以来。彼女にとっては、バンド編成でのライヴとアコースティック・セットはちょっとちがうもので、歌う曲も少し変える。

ファーストの4曲目は、彼女が今年になって書いたという新曲。珍しくピアノの弾き語りで歌った。歌い終えて、「これはまだ素っぴんのままの曲で、これがいろんな人と一緒になにかやったりして、お化粧していって、徐々に成長していくんです」と解説した。なるほど、おもしろい。興味深い選曲は、ファースト最後のレイ・チャールズの「ジョージア・オン・マイ・マインド」。よく考えてみると、これも元々はカントリー系の曲で、こういうメロディーがシャンティにはあってるのかもしれない。レイ・チャールズの曲だと他に「ユー・ドント・ノウ・ミー」なんかあいそうだ。

もうひとつ、この日はシャンティがエレキ・ギター・デビューを果たした。セカンドの6曲目「ダンシング・ウィズ・ザ・シャドウズ」だ。立ってギター弾きながら歌うところを見ると、ちょっとシェリル・クロウなんかも思わせた。それから高い声でさらっと歌っているのを聞いていると、ジャヴェット・スティールが歌った「コーリング・ユー」あたりも、あの雰囲気の歌い方でいけそうな気がしてきた。

というわけで、シャンティはさまざまな可能性を秘めていると思う。どんどん挑戦してほしい。挑戦すればするほど得るものは多い。

■ シャンティ・FMゲスト出演

2008年3月1日土曜 深夜1時〜5時 FM横浜『ジャジー・ナイト』(2時過ぎのゲスト・コーナー)

■ シャンティ次回ライヴ

2008年3月16日(日) ザイム・カフェZAIM CAFÉ 『伊藤広規、南沢カズ』にゲスト
http://zaimcafe.com/
5月1日(木) 中目黒・楽屋 
http://www.rakuya.net/
5月24日(土) 葉山・ラ・マーレ・ド・チャヤ
http://www.chaya.co.jp/shop/lamaree/home.html
(それぞれ時間・メンバーなど未定)

■ シャンティ過去関連記事

February 03, 2008
Shanti : Matsumoto Keiji Sitting In For Philip Woo
http://blog.soulsearchin.com/archives/002308.html

November 21, 2007
Blues Alley Players Night Vol.7
http://blog.soulsearchin.com/archives/002157.html

November 01, 2007
Shanti With Two Guitarists: Studied A Lot
http://blog.soulsearchin.com/archives/002114.html

September 28, 2007
Shanti Live At Blues Alley: Shows Sacred Soul
http://blog.soulsearchin.com/archives/002052.html

September 16, 2007
Shanti Will Showcase Her Newest Album "Share My Air" At Blues Alley
http://blog.soulsearchin.com/archives/002026.html
(↑ここにシャンティ関連過去記事一覧があります)

■ メンバー

シャンティ (ヴォーカル、ピアノ、ギター)
西山“はんこ屋”史翁(ふみお)(ギター)
木原良輔 (ギター)
ゲスト 荒砥亮太 (ベース)

■Setlist : Shanti @ Kamome, February 23, 2008
セットリスト
[ ] denotes original artists

Show started 19:15
01. In France The Kiss On Main Street [Joni Mitchell]
02. Yuyake
03. Talkin’ Low [TKY]
04. Tame Desire [Shanti’s new]
05. Maria (Hank, solo)
06. Blue Moon (Hank, solo) with Shanti poetry reading
07. Formentera Sea
08. Georgia On My Mind [Ray Charles]
Show ended 20:12

Show started 20:55
01. Journey (Inst) ( +Arato Ryota-Bass)
02. Flight To Paris
03. Adnishia
04. Angels
05. Someone To Watch Over Me [standard]
06. Dancing With A Shadow (Shanti with Electric guitar)
07. Looking For Another Pure Love [Stevie Wonder]
08. Wake Up To The Sun
Enc. Silent Movies [Hirth Martinez From 1975 Album “Hirth From Earth”]
Shoe ended 22:00

(2008年2月23日土曜、横浜・関内カモメ=シャンティ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Shanti
2008-24
【デューク・エリントン・オーケストラ】

ビッグバンド。

マット・ダスクや、ディズニー・シーのBBB、パティー・オースティンのビッグバンドとの共演など、ここ最近、ビッグバンドを見る機会がちょこちょこある。これは、デューク・エリントン楽団。ホーン・セクション12人、ドラムス、ピアノ、ベースという編成。

このバンドマスターは、トミー・ジェームス。演奏する曲はほとんどすべてデューク・エリントンの作品か、関連作品。なんとこの日は4曲目「ラッシュ・ライフ」からビルボード・ライヴの舞台後ろのカーテンが開いた。正面から見ている人にとっては、赤坂側の夜景がぐっと広がった。なんでだろうか。ま、これも演出か。

そのためか、観客席の携帯がけっこう着信して、席を立つ人が続出であった。実はこのカーテン、ひじょうに優れもので、けっこう防磁性(ぼうじせい)があり、ふだんライヴ中はあまり携帯がつながらないようになっているそうだ。

ところで彼らも事前にやる曲目をまったく決めてない。そのときの気分でバンマスが曲名を言ったり紹介したりして、進行する。そのためバンドメンバーは曲が決まると楽譜を探す。

しかし、ビッグバンドのメンバーもさまざま。水を飲む人、貧乏ゆすりをする人、マジックリンでもはいっていそうな容器から口にシュッシュッしている人、ソロの出番がないときは、手持ち無沙汰にしている人などなどアット・ホームな雰囲気。

個人的に一番印象に残ったのは、トミーが「この曲は、デューク・エリントンがイギリスの女王のために書いた曲」といって演奏したピアノの小品「ザ・シングル・ペタル・オブ・ローゼス」。なかなかいい雰囲気だった。

■メンバー

トミー・ジェイムス(Piano)
クリーブ・ガイトン(Alto Saxophone)
ペイシェンス・ヒギンズ(Alto Saxophone)
シェリー・キャロル(Mr.) (Tenor Saxophone)
ボビー・ラヴェル(Tenor Saxophone)
ロバート・ランダム(Baritone Saxophone)
ジェイムス・ゾラー(Trumpet)
クリス・アルバート(Trumpet)
ケヴィン・ブライアン(Trumpet)
ラヴィ・ベスト(Trumpet)
テリー・ライアン(Trombone)
アンドレー・マーチソン(Trombone)
アルフレッド・パターソン(Trombone)
スティーブ・ジョーンズ(Drums)
ハッサン・アシュシャクール(Bass)

■過去記事

April 17, 2005
Blue Note: The Night For Duke’s Place
http://blog.soulsearchin.com/archives/000043.html

■Setlist : Duke Ellington Orchestra @ Billboard Live, February 22, 2008
セットリスト デューク・エリントン

show started 21:31
01. Stomp
02. Black And Tan Fantasy
03. In A Mellow Tone
04. Lush Life
05. Such Sweet Thunder
06. Left Hand??
07. Don’t Get Around Much Anymore (241)
08. The Single Petal Of A Rose
09. Things Ain’t What They Used To Be
10. Take The “A” Train
11. In A Sentimental Mood
12. Jack The Bear
13. ??
show ended 22:44

(2008年2月22日金曜、ビルボード・ライヴ=デューク・エリントン・オーケストラ)
ENT>LIVE>Ellington, Duke Orch.
2008-23
【八竹亭のオヤジのホットライン】

ホットライン。

「ああ、あの、八竹亭のオヤジだけど。どうも。あの、ほら、世界的に有名な舞台演出家、あの人、名前なんてったっけ。ほら、『なんとか山』とかいう。ちょっと怖そうな、うちにも何回か来てる…」 「…(電話の向こうの声)」 「ああ、そうだ! そうだ! それそれ」

渋谷・神山町のもう20年以上前から知っている定食屋さんに久しぶりに入った。たぶん1986年くらいに初めて行ったと思う。ここに関するエピソードはいくつかあるのだが、この日オヤジさんとこんなやりとりになった。

お店に入るとすでに2組の客がいた。いつものように「牛肉ピーマン」の注文を出すと、なんとなくオヤジさんと世間話になった。僕。「この前、テレビ見たよ。安住アナと阿部寛と竹内結子のやつ」 「ああ、あれね、朝6時からロケしたんだよ」 「6時ぃいいい? なんで、そんな早く?」 「いや、昼とか夜はお客さんいるからね。ほらこの前、氷川きよしが来たときなんか、おっかけがすごくて、みんなに迷惑かかっちゃうでしょ。だから人がいないときに(撮影を)頼んだの」

「2−3日前もさ、あのさ、ほら、世界的に有名な演出家でさ、ちょっと怖い人。『なんとか山』、誰だっけ、それが来てね。昔はすごく怖かったんだけど、最近は丸くなったというか」 「世界的に有名な演出家? う〜〜ん、誰だろう」 いろいろ名前を出す。浅利慶太、宮本亜門…。 「ちがう、ちがう。『なんとか山』だよ。ああ、いらいらする。思い出せないな。もう止めた、忘れることにしよう」 そういって注文した牛肉ピーマンを作り始める。「あれは? あの三田佳子の息子を更生させたっていう人、唐沢なんとかさん」 「ちがう、『なんとか山』」 「分けとく山か?」 「ちがう、ちがう」 「加山雄三…。ぜんぜん演出家じゃない」、「じゃあ、篠山紀信か???」 「ありゃ、写真家だろ!」

喉元まで出てきてるのに、ぽっと出てこないときのいらいら度は、人間だれしも一緒。料理を作っている間も「だれだっけ〜。だれだっけ〜 もう考えるの止めるぞ…。あ〜だれだっけ〜」。 思わず、携帯を取り出し「世界的 演出家」で検索をかける僕。「野田秀樹! 山じゃないなあ」 「あ、これこれ。これなんて読むんだっけ」と隣のSちゃんに画面を見せる。そこには、「蜷川幸雄」の文字。Sちゃんも僕も読めず。「ねえ、ねえ、なんとか川ゆきお、じゃない?」 「ちがう、ちがう、『なんとか山』。あ、もうっ! ちょっと知り合いの女優に聞いちゃおうかな」 ご主人(オヤジ)、ビニールで包まれたコードレス電話(年代物)を取り出し、さらに薄汚れた時代物の電話帳(自筆)から、番号を見つけ電話をかける。

そして、いきなり「八竹亭のオヤジだけど…」と切り出してでてきた答えは〜。な〜〜んと、さっき漢字が読めなかった「にながわゆきお(蜷川幸雄)だ! あの人、一見怖いんだけど、最近はけっこうやさしいのよ」 「『なんとか山』じゃないじゃん。ぜんぜん違う!」 「でも、ま、『山』と『川』は、近いけどね、惜しいね」 オヤジさん、こちらのつっこみをまるで無視。 「で、オヤジさん、誰に電話したの?」 「名取裕子だよ」 「ええっ、オヤジさん、名取裕子とホットラインがあるんだ、すごっ!」 「あぁ、それそれ! オヤジ・ホットラインがあるんだよ。あ〜〜すっきりしたあ」

しかし、僕は「蜷川」がいつも読めない…。情けない、トホホ。

『八竹亭(はちくてい・はっちくてい)』
電話03-3469-1773
住所 渋谷区神山町16−3
営業時間 11:00〜14:00 17:00〜22:00
定休日 土曜日 (ただし時間・定休ともに、けっこう気分による)

>Dining>Restaurants>Essay>Hatchikutei
【チャック・ブラウン来日履歴】

検証。

チャック・ブラウンのライヴについて、2日にわたって書いた。そこで、ゴー・ゴー研究家の本柳さんから、現在ファンの間で来日履歴を検証中とのメールをいただいた。(一部はパート2で紹介) そのメールに一部加筆して、現状までの確認部分を一度アップしてみたい。また、渋谷区のコーイチさんからも熱いメールをいただいた。ありがとうございます。他に、この日のチケットがある、いついつどこそこで見たなどの情報お持ちのかたebs@st.rim.or.jpまでメールをお寄せください。

■ チャック・ブラウン来日履歴 (本柳さん情報による)

【初来日 1987年】(来日フライヤーで確認)

12月2日(水) INK STICK 芝浦 FACTORY
12月3日(木) INK STICK 芝浦 FACTORY

FM東京で放送されました。同じ音源のライヴCDあり。(なおライヴCDは、必ずしも一般発売されたCDとは限りません。以下同じ)

これは、当時ロンドン在住のトシ矢嶋さん仕切りのイヴェント的ライヴだった。トシさんがイギリスでも盛り上がった「ゴー・ゴー」を紹介しようということで、日本に持ってきたもの。トシさんは、それより前に、ロンドンのおしゃれな人たちの間で話題になっていたシャーデーをアメリカなどでブレイクするよりも前に日本に紹介している。

【2度目の来日 1988年】(来日フライヤーで確認)

12月1日(木) 大阪サンケイホール
(1988大阪のライヴCDあり。多分、この日のライヴ)
12月3日(土) INK STICK 芝浦 FACTORY
12月4日(日) INK STICK 芝浦 FACTORY
12月5日(月) INK STICK 芝浦 FACTORY

2回目の来日は初来日が2デイズだったものが、3デイズに。

1990年
日付、会場不明の1990東京ライヴCDあり。 (年の誤りか?)おそらく年号のまちがいでしょう。

【3度目の予定だった】1991年

母親死亡のため、東京公演が1回中止になったのは確定。全日程が来日中止かは未確定。CD「GREATEST HITS」(1998年リリース)のライナー内 に来日フライヤー画像あり。

11月14日(木) 渋谷ON AIR
11月16日(土) 本牧アポロシアター
11月17日(日) 渋谷ON AIR(?)
11月18日(月) 大阪(会場不明)

日付、会場不明の1991大阪ライヴCDあり。(年の誤りか?)
母親が急死したために、来日が中止になり、おそらく、大阪にも来ていないと思われる。

【3回目の来日】1992年(JIMCOリリースの日本盤CD「GOOD TO GO GO」の帯に、来日公演日程あり)

6月25日(木) 西麻布Yellow
6月26日(金) 渋谷公会堂(スカパラとの共演)
6月27日(土) 西麻布Yellow
6月30日(火) 横浜ゴーストウォール
7月1日(水) 渋谷公会堂
7月2日(木) 名古屋クラブダイヤモンドホール
7月4日(土) 大阪クラブアンテナ

ソウル・サーチャーも7月1日にチャック・ブラウン、見てます。

【4度目の来日】1994年

12月20日(火) 六本木ジャングルベース
12月21日(水) 六本木ジャングルベース

【5度目の来日】1995年(BMR誌 ライヴスケジュールで確認)

7月6日(木) 大阪ベイサイドジェニー
7月7日(金) 六本木ジャングルベース (リキッドルームに変更)
7月8日(土) 六本木ジャングルベース (リキッドルームに変更)

ジャングルベースのトラブルで会場が使えなくなり、急遽リキッドに変更して開催。

1996年
 日付、会場不明の大阪ライヴCDあり。(1995年の誤りか?)

【6度目の来日】2008年

2月16日(土)ビルボード・ライヴ東京
2月17日(日)ビルボード・ライヴ東京
2月20日(水)ビルボード・ライヴ大阪

ということで、今回の来日は約13年ぶり、6度目ということになるはず。

今回詳細な情報をお送りいただいた本柳さんのDJ仲間たちが、チャック・ブラウンの「ウイ・ニード・サム・マネー」の替え歌「ウイ・ニード・サム・イモニ」という曲を録音、そのプロモ・ビデオまで制作したというので、それもご紹介したい。実に笑えます。テレビ番組『タモリ倶楽部』なんかで紹介したい、逸品です。芋煮は、彼曰く「東北のソウル・フード」だそう。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~dub/gogo/imoney.html

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ENT>MUSIC>LIVE>Brown, Chuck
【第80回オスカー大予想】

全予想。

第80回アカデミー賞(オスカー)の授賞式が2008年2月24日、午後8時(全米東部時間=日本時間2月25日午前10時)から行われる。今年も、恒例の予想をおおくりする。ソウル・サーチャーのオスカー予想は、まだ4年目。77回、78回はそれぞれ10部門(本命7・対抗3)、9部門(本命7・対抗2)で予想し本命・対抗で10割、昨年は24部門全部の予想をして本命で13、対抗で8、はずれが3の.875の的中率。さて今年は。

今年の大きな軸は、「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」。これが果たしていくつ持っていくか、というところが見所。また主演女優と助演女優の両方にノミネートという快挙を成し遂げているケイト・ブランシェットは両部門獲得なるかなどは話題。おそらく、助演で取るだろうというのが、ソウル・サーチャーの予想。下記リストで1〜10までの主要部門でどこまで的中するか。目標は本命・対抗であわせて主要部門で10割、トータルで8割。

発表は日本時間2月25日(月曜)午前10時から。

オフィシャルサイト(ノミネートなど。英語)
http://oscar.com/

THE 2008 80th OSCAR NOMINEES

01. BEST PICTURE
Atonement (つぐない)
Juno (ジュノ)
Michael Clayton (フィクサー)
本命 No Country for Old Men (ノー・カントリー)
対抗 There Will Be Blood (ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)

02. BEST ACTOR
対抗 George Clooney, Michael Clayton
本命 Daniel Day-Lewis, There Will Be Blood
Johnny Depp, Sweeney Todd (スウィーニー・トッド〜フリート街の悪魔の理髪師)
Tommy Lee Jones, In the Valley of Elah (告発のとき)
Viggo Mortensen, Eastern Promises (イースタン・プロミセス)

03. BEST ACTRESS
Cate Blanchett, Elizabeth: The Golden Age (エリザベス〜ゴールデン・エイジ)
本命 Julie Christie, Away From Her (アウェイ・フロム・ハー〜君を想う)
対抗 Marion Cotillard, La Vie en Rose (エディット・ピアフ〜愛の讃歌)
Laura Linney, The Savages (ザ・サベージ)
Ellen Page, Juno

ここは、ジュリーとマリオンとエレン・ページの三つ巴でかなり接戦。得票率がもし公開されれば、3人とも22%前後で横並びではないだろうか。

04. BEST SUPPORTING ACTOR
対抗 Casey Affleck, The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford (ジェシー・ジェームズの暗殺)
本命 Javier Bardem, No Country for Old Men
Philip Seymour Hoffman, Charlie Wilson’s War (チャーリー・ウィルソンズ・ウォー)
Hal Holbrook, Into the Wild (イントゥ・ザ・ワイルド)
Tom Wilkinson, Michael Clayton

05. BEST SUPPORTING ACTRESS
本命 Cate Blanchett, I’m Not There (アイム・ノット・ゼア)
Ruby Dee, American Gangster (アメリカン・ギャングスター)
Saoirse Ronan, Atonement
対抗 Amy Ryan, Gone Baby Gone (愛しき者はすべて去りゆく)
Tilda Swinton, Michael Clayton

ここもケイト、エイミー、ティルダの三つ巴のように思える。

06. BEST DIRECTOR
対抗 Paul Thomas Anderson, There Will Be Blood
本命 Joel and Ethan Coen, No Country for Old Men
Tony Gilroy, Michael Clayton
Jason Reitman, Juno
Julian Schnabel, The Diving Bell and the Butterfly (潜水服は蝶の夢を見る)

07. BEST ORIGINAL SCREENPLAY
Brad Bird, Ratatouille
本命 Diablo Cody, Juno
対抗 Tony Gilroy, Michael Clayton
Tamara Jenkins, The Savages
Nancy Oliver, Lars and the Real Girl

08. BEST ADAPTED SCREENPLAY
Paul Thomas Anderson, There Will Be Blood
本命 Joel Coen and Ethan Coen, No Country for Old Men
Christopher Hampton, Atonement
対抗 Ronald Harwood, The Diving Bell and the Butterfly
Sarah Polley, Away From Her

09. BEST ANIMATED FEATURE
対抗 Persepolis (ペルセポリス)
本命 Ratatouille (レミーのおいしいレストラン)
Surf’s Up (サーフズ・アップ)

10. BEST ART DIRECTION
対抗 American Gangster
Atonement
The Golden Compass
本命 Sweeney Todd
There Will Be Blood

皆目わからない。

11. BEST CINEMATOGRAPHY
The Assassination of Jesse James…
Atonement
The Diving Bell and the Butterfly
本命 No Country for Old Men
対抗 There Will Be Blood

12. BEST COSTUME DESIGN
Across the Universe
本命 Atonement
対抗 Elizabeth: The Golden Age
La Vie en Rose
Sweeney Todd

13. BEST DOCUMENTARY
対抗 No End in Sight
Operation Homecoming: Writing the Wartime Experience
本命 Sicko
Taxi to the Dark Side
War/Dance

14. BEST DOCUMENTARY SHORT SUBJECT
Freeheld
本命 La Corona (The Crown)
対抗 Salim Baba
Sari’s Mother

15. BEST EDITING
対抗 The Bourne Ultimatum
The Diving Bell and the Butterfly
Into the Wild
本命 No Country for Old Men
There Will Be Blood

16. BEST FOREIGN-LANGUAGE FILM
Beaufort (Israel)
The Counterfeiters (Austria)
対抗 Katyn (Poland)
本命 Mongol (Kazakhstan)
12 (Russia)

17. BEST MAKEUP
本命 La Vie en Rose
Norbit
対抗 Pirates of the Caribbean: At World’s End

18. BEST ORIGINAL SCORE
本命 Atonement
The Kite Runner
Michael Clayton
対抗 Ratatouille
3:10 to Yuma

19. BEST ORIGINAL SONG
本命 ’’Falling Slowly,’’ Once
’’Happy Working Song,’’ Enchanted
’’Raise It Up,’’ August Rush
’’So Close,’’ Enchanted
対抗 ’’That’s How You Know,’’ Enchanted

20. BEST SOUND EDITING
The Bourne Ultimatum
対抗 No Country for Old Men
Ratatouille
There Will Be Blood
本命 Transformers

21. BEST SOUND MIXING
The Bourne Ultimatum
対抗 No Country for Old Men
Ratatouille
3:10 to Yuma
本命 Transformers

22. BEST VISUAL EFFECTS
The Golden Compass
対抗 Pirates of the Caribbean: At World’s End
本命 Transformers

23. BEST ANIMATED SHORT
対抗 I Met the Walrus
Madame Tutli-Putli
Même Les Pigeons Vont au Paradis (Even Pigeons Go to Heaven)
My Love (Moya Lyubov)
本命 Peter & the Wolf

24. BEST LIVE-ACTION SHORT
At Night
Il Supplente (The Substitute)
本命 Le Mozart des Pickpockets (The Mozart of Pickpockets)
Tanghi Argentini
対抗 The Tonto Woman

ENT>MOVIE>AWARDS>Academy, 80th
(昨日からの続き)

【チャック・ブラウンかく語りき(パート2)】

キュー。

チャック・ブラウンが久々にステージに上がったとき、思ったのが、大宮のソウルバー「ディープ」の藤沢さんに似てない?ということだった。(すいません、ごく一部の内輪ネタで)しかし、強烈なキャラクターだなあ。ドラムス、ギター&ヴォーカル(チャック・ブラウン)、ベース、キーボード、3管、パーカッション、タンバリン&トランペット、そして、ラップ&ぶらぶらのKKの10人がオンステージ。

ライヴの途中、隣に座ったブラザーから声をかけられた。「君は、プロモーターかなにかかい? 僕はワシントンDC出身で、けっこうみんなをよく知ってるんだ。ハイスクールの頃、クラブに忍び込んだりしてね。今、こっちでソウルバーやってるんだよ」 「へえ、どこで?」 彼が名刺を取り出した。そこには赤坂のカットチェイサーと書いてあった。おおっと、そこは一度探しに行って、その日は開いていなかった店だ。あのANAホテルの前あたりにある店ではないか。「おお、そうか。それは悪かった。基本、日曜は休みなんだが、病気なんかになったりすると休むときもある。いつでも来てくれ」 この店については、リアル・ブラッドのルーサーさんから聞いていて、たしかケイコさんのミニライヴをやっていたはず。

途中で「あと15分」という紙がチャックの元に届けられた、という話は昨日書いた。そこでそれを見た僕とその彼は紙に「DON’T CARE ABOUT TIME(時間なんか気にするな)」と書いて、彼の前に出そうということになった。さすがにステージ前まではいけなかったが、一番前のテーブルにおいた。チャックは見えたのかなあ。

ライヴが終わって、すぐにチャックはサイン会のためにでてきた。僕はソウル・サーチャーズのアナログ2枚(『ウィ・ザ・ピープル』1972年と『ソルト・オブ・ジ・アース』1974年)を持ってきた。松尾潔さんは、最新盤CD(『ウイ・アー・アバウト・ビジネス』)を持ち、サイン待ちの列に並んだ。2人でこの列に並ぶ図はなかなか妙におもしろい感じである。

2枚のアナログを出すと、チャック・ブラウン、「おおっ、俺が若い頃の写真がでてるぞ!」と叫ぶ。ていねいにサインをしてくれた。

この日の観客は、おそらく前日もそうだろうが、やはりチャック・ブラウン、ソウル・サーチャーズ、ゴー・ゴー目当ての音楽ファンが圧倒的に多く、観客ファン度がえらく濃い。

サインをもらった後、楽屋にシックのキーボードでもあるシェリーさんを訪ねに出向く。「このソウル・サーチャーズに入ったのは、2000年くらいかしら。私、DC出身なので、口コミで私の評判が彼の元に届いたのでしょう。それで声をかけられて、参加するようになった。けっこうライヴはやってるわ」

このチャック・ブラウンのライヴも事前のセットリストがない。うすうす感じていたが、チャック・ブラウンが曲が続いている間に次の曲を考え、キューを出して、ミュージシャンに指示するのだ。「次の曲は、彼のキューを待つの。それはギターの振り方だったり、最初のコードだったり。ソウル・サーチャーズでやる曲は3-40曲くらいかしら。もっとあるかな。私はもう長くやっているので、全部わかる」シェリーが僕のメモと記憶によって、セットリストを思い出してくれた。それが昨日付けのブログに出したセットリストだ。

そうこうしているうちに、チャック・ブラウン御大がサイン会から戻ってきた。かなりゴキゲンだ。近くで見るとやはりかなりの迫力。「あなたはステージで3回来日したと言ってましたが、今回が4回目ですか」 「う〜〜ん、そうだと思うよ。ま、3-4回来てるんじゃないか。最初は1987年? そうだよ、そうだ!」 「あなたも事前のセットリストがなく、曲の途中でミュージシャンにキューを出すそうですね。キューは具体的にはどのように?」 「コードを弾きはじめたり、歌いだしたり、いくつかあるよ。ミュージシャンがちゃんと俺に集中して見ていてくれれば、彼らもわかる」 「では、もし彼らがキューを見逃したら? ジェームス・ブラウンはミスを犯すと罰金を課すんですが」 「オオ、ノー。俺は罰金は言わないよ。ははは。(笑) まあ、仮に取ったとしても、みんなに還元してしまうな(笑)」 

「ところで、あなたの生年月日を教えていただけますか」 すると、松尾ブラザー、同行の元『ソウル・トレイン』ディレクター、能勢さん付近から、「でたあ、本格インタヴュー・モード!」の声が。(笑) 「オーガスト・トゥエンティー・トゥー、ナインティーサーティーファイヴ!(1935年8月22日)、72歳だよ、ははは」 「若いですねえ」というと、一緒にいたさっきのカットチェイサーのリチャードさんも、「若い!」。ということで、彼の生年は1934年ではなく、1935年でした。たぶん、これまでの資料は誕生日の関係で1年ほどずれてしまったのだろう。

改めて考えてみると、チャック・ブラウン&ソウル・サーチャーズの「シンク」あたりがはやった1973年でも、彼は38歳だったんだ。遅咲きと言えば遅咲きかな。でもそれから紆余曲折あれ、35年以上一線で活躍しているんだから、もう脱帽である。

ところで、昨日のブログでチャック・ブラウンの来日履歴について詳しいことをご存知の方お知らせください、と書いたらさっそく「ワシントンDCのゴー・ゴー」のサイトを運営されている本柳さんから詳しい来日履歴調査メールをいただいた。ありがとうございます。詳細はまだ来日中止などの点で確認が必要なので後日改めて書くが、1987年、1988年(ともにインクスティック)、1992年(イエローなど)、1994年(ジャングルベース)、1995年(リキッドルーム)と来日しているようで、今回は6回目ではないか、というご指摘だ。そうか、そんなに来ていたのかあ。「バスティン・ルーズ」が大ヒットした1978年〜1979年から数えても、もう30年だ。

■ワシントンGO-GOサイト「Good to GO-GO」

http://www2s.biglobe.ne.jp/~dub/gogo/gogo.html

(この稿・もう1回続く予定)

ENT>MUSIC>LIVE>Brown, Chuck & The Soul Searchers
2008-22
【チャック・ブラウン・ライヴ〜ノンストップでゴー・ゴー(パート1)】

普遍。

およそ1時間半、ノン・ストップ。ドラマー(EUのジュジュ)がゴー・ゴーのリズムを延々と叩き続ける。同じドラムなのに、どうしてこうもはねるのか。素晴らしい。どうしてこうもグルーヴするのか。見事。まさに、音楽はドラムだぞと言わんばかりの強烈ドラムだ。

ワシントンDCで1970年代中期に始まった「ゴー・ゴー」と呼ばれるファンク・サウンドの頂点にいるのが、現在72歳になるチャック・ブラウンだ。1987年12月芝浦インクスティックでの初ライヴから数えておそらく通算4回目の来日。調べてみると3回目の来日が1994年12月六本木ジャングル・ブギーだったので13年余ぶりということになる。(来日履歴は要確認。1987年12月インクスティック、1988年12月インクスティック、1994年12月六本木ジャングルブギー、1991年渋谷オンエアー(中止)まで確認。他に1992年7月頃、イエローあるいは、1996年ごろにも来日がありましたでしょうか。どなたか詳しくご存知の方、コメント欄などでお知らせください)

初来日のことは強烈に覚えている。芝浦のインクスティックでは、延々と3時間近くかそれ以上ノン・ストップでやった。1986年、イギリスのアイランド・レコードの世界戦略にのって、「ゴー・ゴー」が一大ブームになったあとを受けての初めてのゴー・ゴー・ライヴ体験だったから、それはそれは感銘した。もちろん、スタンディングのクラブ、ライヴ・ハウスだったので、みんなこの「ゴー・ゴー」のリズムに揺れていた。

今回もアンコールでの曲間は別にしてノン・ストップだ。独特のはねるリズムが最大の特徴で、BPMでおそらく100前後のゆったりしたリズムが変わることなく延々と続く。だんだん、時間の感覚がなくなり、そのリズムに麻痺していく。息つく暇もないとはこのことだ。

バート・バカラックが誰もが歌える「普遍のメロディー」を生み出しているのに対して、このチャック・ブラウンの音楽は、どんなタイプのメロディーも載せられる「普遍のリズム」だ。本当に、この「ゴー・ゴー」のサウンドは最高にかっこいい。

ステージ右側にいた女性キーボード、シェリー・ミッチェルは、ナイル・ロジャースのシック(シーク)メンバーのひとり。(ピーセス・オブ・ア・ドリームにも参加) また、ずっとステージ上で何をするでもなくぶらぶらしていて、ときどきラップを披露する女性KKは、なんとチャック・ブラウンの娘だそうだ。

始まって1時間くらいしたところで、スタッフから1枚の紙がチャックの元に渡された。正確には見えなかったが、ようは「あと15分」みたいなことが書かれていた。チャックたちは、ひとたび演奏が始まると時間の感覚がなくなるので、終わり時間を知らせないとだめらしい。

この日は本編を「2001」で終えた後アンコールで、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を歌った。ところが、観客はまだ彼らの最大のヒット曲「バスティン・ルーズ」を聴いてない。いつしか、観客から「バスティン・ルーズ! バスティン・ルーズ!」の掛け声が大きな歓声となって始まった。ビルボードのステージ奥のカーテンも開いた。だが、後片付けを始めたチャック・ブラウンは観念したかのように、ミュージシャンたちに指示を出し、今一度演奏を始めようとした。ステージ横に立っていたロード・マネージャーが、「まだやるのか」といった表情を浮かべている。あとで彼がこぼしたところによると、「あのあとサイン会もしなければならないから、もうあそこで終わってもらわないとね。でも、連中はいつももっともっと演奏したがるんだよ。ま、俺は(それを止めさせる)バッド・ガイだな(笑)」 そして、彼らは「バスティン・ルーズ」を10分以上演奏した。

彼らにとっては、1時間半なんてまさに朝飯前だろう。そして、ミュージシャンは体力勝負だ。

(この稿続く)

■ メンバー

チャック・ブラウン /Chuck Brown(Vocals/Guitar)
リトル・ベニー・ハーレー/Little Benny Harley(Vocals/Trumpet)
ウィリアム ’ジュジュ’ ハウス/William ’JuJu’ House(Drums)
ダグ・クラウリー/Doug Crowley(Bass)
チェリー・ミッチェル/Cherie Mitchel(Keyboards)
ブライアン・ミルズ/Bryan Mills(Saxophone)
ブラッド・クレメンツ/Brad Clements(Trumpet)
マーク・ウィリアムス/Mark Williams(Trombone)
モーリス・ハガンス/Maurice Hagans(Percussions)
KK・ドネルソン/KK Donelson(Vocals)

■セットリスト
Setlist : Chuck Brown & The Soul Searchers @ Billboard Live, February 17,2008
セットリスト チャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズ
(Completed with help from Cherie Mitchell。チェリーの協力を得てなんとか思い出してもらいましたが、完全ではないかもしれません)

Show started 21:01
01. Godfather
02. Hoochie Coochie Man
03. Go Go Swing
04. It Don’t Mean A Thing If It Ain’t Got That Swing
05. Moody’s Mood
06. Woody Woodpecker
07. We Need Money
08. Run Joe
09. Baby (Cherie Mitchell)
10. Phatty (Cherie Mitchell)
11. Bennie’s Song
12. Stuntin Like My Dad
13. Kat In Da Hat
14. Chuck Baby (KK)
15. Harlem Nocturne
16. What’s Got Incident Dat Kat (KK)
17. 2001 (Also Sprach Zarathustra)
Enc. My Funny Valentine
Enc. Bustin’ Loose
Show ended 22:42

(2008年2月17日日曜、ビルボード・ライヴ=チャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Brown, Chuck & The Soul Searchers
2008-22
(セットリストはネタばれになります。これからごらんになる方はあなたのリスクにおいてお読みください。本編は特にネタばれにはなりません。ただしセットリストをごらんになってから、ライヴに行くかどうかを判断される方はどうぞご覧ください)

【バート・バカラック・コンサート】

巨匠。

まさにアメリカ音楽業界最大の巨匠と言ってもいい大御所の作曲家、バート・バカラック。1960年代から数多くのヒットを生み出してきたアメリカを代表する作曲家も、今年80歳。しかしそんな年齢などみじんも感じさせず、ピアノを弾き、指揮をし、ときどき調子はずれのしかし味のある歌声を聴かせ、観衆を魅了した。11年ぶり4度目の来日ライヴ。

こういう大御所のコンサートだと、個々のミュージシャンやシンガーがどうのこうの、演奏がどうということなどまったく関係なく、バカラックがステージ中央にいて、それをサポートするミュージシャンがいてちゃんと演奏してくれれば、それでOKという感じになる。

50人弱のフル・オーケストラに、コーラス3人が中心に歌って次々とヒット曲がメドレー形式で流れる。1分程度のものもあればフルサイズ聴かせるものもあるが、すべてがバカラックの曲という点だけでも、歴史の重みが感じられる。サウンド的にはイージー・リスニング、かつて、共同東京が企画してやっていた「ラヴ・サウンズ」シリーズの頃のコンサートを思い浮かべた。

選曲、そして、その並びも実によく考えられていて、バカラック集大成の趣だ。気のせいだろうか、映画音楽メドレーのところで観客席から鼻をすする音が聴こえた。昔その映画を見た頃のことを思い出して、涙していたのかもしれない。これだけ曲があれば、ちょっとした洋楽ファンだったら、ほとんどの曲をよく知っているだろう。

(ライヴは、今日日曜国際フォーラムで午後3時から。また水曜=20日=に相模大野でもあります)
(また、本日4時半からのインターFM『山野ミュージック・ジャム』でバカラックミニ特集お送りします)

2008年2月17日(日)国際フォーラム 午後3時開演
2008年2月20日(水)グリーンホール相模大野
2008年2月22日(金)大阪フェスティヴァル・ホール
総合問い合わせ 03-5434-9111
いずれも当日券あります。

Setlist : An Evening With Burt Bacharach, Tokyo Kokusai Forum A
セットリスト バート・バカラック
(主催者発表によるものに加筆訂正した)

Musicians stand by : 18:03
Show started 18:08
01. 世界は愛を求めている What The World Needs Is Love (ジャッキー・デシャノン1965)

メドレー1 (1963年〜1968年ごろの楽曲メドレー)
02. ドント・メイク・ミー・オーヴァー Don’t Make Me Over (ディオンヌ・ワーウィック 1964)
03. ウォーク・オン・バイWalk On By (ディオンヌ・ワーウィック 1964)
04. ディス・ガイThis Guy’s In Love With You (ハーブ・アルパート 1968)
05. 小さな願いI Say A Little Prayer (ディオンヌ・ワーウィック 1967)
06. 汽車と船と飛行機Trains & Boats & Planes (ディオンヌ・ワーウィック 1967)
07. ウィッシン・アンド・ホッピンWishin’ & Hopin’ (ダスティ・スプリングフィールド 1964)
08. 恋のウエイト・リフティング(There’s) Always Something There To Remind Me(サンディ・ショウ 1965)

メドレー2 (1962年〜1970年ころの楽曲メドレー)

09. 悲しみは鐘の音とともにOne Less Bell To Answer (フィフス・ディメンション 1970)
10. 恋よ、さようならI’ll Never Fall In Love Again (ディオンヌ・ワーウィック 1969)
11. 恋の痛手Only Love Can Break A Heart (ジーン・ピットニー 1962)
12. サン・ホセの道Do You Know The Way To San Jose (ディオンヌ・ワーウィック 1968)

13. 恋するハートAnyone Who Had A Heart (ディオンヌ・ワーウィック 1964)
14. ハート・ライトHeart Light (ニール・ダイアモンド 1982)
15. ゴッド・ギヴ・ミー・ストレンスGod Give Me Strength (バート・バカラック&エルヴィス・コステロ 1996)

ビギニング・メドレー (作家デビュー当時の初期楽曲メドレー)

16. マジック・モーメントMagic Moments (ペリー・コモ 1958)
17. ストーリー・オブ・マイ・ライフStory Of My Life (マーティ・ロビンス 1957)
18. ザ・ブロップThe Blob (ファイヴ・ブロッブス1958 =映画『マックィーンの絶対危機』より)
19. タワー・オブ・ストレングスTower Of Strength (ジーン・マクダニエルス 1961)

20. ゴー・アスク・シェイクスピアGo Ask Shakespear (最新作『アット・ディス・タイム』2005)
21. イン・アワ・タイムIn Our Time (最新作『アット・ディス・タイム』2005)
22. 遥かなる影(They Long To Be) Close To You (カーペンターズ 1970)
23. フォー・ザ・チルドレンFor The Children (新曲 2008)

24. フォーリング・アウト・オブ・ラヴFalling Out Of Love (アレサ・フランクリン 2003)(トレインチャ・スペシャル・ゲスト歌手)
25. フール・スピーク・フォー・ラヴWho’ll Speak For Love (トレインチャ・最新作『バカラック・ソングブック2』)(トレインチャ・スペシャル・ゲスト歌手)

映画音楽メドレー 

26. 恋の面影The Look Of Love (ダスティ・スプリングフィールド 1967 映画『007 カジノ・ロワイヤル』)
27. ニューヨーク・シティ・セレネーデArthur’s Theme (クリストファー・クロス 1981 映画『ミスター・アーサー』)
28. 何かいいことないか子猫ちゃんWhat’s New Pussy Cat (トム・ジョーンズ 1965 映画『何かいいことないか子猫ちゃん』)
29. 地球は丸いThe World Is A Circle (1973 映画『失われた地平線』)
30. エイプリル・フールApril Fools (ディオンヌ・ワーウィック 1969 映画『幸せはパリで』)
31. 雨にぬれてもRaindrops Keep Fallin’ On My Head (BJトーマス 1969 映画『明日に向かって撃て』)
32. リバティ・バランスを討った男The Man Who Shot Liberty Valance (ジーン・ピットニー 1962 映画『リバティ・バランスを討った男』)
33. メイキング・ラヴMaking Love (ロバータ・フラック 1982 映画『メイキング・ラヴ』)
34. 素晴らしき恋人たちWives & Lovers (ジャック・ジョーンズ 1961 映画『素晴らしき恋人たち』用、しかし、不採用)
35. アルフィーAlfie (シラ・ブラック 1966 映画『アルフィー』、ヴァネッサ・ウィリアムス 1996 TBSテレビドラマ『変奏曲』)
36. ハウス・イズ・ノット・ア・ホームA House Is Not A Home (ブルック・弁トン 1964 映画『禁じられた家』)

37. 愛のハーモニーThat’s What Friends Are For (ディオンヌ・ワーウィック、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー、グラディス・ナイト 1986)

Encore :エニィ・デイ・ナウ Any Day Now (チャック・ジャクソン 1962)
Encore : 世界は愛を求めているWhat The World Needs Now Is Love (ジャッキー・デシャノン 1965)
Encore : 雨にぬれてもRaindrops Keep Fallin’ On My Head (BJトーマス 1969 映画『明日に向かって撃て』)

Show ended 20:05

(2008年2月16日土曜、東京国際フォーラムA=バート・バカラック・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Bacharach, Burt
2008.-21
【伊東たけしライヴ】

子猫。

「あれ、なんで、こういうのも聴くの?」とコットン・クラブのホワイエで声をかけてきたのは、久々に会う音楽雑誌アドリブの編集長、松下氏であった。「ライナー、書いたんですよ。伊東さんの新譜、ソウルのカヴァーばかりなので」「な〜るほど」 すると音楽之友社の元週刊FMの大谷さんまでいるではないか。「九州で一緒に(伊東さんと)飲んだんですよ」とのこと。そうこうするうちにタワー・オブ・パワー・ファンクラブ会長・桜井隆章さんも登場。さすがに日本のフュージョン界きっての人気者伊東さんのライヴだと媒体関係者も多数集まる。

ライヴはコットン・クラブがほぼ満員。さすが根強い人気。ファン層もフュージョン系が好きそうな人たちが圧倒的だ。加えて女性ファンも多い。

編成はドラムス、ギター、ベース、キーボード、そして伊東さん(サックス)、さらに、トランペットとサックスがサポートで入り計7人がオンステージ。ソウルのカヴァー曲を収録した新作『メロー・マッドネス』からの作品を中心にたっぷり90分。2曲目から4曲目までほぼメドレーでやるところなど、本人曰く「400メートル走を全力でやったような感じ」で、いっきにまくし立てた。サウンド的にはあまり黒くなく、さわやかフュージョン系、テンポのある曲はトト(TOTO)のようなウェストコースト系ロック風だ。

ライヴ中、隣に座った松下さん、僕に「これかわいいでしょう」と携帯の待ち受けを見せる。白いかわいい子猫が仰向けに、おなかを出したまま寝転んでる写真だ。なんと無邪気な。「おおっ、かわいい! ちょっと、それ僕に送ってください」 「おっ、じゃあ、君の携帯アドレス、ここにいれて〜」と手渡されたので、僕のアドレスをていねいにいれて、彼に戻した。演奏は続いている。なにか携帯をいじっているようだ。しかし、全然、こちらには送られてこない。

そうこうするうちにドリンクを持ってきたお店の女の子のスタッフにも、この待ち受けを見せている。彼女にもえらく受けている。生まれてまだ6ヵ月とのことだ。かわいいさかり。「松下さん、はやく送ってください〜」 「あれ、さっき送ったけど、届いてない?」 「ええっ? 届いてないですよ〜〜」 「おかしいなあ…」 そのメールが届けばこのブログにもアップしようかと思ったのだが、たぶん、ずっと届かないだろうなあ…。

伊東さんがMCで、「ジャコ・パス(トリアス)」というべきところを、「ジョー・パス」と口をすべらせた。伊東さんは言ったとき「やばい」と思ったそうだ。(笑)その瞬間、松下さん、僕の方に振り向いて、「ジャコ・パスのまちがいだよ」。聴いてないようでそういうところだけは聴いている編集長である。

■ メンバー

伊東たけし(sax), 宮崎隆睦(sax), Luis Valle(tp), 安部潤(key), 養父貴(g), 川崎哲平(b), 坂東慧(ds)

■セットリスト
Setlist : Ito Takeshi Live At Cotton Club, February 15, 2008
セットリスト 伊東たけし 

Show started 19:00
01. Marbles
02. People Make The World Go Round [Stylistics]
03. Third Addiction
04. Pick Up The Pieces [AWB]
05. Stay Gold [Stevie Wonder]
06. Me & Mrs. Jones [Billy Paul]
07. Over Night
08. Mercy, Mercy, Mercy [Joe Zawinul]
09. X-Factor
Enc. Wolverine
Show ended 20:32

(2008年2月15日金、丸の内コットン・クラブ=伊東たけし・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Ito, Takeshi
2008-20

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