★『ジミー・ウォーカーを探して(パート1)』 ~『ヴァニシング・ポイント』のサントラで歌っていたシンガーその歴史
【Searching For Jimmy Walker (Part 1 of 4 Parts)】
リサーチ。
2013年1月6日(日)の『バラカン・ビート』(インターFM午後3時~6時)でジミー・ウォーカーというシンガーの「Where Do We Go From Here?」という曲がかかった。ちょうどそれがかかっているときバラカンさんのスタジオにおじゃまして雑談していた。いい曲だったのでとても興味を持った。これは1971年の映画『ヴァニシング・ポイント』のサウンドトラックに収録されている曲で、リスナーからのリクエストだった。(音源は下記ユーチューブを)
Jimmy Walker-Where Do We Go From Here
Vanishing point (1971) soundtrack,Jimmy Walker-where do we go from here
http://www.youtube.com/watch?v=s7bixhF5Dfo
映画はずいぶん昔に見ていたが、内容などすっかり忘れていて、改めて紹介されてやっと思い出した。そしてバラカンさんが、映画の中に登場するDJがものすごくかっこいい、その名は「スーパーソウル」と言ったので思いだした。そう、そのスーパーソウルという名のDJがかっこよかったのをものすごくよく覚えている。低い声の持ち主だ。
リスナーは「このジミー・ウォーカーという人について教えてください」と書いていて、バラカンさんもいろいろ調べたが、あまりよくわからなかった、という。そのときは、ニッカボッカーズというグループにいたメンバーだろうと思うが、ほかにも同名のシンガーなどがいるので、はっきりしない、というコメントをした。
この曲を聴くとものすごく黒人ぽいが、白人かもしれない、サウンドがABC/ダンヒル・サウンドっぽい、と僕は感じた。
けっこう気に入ったので僕も家に帰ってから調べてみた。すると次々といろいろおもしろいことが判明した。その過程で現在ジミー・ウォーカーのマネージャーという人物とメールのやりとりができ、いくつか不明な点を質問したら、「だったら、電話インタヴューしたらいかが?」と誘われ、時間を決めて直撃電話インタヴューをすることになった。以下がそのリサーチによるジミー・ウォーカーについてと、彼のインタヴューの報告だ。まさに「シュガーマンを探して」の「ソウル・サーチン・ヴァージョン」~「ジミー・ウォーカーを探して」という感じだ。それぞれにユーチューブをつけたので、ゆっくりと音楽の旅をお楽しみください。(4回連続予定)
~~~~~~
ドゥーワップ。
ジミー・ウォーカーという名前は僕の頭の片隅にあり、このジミーもブッダ・レーベルかどこかでアルバムを出していたシンガーではないか、というおぼろげな記憶があった。実際は違ったのだが、この名前だと実によくある名前なので、いろいろ検索しても、10人くらいでてくるのではないだろうか、とバラカンさんに言うと、「そう、調べたらたくさん出てきて、はっきりどれと確定できなかった」と言われた。僕が知っていたブッダのジミー・ウォーカーは、コメディアン・タレントの黒人ジミー・ウォーカーだった。
そして、今回のジミー・ウォーカーは確かに1960年代初期に活躍したニッカボッカーズのメンバーだった。このグループはビートルズが出てきた後、1965年ビートルズ風のバンドとしてシングル「ライズ」を全米でヒットさせた。これは聞けばわかるようにサウンドも風貌もビートルズ風を狙ったものだ。(音源は下記ユーチューブを)
ジミー・ウォーカーはニューヨーク・ブロンクス出身。1941年4月10日生まれ。現在71歳だ。(来月72歳になる) 幼少の頃から音楽が好きで、十代のときにはすでにストリート・コーナーで友人3人たち(Eddie Adlum, Frankie Tennerie, Billy Jantd)と4人組のアカペラ・グループを作って歌っていたという。グループ名はキャッスル・キングス(The Castle Kings)。
これがなんとミッド・マンハッタンの歩道で歌っていると、アトランティック・レコード創始者の一人アーメット・アーティガンが通りがかり、名刺を渡され翌日オフィースに行くとアトランティックと契約ということになった。彼らはキャッスル・キングス名義でシングルを2枚レコーディングする。
The Castle Kings:
You Can Get Him – Frankenstein / Loch Lomond (Atlantic 2107)(1961/6)
Jeanette / The Caissons Go Rolling Along (Atlantic 2158)(1962/9)
ここで上の2曲(A-B面)が聞けます
http://shop.frathoprecords.com/?pid=52075382
Jeanette
http://www.youtube.com/watch?v=RGD2n6CCZB8
ジミーが言う。「この『ケイソンズ・ゴー・ローリング・アロング』は、アトランティックのスタジオで当時導入したばかりの最新の8トラック・レコーダーで録音された初めての曲なんだよ。それまでは2トラックだった。当時最新鋭の機種を使って録音したんだ」
プロフィールにはアトランティックで3枚のシングルを出したと書いてあるが、アトランティック、さらにアトコのレーベル・ディスコグラフィーを調べても上記2枚しかでてこない。ひょっとすると、3枚目は録音したもののボツになってしまったのかもしれない。ジミーによれば2枚シングルが出たとのこと。ただこのリード・シンガーがジミーかどうかはわからないが、いずれにせよ、ジミーはこの中にいた。上記の曲は、アーティガン、フィル・スペクターらが書いた初期ロックンロール曲だ。
ニッカボッカーズ。
この後、ジミーはニューヨークのお隣ニュージャージー州バーゲンフィールドに引っ越し、ここで1962年に結成されたロック・グループ、ニッカボッカーズに誘われる。このニッカボッカーズは、元々ボー・チャールズ、ジョン・チャールズの兄弟とネッド・ブラウンが作ったもので、1964年にバディー・ランデール、さらにジミー・ウォーカーが加わり5人組となった。ちなみにこのバディー・ランデールは1958年に「ショート・ショーツ」の大ヒットを放ったロイヤル・ティーンズのメンバーでもあった。この「ショート・ショーツ」は日本でも大変よく知られた曲だ。ユーチューブでお聴きいただこう。
Royal Teens - Short Shorts
http://www.youtube.com/watch?v=2OOTr04YTwE
サックスがバディー・ランデールか? ユーチューブのクレジットではフランク・コッポラとあるが。ピアノはボブ・ゴーディオ。
こんな動画があるなんて。そう、おなじみテレビ番組『タモリ倶楽部』のテーマ曲だ。このロイヤル・ティーンズは、ニュージャージー州バーゲンフィールドで1956年に結成されているが、ここには後にフォー・シーズンズで成功するボブ・ゴーディオ、さらに、ブラッド・スゥエット&ティアーズを大ヒットさせるアル・クーパーも一時期参加した。このロイヤル・ティーンズでサックスを吹いていたのが、ビル・クランデル(のちのバディー・ランデール)である。この動画のサックスがビル・クランデルだ。(ビル・クランデルは1998年死去)
そのビルとジミーが一緒に参加したニッカボッカーズは、ソングライターでありカントリー系、ロカビリー系のシンガーでもあるジェリー・フラー(1938年テキサス生まれ)に見出され、彼の口利きでロスアンジェルスのチャレンジ・レコードと契約する。
このジェリー・フラーという人物がまた業界の大物になる男で、おもしろい。
(この項続く。明日はジェリー・フラーの話から)
ENTERTAINMENT>ARTIST>Walker, Jimmy
■ ニッカボッカーズのベスト
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000009QJD/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■ロイヤル・ティーンズの「ショート・ショーツ」(タモリ倶楽部のテーマ)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000008GU/soulsearchiho-22/ref=nosim/
【Searching For Jimmy Walker (Part 1 of 4 Parts)】
リサーチ。
2013年1月6日(日)の『バラカン・ビート』(インターFM午後3時~6時)でジミー・ウォーカーというシンガーの「Where Do We Go From Here?」という曲がかかった。ちょうどそれがかかっているときバラカンさんのスタジオにおじゃまして雑談していた。いい曲だったのでとても興味を持った。これは1971年の映画『ヴァニシング・ポイント』のサウンドトラックに収録されている曲で、リスナーからのリクエストだった。(音源は下記ユーチューブを)
Jimmy Walker-Where Do We Go From Here
Vanishing point (1971) soundtrack,Jimmy Walker-where do we go from here
http://www.youtube.com/watch?v=s7bixhF5Dfo
映画はずいぶん昔に見ていたが、内容などすっかり忘れていて、改めて紹介されてやっと思い出した。そしてバラカンさんが、映画の中に登場するDJがものすごくかっこいい、その名は「スーパーソウル」と言ったので思いだした。そう、そのスーパーソウルという名のDJがかっこよかったのをものすごくよく覚えている。低い声の持ち主だ。
リスナーは「このジミー・ウォーカーという人について教えてください」と書いていて、バラカンさんもいろいろ調べたが、あまりよくわからなかった、という。そのときは、ニッカボッカーズというグループにいたメンバーだろうと思うが、ほかにも同名のシンガーなどがいるので、はっきりしない、というコメントをした。
この曲を聴くとものすごく黒人ぽいが、白人かもしれない、サウンドがABC/ダンヒル・サウンドっぽい、と僕は感じた。
けっこう気に入ったので僕も家に帰ってから調べてみた。すると次々といろいろおもしろいことが判明した。その過程で現在ジミー・ウォーカーのマネージャーという人物とメールのやりとりができ、いくつか不明な点を質問したら、「だったら、電話インタヴューしたらいかが?」と誘われ、時間を決めて直撃電話インタヴューをすることになった。以下がそのリサーチによるジミー・ウォーカーについてと、彼のインタヴューの報告だ。まさに「シュガーマンを探して」の「ソウル・サーチン・ヴァージョン」~「ジミー・ウォーカーを探して」という感じだ。それぞれにユーチューブをつけたので、ゆっくりと音楽の旅をお楽しみください。(4回連続予定)
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ドゥーワップ。
ジミー・ウォーカーという名前は僕の頭の片隅にあり、このジミーもブッダ・レーベルかどこかでアルバムを出していたシンガーではないか、というおぼろげな記憶があった。実際は違ったのだが、この名前だと実によくある名前なので、いろいろ検索しても、10人くらいでてくるのではないだろうか、とバラカンさんに言うと、「そう、調べたらたくさん出てきて、はっきりどれと確定できなかった」と言われた。僕が知っていたブッダのジミー・ウォーカーは、コメディアン・タレントの黒人ジミー・ウォーカーだった。
そして、今回のジミー・ウォーカーは確かに1960年代初期に活躍したニッカボッカーズのメンバーだった。このグループはビートルズが出てきた後、1965年ビートルズ風のバンドとしてシングル「ライズ」を全米でヒットさせた。これは聞けばわかるようにサウンドも風貌もビートルズ風を狙ったものだ。(音源は下記ユーチューブを)
ジミー・ウォーカーはニューヨーク・ブロンクス出身。1941年4月10日生まれ。現在71歳だ。(来月72歳になる) 幼少の頃から音楽が好きで、十代のときにはすでにストリート・コーナーで友人3人たち(Eddie Adlum, Frankie Tennerie, Billy Jantd)と4人組のアカペラ・グループを作って歌っていたという。グループ名はキャッスル・キングス(The Castle Kings)。
これがなんとミッド・マンハッタンの歩道で歌っていると、アトランティック・レコード創始者の一人アーメット・アーティガンが通りがかり、名刺を渡され翌日オフィースに行くとアトランティックと契約ということになった。彼らはキャッスル・キングス名義でシングルを2枚レコーディングする。
The Castle Kings:
You Can Get Him – Frankenstein / Loch Lomond (Atlantic 2107)(1961/6)
Jeanette / The Caissons Go Rolling Along (Atlantic 2158)(1962/9)
ここで上の2曲(A-B面)が聞けます
http://shop.frathoprecords.com/?pid=52075382
Jeanette
http://www.youtube.com/watch?v=RGD2n6CCZB8
ジミーが言う。「この『ケイソンズ・ゴー・ローリング・アロング』は、アトランティックのスタジオで当時導入したばかりの最新の8トラック・レコーダーで録音された初めての曲なんだよ。それまでは2トラックだった。当時最新鋭の機種を使って録音したんだ」
プロフィールにはアトランティックで3枚のシングルを出したと書いてあるが、アトランティック、さらにアトコのレーベル・ディスコグラフィーを調べても上記2枚しかでてこない。ひょっとすると、3枚目は録音したもののボツになってしまったのかもしれない。ジミーによれば2枚シングルが出たとのこと。ただこのリード・シンガーがジミーかどうかはわからないが、いずれにせよ、ジミーはこの中にいた。上記の曲は、アーティガン、フィル・スペクターらが書いた初期ロックンロール曲だ。
ニッカボッカーズ。
この後、ジミーはニューヨークのお隣ニュージャージー州バーゲンフィールドに引っ越し、ここで1962年に結成されたロック・グループ、ニッカボッカーズに誘われる。このニッカボッカーズは、元々ボー・チャールズ、ジョン・チャールズの兄弟とネッド・ブラウンが作ったもので、1964年にバディー・ランデール、さらにジミー・ウォーカーが加わり5人組となった。ちなみにこのバディー・ランデールは1958年に「ショート・ショーツ」の大ヒットを放ったロイヤル・ティーンズのメンバーでもあった。この「ショート・ショーツ」は日本でも大変よく知られた曲だ。ユーチューブでお聴きいただこう。
Royal Teens - Short Shorts
http://www.youtube.com/watch?v=2OOTr04YTwE
サックスがバディー・ランデールか? ユーチューブのクレジットではフランク・コッポラとあるが。ピアノはボブ・ゴーディオ。
こんな動画があるなんて。そう、おなじみテレビ番組『タモリ倶楽部』のテーマ曲だ。このロイヤル・ティーンズは、ニュージャージー州バーゲンフィールドで1956年に結成されているが、ここには後にフォー・シーズンズで成功するボブ・ゴーディオ、さらに、ブラッド・スゥエット&ティアーズを大ヒットさせるアル・クーパーも一時期参加した。このロイヤル・ティーンズでサックスを吹いていたのが、ビル・クランデル(のちのバディー・ランデール)である。この動画のサックスがビル・クランデルだ。(ビル・クランデルは1998年死去)
そのビルとジミーが一緒に参加したニッカボッカーズは、ソングライターでありカントリー系、ロカビリー系のシンガーでもあるジェリー・フラー(1938年テキサス生まれ)に見出され、彼の口利きでロスアンジェルスのチャレンジ・レコードと契約する。
このジェリー・フラーという人物がまた業界の大物になる男で、おもしろい。
(この項続く。明日はジェリー・フラーの話から)
ENTERTAINMENT>ARTIST>Walker, Jimmy
■ ニッカボッカーズのベスト
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000009QJD/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■ロイヤル・ティーンズの「ショート・ショーツ」(タモリ倶楽部のテーマ)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000008GU/soulsearchiho-22/ref=nosim/