【Stylistics For Christmas: So Many Hits, So Many Memories: That’s Their Privilege】

特権。

毎年12月の定例と言えば、スタイリスティックスのライヴ。もうここまで来ると、完全無比、完璧な、理屈ぬきに最高な「通常の」エンタテインメント(褒め言葉です)だ。そのパターンは、世界ソウル遺産とも言える水戸黄門のような超定番エンタテインメント。

次々と繰り出されるヒット曲の数々。そのどれにもきちっとした振り付けがなされていて、一時(ひととき)たりとも飽きさせない。アンコールのクリスマス・ソングにまで、ちょっとした振りをつけてしまう。何にでも振りがつくところが最高だ。コーラスで歌ってない3人もスローで踊っている。まさに3人がエグザイル状態。逆に「イッツ・ア・ミラクル」と「誓い」あたりは、直立不動でみなマイクの前に立つ。クールファイヴ状態だ。そして、おじぎが長い。

MC低音の魅力ハーブ・マレルが言う。「私たちは今年で結成41周年。みなさんのご支援があるからこそ、心から感謝いたします。メンバーを紹介しましょう」。(去年は40周年と言っていた。きっと、来年は42周年とMCで言うのだろう。素晴らしき継続)

アンコールでクリスマス・シーズンなので、「サイレント・ナイト」と「ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・クリスマス」。後者では珍しくヴァン・フィールズがリードを取る。なかなかいい声だ。そして最後は、これまたお約束の「愛がすべて」。メンバーが去って、バンドだけが残ると、なんとバンドがドラムス・ソロから「ビリー・ジーン」を演奏し始めた。しばらくやって、「愛がすべて」のエンディングに戻る。

音楽監督のハーヴィーによれば、「バンド・メンバーもマイケルを好きで、もちろん僕も彼をリスペクトしている。だから、トリビュートしたんだ」とのこと。ひょっとして、このリフがなり始めて、またスタイリスティックスが戻ってくるかと思いきや、それはなく、ハーブ・マレルによれば「いやあ、僕たちはマイケルの曲は今まで歌ったことはないんだ。今、みんな誰でもマイケルの曲をやっているだろう。彼は素晴らしい。だけど、誤解してもらっては困るけど、いわゆるちょっとした『マイケル・ブーム』には乗りたくないって気持ちなんだ。それまでマイケルの曲をやっていたなら話は別だけど。ムーンウォーク? 僕たちはできないよ。(爆笑) 練習しないと。(笑)」という。

スタイリスティックスは、東京の後、名古屋でやってその後ハワイ。そしてホームに戻り2週間ほど休み、フロリダに。いつもクリスマス時期は日本にいるので、家族には電話をする、という。ハーブは「そうだな、今年も200本近くライヴをやったんじゃないかな。ここ(ビルボード)では1日2ショーを6日だろ。大変だよ。すぐホテルにもどって体を休めるよ(笑)」と言う。「ニュー・アルバムは、まあ、来年、いろいろまとめなければならないな。プロデューサーを見つけ、いい曲を見つけて。また、プレストン・グラスとやるんじゃないかな。まだ何も決まってないけどね。彼はロスアンジェルスでスタジオを持っているんで、やるとすればそこで録音すると思う」

彼らのステージにははっきり言って何も新しいものはない。だが、ステージのMCでハーブは言った。「今日もたくさんの曲を歌います。そのいくつかの曲がみなさんの思い出を呼び出せれば嬉しく思います」 彼らが「1975年、1974年」などと年号を言いながら、曲を歌い始めるたびに、僕もその頃のことを思い出す。それは、長く歌い続け、多くヒット曲を持つアーティストだけに出来る特権だ。

帰り際、リードのイヴァンが「hey, what’s up, man」と言ってきたので、「OK, I’m good. See you next year」というと、笑いながら 「see you next year」と返ってきた。また来年も見に行こう。

■スタイリスティックス公演は2009年12月26日(土)までビルボード東京で。
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=calendar&shop=1

■ スタイリスティックス過去記事

December 23, 2008
スタイリスティックス~ザット・セイム・ウェイ
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081223.html

April 16, 2008
Stylistics : Magic Of The Song
【「愛がすべて」、その魔力のすべて】
http://blog.soulsearchin.com/archives/002457.html

December 22, 2007
Stylistics : Take Me Back To The 70s
【スタイリスティックス・ライヴ~70年代のあのころへフラッシュバック~】 
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200712/2007_12_22.html
(ここに過去関連記事一覧)

December 24, 2007
Stylistics : They Love Japan, Japan Love Stylistics
【スタイリスティックス、日本を愛す、日本人、スタイリスティックスを愛す】 
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_12_24.html

■ ベスト2枚組

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000K2VGFG/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ファースト・アルバムにして傑作

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005Q7YL/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ メンバー

スタイリスティックス:
エアリオン・ラヴ / Airrion Love(Vocals)
ハーブ・マレル / Herbert Murrell(Vocals)
ハロルド‘イーヴァン’ブラウン / Harold ’Evan’ Brown(Vocals)
ヴァン・フィールズ / Van Fields(Vocals)

バンド・メンバー:
ハーヴィー・ペリー / Harvey Perry(Keyboards)
ジーノ・メイヤー / Jeno Meyer(Keyboards)
テディー・デイヴィス / Teddy Davis(Keyboards)
ラザフォード・ゲイ / Rutherford Gay(Guitar)
ロビン・J・レオナード / Robin J.Leonard(Bass)
ラッセル・ウィークリー / Russell Weekley(Drums)

■ セットリスト
Setlist : Stylistics @ Billboard Live Tokyo, December 24, 2009
show started 21:36
01. Intro
02. Rockin’ Roll Baby
03. You’ll Never Get To Heaven (If You Break My Heart)
04. I’m Stone In Love With You
05. Betcha By Golly, Wow (1971)
06. Heavy Fallin’ Out (1974)
07. Break Up To Make Up
08. Stop, Look, Listen (To Your Heart)
09. You’re Everything
10. Sixteen Bars
11. Disco Baby
12. It’s A Miracle
13. Mine Au Mine (1982)
14. Sing Baby Sing
15. Introducing members; on "Funky For Jamaica"
16. That Same Way
17. You Make Me Feel Brand New
18. Funky Weekend
Enc. Silent Night
Enc. Have Yourself A Merry Christmas
Enc. Can’t Give You Anything But My Love / including a riff of Billie Jean
show ended 23:02

(2009年12月24日木曜、ビルボードライブ東京=スタイリスティックス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Stylistics


【Michael Jackson Love Night】

濃密度。

西寺郷太さんと僕吉岡正晴でのトーク・ショー「マイケル・ジャクソン・ラヴ・ナイト」が2009年12月23日(水曜・祝日)東京お台場の「カルチャー・カルチャー」で行われ、マイケルの話で4時間半、盛り上がった。僕はマイケルが映画『ディス・イズ・イット』内「ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」で着ていたポパイのTシャツにジャケット、郷太さんはライオネルとマイケルのリハーサル時の雰囲気でネクタイ姿。両者のテーブルには、それぞれが持っているマイケル関連本をどーんと並べた。この本が、僕の分でも30キロ超で、実に重く持ってくるのが超大変だった。

夕方5時から9時半まで、予定を少しオーヴァーしたが、4部構成は大体次のような感じだ。

第1時間目。冒頭、机に並べたマイケル関連本から。その中で郷太さんはスラッシュ自伝のマイケル関連のページ(約1ページ)を紹介。日本テレビで放送されたマイケル特番と、NHKFMの特番『サウンド・ミュージアム』が放送されて、その反応。一応、来場者に見たか、聴いたかを尋ね、概ね見ていられたようなので、両方の番組をほとんどの方が見ている、聴いているとの前提で話を進めた。そして、それらで語られたマイケルを巡る裁判の話しを郷太さんが詳しく解説した。「マイケル対メディアは、最大の、そしてもっとも残虐なメディアの集団リンチ」。

第1時間目の一言。「サンケイ新聞にマイケルが亡くなった日に2時間以上も取材を受けたのに、出た記事はたった2行。なんやねん!(笑)」(郷太談)

第2時間目。若干、裁判の話の残り。若干の「スマスマ」の話し。観客からの質問。「マイケルがシャモーンと言い出したのはいつ頃からでしょうか。なぜですか」との問い。僕も郷太さんも、なぜかはわからない。いつ頃かは80年代中頃ではないか、とのこと。「シャモーン問題」は、今後の研究課題に。ダイアナ・ロスとマイケルの関係についての考察も。

吉岡が1983年8月にマイケル邸を訪ねたときに撮影した写真をご紹介。ジャネット、セルジオ・メンデス、兄弟姉妹も、ラトーヤ、ジャッキー、ジャーメイン、ランディー、マーロン、チンパンジー、ラマなども。暑い夏の日だったので、他に映っている人たちは短パンTシャツだったりするが、マイケルは長袖、サマーセーター。

第2時間目の一言。「『ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス』の踊りは、郷太くんの草野球の準備運動になってるんだあ!」

第3時間目。マイケル・ジャクソン・ファン・サイト「ムーンウォーカー」の運営者トヨさんを招いて。常に最新情報をお持ちのトヨさん。先週全米で放送された『リアリティー・ショウ~ファミリー・ダイナスティー』をすでにごらんになったというトヨさんに、その番組についてうかがった。

December 14, 2009
ジャクソンズ・リアリティー・ショー『ファミリー・ダイナスティー』フォックスで放送
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10410716018.html

彼によると、かなりおもしろいようで、一例を紹介してくれた。インタヴューアーがジャーメインのいないときに、ジャッキー、ティト、マーロンらに「ジャーメインは、モータウン時代、マイケルばかり人気者になって、嫉妬してたんじゃないか。そのあたりはどうなの?」という極めて直球の質問を投げかけた。すると、3人とも下を向いてしまい何も答えなかった。それだけでも、十分面白い絵だが、さらに質問を繰り返すと、遂に兄弟たちが口を開き始めて、「そうだ」と言い、一斉にジャーメインについての話が飛び出した、という。

ここからジャーメインのジャクソンズの中での立ち位置についてのさまざまな考察が紹介された。アルバム『ヴィクトリー』のジャケットのジャーメインの写真は、写真ではなく、彼だけイラストだ、という郷太君の発見を披露。つまり、フォト・セッションには来なかったということだ。「ジャーメイン問題」は、ジャクソン家研究の上で最大のテーマ。

ここで、『ヴィクトリー』から「ボディー」のビデオを。それがあまりにチープでちゃちゃをいれながら、おもしろおかしく紹介した。

第3時間目の一言。「ジャーメインは、いつもひとりだけフォト・セッションに来ないんだよ(笑)」(郷太談)

第4時間目。ここでは歌詞のことを中心に、「マイケルが遺した言葉」のホームページを立ち上げ、訳詞を発表し始めた大西さんを舞台にあげてご紹介。歌詞について、いろいろ談義。マイケルはインタヴューを受けなくなって以来、「僕の気持ちは僕の歌を聴いてくれ」というスタンスを貫いてきた。そんな中で「ヒューマン・ネイチャー」「ブラック・オア・ホワイト」などについて詳しくその訳について。大西さんは、現在「JAM」に挑戦中。すでに5日くらい考えているが、なかなかどんぴしゃなものが出てこないので「塩漬け中」とのこと。結局、「ジャム」は、ジャムだしなあ、とか、ジャムという単語についての様々な意味の考察なども。また、「マン・イン・ザ・ミラー」も取材中。郷太さん懸案の訳詞集が、この前日に、少し体裁を変えて出せそうな方向になったとの最新ニュースも。マイケルの「歌詞問題」は、まさに学問に。「マイケル・ジャクソン学」だ。

第4時間目の一言。「JAMの訳詞、塩漬け中」(大西談)

+++++

その後、郷太さんと僕でそれぞれの本にサイン。それが終わりしばし出演者、スタッフで雑談。やはりマイケルの歌詞の部分は深いので、それだけで何かトーク・ショーみたいなのができるね、という話しに。しかし、この4時間分、誰か文字起こししてくれないかなあ。(笑)

ということで、郷太さんは、終わるとすぐにTBSの「キラキラ」の忘年会へ出発。みなさま、おつかれさま。そして、ご来場いただいた方ありがとうございます。インターネットでごらんいただいた方、無事見られましたでしょうか。ありがとうございます。

反省点としては、Youtubeの画像などを見せるとき、事前に準備しておいてすぐに出せるとよかった。歌詞の話をしたときに、その歌詞・対訳をスクリーン上にすぐに出せるとよかった。4時間分の大まかなテーマは、こちらでは決めてあったが、それを事前に告知するなり、ペラ1枚でもよいので「今日のプログラム」みたいなものを配れればよかった。お客さんからのアンケートからの質疑応答をもうちょっと取り上げられればよかった。あるいは、直接客席にマイクを渡し、質疑応答があってもおもしろかったかもしれない。まあ、最初だったのでいろいろと至らぬところもあったかと思うので、次の機会にはさらに密度を濃くしてみたいと思った。ご意見があれば遠慮なくコメント欄などにお書き込むください。

また、1時間目と2時間目の間の5分程度の休憩の間には、『ディス・イズ・イット』のDVDの予告編などが流れた。

4時間半終わって、3時間目くらいから、なんか右腕が痛いなあ、と思ったら、ずっと右手でマイクを持っていたので、ちょっと痛くなった。ので、途中から左でも持つようになった。しかし、マイクを持って腕が痛くなるなんて。次に長時間やるときは、ヘッドセットか、マイクスタンドか。(笑)

■ ディス・イズ・イットDVD

マイケル・ジャクソン THIS IS IT デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002YK4U4G/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■「マイケル・ジャクソン・ラヴ・ナイト」
お台場カルチャー・カルチャー
出演:西寺郷太、吉岡正晴、
飛び入りゲスト:トヨ(サイト『ムーンウォーカー』運営)、大西恒樹(サイト『マイケルの遺した言葉』運営)
2009年12月23日(水・祝日)17時~
ニフティーでインターネットで生動画を2時間中継

■関連サイト

西寺郷太 http://www.nonareeves.com/life/gotama/
西寺郷太ツイッター http://twitter.com/Gota_NonaReeves

吉岡正晴ソウルサーチンブログ http://ameblo.jp/soulsearchin/
オフィシャル・ホームページ http://www.soulsearchin.com/
吉岡正晴ツイッター http://twitter.com/soulsearcher216

マイケルの遺した言葉(大西さん) http://mjwords.exblog.jp/

マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーカー」(トヨさん) http://moonwalker.jp/

ENT>EVENT>Michael Jackson


(ライヴの内容がでます。これからごらんになる方はご注意ください)

【Eric Benet With 3 Piece Band~A Gig For Sale】

色気。

エリック・ベネイの2005年9月ブルーノート/モーション・ブルー、2007年9月東京ジャズ、2009年2月ビルボード以来約10ヶ月ぶり通算6回目の来日公演。(1997年7月が初来日、次が1999年7月)

今回は極東ツアーの一環か、初日に韓国から来日、いきなりステージに。バンドは3人、ドラムス、ベース、そして、キーボードという編成。このキーボードがいわゆるシークエンスで、ギターも、女性コーラスも、そしてときにエリック自身のコーラスさえも出す。言ってみれば、壮大なカラオケになる。バンドとしてはエコノミー・セット。

エリック・ベネイ、男の色気は、見事に120パーセント。そのまま「レオン」あたりの表紙を飾ってもおかしくないモデル然とした佇まいは、それだけで絵になる。

「どうもありがとう」と巧みに日本語を交え、「スパニッシュ・フライ」という自らの作品から取られたドリンクを勧め、インティメートなライヴ・ハウス慣れした感じ。

ふとあれっと思ったのが、6のデイヴィッド・フォスター・メドレー。3曲目にアースの「セプテンバー」を歌ったのだが、これってデイヴィッド・フォスターだっけ、と疑問に思い、家に戻って調べると、作者はモーリス・ホワイト、アル・マッケイ、アリ・ウィリスでフォスターではなかった。「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」をやっているので、そのあたりで勘違いしたのだろう。これは、エリックに言ってあげないと。だが、それに続く「ラスト・タイム」などは、シンガー、エリックの真骨頂を見せる。

この日はよくしゃべったエリック。MCでこんな解説も。「あるとき、オールド・スクールR&Bとニュー・スクールについて、仲間と話が盛り上がった。たとえば、1960年代、70年代のオールド・スクールのシンガーたち、マーヴィン・ゲイ、アル・グリーン、アース・ウィンド&ファイアー、オージェイズ、スタイリスティックス、ルーサー・・・。そういったシンガーと比べると今のシンガーは比較にならない。(no comparison)  で、あるとき、そうしたオールド・スクールにインスパイアーされた書いた曲が次の曲です。オールド・スクールな雰囲気を感じとるかもしれません」 こうして歌われたのが、「ユー・アー・ジ・オンリー・ワン」。確かに、ちょっと昔風だった。

これを終え、なんとエリックは一度ステージを去った。まだ始まって41分。拍手に迎えられステージに戻り、初めて人前で歌うという「クリスマス・ソング」、そして、定番「ジョージー・ポージー」。なんとこの中で、エリックはマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」をはさみこんだ。なるほど、こういう手があったか、と思った。いいアイデアだ。これを終えてちょうど1時間。観客はまだ物足りなく拍手を続ける。すると、もう一度でてきて、「アイ・ウォナ・ビー・ラヴド」を。9曲目終わりでステージを引っ込んだのはなんだったのだろう。(笑)時間配分、間違えたか。(笑)

前回来日(2009年2月)は僕はマーヴィン・ゲイの翻訳にかかりきりだったので見られなかったが、3人編成バンドで来ていたので、最近はこのスタイルで営業しているようだ。しかし、歌がこれだけうまいのだから、2005年来日時の6人編成あたりで来て欲しいところだ。あのライヴは実にすばらしかった。

今回はクリスマス時期のライヴということで、彼の場合はいつでもそうだが、いつも以上にカップル向けのライヴとなりそうだ。

なお、エリック・ベネイも1966年生まれ。昭和41年で、丙午(ひのえうま)の生まれ、ジャネット・ジャクソンと同じ年だ。

(エリック・ベネイ、ブルーノート東京で12月25日まで)

■過去関連記事

September 30, 2005
Eric Benet Live: Best Live Show At Venue Under 500, This Year
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_09_30.html

October 02, 2005
Eric Benet: A Man At Crossroad (Part 1 of 2 Parts)
【人生の交差点】 
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_10_02.html

Eric Benet: A Man At Crossroad (Part 2 of 2 Parts)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_10_03.html

October 04, 2005
A Chat With Eric Benet: Reveals Real Age
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200510/2005_10_04.html

■ 『ハリケーン』2005年作品~実によかった!

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0009OARZK/soulsearchiho-22/ref=nosim/

これも傑作です

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000IPKW/soulsearchiho-22/ref=nosim/

最新作2008年

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001B9ZVWQ/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

エリック・ベネイ(ヴォーカル)Eric Benét(vo)
ルシアン・シロタ(キーボード)Rusian Sirota(key)
グレゴリー・コリアー(ベース、ヴォーカル)Gregory Collier(b,vo)
スティックス(ドラムス)Stixx(ds)

■ セットリスト
Setlist : Eric Benet @ Blue Note Tokyo, December 21, 2009

show started 19/01
01. Love Don’t Love Me
02. Spiritual Thing
03. Love, Patience & Time
04. Spanish Fly
05. Don’t Let Go
06. David Foster Medley: After The Love Has Gone / Through The Fire / September
07. The Last Time
08. Spend My Life With You
09. You’re The Only One
--- off stage one time
10. The Christmas Song
11. Georgy Porgy
Enc. I Wanna Be Loved
show ended 20:10

(2009年12月21日月曜、ブルーノート東京=エリック・ベネイ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Benet, Eric
2009-156


【Gospellers 15th Anniversary Live】

通過点。

1994年12月にメジャー・デビューしたゴスペラーズが、15周年を記念し、「ゴスペラーズ坂ツアー2009--15周年漂流記 秋冬」と題したツアーを行ってきた。2009年12月19日(土)に国立代々木第一体育館で見た。2日間、会場、超満員。2万人以上がかけつける。すごい。

3時間を超える密度の濃い歌とトーク。今回はほとんどの大ヒットを盛り込む感じか。特に本編最後の「永遠に」「ひとり」「誓い」の3連発は圧巻だ。そして、1994年12月19日、ちょうど15年前、20人か30人しかいない、それもみんな知り合いばかりだった小さなライヴハウスでのライヴから15年を経てこの地にたどり着いた感動をメンバー皆が語るときは感慨深い。継続は力なり。

ステージバックのモニター・スクリーンも自己発光のLEDパネルを使っているせいか、実に綺麗で演出効果満点だ。何より正面ステージから伸びている花道が輝かしい。

この日、一番驚いたのが、20曲目の「ラヴ・マシン」(ミラクルズのヒットのカヴァー)の部分。なんと、金・銀ラメ光沢のマントを羽織った、その名も「ミスター・ラヴ・マシン」がステージの上の天井から降りてきたのだ。ふんわりと宙を舞いながら、ゆっくりと下降、途中で宙に浮いたまま歌い、声を出し、センター・ステージ(正面ステージから客席真ん中にせり出した花道)に着地。しばし地上に滞在、また、宙に舞い上がって行った。スーパー歌舞伎みたいだった。度肝を抜かれた。

ライヴ後、ミスター・ラヴ・マシンに話を聞くと、「いやあ、最高8メートルくらい(高さが)あるんですよ。けっこう最初は恐かったですよ。足も動かせないし。左右には動かせないんです。で、何度も何度もリハーサルやりました。あれは、ここ(代々木体育館)だけです。このミスター・ラヴ・マシンは、5年ぶりくらいかな。滅多にでてきません(笑)」とのこと。心なしか、声が酒井さんに似ていた。

メンバーもすっかり使い慣れたかのイアモニター(耳に直接つけるモニター、マイケルがなかなか慣れなかったもの)だが、安岡さんによると「ステージではいいんですけど、センター・ステージ(花道)に行くと、もう反響音があちこちから聞こえてきて、時には1拍遅れて戻ってくるんですよ。その反響音がイアモニから出てくる音より全然大きくてね。かなり慣れましたけどね」ということで、かなり大きな会場では辛そうだ。とは言っても、そこはプロ。一オーディエンスとしてはそんなことはまったく感じなかった。

後半、会場がほとんど真っ暗になり、5本の白いピンスポットだけが5人のメンバーを照らし、アカペラを歌う瞬間、やはりゴスペラーズの真骨頂が感じられた。

古い手帳を調べた。僕がゴスのメンバーと初めて会ったのは、1994年12月8日、そのとき初来日していたベイビーフェイスのプレスパーティーの席上だった。ベイビーフェイスの目の前で彼らがアカペラで歌ったのを見た。あれから15年だ。あの頃、彼らにとってはベイビーフェイスも目標の一つだったかもしれない。

きっと今ライヴハウスで100人の観客を集めるのに苦労している若手のシンガーやグループにとって、ゴスペラーズの「代々木2デイズ完売」は、大きな夢と希望になるにちがいない。そしてゴスペラーズにとっては、これを通過点とすべく、次の地平へ進んでいくのだろう。今、ゴスペラーズが多くの若手の目標になっている。

(12月21日日曜のライヴは、衛星放送局WOWOWが収録し、放送。さらに後日、DVD化される予定)

■ ラヴ・ノーツ(初回限定盤)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002MHA47I/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

ゴスペラーズ

北山陽一 
黒沢 薫
酒井雄二
村上てつや
安岡 優

バンド

杉野寿之(すぎの・としゆき) ドラムス
須藤満(すどう・みつる) ベース
福原将宜(ふくはら・まさのぶ)ギター
佐々木まり(ささき・まり) キーボード
本間将人(ほんま・まさと)サックス
石戸谷斉(いしとや・ひとし) トロンボーン
Luis Valle (ルイス・ヴァジェ)トランペット
DJバリケーン

■セットリスト: ゴスペラーズ坂ツアー2009 “15周年漂流記 秋冬”

01. Gospellers’ Theme
02. Five Keys
03. The Ruler
04. Slow Luv
05. Sweet
06. 告白
07. Body Calling
08. ラヴ・ノーツ
09. 新大阪
10. ふたつの祈り~X’mas Love To You
11. 残照
12. 約束の季節
13. Moon Glows (On You)
14. 賛歌
15. 星屑の街
16. 宇宙(そら)へ~Reach For The Sky
17. 1,2,3 For 5
18. Sayonara
19. 愛の歌
20. Love Machine
21. 一筋の軌跡
22. 永遠(とわ)に
23. ひとり
24. 誓い
Enc.1 セプテノーヴァ
Enc.2 Promise
show ended 20:20

(2009年12月19日土曜、国立代々木第一体育館=ゴスペラーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Gospellers
2009-154

【Super Disco Night】

ソウルイヴェント。

二子玉川高島屋ショッピング・センターがオープンして40周年を記念して行われたディスコ・イヴェント「スーパー・ディスコ・ナイト」が、2009年12月20日(日)、玉川高島屋横のアレーナ・ホールで約300人を集めて行われた。センターにダンスフロアを作り、正面奥にステージ。

今回の仕切りは、三宿ソウル・ナッツのマイケル鶴岡。出演者は、MJ-SPIRIT、ブラザー・コーンら多数。DJにDJオッシー、DJケイコ。

よくソウルバーの周年記念イヴェントなどで顔をあわせるソウル・ブラザー、シスター、そして、MJ-SPIRITファンなど様々な人たちが入り乱れ、ステップを踊り、パフォーマンスを凝視したりする5時間。

マイケル・ジャクソンのスピリットを受け継ぐパフォーマンス・ユニット、MJ-SPIRITのブルーツリーは、「ウォナ・ビー・スターティン・サムシン」から4曲。「ビリー・ジーン」のムーンウォークは、いつやっても受ける。そして、びしっと爪先立ちが決まる。

終盤、ブラザー・コーンが登場した次に、マイケル鶴岡が若い美女2人と図体の大きなセキュリティーというTシャツを着た人物を従えて(その様はロナル・アイズレイを彷彿とさせる)、ステージに登場したときは笑った。それを見て、コーンちゃん、「俺なんか、今日、一人で来てんのに、マイケルは横にこんなにはべらせて、誰が主役なんだよ、ムカツク」と言うと、マイケル一言「これ、俺のイヴェントだから」。(会場爆笑)

ブラザー・コーンは、「ソウル・マン」をシュガピンプスらと歌い、がんがんに盛り上げる。そして、昨年のバブルガムのヒット「ダディーズ・パーティー・ナイト」では、トム役をマイケル鶴岡が歌った。その後、クックさんが沖縄から登場、実にかっこいい現役ソウルダンスを「可愛いい人よ」で見せた。

DJオッシーは、「ファンタスティック・ヴォヤージ」、ダイナスティ、レイディオなど80ズ系、ちょっとナヴァーナ系でまとめ、一方、DJケイコは、テンプス、フォートップスなどステップ系、ダンステリア系でまとめ、客を踊らせた。

ライヴ後は、楽屋ではみんなで撮影大会。さすが、マイケル人気(マイケル・ジャクソン人気)高く、スタッフ、その他の出演者が写真を撮りたがる。

おつかれさま~。

■ ダ・バブルガム・ブラザース「Daddy’s Party Night(懲りないオヤジの応援歌)」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001HXY8P2/soulsearchiho-22/ref=nosim/

+++++

競争。

この会場の二子玉川まで、インターFMの天王洲から、どうやったら一番早く到着するか、オッシーと僕はそれぞれ違った道を選んだ。オッシーは、山手通り→目黒通り→環7→246まっすぐ進み二子玉川というコース。僕は、山手通り→中原街道→環8→246で左折、二子玉川というコースだ。果たしてどっちが早く着いたか。こんどゆっくり書きます。(笑)かなりいい勝負となりました。

■出演者

マイケル鶴岡

DJオッシー、DJケイコ

ユキ&その仲間、エイジ&その仲間
MJ-SPIRIT(ブルーツリー)
ワンダラーズ、レディー・キューブ、シュガピンプス
ブラザー・コーン
クック

吉岡正晴(司会)

■ セットリスト
Setlist: December 20, 2009

event started 18:00

DJ Osshy started 19:00

DJ OSSHY plays

Dance performance started 20:15
01. Yuki from Shirogane Danceteria & His Crew
02. Dancer Eige & His Crew

=MJ-Spirit=
03. Wanna Be Startin’ Something
04. Beat It
05. Billie Jean
06. Thriller

=Wanderers=
04. I Can’t Help Myself
05. Ain’t Too Proud To Beg
06. What Does It Take (To Win Your Love)
=Lady Cube=
07. Lady Marmalade
08. Got To Be Real
09. Hot Stuff
=Sugar Pimps=
10. Hold On I’m Coming
11. 愛をもっと
12. When Something Is Wrong With My Baby

=Brother Korn=
13. Sunshine Day
+ Michael Tsuruoka
14. Soul Man
+ Cook, Wanderers, Lady Cube
15. 可愛いい人よ
16.This Christmas
17. Daddy’s Party Night
Enc. Won’t Be Long
performance ended 21:15

DJ Keiko Play

event ended 23:00

(2009年12月20日日曜、二子玉川アレーナ・ホール、スーパー・ディスコ・ナイト)
2009-155

ENT>LIVE>Super Disco Night


【NHK-FMマイケル特番、ゴスペラーズ・ライヴ、アースなど】

もろもろ。

今日(2009年12月20日)、午後7時20分からNHK-FMで『サウンド・ミュージアム マイケル・ジャクソン』が放送される。午後10時まで2時間40分、たっぷりマイケル・ジャクソンの歴史、魅力などを語る。出演は吉岡正晴と西寺郷太。ぜひお聴き逃しなく。

編集されたファイナル・カットを聴いたが、曲は次々とかかり、とにかくマイケルについての細かいトークが続く。マイケル・ファンにはたまらない内容になっていると思う。

ただ、収録が12月9日までに終わっていたため、12月16日に日本テレビ系列で放送された『愛と哀しみの真実』についての感想が入っていない。また、トーク・テーマは多数あったが、じっくりマイケルが書いた歌詞についてのトークができなかった。そのあたりが心残りと言えば心残りだ。

番組、聴いていただいたら忌憚ないご感想などをお寄せください。12月23日のトーク・ライヴに反映させます。

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ゴスペラーズ・ライヴ。

12月19日(土)、夕方、国立代々木第一体育館でゴスペラーズのライヴ鑑賞。超満員のぎっしりぎっしり。1万人以上が入っていて、完全売り切れ。内容については、12月21日が解禁とのことなので、セットリストなどは21日(月)以降にご紹介予定。

いやあ、でも、驚きましたよ。あのときには…。ライヴ後、メンバーらとほんのちょっとだけ面会。酒井さんにいろいろ聞きましたが、月曜以降に。

横のモニターに映される映像も綺麗だが、正面バックのLEDモニターが実に彩りよく綺麗。20日(日)には、WOWOWの収録がカメラ20台以上で行われるそうで、それがいずれオンエアされる。

15周年記念ライヴ、おめでとうございます。

最新作
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先週のアース・ウィンド&ファイアーの小ネタ。

アースのリード・ヴォーカルのひとりに、ベンジャミン・デイヴィッド・ウィットウォースという人物がいた。このところ、ずっとアースのサポートメンバーとして来日していたが、なんと、彼はかつて日本でも人気が出たアカペラ・グループ、14カラット・ソウルに在籍していて、アース以前に何度も来日していたそうだ。

その情報を得て、早速14カラット・ソウルのCD、LPを探そうとしたが、ちょっとすぐに出なかったので、確認できていないのだが。通称はトゥティグ(tootigg)という。いろいろネットなどでも調べたが、メンバーが出ているものがなくてまだよくわからない。

Benjamin David Whitworth / Vocals/Percussion

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ENT>ARTIST>

【Nona Reeves Live At Quattro】

美声。

このところ、すっかりマイケル関連でトークしか聴いたことがなかった西寺郷太くん率いるJポップグループ、ノーナ・リーヴスのライヴを渋谷クアトロで見た。彼のライヴを見るのは実は初めて。クアトロは1週間前にダイアン・バーチで来てそのときも満員だったが、この日も超満員、ギューギュー、酸欠になりそう。ダイアンのときは、もう後ろでほとんど何も見えなかったが、この日はマネージャーの矢島さんがいい場所をキープしておいてくれたので、全体をきっちり見ることができた。感謝。

完全ポップにキャッチーな2時間14分。ドラムス、ギター、ベース、キーボード、パーカッションの強力な5人バンドに西寺郷太ヴォーカル。何より驚いたのが、郷太くんのきれいな声。普段の話し声とはまったく違う中性的な美声で、メロディアスな曲を次々と歌う。バンドはしっかりしており、最初、1980年代にヒットを放ったワン・チャン(1986年「エヴリボディー・ハヴ・ファン・トゥナイト」が大ヒット)のサウンドを思い起こさせた。他にもヒューイ・ルイス、レイ・パーカー、スタイル・カウンシル、ワム、アース、ハウスっぽいサウンドなどが散りばめられたリズムの強いJポップサウンドだ。渋谷系というのかな。観客は7-3で女性が多いか。年齢層は20代から30代。

「ノーナ・サイコー!」 郷太くんが叫ぶ。観客とのコール&レスポンスも。「1999年から10年ずっとここでやってきてます。人気があるんだか、ないんだか(観客爆笑)」 「これ終わったら、来年のも予約したりして(笑)」とギターの奥田さん。年に2回あるメインのライヴが、きっちりこうした観客を集め続けているところがたいしたもの。

「メモリーズ~ひと夏の記憶~」では、何度も「シャモーン」という掛け声が。マイケルだ。

そして、中盤、郷太くんが白いジャケットを着て、おもむろに始めたのが「スムース・クリミナル」。さすがに「ゼロ・グラヴィティー」はなかったが(笑)、ロック調のアレンジで、マイケル・トリビュート。終わって、ノーMCでつなげたのが、「シュクチョクシュクチョク」の声からキーボードのイントロも印象的な「ヒューマン・ネイチャー」。途中の「looking out」のあと、バ~ンと音を止め、時間をフリーズさせる。

なぜ、数あるマイケル曲の中から「スムース・クリミナル」と「ヒューマン・ネイチャー」を選んだのか。

ライヴ後、打ち上げ会場となった三茶「サンキング」で郷太くんが語った。「映画『ディス・イズ・イット』でやった曲から何かやりたかったというのがひとつですね。夏のイヴェントで、『マン・イン・ザ・ミラー』は、やっていたので、それ以外でと考えて。マイケルの曲は誰もがカヴァーしてるので、絶対誰にも負けないのをやりたかった。それから一味違うという曲を選びたかった。『スムース・クリミナル』はほとんど誰もやらない。一方、『ヒューマン・ネイチャー』は、けっこうカヴァーがある。それでも曲がめちゃくちゃよすぎて、マイケル入門の1曲でありながら、通ぶってる連中も一番褒めるような曲でもあるんで選んでみたんです」

「それと、僕は滅多に曲を聴いて泣いたりしないんですけど、今回唯一、曲を聴いて泣いたのが、この『ヒューマン・ネイチャー』だったんです。ちょうど6月26日の昼間(マイケル死去のニュースが日本中に駆け巡った日)、(マイケル特番に自分が出演するために)赤坂のTBSに車で向かっていたときです。東京FMで吉岡さんと湯川れい子さんが出ていろいろマイケルの話をしていて、その直後、『ヒューマン・ネイチャー』がかかった。ちょうど、246(青山通り)を通ってて、乃木坂のトンネルを抜けるために表参道の交差点を右折するところでした。マイケルが本当にうまくて。それ聴きながら、ただ涙が出てきたんです。同時に、(自分は)マイケルが好きでよかったなあ、まずマイケルに教わってからというもの、ポップ・ミュージックに人生の99%かけてきた。それは全然生き様として自分は間違ってなかった。そんな思いがこみ上げて涙が出てきたんです。だから、(この日のステージでは)無言で何もMCもなく、どーんと『ヒューマン・ネイチャー』を始めたんですよ」

何かマイケル曲を郷太くんが歌おうと思ったとき、マイケル楽曲の中で6月26日(日本時間)、初めてそれを聴きながら涙した曲、自分とマイケルの関係性を再確認した記念すべき1曲を、半年後の12月にステージで歌うことに迷いはなかった。ある意味、自分がマイケル・トリビュートするときもっともふさわしい楽曲ではないか。

「あのルッキング・アウト~の後、ジャーンとストップする瞬間、最高に気持ちいいんですよ。あれ、またやりたいなあ。(時間を止めて)、ボタンをとめたりして、じらしたりして。ほんと、マイケルの気持ちがわかりますよ(笑)」

ちなみに、郷太くんは、今回の一連のマイケル関連の中で、他に涙したことが2回ほどあったという。それは、マーロンの追悼スピーチのところと、同じくアル・シャープトンのスピーチを訳している、ときだ。

マイケル曲2曲をはさみ、その後一気にアップテンポで煽り、アンコールまで一気呵成。2時間余聴いて、見て、感じたことは、彼らはまさに「1980年代サウンドの申し子」だということだ。1980年代の洋楽ヒットのエッセンスを実に巧みに自分たちの音楽に吸収していた。

■ ノーナ・リーヴスのベスト・アルバムの1枚

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000JGCM7Y/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■メンバー

ノーナ・リーヴス:

西寺郷太 ヴォーカル
奥田健介 ギター
小松シゲル ドラムス

サポート・メンバー:

村田シゲ ベース (□□□=クチロロ、CG5)
トミタユズル キーボード (イン・タイム)
大森はじめ パーカッション (東京スカパラダイス・オーケストラ)

■セットリスト 2009年12月18日金曜渋谷クアトロ=ノーナ・リーヴス

show started 19:37
01. HiPPY CHRiSTMAS
02. トゥナイト~愛があった夕べ~
03. Bad Girl
04. Gimme Gimme
-MC-
05. リズムナイト
06. Love Together
07. Still
08. メモリーズ~ひと夏の記憶~
-MC-
09. Revolution
10. Daydream Park
-MC-
11. Smooth Criminal [Michael Jackson]
12. Human Nature [Michael Jackson]
13. Enjoyee! (Your Lifetime)
14. Hey, Everybody!
15. Love Alive
16. The Girlsick
Enc.1 ラスト・クリスマス(Wham)
Enc.2 Always On Your Side (新曲)
Enc.3 Hippopotamus
show ended 21:51

(2009年12月18日金曜、渋谷クアトロ=ノーナ・リーヴス・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Nona Reeves
2009-


【Soul Talking At Shizuokaya】

談義。

「吉岡くん、訂正しといて、僕、1963年からソウル聴いてるから」という筋金入りのソウル・マン、白川さん主催のゆるーくソウル好きが集う通称「白川会」が2009年12月17日、創業35周年下北沢のソウルおでん屋「エクセロ/しずおか屋」で行われた。2008年12月、2009年5月以来、約半年ぶり。

白川さん、佐藤善雄さん、松尾潔さん、鈴木啓志さん、個性豊かなドゥーワップ専門のファンジン「トレジャー・チェスト」を発行していた小西さん(初登場)、ビルボードライブ元福岡店総支配人現東京勤務金本さん(初登場)らに、しずおか屋マスター冨田さんなどを含めた面々が集まり、あれこれたわいない談義がノンストップ。

相変わらず絶好調の鈴木さん。「吉岡くん、マーヴィンの本、どうなの? あれは本当にいい本だよ。あの本が売れなくて何が売れる、って思うんだけど。吉岡くんの本が売れないと、僕の本が出せないんだよ…(苦笑) 内容がよくて、むずかしすぎるのかなあ…」 

「あ、そうそう、これ、ブログで紹介してよ」と言って、「シカゴ:ブルーズ&ソウル・ショウダウン」のフライヤーを渡された。あの伝説のドゥーワップ・グループ、フラミンゴスらの初来日が話題のイヴェントだ。「あ、それ、もうブログで紹介しましたよ」と僕。

October 24, 2009
フラミンゴス、初来日へ~シカゴ出身のブルーズ&ソウル・アーティスト・ライヴで
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10371719530.html

イヴェントホームページ↓
http://blues-soul.laff.jp/

僕も応援コメント書いちゃいました↓
http://blues-soul.laff.jp/ohen/

ところで、鈴木巨匠、最近はネットにつないでないのかな。(笑)

+++

佐藤さんが、「今、これ読んでるんですよ、めちゃ、おもしろいですよ」と言って紹介してくれたのが、内田裕也著『俺は最低な奴さ』という本。「実名がバンバン出てきて、すごいですよ。近田春夫がインタヴューアーになって話を聞いてるんだよね。でも、けっこう重いんだよねえ(苦笑)」

内田裕也著:『俺は最低な奴さ』 さっそく僕も買おうっと。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861915252/soulsearchiho-22/ref=nosim/

+++

毎回秋田からはるばる参加の進藤さん。娘さんである中一の奏音(かのん)ちゃんが、マイケル死去以来、すっかりマイケルにはまってありとあらゆる本やらビデオを見て、マイケルの知識を急速に吸収しているそうだ。彼女の愛読書が西寺郷太著『あたらしい「マイケル・ジャクソン」の教科書』とエイドリアン・グラントの『マイケル・ジャクソン全記録』だそうで、教科書は何度も何度も読んで、読むたんびに泣いているという。そこで、娘から吉岡さんのサインをもらってくるようにと「全記録」をお持ちいただいた。さっそく太いマジックでサイン。お母さんは意図的にジャクソン・ファイヴのものしか見せていなかったそうだが、どうやら、最近はあたらしいものも見ているらしい。パソコンは与えてないそうで、しかし、ソウル・サーチン・ブログなどは、すべて携帯で毎日読破しているそうだ。

+++++

今回初めてお会いしたのが、かつて「トレジャー・チェスト」というファンジンを発行していた小西さん。この雑誌には、創刊して間もなく、デビュー前の鈴木雅之さんが「自分たちはドゥーワップをやっているグループ、シャネルズといいます。記事を載せてください」と投稿してきて、そのときのアーティスト写真と鈴木さんが書いた記事が掲載されている。ワオッ、すごい。この雑誌、30年以上前のもので、僕も2-3冊持っているが、この号はなかった。ときどき、ヤフオクで万単位の金額がついている、という。別の号ではムーングロウズの特集がしてあり、鈴木雅之さんのほかに、イラストで知られる湯村輝彦さん、永井博さんらもコメントしている。湯村さんらのイラストは、当時、この雑誌にまったく予算がなかったので、ノーギャラだったそうだ。これまた、すごい。小西さんは、権藤陽一郎さんと一緒にこのファンジンを制作しているが、その権藤さんは、シャネルズのデビュー・アルバムのライナーノーツを書くことになる。

++++

その後鈴木さんの「チャップに行こう」という掛け声で、近くのソウル・バー「チャップ」へ。2009年2月オープンの新店。札幌でずっとソウル・バーをやっていたチャップさんが、東京に進出して店を開いた。小さな店だが、インディ・ソウル系を中心とした渋いソウル・バーだった。今度の12月20日に玉川高島屋アレーナホールで行われる「スーパーディスコ・ナイト」でも協力していて、そのチラシ、チケットなどを置いてあった。割引などの特典をゲットするには・a href=mailto:Asuperdisconight@yahoo.co.jp>Asuperdisconight@yahoo.co.jp までご予約を。(詳細は下記へ)

November 19, 2009
スーパーディスコ・ナイト、12月20日に開催
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10391655304.html

CHAP:
東京都世田谷区北澤2-17-10第二滝本ビル3階
03-3424-2545

CHAP Blog
http://chaps-project.blog.ocn.ne.jp/blog/

■過去の白川会関連記事↓

May 25, 2009
レコード地獄に足を一歩踏み入れた新人19歳とどっぷり頭までつかった61歳の邂逅
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090525.html

December 03, 2008
Another Soul Summit At Shizuoka-Ya
【もうひとつのソウル・サミット~鈴木啓志氏パソコン始める】
http://blog.soulsearchin.com/archives/2008_12_03.html

November 04, 2009 02:58:28
しずおか屋35周年パーティー、開かれる
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10380305472.html

ENT>EVENT>Shirakawa-kai

【Michael Jackson’s Special On NTV】

意義。

日本テレビで2009年12月16日(水)午後7時56分から2時間にわたって放送された「マイケル・ジャクソン 愛と哀しみの真実」を見た。ちょうど放送中は打ち合わせの最中だったので、終わってから移動中の車を停めて途中から見て、うちに戻ってから改めて録画を見た。

マイケルの無罪、無実のことが、はっきりとわかりやすい形で、テレビで、しかもゴールデンタイムで2時間にわたって放送されたことはとても意義が大きいと思う。郷太くんも言うように、マイケルをよく知る人の間では、すでに既定の事実だが、マイケルを知らないマスコミの人たち、一般の人たちには、よい「教科書」になったのではないだろうか。

特にイヴァン・チャンドラーのあくどさをうまく表現していた。こんなことをやられたら、マイケルに限らず、有名人はひとたまりもないだろう。

それにしても、トーマス・メゼロー弁護士とか、マイケルとか、再現フィルム、けっこう似ている人をキャスティングしているなあ、と感心した。(そんなことはどうでもいいが(笑))

しかし、イヴァン・チャンドラーの死を伝えてないのは、ちょっと片手落ち(片方の手続きに落ち度があること=一部で放送自粛の動きもある言葉)ではないか。

いわゆるマイケルを疑惑の目で見てきたメディアの人たちは、メゼロー弁護士らの言葉を反芻するといい。そして、今までマイケル疑惑を煽ってきたメディアは、それと同じかそれ以上の訂正をしなければならないだろう。

オウムのサリン事件で冤罪となった河野さんの例と同様に、マイケルはまったく予期せぬところから火の粉をかぶってしまったのだ。河野さんは、冤罪が晴れたが、マイケルはなかなか晴れていなかった。この番組をきっかけにそうした雲が取り除かれることを願う。

それにつけても、このイヴァン・チャンドラーのゆすり・たかりに対して、マイケルは示談金を支払うが、これはやはり結果的に大きな判断ミスだったような気がする。マイケルの気持ちはわかるが。この示談の姿勢こそ「It Doesn’t Matter Who’s Wrong Or Right Just Beat It, Beat It(誰が正しいか、間違っているか、関係ない。ただ逃げろ)」の精神だった。「ビート・イット」の歌詞・歌が、まさかマイケルの身に直接ふりかかるとは、マイケル自身も夢にも思わなかっただろう。また、執念の検事トム・スネドンのあの執念は何なのだろう。そして、2度目のアルビーノ一家からのゆすりのときに、もう逃げないと考えたのも、また、予想だにしなかったはずだ。

ところでこの番組の中では、マイケル・ジャクソンのアーティストとしての素晴らしさとかは一切出てこないが、これは番組制作者が、裁判・ゆすりのところだけにフォーカスしたからなのだろうか。つまり、誰でも知ってる有名人が突然死んだ。そこには複数にわたる不可解な裁判があった。そしてそれはどちらもはめられたものだった。そうしたプレッシャーで、その有名人は死に至った、というストーリーか。

しかし、このストーリーだと、そういう風にマイケルを追いやったアメリカ(加えて世界の)メディアの責任がまったく描かれない。僕はもちろん第一義的にはマイケルをゆすろうとしたイヴァン・チャンドラーが一番悪いと思うが、それを必要以上に伝え、一方、無実の証拠がでてきたときには、それをまったく伝えようとしなかったメディアの責任は巨大だ。

■ マイケルのエンタテイナーとしてのすばらしさ 『ライヴ・イン・ブカレスト』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000BNM8AG/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>MICHAEL JACKSON
ENT>ARTIST>Jackson, Michael

【Welcome To David’s Living Room】

居間。

サイドマンとしてはマリーナ・ショウ以来、本人名義としては2008年11月以来およそ1年1ヶ月ぶりのライヴ。

きっちりスーツにネクタイで登場するジェントルマン、デイヴィッド。天井の真上から白いスポットライトがデイヴィッドを照らす。ようこそデイヴィッドのリヴィング・ルームへ。4人のミュージシャンが奏でる音楽は、まるでデイヴィッドのリヴィングに招かれたようなインティメート(親密)で、リラックスな雰囲気。

窓の外は、LEDのイルミネーションも瞬き、厳寒だが、ライヴ会場はデイヴィッドのギターのぬくもりでひときわほんわかと暖かくなる。

ジャクソン・ファイヴの「ネヴァー・キャン・セイ・グッドバイ」をプレイするとき、その前後に「アイル・ビー・ゼア」を一節いれた。デイヴィッドなりのマイケルへの静かなトリビュートだろう。派手ではないが、そっとやることはやる、その奥ゆかしさが日本人の心をくすぐる。

ステージのミュージシャンのそばにサンタクロースの赤白の帽子が置いてあった。すると、デイヴィッドがおもむろにそれを被り、「アイ・ウィッシュ・ユー・ア・メリー・クリスマス」を一節。その後、何をするかと思ったら、ミュージシャン全員でこの歌を歌ったのだ! とはいっても、ほんの数小節だが。ま、ジョークといえばジョークだが、笑いが巻き起こった。そして、本当のクリスマス・ソング・メドレー。何度もプレイしつくされてきたクリスマス・ソングが結局、デイヴィッド節になり新たな息吹が吹き込まれる。何を弾いても、デイヴィッドになる。

昨年も、いつも思うのだが、どうしてもレオンのドラムの音が僕には大きすぎる。かなり本気で一生懸命叩いてしまうのだ。よりファンク的なバンドだったら、これは最高に決まるのだが、どうもデイヴィッドのメローな音にはあわないような気がするのだが、どうなんだろう。デイヴィッドは、「君はいいんだよ、本気だしてやって…。僕はセイヴしてやるから」って言ってるのかなあ。(笑)

スタイリスティックスの「誓い」、ミニー・リパートンの「ラヴィン・ユー」、クルセイダーズの「ストリート・ライフ」の連発は鉄壁だ。そして本編最後となった曲を終えた後、しばし沈黙の時間が会場を覆った。しばらくしてから、終わったことを確認したファンが拍手をした。

デイヴィッドは、自分の時間を楽しみ、そして、観客をじらす。その間が最高に居心地がいい。

■ デイヴィッド・T最新作はクリスマス・アルバム

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002OIH7JS/soulsearchiho-22/ref=nosim/

◎かつてローランド・バイナム・ショーのテーマとなっていた「ホワッツ・ゴーイング・オン」はこれに収録。最高です

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000JVS49Y/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 過去関連記事

November 22, 2008
デイヴィッド・T・ウォーカー、ビルボードライヴ
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20081122.html

May 11, 2007
David T Walker Live: Real T Sings, Crying, And Talks
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200705/2007_05_11.html

May 12, 2007
David T’s Fingers Are So Sexy: DVD Shooting Will Be Held On Saturday
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_05_12.html

May 13, 2007
The Night Of David T. Continues:
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_05_13.html

May 14, 2007
David T. Walker: "Live Audience Temperature"
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_05_14.html

December 17, 2007
David T Walker Stood Up 8 Times While His Performance
http://blog.soulsearchin.com/archives/002213.html

December 19, 2007
Distinctive Fingers, David T. Walker Says “Guitar Is My Voice”
http://blog.soulsearchin.com/archives/002215.html

December 23, 2007
David “God’s Hand” T. Walker: There’s Movement In Stillness
http://blog.soulsearchin.com/archives/002219.html

December 25, 2007
Photographers & Musicians: What Will Photographer Capture Of Musician?
http://blog.soulsearchin.com/archives/002221.html

■メンバー

David T. Walker (guitar)
Byron Miller (bass)
Leon Ndugu Chancler (drums)
Clarence McDonald (Keyboards)

■ セットリスト
Setlist : David T. Walker @ Billboard Live Tokyo, December 15, 2009

show started 21:30
01. A riff of "Christmas Song" ~ The Real T
02. Plum Happy
03. Global Mindfulness
04. I’ll Be There ~ Never Can Say Goodbye ~ I’ll Be There
05. Going Up (including a riff of "Eleanor Rigby")
06. Recipe
07. I Wish You A Merry Christmas (sung by members- but few bars)
08. Santa Claus Is Coming To Town (with reggae flavor)
09. Have Yourself A Merry Little Christmas
10. You Make Me Feel Brand New
11. A riff of Lay Lady Lay ~ Lovin’ You
12. Street Life
13. An-Noor ~ Holidays Are Mirrors
Enc. I Want You
show ended 22:51
performers left stage 22:53

(2009年12月15日火曜、ビルボードライブ東京=デイヴィッド・T・ウォーカー・ライヴ)

■ツイッターの僕の直接のアドレス

ツイッター、昨日のブログでご紹介したアドレスだと、ツイッター自身のトップページに行き、IDを登録しないといけないようです。もしツイッターに登録せずに、ただ見るだけでしたら、次のアドレスにアクセスしてみてください。でも、ただ見るだけでも、たぶん、自分のアドレス(ID)を持ってたほうが何かと便利ではないかと思われます。IDはsoulsearcher216 です。今日はビルボードからちょっとつぶやいてみました。

https://twitter.com/ soulsearcher216

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ENT>LIVE>Walker, David T


【NHK-FMサウンド・ミュージアム~マイケル・ジャクソン、2時間40分、12月20日放送】

長尺。

NHK-FMで2009年12月20日(日)午後7時20分から2時間40分にわたって放送される『サウンド・ミュージアム~マイケル・ジャクソン』の収録が先日行われたのだが、その日の収録が当初打ち合わせ込みで5時間の予定だったものが、後半、時間がなくなり、若干はしょってしまった。そうしたところ、翌日、郷太さんから電話があり、あの最後のところ、もう一度やり直しません?との連絡。さっそくNHKの担当ディレクターに連絡して、急遽一部をやり直すことになった。

2人ともマイケルについて話し始めると、どちらも止まらない。Ain’t No Stoppin’ Us Now という感じだが、今回はそれぞれのコーナーで、話すテーマが決まっているので、まあ、ラジオを聴く側は曲と一緒に聴くとわかりやすいかとも思う。

そしてその追加収録が先日(12月9日)行われた。2時間40分あると、さすがに内容は密度が濃く、たっぷりたっぷりだが、郷太さん、初回収録後、別の収録に向かい、そこでも若い女の子相手に基本的なマイケル話をして、その日のマイケル三昧の格差がけっこうおもしろかったそうだ。郷太さんは12月8日にトーク・ショーで2時間マイケル話をした後、打ち上げで朝方まで郷太さん、松尾さん、菊地さんらと話をしていたそうで、それもまたノンストップだった。

マイケル関連は、特に日々アップデートの情報がいろいろ入ってくるので、収録日と放送日はできるだけ近いほうがいいのだが、年末はみな忙しいので仕方がない。どのように編集されるかまだわからないが、僕も楽しみだ。

『サウンド・ミュージアム~マイケル・ジャクソン』
放送日 2009年12月20日(日曜)19時20分~22時00分
局 NHK-FM (全国)
出演 西寺郷太、吉岡正晴

再放送はないとのことなので、唯一のオンエアー。いや、ファイナル・オンエアー! か。(笑)

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■(告知)12月23日ネット生中継決定~その聴きかた

2009年12月23日(水曜・祝日)17時から東京・お台場「カルチャー・カルチャー」で行われる「西寺郷太と吉岡正晴の"マイケル・ジャクソン・ L.O.V.E(ラヴ)・ナイト"」のインターネットによる動画生中継の概要が決まった。

当日は次のアドレスにアクセスし、所定の手続きをすれば最初の2時間を見ることができる。料金は2時間弱で300円。

生中継の閲覧方法、また事前予約は次の通り。

「西寺郷太と吉岡正晴の"マイケル・ジャクソン・ L.O.V.E(ラヴ)・ナイト"」

下記アドレスへアクセスし、順に手続きをしてください。

http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_091109202673_1.htm#namachukei

主な流れは、ニフティーIDを取る(無料)、動画を見られるソフトをダウンロード(無料)、(その両方をすでにお持ちの方は今回は新に取得する必要はありません)、番組視聴予約、クレジットカードでの決済、視聴というもの。今回は無料ではないため、残念ながらクレジットカードがないと視聴できない。

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今回は郷太さんも僕もこうした試みが初めてなので、無料公開も含めいろいろ検討を重ねたが、システム利用料などがかかるため、結局、最低の金額を課金することになった。課金されることで、ずいぶんと視聴までにハードルが高くなってしまったが、もし、当日来れない方でどうしてもという方は試しに視聴してみてください。

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■(おしらせ)ツイッター始めました

【I Have Just Started Twitter ~ID is soulsearcher216, Follow me】

1-2ヶ月前から試験的にツイッターを試していたのですが、なかなかおもしろそうなので、公式に発表します。吉岡正晴のIDは、soulsearcher216 です。
すでにツイッターをされている方は上記IDで検索してフォローしてください。まだツイッター自体のアカウントをお持ちでない方は、次のツイッターのトップページで登録(無料)して、IDをおとりください。また、ツイッターに登録しないで見るだけも可能です。

https://twitter.com/home

その日(翌日付)ブログに書くネタをぽろっとつぶやいていたりします。ブログに出ないコネタや、速報系もつぶやくことがあります。

ENT>Michael Jackson-ology
ENT>RADIO>Jackson, Michael

【Jackson’s Reality Show On Fox】

リアリティー。

いわゆるスターの私生活にカメラを持ち込み、インタヴューや普段の姿をすべてさらけだすスタイルの「リアリティー・ショー」に、ジャクソンズの兄弟が登場する。番組タイトルは、「ザ・ジャクソンズ:ア・ファミリー・ダイナスティー(The Jacksons: A Family Dynasty)」。全米フォックス・テレビで2009年12月13日・日曜東部標準時夜9時(=日本時間14日午前11時)から5回(6時間)にわたって放送される。初回放送は2時間。

このジャクソンズのリアリティー・ショーに登場するのは、マイケルを除いた5人兄弟のうち、上からジャッキー、ティト、ジャーメイン、マーロンの4人。ランディーは現在のところまで参加していない。

最初のエピソードでのハイライトは、ジャーメインが1976年の兄弟との別れを振り返って涙する場面だという。これは、ジャクソン5が父親ジョーの考えにより、モータウン・レコードを去り、エピック・レコードに移籍することになったときのシーンだ。このとき、ジャクソン5のメンバーであったジャーメインは、モータウン社長ベリー・ゴーディーの娘ヘイゼルと結婚していたため、実の父を取るか、義理の父を取るかで大いに悩み、結局、モータウンに残った。そのため、ジャクソン5は、ジャーメインを失い、末弟のランディーを加え、また名前もジャクソンズに変更せざるをえなかった。ジャーメインはモータウンに残り、兄弟とは別れることになった。

ジャーメインはその中で、「孤独であることがどんなことかわかるか? 街を歩いていても、子供が寄ってきて、『あんたのサインはいらないよ。だってあんたがグループ(ジャクソン5)をバラバラにしたんだから』と言われたりしたんだから」と振り返る。

そして、ティトが「ジャーメインが戻ってくれたときが、僕の人生にとって最高のときのひとつだった」と言い、全員がハグした。ジャメインによれば、兄弟の前でこのときの気持ちを吐露したのは、今回が初めてだという。

4人の兄弟は、新作アルバムの制作、ツアーを計画中だ。ジャッキーは、「これは今まででベスト・アルバムだよ」とも言う。

番組の撮影は2009年1月から始まっていた。兄弟間の確執も、そのままこの番組には出ている。たとえば、去る5月、ジャクソンズがレコーディングをしているときのこと。ある日、ジャーメインがリード・ヴォーカルを録り、ランチに出て戻ってくると、ジャッキーの意見でその声が消されていた。それをジャーメインが妻に話すシーンなどもあるそうだ。

そして、最初の1時間目は、マイケルの突然の死のニュースで終わる。2時間目では、ジャクソンズの弁護士、ヴァージル・ロバーツが登場し、ジャクソンズのアルバム制作とツアーはまだ青写真の段階だ。ジャーメインがオフィシャルのフォト・セッションに現れなかったとき、ジャーメインのかかわり方が疑問視された、という。

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資料。

フォックスのテレビ番組は、日本ではスカパー経由で見ることができる。この番組がいつごろ放送されるかはまだわからない。

いずれにせよ、今年の初めから撮影されていたというだけに、兄弟たちの赤裸々な発言、本音が収録されているようだ。これは相当な史料、資料として価値のあるものになりそうだ。

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「ヒューマン・ネイチャー」。

昨日のブログで「マイケル・ジャクソン学~ヒューマン・ネイチャー」をご紹介したが、訳を出した後も、何度も何度も「ヒューマン・ネイチャー」を聴いている。

マーヴィンに「Why, Why, Does He Do Me That Way」のHeってなんだと思う、と尋ねると、「よくわからない…」と言いながら、「お父さんのことってことはありえないの?」と返事が来た。う~~ん、なるほど。おもしろい見解だ。ただ、前後からすると、父ということはないと思うが。「これが神を意味するってことはないんじゃないかなあ…。よくわからないけど」う~ん、また迷う…。

総合して考えると、今、ジョン・ベティス(作詞家)に尋ねる質問は、1)Why, Why, Does He Do Me That WayのHeは何を意味するか、2)Reaching Out ,I Touch Her ShoulderのHerは何を指すのか、一夜を過ごしたストリートの女性か、それとも街か。3)I’m Dreaming Of The Streetの意味、説明 4)ファースト・ヴァースのHear Her VoiceのHerは何を意味するか、女性そのものか、街そのものか、といったところか。

もうひとつ、歌詞について考えて感じたこと。それは、必ずしも、すべての歌詞のストーリーがきっちり起承転結があって整合性があるとは限らない、ということ。詞を書くほうは、こちらがやっきになっていろいろ考えるほど、考えてないこともある。

■ ジャクソンズ・ライヴ(紙ジャケット)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00273D442/soulsearchiho-22/ref=nosim/

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ENT>Michael Jackson


【Michael Jackson-ology~Human Nature】

性(さが)。

マイケル・ジャクソン学ががぜんおもしろくなっている。昨日(2009年12月12日付け)、大西さんが「ヒューマン・ネイチャー」をアップした。「ヒューマン・ネイチャー」は、直訳で「人間の性(さが)」。僕はまだこの歌詞を精査してはいなかったので、これを機にじっくり読んだり、調べてみたりした。こうした歌詞に対する訳詞は、正解がひとつだけではない。さまざまな解釈がなされるところがおもしろい。郷太さんもおもしろい解釈をしていた。まずこの二つの説を基本に話を進めてみたい。

大西さんの訳
http://mjwords.exblog.jp/9413260/

西寺郷太さんの説 (フルヴァージョンの訳ではありません)
http://musicshelf.jp/?mode=static&html=special38/page4

この「ヒューマン・ネイチャー」は、元々グループ、トト(TOTO)のメンバー、スティーヴ・ポカーロが書いた曲。彼は、自分の娘ヘザーが学校で何か嫌な事があり、そのグチを聞いたことをヒントにサビの部分、「Why, Why, Tell ’Em That Is Human Nature / Why, Why, Does He Do Me That Way」を作った。彼は娘のために作ったと言っている。

同じトトのデイヴィッド・ペイチが作ったデモ・テープの最後にポカーロ作品のこの「ヒューマン・ネイチャー」が入っていた。このテープは、クインシーの元に送られ、クインシーとロッドが聴いたが、ペイチの曲はクインシーが気に入らず、最後に入っていたポカーロの曲を気に入った。だが、歌詞が完全にはできていなかったので、クインシーは職業作詞家でカーペンターズをはじめ多くの実績があるジョン・ベティスに残りの作詞を依頼した。もちろん、クインシーはそのとき、ベティスにサビの部分がどのようにして出来たかは、簡単な説明はしているだろう。

そして、出来上がった作品がアルバム『スリラー』で「ビリー・ジーン」の次にアルバムB面3曲目に入る。

従って元々最初の「なぜ、なぜ、彼は私にそんなことをするの?」は、ポカーロの娘ヘザーが、たとえば同級生の男の子に何かいじめられたかして、「なぜ、彼はそんなことをするの?」と単純に思い、その答えとして「なぜなら、それが人間の性(さが)だから」となったものと思われる。

そして、次に、職業作家のジョン・ベティスは、おそらくクインシーからこのサビ部分は生かして、前後のストーリーを作ってくれ、と頼まれたのだろう。そこでいろいろマイケルのことを思いながら、歌詞を書き上げた。

全体的なトーンは、孤独な主人公(=マイケル・ジャクソン)がふとネオンの煌くビッグ・シティーにふらりと出てみたいと思う。そこで街のストレンジャー(女性)に出会う。そして、その女性と一晩過ごしたいと夢見るのか、過ごすのか(ここは不明)、いずれにせよ大都会の喧騒の中の孤独な主人公というイメージが浮かび上がる。

マイケルは、かつて「自分は有名だが、夜ふと寂しくなって街にでて誰かと話したくなる」と言った。孤独なセレブというのは歌になる。

Human Nature
written by Steve Porcaro and John Bettis
sung by Michael Jackson

[1st Verse]
Looking Out
Across The Night-Time
The City Winks A Sleepless Eye
Hear Her Voice
Shake My Window
Sweet Seducing Sighs

外を眺める。
夜の時の向こうを。
消えることのない街の光が瞬く
街の喧噪が響き、(注1)
窓を震わせる。
何と甘美で魅力的な囁き。(大西さん訳)

ここの導入部は第4ヴァースと対をなしている。大きな都市に住む主人公の様子だ。

夜、窓の外を眺めると
大都会のネオンは消えることがない
街の喧騒が窓を震わせ
甘い誘惑のため息が聴こえてくる
(吉岡訳)

[2nd Verse]
Get Me Out
Into The Night-Time
Four Walls Won’t Hold Me Tonight
If This Town
Is Just An Apple
Then Let Me Take A Bite

ここから出して、
夜の向こう側に。
今夜は四角い部屋の中にいたくない。
もしこの街が
本当にただのリンゴだったら(注2)
一口かじらせてよ。(大西さん訳)

この「今夜は四方の壁から抜け出たい」というのが、ひとり孤独でアパートか何かにいる主人公が街に出たいことを示す。マイケルの前作アルバム『オフ・ザ・ウォール』も、「壁から抜け出す」だった。以前からそうした気持ちがあったのだろう。マイケル作品(これは歌詞はジョン・ベティスだが)には、いつもなんらかのつながりがあることが多い。アップルは、ビッグ・アップルからニューヨークを連想する人が多い。ニューヨークでももちろんいいが、ニューヨークに限らず、どこかの大都市、たとえばロスアンジェルスのダウンタウン、あるいは、サンセット・ブルヴァードあたりでもいいかもしれない。

夜の街に飛び出したい気持ちなんだ
今夜はこの小さな部屋(=四方の壁)にはいたくないんだ
もしこの街がおいしいりんご(=誘惑の街)なら、
僕も一口、味見してみたい
(吉岡訳)

そして、コーラス(サビ)。

[Chorus]
If They Say -
Why, Why, Tell ’Em That Is Human Nature
Why, Why, Does He Do Me That Way
If They Say -
Why, Why, Tell ’Em That Is Human Nature
Why, Why, Does He Do Me That Way
I Like Livin’ This Way
I Like Lovin’ This Way

もし彼らがなぜ、なぜと言うなら、みんなに言ってくれ、
それが人間の性(さが)なんだ、って
なぜ、神は僕にそんな風にするんだ
(なぜ神は僕を街に飛び出させようとしているのか=なぜ神は僕に味見させようとするのか)
そういう風に生きていくのが好きなんだ
そういう風に愛していくのが好きなんだ
(吉岡訳)

ここのコーラス部分は、街を味見してみたいのか、なぜだ? なぜなら、人間の性だから、という流れだ。なぜ彼は僕を街に飛び出させようとしているのか、と問う。この彼は大西さんの解釈通り神で行ってみる。

そして、いよいよ、主人公は街に飛び出して行く。

[3rd Verse]
Reaching Out
To Touch A Stranger
Electric Eyes Are Ev’rywhere
See That Girl
She Knows I’m Watching
She Likes The Way I Stare

手を伸ばして、
知らない人とも触れ合えたら。
街には光が溢れている。(注4)
あの子(街)が見えるだろ。(注5)
彼女(街)は僕が眺めてるのを知っている。
僕が見つめる様を気に入ってくれている。(大西さん訳)

僕はこのElectric Eyesをぎらぎら光る欲望のようなものとしてイメージした。街には欲望がうずまく。そんな欲望がぎらぎらしている様だ。もちろん直訳的に都市のネオン、街の光でもある。そして、ストレンジャー(知らない人、街行く誰か)に出会いたいと思う。

手を伸ばし、ストレンジャー(未知の人)と触れ合ってみる
ネオンがあちこちで輝く街
あの女の子を見てごらん
彼女は、僕が(彼女を)見つめていることに気づいてる
彼女は、僕に見つめられまんざらでもないんだ
(吉岡訳)

最初、ひょっとすると、僕は、このガールがいわゆるストリート・ガール(娼婦)ではないかとも思った。たとえば、ドナ・サマーが「サンセット・ピープル」や「バッド・ガールズ」で描いたような状況にいるガールだ。ただ、マイケルが歌う場合を考えると、必ずしもセックスに直接結びつく娼婦ではないかもしれないとも思う。一晩中話を聴いてくれるただのガールかもしれない。そこは解釈に余白がある。

(コーラス)繰り返し

[Chorus]
If They Say -
Why, Why, Tell ’Em That Is Human Nature
Why, Why, Does He Do Me That Way
If They Say -
Why, Why, Tell ’Em That Is Human Nature
Why, Why, Does He Do Me That Way
I Like Livin’ This Way
I Like Lovin’ This Way

もし彼らがなぜ、なぜと言うなら、みんなに言ってくれ、
それが人間の性(さが)なんだ、って
なぜ、神は僕にそうさせるんだ
(なぜ神は僕に女の子をナンパさせるのだ)
でも、そういう風に生きていくのが好きなんだ
そういう風に愛を交わすのが好きなんだ
(吉岡訳)

つまり、ストリートで女の子をナンパしてしまった主人公が、みんなからなぜそんなことをするんだと問い詰められる。すると、「人間の性だから」と答える。娼婦を買うことをとがめられ、その言い訳として「人間の性」と答えることはありうる。一方、このHeを神と捉えるのも解釈のひとつとしてはある。なぜ娼婦を買うなんてはしたないことを、神は僕にさせるのか、ともとれる。それとそもそものヘザーへのメッセージがここに入っていることもある。

そして、その女の子とどうなるのか。次の第4ヴァースがおもしろい。

[4th Verse]
Looking Out
Across The Morning
The City’s Heart Begins To Beat
Reaching Out
I Touch Her Shoulder
I’m Dreaming Of The Street

外を眺める。
朝の向こう側を。
街の鼓動が脈打ち始める。
手を伸ばして、
彼女(街)の肩に触れる。
あの道に立つことと夢見ているのさ。(大西さん訳)

どうやら、女の子と知り合い、どちらかの部屋か、あるいはホテルの部屋にやってきたようだ。ここは僕と大西さんの解釈はちょっと違う。

朝、窓の外を眺めると
街の喧騒が始まっている (街の鼓動が脈打ち始める)
そっと手を伸ばし彼女の肩に触れる
僕はそんなストリートでの出来事を夢見る
(僕はあのストリートを思い浮かべる)
(吉岡訳)

I’m Dreaming Of The Streetのラインが僕もちょっと迷うところ。これは、「ストリートで女の子をナンパして、うまくいった、また今晩あのストリートに戻ってみたいと夢みている」のか、あるいはまったく逆に、「ストリートでナンパしてアパートに行き、朝を迎える」、そんな行為自体を夢見ているのか。後者の場合は、実際は声もかけず、ナンパもしていない。そうできればいいなあ、と思いつつ、街を彷徨う、誰かストレンジャーと知り合いたいと思うが、主人公はシャイだからか、それができない。そうしたことができればいいなあ、と夢見るという状況だ。マイケルのキャラクターだと後者に思えるが果たしてどうだろうか。

郷太さん訳の場合、ここでのガールを娼婦かそれに近いものとして捉えているようだ。いわゆるストリート・ガールだ。大西さんは、この彼女を街全体の擬人化として捉えている。彼はこの曲を、娼婦と主人公として捉えると、ここで描かれる「ヒューマン・ネイチャー(人間の性)」自体が「セクシュアル・デザイアー(性的欲望)」となり、その解釈はちょっと無理があるのでは、と言う。

サビ(コーラス)の部分は、おそらくポカーロは、単純にそのまま直接的な意味で書いた。いじわるする男の子がいる、それも彼の「ヒューマン・ネイチャー」と。そして、ジョン・ベティスが前後にストーリーをつけ、たとえ街の誘惑に屈したとしても、それも「ヒューマン・ネイチャー」だとした。どちらの「ヒューマン・ネイチャー」も、ある意味真実なのだ。そして、この世界にはありとあらゆる「人間の性」が溢れている。

ひとつの曲を巡ってあれこれ解釈がでてくるのはなかなか楽しい。

この歌詞の場合、ポカーロに聞いた場合とジョン・ベティスに聞いた場合、解釈に対してふたつの答えがでてくる可能性がある。そして、どちらも、正解なのだ。だからひとつの答えではなくなる。そこがおもしろい。ジョン・ベティスとポカーロに詳しく聞いてみたくなった。

■ 「ヒューマン・ネイチャー」試訳 (まとめ)

ヒューマン・ネイチャー
ジョン・ベティス、スティーヴ・ポカーロ作

夜、窓の外を眺めると
大都会のネオンは消えることがない
街の喧騒が窓を震わせ
甘い誘惑のため息が聴こえてくる

夜の街に飛び出したい気持ちなんだ
今夜はこの小さな部屋(=四方の壁)にはいたくないんだ
もしこの街がおいしいりんご(=誘惑の街)なら、
僕も一口、味見してみたい

もし彼らがなぜ、なぜと言うなら、みんなに言ってくれ、
それが人間の性(さが)なんだ、って
なぜ、神は僕にそうさせる?
(なぜ神は僕を街に飛び出させようとしているのか=なぜ彼は僕に味見させようとするのか)
そういう風に生きていくのが好きなんだ
そういう風に愛していくのが好きなんだ

手を伸ばし、ストレンジャー(未知の人)と触れ合ってみる
ネオンがあちこちで輝く街
あの女の子を見てごらん
彼女は、僕が(彼女を)見つめていることに気づいてる
彼女は、僕に見つめられまんざらでもないんだ

もし彼らがなぜ、なぜと言うなら、みんなに言ってくれ、
それが人間の性(さが)なんだ、って
なぜ、神は僕にそうさせるんだ
(なぜ神は僕に女の子をナンパさせるのだ)
でも、そういう風に生きていくのが好きなんだ
そういう風に愛を交わすのが好きなんだ

朝、窓の外を眺めると
街の喧騒が始まっている (街の鼓動が脈打ち始める)
そっと手を伸ばし彼女の肩に触れる
僕はそんなストリートでの出来事を夢見る
(僕はあのストリートを思い浮かべる)

もし彼らがなぜ、なぜと言うなら、みんなに言ってくれ、
それが人間の性(さが)なんだ、って
なぜ、神は僕にそうさせるんだ
(なぜ神は僕に女の子をナンパさせるのだ)
でも、そういう風に生きていくのが好きなんだ
そういう風に愛を交わすのが好きなんだ

(訳詞・ソウル・サーチャー吉岡正晴)

■ 「ヒューマン・ネイチャー」は、『スリラー』のB面3曲目でした

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00273D3Z2/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>Michael Jackson-ology>Human Nature


【Earth Wind & Fire Live At Kokusai Forum A】

動員力。

暗転して歓声が起こり、すぐにカリンバの音が会場内に響き渡った。アース・ショーの幕開けだ。

まさに日本で1番人気のある、動員力のあるブラック系アーティストということになるのだろうか。東京国際フォーラムA5000人・2日が満員になる。2006年1月以来ひさびさ3年10ヶ月ぶり、通算12度目の来日コンサート。直近だと、2002年11月、2004年9月、2006年1月以来ということになる。2004年までモーリスが来ていた。今回、前回はモーリスなし。しかし、メンバーはギタリスト1人の変更(ヴァディムZからモリス・オコーナーへ)以外、鉄壁の前回メンバーと同じ。さすがに年齢層高し。40代~50代が中心で、そこに20代、30代が少し混ざる感じ。男女比はほぼ半分か。

さて、セットリストの順番、曲目なども大幅に変えつつ、肝のヒット曲はほぼ演奏し、安定したエンタテインメントを98分。冒頭から「カリンバ・ストーリー」までの30分超は、ノンストップで一気に総立ちの観客を煽る。もうこのあたりは、手練手管。エンタテイナー・ソウル・バンドの定番定石。ところどころに振りを交え、踊り、観客を巻き込んで楽しませる。中盤「エヴィル」から、各楽器奏者のソロをいれ、音楽性の高さをアピールし、バラード系をまとめ、観客を座らせうっとりとさせる。そして、「イン・ザ・ストーン」からはまた一気呵成。「ファンタジー」のイントロでは、それまでにない歓声が巻き上がった。

それにしても、僕もなじんできたが、誰にとってもおなじみの曲ばかりが続くと圧巻だ。また、今回は前回よりもフィリップ・ベイリーの声がよく通って、力強さが復活した印象を持った。特に白眉だったのは、彼の一番輝く「リーズン」で、スタイリスティックスの「ベッチャ・バイ・ゴーリー・ワウ」を挟み込んだところ。スタイリスティックスもラッセル・トンプキンスという強力なファルセットがいるグループだが、そのラッセルを思わせるファルセットで圧倒的だった。

やはり、何度見てもこのバンドの肝は、そのリズムの強力さにあるということを痛切に感じる。「カリンバ・ストーリー」での舞台左右のラルフとフィリップによるパーカッションのパフォーマンス・バトル。ドラムスとパーカッションのコンビネーション。歯切れのいいブラス・セクション。そして、跳ねるヴァーディン・ホワイトのベース。そこから生み出されるリズムは、強力無比だ。これは普遍的な魅力だ。

もちろん、バンドとしてはこれにモーリスがいれば、さらにグレードアップということになる。もしモーリスが来れば、今以上の動員になるということだろう。来年の来日だと気持ち早すぎる感はあるが2-3年に1度の割での来日がちょうどいいかもしれない。

■ アース、ベストいろいろあります。たとえばこれ↓ 2009年12月23日発売、3枚組みのベスト中のベスト。(ライナー書きました)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002UGMF6Y/soulsearchiho-22/ref=nosim/

簡単なベスト↓

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000091L6V/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■アース・ウインド&ファイアー過去関連記事

January 19, 2006
Earth, Wind & Fire: Live At Budoukan, Why They Didn’t Play Encore Song?
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_01_19.html

January 20, 2006
EWF: "That’s The Way Of The World" Should Be The Last Song
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_01_20.html

2004/09/04 (Sat)
Earth Wind & Fire: Set The Budokan On The Fire
前回武道館でのライヴ評
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200409/diary20040904.html

2004/09/05 (Sun)
After The Rain Has Gone: EWF Live At Budoukan
ライヴ評第2弾
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200409/diary20040905.html

2002/11/29 (Fri)
Big Daddy! Big Boss!
前々回のライヴ評。背中で歌うモーリスホワイト
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200211/diary20021129.html

2002/12/01 (Sun)
Maurice White Talks
モーリスへのインタヴュー
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200212/diary20021201.html

■メンバー 

Philip Bailey / Vocal/Percussion
Verdine White / Bass
Ralph Johnson / Vocal/Percussion

Benjamin David Whitworth / Vocals/Percussion
Myron McKinley / Musical director, Keyboards
John Paris / Drums

Morris O’connor / Guitars
Gregory Moore / Guitars

=Earth, Wind & Fire Horn Section=

Robert(Bobby) Burns, Jr. / Trumpet
Gary Bias / Sax
Reginald Young / Trombone


■ セットリスト 国際フォーラムA
Setlist Earth Wind & Fire @ Kokusai Forum A, December 11, 2009/

show started 19:10
01. Intro / Boogie Wonderland
02. Jupiter
03. Serpentine Fire
04. Sun Goddess
05. Sing A Song
06. Shining Star
07. Kalimba Story
08. Evil (including trumpet solo of "Sunny")
09. Brazilian Rhyme
10. That’s The Way Of The World
11. After The Love Is Gone
12. Reasons (including "Betcha By Golly Wow")
13. In The Stone
14. Devotion
15. Got To Get You Into My Life
16. Fantasy
17. September
18. Let’s Groove
19. Mighty Mighty
20. Jupiter/Magic Mind/End Outro
show ended 20:48

(2009年12月11日金曜、東京国際フォーラムA=アース・ウィンド&ファイアー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Earth Wind & Fire
2009-150


【Diane Birch: Soulful Singer Songwriter】

転々。

ローラ・ニーロ、キャロル・キング、ジョニ・ミッチェルの再来などと呼ばれ今年の新人シンガーの中ではかなりの注目株となっているダイアン・バーチの初来日コンサート。実はしばらく前に、彼女のデビューCDをよく聴いていて、意外と気に入っていたので興味を持ち、渋谷クアトロまで出向いた。オープニングにマイク・カーニーというギター1本で歌うシンガー・ソングライターがいい感じでオーディエンスを暖めてから、ダイアンの登場。

アルバム『バイブル・ベルト』は、クレジットも見ずにただなんとなく聴いていて、何が好きかと問われれば、彼女のソウルフルな声が好きとしか言いようがない程度の聴き方だったのだが、ライヴで見て、彼女の声の素晴らしさを再認識した。そして、CDのクレジットを見たり、周辺を調べてみると、なんとその裏にはマイアミ・ソウルのベティー・ライト(「クリーン・アップ・ウーマン」の大ヒット)の影があった。そう、あのジョス・ストーンのデビュー・アルバムを作ったプロデューサーだ。道理で良いわけだ。

70分、ドラムス、ギター、ベース、キーボード(ダイアン)にトランペットという布陣で、しっかりとした伴奏でダイアンの声と歌が響く。一番気に入ったのは「ナッシング・バット・ア・ミラクル」、「リワインド」、そして、ニューオーリーンズのセカンド・ラインのリズムの「ヴァレンティノ」などなど。「ファイアー・エスケープ」もよかった。

1983年1月24日ミシガン州生まれ。父親が牧師だったことで、ジンバブエ、南アフリカ、オーストラリアなどを転々。ずっとアメリカに戻りたかった彼女は10歳のときやっとオレゴン州ポートランドに落ち着いた。ロスのホテルや高級レストラン(ロランジェリー)などで歌い、その後マイスペースでその才能を見出され、イギリスの音楽出版社と契約、さらにニューヨークのスティーヴ・グリーンバーグのSカーヴと契約。2009年デビューした。先日のグラミーの新人賞ノミネートに入ってもよさそうだが、残念ながらそれは逃した。

ステージ中央のピアノを弾きながら歌うダイアンはMCで言う。「もう日本に戻ってくるなんてもんじゃなくて、日本に引っ越したい、こっちに住みたい。それぐらい気に入ったわ。みなさん、ありがとう」 相当日本が気に入ったようだ。彼女のツイッター、ブログなどでも、すでに日本滞在記がアップされている。「黒が大好き」と言い、基本、黒ばかりを着ているらしい。

クアトロは立ち見で超満員。後ろで見ていたが、ほとんど彼女のことは見えず。でも、声、音はよく聴こえた。東京600人x2日、次回はもっと大きなコンサート・ホールになりそうだ。立ってみていたら、通りがかった人の何かが僕のセーターをひっかけた。なかなかはずれず参った。

これは、後日じっくり紹介するが、ダリル・ホールのウェッブだけの月一の番組『ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウスLive From Daryl’s House』というものがあり、ここにダイアンがゲストで登場、その雰囲気もものすごくよく、ファンになった。

番組のアドレスは↓
http://www.livefromdarylshouse.com/index.php?page=member_archive
(2009年10月15日アップの回がダイアン・バーチ)

ダイアン・バーチ・オフィシャル・ウェッブ(英語)
http://www.dianebirch.com/

ブログはこちら(英語)
http://www.dianebirch.com/?page=blog&room=dianebirch
(すでに2009年12月9日付けまで日本の写真など多数)

■ デビュー作『バイブル・ベルト』(日本盤=2200円、ボーナストラック2曲入り)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002CTV290/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 同輸入盤 1425円

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0024RI70M/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ メンバー

Diane Birch on vocal and keyboards
Jay Foote on bass,
Alex Foote on guitars
Eric Bloom on trumpet and flugelhorn,
(Dave Pratter ?? ) on drums

■セットリスト ダイアン・バーチ @ クラブクアトロ2009年12月10日
Setlist: Diane Birch, Club Quatro, December 10th, 2009

show started 20:14
01. Forgiveness
02. Choo Choo
03. Nothing But A Miracle
04. Ariel
05. Fire Escape
06. Even Now And Again
07. Magic View
08 Don’t Wait Up
09. Mirror Mirror
10. Rewind
11. Fools
12. You Don’t Know How It Feels [Tom Petty] (Including a riff of I’ve Got A Feeling)
13. Valentino
Enc. Jingle Bells
Enc. Photograph
show ended 21:24

(2009年12月10日木曜、渋谷クアトロ=ダイアン・バーチ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Birch, Diane
2009-149


【Tim Burton Exhibition At MOMA New York】

MOMA。

前日、トーク・ショーを見た帰り、近くでカレーを食べ、ご近所のイラストレーター、アーティスト真鍋太郎さんと藤原ようこさんのところにおじゃまして珈琲をいただいた。会場、カレー屋さん、自宅、このすべてが徒歩圏内という抜群の文化圏だが、そこで彼らが先月ニューヨークに行ったときのお土産話をたくさん聞いた。

その中で、MOMA(モマ=ミュージアム・オブ・モダーン・アート=現代美術館)でちょうどティム・バートン展が開かれており、そのプレス発表に参列し、1000部限定(ナンバリング付き)のティム・バートンの豪華本を購入した、という話がでてきた。これを見せていただいたが、ただの豪華本というより超超豪華本。30センチ四方くらいの大きさで厚いアート紙で400ページ超、全頁カラーだ。ここにティムが描いてきた絵、イラストが数百点収録されている。

タイトルは「Tim Burton and the Lurid Beauty of Monsters」で2009年11月22日から始まり、2010年4月26日まで開催される。バートンが映画の元になるアイデアを描いた原画、ちょっとした立体の制作物なども展示され、さらに、バートンに影響を与えた古い映画(『フランケンシュタイン』『Das Cabinet des Dr. Caligari (The Cabinet of Dr. Caligari)』『Murders in the Rue Morgue』『ドラキュラ』なども上映される。

http://www.moma.org/visit/calendar/exhibitions/313
http://www.moma.org/interactives/exhibitions/2009/timburton/

この400ページ超の実に重厚な豪華本を見ていると、バートンの絵のアーティストとしての才能に驚くが、あの色使い、独特の色彩感覚の映像美は元々彼の中にあるものということがよくわかる。きっと彼の頭の中には、それなりのイメージがあり、手っ取り早くは画用紙かキャンヴァスの上に色を使って描き、時間と予算があれば、映画にするということなのだろう。

バイオグラフィーを読んでいたら、なんと彼は1958年8月25日生まれとあった。これまた、マドンナ、プリンス、マイケル・ジャクソンと同じ1958年(昭和33年)組ではないか。しかも、マイケルの誕生日8月29日とわずか4日しか違わない! マイケルとティムってコラボはしてなかったっけ。

ようこさん曰く。「4月までやってるんだから、ぜひ行ってらっしゃいよ。それと、60ドル払ってMOMAの会員になると、入場料は無料になり、グッズも10%引きになっていいわよ。すぐ元取れるから」と勧められた。ネットですぐに会員になれて、2週間くらいでメンバーカードが送られてくるそうだ。行く前には会員になろうっと。

■ チャーリーとチョコレート工場(DVD)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002BS02GG/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ シザー・ハンズ DVD (僕はこの色使いが好き)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000H1QSAS/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>ART>Burton, Tim


【Kikuchi Naruyoshi, Nishidera Gota, Matsuo Kiyoshi Talk About Michael Jackson】

縦横無尽。

2009年12月8日(火)、渋谷区富ヶ谷の白寿ホールでジャズ・ミュージシャン、菊地成孔(なるよし)さん主催の『ナイト・ダイアローグ・ウィズ』というトーク・ショーがあり、西寺郷太さん、松尾潔さんがゲストに出てマイケル・ジャクソンの話をした。

トークは2時間弱。約300席が満席。最初菊地さんが登場し軽く挨拶し、2人を招きいれ、トーク開始。マイケル・ジャクソンをネタにそれぞれがそれぞれの思いを自由自在に語る。一言で言えば、ソウルバーでマイケルネタにみんなが好き勝手にしゃべる、という感じ。徐々に郷太君のピッチがあがり、後半からは独演会の様相を呈す。(笑)あのおしゃべりな松尾さんが比較的静かになったので僕はものすごく驚いたが、後で聞くとステージ上では、2人の声がかなり聴こえにくかったそうだ。確かにこの会場天井が高く、3人の声が異常に響いて聴き取りにくい。特に菊地さんが早口になると、音が響いて聞き取れなかったので、もう少しゆっくりしゃべってくれると助かる。僕も話しに興奮すると早口になってしまい、すぐにディレクターなどから、「ゆっくりゆっくり」とダメダしをされるのだが、他山の石としよう。

さて、冒頭、観客をリサーチ。菊地さんのつい最近オーチャードホールでのライヴに来た人、挙手約半分。さすが、菊地さん主催のイヴェント、菊地ファン多し。続いて西寺郷太著『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書」を持っている人、挙手7割。さすが、マイケル・パワー。松尾氏プロデュースのでたばかり、すでに100万枚以上のセールスを記録しているエグザイルの最新作を持っている人、挙手1割弱で、パネリストたちに受ける。

縦横無尽のトークの話題は、アルバム「バッド」へのラップ・グループ、ランDMCの参加の話があったことから見られるクインシーの狙い、郷太さんのマイケル・ファンとしての孤独をカート・コバーン、レッチリ・ファンと並べての語り、最近、ビームスでレノン、コバーン、マイケルのマグカップを見つけた話し、エルヴィスとマイケルの関連、今回の『ディス・イズ・イット』ツアーは、「バッド再評価ライヴだった」という郷太説、マイケルが十数人のスタッフやダンサーを前に踊って受けているシーンを見て、今まではマイケルにはああいう視点はなかった、という指摘、「新しい教科書」では、マイケルのダンス面についてはほとんど書いていないことなど、マイケル関連ネタが脈略なく次々と出てきた。

2時間のトークセッション後、3人揃ってサイン会。

郷太さんとの12月23日のトーク・ライヴは4時間。この調子だと、4時間でも時間が足りなくなる感じがでるかもしれないなあ。楽しみ楽しみ。

++++

ところで、白寿ホールからほんの徒歩3分以内に住むイラストの真鍋太郎さん、藤原ようこさんらと一緒に観覧したのだが、ようこさんが、郷太さんの所属グループ名をどうしても発音できず、「ノーナイブツ? 脳内異物?」と聞いてきた。う~~む、郷太さんの脳内の中にあるもの、それは、今、マイケル・ジャクソンそのものだ。受けた。

++++

ワックスポエティックスのアメリカ版最新号(第37号)を読んでいたら、元モータウンのスタッフ・ライター、プロデューサー、フォンス・マイゼルが、「アイ・ウォント・ユー」や「ABC」でキーボードを弾いていたと発言している。となると、「アイ・ウォント・ユー・バック」はジョー・サンプルではないのか。再確認が必要になってきた。2人とも弾いている可能性も、またフォンスも弾きつつ、ジョーに差し替えられた、という可能性もある。

++++

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002UHJ9EO/soulsearchiho-22/ref=nosim/

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4904422066/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>ARTIST>Jackson, Michael


【Michael Jackson-ology Has Just Begun】

研究(Study)。

マイケル・ジャクソンが遺したメッセージは、本人が語った過去のインタヴューや、本人のスピーチなどにもあるが、なにより一番直接的に知ることができるのが、彼の楽曲に書かれた歌詞群だ。マイケルが歌った曲の歌詞をしっかり理解すれば、マイケルの考え方、哲学、思考、嗜好が理解できる。しかし、残念ながら、CDに付随している訳詞は、マイケルの英語が若干難しいこともあり不完全だ。

マイケルの歌詞を精査し、正しく理解することは、そのメッセージを受け取るときにとても大事になってくる。マイケル・ジャクソンの歴史をまとめた著作『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』を発表した西寺郷太さんも、訳詞集を出すと発表していたが、著作権使用問題で頓挫している。郷太さんとは僕もその訳詞集についていろいろ話をし、協力を惜しまないことを伝えているが、なにしろ著作権問題が大きなハードルになっている。別の出版社が企画した訳詞集も出版中止になっている。

そして、映画『ディス・イズ・イット』を見て、「マイケルのメッセージを伝えることが天命と思い」「マイケルのメッセージがきちんと翻訳されないなどということは、人類の損失以外の何ものでもありません」とまで考えた友人の大西さんも、同時期に正しい訳詞集が出せないかと相談してきた。いろいろなやり取りの中で、書籍としての出版には相当な時間がかかるだろうという旨を伝えると彼は、なんと速攻でウェッブで公開することを思いついた。

それがこのウェッブだ。↓
http://mjwords.exblog.jp/

すでに、Wanna Be Startin’ Something, Billie Jean, Beat It, Badの4曲がアップされている。訳詞の一部には複数の解釈が可能なものは、その説明もされている。もちろんここで書かれる訳詞は大西さん本人の解釈のもので、違う解釈をする方もいるだろうが、ひとつのたたき台として、少なくとも既存の訳詞よりはるかにマイケルのメッセージに近づいている。これにも僕は協力する。

僕もここ数ヶ月、マイケルの作品の歌詞を改めて読み直しているが、実に示唆に富んだ表現が多いことに気づく。『オフ・ザ・ウォール』ではそれほど顕著ではなかったが、『スリラー』以降はまさにマイケルの主張の独壇場だ。マイケルのメッセージを読み解くこと、それを「マイケル・ジャクソン」というひとつの学問と考え、「マイケル・ジャクソン学(Michael Jackson-ology=マイケル・ジャクソノロジー)」と名付けよう。今から、少しずつ、「マイケル・ジャクソン学」が始まる。西寺郷太著『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』も、また過去の歴史を事実だけで書いた『マイケル・ジャクソン全記録1958―2009』も、マイケル本人が書いた『ムーンウォーク』ももちろん、その教科書の1冊だ。

◎ マイケル・ジャクソン学の一部↓
http://ameblo.jp/soulsearchin/theme-10014963447.html

+++++

鏡。

西寺さん、大西さんといろいろやりとりするうちに僕もいくつかマイケル作品の訳詞を手がけてみようと思った。そこで、「マイケル・ジャクソノロジー」第一弾として「マン・イン・ザ・ミラー」を。もちろん、これは僕の解釈であり、ひとつのたたき台として、間違いがあれば正し、違う解釈があれば、それを反映させ、みなさんの意見からヴァージョンアップしていければいいと思う。

「マン・イン・ザ・ミラー」は、1987年9月にリリースされたアルバム『バッド』からの4枚目のシングルとして1988年1月にリリースされ全米1位に輝いた。これは、マイケルの素晴らしいパフォーマンスを見せる作品のひとつだが、曲を書いたのはマイケルではなく、サイーダ・ギャレットとグレン・バラード。だがマイケルが言わんとすることを代弁しており、まさにマイケルの作品としても金字塔のひとつになっている。(昨日付けのブログで、少しその誕生秘話を書いた)

この曲のショートフィルムには、マイケル本人は一切でてこない。(と思ったら、途中日本人の黄色の帽子を被った多数の子供たちの輪の中に一瞬映っていた。ブログ読者Sさんからのご指摘、ありがとうございます) その代わり、歴史上多くの「チェンジ」を成し遂げた人物や歴史上の出来事が多数映し出される。ジョン・F・ケネディー、ロバート・ケネディー、マーティン・ルーサー・キング牧師、ワレサ議長、マザー・テレサ、ツツ司教、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、マハトマ・ガンジー、サダト大統領、ベギン首相、ジミー・カーター、ゴルバチョフ大統領、ローザ・パークス(アラバマ州でバスボイコットをした人物)、ロナルド・レーガン、ボタ大統領、ウィリー・ネルソン、カダフィ大佐、そしてヒットラー、ボブ・ゲルドフ(ライヴ・エイド創始者)、KKK(人種差別集団)などなど。原爆、ライヴ・エイド、ワシントンデモ行進、アフリカの飢餓、ホームレスの人々、イルカ、チェルノブイリ原発事故、日本や世界中の子供たち…。このショートフィルム1本に登場する人物を勉強するだけでも、現代史の教科書になる。

フィルムの最後には、綺麗な地球の姿が映る。まさに「ヒール・ザ・ワールド」と同じメッセージになっている。『デンジャラス・ツアー』の後半から、この曲がエンディングになったのも、マイケルのこの曲に込めるメッセージを伝えたいという意味が強くなったのだろう。

奇しくも今日(12月8日)は、マイケル同様世界平和を訴え、このフィルムにも映るジョン・レノンの命日でもある。

For The Michael Jackson-ology (Part 1)

Man In The Mirror

Lyrics & Music written by Siedah Garrett, Glen Ballard
Sung by Michael Jackson

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I’m Gonna Make A Change
For Once In My Life
It’s Gonna Feel Real Good
Gonna Make A Difference
Gonna Make It Right...

僕は「チェンジ(変化)」を起こすんだ
一世一代の「チェンジ(変化)」を
うまくいけば、それはとてもいい感じになるはず
変化を起こして、違いを生み出すんだ
その変化を正しい方向に導くんだ

As I, Turn Up The Collar On
My Favorite Winter Coat
This Wind Is Blowin’ My Mind
I See The Kids In The Street
With Not Enough To Eat
Who Am I, To Be Blind?
Pretending Not To See Their Needs

お気に入りのウィンター・コートの襟を立てれば
木枯らしが僕の心をすり抜けていく
食べるものもろくにないストリートの子供たちがいる
それに目をつぶる自分は何なんだ
子供たちが必要なものを、見て見ぬ振りをするなんて

A Summer’s Disregard
A Broken Bottle Top
And A One Man’s Soul
They Follow Each Other On
The Wind Ya’ Know
’Cause They Got Nowhere To Go
That’s Why I Want You To Know

容赦ない真夏の陽射し(夏の無関心)(支払われない社会福祉費)(註1)
割れたボトルのかけら
ひとりの人間のソウル(魂)
それらがからみあって風に吹かれてどこへともなく漂って行く
(行くあてもなく)
だから、僕はみんなに知って欲しいんだ

I’m Starting With The Man In The Mirror
I’m Asking Him To Change His Ways
And No Message Could Have Been Any Clearer
If You Wanna Make The World A Better Place
(If You Wanna Make The World A Better Place)
Take A Look At Yourself, And Then Make A Change
(Take A Look At Yourself, And Then Make A Change)
(Na Na Na, Na Na Na, Na Na, Na Nah)

僕は、鏡に映る自分自身から始めていくってことを
僕は、鏡に映る自分自身に生活態度を改めよ、と言う
これ以上はっきりしたメッセージはないんだ
もし、この今の世界をより良き世界にしたければ、
自分自身を見つめ、自分自身から変わらなければならない
(チェンジを起こさなければならない)
自分自身から「チェンジ」しなければ

I’ve Been A Victim Of
A Selfish Kind Of Love
It’s Time That I Realize
That There Are Some With No Home
Not A Nickel To Loan
Could It Be Really Me
Pretending That They’re Not Alone?

僕はこれまで自己愛の犠牲者だった(自分しか愛してこなかった)
でも、僕は今や悟った
この世界には、住む家もなく、
たった5セントさえも借りられない人がいるということを
彼らの味方だなんて振りをするのは、本当の自分だろうか

A Willow Deeply Scarred
Somebody’s Broken Heart
And A Washed-Out Dream
(Washed-Out Dream)
They Follow The Pattern Of
The Wind, Ya’ See
Cause They Got No Place To Be
That’s Why I’m Starting With Me
(Starting With Me!)

揺れる柳が、心の傷口を深くえぐり
夢を拭い去っていく (夢を拭い去っていく)
傷ついた心は、風に流されるがままどこかを彷徨う
行くべき目的地もないからだ
だから、僕は自分自身から始める
(僕から始める!)

I’m Starting With The Man In The Mirror(Ooh!)
I’m Asking Him To Change His Ways(Ooh!)
And No Message Could Have Been Any Clearer
If You Wanna Make The World A Better Place
(If You Wanna Make The World A Better Place)
Take A Look At Yourself And Then Make A Change
(Take A Look At Yourself And Then Make A Change)

僕は、鏡に映る自分自身から始めていく
僕は、鏡の自分に「生活態度を改めよ」と言う
これ以上はっきりしたメッセージはないんだ
もし、この今の世界をより良き世界にしたければ、
自分自身を見つめ、自分自身から変わらなければならない
自分自身から「チェンジ」しなければ…

+++

(註1)
Summer’s Disregard 直訳は真夏の無慈悲、無視、ということで、夏の厳しい太陽が生活困窮者につらく当たるニュアンスをしめしていると思われます。よく真夏のハーレムなどで、アパートの階段に何もする当てもなく、ぼんやり座っている人々がいますが、まさにああいうイメージではないでしょうか。一方で、disregardに、社会福祉費が払われない(もらえない)というニュアンスもあるようです。 (Social Welfare) (often plural) Social welfare capital or income which is not counted in calculating the amount payable to a claimant for a means-tested benefit。ここは要検討ですね。

(訳詞・ソウル・サーチャー・吉岡正晴)

■ マイケル・ジャクソン『バッド』~「マン・イン・ザ・ミラー」収録

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00273D43S/soulsearchiho-22/ref=nosim/

■ 『ナンバー・ワンズ』~「マン・イン・ザ・ミラー」のショートフィルムも収録。これを見ると改めてじわじわ感動する。そして20年以上も前のメッセージが今も輝いています。本当に素晴らしい。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00013YS22/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>MUSIC>Jackson. Michael


【Waxpoetics Japan #7 Now On Street】

ブラウン。

良質なリアル・ミュージックとリアル・ミュージシャンを紹介しているニューヨークの音楽マガジン「ワックスポエティックス」の日本版第7号が2009年11月30日発売された。今回の特集はジェームス・ブラウン。

ジェームス・ブラウン・ファミリーに在籍していたアラン・リーズの寄稿、ドイツの29歳の若者が2007年にミスター・ブラウンに行ったインタヴュー、アフリカ・バンバータのインタヴューなどでブラウンの魅力に迫る。この29歳のドイツ人のインタヴューは、まさに手練手管のブラウンが若者をあしらう様子がリアルにでているのだが、その中でも、4拍子の最初のリズム「ワン」を強調する話はなかなかおもしろい。

また、アラン・リーズは、ジェームス・ブラウンの後、プリンスの下で仕事をするようになるが、プリンスがアランがブラウンの下で働いていたという事実だけで、雇い入れた、というところなど実におもしろい。

ジェームス・ブラウン・ファンなら必見の号になっている。これを読んでいて、僕がかつて何度かインタヴューしたテープを引っ張りだそうかと思った。

このほかに、シカゴのカデット・レコードを中心にアレンジャーとして活躍したリチャード・エヴァンス、ニューヨークのR&Bヴォーカル・グループ、ブラック・アイヴォリーのリロイ・バージェスのインタヴューなども掲載されている。

■ワックスポエティックス第7号 ジェームス・ブラウン

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/486113420X/soulsearchiho-22/ref=nosim/

+++

そして、一方、アメリカではワックスポエティックスも第37号が発売されている。今回は、マイケル・ジャクソン大特集で、これは2号にわたるもののようだ。日本版でも6号でマイケル特集を、吉岡が書いたが、アメリカ版でもマイケル特集を掲載中。

アメリカ版のマイケル特集はまずスクープ・ジャクソンというライターの記事、ロニー・リーズの『ゴーイン・バック・トゥ・インディアナ』という記事(7ページ)、同じくロニーのジャクソン5に関する記事(7ページ)=これは、モータウン時代のジャクソン5の作品をプロデュースしたフォンス・マイゼル、ラリー・マイゼルなどの証言をカヴァー、また、リコ・ワシントンの記事ではリオン・ウェア、スザンヌ・グリーン、ジェームス・イングラム、サイーダ・ギャレットらのマイケル作品への証言が出る。特にサイーダのインタヴューでは、彼女がいかにあの名曲「マン・イン・ザ・ミラー」を生み出したか、その誕生秘話を紹介している。また、ジョン・ランディス、ワウ・ワウ・ワトソンのマイケル関連インタヴューも。相当読み応えがある。

サイーダの話しをかいつまんで紹介するとこうだ。「マン・イン・ザ・ミラー」はサイーダがあるときグレン・バラードとこれを書いて、あまりのできの良さになんとかクインシーにすぐに聞いてもらおうと思ったが、それが金曜日。月曜まで待てずに、そのデモテープを直接クインシーの自宅にもって行った。ところがクインシーは重要なミーティング中。そこに割り込んで、ずいぶんと迷惑がられたが、2時間後、クインシーから電話がかかってきて、「この10年で聴いた作品の中で、最高のできだ。マイケルにプレゼンするが、もしマイケルが気に入らなかったら、ジェームス・イングラムのアルバムにいれる」と言われた。

その後、マイケルはこれを聴くと、すぐに気に入ったが、途中のブリッジ(サビとメインの間)が短すぎるから長くしてくれ、という意見を出した。サイーダは、密かに「マイケルとの共作になるのは嫌だな」と思い、できうる限り自分でやろうとし、何パターンも途中のブリッジの例を作りマイケルに提示したところ、そのうちのひとつを気に入ってくれた、という。こうして、マイケルがこの曲を録音することになり、見事「バッド」に収録された。こうしてサイーダにとって生涯を決めた1曲が無事マイケルによって録音されたのだ。

これらのアメリカ版のワックスに登場した記事は、順に日本版にも登場する。

■ 「マン・イン・ミラー」はアルバム『バッド』に収録

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00273D43S/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ENT>MAGAZINE>Waxpoetics
ENT>ARTIST>Jackson, Michael


◎ノラ・ジョーンズの新作ジャケットにはなぜ犬が映っているのか
【Why Does Norah Jones’ New Album Carry Photo With Dog?】

ワン!

ノラ・ジョーンズの最新作『フォール』の最初のシングル「チェイシング・パイレーツ」の訳詞について書いた。2009年11月16日付けブログ。

http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10389476870.html

ここで、よくわからないと書いたのだが、その後、この歌詞訳詞について何人かの英語の達人と意見をかわした。その中で、翻訳家の五十嵐正さんから、「pirates」自体に俗語で「女たらし」という意味があることを教わった。その一言ですべてが氷解する。パイレーツが目的語になる場合、ノラが海賊(すなわち、女たらしの男)を追いかけることになる。女たらしのこの男のことを好きなって、困っている主人公ということだ。

プロモ・ビデオ↓
http://www.youtube.com/watch?v=5f3M2UnA-4k

この曲のプロモーション・ビデオは、ノラが海賊風になっていて、マンハッタンの街中をマンション自体が帆船となって進んでいく。海賊(女たらしの男)を、海賊のように追い詰めたいと思っているそんなダブル・ミーニングもあるのかもしれない。

この新作(ノラの4作目)での最大のポイントは、それまで3作をともに作り上げてきたベース奏者で、個人的にもボーイフレンドだったリー・アレキサンダーと別れたことだ。リーとの別れから生まれた曲がここには何曲か存在し、その歌詞のトーンは、明らかに過去3作とまったく違うものになっている。もちろん、サウンドもリーが離れ、別のプロデューサー、ミュージシャンが参加したことで変化した。ノラにとって最大のターニング・ポイントとなった作品だ。

といった背景を予備知識としてもって、このアルバムの最後に収録されている「マン・オブ・ザ・アワー(Man Of The Hour)=邦題、ひとときの恋人」という曲を聴く。(日本盤には別にボーナス・トラックが入っているが、それはあくまでボーナスなので、本編での最後の曲は「Man Of The Hour」) 五十嵐さんは、この曲がリーとの別れを綴った一連の作品の中で、オチ的な作品となっていて、それを最後に持ってきた、と指摘する。

この曲の英詞・訳詞は次の通りだ。例によってCDについている訳詞ではわからないので、ソウル・サーチャーがやり直した。

Man Of The Hour
(Written by Norah Jones)

It’s him or me
That’s what he said
But I can’t choose
Between a vegan and a pot head
So I chose you, because you’re sweet and
you give me lots of lovin’ and you eat meat
And that’s how you became
My only man of the hour

「奴を選ぶのか、俺を選ぶのか」 そう彼は言った
でも、菜食主義か、マリファナ中毒を選ぶなんてことはできない
だから、私はあなたを選んだの
あなたはとても優しくて、たくさんの愛を私にくれ、
しかもあなたは、肉も食べるわ
だから、あなたは私の唯一の「ひとときのカレ(恋人)」になったのよ

You never lie
And you don’t cheat
And you don’t have any baggage tied to your four feet
Do I deserve, to be the one, who will feed you breakfast, lunch, and dinner and take you to the park at dawn
Will you really be
My only man of the hour

あなたは決して嘘をつかない、
決して裏切らない(浮気をしない)、
あなたはその四足(よつあし)になんにも荷物なんかくくりつけてないし
(あなたはなんら情緒的問題もかかえてないし=baggage=荷物=とのダブル・ミーニング)
私が、あなたに朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんを食べさせ、夜明けに公園にお散歩に行く相手になってもいいかしら
ねえ、ほんとうにあなた、わたしの「ひとときのカレ(恋人)」になってくれる?

I know you’ll never bring me flowers
Flowers, they will only die
And though we’ll never take a shower together
I know you’ll never make me cry

You never argue
You don’t even talk
And I like the way you let me lead you when we go outside and walk

あなたが決して花をプレゼントしてくれないこともわかってる
まあ、花なんて必ず枯れてしまうしね
それに一緒にシャワーも浴びないけれど
でも私はあなたが私のことを決して泣かさないってこともわかってる

あなたは、決して議論をしてこないし
っていうか、話しかけてこないし
そして何より、外にお散歩に行く時、あなたを(リードを持って)引っ張っていくのがお気に入りなの

Will you really be
My only man of the hour?
My only man of the hour.
My only man of the hour.
(ruff!)

ねえ、ほんとうにあなた、わたしの「ひとときのカレ(恋人)」になってくれる?ねえ、ほんとうにあなた、わたしの「ひとときのカレ(恋人)」になってくれる?ねえ、ほんとうにあなた、わたしの「ひとときのカレ(恋人)」になってくれる?
(ワン!)

(訳詞・ソウル・サーチャー)

++++

僕は最初、冒頭の「チェイシング・パイレーツ」で主人公が追いかけた彼がここに最後に登場したのか、と思った。「チェイシング…」の主人公と、「マン・オブ…」の主人公は同じなのかとも推測したが、ところがどっこい、全然ちがった。五十嵐さんが、これはノラの飼い犬のことだ、と教えてくれた。な~~るほど、そうだったか。CDについている訳詞では全然わからないのだが、上記の訳詞はそれを前提に直した。犬であれば、すべて納得がいく。そして、最後にCDでは、「ワン」と犬の鳴き声が入っているのだ。

歌詞の中で「四足」(これがCDでは訳されていない)「食事を与え」「散歩に引っ張っていく」あたりが、犬を示唆しているのだが、訳詞をした人物は、これが犬のことを歌っていることを理解していないので、そういう風に訳されていない。僕も最初この訳詞を読んでしまったので、それに引きずられ、真の意味が理解できなかった。

実生活でどのようなことがあって彼(ベース奏者=リー・アレキサンダー)と別れたのかはわからない。しかし、恋人と別れ、しばし決して裏切らない相手として、飼い犬を「ひとときのカレ」として選んだノラ。「決して裏切らない」「一緒にシャワーには入らない」など、ノラの普通の女の子的な姿が垣間見られるかわいい1曲ではないか。アルバム最後にこの曲を持ってきたというのも、まさに最高のパンチライン(オチ)だ。アルバムの構成としても実にうまい。

他の歌詞はまだ精査していないのだが、もっともっと奥深いストーリーがありそうだ。こういうシンガー・ソングライターの訳詞は、わけのわからない「メディア総合研究所」などというところではなく、ぜひ五十嵐正さんのようなわかっている人にやっていただきたい。

やっぱり、こういう類の作品って、誰かにちゃんと解説してもらわないと、ただ聴いただけではわからないなあ。

ノラが2009年11月16日アメリカのテレビ番組『グッド・モーニング・アメリカ』に生出演して、この曲を歌ったときの映像。(映像は悪いですが、雰囲気はつかめます)(最後の「ワン」がはいってないようだが・・・)

http://www.youtube.com/watch?v=Z_F5xyP6cuE

そして、改めて、ノラのそのアルバム・ジャケットを見る。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002P5XPFA/soulsearchiho-22/ref=nosim/

ノラとワンちゃんが、しっかり映っているではないか。そういうわけで、「ひとときのカレ」がこのワンちゃんを示唆している。CDの歌詞カードの裏には、ノラが10匹ちかくの犬に囲まれた写真もはいっている。ワン、ワン!

ENT>ARTIST>Jones, Norah


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