シャワー。

ナチュラリー7のライヴ。書き足りないので、もう少し。

ドラムス、ギター、ベース、キーボード、レコードのスクラッチ音、ヒューマンビートボックス、トランペット、サックス、様々なサウンドエフェクト・・・。そして、ヴォーカル。まさに彼らはヴォーカルのセルフ・コンテイン・グループだ。

あの声帯の強さとヴァリエーションに驚く。そして本当にグルーヴ感がある。下手なミュージシャン、ドラマーよりグルーヴがあるからすごい。

レコードをターンテーブルにのせ、針をレコードの上にのせる。レコードのチリチリ言う音が聴こえてくる。そして、ジェームス・ブラウンの「アイ・フィール・グッド」が、スクラッチされながら登場する。感嘆の声があがる。何度聞いても、すごい。

適度な振り付けもあり、7人がステージに横に広がると、かなり圧倒的だ。アカペラ・グループなのに、バンドが帯同しているかのように思ってしまう。

アカペラらしい歌は途中で2本のマイクを7人全員が囲み、静かに歌った作品。彼らが最初に教会で習ったゴスペルソングと紹介してのが、「ブレス・ディス・ハウス」そして、それに「モア・ザン・ワーズ」が続いた。さらに、「バック・トゥ・エッセンス」ではドゥワップの要素もいれた。ここは、テイク6にない部分だ。

各人のソロパートなど、実におもしろい。7台のカメラで各人を追って、それぞれの人の顔と、音を分解して見られたらいいのにと思う。そういうDVDを作って欲しい。

日本でのデビュー作と最新作からの曲を中心にしたライヴで、声のシャワーを存分に浴びた。

「ハヴ・アイ・トールド・ユー」が終わり、一旦彼らが舞台からはけると万雷の拍手の中、椅子席の観客も徐々に立ち上がった。自然な形のスタンディング・オヴェーションだった。

ナチュラリー7・2004年6月5日付け日記
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200406/diary20040605-1.html

ナチュラリー7・2004年6月7日付け日記
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200406/diary20040606.html

ナチュラリー7 『ホワット・イズ・ディス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001W8JH8/soulsearchiho-22/ref%3Dnosim/250-6713243-0719434

ナチュラリー7 『ウィンター・ラヴ・ストーリー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00061QXIG/soulsearchiho-22

+++++

ブレス・ディス・ハウス
Bless this House

Bless this house, O Lord we pray,
Make it safe by night and day . . .

Bless these walls so firm and stout,
Keeping want and trouble out . . .

Bless the roof and chimneys tall,
Let thy peace lie overall . . .

Bless this door that it may prove,
Ever open,
To joy and love . . .

Bless these windows shining bright,
Letting in God’s Heavenly light,
Bless the hearth, the painting there,
With smoke ascending like a prayer!

Bless the folk who dwell within,
Keep them pure and free from sin . . .

Bless us all that we may be,
Fit O Lord to dwell with thee . . .

Bless us all that one day we may dwell,
O Lord! With Thee!

Words and Music by Helen Taylor
and May H. Morgan ( a.k.a. Brahe ), 1927

+++++

(2004年12月6日月曜・渋谷アックスAX=ナチュラリー7・ライヴ)
芸術。

「ドラム、すごいねえ」 「いやあ、あのベースもなかなかだよね」 「ヒューマンビートボックスも、すごいリズム感」 「僕はあのギターの音と、レコードのスクラッチ音がたまらないな」

彼らも、言ってみれば文字通りのセルフ・コンテインド・グループだ。ただし、楽器の部分はすべて口でやっているのだが。そうナチュラリー7の待望の来日公演。渋谷AX、前側に座席を作りその後ろはスタンディング。完璧なアカペラ7人組。CDのすべての音は、彼らの口から。そして、ライヴのすべての音も、彼らの口から。

前回のショーケースは約40分程度のものだったが、今回は2パートにわかれ、ほぼ1時間ずつ。すべての声ということで、このインターミッションは理解できる。1時間もよく声がで続けるものだ。

ショー自体も、様々な楽曲のヴァリエーションで、まさにポップ、ロック、ソウル、R&Bから、ゴスペル、ヒップホップまで、なんでもありだ。これは実に楽しい。

あのボビー・マクファーリンは彼らを見たことがあるのだろうか。アル・ジャロウは彼らを見たのか。そしてテイク6は? 一体どのような感想を持つのか聞きたい。

次々繰り広げらる芸が、まさに芸術。ほぼ2時間のショーをこれだけ密度濃くやるのだから、本当にすごい。オフマイク(正確には中央に2本だけマイクを置き、少しはなれて全員で歌う)で歌う歌も実にシンプルで響く。

最後のアンコールでの「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド」での観客とのかけあいも、なかなかだ。観客に歌わせたまま会場を去るというアイデアはこれはおもしろかった。やはり国宝級の芸術だ。

Setlist(incomplete)

show started 19.42

01. Sit Back
02. Be My Guest (BMG)
03. Don’t You Worry ’Bout A Thing
04. 7 Minutes (The Mic Check Song) - What A Wonderful World / You’re The Sunshine Of My Life / I Like The Way You Move / I Feel Good / ( )
05. Love Story
06. Bless This House
07. More Than Words
08. Back To The Essence
09. Another You
10. What Is It? / Human Nature

first ended 20.40

second started 20:58

11. Broken Wings
12. Say You Love Me
13. Simon & Garfunkel Medley: Suond Of Silence / Scarbrough Fair / ( )
14. Amazing Grace
15. Have I Ever Told You
enc White Christmas
enc2 Wish You A Merry Christmas
enc3 Gone With The Wind

show ended 21.56

(2004年12月6日月曜・渋谷アックスAX=ナチュラリー7・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Naturally 7
本牧。

次回の「ソウル・サーチン」で急遽紹介することになったのが、ゴールデン・カップスのCDです。ゴールデン・カップスというのはいわゆる60年代全盛だったグループ・サウンズの中でも異色のグループで、なんとそのレパートリーは、R&Bとブルースを中心としたものでした。横浜・本牧出身の彼らは様々なソウル、R&B、ブルースを英語でカヴァーしました。

例えば、「ショットガン」(ジュニア・ウォーカー&オールスターズ)、「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」(ウィルソン・ピケット)、「アイ・フィール・グッド」、「トライ・ミー」(ともにジェームス・ブラウン)、「ホールド・オン・アイム・カミング」(サム&デイヴ)などなど。

僕はリアルタイムで聴いていないので、彼らがどれほど人気があったかなどは、後から伝え聞いた話でしか知りません。しかし、今回彼らのCDが再発され、ライヴが行われ、彼らを主人公にした映画が出るということで、にわかに注目が集まるようになり、CDを聴く機会を得ました。

なるほど、そうですか。びっくりしました。36年も前に、こんなにソウルフルなバンドがあったんですか。彼らは66年11月に結成してから72年1月に解散するまで活動期間はほぼ5年ちょっと。

今度紹介するアルバムは2枚。

ザ・ゴールデン・カップス
『ワンモアタイム』(映画のサントラ)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00061QXRW/soulsearchiho-22

ザ・ゴールデン・カップス
『コンプリート・ベスト・ブルース・オブ・ライフ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00061QXRW/soulsearchiho-22

こういうサウンドを今聴くと、このリアル・ミュージック感がとてもいい雰囲気です。いわゆる日本のグループサウンズなどに関してはまったく知りませんが、友人からGS関連の本を借りて、にわかに勉強中。(笑) 

ジャケットの中にある本牧を上空から撮影した一枚の写真。ゆったりカーヴする広い道に、広い敷地、そこに実に余裕を持って家が建てられています。アメリカなんですね。本牧という街も、アメリカと隣り合わせの街だったんですね。

サウンド・オブ・ホンモクですか。藤竜也とこのゴールデンカップスのエディー藩(ばん)が書いた「横浜ホンキートンク・ブルース」も入っています。スターダストのジュークボックスで藤竜也ヴァージョンを聴いたあの曲です。
車椅子。

ライヴエイドがロンドンとフィラデルフィア、その他の地域で同時に行われたのは1985年7月13日のことだった。WOWOWはその頃はまだなかったはずだ。当時日本でも全編生中継された。どこが生中継したのだったか。NHKかな。たしか24時間に近い長い間、中継されたように記憶している。VHSのテープを3倍速でセットし、ひたすら録画した。たぶんそのテープは倉庫のどこかに眠っているはずだ。

アフリカの飢餓を憂いたイギリスのロック・ミュージシャン、ボブ・ゲルドフが84年、「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」を有志を集めて録音した。そして、85年1月、そのアメリカ版がクインシー・ジョーンズのプロデュースの元録音された。USAフォー・アフリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」だ。

そして、これらの動きが85年7月、イギリスとアメリカの会場で同時にライヴを行うという前代未聞の世界的規模のイヴェントに発展した。もちろん、これを超すイヴェントは19年後の今日まで行われていない。

この『ライヴエイド』は、音楽に力があるということを示すことができた最大のイヴェントであった。そのDVDがついに発売されることになった。今日の『ソウルブレンズ』内「山野ミュージック・ジャム」でご紹介する。

僕が個人的にこの中でベストシーンとするのは、決まっている。アシュフォード&シンプソンに付き添われ、車椅子で登場したテディー・ペンダグラスだ。フィラデルフィアの貴公子、テディーは82年3月、自ら運転するロールスロイスが事故を起こし、下半身付随となっていた。

彼が電動の車椅子で舞台中央に登場する。ヘッドセットにマイクがついている。十万人以上の観客を見て、彼は感激して言葉がでない。「ありがとう・・・。これは、すごいな」。そして、目じりをぬぐう。バックのバンドが静かに演奏を続け、テディーは「ここにこれて感謝している」と言い、ここにみなが集まった理由を今しばし考えよう、と言う。

そして、いきなり、「リーチ・アウト・アンド・タッチ〜」と歌い出す。アシュフォード&シンプソン作、ダイアナ・ロスのヒットだ。後半、彼らがからむ。上半身裸の観客が身体を揺らす。この『ライヴエイド』の中でももっとも感動的なシーンだ。

DVDは4枚、ほかにソウルファンとしてはホール&オーツにエディー・ケンドリックス、デイヴィッド・ラッフィンがからむシーンがたまらない。

ライヴエイド、DVD輸入盤
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002Z9HT8/soulsearchiho-22

ライヴエイド 通常盤
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0003JKMI8/soulsearchiho-22
老若男女。

12月になるとゴスペルのグループの来日が増える。去年もゴスペルグループを見たが、今年もそんなゴスペル第一弾、ハーレム・ゴスペル・クワイアー・フロム・ニューヨークというグループを見た。このグループのリーダーは、アレン・ベイリーという人。9人の歌手と3人のバックバンドという編成だ。

この日は僕は少し遅れてしまったので、途中からだったが、ちょうど「ヒジ・アイ・イズ・オン・ザ・スパロー」のところだった。さらに、映画『シスター・アクト(天使にラヴソングを、Vol.2)』から、「ジョイフル・ジョイフル」、ビートルズメドレーへと続いた。しかし、みんな歌がうまい。当たり前だが。

9人のコーラスは、やはり本格的で、圧倒的。日本向けのサーヴィスで、「上を向いて歩こう」を日本語で歌った。

ところで、常々思うのだが、この日も渋谷公会堂は満員。ふだんブラック系のライヴで見るのとは明らかに客層が違う。どのような人たちがここに集まっているのだろうか、微妙にそのあたりに興味を持った。やはり教会関係の人たちが多いのだろうか。小学生から60代くらいの人々まで、老若男女が集まっている。

また、選曲面でも、ビートルズメドレーでは、「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」と「イマジン」を選んだり、クール&ギャングの「セレブレーション」を観客をみなステージにのせて歌ったりして、親しみ易くしている。

今年で彼らの来日は4度目だそうだ。全国で13本のライヴが予定されている。

http://www.tate.jp/gospel.html

Setlist

01. This Is The Day
02. I Believe I Can Fly
03. Man From Galilee
04. Perfect Praise
05. Ride On King Jesus Medley
06. His Eyes On The Sparrow
07. Joyful Joyful
08. Beatles Medley: All You Need Is Love
Imagine
09. Sukiyaki(上を向いて歩こう)
10. Silent Night
11. We Wish You A Merry Christmas
12. Oh Happy Day
13. Celebration
Enc. Amen

(2004年12月3日・金、渋谷公会堂=ハーレム・ゴスペル・クワイア・フロム・ニューヨーク・ライヴ)
6世代。

「おはよ〜(笑) みなさん、こんばんは。音楽のお話をちょっとだけしながら、今夜は音楽自体にすべてを語らせることにしましょう。まず一曲目は『エマノン(emanon)』。これは、ノーネームを引っくり返した言葉です」 バンドリーダー、スライド・ハンプトンが解説しながら、始まった。この日の出し物は、ディジー・ガレスピー・ビッグバンド。

ちょうど、今レイ・チャールズの本が、50年代初期で、彼がスイング・ジャズやビッグバンド・ジャズに傾注している時期でもあり、そうした話が頻繁にでてきていて、自分のモードも50ズになっていた。そこにこうしたまさに50年代を思わせるビッグバンドが登場したのだから、なかなかいいタイミングである。しかもこの日の一曲目の「エマノン」は、レイもやっていた曲だったから、感慨深い。

当時の人々は、ディジー・ガレスピーのことをディズと呼んでいた。音楽、あるいはジャズをやり始めた連中のあこがれの人だった。その彼の魂を引き継いでいるバンドがこのディジー・ガレスピー・バンドだ。13人のホーンセクションが奏でるビッグバンド・サウンドは、見事だ。4−5人編成のバンドでやっていたレイ・チャールズがこうしたビッグサウンドにあこがれ、いつしか、ホーンセクションを大胆に取り入れたビッグバンドのアレンジを書き、自分が書いたアレンジでホーンが音をだした瞬間に感激するというのもうなずける。

60年代に入ってレイが売れてきて自分のショーを編成する時、まさにビッグバンド・オーケストラを従えてツアーするようになったのも、こうした下地があってのことだ。

「次の曲は、マイケルジャクソンが書いた・・・。違う、マイケル・ジャクソンのプロデューサーの、誰だっけ、あ、クインシー・ジョーンズが書いて編曲した曲です。『ジェシカ・デイ』」 軽妙な司会とともにショーは進む。

ヴェテランのジェームス・ムーディーやフランク・ウェスは、79歳、82歳。とてもそんなには見えない。ミュージシャンは本当に若い。一体このバンドの平均年齢はいくつなのだろう。30代から80代まで、ジャズの元に6世代以上が同じステージに上る。まさにOne Nation Under The Jazz といったところか。例えば、ゲスト扱いのチャールズ・マクファーソンなどが演奏している時、若手のミュージシャンたちが尊敬の念をもって見つめている姿は、世代を越えてのミュージシャンシップを感じた。

途中、女性シンガー(ロベルタ・ガンバリーニ)が登場して「スターダスト」を歌った。最近ではすっかりロッド・スチュワート・ヴァージョンで耳タコの名曲。 彼女のヴァージョンは表面的。うーん、まあ、ロッドの方がいいかな。(笑) 他にも「アイ・リメンバー・クリフォード」「サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」などどれもおなじみの曲ばかりで楽しめた。

Setlist (2nd)

show started 21:39
1. Emanon
2. Jessica’s Day
3. Algo Buenos
4. Stardust
5. Manha De Carnival
6. I Remember Clifford
7. Manteca
Enc. On The Sunny Side Of The Street
show ended 22:59

ブルーノート・ウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20041129.html

俯瞰して知ることができるボックスセット
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005RDA9/soulsearchiho-22

(2004年12月1日水曜、ブルーノート東京セカンド=ディジー・ガレスピー・オールスター・ビッグバンド)

Copyleft Saga Continues: 

2004年12月2日
拍手。

BBSでお尋ねがあったので、もう少しだけ。コピーレフトという言葉は、さすがに今の辞書にはのっていない「新語」だと思います。もちろん、コピーライトのライトは「右」ではなく、「権利」のことですが、それを右とかけて右の逆で左、レフトという言葉を作ったわけです。

講座でもお話したのですが、音楽というものがこの世に生まれて何千年と経っています。そして、いわゆるクラシックができても5−600年でしょうか。楽譜ができたのがせいぜいそんなものでしょう。そこまで行ってないかな。そして、レコードが誕生してまだ100年程度。

著作権という概念が生まれたのはここ100年以下なわけです。その中から、たくさんヒットを出すアーティストや、ソングライターたちは巨万の富を得るようになった。もちろん、それはそれで素晴らしいことです。

ただ一方で、逆に見ると、長い歴史の中で、今ほど著作権が保護され、そこから膨大なお金が生まれる時代はないのではないかと思うわけです。いわば、ここ数十年はひょっとして長い音楽の歴史で、「著作権バブル」ではないか、と。今が、もし仮にバブル期なら、そのバブルはいつかはじけます。

CDが誕生し、CDのコピーがいとも簡単にできるようになり、MP3などのファイル交換も誰もがやるようになった。デジタルの時代が訪れ、それが著作権の根幹を揺るがすことになった。それはひょっとしたら、「著作権バブル」の終焉の序章なのかもしれないのです。

では、一生懸命時間と手間隙かけて作った作品を誰もがただでコピーしていいのか。というと、それは繰り返しになりますが、それほどよろしいことではない。つまり倫理的によくない。その作品を作った人への感謝の拍手をしなければならない。その作品を聞いて感動したら、そのお礼の拍手をしなければならない。そういうことです。

拍手の仕方は、誰かに強制されるものでもなく、それを受け取った人が自主的に行うことが望ましく、美しいわけです。

CDは、レプリカ、ポスター。ライヴの音楽は一点ものの本物の絵画。そしてそれを作った人たちへの感謝の拍手です。こうしたことが文化を豊かにしていきます。


++++

コピーレフトに関しては、例えば、次のようなサイトがあります。これはコンピューターのソフトに関してですが、音楽ソフトに読み替えることも充分できます。英語ですが、翻訳(translation )で「日本語」を押すと、見事に日本語が登場! こりゃ、すごい。(笑)

http://www.gnu.org/copyleft/copyleft.html#WhatIsCopyleft
ブラックジャック。

レイ・チャールズの自伝『ブラザー・レイ』の翻訳は、遅々として・・・少しずつ進んでいます。今予定より6日遅れ。なんとかどこかでこの遅れを取り戻したいところ。さて、今日終えたのが16章「ソロ・アーティストとしての苦悩」というところでした。

この中で、彼がブルース・シンガー、Tボーン・ウォーカーとライヴが終った後、朝までブラックジャックに興じるシーンがあります。ブラザー・レイは、ひたすら勝ちつづけ、Tボーンの持ちがね、何千ドルかをほとんど巻き上げてしまうんですね。すごい勝ちっぷりです。そして、Tボーンにはあと80ドルしか残っていない。

で、その80ドルを最後の勝負として賭けるわけです。ブラザー・レイの手札は最初から20だった。Tボーンは、2と3。次に3が来て、さらに4が来て、また4が来た。ここで16。16では勝てないが、もう一枚引くとバースト(ドボン)してしまうかもしれない。だが彼が引いたのはどんぴしゃの5。21になり、Tボーンが勝ったのですが、その時、宿の女主人が朝食の注文を取りに部屋に入ってくる。

盲目のレイから金を取り上げているTボーンをその女主人はたしなめるわけです。それまでさんざんやられていたのに、たった1回勝った瞬間だけを見つかり、文句を言われるのだからたまったものではありません。彼は踏んだり蹴ったりなわけですが、レイは笑いながら、これを曲にしようということで、一曲書いたのです。

それは、まさに「ブラックジャック」という曲でした。

僕はこういうギャンブルのシーンがでてくる物語が好きでねえ。いろんなおもしろいドラマが生まれるからです。映画ではあの『シンシナティー・キッド』(スティーヴ・マックイーン主演)なんか最高です。

しかしなあ、改めて考えると、目が見えないレイ・チャールズ、どうやってブラックジャックやるんだろう。うわさの点字付きカードでやっていたんだろうか。そうしたら、触っただけで、Tボーンのカードが筒抜けというか、わかってしまう。だから、Tボーンはそれで負けたのか。(笑) 

+++++

なお、その「ブラックジャック」は、下記のアルバムに入っています。

The Birth Of Soul : The Complete Atlantic Rhythm & Blues Recordings, 1952-1959

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000002IRW/soulsearchiho-22
自由。

先日、講師というのをやった。『音楽著作権講座』という業界人向けの講座の何週かあるうちの一コマで、著作権に関するお話をしてきた。1時間半ほど、ノンストップでしゃべるのだが、別に途中でDJよろしく曲をかけるわけではないので、結構大変だった。

今回の僕に与えられたテーマは、「非著作権」。それまでの講座で様々な著作権に関する実質的なことが語られている中で、まったく逆の話を1回だけすることになった。

以前、この日記にも書いたと思うが、いわゆる「コピーレフト」という考え方がでてきていて、その話をした。著作権は英語でコピーライト、その逆でコピーレフト。日本語で非著作権。著作権は、例えばその曲を書いたり、作ったりした人の権利。一方コピーレフトはそうしたものを最初から放棄しようというもの。

グレイトフルデッドが、彼らのライヴではカセットで録音しようが、写真を撮ろうがなんでもいいという姿勢をみせた。そして、それを売ってもいい、という。わかりやすくいえば、これがコピーレフトの基本的考え方である。著作権を主張しない、ということである。では、彼らはどこで儲けるのか。この場合、彼らはライヴで人を集め、その入場料を稼ぐ。

彼らのライヴは、そこに来ることに意義がある。デッドへッズ(デッドの熱心なファンのこと)は、ライヴに来ることに生きがいを感じる。それは、リーダーのジェリー・ガルシアにカリスマがあったからだ。つまり、そこには単なるレコード、CD以上のプラスアルファのもの、付加価値があるから人がやってくるわけだ。

だから、極論すると、これからのミュージシャンはライヴで集客できないと厳しくなる。

毎月恒例の深町純のピアノライヴも、録音、撮影自由だ。彼は「それを売ってもらってもかまわない」とも言う。グレイトフルデッドと同じだ。僕もこういう考え方は大好き。

あらゆるライヴが録音、撮影、自由になったら、おもしろいのにと思う。

ところがね、その『著作権講座』、後から聞いたら、受講者は録音禁止だったんだって。最初に「録音してもいいですよ」って言えばよかったね。ははは。
歴史。

ニューヨーク・ブラック・ミュージックの殿堂、アポロ・シアター。1934年1月にアポロとしてスタートしてから、今年はちょうど70周年にあたる。そのアポロの1985年に行われた50周年記念イヴェントのDVD『レジェンド・オブ・モータウン、ライヴ・アット・ジ・アポロ・シアター 1985年』がこれ。

昨日の『ソウル・ブレンズ』の「ソウル・サーチン」では『永遠のモータウン』のDVDを紹介したが、「山野ミュージックジャム」では、この『アポロ・・・』のDVDを紹介した。

本当は50周年は84年だったのだが、企画を立ててから、徐々に月日が流れて85年になったのかもしれない。まあ、そのあたりはいいかげんな国アメリカだから、いいのだろう。(笑)  かつて、VHSで発売されていたものの、DVD盤。しかし、若干このDVD盤は編集されている部分がある。なぜなのだろう。DVD2枚にできなかったのだろうか。

印象に残るシーンはいくつもある。物故者へ捧げるコーナー。コモドアーズが「ナイトシフト」でマーヴィンへ捧げる。エル・デバージがジャッキー・ウィルソンの「ロンリー・ティアドロップス」、ビリー・プレストンがオーティスへの「トライ・ア・リトル・テンダーネス」。そして、サム・クックの「ユー・センド・ミー」。

あるいはパティー・ラベルと白人ジョー・コッカーの熱唱。パティーの転げ回るような、神に乗り移られた様は、見事としかいいようがない。

感慨深いのはこれが撮影された1985年の時点で元気な出演者の何人かはすでに他界しているという事実だ。例えば、サミー・デイヴィスは1990年、メリー・ウェルズは1992年、テンプテーションズのメルヴィン・フランクリンは1995年、フォー・トップスのローレンス・ペイトンは1997年、それぞれこの世を去っている。

アポロは現在ニューヨークの観光地としても人気で、年間130万人の人が訪れる、という。

エラ・フィッツジェラルド、ジェームス・ブラウン、マイケル・ジャクソンを始めとするモータウン・アーティストの数々。様々な人々がこのアポロに夢を賭けやってきた。今その門戸は、ブラックだけでなく、白人にもそして時には日本人にも開かれている。

ニューヨーク、ハーレム125丁目のアポロ・シアターでは毎週水曜日に依然アマチュア・ナイトが行われている。

+++++++++++


DVD『ザ・レジェンド・オブ・モータウン ライブ・アット・ジ・アポロ・シアター 1985 』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002T214W/soulsearchiho-22
モータウン三昧。

今日の『ソウル・ブレンズ』は、モータウン特集第3回です。2時からの「ソウル・サーチン」では通常の枠を拡大して、いよいよ日本盤が発売された『永遠のモータウン(原題Standing In The Shadows Of Motown)』の2枚組DVDをご紹介します。

DVD、ちょこっとですが、ライナー解説書きました。このDVDは、映画本編(ディスク1)のほか、映画の中で紹介されなかった未公表インタヴューの部分が編集されています。このディスク2が、実は見所になっていて、次のようなチャプターがあります。

1.ファンク・ブラザースとの夕べ(メンバー座談会)
2.マルチアングルのジャムセッション
3.間に合わなかったメンバー(ドキュメンタリー)
4.待ちわびた栄光(ドキュメンタリー)
5.各メンバー紹介
6. 劇場予告

1は、この映画の主人公、ファンク・ブラザースたちが映画撮影の後に一堂に会してディナーをしながら、昔話に花を咲かせるシーン。本編では使われなかった様々なエピソードなどが語られます。

その中で、ジョニー・グリフィスの「俺には血のつながった兄弟がいなかったが、彼ら(ファンク・ブラザース)こそが兄弟だ」という言葉は、この映画、このプロジェクトを象徴しています。そして、彼らが「ウィ・アー・ファミリー」という時、まさにそういうことなのです。

あるいは、ごく初期に他界しているベニー・ベンジャミン(ドラムス=69年死去)やジェームス・ジェマーソン(83年死去)らが酒などにおぼれ、人生の末期が悲惨だったことが語られるところなどなんともいえません。

3は、この映画の完成をみることなく、他界してしまったファンク・ブラザーのメンバーについての映像。キーボードのジョニー・グリフィスは映画にも登場し、ディナーにもいますが、プレミアの直前に急死。共にやってきたメンバーたちを悲しみの淵に落します。

原作者であるアラン・スラツキーは、「一生に一度は『聖戦』というものに挑戦しなければならない時があるものだ。それがこのプロジェクトだった」といいます。

彼らの映画『永遠のモータウン』を監督したポール・ジャストマンは、自身にとってモータウンサウンドは、「(自分の)人生のサウンドトラックだからこの映画を撮りたかった」というようなことを言っています。モータウンとは、彼だけでなく、世界中の人々の人生のサウンドトラックになっているのです。

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映画『永遠のモータウン』DVD
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00062RJ9C/soulsearchiho-22

サウンドトラック『永遠のモータウン(デラックス・エディション)』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002ZEWYS/soulsearchiho-22

Gumbo’s Ear Vol.8:

2004年11月27日
レココン。

このところ微妙に日記の掲載が遅れていますが、まあ、気にしないでください。23日火曜、祝日です。BBSにおける守島さんの、「本の宣伝に来ませんか」というビミョーにうまい客引きに引っ張られ、自由が丘マルディグラ。

ちょっと遅れて行ったら、すでに守島さんDJしてました。このイヴェントは、お話をしてレコードをかけるという、いわゆる「レコードコンサート」。略してレココン。昔はこういうのたくさんあったけど、今はほとんどないですね。

自由が丘のマルディグラは、僕も守島さんに誘われ、2000年秋にちょうど著作『ソウル・サーチン』を上梓した時に、トークイヴェントをやったお店でもある。3−40人もはいればいっぱいになるお店で、店名からもわかるように、ニューオーリンズ系が中心のお店・・・かと思いきや、そこに執着することはないお店。南部ロック、南部のソウル、アメリカン、ブリティッシュと比較的幅広くかける音楽レストランといったところ。まあ、でもここの人気料理ナンバーワンはジャンバラヤだったりするわけですが。

そして、守島さんのセットの最後に呼ばれ、ちょっとレイ・チャールズの話をしました。8時過ぎ守島さんに代わりピーター・バラカンさん登場。いろいろ知らない曲ばかりをプレイ。冒頭で、いきなり、「この年になると自分が後何年生きられるかなんてことを考えるようになって・・・」みたいな話をして、一挙に観客の心を掴みました。(笑) そして、かかった曲はライトニン・ホプキンスの「アイム・モジョ・ハンド」。

ファンク・ブラザースによる「アイ・ウォズ・メイド・トゥ・ラヴ・ハー」(スティーヴィーのヒット)をかけて、「僕はこういうのが何十分でも続けばいいと思っている。ジェームス・ジェマーソン・ジャンキーですから・・・」。

「僕はこういう人前でレコードをかけるというのはやらないんですが、でもそういう時に必ずかける曲があります」と言ってかけたのが、ダニーの「ライヴ」から「ゲットー」。そろそろ今年のベスト10を決める時期だということで、このアルバムはまちがいなく入る、という。

ピーターさんからの情報。彼がキャスターをてがける『CBSドキュメント』でジェイミー・フォックスのインタヴューが放送される、という。アメリカでも映画公開にあわせて放送されたようで、日本でも1月29日の公開に前後して放送されることになりそうだ。

ラジオのDJを目の前でやってもらっている感じで、これはこれでやはりたまには楽しいな。

Setlist (incomplete) selected by Peter Barakan

01. I’m Mojo Hand / Lightnin’ Hopkins
02. Brickyard Blues / Franky Miller
03. Heroes & Villains / Watkins
04. I Was Made To Love Her / Funk Brothers
05. Mockinbird / Inez & Charlie Foxx
06. Ain’t That Peculiar / Betty Swann
07. Need You Love So Bad / Robin Kennyatta
08. Satta Masa Ghana / Abysinians
09. Stop That Train / Wailers
10. / Derek Tracks
11. I Walk The Line / Sherby Lynn
12. Rivers Of Babylon / Neville Brothers
13. Sabu / Mori Kante
14. Ghetto (Live) / Donny Hathaway
15. How Can A Poor Man Standing The Time / Cooder, Lindley Family

(2004年11月23日火曜・祝日、自由が丘マルディグラ=ガンボズ・イアー VOL.8、守島尚彦、ピーター・バラカン)
関所。

それで、ガッツのライヴの後なんですが、22日というのは祭日の前日だったわけです。で、その日はなんとDJオッシーが横浜ルーサーでDJをしているというので、まあ、モーションの帰りにそこを素通りして帰るわけにもいかないわけです。言ってみれば、この場合のルーサーは関所ですな。

年に3−4回、だいたい休日の前日に行う「ソウルVS.R&Bナイト」。前回は4月だったか。

そこでガッツやそのスタッフ、サックスの小林香織ちゃんらと大挙して繰り出すことになった。12時過ぎか、ルーサーに着くと、いい調子でR&Bがかかっている。香織ちゃん、それを聴いていたらうずいてきたらしく、「サックス、吹きたい!」という。車の中に置いてきたサックスを取りに戻って、オッシーに彼女がレコードにあわせてサックスを吹きたいといっているが可能かと尋ねる。

オッシーが絶好調トークで使うマイクで音を拾うことでうまく行き、レコードにあわせて、彼女がサックスを吹くことになった。特にキューもなくて、適当にレコードにあわせてサックスの音がミックスされた。

いやあ、なかなかいい感じだ。レコードにあわせてすぐにこうやってサックスが吹けるなんて、いい。「私、どこでも吹きたいんです」と彼女は言う。「こういうR&Bっぽいの大好きなんです」

しかしなあ、アーティストのガッツをマイクで紹介するのはいいとして、なんで僕が店に入ると、マイクでわざわざ名前呼び上げて紹介するんだ。(笑) 恥ずかしい。お願いしますよ〜〜。番組リスナーの人たちに挨拶された。

関所越えは大変である。
ドラマティックスのレニー・メイズ死去

ドラマティックスのメンバー、レニー・メイズが去る11月7日(日曜)午前、心臓発作のため死去した。53歳だった。しばらく肺癌をわずらっていた。また、この夏にも心臓発作を起こしていた。11日にすでにデトロイトで葬儀が行われた。

バンドメンバーも彼が肺癌になっていることを一年ほど前に知らされたが、その時点ではかなり進行していた。約一月前、グループはアラバマ州バーミンガムでライヴが予定されていたが、一度メイズも現地入りしていたが具合が悪くなり、ライヴには出ずに急遽デトロイトに戻り、そのまま入院。そして、その後11月7日を迎えた。

メンバーのウィリー・フォードが言う。「彼は自分の仕事が大好きだった。彼がどれほど重病だったのかは知らなかった。彼はきっと胸の内に秘めていたことが、たくさんあったんだろう。でも、私たちに余計な心配をかけたくなかったから、秘密にしておいたのかもしれない。もしそれを言ったら、私たちが歌うことを辞めさせると思ったのだろう」 また、メイズは医者からはステージで歌うことを止められていたが、無視して歌ってきた、という。

プロデューサーのAJスパークスはこう言う。「相手がエンタテイナーの場合、彼に向かって歌うなとはとてもいいづらいものだ」

レニー・メイズは1951年4月4日生まれ。デトロイトを本拠としたR&Bヴォーカル・グループ、ドラマティックスのシンガーで、73年からグループに参加していた。アルバムでは2枚目の『ドラマティック・エクスペリエンス』(73年10月発売)からの参加と思われる。彼らの代表曲のひとつである「イン・ザ・レイン」「ホワッチュ−・シー・イズ・ホワッチュー・ゲット」がヒットした時点ではメンバーではなかったが、その後のライヴなどではメイズも当然歌っていた。

ドラマティックスは、1964年頃デトロイトで結成され、71年の「ホワッチュー・・・」、72年「イン・ザ・レイン」の大ヒットで一躍注目された。これらは共にメンフィスのスタックス・レコードからのヒットだったが、75年ABCレコードに移籍。以後も「ビー・マイ・ガール」「ミー&ミセス・ジョーンズ」などのヒットを放った。78年MCA、82年キャピトル、86年にファンタジーへ移籍している。一度83年に解散するが86年に再結成。現在も年間50−60本程度のライヴを行っていた、という。

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雨。

「雨が降りしきる外へ出たい
クレイジーと思うかもしれないが
外に行きたい、雨の中へ
なぜなら、泣きたいから
でも泣いてるところは人にみせたくない
雨が顔に降ってくれば
一筋の涙もわからないだろう」

72年の名曲「イン・ザ・レイン」。レニー・メイズはレコードではこの曲を歌っていないが、ライヴではもちろん歌っていた。SOULOZさん情報で、レニーの訃報を知り驚いた。nasaさんのライヴレポートも読んだ。5本あるべき、マイクスタンドが4本というところに感じる。

僕は「イン・ザ・レイン」ももちろんだが、ドラマティックスでは「ホワッチャ・シー・・・」だ。それをホール&オーツがカヴァーしていていの一番でかけた。

訃報に泣きたい人は、どうぞ雨の中へ・・・。

Rest In Peace--Lenny

ドラマティックス『ホワッチャ・シー・イズ・ホワッチャ・ゲット+3』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005R14E/soulsearchiho-22

ドラマティックス『ドラマティカリー・ユアーズ+1 』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005Q7YH/soulsearchiho-22
ソウル。

フル・オブ・ハーモニーから、今度ははるばる横浜まで移動。モーションブルーにてガッツのバンド編成のライヴだ。着いたら、レンガ倉庫の上のほうから、すでにガッツの歌声が小さく漏れてきた。9時半を少し回っていた。港の向こうにはベイブリッジにきれいなあまり見たことがないネオンが点いていた。

中に入ると、なんとガッツはひとりでピアノを弾きながら歌っていた。「忘れもの」というバラードだった。よく声が通っている。そして、バンドが登場し、「アイム・ソー・プラウド」。この他に、カーティス・メイフィールドの曲は「ピープル・ゲット・レディー」「ムーヴ・オン・アップ」まで取り揃えてある。いやあ、このあたりのカヴァー、かなりいいですね。

2日間4ステージでだいたい30曲、ほぼダブリなしでやったそうだ。ベースの日野賢二のグルーヴ感が最高だ。マーヴィン・ゲイの「ワッツ・ゴーイング・オン」では、来年デビュー予定の新進気鋭の女性サックス奏者、小林香織が飛び入りで参加。イントロのサックスのところ、さらに途中も吹いた。女性のサックスというとまず浮かぶのがキャンディー・ダルファーだが、彼女も日本のキャンディーとしての期待が集まる。彼女は、ジャズというより、フュージョン系、さらにそれよりもっとソウルっぽいものが好きという。

最後の「ワッツ・ゴーイング・オン」の歌詞の部分を、日野賢二が「ガッツ・ゴーイング・オン」でやろうとうながし、それでコーラスになった。これはおもしろい。このあたりのミュージシャンシップはいい感じ。

スティーヴィーの「リボン・イン・ザ・スカイ」をギターを中心にやるというのもなかなか意外な感じ。ガッツは「ピープル・ゲット・レディー」を様々なヴァージョンでやる。これまでにも、ギター一本のアコースティック・ヴァージョンなどを聞いたことがあるが、今回はバンドで。これは、ガッツの18番だ。ほんとに歌い込んでるね。ソウル・サーチン・トーキングでカーティスをやる時にはぜひ、登場願いたい。

アンコールは、その場で決めた「ジャングル・ブギー」。のりのりで、さらにガッツのソロでオリジナル曲「メッセージ」を歌った。ガッツのソウル・カヴァーは、また年明けあたりに行われる予定だ。

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メンバー

GATS(vo) "Soul Session"
GATS(vo)、 松田 肇(g)、日野賢二(b)、ペニーK(key)、アーミン・リンツビヒラ(ds)、竹本一匹(per)  

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ガッツ・ウェッブ
http://www.forlife.co.jp/gats/
http://www.gatstkbshow.com/ (工事中)

日野賢二ウェッブ
http://homepage1.nifty.com/live/kenji/

小林香織ウェッブ
http://home.q03.itscom.net/kaori

モーションブルーウェッブ
http://www.motionblue.co.jp

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Setlist (2nd set)

1. 忘れもの (Gats solo)
2. I’m So Proud
3. Love
4. Ribbon In The Sky
5. What’s Going On
6. People Get Ready
7. Move On Up
8. TKB

Enc. Jungle Boogie
Enc. Message (Gats solo)

(2004年11月22日月、横浜モーションブルー=ガッツ・ライヴ)
勢い。

すでに5周年というFOH改めフル・オブ・ハーモニーのライヴ。3人組R&B系男性ヴォーカル・グループ。一度どこかでトラックで歌っていたところを見たことがあった。今回はドラムス、キーボード2台、ギターの布陣でアップテンポのR&Bからスローバラードまでこなす。

ちょうど入った時、すでにアップテンポのダンスナンバー「ジャック・ポット」と「ジャスト・ウォナ・・・」をやっていたが、動きや歌を見て、全盛期のボビーブラウン入りのニューエディションを思い浮かべた。そういう若手グループの独特の勢い感が感じられた。全速全力で走るという感じだ。

そして、MCの後に歌い始めたバラードの「アイ・ビリーヴ」は、これには思わず◎をつけた。じわっとくるなかなかの佳曲だ。続く「ジョイ」もいい雰囲気。それまでのダンスサイドからバラードサイドへの切り替えがうまい。

途中「ウワサの真相」ではライムスターの2人が飛び入りで登場。トークでも言っていたが、たしかにこういうゲストは東京ならではの醍醐味か。

10曲目「リズム」の後に行われたメンバー紹介がじつにかっこよかった。メンバー紹介をメロディーにのせて、なにかひとこと二言加えて、名前を紹介する。これはいい感じだ。

前回見た時より、はるかに貫禄を感じた。

Setlist: Full Of Harmony Live Tour
"Natural Born Sangstar 2004"

01. S.E.X
02. Monkey Magic 〜 三蔵FOH師の巻〜
03. Ride With Me
--MC
04. Jack Pot
05. Just Wanna...
--MC
06. I Believe
07. Joy
--MC
08.  メドレー 〜 シブヤホリック〜Big Big Money〜Handle〜ウワサの真相
09. Be Alright
10. Rhythm
11. Juicy
12. Be That Kind Of Man
13. Summer Gorgeous
14. Casino Drive
15. Sexy World
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Enc Exclusive
Enc アリガトウ

(set list is according to announcement of record company)

(2004年11月22日月曜、渋谷オーイースト=フル・オブ・ハーモニー・ライヴ)
大注目。

ジョス・ストーンのライヴが意外と早く終ったので、クワトロから同じ渋谷のオンエアーウェストへ。元フォルダーのダイチ(三浦大知)君がソロのライヴを行っているというのでかけつけた。ちょうど、入ったころ、すでにライヴは始まっていたが、異様にかっこいいトラックに彼の歌声がはまっていて、最近の日本人のトラックもすごいもんだなあ、と感心していた。それだけではない。バックの4人のダンサーを含めて、踊りがこれまためちゃかっこいい。最近、ダンスオリエンテッドなアーティストとしては、シアラが記憶に新しかったが、シアラより数段上の踊りを見せていた。

というわけで、トラックも踊りも日本人離れしているな、と思っていたのだが、なんとその曲を作ったのはアトランタの新進気鋭のジェイキューという人物だと次のMCで彼が言った。彼は最近だとアッシャーと一緒に仕事をしていたりする人物で、なるほどと思った。

ではこの踊りの切れはなんなんだろう。彼らは沖縄のアクターズスクール出身らしい。なるほど、そうなるとそれはそれで、踊りもしっかりしているわけか。

ちょっと曲名がまだよくわからないが、「ワード」という曲とその前にやっていた曲もかっこよかった。「ノック・ノック」というのもなかなかだったが、次の「キープ・イット・ゴーイング・オン」はずいぶんキャッチ−で覚えやすいと思っていたら、なんとゴスペラーズの黒沢さんの曲。なんとなくそんな予感はしたが、またまた、なるほどだ。

来年から大々的にソロ活動を開始するという。きたる1月19日、渋谷オー・ウェストでワンマン・ライヴを敢行。公演に関する問い合わせは、ディスクガレージ、03-5436-9600(平日12時から19時まで)。

ジェイキューの曲はまだデモテープの段階だそうで、それをきいてまたまたぶったまげた。トラックは完成で、ヴォーカルは改めて録音するそうだ。一体、彼はどういう風に売れていくのだろう。とりあえず、三浦大知に大注目・・・。(失礼しました)

(2004年11月20日土曜、渋谷オーウェスト=三浦大知ライヴ)
声。

2005年の正式の来日は中止になったが、とりあえず、新作を出してプロモーションということで、ショーケースライヴが行われたのがイギリスの注目の新人、ジョス・ストーン。

クラブクアトロは、かなり満員。ラジオ番組などで応募した一般の人と媒体関係者が多数つめかけていた。入口で、久々に音楽評論家村岡祐司さん、会田裕之さん、佐藤英輔さん、大伴良則さん、中川五郎さんなど多数に会う。

イントロはキーボード、ドラム、ギター、ベース、コーラス3人といった布陣のバンド演奏。そして、本人が登場した。写真やビデオで見るとおりの普通の女の子だ。声もあの声だ。ただ、あまり迫力がない。何かセーヴしている感じ。実は来日中止の裏には、喉にポリープができたとかで長期のツアーなどにドクターストップがかかっているという事情があるらしい。それで今日のライヴも、思い切りシャウトしたりはしないのかもしれない。心持ち、それにあわせてバンドの音も小さいような気がした。

彼女のライヴ・パフォーマンスを見ていて、ひょっとしてアレサと同じようなものがあるかな、と思った。それは、実はアレサも素晴らしいレコードをたくさん出しているが彼女はあまり多くのライヴはこなしていないので、「グレイト・シンガーではあるが、グレイト・パフォーマーではない」と言われることがある。ジョスのこのライヴを見て、ちょっとそのように思った。

ただし、彼女の声自体は素晴らしく、もっともっと聴きたいと思う。声、すべて声だ。また、作品がやはりいい。まだデビューしたてなので、ゆっくりとこれからを見守っていこう。

この日調子が悪かったのは、彼女が6曲目でやる予定だった「スポイルド」とアンコール予定曲「サム・カインド・オブ・ワンダフル」をやらなかったことからも明らか。ゆっくり静養し、次回は万全の体勢できてもらおう。そうそう、彼女のライヴの場合、スタンディングより、しっかり座って見たいかもしれない。

なお、来日中止に代わってというか、2004年9月アメリカ・ニューヨークのアーヴィング・プラザで撮影したライヴ映像のDVDが発売される。

『マインド・ボディー&ソウル・セッションズ/ジョス・ストーン』(東芝EMI・2005年2月9日発売) 

しばらくは、これでライヴの様子を堪能するとしようか。

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ソウル・セッションズ/ジョス・ストーン(CCCD)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000ZP65Y/soulsearchiho-22

Mind,Body&Soul(期間限定)(CCCD)
ジョス・ストーン
東芝EMI (2004/09/15)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002MONAY/soulsearchiho-22

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Setlist

show started 19:11
01. Intro
02. Super Duper Love
03. Jet Lag
04. Fell In Love
05. Running On Maybe
06. Less Is More
07. Right To Be Wrong
08. You Had Me
show ended 19:48

(2004年11月20日土曜、渋谷クラブクアトロ=ジョス・ストーン・ライヴ=ショウケース)
旅立ち。

ひたすらパソコンに向かって『ブラザー・レイ』の翻訳を続けていますが、なかなか進みません。いや、遅々としては進んでいる気もしますが。本はとりあえず42章まであり、そのあと「あとがき」とか「追記」などがあります。ざっと言って1日10ページがめどなんですが、これがきついですねえ。

以前ベリー・ゴーディーの本を翻訳した時は、1日4ページ、週5日ペースでやったんですが、今回は、すでにご存知のように12月下旬の入稿ということで、かなりの突貫工事です。これからしばし、ひきこもってレイ・チャールズ日記になってしまうかもしれません。(笑)

少しばかりネタばれになりますが、昨日てがけたところで、母親が死んだ後のシーンがあるのですが、そこのところは感動的でした。訳してても胸がいっぱいになりましたねえ。

レイのこの自伝の素晴らしい点は、彼がかなり本音ですべてを包み隠さず話しているところです。同じデイヴィッド・リッツがてがけたアレサ・フランクリンの自伝は、それに比べて、骨抜きになっているような雰囲気がなきにしもあらずです。これはアレサが初稿の段階でどんどんカットさせてしまったからだといいます。

さて、今日は11章をやっていますが、ちょうど彼がフロリダ州のタンパという街にやってきたあたり。彼はもうすでに、自立して、ひとりで住み、バンドマン生活を始めています。

彼の信念の中に、「3つのノー」というのがあって感心しました。それは、彼は盲人になったが、絶対に次のものは拒絶するというもの。その3つとは、杖、盲導犬、そして、ギターだというのです。この3つのいずれもが、盲目であることを象徴するかのように思えるから、自分は絶対にこの3つだけは持つまいと心に決めました。

あるグループが盲目となったレイに盲導犬をプレゼントしようとしたら、彼は即答で断るんですね。「犬なんかに引っ張られてたまるか」というのですから、たいしたものです。

彼は地元の道をほとんど知っているので、ひとりでどこへでも行きます。そのあたりの感覚はすばらしいものがあります。彼はフロリダで約3年間ミュージシャン生活をして、いよいよさらなる飛躍を求めて、旅立ちます。その行き先の決め方が、ふるっています。

友達に地図を広げてもらい、今いるところを指差してもらい、そこから一番遠いところを指してくれと言います。友人が指したところは、シアトルでした。そこでレイはおそらく3000マイル以上離れたシアトルにたったひとりで旅立つわけです。シアトルではいったい彼に何が待ち受けるのでしょう。
四谷。

かつてシャンティーちゃんのライヴを見に来た四谷のライヴハウス、メビウス。ソイソウルのキーボードも担当するフィリップ・ウーからのメールでこの日ライヴをやるという案内がきた。ギターは同じく西山史翁はんこ屋さん。

セカンドから見たがまず一曲インストをやった後、シンガーが登場。これがグリニス・マーティンという日本在住8年の元はベース、ドラマー。初めて見た。いきなりアイズレー・ブラザースの「フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー」を歌う。ちょっと高めのスティーヴィー系、ベイビーフェイス系の声か。なかなかいい感じ。そして、2曲目になった。な、な、なんと、このイントロ。「リトル・ゲットー・ボーイ」だ。これを歌うとグリニスの声がどこかダニーを思わせる。

「姉がね、あなたはダニーを歌う時はダニーに似ていて、スティーヴィーを歌う時はスティーヴィーに似て、マーヴィンを歌う時はマーヴィンに似ている、って言うんだよ」とデトロイト出身の彼は言う。

そして、選曲はだいたいフィリップがその場で決める。曲名を言い、グリニスがブックから歌詞カードを探す。歌われた曲は、ダニーの「ア・ソング・フォー・ユー」。ピアノのイントロがまたいい感じ。フィリップのキーボードは、エレキかオルガンしか聞いたことがなかったので、とても新鮮。

40分セットを3回やるのが、この店の通常のパターン。3セット目もダニーの「ゲットー」から始まった。スティーヴィーなどをはさみ、「サムデイ・ウィル・オール・ビー・フリー」へ。声も通ってなかなかいい。実に聞き惚れる。20人弱の観客なので、どこか誰かのリヴィングルームで軽く歌ってもらっているという感じだ。

ビリー・ジョエルの「ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド」の後半では、徐々にテンポを上げたかと思ったら、いつのまにかさっきと同じ「ゲットー」が始まった。

「あれは、フィリップがしかけてきたんで、ああ、(ニューヨークとゲットーが)同じだと思って、『ゲットー』を弾き始めたんですよ(笑)」とはんこやさんが言う。そして、合図で再び、「ニューヨーク・・・」へ。いやあ、これは盛り上がる。フィリップのピアノ、かなりいい感じ。

2人のインストバンドかと思っていたので、いやあ、これはこれは驚いた。ピアノ、ギター、ヴォーカルというシンプルなトリオ。フィリップの選曲センスは最高にどんぴしゃ。もっとたくさんのソウル好きに見せたいな。これはちょっと広めましょう。(笑) 次回このトリオがある時は事前にお知らせしましょう。今夜は思いもかけず、四谷でダニー・ハザウェイに会った。

Setlist 2nd Live At Mobius, Yotsuya

show started 21:20
1.(Inst)
2.For The Love Of You
3.Little Ghetto Boy
4.A Song For You
5.Just The Two Of Us
show ended 22:00

Setlist 3rd

show started 22:42
1.Ghetto
2.If You Really Love Me
3.Calling You
4.Someday We’ll All Be Free
5.New York State Of Mind-Ghetto(riff)
Enc. Tears In Heaven
show ended 23:30

四谷メビウス・mobius
http://www.mebius-yotsuya.jp/index.html

グリニス・マーチン(Vo)
http://jpentertainment.jp
西山史翁はんこ屋(G)
http://www2.ttcn.ne.jp/~hankoya/
フィリップ・ウー(Pf)
http://www.mebius-yotsuya.jp/woo.html

(2004年11月18日木、四谷メビウス=フィリップ・ウー、西山史翁はんこ屋、グリニス・マーチン・ライヴ)

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