魔術師。
土曜日(31日)付け毎日新聞の楽庫のページを見ていたら、なんと翌週(2月3日)ボビー・マクファーリンのライヴがあるという情報がでてるではないか。そうだ、来日が決まった時、「行こう」と思っていたものの、その時手帳が去年のものだったので、2004年のスケジュールを書き入れることができず、すっかり忘れていた。楽庫を見てなければ、見逃すところだった。楽庫に感謝。
前回彼のライヴを見たのは90年、新宿厚生年金ホールだった。ちょうど、「ドント・ウォーリー・ビー・ハッピー」が88年秋に大ヒットしてしばらくだったので、タイミング的にはよかった時期。しかも、出し物がヴォイセストラという声のオーケストラによるものだった。そのあまりのすばらしさに感動し、僕は最初に行った翌日かその次の公演も当日券か何かで見に行った記憶がある。いわゆる「二度見」だ。
というわけで、ボビーのライヴはかなり期待度が高かったのだが、今回はなぜかあまり事前告知もなく、会場の文京シビックホールに来るとあまりお客さんは来ていない。この会場も初めて来た。なかなかいいホール。客席1802。かなり大きい。しかし入口で、オンステージは彼一人、それに若干のゲストがからむ、と聞かされ一体どうなるのだろう、と少し心配になった。「セットリストはありますか」と尋ねると、まったくない、との答え。う〜む。
中に入ると客席もまばら。7時11分。客電が落ち、おもむろに舞台左手からジーンズに着古したTシャツ姿でボビーが登場。いきなり、あの高い声と、右手で胸を叩きながらのパフォーマンスが始まった。この瞬間、僕は「セットリストなど、存在しうるわけはない」ということを悟った。今日は彼のソロコンサートなのだ。彼が思いついたところに、メロディーは飛んでいくのだ。すべて即興だ。ひとりでやるのだから、その自由度はとてつもなく高い。
喉を自由自在に使ったその様々な声と、胸を叩くリズムで、完璧にボビーの世界に持っていかれた。ステージには彼たった一人しかいないのに。これぞ究極のレス・イズ・モア。それにしても、彼の口から発せられるスキャット、歌のグルーヴ感の見事なことよ。しかも、ボビーの声色の種類の多さも驚く。一人ヴォイセストラだ。南部の農夫風の歌を聴かせたり、のりのいいベースの音を聴かせ抜群のファンク・グルーヴを醸し出したり。実に引出しが多い。一人で90分どうこなすのだろうかと心配したが、それは杞憂だった。
途中、ヴァイオリンのフミコ、ピアノの松永貴志、そして三味線の上妻宏光がそれぞれゲストで登場。特に圧巻だったのは、松永君の「キャラバン」と「スペイン」。まず「キャラバン」は、松永君のCDにも入っているが、彼のピアノをサポートするボビーのベースが抜群にのりがいい。おそろしいほどのグルーヴ感がでた。松永君のソロで「キャラバン」を聴いたこともあるが、ここでは明らかにボビーによって、松永君のレヴェルが引き上げられている。まさしく「ケミストリー(化学反応)」が進行していた瞬間だった。高いレヴェルのミュージシャンたちのコラボレーションのすばらしさに言葉を失ったほどだ。続く「スペイン」もすごい。
個人的には、三味線とボビーのコンビネーションはそれほどマッチしたとは思えなかった。もちろん実験的にはおもしろいが、どうしても楽器としての三味線とボビーのグルーヴ感のある声は奇跡のハーモニーを生み出すまでにはいたらなかった。一方、ヴァイオリンとボビーの声のマッチングはよかった。
後半、ボビーがステージを降りてきた。一番前の席に座っている黒人にマイクを向けて、一緒に歌い始めた。別にボビーはそこに座っているのが、シンガーであろうとかまるで知る由もない。すると僕の目の前のその黒人は、実にうまくボビーとリズムと歌を奏でたのだ。これにはびっくりした。すぐ隣に進み、結局、一番前の列の数人とやりとりをした。ほとんどの人たちが、ベースを歌ったり、スキャットを歌ったりと、ちゃんとできたのだ。一列目は歌手たちが座っているのかと思った。だが、これはたまたま偶然だった。ボビーはさらに進み3列目に座っている黒人にマイクを向けた。ちょうど僕の席からはボビーの背中の向こうにその彼がいるため顔は見えなかった。これがまた、実にうまいスキャットを聴かせる。ボビーが二人のセッションを終えると、僕は仰天した。な、な、なんとそれは友人のケイリブだったのだ。
観客とのやりとりも抜群にうまい。一時たりとも観客を飽きさせない。最後に歌ったトラディショナル・ソング「ダウン・バイ・ザ・リヴァー・サイド」は、サビ部分を観客にも歌わせる。続くアンコールでは、4人全員がそろい一曲を演奏した。
それにしてもこんなすばらしいエンタテインメントにこの空席はもったいない。ブルーノートあたりに持ってきたら、これまた満員になる出し物になりそうだ。ボビー・マクファーリン、彼は無限の可能性を持つ声の魔術師。
(2004年2月3日・火曜、文京シビックホール=ボビー・マクファーリン・ライヴ)
土曜日(31日)付け毎日新聞の楽庫のページを見ていたら、なんと翌週(2月3日)ボビー・マクファーリンのライヴがあるという情報がでてるではないか。そうだ、来日が決まった時、「行こう」と思っていたものの、その時手帳が去年のものだったので、2004年のスケジュールを書き入れることができず、すっかり忘れていた。楽庫を見てなければ、見逃すところだった。楽庫に感謝。
前回彼のライヴを見たのは90年、新宿厚生年金ホールだった。ちょうど、「ドント・ウォーリー・ビー・ハッピー」が88年秋に大ヒットしてしばらくだったので、タイミング的にはよかった時期。しかも、出し物がヴォイセストラという声のオーケストラによるものだった。そのあまりのすばらしさに感動し、僕は最初に行った翌日かその次の公演も当日券か何かで見に行った記憶がある。いわゆる「二度見」だ。
というわけで、ボビーのライヴはかなり期待度が高かったのだが、今回はなぜかあまり事前告知もなく、会場の文京シビックホールに来るとあまりお客さんは来ていない。この会場も初めて来た。なかなかいいホール。客席1802。かなり大きい。しかし入口で、オンステージは彼一人、それに若干のゲストがからむ、と聞かされ一体どうなるのだろう、と少し心配になった。「セットリストはありますか」と尋ねると、まったくない、との答え。う〜む。
中に入ると客席もまばら。7時11分。客電が落ち、おもむろに舞台左手からジーンズに着古したTシャツ姿でボビーが登場。いきなり、あの高い声と、右手で胸を叩きながらのパフォーマンスが始まった。この瞬間、僕は「セットリストなど、存在しうるわけはない」ということを悟った。今日は彼のソロコンサートなのだ。彼が思いついたところに、メロディーは飛んでいくのだ。すべて即興だ。ひとりでやるのだから、その自由度はとてつもなく高い。
喉を自由自在に使ったその様々な声と、胸を叩くリズムで、完璧にボビーの世界に持っていかれた。ステージには彼たった一人しかいないのに。これぞ究極のレス・イズ・モア。それにしても、彼の口から発せられるスキャット、歌のグルーヴ感の見事なことよ。しかも、ボビーの声色の種類の多さも驚く。一人ヴォイセストラだ。南部の農夫風の歌を聴かせたり、のりのいいベースの音を聴かせ抜群のファンク・グルーヴを醸し出したり。実に引出しが多い。一人で90分どうこなすのだろうかと心配したが、それは杞憂だった。
途中、ヴァイオリンのフミコ、ピアノの松永貴志、そして三味線の上妻宏光がそれぞれゲストで登場。特に圧巻だったのは、松永君の「キャラバン」と「スペイン」。まず「キャラバン」は、松永君のCDにも入っているが、彼のピアノをサポートするボビーのベースが抜群にのりがいい。おそろしいほどのグルーヴ感がでた。松永君のソロで「キャラバン」を聴いたこともあるが、ここでは明らかにボビーによって、松永君のレヴェルが引き上げられている。まさしく「ケミストリー(化学反応)」が進行していた瞬間だった。高いレヴェルのミュージシャンたちのコラボレーションのすばらしさに言葉を失ったほどだ。続く「スペイン」もすごい。
個人的には、三味線とボビーのコンビネーションはそれほどマッチしたとは思えなかった。もちろん実験的にはおもしろいが、どうしても楽器としての三味線とボビーのグルーヴ感のある声は奇跡のハーモニーを生み出すまでにはいたらなかった。一方、ヴァイオリンとボビーの声のマッチングはよかった。
後半、ボビーがステージを降りてきた。一番前の席に座っている黒人にマイクを向けて、一緒に歌い始めた。別にボビーはそこに座っているのが、シンガーであろうとかまるで知る由もない。すると僕の目の前のその黒人は、実にうまくボビーとリズムと歌を奏でたのだ。これにはびっくりした。すぐ隣に進み、結局、一番前の列の数人とやりとりをした。ほとんどの人たちが、ベースを歌ったり、スキャットを歌ったりと、ちゃんとできたのだ。一列目は歌手たちが座っているのかと思った。だが、これはたまたま偶然だった。ボビーはさらに進み3列目に座っている黒人にマイクを向けた。ちょうど僕の席からはボビーの背中の向こうにその彼がいるため顔は見えなかった。これがまた、実にうまいスキャットを聴かせる。ボビーが二人のセッションを終えると、僕は仰天した。な、な、なんとそれは友人のケイリブだったのだ。
観客とのやりとりも抜群にうまい。一時たりとも観客を飽きさせない。最後に歌ったトラディショナル・ソング「ダウン・バイ・ザ・リヴァー・サイド」は、サビ部分を観客にも歌わせる。続くアンコールでは、4人全員がそろい一曲を演奏した。
それにしてもこんなすばらしいエンタテインメントにこの空席はもったいない。ブルーノートあたりに持ってきたら、これまた満員になる出し物になりそうだ。ボビー・マクファーリン、彼は無限の可能性を持つ声の魔術師。
(2004年2月3日・火曜、文京シビックホール=ボビー・マクファーリン・ライヴ)
Grammy Predictions Part 3
2004年2月3日Field 16 World Music
Category 71-Best Contemporary World Music Album (Vocal or Instrumental.)
本命 Voz D’Amor/Cesaria Evora
The Intercontinentals/Bill Frisell
対抗 Nothing’s In Vain (Coono du Reer)/Youssou N’Dour
Specialist In All Styles/Orchestra Baobab
Live In Bahia/Caetano Veloso
Field 25 Album Notes
Category 86-Best Album Notes
Count Basie And His Orchestra - America’s #1 Band! The Columbia Years/ Loren Schoenberg, album notes writer (Count Basie And His Orchestra)
Four Women: The Nina Simone Philips Recordings/Ashley Kahn, album notes writer (Nina Simone)
本命 Martin Scorsese Presents The Blues: A Musical Journey/Tom Piazza, album notes writer (Various Artists)
Peggy Lee - The Singles Collection/Will Friedwald, album notes writer (Peggy Lee)
対抗 Sam Cooke With The Soul Stirrers - The Complete Specialty Records Recordings/Daniel Wolff, album notes writer (Sam Cooke With The Soul Stirrers)
Field 26 Historical
Category 87-Best Historical Album
対抗 Count Basie And His Orchestra - America’s #1 Band! The Columbia Years/Orrin Keepnews, compilation producer; Seth Foster, Andreas Meyer & Mark Wilder, mastering engineers (Count Basie And His Orchestra)
本命 Martin Scorsese Presents The Blues: A Musical Journey/Steve Berkowitz, Alex Gibney, Andy McKaie & Jerry Rappaport, compilation producers; Gavin Lurssen & Joseph M. Palmaccio, mastering engineers (Various Artists)
Peggy Lee - The Singles Collection/Cy Godfrey & Steve Woof, compilation producers; Dave McEowen, Ron McMaster, Odea Murphy & Bob Norberg, mastering engineers (Peggy Lee)
Sam Cooke With The Soul Stirrers - The Complete Specialty Records Recordings/Bill Belmont, Ralph Kaffel & Stuart Kremsky, compilation producers; Joe Tarantino, mastering engineer (Sam Cooke With The Soul Stirrers)
Vintage Recordings From The 1903 Broadway Musical The Wizard Of Oz/David Maxine, compilation producer; Adrian Cosentini, mastering engineer (Various Artists)
Field 27 Production, Non-Classical
Category 88-Best Engineered Album, Non-Classical
(An Engineer’s Award. (Artists names appear in parenthesis.))
Elephunk/Dylan Dresdow, Jun Ishizeki, Chris Lord-Alge, Tony Maserati, Jason Villaroman, Will.i.am & Frank Wolf, engineers (The Black Eyed Peas)
Hail To The Thief/Nigel Godrich & Darrell Thorp, engineers (Radiohead)
Natural Selection/Frank Filipetti, Nathaniel Kunkel, Andy Wallace & Josh Wilbur, engineers (Fuel)
本命 Nature Boy - The Standards Album/Dave O’Donnell, Malcolm Pollack & Elliot Scheiner, engineers (Aaron Neville)
対抗 North/Kevin Killen & Bill Moss, engineers (Elvis Costello)
Category 89
Producer Of The Year, Non-Classical
(A Producer’s Award. (Artists names appear in parenthesis.))
Nigel Godrich
Hail To The Thief (Radiohead) (A)
本命- Jimmy Jam, Terry Lewis
Anatomy 1On1 (Mya) (T)
Everybody’s Somebody’s Fool (Aretha Franklin) (T)
Everything I Do (Beyonce And Bilal) (T)
I Wish I Wasn’t (Heather Headley) (T)
Late (Mya) (T)
Strong Man (Jeff In C Minor) (Kelly Price) (T)
Time To Come Home (Beyonce, Angie Stone And Melba Moore) (T)
The Matrix (Lauren Christy, Graham Edwards & Scott Spock)
Extraordinary (Liz Phair) (T)
It’s About Time (Lillix) (T)
So Yesterday (Hilary Duff) (S)
What Do You Do (The Troys) (S)
Where Did I Go Right? (Hilary Duff) (T)
Why Can’t I? (Liz Phair) (T)
対抗- The Neptunes
Beautiful (Snoop Dogg Featuring Pharrell & Uncle Charlie Wilson) (S)
Come Close (Common Featuring Mary J. Blige) (T)
Excuse Me Miss (Jay-Z) (S)
Frontin’ (The Neptunes Featuring Pharrell Williams & Jay-Z) (S)
Justified (Justin Timberlake) (A)
Luv U Better (LL Cool J Featuring Marc Dorsey) (T)
The Neptunes Present...Clones (The Neptunes Featuring Various Artists) (A)
Rock Your Body (Justin Timberlake) (T)
Outkast
Monster (Killer Mike) (A)
Speakerboxxx/The Love Below (Outkast) (A)
Category 90-Best Remixed Recording, Non-Classical
(A Remixer’s Award. (Artists names appear in parenthesis for identification.) Singles or Tracks only.)
Beautiful (Peter Rauhofer Mix)/Peter Rauhofer, remixer (Christina Aguilera)
本命 Crazy In Love (Maurice’s Soul Mix)/Maurice Joshua, remixer (Beyonce Featuring Jay-Z)
Don’t Make Me Come To Vegas (Timo On Tori)/Martin Buttrich & Timo Maas, remixers (Tori Amos)
対抗 Get It Together (Bill Hamel Vocal Mix)/Bill Hamel, remixer (Seal)
Lei Lo Lai (MAW Mix)/Masters At Work, remixers (The Latin Project)
Field 30 Music Video
Category 104-Best Short Form Music Video
(For an individual track or single promotional clip. Award to the Artist and to the Video Director/Producer.)
Hurt/Johnny Cash
Mark Romanek, video director; Aris McGarry, video producer
The Scientist/Coldplay
Jamie Thraves, video director; Sally Llewellyn, video producer
本命 Die Another Day/Madonna
Mats Lindberg, Pontus Lowenheilm & Ole Sanders, video directors; Jim Bouvet & Verenne Ferrari, video producers
Concrete Angel/Martina McBride
Robert Deaton & George Flanigen, video directors; Steve Lamar, video producer
対抗 Hey Ya!/Outkast
Bryan Barber, video director; William Green, video producer
Category 105
Best Long Form Music Video
(For video album packages consisting of more than one song or track. Award to the Artist and to the Video Director/Producer of at least 51% of the total playing time.)
本命 Legend/Sam Cooke
Allen Klein, video director; Mick Gochanour, Iris W. Keitel, Robin Klein & Mary Wharton, video producers
Phase One: Celebrity Take Down/Gorillaz
Tom Girling & Gorillaz, video producers
The American Folk Blues Festival 1962-1966, Volume 1 Various Artists/Jon Kanis & David Peck, video directors; Janie Hendrix, Jon Kanis, John McDernott & David Peck, video producers
対抗 Leonard Bernstein: Trouble In Tahiti/Various Artists
Tom Cairns, video director; Fiona Morris, video producer
Muddy Waters Can’t Be Satisfied/Muddy Waters
Robert Gordon & Morgan Neville, video directors; Robert Gordon & Morgan Neville, video producers
計30部門の予想。…
Category 71-Best Contemporary World Music Album (Vocal or Instrumental.)
本命 Voz D’Amor/Cesaria Evora
The Intercontinentals/Bill Frisell
対抗 Nothing’s In Vain (Coono du Reer)/Youssou N’Dour
Specialist In All Styles/Orchestra Baobab
Live In Bahia/Caetano Veloso
Field 25 Album Notes
Category 86-Best Album Notes
Count Basie And His Orchestra - America’s #1 Band! The Columbia Years/ Loren Schoenberg, album notes writer (Count Basie And His Orchestra)
Four Women: The Nina Simone Philips Recordings/Ashley Kahn, album notes writer (Nina Simone)
本命 Martin Scorsese Presents The Blues: A Musical Journey/Tom Piazza, album notes writer (Various Artists)
Peggy Lee - The Singles Collection/Will Friedwald, album notes writer (Peggy Lee)
対抗 Sam Cooke With The Soul Stirrers - The Complete Specialty Records Recordings/Daniel Wolff, album notes writer (Sam Cooke With The Soul Stirrers)
Field 26 Historical
Category 87-Best Historical Album
対抗 Count Basie And His Orchestra - America’s #1 Band! The Columbia Years/Orrin Keepnews, compilation producer; Seth Foster, Andreas Meyer & Mark Wilder, mastering engineers (Count Basie And His Orchestra)
本命 Martin Scorsese Presents The Blues: A Musical Journey/Steve Berkowitz, Alex Gibney, Andy McKaie & Jerry Rappaport, compilation producers; Gavin Lurssen & Joseph M. Palmaccio, mastering engineers (Various Artists)
Peggy Lee - The Singles Collection/Cy Godfrey & Steve Woof, compilation producers; Dave McEowen, Ron McMaster, Odea Murphy & Bob Norberg, mastering engineers (Peggy Lee)
Sam Cooke With The Soul Stirrers - The Complete Specialty Records Recordings/Bill Belmont, Ralph Kaffel & Stuart Kremsky, compilation producers; Joe Tarantino, mastering engineer (Sam Cooke With The Soul Stirrers)
Vintage Recordings From The 1903 Broadway Musical The Wizard Of Oz/David Maxine, compilation producer; Adrian Cosentini, mastering engineer (Various Artists)
Field 27 Production, Non-Classical
Category 88-Best Engineered Album, Non-Classical
(An Engineer’s Award. (Artists names appear in parenthesis.))
Elephunk/Dylan Dresdow, Jun Ishizeki, Chris Lord-Alge, Tony Maserati, Jason Villaroman, Will.i.am & Frank Wolf, engineers (The Black Eyed Peas)
Hail To The Thief/Nigel Godrich & Darrell Thorp, engineers (Radiohead)
Natural Selection/Frank Filipetti, Nathaniel Kunkel, Andy Wallace & Josh Wilbur, engineers (Fuel)
本命 Nature Boy - The Standards Album/Dave O’Donnell, Malcolm Pollack & Elliot Scheiner, engineers (Aaron Neville)
対抗 North/Kevin Killen & Bill Moss, engineers (Elvis Costello)
Category 89
Producer Of The Year, Non-Classical
(A Producer’s Award. (Artists names appear in parenthesis.))
Nigel Godrich
Hail To The Thief (Radiohead) (A)
本命- Jimmy Jam, Terry Lewis
Anatomy 1On1 (Mya) (T)
Everybody’s Somebody’s Fool (Aretha Franklin) (T)
Everything I Do (Beyonce And Bilal) (T)
I Wish I Wasn’t (Heather Headley) (T)
Late (Mya) (T)
Strong Man (Jeff In C Minor) (Kelly Price) (T)
Time To Come Home (Beyonce, Angie Stone And Melba Moore) (T)
The Matrix (Lauren Christy, Graham Edwards & Scott Spock)
Extraordinary (Liz Phair) (T)
It’s About Time (Lillix) (T)
So Yesterday (Hilary Duff) (S)
What Do You Do (The Troys) (S)
Where Did I Go Right? (Hilary Duff) (T)
Why Can’t I? (Liz Phair) (T)
対抗- The Neptunes
Beautiful (Snoop Dogg Featuring Pharrell & Uncle Charlie Wilson) (S)
Come Close (Common Featuring Mary J. Blige) (T)
Excuse Me Miss (Jay-Z) (S)
Frontin’ (The Neptunes Featuring Pharrell Williams & Jay-Z) (S)
Justified (Justin Timberlake) (A)
Luv U Better (LL Cool J Featuring Marc Dorsey) (T)
The Neptunes Present...Clones (The Neptunes Featuring Various Artists) (A)
Rock Your Body (Justin Timberlake) (T)
Outkast
Monster (Killer Mike) (A)
Speakerboxxx/The Love Below (Outkast) (A)
Category 90-Best Remixed Recording, Non-Classical
(A Remixer’s Award. (Artists names appear in parenthesis for identification.) Singles or Tracks only.)
Beautiful (Peter Rauhofer Mix)/Peter Rauhofer, remixer (Christina Aguilera)
本命 Crazy In Love (Maurice’s Soul Mix)/Maurice Joshua, remixer (Beyonce Featuring Jay-Z)
Don’t Make Me Come To Vegas (Timo On Tori)/Martin Buttrich & Timo Maas, remixers (Tori Amos)
対抗 Get It Together (Bill Hamel Vocal Mix)/Bill Hamel, remixer (Seal)
Lei Lo Lai (MAW Mix)/Masters At Work, remixers (The Latin Project)
Field 30 Music Video
Category 104-Best Short Form Music Video
(For an individual track or single promotional clip. Award to the Artist and to the Video Director/Producer.)
Hurt/Johnny Cash
Mark Romanek, video director; Aris McGarry, video producer
The Scientist/Coldplay
Jamie Thraves, video director; Sally Llewellyn, video producer
本命 Die Another Day/Madonna
Mats Lindberg, Pontus Lowenheilm & Ole Sanders, video directors; Jim Bouvet & Verenne Ferrari, video producers
Concrete Angel/Martina McBride
Robert Deaton & George Flanigen, video directors; Steve Lamar, video producer
対抗 Hey Ya!/Outkast
Bryan Barber, video director; William Green, video producer
Category 105
Best Long Form Music Video
(For video album packages consisting of more than one song or track. Award to the Artist and to the Video Director/Producer of at least 51% of the total playing time.)
本命 Legend/Sam Cooke
Allen Klein, video director; Mick Gochanour, Iris W. Keitel, Robin Klein & Mary Wharton, video producers
Phase One: Celebrity Take Down/Gorillaz
Tom Girling & Gorillaz, video producers
The American Folk Blues Festival 1962-1966, Volume 1 Various Artists/Jon Kanis & David Peck, video directors; Janie Hendrix, Jon Kanis, John McDernott & David Peck, video producers
対抗 Leonard Bernstein: Trouble In Tahiti/Various Artists
Tom Cairns, video director; Fiona Morris, video producer
Muddy Waters Can’t Be Satisfied/Muddy Waters
Robert Gordon & Morgan Neville, video directors; Robert Gordon & Morgan Neville, video producers
計30部門の予想。…
46th Grammy Predictions Part 2
2004年2月3日予想。
引き続き予想第二弾。ポップ、ジャズ、ゴスペル、ブルーズなどを広範囲に予想してみます。実際のNARASの会員は主要4部門以外は自分が得意とするジャンルで、最大9部門程度までしか投票できません。よって各部門は、かなり専門知識のある人たちによって投票されることになります。
完全なリストはhttp://www.grammy.com/awards/grammy/46noms.aspx に。
The 46th Grammy Nominations List
Field 1 Pop
Category 5-Best Female Pop Vocal Performance
対抗 Beautiful/Christina Aguilera
Miss Independent/Kelly Clarkson
White Flag/Dido
本命 I’m With You/Avril Lavigne
Fallen/Sarah McLachlan
Category 6-Best Male Pop Vocal Performance
本命 Any Road/George Harrison
対抗 Ain’t No Mountain High Enough/Michael McDonald
Send Your Love/Sting
Cry Me A River/Justin Timberlake
Keep Me In Your Heart/Warren Zevon
Category 7-Best Pop Performance By A Duo Or Group With Vocal
対抗 Misunderstood/Bon Jovi
Hole In The World/Eagles
本命 Stacy’s Mom/Fountains Of Wayne
Unwell/Matchbox Twenty
Underneath It All/No Doubt
Category 8-Best Pop Collaboration With Vocals
Can’t Hold Us Down/Christina Aguilera & Lil’ Kim
本命 La Vie En Rose/Tony Bennett & k.d. lang
対抗 Gonna Change My Way Of Thinking/Bob Dylan & Mavis Staples
Feel Good Time/Pink Featuring William Orbit
Whenever I Say Your Name/Sting & Mary J. Blige
Category 9-Best Pop Instrumental Performance
Patricia/Ry Cooder & Manuel Galban
本命 Marwa Blues/George Harrison
Honey-Dipped/Dave Koz
対抗 Seabiscuit/Randy Newman
The Nutcracker Suite/The Brian Setzer Orchestra
Category 10-Best Pop Instrumental Album
Peace/Jim Brickman
Mambo Sinuendo/Ry Cooder & Manuel Galban
対抗 Wishes/Kenny G
本命 N.E.W.S./Prince
Night Divides The Day -The Music Of The Doors/George Winston
Category 11-Best Pop Vocal Album
Stripped/Christina Aguilera
Brainwashed/George Harrison
Bare/Annie Lennox
本命 Motown/Michael McDonald
対抗 Justified/Justin Timberlake
Field 2 Dance
Category 12-Best Dance Recording
Love One Another/Cher
Easy/Groove Armada
本命 Die Another Day/Madonna
対抗 Come Into My World/Kylie Minogues]
Breathe/Telepopmusiks
Field 3 Traditional Pop
Category 13-Best Traditional Pop Vocal Album
A Wonderful World/Tony Bennett & k.d. lang
The Last Concert/Rosemary Clooney
Bette Midler Sings The Rosemary Clooney Songbook/Bette Midler
本命 As Time Goes By...The Great American Songbook: Volume II/Rod Stewart
対抗 The Movie Album/Barbra Streisand
Field 4 Rock
Category 14-Best Female Rock Vocal Performance
Are You Happy Now?/Michelle Branch
本命 Losing Grip/Avril Lavigne
Trouble/Pink
対抗 Time Of Our Lives/Bonnie Raitt
Righteously/Lucinda Williams
Category 21-Best Rock Album
Audioslave/Audioslave
本命 Fallen/Evanescence
対抗 One By One/Foo Fighters
More Than You Think You Are/Matchbox Twenty
The Long Road/Nickelback
Field 10 Jazz
Category 46-Best Contemporary Jazz Album
34th N Lex/Randy Brecker
本命 Rural Renewal/The Crusaders
Sonic Trance/Nicholas Payton
対抗 Timeagain/David Sanborn
Time Squared/Yellowjackets
Category 47-Best Jazz Vocal Album
Man In The Air/Kurt Elling
May The Music Never End/Shirley Horn
本命 Nature Boy - The Standards Album/Aaron Neville
対抗 A Little Moonlight/Dianne Reeves
North And South/Luciana Souza
Category 48-Best Jazz Instrumental Solo
対抗 Matrix/Chick Corea, soloist
All Or Nothing At All/Joey DeFrancesco, soloist
本命 Butch & Butch/Keith Jarrett, soloist
Africa/Pat Martino, soloist
All Or Nothing At All/Mike Melvoin, soloist
Category 49-Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group
本命 Rendezvous In New York/Chick Corea
The Grand Unification Theory/Stefon Harris
Extended Play, Live At Birdland/Dave Holland Quintet
Think Tank/Pat Martino
対抗 Alegria/Wayne Shorter
Field 11 Gospel
Category 53-Best Pop/Contemporary Gospel Album
(For albums containing 51% or more playing time of VOCAL tracks.)
Furthermore - From The Studio: From The Stage/Jars Of Clay
Adoration: The Worship Album/Newsboys
本命 Stacie Orrico/Stacie Orrico
対抗 Worship Again/Michael W. Smith
Offerings II/Third Day
Category 55-Best Traditional Soul Gospel Album
(For albums containing 51% or more playing time of VOCAL tracks.)
It’s Your Time/Luther Barnes & The Sunset Jubilaires
Go Tell It On The Mountain/The Blind Boys Of Alabama
対抗 Shirley Caesar And Friends/Shirley Caesar & Friends
本命 Believe/Aaron Neville
Songs To Edify/The Sensational Nightingales
Gotta Serve Somebody - The Gospel Songs Of Bob Dylan/Various Artists
Joel Moss, producer
Category 56-Best Contemporary Soul Gospel Album
(For albums containing 51% or more playing time of VOCAL tracks.)
Follow The Star/T. D. Jakes & Various Artists
..Again/Donnie McClurkin
Make Me Better/Ann Nesby
本命 The Gospel According To Jazz Chapter II/Kirk Whalum
対抗 Bringing It All Together/Vickie Winans
Field 13 Blues
Category 64-Best Traditional Blues Album
(Vocal or Instrumental.)
Rock ’N’ Roll City/Eddy "The Chief" Clearwater Featuring Los Straitjackets
対抗 Blues Singer/Buddy Guy
本命 Goin’ To Kansas City/Jay McShann
That’s Right!/Roomful Of Blues
Lookin’ For Trouble!/Kim Wilson
Category 65-Best Contemporary Blues Album (Vocal or Instrumental.)
So Many Rivers/Marcia Ball
対抗 Let’s Roll/Etta James
The Road We’re On/Sonny Landreth
本命 Rediscovered/Howard Tate
Wait For Me/Susan Tedeschi
Field 15 Reggae
Category 69-Best Reggae Album (Vocal or Instrumental.)
対抗 Friends For Life/Buju Banton
Freeman/Burning Spear
本命 Dutty Rock/Sean Paul
Ain’t Givin’ Up/Third World
No Holding Back/Wayne Wonder
Field 16 World Music
Category 71-Best Contemporary World Music Album (Vocal or Instrumental.)
本命 Voz D’Amor/Cesaria Evora
The Intercontinentals/Bill Frisell
対抗 Nothing’s In Vain (Coono du Reer)/Youssou N’Dour
Specialist In All Styles/Orchestra Baobab
Live In Bahia/Caetano Veloso
引き続き予想第二弾。ポップ、ジャズ、ゴスペル、ブルーズなどを広範囲に予想してみます。実際のNARASの会員は主要4部門以外は自分が得意とするジャンルで、最大9部門程度までしか投票できません。よって各部門は、かなり専門知識のある人たちによって投票されることになります。
完全なリストはhttp://www.grammy.com/awards/grammy/46noms.aspx に。
The 46th Grammy Nominations List
Field 1 Pop
Category 5-Best Female Pop Vocal Performance
対抗 Beautiful/Christina Aguilera
Miss Independent/Kelly Clarkson
White Flag/Dido
本命 I’m With You/Avril Lavigne
Fallen/Sarah McLachlan
Category 6-Best Male Pop Vocal Performance
本命 Any Road/George Harrison
対抗 Ain’t No Mountain High Enough/Michael McDonald
Send Your Love/Sting
Cry Me A River/Justin Timberlake
Keep Me In Your Heart/Warren Zevon
Category 7-Best Pop Performance By A Duo Or Group With Vocal
対抗 Misunderstood/Bon Jovi
Hole In The World/Eagles
本命 Stacy’s Mom/Fountains Of Wayne
Unwell/Matchbox Twenty
Underneath It All/No Doubt
Category 8-Best Pop Collaboration With Vocals
Can’t Hold Us Down/Christina Aguilera & Lil’ Kim
本命 La Vie En Rose/Tony Bennett & k.d. lang
対抗 Gonna Change My Way Of Thinking/Bob Dylan & Mavis Staples
Feel Good Time/Pink Featuring William Orbit
Whenever I Say Your Name/Sting & Mary J. Blige
Category 9-Best Pop Instrumental Performance
Patricia/Ry Cooder & Manuel Galban
本命 Marwa Blues/George Harrison
Honey-Dipped/Dave Koz
対抗 Seabiscuit/Randy Newman
The Nutcracker Suite/The Brian Setzer Orchestra
Category 10-Best Pop Instrumental Album
Peace/Jim Brickman
Mambo Sinuendo/Ry Cooder & Manuel Galban
対抗 Wishes/Kenny G
本命 N.E.W.S./Prince
Night Divides The Day -The Music Of The Doors/George Winston
Category 11-Best Pop Vocal Album
Stripped/Christina Aguilera
Brainwashed/George Harrison
Bare/Annie Lennox
本命 Motown/Michael McDonald
対抗 Justified/Justin Timberlake
Field 2 Dance
Category 12-Best Dance Recording
Love One Another/Cher
Easy/Groove Armada
本命 Die Another Day/Madonna
対抗 Come Into My World/Kylie Minogues]
Breathe/Telepopmusiks
Field 3 Traditional Pop
Category 13-Best Traditional Pop Vocal Album
A Wonderful World/Tony Bennett & k.d. lang
The Last Concert/Rosemary Clooney
Bette Midler Sings The Rosemary Clooney Songbook/Bette Midler
本命 As Time Goes By...The Great American Songbook: Volume II/Rod Stewart
対抗 The Movie Album/Barbra Streisand
Field 4 Rock
Category 14-Best Female Rock Vocal Performance
Are You Happy Now?/Michelle Branch
本命 Losing Grip/Avril Lavigne
Trouble/Pink
対抗 Time Of Our Lives/Bonnie Raitt
Righteously/Lucinda Williams
Category 21-Best Rock Album
Audioslave/Audioslave
本命 Fallen/Evanescence
対抗 One By One/Foo Fighters
More Than You Think You Are/Matchbox Twenty
The Long Road/Nickelback
Field 10 Jazz
Category 46-Best Contemporary Jazz Album
34th N Lex/Randy Brecker
本命 Rural Renewal/The Crusaders
Sonic Trance/Nicholas Payton
対抗 Timeagain/David Sanborn
Time Squared/Yellowjackets
Category 47-Best Jazz Vocal Album
Man In The Air/Kurt Elling
May The Music Never End/Shirley Horn
本命 Nature Boy - The Standards Album/Aaron Neville
対抗 A Little Moonlight/Dianne Reeves
North And South/Luciana Souza
Category 48-Best Jazz Instrumental Solo
対抗 Matrix/Chick Corea, soloist
All Or Nothing At All/Joey DeFrancesco, soloist
本命 Butch & Butch/Keith Jarrett, soloist
Africa/Pat Martino, soloist
All Or Nothing At All/Mike Melvoin, soloist
Category 49-Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group
本命 Rendezvous In New York/Chick Corea
The Grand Unification Theory/Stefon Harris
Extended Play, Live At Birdland/Dave Holland Quintet
Think Tank/Pat Martino
対抗 Alegria/Wayne Shorter
Field 11 Gospel
Category 53-Best Pop/Contemporary Gospel Album
(For albums containing 51% or more playing time of VOCAL tracks.)
Furthermore - From The Studio: From The Stage/Jars Of Clay
Adoration: The Worship Album/Newsboys
本命 Stacie Orrico/Stacie Orrico
対抗 Worship Again/Michael W. Smith
Offerings II/Third Day
Category 55-Best Traditional Soul Gospel Album
(For albums containing 51% or more playing time of VOCAL tracks.)
It’s Your Time/Luther Barnes & The Sunset Jubilaires
Go Tell It On The Mountain/The Blind Boys Of Alabama
対抗 Shirley Caesar And Friends/Shirley Caesar & Friends
本命 Believe/Aaron Neville
Songs To Edify/The Sensational Nightingales
Gotta Serve Somebody - The Gospel Songs Of Bob Dylan/Various Artists
Joel Moss, producer
Category 56-Best Contemporary Soul Gospel Album
(For albums containing 51% or more playing time of VOCAL tracks.)
Follow The Star/T. D. Jakes & Various Artists
..Again/Donnie McClurkin
Make Me Better/Ann Nesby
本命 The Gospel According To Jazz Chapter II/Kirk Whalum
対抗 Bringing It All Together/Vickie Winans
Field 13 Blues
Category 64-Best Traditional Blues Album
(Vocal or Instrumental.)
Rock ’N’ Roll City/Eddy "The Chief" Clearwater Featuring Los Straitjackets
対抗 Blues Singer/Buddy Guy
本命 Goin’ To Kansas City/Jay McShann
That’s Right!/Roomful Of Blues
Lookin’ For Trouble!/Kim Wilson
Category 65-Best Contemporary Blues Album (Vocal or Instrumental.)
So Many Rivers/Marcia Ball
対抗 Let’s Roll/Etta James
The Road We’re On/Sonny Landreth
本命 Rediscovered/Howard Tate
Wait For Me/Susan Tedeschi
Field 15 Reggae
Category 69-Best Reggae Album (Vocal or Instrumental.)
対抗 Friends For Life/Buju Banton
Freeman/Burning Spear
本命 Dutty Rock/Sean Paul
Ain’t Givin’ Up/Third World
No Holding Back/Wayne Wonder
Field 16 World Music
Category 71-Best Contemporary World Music Album (Vocal or Instrumental.)
本命 Voz D’Amor/Cesaria Evora
The Intercontinentals/Bill Frisell
対抗 Nothing’s In Vain (Coono du Reer)/Youssou N’Dour
Specialist In All Styles/Orchestra Baobab
Live In Bahia/Caetano Veloso
予想。
恒例のグラミー賞予想パート1です。昨年は主要4部門をすべて当てることができましたが、果たして今年はどうなるか。まず、パート1は、主要4部門など。発表は2004年2月8日ロスアンジェルス、ステイプル・センター。日本時間9日朝10時から。生中継はWOWOWで。
完全なノミネートリストはhttp://www.grammy.com/awards/grammy/46noms.aspx に。
The 46th Grammy Nominations List
Category 1-Record Of The Year
本命 Crazy In Love/Beyonce Featuring Jay-Z
Where Is The Love/The Black Eyed Peas & Justin Timberlake
Clocks/Coldplay
対抗 Lose Yourself/Eminem
Hey Ya!/Outkast
Category 2-Album Of The Year
対抗 Under Construction/Missy Elliott
Fallen/Evanescence
本命 Speakerboxxx/The Love Below /Outkast
Justified/Justin Timberlake
Elephant/The White Stripes
Category 3-Song Of The Year
Beautiful/Linda Perry, songwriter (Christina Aguilera)
大本命Dance With My Father/Richard Marx & Luther Vandross, songwriters (Luther Vandross)
I’m With You/Avril Lavigne & The Matrix, songwriters (Avril Lavigne)
Keep Me In Your Heart/Jorge Calderon & Warren Zevon, songwriters (Warren Zevon)
対抗 Lose Yourself/J. Bass, M. Mathers & L. Resto, songwriters (Eminem)
Category 4-Best New Artist
Evanescence
本命 50 Cent
Fountains Of Wayne
Heather Headley
対抗 Sean Paul
今年は、本当にむずかしい。これと言って決定打がない。全体的に、ヒップホップ系R&Bのノミネートが多いので雰囲気としてはその方向かとも思うが、実際、とるとなると話は別。唯一大本命としたいのが、ルーサーの「ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー」。これは決まりでしょう。アルバムのエヴァネセンスもありかもしれないし。ニューアーティストも、ショーンポール、50セント以外にエヴァネセンスもあるかもしれない。最初はショーンを本命にしたが、やっぱり、50セントに変えた。(笑)
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Field 6 R&B
Category 23-Best Female R&B Vocal Performance
対抗 Rain On Me/Ashanti
Back In The Day/Erykah Badu
本命 Dangerously In Love/Beyonce
Ooh!/Mary J. Blige
I Wish I Wasn’t/Heather Headley
Category 24-Best Male R&B Vocal Performance
Step In The Name Of Love/R. Kelly
対抗 Shoulda, Woulda, Coulda/Brian McKnight
Superstar/Ruben Studdard
How You Gonna Act Like That/Tyrese
本命 Dance With My Father/Luther Vandross
Category 25-Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocals
本命 The Closer I Get To You/Beyonce & Luther Vandross
Where Is The Love/Stanley Clarke Featuring Glenn Lewis & Amel Larrieux
Say Yes/Floetry
I’ll Stay/Roy Hargrove & The RH Factor Featuring D’Angelo
対抗 Busted/The Isley Brothers With Ronald Isley aka Mr. Biggs Featuring JS
Hands Up/TLC
Category 26-Best Traditional R&B Vocal Performance
対抗 Hold Me/Earth, Wind & Fire
本命 Wonderful/Aretha Franklin
Comin’ From Where I’m From/Anthony Hamilton
Way Up There/Patti LaBelle
He Proposed/Kelly Price
Category 27-Best Urban/Alternative Performance
Danger/Erykah Badu
対抗 Milkshake/Kelis
J’veux D’la Musique/Les Nubians
Forthenight/Musiq
本命 Hey Ya!/Outkast
Category 28-Best R&B Song
Comin’ From Where I’m From/Mark Batson & Anthony Hamilton, songwriters (Anthony Hamilton)
対抗 Crazy In Love/Shawn Carter, Rich Harrison, Beyonce Knowles & Eugene Record, songwriters (Beyonce Featuring Jay-Z).
本命 Dance With My Father/Richard Marx & Luther Vandross, songwriters (Luther Vandross)
Danger/Erykah Badu, J. Poyser, B.R. Smith & R.C. Williams, songwriters (Erykah Badu)
Rock Wit U (Awww Baby)/A. Douglas, I. Lorenzo & A. Parker, songwriters (Ashanti)
Category 29-Best R&B Album
Worldwide Underground/Erykah Badu
Bittersweet/Blu Cantrell
対抗 So Damn Happy/Aretha Franklin
Body Kiss/The Isley Brothers Featuring Ronald Isley aka Mr. Biggs
本命 Dance With My Father/Luther Vandross
Category 30-Best Contemporary R&B Album
対抗 Chapter II/Ashanti
本命 Dangerously In Love/Beyonce
Love & Life/Mary J. Blige
Comin’ From Where I’m From/Anthony Hamilton
Chocolate Factory/R. Kelly
Field 7 Rap
Category 31-Best Female Rap Solo Performance
Got It Poppin’/Da Brat
本命 Work It/Missy Elliott
Came Back For You/Lil’ Kim
Ride Wit Me/MC Lyte
対抗 Go Head/Queen Latifah
Category 32-Best Male Rap Solo Performance
Pump It Up/Joe Budden
本命 Lose Yourself/Eminem
対抗 In Da Club/50 Cent
Stand Up/Ludacris
Get Busy/Sean Paul
Category 33-Best Rap Performance By A Duo Or Group
対抗 Gossip Folks/Missy Elliott Featuring Ludacris
Magic Stick/Lil’ Kim Featuring 50 Cent
本命 Shake Ya Tailfeather/Nelly, P. Diddy & Murphy Lee
Dipset (Santana’s Town)/Juelz Santana Featuring Cam’Ron
Can’t Stop Won’t Stop/Young Gunz
Category 34-Best Rap/Sung Collaboration
本命 Crazy In Love/Beyonce Featuring Jay-Z
対抗 Where Is The Love/The Black Eyed Peas With Justin Timberlake
Luv U Better/LL Cool J Featuring Marc Dorsey
Frontin’/The Neptunes Featuring Pharrell Williams & Jay-Z
Beautiful/Snoop Dogg Featuring Pharrell And Uncle Charlie Wilson
Category 35-Best Rap Song
Beautiful/Calvin Broadus, Chad Hugo & Pharrell Williams, songwriters (Snoop Dogg Featuring Pharrell & Uncle Charlie Wilson)
Excuse Me Miss/Shawn Carter, Chad Hugo & Pharrell Williams, songwriters (Jay-Z Featuring Pharrell Williams)
本命 In Da Club/M. Elizondo, C. Jackson & A. Young, songwriters (50 Cent)
対抗 Lose Yourself/J. Bass, M. Mathers & L. Resto, songwriters (Eminem)
Work It/Missy Elliott & Tim Mosley, songwriters (Missy Elliott)
Category 36-Best Rap Album
Under Construction/Missy Elliott
本命 Get Rich Or Die Tryin’/50 Cent
The Blueprint2 - The Gift & The Curse/Jay-Z
対抗 Speakerboxxx/The Love Below/Outkast
Phrenology/The Roots
ここでの予想はジェネラル部門4部門、R&B部門8部門、ラップ部門6部門、計18部門。あと、明日の日記ではジャズ、ポップなどでいけそうなところをいくつかみつくろって予想してみます。ちなみに昨年の的中率は、予想33部門中、18部門本命で的中、5部門が対抗で的中、10部門がはずれです。33分の23,率としては.596。今年は少し下げて、本命で4割、対抗で2割を狙います。(笑)
恒例のグラミー賞予想パート1です。昨年は主要4部門をすべて当てることができましたが、果たして今年はどうなるか。まず、パート1は、主要4部門など。発表は2004年2月8日ロスアンジェルス、ステイプル・センター。日本時間9日朝10時から。生中継はWOWOWで。
完全なノミネートリストはhttp://www.grammy.com/awards/grammy/46noms.aspx に。
The 46th Grammy Nominations List
Category 1-Record Of The Year
本命 Crazy In Love/Beyonce Featuring Jay-Z
Where Is The Love/The Black Eyed Peas & Justin Timberlake
Clocks/Coldplay
対抗 Lose Yourself/Eminem
Hey Ya!/Outkast
Category 2-Album Of The Year
対抗 Under Construction/Missy Elliott
Fallen/Evanescence
本命 Speakerboxxx/The Love Below /Outkast
Justified/Justin Timberlake
Elephant/The White Stripes
Category 3-Song Of The Year
Beautiful/Linda Perry, songwriter (Christina Aguilera)
大本命Dance With My Father/Richard Marx & Luther Vandross, songwriters (Luther Vandross)
I’m With You/Avril Lavigne & The Matrix, songwriters (Avril Lavigne)
Keep Me In Your Heart/Jorge Calderon & Warren Zevon, songwriters (Warren Zevon)
対抗 Lose Yourself/J. Bass, M. Mathers & L. Resto, songwriters (Eminem)
Category 4-Best New Artist
Evanescence
本命 50 Cent
Fountains Of Wayne
Heather Headley
対抗 Sean Paul
今年は、本当にむずかしい。これと言って決定打がない。全体的に、ヒップホップ系R&Bのノミネートが多いので雰囲気としてはその方向かとも思うが、実際、とるとなると話は別。唯一大本命としたいのが、ルーサーの「ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー」。これは決まりでしょう。アルバムのエヴァネセンスもありかもしれないし。ニューアーティストも、ショーンポール、50セント以外にエヴァネセンスもあるかもしれない。最初はショーンを本命にしたが、やっぱり、50セントに変えた。(笑)
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Field 6 R&B
Category 23-Best Female R&B Vocal Performance
対抗 Rain On Me/Ashanti
Back In The Day/Erykah Badu
本命 Dangerously In Love/Beyonce
Ooh!/Mary J. Blige
I Wish I Wasn’t/Heather Headley
Category 24-Best Male R&B Vocal Performance
Step In The Name Of Love/R. Kelly
対抗 Shoulda, Woulda, Coulda/Brian McKnight
Superstar/Ruben Studdard
How You Gonna Act Like That/Tyrese
本命 Dance With My Father/Luther Vandross
Category 25-Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocals
本命 The Closer I Get To You/Beyonce & Luther Vandross
Where Is The Love/Stanley Clarke Featuring Glenn Lewis & Amel Larrieux
Say Yes/Floetry
I’ll Stay/Roy Hargrove & The RH Factor Featuring D’Angelo
対抗 Busted/The Isley Brothers With Ronald Isley aka Mr. Biggs Featuring JS
Hands Up/TLC
Category 26-Best Traditional R&B Vocal Performance
対抗 Hold Me/Earth, Wind & Fire
本命 Wonderful/Aretha Franklin
Comin’ From Where I’m From/Anthony Hamilton
Way Up There/Patti LaBelle
He Proposed/Kelly Price
Category 27-Best Urban/Alternative Performance
Danger/Erykah Badu
対抗 Milkshake/Kelis
J’veux D’la Musique/Les Nubians
Forthenight/Musiq
本命 Hey Ya!/Outkast
Category 28-Best R&B Song
Comin’ From Where I’m From/Mark Batson & Anthony Hamilton, songwriters (Anthony Hamilton)
対抗 Crazy In Love/Shawn Carter, Rich Harrison, Beyonce Knowles & Eugene Record, songwriters (Beyonce Featuring Jay-Z).
本命 Dance With My Father/Richard Marx & Luther Vandross, songwriters (Luther Vandross)
Danger/Erykah Badu, J. Poyser, B.R. Smith & R.C. Williams, songwriters (Erykah Badu)
Rock Wit U (Awww Baby)/A. Douglas, I. Lorenzo & A. Parker, songwriters (Ashanti)
Category 29-Best R&B Album
Worldwide Underground/Erykah Badu
Bittersweet/Blu Cantrell
対抗 So Damn Happy/Aretha Franklin
Body Kiss/The Isley Brothers Featuring Ronald Isley aka Mr. Biggs
本命 Dance With My Father/Luther Vandross
Category 30-Best Contemporary R&B Album
対抗 Chapter II/Ashanti
本命 Dangerously In Love/Beyonce
Love & Life/Mary J. Blige
Comin’ From Where I’m From/Anthony Hamilton
Chocolate Factory/R. Kelly
Field 7 Rap
Category 31-Best Female Rap Solo Performance
Got It Poppin’/Da Brat
本命 Work It/Missy Elliott
Came Back For You/Lil’ Kim
Ride Wit Me/MC Lyte
対抗 Go Head/Queen Latifah
Category 32-Best Male Rap Solo Performance
Pump It Up/Joe Budden
本命 Lose Yourself/Eminem
対抗 In Da Club/50 Cent
Stand Up/Ludacris
Get Busy/Sean Paul
Category 33-Best Rap Performance By A Duo Or Group
対抗 Gossip Folks/Missy Elliott Featuring Ludacris
Magic Stick/Lil’ Kim Featuring 50 Cent
本命 Shake Ya Tailfeather/Nelly, P. Diddy & Murphy Lee
Dipset (Santana’s Town)/Juelz Santana Featuring Cam’Ron
Can’t Stop Won’t Stop/Young Gunz
Category 34-Best Rap/Sung Collaboration
本命 Crazy In Love/Beyonce Featuring Jay-Z
対抗 Where Is The Love/The Black Eyed Peas With Justin Timberlake
Luv U Better/LL Cool J Featuring Marc Dorsey
Frontin’/The Neptunes Featuring Pharrell Williams & Jay-Z
Beautiful/Snoop Dogg Featuring Pharrell And Uncle Charlie Wilson
Category 35-Best Rap Song
Beautiful/Calvin Broadus, Chad Hugo & Pharrell Williams, songwriters (Snoop Dogg Featuring Pharrell & Uncle Charlie Wilson)
Excuse Me Miss/Shawn Carter, Chad Hugo & Pharrell Williams, songwriters (Jay-Z Featuring Pharrell Williams)
本命 In Da Club/M. Elizondo, C. Jackson & A. Young, songwriters (50 Cent)
対抗 Lose Yourself/J. Bass, M. Mathers & L. Resto, songwriters (Eminem)
Work It/Missy Elliott & Tim Mosley, songwriters (Missy Elliott)
Category 36-Best Rap Album
Under Construction/Missy Elliott
本命 Get Rich Or Die Tryin’/50 Cent
The Blueprint2 - The Gift & The Curse/Jay-Z
対抗 Speakerboxxx/The Love Below/Outkast
Phrenology/The Roots
ここでの予想はジェネラル部門4部門、R&B部門8部門、ラップ部門6部門、計18部門。あと、明日の日記ではジャズ、ポップなどでいけそうなところをいくつかみつくろって予想してみます。ちなみに昨年の的中率は、予想33部門中、18部門本命で的中、5部門が対抗で的中、10部門がはずれです。33分の23,率としては.596。今年は少し下げて、本命で4割、対抗で2割を狙います。(笑)
凝縮。
ピアノライヴ3デイズ、3日目は即興演奏のマスター、深町純さんの毎月の定例会。何度もこの日記では書いています。(2003年4月27日付け、2003年6月29日付け、2003年7月24日付け、2003年11月30日付け)
先月がスティーヴィーのライヴと重なり見ることが出来ず、今回は2ヶ月ぶりということになります。2ヶ月ぶりだとずいぶん間があいたなあ、という感じ。一月(ひとつき)だと、「お、もう一月経ったのか」っていう感じなんですが。7時頃行ったら、ほとんど席が埋まっていて焦りました。毎回ほんとにいろいろな人がやってきます。しかも、おもしろいのが毎回半分以上が「初めて」やってきた人たちなんです。初めて来た人が3-40人いて、その人たち全員が毎月来るようになったら、アートカフェ、パンクしちゃうんですけどねえ。でも、そうはならないところが、自然の摂理(せつり)なんでしょうか。(笑)
さて、仮にサヤをジャズ系(あるいはサンフランシスコ系)、妹尾さんをポップス系(あるいは銀座系)と呼ぶならば(半分ジョークですよ=笑=)、深町ピアノは、オルタナティヴ系という感じです。なんと言っても、すべてが事前の予定なしの即興演奏というところが非常に特殊。今回で37回目を数えるこのライヴで、一体何曲くらい弾かれたのでしょう。一日10曲としても370曲以上の作品が弾かれたわけですが、その中に同じ曲は一曲たりともありません。
今日の場合、1月31日午後8時頃の気分の曲があり、それとはまったく別に9時15分頃の感情の曲があり、それらはその瞬間ですべて変わってきます。
目をつぶって深町ピアノに身を委ねると見えてくるものは何か・・・。例えば、「激」、「美」、「力」、「瞬間」、「恋」、「怒」、「無」・・・などなど。そうした人間生活の中で排出されたり感じたりするものすべてが、グランドピアノから発信されます。
後半、パーカッションのマサさん(massA: masaharu sato)が登場。11月に続いて2度目です。ジャンベイという手持ちもできる中位の太鼓を中心に様々なパーカッションを体中にまとって音をだします。ピアノは88の鍵盤ですが、彼の場合、楽器自体が無限ですね。足元にも鈴をつけて、足を踏み動かすと、文字通り鈴が踏み鳴らされるのです。パーカッションのアイデアが実にユニークです。深町ピアノとのコラボレーションがなかなかおもしろかった。
佐藤正治さんホームページ
http://ok-massa.com/index.html
彼が弾いた後、残った深町さんはおしゃべりをせず(快挙=(笑))、一挙にピアノ演奏をヒートアップ。最後にいつのまにか「春よ、こい」を実にファンキーにプレイしました。ときどきでてくるリチャード・ティー風なフレーズが、ファンキーさを高め、どこかゴスペル調のリズムを刻みます。いつのまにか、観客から手拍子が始まりました。こののりだったら、手拍子もでます。
以前から僕は、ピアノに限らず楽器というものの演奏には必ずそのプレイヤーの人生が如実に反映すると思っていました。それはここ数年特に強く感じるんですね。20代の頃なんかそんなこと夢にも思いませんでした。その人物が何を考え、どのようなものを美しいと感じ、何をもってかっこいいと思うのか。どのような人生を生きてきたか。苦労はあったのか、恵まれた環境で周囲の愛を充分に受けて育ったのか。どの感情がより多く、表にでてくるか。怒りか、愛か、喜びか、憎しみか、嫉妬か、嬉しさか。
音楽を聴く人の中には、その音楽とミュージシャンの関連付けを嫌う人がいることも理解できます。音楽が自分の人生なんか反映してたまるか、というアーティストもいるでしょう。しかしながら、僕は、音楽と言うものは感情がある人間が演奏したり歌うものである以上、そのミュージシャンの生きてきた道と絶対的に関係性があると考えます。これまでにこの日記でも繰り返し、音楽はそのミュージシャンの人間性を如実に反映すると書いてきました。それはそのミュージシャンのバックグラウンドを知らずとも、音を聴けば何かを感じるのです。そしてバックグラウンドを知ったとき、さらに納得できるわけです。
この3日間で、ピアノプレイヤーのプレイにはどれくらいその人の人生が反映するだろうか、ということをひとつのテーマとして見てきたのですが、やはり、相当な部分反映しているだろうなと改めて確信をもちました。ピアノの音色を聴きながら、このプレイヤーはどのようにして今日この地点まで到達することができたのだろうか、などと思いを巡らせていました。ピアノから少なくとも、そのプレイヤーの性格というかキャラクター、個性は充分にでています。
ライヴ後、深町さんに尋ねてみました。「ピアノの演奏は、そのプレイヤーの人生を反映すると思いますか?」 「それはもちろん、するね。特にレヴェルがある一定以上上のミュージシャンになればなるほど、そうだろうね」 なるほど! そうか、そうか。確かに。あるレヴェル以上ならなおさら。さすが。「ということは、深町さんの演奏にも、これまでの深町さんの人生がでてるんですね。怒りとか、美しいものを見て美しいと思うこととか」 「そうだろうね、自然ににじみでてくるんじゃないかな」
この言葉を受けて、今一度深町ピアノを聴いて感じる言葉を反芻(はんすう)してみました。ということは逆説的に言えば、そのミュージシャンの人生なりキャリアを正確に詳細に追っていけば、そのアーティストの音楽を理解する上で、非常に大きな手助けになるということになります。
音楽自体を文字に書き表すことは絶対にできません。しいてできることは、その音楽を比喩(ひゆ)することです。しかしそれも限界があります。しかし、そのミュージシャンのことを詳細に書くことは、取材さえできれば可能です。そしてその人の歩みを知ることによって、その音楽を深く知ることができるのです。
実はこの3日間ピアノ漬けになって、ものすごく刺激を受けました。たくさんのものを受け取った感じがしています。そして、いくつかアイデアが浮かびました。まだ漠然としていて、ここに書けるものではないのですが、これはいつか形にしたいと思っています。3人のピアニストへ、改めて感謝を。ありがとうございます。Thanks for great musicians, thanks for great music and thanks for great moments!
妙なまとめをするのもなんですが、でも、一言こんなことを言っておきたい気分です。
「ピアノは誰の元にも、平等にピアノです。しかし、そのピアノにソウル(魂)を込めるのは、それぞれのピアノ・マン、ピアノ・ウーマンです。そしてそのソウルには、それぞれのピアノ・マン、ピアノ・ウーマンたちのすべてが凝縮されているのです」
(2004年1月31日・土曜=恵比寿アートカフェ=深町純ライヴ)
ピアノライヴ3デイズ、3日目は即興演奏のマスター、深町純さんの毎月の定例会。何度もこの日記では書いています。(2003年4月27日付け、2003年6月29日付け、2003年7月24日付け、2003年11月30日付け)
先月がスティーヴィーのライヴと重なり見ることが出来ず、今回は2ヶ月ぶりということになります。2ヶ月ぶりだとずいぶん間があいたなあ、という感じ。一月(ひとつき)だと、「お、もう一月経ったのか」っていう感じなんですが。7時頃行ったら、ほとんど席が埋まっていて焦りました。毎回ほんとにいろいろな人がやってきます。しかも、おもしろいのが毎回半分以上が「初めて」やってきた人たちなんです。初めて来た人が3-40人いて、その人たち全員が毎月来るようになったら、アートカフェ、パンクしちゃうんですけどねえ。でも、そうはならないところが、自然の摂理(せつり)なんでしょうか。(笑)
さて、仮にサヤをジャズ系(あるいはサンフランシスコ系)、妹尾さんをポップス系(あるいは銀座系)と呼ぶならば(半分ジョークですよ=笑=)、深町ピアノは、オルタナティヴ系という感じです。なんと言っても、すべてが事前の予定なしの即興演奏というところが非常に特殊。今回で37回目を数えるこのライヴで、一体何曲くらい弾かれたのでしょう。一日10曲としても370曲以上の作品が弾かれたわけですが、その中に同じ曲は一曲たりともありません。
今日の場合、1月31日午後8時頃の気分の曲があり、それとはまったく別に9時15分頃の感情の曲があり、それらはその瞬間ですべて変わってきます。
目をつぶって深町ピアノに身を委ねると見えてくるものは何か・・・。例えば、「激」、「美」、「力」、「瞬間」、「恋」、「怒」、「無」・・・などなど。そうした人間生活の中で排出されたり感じたりするものすべてが、グランドピアノから発信されます。
後半、パーカッションのマサさん(massA: masaharu sato)が登場。11月に続いて2度目です。ジャンベイという手持ちもできる中位の太鼓を中心に様々なパーカッションを体中にまとって音をだします。ピアノは88の鍵盤ですが、彼の場合、楽器自体が無限ですね。足元にも鈴をつけて、足を踏み動かすと、文字通り鈴が踏み鳴らされるのです。パーカッションのアイデアが実にユニークです。深町ピアノとのコラボレーションがなかなかおもしろかった。
佐藤正治さんホームページ
http://ok-massa.com/index.html
彼が弾いた後、残った深町さんはおしゃべりをせず(快挙=(笑))、一挙にピアノ演奏をヒートアップ。最後にいつのまにか「春よ、こい」を実にファンキーにプレイしました。ときどきでてくるリチャード・ティー風なフレーズが、ファンキーさを高め、どこかゴスペル調のリズムを刻みます。いつのまにか、観客から手拍子が始まりました。こののりだったら、手拍子もでます。
以前から僕は、ピアノに限らず楽器というものの演奏には必ずそのプレイヤーの人生が如実に反映すると思っていました。それはここ数年特に強く感じるんですね。20代の頃なんかそんなこと夢にも思いませんでした。その人物が何を考え、どのようなものを美しいと感じ、何をもってかっこいいと思うのか。どのような人生を生きてきたか。苦労はあったのか、恵まれた環境で周囲の愛を充分に受けて育ったのか。どの感情がより多く、表にでてくるか。怒りか、愛か、喜びか、憎しみか、嫉妬か、嬉しさか。
音楽を聴く人の中には、その音楽とミュージシャンの関連付けを嫌う人がいることも理解できます。音楽が自分の人生なんか反映してたまるか、というアーティストもいるでしょう。しかしながら、僕は、音楽と言うものは感情がある人間が演奏したり歌うものである以上、そのミュージシャンの生きてきた道と絶対的に関係性があると考えます。これまでにこの日記でも繰り返し、音楽はそのミュージシャンの人間性を如実に反映すると書いてきました。それはそのミュージシャンのバックグラウンドを知らずとも、音を聴けば何かを感じるのです。そしてバックグラウンドを知ったとき、さらに納得できるわけです。
この3日間で、ピアノプレイヤーのプレイにはどれくらいその人の人生が反映するだろうか、ということをひとつのテーマとして見てきたのですが、やはり、相当な部分反映しているだろうなと改めて確信をもちました。ピアノの音色を聴きながら、このプレイヤーはどのようにして今日この地点まで到達することができたのだろうか、などと思いを巡らせていました。ピアノから少なくとも、そのプレイヤーの性格というかキャラクター、個性は充分にでています。
ライヴ後、深町さんに尋ねてみました。「ピアノの演奏は、そのプレイヤーの人生を反映すると思いますか?」 「それはもちろん、するね。特にレヴェルがある一定以上上のミュージシャンになればなるほど、そうだろうね」 なるほど! そうか、そうか。確かに。あるレヴェル以上ならなおさら。さすが。「ということは、深町さんの演奏にも、これまでの深町さんの人生がでてるんですね。怒りとか、美しいものを見て美しいと思うこととか」 「そうだろうね、自然ににじみでてくるんじゃないかな」
この言葉を受けて、今一度深町ピアノを聴いて感じる言葉を反芻(はんすう)してみました。ということは逆説的に言えば、そのミュージシャンの人生なりキャリアを正確に詳細に追っていけば、そのアーティストの音楽を理解する上で、非常に大きな手助けになるということになります。
音楽自体を文字に書き表すことは絶対にできません。しいてできることは、その音楽を比喩(ひゆ)することです。しかしそれも限界があります。しかし、そのミュージシャンのことを詳細に書くことは、取材さえできれば可能です。そしてその人の歩みを知ることによって、その音楽を深く知ることができるのです。
実はこの3日間ピアノ漬けになって、ものすごく刺激を受けました。たくさんのものを受け取った感じがしています。そして、いくつかアイデアが浮かびました。まだ漠然としていて、ここに書けるものではないのですが、これはいつか形にしたいと思っています。3人のピアニストへ、改めて感謝を。ありがとうございます。Thanks for great musicians, thanks for great music and thanks for great moments!
妙なまとめをするのもなんですが、でも、一言こんなことを言っておきたい気分です。
「ピアノは誰の元にも、平等にピアノです。しかし、そのピアノにソウル(魂)を込めるのは、それぞれのピアノ・マン、ピアノ・ウーマンです。そしてそのソウルには、それぞれのピアノ・マン、ピアノ・ウーマンたちのすべてが凝縮されているのです」
(2004年1月31日・土曜=恵比寿アートカフェ=深町純ライヴ)
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贅沢。
ピアノライヴ、2日目。会場は、これも僕は初めての銀座王子ホール。収容約330。これも昨日同様、非常に綺麗な施設だ。天井は第一生命ホールほど高くなく、反響音はかなり少ない。普段はクラシックを中心にコンサートをやっているという。なによりも、銀座三越の真裏という絶好の場所。
銀座山野楽器のインストアライヴから今度は銀座王子ホールということで、「銀座を渡り歩くピアニスト」(!)になりつつある妹尾武の初のコンサートホール、フル・ライヴ。ファン層は年齢も幅広く20代から40代まで、男女比は2:8くらいでしょうか。
CDで聴かれるそのままの優しさ、暖かさ、叙情が、咳払いひとつや紙をめくる音さえ雑音になるような静かな静かな王子ホールに広がる。ラフなジーンズで登場した彼は、いきなり最新作『Seasons』の1曲目「The Season Comes」から、「春にして君を想う」、「帰郷」まで、CDの流れをそのまま再現してみせた。このCDを聴きこんできた人なら、思わず曲の流れを目をつぶってなぞることでしょう。
あいさつ、おしゃべりをはさんで僕が大好きな「材木座海岸」。歌詞もないのに、すっかりこのメロディーが僕を材木座に連れてってくれます。インストゥルメンタル曲でここまで持ってってくれる曲はそうめったにはありません。
前半は彼がひとりで、休憩をはさんで後半はゲストにチェロの古川展生、ヴォーカルのLyrico(リリコ)を迎えてのパフォーマンス。後半一曲目の「蒼茫(そうぼう)」、さらに続く「ニュー・シネマ・パラダイス」は、チェロとのコラボレーションが映画そのものを思い出させ、「エタニティー」では、リリコが登場。いきなり、歌の力を見せつけました。インストゥルメンタル曲が続く中で、ぽっと歌詞のある歌が入ると、その印象は強烈です。正統派シンガーである彼女はさらにエルヴィス・プレスリーの「好きにならずにはいられない」と「キセキノハナ」を見事に歌いきりました。
妹尾メロディーは本当に聴いていると、いろんなイメージが沸いてきます。
そこで、勝手にキャッチフレーズ・シリーズ。第一弾。「恋の始まりと、恋の最中と、恋の終わりに・・・。妹尾メロディーはいつも恋するあなたの傍らに・・・」
第二弾。「ソウルではないが、魂があり、クラシックではないが、伝統があり、ピアノ以外何もないが、そこには一番の贅沢がある・・・」
ニュー・アルバムのレコーディングは完了したそうです。5月発売の予定。その中にはスティーヴィーの「オーヴァージョイド」をちょっとユニークな方法でカヴァーしているとのことです。
Setlist
01. The Season Comes
02. 春にして君を想う
03. 帰郷
04. 材木座海岸
05. 星の灯篭〜太った三日月の夜
06. 新大阪
07. 冬物語
08. 浜辺の歌
09. 永遠に
休憩約12分
10. 蒼茫
11. ニューシネマ・パラダイス
12. 爪痕
13. Eternity
14. Can’t Help Falling In Love(好きにならずにはいられない)
15. 男はつらいよ
16. キセキノハナ
encore
17. 街角
18. 星霜
(2004年1月30日金=銀座王子ホール=妹尾武ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Takeshi, Senoo
ピアノライヴ、2日目。会場は、これも僕は初めての銀座王子ホール。収容約330。これも昨日同様、非常に綺麗な施設だ。天井は第一生命ホールほど高くなく、反響音はかなり少ない。普段はクラシックを中心にコンサートをやっているという。なによりも、銀座三越の真裏という絶好の場所。
銀座山野楽器のインストアライヴから今度は銀座王子ホールということで、「銀座を渡り歩くピアニスト」(!)になりつつある妹尾武の初のコンサートホール、フル・ライヴ。ファン層は年齢も幅広く20代から40代まで、男女比は2:8くらいでしょうか。
CDで聴かれるそのままの優しさ、暖かさ、叙情が、咳払いひとつや紙をめくる音さえ雑音になるような静かな静かな王子ホールに広がる。ラフなジーンズで登場した彼は、いきなり最新作『Seasons』の1曲目「The Season Comes」から、「春にして君を想う」、「帰郷」まで、CDの流れをそのまま再現してみせた。このCDを聴きこんできた人なら、思わず曲の流れを目をつぶってなぞることでしょう。
あいさつ、おしゃべりをはさんで僕が大好きな「材木座海岸」。歌詞もないのに、すっかりこのメロディーが僕を材木座に連れてってくれます。インストゥルメンタル曲でここまで持ってってくれる曲はそうめったにはありません。
前半は彼がひとりで、休憩をはさんで後半はゲストにチェロの古川展生、ヴォーカルのLyrico(リリコ)を迎えてのパフォーマンス。後半一曲目の「蒼茫(そうぼう)」、さらに続く「ニュー・シネマ・パラダイス」は、チェロとのコラボレーションが映画そのものを思い出させ、「エタニティー」では、リリコが登場。いきなり、歌の力を見せつけました。インストゥルメンタル曲が続く中で、ぽっと歌詞のある歌が入ると、その印象は強烈です。正統派シンガーである彼女はさらにエルヴィス・プレスリーの「好きにならずにはいられない」と「キセキノハナ」を見事に歌いきりました。
妹尾メロディーは本当に聴いていると、いろんなイメージが沸いてきます。
そこで、勝手にキャッチフレーズ・シリーズ。第一弾。「恋の始まりと、恋の最中と、恋の終わりに・・・。妹尾メロディーはいつも恋するあなたの傍らに・・・」
第二弾。「ソウルではないが、魂があり、クラシックではないが、伝統があり、ピアノ以外何もないが、そこには一番の贅沢がある・・・」
ニュー・アルバムのレコーディングは完了したそうです。5月発売の予定。その中にはスティーヴィーの「オーヴァージョイド」をちょっとユニークな方法でカヴァーしているとのことです。
Setlist
01. The Season Comes
02. 春にして君を想う
03. 帰郷
04. 材木座海岸
05. 星の灯篭〜太った三日月の夜
06. 新大阪
07. 冬物語
08. 浜辺の歌
09. 永遠に
休憩約12分
10. 蒼茫
11. ニューシネマ・パラダイス
12. 爪痕
13. Eternity
14. Can’t Help Falling In Love(好きにならずにはいられない)
15. 男はつらいよ
16. キセキノハナ
encore
17. 街角
18. 星霜
(2004年1月30日金=銀座王子ホール=妹尾武ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Takeshi, Senoo
クリーン。
映画「ミスティック・リヴァー」から始まり、イーストウッドの『ブルーズ・ピアノ』、さらにデューク・エリントンの「メランコリア」、ノラ・ジョーンズの「アイ・ドント・ミス・ユー・アット・オール」、そして、ジャズピアノ40枚組セットと、いやにピアノづいている今週ですが、なんと今日から3日間、ピアノライヴが続きます。ピアノライヴ、3デイズ! サヤ、妹尾武、深町純だ。みなそれぞれスタイルが違うからおもしろい。
まず、デイ・ワンは、約半年振りのサヤ。今回は大阪出身の魚谷のぶまさ(ベース)、加納樹麻(ドラムス)とのトリオ。会場は東京勝どきにあるトリトンスクエア内の第一生命ホール。初めて来たが、実にきれいな収容人数約800の会場だ。天井が非常に高く、音が異様にライヴ。かなり反響があった。アンコールを含め全14曲、1時間42分。
やはり全体的にはオリジナルの作品がいいメロディーを持っていて、印象が強い。3曲目に新曲「ブルーム」を披露したが、これがなかなかよかった。
ちょっと気が付いたこと。グルーヴ感のある「マホガニー」さらに、「イントゥ・ザ・スカイ」が一番最後の部分にでたが、これをもう少し前のほうに持ってきたらどうだろうか。メロディーがきれいな曲が多いので、どうしても、じっくり落ち着いて聴いてしまい、彼女のグルーヴ感のあるピアノを忘れてしまう。そして、オリジナル曲のメロディーが美しいものが多いので、ひとつまちがえると安易なイージー・リスニングになってしまう危険性がある。ここは、やはり元ネヴィル・ブラザースのバンドの一員としてのソウルあるところを見せて欲しい。どうまちがっても、リチャード・クレイダーマンにはなって欲しくないと思った。なるとしたら、ジョー・サンプルの方向に行って欲しい。
ビル・エヴァンスで知られる「アワ・デライト」がフォービートでかなりジャズっぽい雰囲気だったが、ジャズ風は唯一この曲だけ。この路線もう1曲くらいあってもいいかもしれない。
今回のライヴの印象は、全体的にきれいで、クリーンという感じだった。
今回のツアーでは、ライヴ後にCDが飛ぶように売れるという。おそらく、まだCDを持ってない人で、なんらかのきっかけでライヴに来て、とても心地よかったので、彼女のCDを買おうと思った人が多いようだ。ということは、彼女の音楽はたくさん露出すればするほど売れる可能性が高い、ということでもある。ライヴ終了後、サイン会をすると告知したところ、少なくとも40人が列を作ってサヤのサインをもらうのを待っていた。
ふと通路を見ると、本日演奏された曲目がしっかり張り出されていた。お客様にフレンドリーです。
セットリスト
show started 19.26
1. 花のワルツ (チャイコフスキー)
2. カム・トゥゲザー (ビートルズ)
3. ブルーム (オリジナル=新曲)
4. アワ・デライト (ビル・エヴァンスなど)
5. 別れの曲 (ショパン)
6. ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス (グローヴァー・ワシントン/ビル・ウィザース)
7. オーヴァー・ザ・レインボウ (ジュディー・ガーランド)
8. アイ・ウィッシュ (スティーヴィー・ワンダー)
9. エタニティ (オリジナル=『ビューティフル・デイ』から)
10. マホガニーのテーマ (ダイアナ・ロス)
11. イントゥ・ザ・スカイ (オリジナル=『ビューティフル・デイ』から)
12. チキン (ジェームス・ブラウン)
アンコール
13. ダンス・ユア・ハート (オリジナル=『ダンス・ユア・ハート』から)
14. ウィッシング・ウェル (オリジナル=『ビューティフル・デイ』から)
show ended 21.08
(2004年1月29日木曜=東京・勝どき第一生命ホール=サヤ・ライヴ)
映画「ミスティック・リヴァー」から始まり、イーストウッドの『ブルーズ・ピアノ』、さらにデューク・エリントンの「メランコリア」、ノラ・ジョーンズの「アイ・ドント・ミス・ユー・アット・オール」、そして、ジャズピアノ40枚組セットと、いやにピアノづいている今週ですが、なんと今日から3日間、ピアノライヴが続きます。ピアノライヴ、3デイズ! サヤ、妹尾武、深町純だ。みなそれぞれスタイルが違うからおもしろい。
まず、デイ・ワンは、約半年振りのサヤ。今回は大阪出身の魚谷のぶまさ(ベース)、加納樹麻(ドラムス)とのトリオ。会場は東京勝どきにあるトリトンスクエア内の第一生命ホール。初めて来たが、実にきれいな収容人数約800の会場だ。天井が非常に高く、音が異様にライヴ。かなり反響があった。アンコールを含め全14曲、1時間42分。
やはり全体的にはオリジナルの作品がいいメロディーを持っていて、印象が強い。3曲目に新曲「ブルーム」を披露したが、これがなかなかよかった。
ちょっと気が付いたこと。グルーヴ感のある「マホガニー」さらに、「イントゥ・ザ・スカイ」が一番最後の部分にでたが、これをもう少し前のほうに持ってきたらどうだろうか。メロディーがきれいな曲が多いので、どうしても、じっくり落ち着いて聴いてしまい、彼女のグルーヴ感のあるピアノを忘れてしまう。そして、オリジナル曲のメロディーが美しいものが多いので、ひとつまちがえると安易なイージー・リスニングになってしまう危険性がある。ここは、やはり元ネヴィル・ブラザースのバンドの一員としてのソウルあるところを見せて欲しい。どうまちがっても、リチャード・クレイダーマンにはなって欲しくないと思った。なるとしたら、ジョー・サンプルの方向に行って欲しい。
ビル・エヴァンスで知られる「アワ・デライト」がフォービートでかなりジャズっぽい雰囲気だったが、ジャズ風は唯一この曲だけ。この路線もう1曲くらいあってもいいかもしれない。
今回のライヴの印象は、全体的にきれいで、クリーンという感じだった。
今回のツアーでは、ライヴ後にCDが飛ぶように売れるという。おそらく、まだCDを持ってない人で、なんらかのきっかけでライヴに来て、とても心地よかったので、彼女のCDを買おうと思った人が多いようだ。ということは、彼女の音楽はたくさん露出すればするほど売れる可能性が高い、ということでもある。ライヴ終了後、サイン会をすると告知したところ、少なくとも40人が列を作ってサヤのサインをもらうのを待っていた。
ふと通路を見ると、本日演奏された曲目がしっかり張り出されていた。お客様にフレンドリーです。
セットリスト
show started 19.26
1. 花のワルツ (チャイコフスキー)
2. カム・トゥゲザー (ビートルズ)
3. ブルーム (オリジナル=新曲)
4. アワ・デライト (ビル・エヴァンスなど)
5. 別れの曲 (ショパン)
6. ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス (グローヴァー・ワシントン/ビル・ウィザース)
7. オーヴァー・ザ・レインボウ (ジュディー・ガーランド)
8. アイ・ウィッシュ (スティーヴィー・ワンダー)
9. エタニティ (オリジナル=『ビューティフル・デイ』から)
10. マホガニーのテーマ (ダイアナ・ロス)
11. イントゥ・ザ・スカイ (オリジナル=『ビューティフル・デイ』から)
12. チキン (ジェームス・ブラウン)
アンコール
13. ダンス・ユア・ハート (オリジナル=『ダンス・ユア・ハート』から)
14. ウィッシング・ウェル (オリジナル=『ビューティフル・デイ』から)
show ended 21.08
(2004年1月29日木曜=東京・勝どき第一生命ホール=サヤ・ライヴ)
探索。
どうしても、デューク・エリントンの「メランコリア」という曲の入ったCDが欲しかったので、渋谷のタワーに行った。次の予定との間に15分くらいしか時間がなかったがすぐに見つかるだろうと思っていた。ジャズ売り場は5階。「デューク・エリントンのCDはどこにありますか?」とお店の人に尋ねた。すると、こちらです、と案内された。うむ、楽に4-50枚は並んでいる。
片っ端から、曲目を見るがなかなか見つからない。そこで、途中で「デューク・エリントンの『メランコリア』という曲を探してるんですが、どこにありますか?」と別のお店の人に尋ねると、「あ、それはわかりませんねえ」とにべもない。「曲目を検索できる機械はありますが・・・」というので、そこを案内してもらい、デューク・エリントン、メランコリアと入力するが・・・。リアクションが遅くて、かったるい。1枚当該曲が入ったアルバムのタイトルがでてきて、プリントアウトしたが、もちろんそれは店頭在庫にはなかった。時間もなかったので、もうめんどうだから、棚のCDを全部見ることにした。
CDを抜いては裏ジャケットを見て、曲目をチェック。3段近くあったが、全部見た。だが、残念ながら目指す「メランコリア」はなかった。時間もなかったので、とりあえず、今日は帰ることにした。しかし、やはりこうなると、ネットで買うほうに走るよねえ。CDショップは、サーヴィスで稼ぐようにしないと。「メランコリア」を探してるんですけど、と言ったら、一緒に探すとかしないとね。デューク・エリントンのヴァージョンでなくても、あればとりあえず買うわけだし。その店に行くのは、その場でその日に欲しいからだからねえ。
さて出口に向かうと、ワゴンセールみたいのをやっていて、ちらっとみると、ジャズピアノのボックスセットがあった。でかくてすごいボックスセット。手にとってみると、オスカーピーターソンだ、アート・テイタムだ、アーマッド・ジャマルだ、とそこそこよさげ。しかも、40枚組。これはすごいわと思ったが、値段を見て、さらにびっくり。7090円なり!! 1枚200円以下じゃない! こりゃ買うしかないわ。さらに、サッチモ10枚組ボックスセット、2290円。わかりました。買います。新譜1枚と変わらぬ値段で10枚も。生CDじゃないんだからねえ。(笑) ビリー・ホリデイなどのディーヴァもの5枚組セット1390円! まじっすか。というわけで、トータル55枚お買い上げ。どうするんだ、ただでさえCD置き場ないのに…。
今、これを書きながら流れているのはアート・テイタム(1909〜1956)です。これもピアノの基本でしょうか。全然、このあたり詳しくないんですけど。(笑) ガーシュインの「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」が流れています。僕がアート・テイタムのことを知ったのは83年のこと。ニューヨークのカシーフが、教えてくれました。「どんなキーボード奏者が好きなのか」と聞いたら、まっさきにこのアート・テイタムの名前をあげました。僕はその頃ジャズ系の名前をほとんど知らなかったので、当時はレコードだったか1枚くらい買ったのかな。
さて、なんでデューク・エリントンの「メランコリア」という曲か。実はノラ・ジョーンズの待望の第二弾アルバム『フィールズ・ライク・ホーム』が2月4日に発売されますが、その中に「ドント・ミス・ユー・アット・オール」という曲があります。ピアノ一本にノラが弾き語りを聴かせるしっとりとした曲で、アルバムの中で一番気に入りました。「雪が降ってくるのが見える。でも、あなたのことを思い出したりなんかしないわ(I don’t miss you at all)。子供たちが遊び、笑うのが聴こえる。でもあなたの微笑みなんか思い出さない。あなたが戻ってこないのなら、あなたは私のはるかかなたの想い出に…。窓の外、光が暗くなっていく…」という、恋人が去っていってしまって寂しいが、あなたなんか思い出さないわよ、というちょっといじらしい歌です。いい曲なんですよ、これが。
で、この曲の元歌がなんと、デューク・エリントンの「メランコリア」なんです。「メランコリア」は僕は持っておらず、聴いたこともないんですが、どうやらインストゥルメンタルの曲らしいんですね。そして、その曲がとても気に入っていたノラは、「どうしてもこの曲を『歌いたい!』と思って」自分で勝手に詞をつけて4年ほど前から歌っていたのです。今回、エリントンの遺族に了解を得て、この歌詞でレコーディングしたというわけです。
さてさて、支払いをすませ、えらく重くなった袋を持ってエレヴェーターの方に向かうと、出口のところで、ピーピーとなるではないか。係りの人が「すいません、まだ充分に消せてないようで」と言って、また袋から全部取り出して、盗難防止用のデータを消す作業をし始めた。急いでいるときに限ってこれだ。(笑) もう一度袋につめてもらい、おそるおそるゲートを通ると今度は無事に静かに、何事もなく通ることができた。ふ〜っ。しかし、「メランコリア」一曲を探しに来たのに、なんでCD55枚も買って帰るんだ。ふ〜っagain。
どうしても、デューク・エリントンの「メランコリア」という曲の入ったCDが欲しかったので、渋谷のタワーに行った。次の予定との間に15分くらいしか時間がなかったがすぐに見つかるだろうと思っていた。ジャズ売り場は5階。「デューク・エリントンのCDはどこにありますか?」とお店の人に尋ねた。すると、こちらです、と案内された。うむ、楽に4-50枚は並んでいる。
片っ端から、曲目を見るがなかなか見つからない。そこで、途中で「デューク・エリントンの『メランコリア』という曲を探してるんですが、どこにありますか?」と別のお店の人に尋ねると、「あ、それはわかりませんねえ」とにべもない。「曲目を検索できる機械はありますが・・・」というので、そこを案内してもらい、デューク・エリントン、メランコリアと入力するが・・・。リアクションが遅くて、かったるい。1枚当該曲が入ったアルバムのタイトルがでてきて、プリントアウトしたが、もちろんそれは店頭在庫にはなかった。時間もなかったので、もうめんどうだから、棚のCDを全部見ることにした。
CDを抜いては裏ジャケットを見て、曲目をチェック。3段近くあったが、全部見た。だが、残念ながら目指す「メランコリア」はなかった。時間もなかったので、とりあえず、今日は帰ることにした。しかし、やはりこうなると、ネットで買うほうに走るよねえ。CDショップは、サーヴィスで稼ぐようにしないと。「メランコリア」を探してるんですけど、と言ったら、一緒に探すとかしないとね。デューク・エリントンのヴァージョンでなくても、あればとりあえず買うわけだし。その店に行くのは、その場でその日に欲しいからだからねえ。
さて出口に向かうと、ワゴンセールみたいのをやっていて、ちらっとみると、ジャズピアノのボックスセットがあった。でかくてすごいボックスセット。手にとってみると、オスカーピーターソンだ、アート・テイタムだ、アーマッド・ジャマルだ、とそこそこよさげ。しかも、40枚組。これはすごいわと思ったが、値段を見て、さらにびっくり。7090円なり!! 1枚200円以下じゃない! こりゃ買うしかないわ。さらに、サッチモ10枚組ボックスセット、2290円。わかりました。買います。新譜1枚と変わらぬ値段で10枚も。生CDじゃないんだからねえ。(笑) ビリー・ホリデイなどのディーヴァもの5枚組セット1390円! まじっすか。というわけで、トータル55枚お買い上げ。どうするんだ、ただでさえCD置き場ないのに…。
今、これを書きながら流れているのはアート・テイタム(1909〜1956)です。これもピアノの基本でしょうか。全然、このあたり詳しくないんですけど。(笑) ガーシュインの「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」が流れています。僕がアート・テイタムのことを知ったのは83年のこと。ニューヨークのカシーフが、教えてくれました。「どんなキーボード奏者が好きなのか」と聞いたら、まっさきにこのアート・テイタムの名前をあげました。僕はその頃ジャズ系の名前をほとんど知らなかったので、当時はレコードだったか1枚くらい買ったのかな。
さて、なんでデューク・エリントンの「メランコリア」という曲か。実はノラ・ジョーンズの待望の第二弾アルバム『フィールズ・ライク・ホーム』が2月4日に発売されますが、その中に「ドント・ミス・ユー・アット・オール」という曲があります。ピアノ一本にノラが弾き語りを聴かせるしっとりとした曲で、アルバムの中で一番気に入りました。「雪が降ってくるのが見える。でも、あなたのことを思い出したりなんかしないわ(I don’t miss you at all)。子供たちが遊び、笑うのが聴こえる。でもあなたの微笑みなんか思い出さない。あなたが戻ってこないのなら、あなたは私のはるかかなたの想い出に…。窓の外、光が暗くなっていく…」という、恋人が去っていってしまって寂しいが、あなたなんか思い出さないわよ、というちょっといじらしい歌です。いい曲なんですよ、これが。
で、この曲の元歌がなんと、デューク・エリントンの「メランコリア」なんです。「メランコリア」は僕は持っておらず、聴いたこともないんですが、どうやらインストゥルメンタルの曲らしいんですね。そして、その曲がとても気に入っていたノラは、「どうしてもこの曲を『歌いたい!』と思って」自分で勝手に詞をつけて4年ほど前から歌っていたのです。今回、エリントンの遺族に了解を得て、この歌詞でレコーディングしたというわけです。
さてさて、支払いをすませ、えらく重くなった袋を持ってエレヴェーターの方に向かうと、出口のところで、ピーピーとなるではないか。係りの人が「すいません、まだ充分に消せてないようで」と言って、また袋から全部取り出して、盗難防止用のデータを消す作業をし始めた。急いでいるときに限ってこれだ。(笑) もう一度袋につめてもらい、おそるおそるゲートを通ると今度は無事に静かに、何事もなく通ることができた。ふ〜っ。しかし、「メランコリア」一曲を探しに来たのに、なんでCD55枚も買って帰るんだ。ふ〜っagain。
(映画『ミスティック・リバー』の感想文です。ネタバレは最小限ですが、ごらんになっていない方は、ご注意ください)
タッチ。
グランドピアノに向かって二人の男が座って話をしている。一人は白人の男。嬉しそうに隣の男に質問をなげかける。もう一人の男、サングラスをしたしわがれ声の黒人は体を揺らしながら答える。質問をする男は当代きってのフィルムメイカー、クリント・イーストウッド、答える男はソウル・ミュージックの生みの親レイ・チャールズ。くしくも、レイもクリントも1930年生まれの同じ年だ。イーストウッド自身が監督し、2003年9月PBS系列で放送されたドキュメンタリー映画『ピアノ・ブルーズ』(総監督マーチン・スコセシー。DVDでも発売中)の一シーンだ。イーストウッド自身、ピアノをたしなむ。彼は母親が自宅でかけていたファッツ・ウォーラー(1904〜1943=1920年代から40年代にかけて大活躍したジャズピアノの人気アーティスト)のレコードを聴いて以来の大のピアノ・ファンだ。
+++++
ワーナーブラザーズのロゴが消えるなりシンプルなピアノ演奏が始まった。この音だけでクリント・イーストウッドの世界が劇場の空間を埋め尽くす。『マジソン郡…』も『プレイ・ミスティー・フォー・ミー(恐怖のメロディ)』も、イーストウッドの映画はピアノが心地よく映像をサポートする。そして、今始まった『ミスティック・リバー』。
ボストンのちょっと荒れた地域に生まれ育った3人の少年たちが路上でホッケーを楽しんでいる。ホッケーのボールが下水道に落ちてしまった。手持ち無沙汰になった3人はまだ固まっていないコンクリートに自分たちの名前を彫り込んだ。そこに刑事然とした2人の大人が登場。彼らをたしなめ、3人のうち1人デイヴだけを連れ去る。残る2人、ジミーとショーンは車が走り去っていくところをなすすべもなくただ見守るしかなかった。森の奥深くに監禁されたデイヴは命からがら自力で脱出する。しかし、その4日間に彼に起こったことはデイヴの心の奥底に深く大きな傷となって沈殿していった。そのトラウマは、残った2人にも同じように暗い影をなげかけた。この日を境に、彼らは何かを失ったのだ。
それから25年の歳月が流れた。ジミー(ショーン・ペン)は前科のあるドラッグストアのオウナー、学生時代は野球がうまかったが現在は低所得労働者となったデイヴ(ティム・ロビンス)、そして、家庭状況がうまく行っていないショーン(ケヴィン・ベイコン)は刑事となり、3人はそれぞれの人生を静かにひっそりと生きていた。そんな中、ひとつの殺人事件が運命の糸がからむように、離れ離れになっていた3人を引き寄せる。ひとりは、殺人事件の被害者の父として、ひとりはその容疑者として、そして、もうひとりはそれを解決する刑事としてクロスロードで遭遇した。
ミステリー作家デニス・ルへインの原作『ミスティック・リバー』を、クリント・イーストウッドが非常にオーソドックスに監督。まずこのプロット、物語自体が圧倒的におもしろい。そして、主要登場人物3人さらに、その脇役たちの演技も見事というほかはない。演技と物語が完全に同化している。
時間の流れが多くあればあるほど、別の言葉で言えば、時間が凝縮されればされるほど、そして、不条理、矛盾、不正義がまかり通ることがあればあるほど、その物語は劇的におもしろくなる。時にそれは後味の悪さを残すこともあるが、黒白がつかず、どちらも正しい、あるいはどちらも正しくない、どうしようもないやるせない部分を描ききると、観客に考えさせる余白が生まれ、映画としての深みがでる。喪失感、トラウマから生まれる考えられない行動。そうしたことが起こるから、思いもつかぬ事件が現実に起こる。それもまた人生の真実なのだ。既存の正義の枠で片付けられない様々な矛盾。そこにストーリーが浮かび上がり、ドラマが生まれる。その中で、ある者はなんらかのソウル・サーチンを試みる。イーストウッドは常にその影に光を当てる。
この『ミスティック・リバー』は、時間の凝縮と人生の不条理というその両者が完璧に揃う。もちろん、本作は殺人事件が起こったことによって、犯人探しの側面もあるが、それ以上に、3人と2人の妻、それぞれの人生がしっかり描かれているところがすばらしい。世の中には理屈で説明できないことが多い。納得がいかないことも多々ある。そこを掘り起して淡々と描くところが、このイーストウッドという監督、「職人フィルムメイカー」の底知れぬ力だ。ある意味で非常に冷静にジャーナリスティックに物語を見つめ、そして、それを丁寧に描写する。しかも超一流の俳優陣の演技によって。俳優に委ね、演技に任せ、ハンドルの「遊び」を作る。その遊びは見るものに「考える」余白を与える。
満点に近いこの映画を見て唯一こうしたらいいのではないかと思ったところ。それは、前半導入部と、後半一気に物語が解決に向かうところは、実にテンポよく進むのだが、中盤なぜか冗長になる点だ。あの中盤部分をもう少し削いで、テンポアップし、あと20分短縮できれば完璧になるような感じがした。ひょっとすると、イーストウッド監督が、3人のあまりの演技のすばらしさに目がくらみ、どうしてもエディットできなくなったのではないだろうか。それはそれで痛いほどわかるのだが…。それでも、そこを泣く泣くエディットするのが監督の仕事だ。あそこで中だるみを感じさせては、元も子もない。
もう一点、日本の映画会社の「もうひとつの『スタンド・バイ・ミー』」というキャッチフレーズ。これはない。そういうキャッチをつけたくなる気持ちもわからなくはないが、もっともっと頭を絞って絞って考えだしてほしい。
デイヴ(ティム・ロビンス)の行方がわからなくなった時、刑事ショーン(ケヴィン・ベーコン)が、ジミー(ショーン・ペン)に「最後にデイヴを見たのはいつか」と尋ねる。ジミーは宙を見て、「11歳の時、車に連れ去れた時だ…」とぽつりとつぶやく。その一言にショーンは返す言葉がない。2人は25年前、車が走り去った方をぼんやりと眺める。3人の重い、しかし決して忘れることができない25年間。時間が凝縮され、誰もが正解を知ることができないゆえの苦悩と沈黙が多くを物語る絶妙のシーンだ。
ラストの部分、ボストンで行われるパレードのシーン。刑事ショーンは、遠くにいるジミーを見つけ、右手で拳銃の形を作り、撃つ真似をする。これも様々に受け取れるシーンだ。
イーストウッドは、基本的に映画とはこういうものだ、という自分のパターンをしっかりと持っている。僕はその基本的な考え方に強く同意できるので、彼の作品が大好きだ。彼が作る、クラス(品格)があり、痒いところに手が届くような「映画らしい映画」が楽しめる。それはそのエンディングが仮にいかに不条理であろうと、映画作品として楽しめるのだ。
映画のエンディングで、大きなミスティック・リバーが映し出される。そこにかぶさる後テーマは再びシンプルなピアノのメロディーだった。それはイーストウッドのトレードマーク。そのゆったりとしたピアノの旋律は、まるで彼が「この物語についてじっくりお考えください」と観客に問いかけているかのようだ。クレジットロールがゆっくり回りだして驚いた。このテーマ曲自体をクリント・イーストウッド自身が書いていたのだ。
『ミスティック・リバー』でイーストウッドはスクリーンには一切出てこない。だが、この作品のあらゆるところにイーストウッドの香りがたちこめる。彼はカメラの裏側にしっかり立ち、編集作業をするスタジオや、音楽の録音スタジオにいて彼の魂をこのフィルムにこめているのだ。『ミスティック・リバー』、それは「完璧なイーストウッド・タッチ」。
…
タッチ。
グランドピアノに向かって二人の男が座って話をしている。一人は白人の男。嬉しそうに隣の男に質問をなげかける。もう一人の男、サングラスをしたしわがれ声の黒人は体を揺らしながら答える。質問をする男は当代きってのフィルムメイカー、クリント・イーストウッド、答える男はソウル・ミュージックの生みの親レイ・チャールズ。くしくも、レイもクリントも1930年生まれの同じ年だ。イーストウッド自身が監督し、2003年9月PBS系列で放送されたドキュメンタリー映画『ピアノ・ブルーズ』(総監督マーチン・スコセシー。DVDでも発売中)の一シーンだ。イーストウッド自身、ピアノをたしなむ。彼は母親が自宅でかけていたファッツ・ウォーラー(1904〜1943=1920年代から40年代にかけて大活躍したジャズピアノの人気アーティスト)のレコードを聴いて以来の大のピアノ・ファンだ。
+++++
ワーナーブラザーズのロゴが消えるなりシンプルなピアノ演奏が始まった。この音だけでクリント・イーストウッドの世界が劇場の空間を埋め尽くす。『マジソン郡…』も『プレイ・ミスティー・フォー・ミー(恐怖のメロディ)』も、イーストウッドの映画はピアノが心地よく映像をサポートする。そして、今始まった『ミスティック・リバー』。
ボストンのちょっと荒れた地域に生まれ育った3人の少年たちが路上でホッケーを楽しんでいる。ホッケーのボールが下水道に落ちてしまった。手持ち無沙汰になった3人はまだ固まっていないコンクリートに自分たちの名前を彫り込んだ。そこに刑事然とした2人の大人が登場。彼らをたしなめ、3人のうち1人デイヴだけを連れ去る。残る2人、ジミーとショーンは車が走り去っていくところをなすすべもなくただ見守るしかなかった。森の奥深くに監禁されたデイヴは命からがら自力で脱出する。しかし、その4日間に彼に起こったことはデイヴの心の奥底に深く大きな傷となって沈殿していった。そのトラウマは、残った2人にも同じように暗い影をなげかけた。この日を境に、彼らは何かを失ったのだ。
それから25年の歳月が流れた。ジミー(ショーン・ペン)は前科のあるドラッグストアのオウナー、学生時代は野球がうまかったが現在は低所得労働者となったデイヴ(ティム・ロビンス)、そして、家庭状況がうまく行っていないショーン(ケヴィン・ベイコン)は刑事となり、3人はそれぞれの人生を静かにひっそりと生きていた。そんな中、ひとつの殺人事件が運命の糸がからむように、離れ離れになっていた3人を引き寄せる。ひとりは、殺人事件の被害者の父として、ひとりはその容疑者として、そして、もうひとりはそれを解決する刑事としてクロスロードで遭遇した。
ミステリー作家デニス・ルへインの原作『ミスティック・リバー』を、クリント・イーストウッドが非常にオーソドックスに監督。まずこのプロット、物語自体が圧倒的におもしろい。そして、主要登場人物3人さらに、その脇役たちの演技も見事というほかはない。演技と物語が完全に同化している。
時間の流れが多くあればあるほど、別の言葉で言えば、時間が凝縮されればされるほど、そして、不条理、矛盾、不正義がまかり通ることがあればあるほど、その物語は劇的におもしろくなる。時にそれは後味の悪さを残すこともあるが、黒白がつかず、どちらも正しい、あるいはどちらも正しくない、どうしようもないやるせない部分を描ききると、観客に考えさせる余白が生まれ、映画としての深みがでる。喪失感、トラウマから生まれる考えられない行動。そうしたことが起こるから、思いもつかぬ事件が現実に起こる。それもまた人生の真実なのだ。既存の正義の枠で片付けられない様々な矛盾。そこにストーリーが浮かび上がり、ドラマが生まれる。その中で、ある者はなんらかのソウル・サーチンを試みる。イーストウッドは常にその影に光を当てる。
この『ミスティック・リバー』は、時間の凝縮と人生の不条理というその両者が完璧に揃う。もちろん、本作は殺人事件が起こったことによって、犯人探しの側面もあるが、それ以上に、3人と2人の妻、それぞれの人生がしっかり描かれているところがすばらしい。世の中には理屈で説明できないことが多い。納得がいかないことも多々ある。そこを掘り起して淡々と描くところが、このイーストウッドという監督、「職人フィルムメイカー」の底知れぬ力だ。ある意味で非常に冷静にジャーナリスティックに物語を見つめ、そして、それを丁寧に描写する。しかも超一流の俳優陣の演技によって。俳優に委ね、演技に任せ、ハンドルの「遊び」を作る。その遊びは見るものに「考える」余白を与える。
満点に近いこの映画を見て唯一こうしたらいいのではないかと思ったところ。それは、前半導入部と、後半一気に物語が解決に向かうところは、実にテンポよく進むのだが、中盤なぜか冗長になる点だ。あの中盤部分をもう少し削いで、テンポアップし、あと20分短縮できれば完璧になるような感じがした。ひょっとすると、イーストウッド監督が、3人のあまりの演技のすばらしさに目がくらみ、どうしてもエディットできなくなったのではないだろうか。それはそれで痛いほどわかるのだが…。それでも、そこを泣く泣くエディットするのが監督の仕事だ。あそこで中だるみを感じさせては、元も子もない。
もう一点、日本の映画会社の「もうひとつの『スタンド・バイ・ミー』」というキャッチフレーズ。これはない。そういうキャッチをつけたくなる気持ちもわからなくはないが、もっともっと頭を絞って絞って考えだしてほしい。
デイヴ(ティム・ロビンス)の行方がわからなくなった時、刑事ショーン(ケヴィン・ベーコン)が、ジミー(ショーン・ペン)に「最後にデイヴを見たのはいつか」と尋ねる。ジミーは宙を見て、「11歳の時、車に連れ去れた時だ…」とぽつりとつぶやく。その一言にショーンは返す言葉がない。2人は25年前、車が走り去った方をぼんやりと眺める。3人の重い、しかし決して忘れることができない25年間。時間が凝縮され、誰もが正解を知ることができないゆえの苦悩と沈黙が多くを物語る絶妙のシーンだ。
ラストの部分、ボストンで行われるパレードのシーン。刑事ショーンは、遠くにいるジミーを見つけ、右手で拳銃の形を作り、撃つ真似をする。これも様々に受け取れるシーンだ。
イーストウッドは、基本的に映画とはこういうものだ、という自分のパターンをしっかりと持っている。僕はその基本的な考え方に強く同意できるので、彼の作品が大好きだ。彼が作る、クラス(品格)があり、痒いところに手が届くような「映画らしい映画」が楽しめる。それはそのエンディングが仮にいかに不条理であろうと、映画作品として楽しめるのだ。
映画のエンディングで、大きなミスティック・リバーが映し出される。そこにかぶさる後テーマは再びシンプルなピアノのメロディーだった。それはイーストウッドのトレードマーク。そのゆったりとしたピアノの旋律は、まるで彼が「この物語についてじっくりお考えください」と観客に問いかけているかのようだ。クレジットロールがゆっくり回りだして驚いた。このテーマ曲自体をクリント・イーストウッド自身が書いていたのだ。
『ミスティック・リバー』でイーストウッドはスクリーンには一切出てこない。だが、この作品のあらゆるところにイーストウッドの香りがたちこめる。彼はカメラの裏側にしっかり立ち、編集作業をするスタジオや、音楽の録音スタジオにいて彼の魂をこのフィルムにこめているのだ。『ミスティック・リバー』、それは「完璧なイーストウッド・タッチ」。
…
緊張感。
実はライヴに行く前は、白人の軟弱クロスオーヴァーだったら、何も書かないでおこう、と思っていた。ところが、どっこい、えらい奴らだった。このホワイト・キャッツたちは、心底ソウルを知っていた。
まあ、冷静に考えてみれば、このメンツだったら、間違いないわけだ。認識甘かったです。すいません。(って、誰に謝ってるんだか) ギターのジョン・トロペイ(繊細かつ大胆)を中心に、ルー・マリーニ(サックス=ブルース・ブラザース・バンドにいた人だ!)、クリス・パルメーロ(キーボード=先週のタワーに引き続き、ハモンドB−3の渋い音がBNに響き渡る)、アンソニー・ジャクソン(ベース=ファンクの大黒柱。機械のような完璧さ)、スティーブ・ガッド(ドラムス=もう一人のミスター・パーフェクト。ファンクの屋台骨)らの5人編成。
全員が職人、匠。それも超一流の。何も決して新しいことはないが、きっちりと、基本で当たり前のことをやり遂げる連中だ。一々、かっこよく決めるところを決める連中でもある。ミュージシャンとしてのレヴェルが非常に上のクラスの連中同士だけでやっていると、のりとか、その瞬間の空気とか、それが秒単位で上向いてくるのがわかる。曲の始まりより、中盤、さらに、後半とどんどんとテンションが高くなっていく。「オレがこういういいプレイをしたから」「あいつがこんな風にいいプレイで返してきた」「だったら、オレもこんなことをやってやろう」みたいな、会話が成り立つ。
圧巻だったのは、アンコール前のセット最後の曲「(テイク・ミー・バック・トゥ・)ジ・オールド・スクール」。各人のソロが披露され、最後にスティーヴとアンソニーのインタープレイが繰り広げられた。ギターのように弾くベース。チョッパーなどやらずとも、充分にその存在感を見せるアンソニー・ジャクソン。いやあ、誰をサポートしてもかっこいい。前回は上原ひろみだった。出すぎず、しかし、しっかり「オレはここにいるよ」とベースが語りかけてくる。そして、あの独特のスティーヴ節との掛け合い。ある程度の年季が行った者同士だけができる火花の散らしあいだ。
5人の間に張り詰める緊張感が心地よく観客席に伝わる。それぞれが自分のポジションでベストの仕事を淡々とこなす。各自独立しつつ、しかし、ユニットとしての統一感もある。ふとスティーヴ・ガッドに目をやれば、そこだけに白い光があたり、彼のプレイが浮かび上がり、ふとアンソニーに目をやれば、そこに白い光があたり、ベースの音が体に伝わってくる。ジョン・トロペイに着目すれば、しっかりした繊細かつ大胆なギターの音色が耳から直接脳に入り込んでくる。舞台左クリスのハモンドオルガンを見つめれば、オルガンのグルーヴが飛び込んでくる。そして、ルーに目をやればやはりそこに白いスポットライトがあたり、サックスが炸裂してくる。それぞれ目線を変えた瞬間、そのミュージシャンの音がくっきりと輪郭を持って浮かび上がる。
やはり、アンソニーのベースとスティーヴのドラムスが大黒柱となって支える家はファンクな家として聳(そび)え立つ。今日の一言はこれで決まりだ。「あなたたち、ソウルがありますね(I know you got soul)、わかってるよ」。
(2004年1月26日月曜=ブルーノート東京セカンド=ジョン・トロペイ・バンド・ライヴ)
>あ〜やんさん
Woman To Woman、ビンゴです。
実はライヴに行く前は、白人の軟弱クロスオーヴァーだったら、何も書かないでおこう、と思っていた。ところが、どっこい、えらい奴らだった。このホワイト・キャッツたちは、心底ソウルを知っていた。
まあ、冷静に考えてみれば、このメンツだったら、間違いないわけだ。認識甘かったです。すいません。(って、誰に謝ってるんだか) ギターのジョン・トロペイ(繊細かつ大胆)を中心に、ルー・マリーニ(サックス=ブルース・ブラザース・バンドにいた人だ!)、クリス・パルメーロ(キーボード=先週のタワーに引き続き、ハモンドB−3の渋い音がBNに響き渡る)、アンソニー・ジャクソン(ベース=ファンクの大黒柱。機械のような完璧さ)、スティーブ・ガッド(ドラムス=もう一人のミスター・パーフェクト。ファンクの屋台骨)らの5人編成。
全員が職人、匠。それも超一流の。何も決して新しいことはないが、きっちりと、基本で当たり前のことをやり遂げる連中だ。一々、かっこよく決めるところを決める連中でもある。ミュージシャンとしてのレヴェルが非常に上のクラスの連中同士だけでやっていると、のりとか、その瞬間の空気とか、それが秒単位で上向いてくるのがわかる。曲の始まりより、中盤、さらに、後半とどんどんとテンションが高くなっていく。「オレがこういういいプレイをしたから」「あいつがこんな風にいいプレイで返してきた」「だったら、オレもこんなことをやってやろう」みたいな、会話が成り立つ。
圧巻だったのは、アンコール前のセット最後の曲「(テイク・ミー・バック・トゥ・)ジ・オールド・スクール」。各人のソロが披露され、最後にスティーヴとアンソニーのインタープレイが繰り広げられた。ギターのように弾くベース。チョッパーなどやらずとも、充分にその存在感を見せるアンソニー・ジャクソン。いやあ、誰をサポートしてもかっこいい。前回は上原ひろみだった。出すぎず、しかし、しっかり「オレはここにいるよ」とベースが語りかけてくる。そして、あの独特のスティーヴ節との掛け合い。ある程度の年季が行った者同士だけができる火花の散らしあいだ。
5人の間に張り詰める緊張感が心地よく観客席に伝わる。それぞれが自分のポジションでベストの仕事を淡々とこなす。各自独立しつつ、しかし、ユニットとしての統一感もある。ふとスティーヴ・ガッドに目をやれば、そこだけに白い光があたり、彼のプレイが浮かび上がり、ふとアンソニーに目をやれば、そこに白い光があたり、ベースの音が体に伝わってくる。ジョン・トロペイに着目すれば、しっかりした繊細かつ大胆なギターの音色が耳から直接脳に入り込んでくる。舞台左クリスのハモンドオルガンを見つめれば、オルガンのグルーヴが飛び込んでくる。そして、ルーに目をやればやはりそこに白いスポットライトがあたり、サックスが炸裂してくる。それぞれ目線を変えた瞬間、そのミュージシャンの音がくっきりと輪郭を持って浮かび上がる。
やはり、アンソニーのベースとスティーヴのドラムスが大黒柱となって支える家はファンクな家として聳(そび)え立つ。今日の一言はこれで決まりだ。「あなたたち、ソウルがありますね(I know you got soul)、わかってるよ」。
(2004年1月26日月曜=ブルーノート東京セカンド=ジョン・トロペイ・バンド・ライヴ)
>あ〜やんさん
Woman To Woman、ビンゴです。
冗長。
土曜日昼下がり。築地。「ほお、ここがほんの1週間ほど前に、芥川賞、直木賞を決めたところなのかあ…」 築地の有名料亭「新喜楽」。一見さんははいれないという、非常に敷居の高いところ。毎年、芥川賞、直木賞の選考委員会が開かれるところ。新大橋通り沿い、築地の市場の前にある古めかしい和風の建物だ。
ソウルメイトMのお三味線の発表会がここであり、この日は「普通の人」(笑)も入れるというので、築地の未開ゾーンを探索することができた。
入口を入っていくと、番頭さんが靴を預かってくれた。会場は二階なので、階段を上がっていく。どうもあちこちに部屋があるようだ。歌の発表会があるところは、5-60畳はあるような大広間。天井が高い。部屋の前方のほうがステージ然と仕切られ、幕が人の手によって開け閉めされる。とはいうものの、ステージは高くなってはいない。客席側と同じレヴェルだ。ステージから見て、縦に2列テーブルが並べられ、その両側にすでに人がいっぱい座っていた。
お三味線を弾く人と、歌を歌う人がペアで登場する。歌われる演目と歌う人などの式次第があるので、それを見ていくと、今なんという曲が歌われているかがわかる。さらに、各曲の歌詞だけが印刷された小冊子があり、演目を歌詞カードを見ながら聴くこともできる。この歌詞カード集が、便利。何を歌っているか、聴いていても皆目わからないが、これを見るととりあえず、何を歌っているかわかる。もっともその意味がわかるかどうかは次のレヴェルの問題。雰囲気がわかる歌もあれば、言葉の意味がわからないものも多数ある。そのあたりをイマジネーションを最大限使いながら聴いていると、けっこうおもしろい。
三味線の歌は、色もの、恋話(こいばな)が多い。そして、状況を描く表現に、侘び寂び(わびさび)がにじみでてて、なかなかに味わい深い。ちょっと女々しい歌詞(歌詞とは、三味線の世界では言わないらしいが、ここではまあ、わかりやすく・・・)なんかがあると、ソウルの世界では、一体誰に近いだろう、などと考えて聴いてしまう。
例えば、「玉川」という作品はこんな歌詞。
「玉川の水にさらせし雪の肌、つもる口舌そのうちに、とけし島田のもつれ髪、思い出さずに忘れずに、また来る春とまつぞへ」
口舌(くぜつ)=いい争い。特に、恋のうらみ言や痴話(ちわ)げんか。
島田=島田髷(まげ)。芸者が結う髷の一種。
「玉川の水にさらされた雪のように白い肌。二人は、いろいろなことで言い争いもするけれど、お前の髪の毛がほどけるように、言い争いも解けていく。それを思い出さずに、でも、忘れるということもなく春がやってくるのを待っている…」といった状況描写。(解釈はあまり自信ありません。間違いがありましたら、お知らせください。あるいはもっと深い解釈があるのかも) つもる口舌と積もっている雪。髪がほどけるのと雪が解けるがかかっている。ルーサーあたりか、ブライアン・マクナイトあたりか。さっと読めば20秒程度のものを3-4分かけて歌う。情緒あります。そして、見事なまでに冗長の美学。
一番最後のパートは、師匠の歌と演奏。さらに、芸者さんがその歌にあわせて舞を踊る。優雅でゆったりとした時間が流れる。昔の人は、食事をしながら、こいうエンタテインメントを楽しんでいたんですね。ま、今もか。太古の時代からこのリズムだと、リズム感はアフリカン・アメリカンにはかなわない、などとも思ったりするわけだが…。(笑) しかし、これは日本の文化だ。
外に出ると、もうすっかり暗くなっていた。あちこちの寿司屋のネオンが我々を呼んでいた。
(2004年1月24日・土曜日・哥沢新年会・築地新喜楽)
土曜日昼下がり。築地。「ほお、ここがほんの1週間ほど前に、芥川賞、直木賞を決めたところなのかあ…」 築地の有名料亭「新喜楽」。一見さんははいれないという、非常に敷居の高いところ。毎年、芥川賞、直木賞の選考委員会が開かれるところ。新大橋通り沿い、築地の市場の前にある古めかしい和風の建物だ。
ソウルメイトMのお三味線の発表会がここであり、この日は「普通の人」(笑)も入れるというので、築地の未開ゾーンを探索することができた。
入口を入っていくと、番頭さんが靴を預かってくれた。会場は二階なので、階段を上がっていく。どうもあちこちに部屋があるようだ。歌の発表会があるところは、5-60畳はあるような大広間。天井が高い。部屋の前方のほうがステージ然と仕切られ、幕が人の手によって開け閉めされる。とはいうものの、ステージは高くなってはいない。客席側と同じレヴェルだ。ステージから見て、縦に2列テーブルが並べられ、その両側にすでに人がいっぱい座っていた。
お三味線を弾く人と、歌を歌う人がペアで登場する。歌われる演目と歌う人などの式次第があるので、それを見ていくと、今なんという曲が歌われているかがわかる。さらに、各曲の歌詞だけが印刷された小冊子があり、演目を歌詞カードを見ながら聴くこともできる。この歌詞カード集が、便利。何を歌っているか、聴いていても皆目わからないが、これを見るととりあえず、何を歌っているかわかる。もっともその意味がわかるかどうかは次のレヴェルの問題。雰囲気がわかる歌もあれば、言葉の意味がわからないものも多数ある。そのあたりをイマジネーションを最大限使いながら聴いていると、けっこうおもしろい。
三味線の歌は、色もの、恋話(こいばな)が多い。そして、状況を描く表現に、侘び寂び(わびさび)がにじみでてて、なかなかに味わい深い。ちょっと女々しい歌詞(歌詞とは、三味線の世界では言わないらしいが、ここではまあ、わかりやすく・・・)なんかがあると、ソウルの世界では、一体誰に近いだろう、などと考えて聴いてしまう。
例えば、「玉川」という作品はこんな歌詞。
「玉川の水にさらせし雪の肌、つもる口舌そのうちに、とけし島田のもつれ髪、思い出さずに忘れずに、また来る春とまつぞへ」
口舌(くぜつ)=いい争い。特に、恋のうらみ言や痴話(ちわ)げんか。
島田=島田髷(まげ)。芸者が結う髷の一種。
「玉川の水にさらされた雪のように白い肌。二人は、いろいろなことで言い争いもするけれど、お前の髪の毛がほどけるように、言い争いも解けていく。それを思い出さずに、でも、忘れるということもなく春がやってくるのを待っている…」といった状況描写。(解釈はあまり自信ありません。間違いがありましたら、お知らせください。あるいはもっと深い解釈があるのかも) つもる口舌と積もっている雪。髪がほどけるのと雪が解けるがかかっている。ルーサーあたりか、ブライアン・マクナイトあたりか。さっと読めば20秒程度のものを3-4分かけて歌う。情緒あります。そして、見事なまでに冗長の美学。
一番最後のパートは、師匠の歌と演奏。さらに、芸者さんがその歌にあわせて舞を踊る。優雅でゆったりとした時間が流れる。昔の人は、食事をしながら、こいうエンタテインメントを楽しんでいたんですね。ま、今もか。太古の時代からこのリズムだと、リズム感はアフリカン・アメリカンにはかなわない、などとも思ったりするわけだが…。(笑) しかし、これは日本の文化だ。
外に出ると、もうすっかり暗くなっていた。あちこちの寿司屋のネオンが我々を呼んでいた。
(2004年1月24日・土曜日・哥沢新年会・築地新喜楽)
"Motown 45" Will Be Held In April
2004年1月25日モータウン45。
1983年に行われた歴史的イヴェント『モータウン25』から21年、2004年に『モータウン45』が行われることになった。来る2004年4月4日、ロスアンジェルスのシュライン・オーディトリウムでライオネル・リッチー、ジャスティン・ティンバーレークの司会で収録され、5月にABCテレビ系列で放送される予定。詳細な出場アーティストはまだ発表されていないが、新旧多数のモータウン関連アーティストが出場するものと見られる。
モータウン・レコードは、デトロイト生まれのベリー・ゴーディーが1959年1月に家族から800ドルの資金を借りて始めたインディペンデントのレコード会社。60年にミラクルズの「ウェイ・オーヴァー・ゼア」が初ヒットを記録し、以後徐々にヒットがでるようになり、60年代にはスティーヴィー・ワンダー、シュプリームス、テンプテーションズなどを世界的なスターに育て上げた。
1983年3月にロスアンジェルス郊外シヴィック・オーディトリウムで行われた『モータウン25』では、ジャクソンズ、マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、テンプテーションズ、フォー・トップスなど錚々たるメンバーがライヴを見せ大きな話題となった。特にジャクソン5とジャーメイン・ジャクソンの再会、さらに、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」におけるムーンウォークを初めて見せたパフォーマンスは、すでに爆発的に売れていた『スリラー』のアルバムセールスをさらに加速した。同年5月に全米ネットワークで2時間に編集され放送された『モータウン25』は30%以上の視聴率を獲得し、翌年テレビ業界のエミー賞・最優秀ヴァラエティー・プログラム部門を受賞した。
なお、なぜ25周年が83年で45周年が2004年かという点だが、基本的にはモータウンのスタートをどこにするかで変わってくる、ということだ。次のように解釈できる。彼は1957年頃からソングライターとして、曲を書き始めた。しかし、まもなくソングライターでは収入があまりに少ないことに気が付き、いわゆる原盤制作(レコードのマスターテープを作って、それを自身もしくは他のメジャーの販売網で発売すること)に乗り出す。ベリーが原盤制作をしたミラクルズの「ウェイ・オーヴァー・ゼア」は58年2月、チェス・レコードから発売された。そして、59年1月、マーヴ・ジョンソンの「カム・トゥ・ミー」がタムラ・レーベル(ベリー・ゴーディーが最初に作ったレーべル。後のモータウンとともに、タムラ/モータウンとして主要レーベルとなる)から発売された。これが正真正銘のモータウン第一号のレコードとなる。ミラクルズから数えれば83年が25周年。マーヴ・ジョンソンから数えれば04年は45周年ということになる。アメリカは意外とこのあたりは、ルーズである。
1983年に行われた歴史的イヴェント『モータウン25』から21年、2004年に『モータウン45』が行われることになった。来る2004年4月4日、ロスアンジェルスのシュライン・オーディトリウムでライオネル・リッチー、ジャスティン・ティンバーレークの司会で収録され、5月にABCテレビ系列で放送される予定。詳細な出場アーティストはまだ発表されていないが、新旧多数のモータウン関連アーティストが出場するものと見られる。
モータウン・レコードは、デトロイト生まれのベリー・ゴーディーが1959年1月に家族から800ドルの資金を借りて始めたインディペンデントのレコード会社。60年にミラクルズの「ウェイ・オーヴァー・ゼア」が初ヒットを記録し、以後徐々にヒットがでるようになり、60年代にはスティーヴィー・ワンダー、シュプリームス、テンプテーションズなどを世界的なスターに育て上げた。
1983年3月にロスアンジェルス郊外シヴィック・オーディトリウムで行われた『モータウン25』では、ジャクソンズ、マイケル・ジャクソン、スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、テンプテーションズ、フォー・トップスなど錚々たるメンバーがライヴを見せ大きな話題となった。特にジャクソン5とジャーメイン・ジャクソンの再会、さらに、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」におけるムーンウォークを初めて見せたパフォーマンスは、すでに爆発的に売れていた『スリラー』のアルバムセールスをさらに加速した。同年5月に全米ネットワークで2時間に編集され放送された『モータウン25』は30%以上の視聴率を獲得し、翌年テレビ業界のエミー賞・最優秀ヴァラエティー・プログラム部門を受賞した。
なお、なぜ25周年が83年で45周年が2004年かという点だが、基本的にはモータウンのスタートをどこにするかで変わってくる、ということだ。次のように解釈できる。彼は1957年頃からソングライターとして、曲を書き始めた。しかし、まもなくソングライターでは収入があまりに少ないことに気が付き、いわゆる原盤制作(レコードのマスターテープを作って、それを自身もしくは他のメジャーの販売網で発売すること)に乗り出す。ベリーが原盤制作をしたミラクルズの「ウェイ・オーヴァー・ゼア」は58年2月、チェス・レコードから発売された。そして、59年1月、マーヴ・ジョンソンの「カム・トゥ・ミー」がタムラ・レーベル(ベリー・ゴーディーが最初に作ったレーべル。後のモータウンとともに、タムラ/モータウンとして主要レーベルとなる)から発売された。これが正真正銘のモータウン第一号のレコードとなる。ミラクルズから数えれば83年が25周年。マーヴ・ジョンソンから数えれば04年は45周年ということになる。アメリカは意外とこのあたりは、ルーズである。
ヴァリュー。
「住めば必ず人気役者になれる伝説の館」があるという。かつてそこのアパートに住んでいた人の中から多くのスターが育っていった。今、そこに住む6人の若者たち。オーディションも受けなくなり、日々惰性で生きている彼らが求めているものは何か。そして、彼らがその中から気が付くものは…。放送作家としてこのところすっかり超売れっ子となっているカニリカ氏原作のコメディーの舞台最新作。補助席まででて330席x5回プラス追加公演、計6回が売り切れ御礼というからすごい。
これは、カニ先生にはいろいろお世話になっているファミリーとしては見に行かないわけにはいかない。カニ氏の舞台作は初めて見た。なるほど。いや、いいねえ、舞台ね。舞台終了後に、出口近辺にでてきたカニ氏に一言。「おもしろいじゃない!」 けっこう笑った。
アパートのリヴィングルームのみで、物語が繰り広げられる。舞台展開なしで、演出の展開だけでこれだけもたせるのだから、たいしたものだ。登場人物は7人。アパートの管理人(山川恵理佳)、イケメンのお笑い芸人(涼平)、アクション俳優(イジリー岡田)、ゲイっぽいミュージカル俳優(小浦一優)、歌舞伎役者(ヒロシ)、役者志望の若者(小田マナブ)、アングラ劇団員(剣持直明)。それぞれの個性が、そこそこでていて、キャラクター作りもおもしろい。
途中全員でやるミニコントのところが、毎回アドリブだそうだが、受けないコントをやってすべるところで、受けをとるという手法は、やられた、という感じ。(笑) つまらなければ、つまらないほど面白い、っていうシーン。それぞれの出演者の肉体的個性を自然に使っているところもうまい。背の高いイケメンお笑い芸人と歌舞伎役者の背丈の違いをネタにしたところなど、単純に笑える。全体的に、細かいところ、ちょっとした隙に、なにかしらネタをいれてくるのでその辺でコンスタントに笑いがもれる。普段から隙あらばギャグをかましてくるカニ氏ならではの面目躍如だ。きっと頭の中は1日24時間週7日ギャグのこと、受けることしか考えていないのであろう。(笑) 演出が個性ある役者のキャラを持ち上げ、ギャグに息吹を与える感じだ。きっと、リハーサルも楽しいんだろうな、と思った。また歌舞伎ネタをいれるところなど、歌舞伎フリークのカニ氏ならではのところだろうか。
いくつか細かい点で気付いたこと。些細のことだが、基本的にはよかったんだが、音楽、効果音の音量と役者の声のバランスがちょっと微妙なところがあった。アンプを通した音はどうしても大きくなるから、肉声とのバランスをうまくとらないと。もうひとつ、いわゆる硬軟のうちのしんみりシーンがどうしてもテンポ感がなくなってしまう。もう少し減らすか、いっそのこと、このあたりばっさりカットして、2時間笑わせ倒したら、どうなんだろう。とはいうものの、そのしんみりシーンからエンディングへつながるので、このエンディングだとどうしても、こういうところが必要になるのだが。そして、やはり最後のオチがなあ、僕はもっと大きいどかーんとくるものを期待しちゃったなあ。オチにもうひとひねり、キャッチーなものというか、ガツンとくるものが欲しい。終ったときに、「え、これで終るのかよ」と思ってしまった。
あの最後のフリートークは、「告知」までいれて、超テレビ的。さすが、テレビの人。おもしろいと思った。そのうち舞台と観客の間の「コール&レスポンス」なんかが入るようになるのだろうか。まあ、やってるのも既にあるかもしれないが。(笑) 総評を一言でいうなら、3800円のヴァリューは充分あった。楽しめた。1万円はちょっと厳しいが。(笑) 再演もいいだろうし、次回作も必ず行きます。
(2004年1月23日=新宿シアターサンモール=『どれミゼラブル』公演)
「住めば必ず人気役者になれる伝説の館」があるという。かつてそこのアパートに住んでいた人の中から多くのスターが育っていった。今、そこに住む6人の若者たち。オーディションも受けなくなり、日々惰性で生きている彼らが求めているものは何か。そして、彼らがその中から気が付くものは…。放送作家としてこのところすっかり超売れっ子となっているカニリカ氏原作のコメディーの舞台最新作。補助席まででて330席x5回プラス追加公演、計6回が売り切れ御礼というからすごい。
これは、カニ先生にはいろいろお世話になっているファミリーとしては見に行かないわけにはいかない。カニ氏の舞台作は初めて見た。なるほど。いや、いいねえ、舞台ね。舞台終了後に、出口近辺にでてきたカニ氏に一言。「おもしろいじゃない!」 けっこう笑った。
アパートのリヴィングルームのみで、物語が繰り広げられる。舞台展開なしで、演出の展開だけでこれだけもたせるのだから、たいしたものだ。登場人物は7人。アパートの管理人(山川恵理佳)、イケメンのお笑い芸人(涼平)、アクション俳優(イジリー岡田)、ゲイっぽいミュージカル俳優(小浦一優)、歌舞伎役者(ヒロシ)、役者志望の若者(小田マナブ)、アングラ劇団員(剣持直明)。それぞれの個性が、そこそこでていて、キャラクター作りもおもしろい。
途中全員でやるミニコントのところが、毎回アドリブだそうだが、受けないコントをやってすべるところで、受けをとるという手法は、やられた、という感じ。(笑) つまらなければ、つまらないほど面白い、っていうシーン。それぞれの出演者の肉体的個性を自然に使っているところもうまい。背の高いイケメンお笑い芸人と歌舞伎役者の背丈の違いをネタにしたところなど、単純に笑える。全体的に、細かいところ、ちょっとした隙に、なにかしらネタをいれてくるのでその辺でコンスタントに笑いがもれる。普段から隙あらばギャグをかましてくるカニ氏ならではの面目躍如だ。きっと頭の中は1日24時間週7日ギャグのこと、受けることしか考えていないのであろう。(笑) 演出が個性ある役者のキャラを持ち上げ、ギャグに息吹を与える感じだ。きっと、リハーサルも楽しいんだろうな、と思った。また歌舞伎ネタをいれるところなど、歌舞伎フリークのカニ氏ならではのところだろうか。
いくつか細かい点で気付いたこと。些細のことだが、基本的にはよかったんだが、音楽、効果音の音量と役者の声のバランスがちょっと微妙なところがあった。アンプを通した音はどうしても大きくなるから、肉声とのバランスをうまくとらないと。もうひとつ、いわゆる硬軟のうちのしんみりシーンがどうしてもテンポ感がなくなってしまう。もう少し減らすか、いっそのこと、このあたりばっさりカットして、2時間笑わせ倒したら、どうなんだろう。とはいうものの、そのしんみりシーンからエンディングへつながるので、このエンディングだとどうしても、こういうところが必要になるのだが。そして、やはり最後のオチがなあ、僕はもっと大きいどかーんとくるものを期待しちゃったなあ。オチにもうひとひねり、キャッチーなものというか、ガツンとくるものが欲しい。終ったときに、「え、これで終るのかよ」と思ってしまった。
あの最後のフリートークは、「告知」までいれて、超テレビ的。さすが、テレビの人。おもしろいと思った。そのうち舞台と観客の間の「コール&レスポンス」なんかが入るようになるのだろうか。まあ、やってるのも既にあるかもしれないが。(笑) 総評を一言でいうなら、3800円のヴァリューは充分あった。楽しめた。1万円はちょっと厳しいが。(笑) 再演もいいだろうし、次回作も必ず行きます。
(2004年1月23日=新宿シアターサンモール=『どれミゼラブル』公演)
心臓発作。
1月13日はダニー・ハザウェイの命日ですが、1月21日はもう一人のR&Bグレイト、ジャッキー・ウィルソンの命日です。ジャッキー・ウィルソンは、1934年6月9日デトロイト生まれ。58年にベリー・ゴーディーが書いた「トゥ・ビー・ラヴド」の初ヒット以来、次々と大ヒットを放ち、50年代後期から60年代に爆発的な人気を得たR&Bシンガーです。かなり迫力ある歌唱を聞かせるシンガーで、踊りも抜群にうまかったようです。ステージのかっこよさで人気になったごく初期のシンガーです。彼のハイテナーの声は、非常に特徴的で、彼の人気の大きな要因でした。僕も彼が動く姿は昔のテレビの映像でほんの少ししか知りませんが、CDは比較的入手しやすいです。
最近『ニューヨーク・ハーレム・ゴスペル』というミュージカルの中でも、ウィルソンのヒット曲のひとつ「 ア・ウーマン・ア・ラヴァー・ア・フレンド」がテレンス・アーチーというシンガーによってカヴァーされていました。このミュージカルは、ニューヨークで大ヒットした『ママ・アイ・ウォント・トゥ・シング』をてがけたヴァイ・ヒギンセンがプロデュースしたミュージカルで、ハーレムが全盛期を迎えていた1940年代以降を舞台にした様々なブラック・ミュージックを見せるもの。
ジャッキー・ウィルソンのヒットで有名なものは、「ロンリー・ティアドロップス」、「ドッギン・アラウンド」、先の「 ア・ウーマン・ア・ラヴァー・ア・フレンド」などですが、そのウィルソンは1975年9月25日、41歳の時にニュージャージー州ラテンカシノでライヴ中に心臓発作で倒れ、以来復活することなく、84年1月21日に49歳で亡くなります。約9年弱、彼はベッドでの生活を強いられました。
この年のグラミー賞は、マイケル・ジャクソンが『スリラー』で賞を総なめしますが、この時マイケルはジャッキー・ウィルソンへの追悼の意を表していました。
ウィルソンの初ヒット「トゥ・ビー・ラヴド」(1958年)は、後にモータウンを作るベリー・ゴーディーの作品です。きしくも、ベリー・ゴーディーも、ジャッキー・ウィルソンも一時期ボクサーとして活躍していたことがありました。そのあたりでも、二人は意気投合したのでしょう。しかし、ベリー・ゴーディーの自伝『モータウン、わが愛と夢』(東京FM出版)によれば、ウィルソンはヒット曲がでるようになって、かなり大物ぶるようになり、一ソングライターであるベリーにむずかしい条件をつけるようになった、とのことです。
ベリー・ゴーディーのその自伝の原題は「トゥ・ビー・ラヴド」です。それは、「人に愛されるということがいかに、重要か」ということをゴーディーが知って、つけたものです。
1月13日はダニー・ハザウェイの命日ですが、1月21日はもう一人のR&Bグレイト、ジャッキー・ウィルソンの命日です。ジャッキー・ウィルソンは、1934年6月9日デトロイト生まれ。58年にベリー・ゴーディーが書いた「トゥ・ビー・ラヴド」の初ヒット以来、次々と大ヒットを放ち、50年代後期から60年代に爆発的な人気を得たR&Bシンガーです。かなり迫力ある歌唱を聞かせるシンガーで、踊りも抜群にうまかったようです。ステージのかっこよさで人気になったごく初期のシンガーです。彼のハイテナーの声は、非常に特徴的で、彼の人気の大きな要因でした。僕も彼が動く姿は昔のテレビの映像でほんの少ししか知りませんが、CDは比較的入手しやすいです。
最近『ニューヨーク・ハーレム・ゴスペル』というミュージカルの中でも、ウィルソンのヒット曲のひとつ「 ア・ウーマン・ア・ラヴァー・ア・フレンド」がテレンス・アーチーというシンガーによってカヴァーされていました。このミュージカルは、ニューヨークで大ヒットした『ママ・アイ・ウォント・トゥ・シング』をてがけたヴァイ・ヒギンセンがプロデュースしたミュージカルで、ハーレムが全盛期を迎えていた1940年代以降を舞台にした様々なブラック・ミュージックを見せるもの。
ジャッキー・ウィルソンのヒットで有名なものは、「ロンリー・ティアドロップス」、「ドッギン・アラウンド」、先の「 ア・ウーマン・ア・ラヴァー・ア・フレンド」などですが、そのウィルソンは1975年9月25日、41歳の時にニュージャージー州ラテンカシノでライヴ中に心臓発作で倒れ、以来復活することなく、84年1月21日に49歳で亡くなります。約9年弱、彼はベッドでの生活を強いられました。
この年のグラミー賞は、マイケル・ジャクソンが『スリラー』で賞を総なめしますが、この時マイケルはジャッキー・ウィルソンへの追悼の意を表していました。
ウィルソンの初ヒット「トゥ・ビー・ラヴド」(1958年)は、後にモータウンを作るベリー・ゴーディーの作品です。きしくも、ベリー・ゴーディーも、ジャッキー・ウィルソンも一時期ボクサーとして活躍していたことがありました。そのあたりでも、二人は意気投合したのでしょう。しかし、ベリー・ゴーディーの自伝『モータウン、わが愛と夢』(東京FM出版)によれば、ウィルソンはヒット曲がでるようになって、かなり大物ぶるようになり、一ソングライターであるベリーにむずかしい条件をつけるようになった、とのことです。
ベリー・ゴーディーのその自伝の原題は「トゥ・ビー・ラヴド」です。それは、「人に愛されるということがいかに、重要か」ということをゴーディーが知って、つけたものです。
シャンパーン。
ラリーの歌声がひときわ響く。CDよりさらにテンポを落して歌う。「計画や期待どおりに物事が進むなんてことはめったにないこと。人生なんてそんなものさ。時が経てばわかる。そうすれば僕たちのことをお互いよくわかりあえるはずだ。時がすべてを教えてくれる(time will tell)」 タワー・オブ・パワーのセカンドのセットリスト中、唯一のスローバラード「タイム・ウィル・テル」が沸点に達してる会場の熱を少しだけさまそうとしていた。
ライヴは連日満員なので、結局、僕は入口近くの立ち見席になった。そこで、立っているような、座っているような形で彼らの演奏を見ていると、カウンターにひじをついて、シャンパーンをボトルでとって飲んでいるひとりの紳士がいた。高級なスーツに身を包んだ一見エグゼクティヴ風だが、えらくのりがいい。その彼が、一緒に行っていたソウルメイトNに「あまちゃってるからさ、飲まない?」とシャンパーンをくれたのだ。Nは微笑みながら、シャパーングラスを受け取った。
「一緒に来た子がさ、よっぱらっちゃって、トイレで寝てるらしいんだよ。ここ来る前、シャンパーン2本くらい飲んじゃって。飲んで大騒ぎするの大好きだから」と彼は言った。そして、僕にもシャンパーン・グラスを手渡してくれた。その細身のグラスを右手であげて彼のグラスにぶつけた。ファンキーな曲が終るたびに、「イエ〜〜」と絶妙のタイミングで掛け声をいれる。「オレ、昔オークランドに2年くらい、住んでてさ。向こうでももちろん(彼らを)見たよ。(音楽は)黒人ばっかり聞いてたんだよ」 そりゃ、のりがいいわけだ。「オークランドだったら黒人ばっかりでしょ」 「そうなんだよ、やばいよ。(笑) でも彼ら白人のファンク(タワーのこと)も、こう、ちょっと軽くていいよね」 20年以上前、彼はオークランドで初めてブラック系のクラブに行った時、香水と体臭の匂いで気絶しそうになったことを鮮明に覚えているという。
「ガール、僕たちきっとうまく行くと思う。浮き沈みもあるだろう。すべてがパラダイスというわけじゃない。でも、一緒にいればきっと素敵だよ。Baby, I need you, I want you」 「タイム・ウィル・テル」の主人公は、そのガールと一緒になれるのだろうか。せつなさがじわりと胸に響く。
ちょうど、僕の後ろで女性がひとり、黙々と踊っていた。完璧に自分ひとりの世界に入り込んでいた。彼がその彼女にもシャンパーンを手渡した。この一帯が、なんとなくファミリーっぽくなっていた。彼女はミュージシャンの彼氏と一緒に来たのだが、席がわからなくなってしまって、ここで踊ってるという。ブルーノートは初めて、タワーのライヴも初めてだが、「最高! わたし、なんたって、I love music だから!」と言って踊りつづけていた。 その彼女の「I love musicだから」という言葉にちょっと「おおおっ」となった。いいねえ。シンプルにアイ・ラヴ・ミュージックだからって言うのが。
ちょうど一緒に来て席が離れてしまった別のソウルメイトNが通りがかった。「いやあ、もう生バンド、サイコーっすね」 アメリカあたりでライヴを見ると、そこにいる観客全員が「I love music」なんだなあ、ということを痛切に感じる。最近は日本でもそういうシーンを見ることが多くなったが、このタワーのライヴなんかも、かなりそんな感じの観客が多かったように思う。
ライヴ・アーティストは観客が育てる。そして、アーティストも観客を育てる。その双方向のやりとりがあって、観客もライヴアーティストも成長していく。タワー・オブ・パワーとその観客は、互いにリスペクトしあいながら、非常にいい関係を持っているように思えた。こういう観客の前で演奏ができるアーティストも幸せだろうな。そして、こういうバンドをあれほど小さな会場で見られる観客も幸せだ。タワー・オブ・パワーのライヴには、幸せのオーラが漂っている。彼らの音楽とそのグルーヴは、知らぬ者同士も、お互い引き寄せてしまうマジックを持っているかのようだ。シャンパーンとタワー・オブ・パワーの力で二人の見知らぬ者が接点を持った。シャンパーンをくれた彼と僕は名刺を交換して言った。「今度はアイズレーだね」 「まちがいない!」
アンコール曲「ホワット・イズ・ヒップ」が終る頃には、再び会場の温度は沸点をはるかに超えていた。
(2004年1月19日月曜・ブルーノート東京=タワー・オブ・パワー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Tower Of Power
>Kさんへ
昨日は残念でしたね。見事に真横ですれちがったんですね。Kちゃん、眼鏡かコンタクトしてくれ。(笑) 近いうちに…。
ラリーの歌声がひときわ響く。CDよりさらにテンポを落して歌う。「計画や期待どおりに物事が進むなんてことはめったにないこと。人生なんてそんなものさ。時が経てばわかる。そうすれば僕たちのことをお互いよくわかりあえるはずだ。時がすべてを教えてくれる(time will tell)」 タワー・オブ・パワーのセカンドのセットリスト中、唯一のスローバラード「タイム・ウィル・テル」が沸点に達してる会場の熱を少しだけさまそうとしていた。
ライヴは連日満員なので、結局、僕は入口近くの立ち見席になった。そこで、立っているような、座っているような形で彼らの演奏を見ていると、カウンターにひじをついて、シャンパーンをボトルでとって飲んでいるひとりの紳士がいた。高級なスーツに身を包んだ一見エグゼクティヴ風だが、えらくのりがいい。その彼が、一緒に行っていたソウルメイトNに「あまちゃってるからさ、飲まない?」とシャンパーンをくれたのだ。Nは微笑みながら、シャパーングラスを受け取った。
「一緒に来た子がさ、よっぱらっちゃって、トイレで寝てるらしいんだよ。ここ来る前、シャンパーン2本くらい飲んじゃって。飲んで大騒ぎするの大好きだから」と彼は言った。そして、僕にもシャンパーン・グラスを手渡してくれた。その細身のグラスを右手であげて彼のグラスにぶつけた。ファンキーな曲が終るたびに、「イエ〜〜」と絶妙のタイミングで掛け声をいれる。「オレ、昔オークランドに2年くらい、住んでてさ。向こうでももちろん(彼らを)見たよ。(音楽は)黒人ばっかり聞いてたんだよ」 そりゃ、のりがいいわけだ。「オークランドだったら黒人ばっかりでしょ」 「そうなんだよ、やばいよ。(笑) でも彼ら白人のファンク(タワーのこと)も、こう、ちょっと軽くていいよね」 20年以上前、彼はオークランドで初めてブラック系のクラブに行った時、香水と体臭の匂いで気絶しそうになったことを鮮明に覚えているという。
「ガール、僕たちきっとうまく行くと思う。浮き沈みもあるだろう。すべてがパラダイスというわけじゃない。でも、一緒にいればきっと素敵だよ。Baby, I need you, I want you」 「タイム・ウィル・テル」の主人公は、そのガールと一緒になれるのだろうか。せつなさがじわりと胸に響く。
ちょうど、僕の後ろで女性がひとり、黙々と踊っていた。完璧に自分ひとりの世界に入り込んでいた。彼がその彼女にもシャンパーンを手渡した。この一帯が、なんとなくファミリーっぽくなっていた。彼女はミュージシャンの彼氏と一緒に来たのだが、席がわからなくなってしまって、ここで踊ってるという。ブルーノートは初めて、タワーのライヴも初めてだが、「最高! わたし、なんたって、I love music だから!」と言って踊りつづけていた。 その彼女の「I love musicだから」という言葉にちょっと「おおおっ」となった。いいねえ。シンプルにアイ・ラヴ・ミュージックだからって言うのが。
ちょうど一緒に来て席が離れてしまった別のソウルメイトNが通りがかった。「いやあ、もう生バンド、サイコーっすね」 アメリカあたりでライヴを見ると、そこにいる観客全員が「I love music」なんだなあ、ということを痛切に感じる。最近は日本でもそういうシーンを見ることが多くなったが、このタワーのライヴなんかも、かなりそんな感じの観客が多かったように思う。
ライヴ・アーティストは観客が育てる。そして、アーティストも観客を育てる。その双方向のやりとりがあって、観客もライヴアーティストも成長していく。タワー・オブ・パワーとその観客は、互いにリスペクトしあいながら、非常にいい関係を持っているように思えた。こういう観客の前で演奏ができるアーティストも幸せだろうな。そして、こういうバンドをあれほど小さな会場で見られる観客も幸せだ。タワー・オブ・パワーのライヴには、幸せのオーラが漂っている。彼らの音楽とそのグルーヴは、知らぬ者同士も、お互い引き寄せてしまうマジックを持っているかのようだ。シャンパーンとタワー・オブ・パワーの力で二人の見知らぬ者が接点を持った。シャンパーンをくれた彼と僕は名刺を交換して言った。「今度はアイズレーだね」 「まちがいない!」
アンコール曲「ホワット・イズ・ヒップ」が終る頃には、再び会場の温度は沸点をはるかに超えていた。
(2004年1月19日月曜・ブルーノート東京=タワー・オブ・パワー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Tower Of Power
>Kさんへ
昨日は残念でしたね。見事に真横ですれちがったんですね。Kちゃん、眼鏡かコンタクトしてくれ。(笑) 近いうちに…。
沸点。
「さあ、みんな、ソウルって言ってくれ(let me hear say "Soul")(もちろん大文字のS)」 既に総立ちの観客から「ソ〜〜〜ウル!」。 「さあ、みんな、タワーって言ってくれえ!(let me hear say "Tower")」 「タワ〜〜〜〜!」 観客と一体となったファンク・ショウ、ファンク・フェスティヴァル。熱もヴォルテージも最高潮。デイヴィッド・ガリバルディーのドラムが飛び、ロッコのベースが弾け、ハモンドB−3がうねり、5人のホーンセクションが炸裂、そして、サウンドが大爆発。それがリアル・ミュージシャン、タワー・オブ・パワーのリアル・ミュージックだ。会場外に雪が降ろうが、会場内は熱帯夜。
2002年8月に続く来日。しかも今回は病気療養中だった伝説のベーシスト、ロッコが復帰。5日間10回公演がなんと完売というものすごい人気ぶりを見せている。ラジオでかかるわけでもなく、近年大ヒットがあるわけでもない。(こういうバンドこそ、番組で紹介しなければね!) では、このタワーたちの根強い人気は何なのか。答えはひとつ。彼らがリアルなバンドだから。ファンキーで、最高にかっこいい。だからライヴを味わいたい。そこに尽きる。
どこがかっこいいって、リズム隊がしっかりしている。そして、この切れのいいホーンセクション。何度見ても、惚れ惚れする。2003年リリースの最新作『オークランド・ゾーン』からの4曲を含め、新旧とりまぜてのファンクン・ロールな74分。今時、こういう大型バンドがいないだけに、なおさら貴重だ。ワン・アンド・オンリーな存在。
1曲目から全開で飛ばし、名曲「タイム・ウィル・テル」でしばしスローダウンし、メンバー紹介になった。一人一人が紹介され、徐々に拍手が大きくなっていったが、ベースのロッコのところでその拍手は最高潮に達した。拍手と歓声がしばし鳴り止まない。もちろん、彼のベースがすばらしかったために得た拍手ということもあるだろうが、やはり、彼が肝臓移植という大手術を経て奇跡の復活を果たしたことを観客のほとんどが知っていて、そのカンバックへの大きな喝采だったように思えた。それは、「お帰りなさい、ロッコ」を意味する熱い拍手だった。7曲目の「ディギン・オン・ジェームス・ブラウン」で観客が一斉に立ち上がると、以後最後まで観客は座ることなく、アンコール曲「ホワット・イズ・ヒップ(新しくて最高なことって何?)」で会場の熱気は沸点まで達した。2004年、今ヒップなのは、タワー・オブ・パワーか。
前回来日時に日本初お目見えとなった新人リードシンガー、ラリー・ブラッグスの声質は、グループ初期のリード、レニー・ウィリアムス系のようだ。このタワーに非常にあっているような気がする。
ライヴが終った後、楽屋からでてきた彼とちょっと話した。彼は言う。「2000年の暮れにタワーに入ったんだ。僕が地元で別のバンドで歌っているのを、エミリオが聴いて、デモテープを送ってくれって言ってきた。で、テープを送ると、今度はオーディションをしたい、って。で、オーディションを受けたら、そのままメンバーになった。(笑) 最初は彼らの曲は3〜4曲くらいしか知らなかったんだよ。(笑) 『ダウン・トゥ・ザ・ナイト・クラブ』、『スティル・ア・ヤング・マン』あたりかな。でも、すぐに全部覚えたよ」
同じく楽屋からでてきたロッコの元にはファンが集まり始め、いつのまにかCDにサインをねだったり、写真を一緒に撮る者が列を作っていた。本当に元気になってよかった。まだまだ老け込むには若すぎる。なぜなら、You Are Still A Young Man!
+++++++++++++++++++++++
Complete Set List:
Tower Of Power
2004.1.19 (Monday) Second Show
At Blue Note Tokyo
Transcribed By The Soul Searcher
show started 21:43
01. Can’t You See (You Doin’ Me Wrong) -- "Back To Oakland" (1974)
02. Get Yo’ Feet Back On The Ground -- "Tower Of Power" (1973)
03. Credit -- "Power" (1987)
04. This Type Of Funk -- "Oakland Zone" (2003)
05. Give Me Your Love -- "Oakland Zone" (2003)
06. Time Will Tell -- "Back To Oakland" (1974)
-- Introducing members
07. Diggin’ On James Brown -- "Souled Out" (1995)
08. Oakland Zone -- "Oakland Zone" (2003)
09. Happy ’Bout That -- "Oakland Zone" (2003)
10. Only So Much Oil In The Ground -- "Urban Renewal" (1974)
Funk Medley: (11-14)
11. You Got To Funkifize -- "Bump City" (1972)
12. Down To The Night Club -- "Bump City" (1972)
13. This Time It’s Real -- "Tower Of Power" (1973)
14. Knock Yourself Out -- "Easy Bay Grease" (1970)
Encore
15. What Is Hip -- "Tower Of Power"(1973)
show ended 22:57
+++++++++++++++++++++++
ブルーノートのウェッブ。
http://www.bluenote.co.jp/art/20040119.html
日本のタワー・オブ・パワーの公式ファンクラブのウェッブ。音楽評論家でありタワー・オブ・パワーの日本一の研究家、櫻井隆章氏らが運営。
http://www.towerofpower.jp/
+++++++++++++++++++++++
(2004年1月19日月曜・ブルーノート東京=タワー・オブ・パワー・ライヴ)
「さあ、みんな、ソウルって言ってくれ(let me hear say "Soul")(もちろん大文字のS)」 既に総立ちの観客から「ソ〜〜〜ウル!」。 「さあ、みんな、タワーって言ってくれえ!(let me hear say "Tower")」 「タワ〜〜〜〜!」 観客と一体となったファンク・ショウ、ファンク・フェスティヴァル。熱もヴォルテージも最高潮。デイヴィッド・ガリバルディーのドラムが飛び、ロッコのベースが弾け、ハモンドB−3がうねり、5人のホーンセクションが炸裂、そして、サウンドが大爆発。それがリアル・ミュージシャン、タワー・オブ・パワーのリアル・ミュージックだ。会場外に雪が降ろうが、会場内は熱帯夜。
2002年8月に続く来日。しかも今回は病気療養中だった伝説のベーシスト、ロッコが復帰。5日間10回公演がなんと完売というものすごい人気ぶりを見せている。ラジオでかかるわけでもなく、近年大ヒットがあるわけでもない。(こういうバンドこそ、番組で紹介しなければね!) では、このタワーたちの根強い人気は何なのか。答えはひとつ。彼らがリアルなバンドだから。ファンキーで、最高にかっこいい。だからライヴを味わいたい。そこに尽きる。
どこがかっこいいって、リズム隊がしっかりしている。そして、この切れのいいホーンセクション。何度見ても、惚れ惚れする。2003年リリースの最新作『オークランド・ゾーン』からの4曲を含め、新旧とりまぜてのファンクン・ロールな74分。今時、こういう大型バンドがいないだけに、なおさら貴重だ。ワン・アンド・オンリーな存在。
1曲目から全開で飛ばし、名曲「タイム・ウィル・テル」でしばしスローダウンし、メンバー紹介になった。一人一人が紹介され、徐々に拍手が大きくなっていったが、ベースのロッコのところでその拍手は最高潮に達した。拍手と歓声がしばし鳴り止まない。もちろん、彼のベースがすばらしかったために得た拍手ということもあるだろうが、やはり、彼が肝臓移植という大手術を経て奇跡の復活を果たしたことを観客のほとんどが知っていて、そのカンバックへの大きな喝采だったように思えた。それは、「お帰りなさい、ロッコ」を意味する熱い拍手だった。7曲目の「ディギン・オン・ジェームス・ブラウン」で観客が一斉に立ち上がると、以後最後まで観客は座ることなく、アンコール曲「ホワット・イズ・ヒップ(新しくて最高なことって何?)」で会場の熱気は沸点まで達した。2004年、今ヒップなのは、タワー・オブ・パワーか。
前回来日時に日本初お目見えとなった新人リードシンガー、ラリー・ブラッグスの声質は、グループ初期のリード、レニー・ウィリアムス系のようだ。このタワーに非常にあっているような気がする。
ライヴが終った後、楽屋からでてきた彼とちょっと話した。彼は言う。「2000年の暮れにタワーに入ったんだ。僕が地元で別のバンドで歌っているのを、エミリオが聴いて、デモテープを送ってくれって言ってきた。で、テープを送ると、今度はオーディションをしたい、って。で、オーディションを受けたら、そのままメンバーになった。(笑) 最初は彼らの曲は3〜4曲くらいしか知らなかったんだよ。(笑) 『ダウン・トゥ・ザ・ナイト・クラブ』、『スティル・ア・ヤング・マン』あたりかな。でも、すぐに全部覚えたよ」
同じく楽屋からでてきたロッコの元にはファンが集まり始め、いつのまにかCDにサインをねだったり、写真を一緒に撮る者が列を作っていた。本当に元気になってよかった。まだまだ老け込むには若すぎる。なぜなら、You Are Still A Young Man!
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Complete Set List:
Tower Of Power
2004.1.19 (Monday) Second Show
At Blue Note Tokyo
Transcribed By The Soul Searcher
show started 21:43
01. Can’t You See (You Doin’ Me Wrong) -- "Back To Oakland" (1974)
02. Get Yo’ Feet Back On The Ground -- "Tower Of Power" (1973)
03. Credit -- "Power" (1987)
04. This Type Of Funk -- "Oakland Zone" (2003)
05. Give Me Your Love -- "Oakland Zone" (2003)
06. Time Will Tell -- "Back To Oakland" (1974)
-- Introducing members
07. Diggin’ On James Brown -- "Souled Out" (1995)
08. Oakland Zone -- "Oakland Zone" (2003)
09. Happy ’Bout That -- "Oakland Zone" (2003)
10. Only So Much Oil In The Ground -- "Urban Renewal" (1974)
Funk Medley: (11-14)
11. You Got To Funkifize -- "Bump City" (1972)
12. Down To The Night Club -- "Bump City" (1972)
13. This Time It’s Real -- "Tower Of Power" (1973)
14. Knock Yourself Out -- "Easy Bay Grease" (1970)
Encore
15. What Is Hip -- "Tower Of Power"(1973)
show ended 22:57
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ブルーノートのウェッブ。
http://www.bluenote.co.jp/art/20040119.html
日本のタワー・オブ・パワーの公式ファンクラブのウェッブ。音楽評論家でありタワー・オブ・パワーの日本一の研究家、櫻井隆章氏らが運営。
http://www.towerofpower.jp/
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(2004年1月19日月曜・ブルーノート東京=タワー・オブ・パワー・ライヴ)
不変普遍。
きっちり20席x9列。180席。当然満席。青山スパイラルホール。このほかに横の通路に立ち見の人々がステージを見つめています。小さな音量でずっと流れていたのは、アル・グリーンの最新作。定刻6時を15分ほど回った頃、ちょうど僕の大好きな「ミリオン・トゥ・ワン」が流れました。今日のステージの主人公とはまったく関係ありませんが・・・。ま、しいて言えば、レコード会社が東芝で同じということですが。さて、こんな前置きはおいといて・・・。
6時18分。司会者に導かれ今宵のスターが登場。バックバンドはコーラスを含め5人。今宵のスターとは、グラミー賞8部門に輝くノラ・ジョーンズ! ノラがプロモーションで来日し、この日ラジオのリスナーと媒体関係者を招いてショーケースを行ったのです。
アコースティックのピアノの前に座ったノラは、普通のジーンズに黒のブラウス。いたって素朴なそこらへんを歩いていそうな女の子という感じ。2月4日に発売されるニューアルバム『フィールズ・ライク・ホーム』から5曲、南部のカントリーロックシンガー、グラム・パースンズの作品「シー」の計6曲を歌いました。
この「シー」は、彼女たちが気に入って演奏したものですが、新作にははいっていません。このグラムは、元バーズのメンバーで、73年にドラッグの過剰摂取で26歳の若さで死去している人。そして、この曲自体は彼の72年のアルバム『G.P』に収録されています。
ギター、ギター、ドラム/パーカッション、ベース、コーラス、そしてピアノとヴォーカルにノラという編成。前回の来日が基本的にトリオだったのに比べると、少しバンドのスケールが大きくなっています。しかし、彼女の音楽自体は、まったく変わっていません。
アメリカの片田舎にありそうなピアノバー、カフェあたりで軽くやっているトリオかせいぜい5-6人のバンド、という感じ。その素朴な味わいはどこまで行っても、カントリーを彷彿とさせます。マンハッタンの摩天楼ではなく、テキサスの何も無いような暑い暑い砂漠にぽっかりと浮かぶカフェみたいなところでやっているような音楽。そんなイメージがします。砂漠のオアシスか。
それにしても、レス・イズ・モア。音数が少ないので、自然とノラの声に集中します。彼女の魅力は、この声です。この声が落ち着く。ジョス・ストーンももちろん、すごいですが、ノラの声はこう、肩の力が抜ける。BGMにも成りえるし、集中して聴くこともできる。このわかりやすさは、例えばカーペンターズを少しオーガニックにして、カントリー・フレイヴァーをまぶしたといったところではないでしょうか。だから日本でも80万枚ものセールスになるのでしょう。カレン・カーペンターのように、万人受けする声なのです。
「デューク・エリントンの作品に私が詞をつけてみました。あまりめったにやらないんだけど」と言って歌い始めたのが、「ドント・ミス・ユー・アット・オール」という作品。彼女ひとりがピアノの弾き語りで聴かせ、ぐいぐいとその声に引き込まれます。
彼女はグラミー賞をたくさん受賞し、おそらく、あちこちでもてはやされているにもかかわらず、前回来日した時と、ほとんど変わっていません。素朴で、純粋。ほんの少しの友人と、ほんの少しのいい音楽があれば、それで充分幸せだという感じです。彼女にとってぜいたくは必要ないのです。そういうところは、グラミー後の彼女がどうなるかという点で興味を持った者としては、ものすごく好感度アップです。
彼女は言いました。「今日(ステージで)履いてるブーツは4年前にペイレス(アメリカのどこにでもあるディスカウントショップ)で買ったもの。ジーンズも3年前のもの。日本にはペイレスは、あるの?」 グラミー前と後で唯一変わったのは、アパートだけだそうです。
いかにスーパースターになろうとも、ジーンズも変わらず、ブーツも変わらず、そして彼女の音楽のスピリットも変わらず。不変に普遍の魅力あり。拍手!
(2004年1月19日月曜・青山スパイラルホール=ノラ・ジョーンズ・ショウケース・ライヴ)
Setlist
show started 18.18
1. Sunrise
2. What Am I To You
3. Don’t Miss You At All
4. In The Morning
5. She (Gram Parsons)
6. Creepin’ In
show ended 18.45
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
P・S 大興奮大パワー炸裂タワー・オブ・パワーのレヴューは、明日ご紹介します。(笑)
きっちり20席x9列。180席。当然満席。青山スパイラルホール。このほかに横の通路に立ち見の人々がステージを見つめています。小さな音量でずっと流れていたのは、アル・グリーンの最新作。定刻6時を15分ほど回った頃、ちょうど僕の大好きな「ミリオン・トゥ・ワン」が流れました。今日のステージの主人公とはまったく関係ありませんが・・・。ま、しいて言えば、レコード会社が東芝で同じということですが。さて、こんな前置きはおいといて・・・。
6時18分。司会者に導かれ今宵のスターが登場。バックバンドはコーラスを含め5人。今宵のスターとは、グラミー賞8部門に輝くノラ・ジョーンズ! ノラがプロモーションで来日し、この日ラジオのリスナーと媒体関係者を招いてショーケースを行ったのです。
アコースティックのピアノの前に座ったノラは、普通のジーンズに黒のブラウス。いたって素朴なそこらへんを歩いていそうな女の子という感じ。2月4日に発売されるニューアルバム『フィールズ・ライク・ホーム』から5曲、南部のカントリーロックシンガー、グラム・パースンズの作品「シー」の計6曲を歌いました。
この「シー」は、彼女たちが気に入って演奏したものですが、新作にははいっていません。このグラムは、元バーズのメンバーで、73年にドラッグの過剰摂取で26歳の若さで死去している人。そして、この曲自体は彼の72年のアルバム『G.P』に収録されています。
ギター、ギター、ドラム/パーカッション、ベース、コーラス、そしてピアノとヴォーカルにノラという編成。前回の来日が基本的にトリオだったのに比べると、少しバンドのスケールが大きくなっています。しかし、彼女の音楽自体は、まったく変わっていません。
アメリカの片田舎にありそうなピアノバー、カフェあたりで軽くやっているトリオかせいぜい5-6人のバンド、という感じ。その素朴な味わいはどこまで行っても、カントリーを彷彿とさせます。マンハッタンの摩天楼ではなく、テキサスの何も無いような暑い暑い砂漠にぽっかりと浮かぶカフェみたいなところでやっているような音楽。そんなイメージがします。砂漠のオアシスか。
それにしても、レス・イズ・モア。音数が少ないので、自然とノラの声に集中します。彼女の魅力は、この声です。この声が落ち着く。ジョス・ストーンももちろん、すごいですが、ノラの声はこう、肩の力が抜ける。BGMにも成りえるし、集中して聴くこともできる。このわかりやすさは、例えばカーペンターズを少しオーガニックにして、カントリー・フレイヴァーをまぶしたといったところではないでしょうか。だから日本でも80万枚ものセールスになるのでしょう。カレン・カーペンターのように、万人受けする声なのです。
「デューク・エリントンの作品に私が詞をつけてみました。あまりめったにやらないんだけど」と言って歌い始めたのが、「ドント・ミス・ユー・アット・オール」という作品。彼女ひとりがピアノの弾き語りで聴かせ、ぐいぐいとその声に引き込まれます。
彼女はグラミー賞をたくさん受賞し、おそらく、あちこちでもてはやされているにもかかわらず、前回来日した時と、ほとんど変わっていません。素朴で、純粋。ほんの少しの友人と、ほんの少しのいい音楽があれば、それで充分幸せだという感じです。彼女にとってぜいたくは必要ないのです。そういうところは、グラミー後の彼女がどうなるかという点で興味を持った者としては、ものすごく好感度アップです。
彼女は言いました。「今日(ステージで)履いてるブーツは4年前にペイレス(アメリカのどこにでもあるディスカウントショップ)で買ったもの。ジーンズも3年前のもの。日本にはペイレスは、あるの?」 グラミー前と後で唯一変わったのは、アパートだけだそうです。
いかにスーパースターになろうとも、ジーンズも変わらず、ブーツも変わらず、そして彼女の音楽のスピリットも変わらず。不変に普遍の魅力あり。拍手!
(2004年1月19日月曜・青山スパイラルホール=ノラ・ジョーンズ・ショウケース・ライヴ)
Setlist
show started 18.18
1. Sunrise
2. What Am I To You
3. Don’t Miss You At All
4. In The Morning
5. She (Gram Parsons)
6. Creepin’ In
show ended 18.45
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
P・S 大興奮大パワー炸裂タワー・オブ・パワーのレヴューは、明日ご紹介します。(笑)
雪。
アメリカと日本の文化の違い。まあ、いろんなところにでますね。今日、「雪だるま」の話になりました。アメリカ人のマーヴィンは、日本の雪だるまが丸が二つなことに驚いた、と言います。アメリカでは必ず三つなんだそうです。まずここで「へええええ」。
なんと、アメリカの雪だるまには頭と体と、あと足がある、ということなんですね。ほ〜〜。「だから、初めて日本の雪だるま見た時、なんで二つしかないのか不思議に思った」そうです。そこで、僕が「だるまだから、足がないんだよ〜〜」ということになったのですが、アメリカでは雪だるまは雪だるまとは言わない。Snowmanというのですね。
雪だるまじゃなくて、雪男。だから足がある! な〜〜るほどね。いやあ、違いがあるんですね、こんなところに。
そして、もうひとつ雪の話題。ソロモン諸島出身の友人が日本にやってきて、グループで長野にスキーに行ったときのことです。そのグループはみなあたかも雪を見るのが初めてという具合に雪ではしゃいでいたそうですが、ひとりソロモン出身の彼だけ雪と遊んでいなかったのです。ソロモンも、赤道直下にあるから、雪を知らないのではないかと思い、なぜ雪で遊ばないのか尋ねた。が、実際はそうではなかった。
彼の国では、雪は「黒いもの」だというのです。つまり、泥だということなんですね。雪と雨が一緒になり、ほとんど泥状のものになる。だから、雪なんかでは遊ばない、というわけです。
確かに、僕らなども、雪は「白いもの」と思い込んでいます。何日も道端に積もった雪が泥だらけになって黒くなっていることもありますが、やはり、雪・イコール・白、という概念があります。それがねえ、所変われば、雪・イコール・黒と思っているところもあるんですね。
足がある雪だるま、いや、スノーマン。黒い雪・・・。雪ひとつでも、世界ではいろいろ違うんですねえ。今日は20へええくらい行きましたよ。
アメリカと日本の文化の違い。まあ、いろんなところにでますね。今日、「雪だるま」の話になりました。アメリカ人のマーヴィンは、日本の雪だるまが丸が二つなことに驚いた、と言います。アメリカでは必ず三つなんだそうです。まずここで「へええええ」。
なんと、アメリカの雪だるまには頭と体と、あと足がある、ということなんですね。ほ〜〜。「だから、初めて日本の雪だるま見た時、なんで二つしかないのか不思議に思った」そうです。そこで、僕が「だるまだから、足がないんだよ〜〜」ということになったのですが、アメリカでは雪だるまは雪だるまとは言わない。Snowmanというのですね。
雪だるまじゃなくて、雪男。だから足がある! な〜〜るほどね。いやあ、違いがあるんですね、こんなところに。
そして、もうひとつ雪の話題。ソロモン諸島出身の友人が日本にやってきて、グループで長野にスキーに行ったときのことです。そのグループはみなあたかも雪を見るのが初めてという具合に雪ではしゃいでいたそうですが、ひとりソロモン出身の彼だけ雪と遊んでいなかったのです。ソロモンも、赤道直下にあるから、雪を知らないのではないかと思い、なぜ雪で遊ばないのか尋ねた。が、実際はそうではなかった。
彼の国では、雪は「黒いもの」だというのです。つまり、泥だということなんですね。雪と雨が一緒になり、ほとんど泥状のものになる。だから、雪なんかでは遊ばない、というわけです。
確かに、僕らなども、雪は「白いもの」と思い込んでいます。何日も道端に積もった雪が泥だらけになって黒くなっていることもありますが、やはり、雪・イコール・白、という概念があります。それがねえ、所変われば、雪・イコール・黒と思っているところもあるんですね。
足がある雪だるま、いや、スノーマン。黒い雪・・・。雪ひとつでも、世界ではいろいろ違うんですねえ。今日は20へええくらい行きましたよ。
命日。
ちょっとタイミングを逸して申し訳ないのですが、去る1月13日は、かのダニー・ハザウエイの命日でした。79年1月13日からちょうど今年は25周年になります。正直、どうもオーティス、サムクックの命日は、近いせいかよく覚えていて、何日か前からカウントダウン状態にはなるのですが、ダニーの命日はそらで覚えていても、当日忘れてました。すいません。ごめんなさい、です。
以前書きましたが、ずっとペンディングになっているダニー・ハザウエイ・アンソロジー。今年こそは発売されて欲しいですね。ここには、ダニーの未発表曲なども収録されるのですが、その中でももっとも注目されるのは、ダニーのライヴ・ヴァージョンによるスティーヴィー・ワンダーの「スーパーウーマン」でしょう。一体、いつどこで録音されたものか詳細はまだわからないのですが、70年代初期から中期にかけてのものだと思われます。
また、この2枚組CDには、「リトル・ゲットー・ボーイ」のオリジナル・ヴァージョンが収録されるということです。同曲は、彼の『ライヴ・アルバム』で歌われる曲ですが、スタジオ・ヴァージョンはないんですね。もともとこのアルバムは2002年10月頃にいちどリリースされる予定だったんですけどね。諸事情で発売が遅れています。
ダニーは、最後のアルバムでスティーヴィーの「ユー・アー・マイ・ヘヴン」を歌っていますよね。スティーヴィーとダニーという観点からみても興味深い。さらに、彼の未発表曲というだけでも、おもしろい。はやいところ、リリースにこぎつけて欲しいですね。25周年ですし。
娘のレイラが自らのウェブで1月14日に、今年の誓いとともに、25周年の命日についてこんなことを少し書いています。
http://www.lalahhathaway.com/cgi-bin/viewmessage.cgi?r=15647&l=level2
(以下は一部抜粋です。全文は上記ウエブをごらんください)
「I guess I am a little melancholy today. January 13 marks the 25th anniversary of my fathers untimely death. Amazing how time flies. As a child I wondered if I would remember every year, on the day. I think I probably will. It is etched into my memory. I can only speak for myself, but I want to thank you for your love and support. I think Daddy would be tickled pink to know that people all over the world remember him so lovingly. That I hear his name, or his music almost everyday. That he will never be out of our hearts, minds, and consciousness.
This record........will be the death of me. It’s comin’ along.....it’s on it’s way.......trust me.
I love you guys.
be inspired, and encouraged
lalah 」
ちなみに、ここに書かれている「ディス・レコード」とは、ダニー・ハザウエイのレコードです。アンソロジーを指すものと思われます。つまり「このレコードは私が死んだ時の(葬式でかける)レコードになるでしょう。発売されます。もうでます。信じて。みんな、愛してます。インスパイアーされて、そして、勇気づけられてください」ということです。
軽く訳しておきましょうか。「今日はちょっとメランコリーな感じみたい。1月13日は、父の予期せぬ死からちょうど25周年になります。時が流れるのはなんと早いことでしょう。子供の頃、私は命日を毎年覚えていられるか自信がありませんでした。でも、今はずっと忘れずにいられると思います。父は私の思い出の中に少しずつ刻み込まれているのです。自分のことしかいえませんが、みなさんの愛とサポートに心から感謝を。父は世界中の人が父のことを愛を持って覚えていてくれて、ものすごく喜んでいると思います。彼の名前や音楽は毎日聴かれ、そして父は私たちの心や気持ちや意識の中から決していなくなったりしないわけですから。このレコードは私が死んだ時の(葬式でかける)レコードになるでしょう。発売されます。もうでます。信じて。みんな、愛してます。インスパイアーされて、そして、勇気づけられてください --レイラ」
早いところ、聴きたいアルバムの1枚に間違いありません。
ちょっとタイミングを逸して申し訳ないのですが、去る1月13日は、かのダニー・ハザウエイの命日でした。79年1月13日からちょうど今年は25周年になります。正直、どうもオーティス、サムクックの命日は、近いせいかよく覚えていて、何日か前からカウントダウン状態にはなるのですが、ダニーの命日はそらで覚えていても、当日忘れてました。すいません。ごめんなさい、です。
以前書きましたが、ずっとペンディングになっているダニー・ハザウエイ・アンソロジー。今年こそは発売されて欲しいですね。ここには、ダニーの未発表曲なども収録されるのですが、その中でももっとも注目されるのは、ダニーのライヴ・ヴァージョンによるスティーヴィー・ワンダーの「スーパーウーマン」でしょう。一体、いつどこで録音されたものか詳細はまだわからないのですが、70年代初期から中期にかけてのものだと思われます。
また、この2枚組CDには、「リトル・ゲットー・ボーイ」のオリジナル・ヴァージョンが収録されるということです。同曲は、彼の『ライヴ・アルバム』で歌われる曲ですが、スタジオ・ヴァージョンはないんですね。もともとこのアルバムは2002年10月頃にいちどリリースされる予定だったんですけどね。諸事情で発売が遅れています。
ダニーは、最後のアルバムでスティーヴィーの「ユー・アー・マイ・ヘヴン」を歌っていますよね。スティーヴィーとダニーという観点からみても興味深い。さらに、彼の未発表曲というだけでも、おもしろい。はやいところ、リリースにこぎつけて欲しいですね。25周年ですし。
娘のレイラが自らのウェブで1月14日に、今年の誓いとともに、25周年の命日についてこんなことを少し書いています。
http://www.lalahhathaway.com/cgi-bin/viewmessage.cgi?r=15647&l=level2
(以下は一部抜粋です。全文は上記ウエブをごらんください)
「I guess I am a little melancholy today. January 13 marks the 25th anniversary of my fathers untimely death. Amazing how time flies. As a child I wondered if I would remember every year, on the day. I think I probably will. It is etched into my memory. I can only speak for myself, but I want to thank you for your love and support. I think Daddy would be tickled pink to know that people all over the world remember him so lovingly. That I hear his name, or his music almost everyday. That he will never be out of our hearts, minds, and consciousness.
This record........will be the death of me. It’s comin’ along.....it’s on it’s way.......trust me.
I love you guys.
be inspired, and encouraged
lalah 」
ちなみに、ここに書かれている「ディス・レコード」とは、ダニー・ハザウエイのレコードです。アンソロジーを指すものと思われます。つまり「このレコードは私が死んだ時の(葬式でかける)レコードになるでしょう。発売されます。もうでます。信じて。みんな、愛してます。インスパイアーされて、そして、勇気づけられてください」ということです。
軽く訳しておきましょうか。「今日はちょっとメランコリーな感じみたい。1月13日は、父の予期せぬ死からちょうど25周年になります。時が流れるのはなんと早いことでしょう。子供の頃、私は命日を毎年覚えていられるか自信がありませんでした。でも、今はずっと忘れずにいられると思います。父は私の思い出の中に少しずつ刻み込まれているのです。自分のことしかいえませんが、みなさんの愛とサポートに心から感謝を。父は世界中の人が父のことを愛を持って覚えていてくれて、ものすごく喜んでいると思います。彼の名前や音楽は毎日聴かれ、そして父は私たちの心や気持ちや意識の中から決していなくなったりしないわけですから。このレコードは私が死んだ時の(葬式でかける)レコードになるでしょう。発売されます。もうでます。信じて。みんな、愛してます。インスパイアーされて、そして、勇気づけられてください --レイラ」
早いところ、聴きたいアルバムの1枚に間違いありません。
猛獣使い。
実はエスカレーターズ時代のCDもこっそり持ってたりするんです。それから、Zooco(ズーコ)のソロアルバムなんかもCD棚にはいってるんですね。なにしろ、彼女の声がねえ、いいんですよね。その頃は本人と接点を持つなんて夢にも思わなかったですからね。そんな彼女と最近はお話することもできるわけですが、Zooco率いるソイソウルのライヴを見ました。彼女のライヴを見るのは初めて。
ソイソウルのCDは、一足先に昨年でていて、いかにも昔風のR&Bバンドという感じで好感度を持って聴いていたわけですが、なにしろ11人編成の大所帯。こわもての男子10人(男子十人楽坊)プラスZoocoですからねえ。なんたって迫力あります。こういうバンドは、維持が大変ですが、絶対続けてね。
それにしても、いいバンドです。きっちりしたドラム、ベース、ギター、キーボード。しっかりしてます。ファンク、ロック、ソウル、いい音してる。クアトロって改装して、音響よくなったんですかねえ。バンドがいいのか。(笑)
僕が彼らにもったイメージは、70年代初期のルーファス・フィーチャリング・チャカ・カーンです。まだ、ただ単にルーファスだったころ。75年くらいまでのルーファス。基本はファンク、ソウルなんですが、そこに当時としては斬新なロックの要素もあったという感じ。リヴィング・カラーほどロックに行ってないちょうどいいバランスのところです。ルーファスの例えば「テル・ミー・サムシング・グッド」とか「メイビー・ユア・ベイビー」とか、カヴァーでやってみたらどうでしょう。重いファンクで、そして、ちょっとだけロックの要素もあって充分ソウルフル。(おっと、どっちもスティーヴィーの楽曲だ)
そういうスタンスだと、Zoocoは、チャカ・カーン的立ち位置になる。これはこれですごくいい感じになるのではないでしょうか。ファンク、ソウルを歌いつつ、ソロでやる時はジャズやスタンダードなんかも歌っちゃう。日本のチャカ・カーン目指したらどうでしょうか。ゴスペルも歌えるZooco。ヴァーサタイルなシンガー、Zooco!
全体的な流れの中で印象に残ったのは、ジェームス・ブラウンの「ソウル・パワー」から始まって、「タイトゥン・アップ」風、「シャフト」風のアレンジがはいるメドレーのあたり。バンドが力強い。そして、もっとも感心したのが、ゴスペルの名曲「ヒズ・アイ・イズ・オン・ザ・スパロウ」。『天使にラヴソングを〜2』でも歌われていた作品ですが、これをZoocoとケイズの二人で歌った。声、よくでてます。「神様は、すずめのような小さな者にもちゃんと目をかけている」というケイズの曲の解説もあって、なるほどと思って聞き入りました。
やはり管楽器がはいると、生バンドっぽくていいですよね。バンドよし、歌唱よし、ラップよし、キャラクターよし。後は、ソイソウルならこれ、という名刺代わりになる超強力な楽曲です。それがむずかしいんですけどね。「テル・ミー・サムシング・グッド」を日本語にして歌ったっていいんじゃないでしょうか。あと、ルーファスの「ワンス・ユー・ゲット・スターテッド」。これも彼らにはぴったりの曲になるでしょう。あの路線に、ヒントがあるような気がしますね。
男子10人をまとめるZoocoは、大変な猛獣使いと言われているそうです。たしかにねえ。納得したわ。(笑)
(2004年1月16日金曜・渋谷クワトロ=ソイソウル・ライヴ)
実はエスカレーターズ時代のCDもこっそり持ってたりするんです。それから、Zooco(ズーコ)のソロアルバムなんかもCD棚にはいってるんですね。なにしろ、彼女の声がねえ、いいんですよね。その頃は本人と接点を持つなんて夢にも思わなかったですからね。そんな彼女と最近はお話することもできるわけですが、Zooco率いるソイソウルのライヴを見ました。彼女のライヴを見るのは初めて。
ソイソウルのCDは、一足先に昨年でていて、いかにも昔風のR&Bバンドという感じで好感度を持って聴いていたわけですが、なにしろ11人編成の大所帯。こわもての男子10人(男子十人楽坊)プラスZoocoですからねえ。なんたって迫力あります。こういうバンドは、維持が大変ですが、絶対続けてね。
それにしても、いいバンドです。きっちりしたドラム、ベース、ギター、キーボード。しっかりしてます。ファンク、ロック、ソウル、いい音してる。クアトロって改装して、音響よくなったんですかねえ。バンドがいいのか。(笑)
僕が彼らにもったイメージは、70年代初期のルーファス・フィーチャリング・チャカ・カーンです。まだ、ただ単にルーファスだったころ。75年くらいまでのルーファス。基本はファンク、ソウルなんですが、そこに当時としては斬新なロックの要素もあったという感じ。リヴィング・カラーほどロックに行ってないちょうどいいバランスのところです。ルーファスの例えば「テル・ミー・サムシング・グッド」とか「メイビー・ユア・ベイビー」とか、カヴァーでやってみたらどうでしょう。重いファンクで、そして、ちょっとだけロックの要素もあって充分ソウルフル。(おっと、どっちもスティーヴィーの楽曲だ)
そういうスタンスだと、Zoocoは、チャカ・カーン的立ち位置になる。これはこれですごくいい感じになるのではないでしょうか。ファンク、ソウルを歌いつつ、ソロでやる時はジャズやスタンダードなんかも歌っちゃう。日本のチャカ・カーン目指したらどうでしょうか。ゴスペルも歌えるZooco。ヴァーサタイルなシンガー、Zooco!
全体的な流れの中で印象に残ったのは、ジェームス・ブラウンの「ソウル・パワー」から始まって、「タイトゥン・アップ」風、「シャフト」風のアレンジがはいるメドレーのあたり。バンドが力強い。そして、もっとも感心したのが、ゴスペルの名曲「ヒズ・アイ・イズ・オン・ザ・スパロウ」。『天使にラヴソングを〜2』でも歌われていた作品ですが、これをZoocoとケイズの二人で歌った。声、よくでてます。「神様は、すずめのような小さな者にもちゃんと目をかけている」というケイズの曲の解説もあって、なるほどと思って聞き入りました。
やはり管楽器がはいると、生バンドっぽくていいですよね。バンドよし、歌唱よし、ラップよし、キャラクターよし。後は、ソイソウルならこれ、という名刺代わりになる超強力な楽曲です。それがむずかしいんですけどね。「テル・ミー・サムシング・グッド」を日本語にして歌ったっていいんじゃないでしょうか。あと、ルーファスの「ワンス・ユー・ゲット・スターテッド」。これも彼らにはぴったりの曲になるでしょう。あの路線に、ヒントがあるような気がしますね。
男子10人をまとめるZoocoは、大変な猛獣使いと言われているそうです。たしかにねえ。納得したわ。(笑)
(2004年1月16日金曜・渋谷クワトロ=ソイソウル・ライヴ)