【『ミッドナイト・ラヴ』最終回収録〜さよならは言わない】

炸裂。

昨日(3月9日)は、FM横浜の『ミッドナイト・ラヴ』の最終回収録だった。ちょうど2年、24回。月一回のペースがひじょうにゆったりしていて、よかったのだが、突然の終了にスタッフ一同愕然としたものだが、まあ、またいずれ、どこかでやりましょう、という話にはなっている。

さて、最終回ということで、ゲストにはゴスペラッツから佐藤善雄さん、桑野信義さん、そして、マーチンさんのお姉さん、鈴木聖美さんが勢ぞろい。しかも、収録スタジオは通常のミネアポリス・スタジオではなく、さらに小さなオハイオ・スタジオ。4人プラス僕プラス・オッシー・プラス・アシスタントのナミの計7人が入るともう大変。酸欠になりそうだ。

トークは炸裂、止まらない。少し余裕を持って台本では時間を計算していたが、やはりというか、予定通りにはいかず、どんどんトークが押す押す。笑いが止まりません。また、魔黒ブラウンのコーナーが飛ぶかという瀬戸際まで行ったが、なんとか、隙間に入りました。(笑) 

その後伊勢崎町の松阪牛を食べさせてくれるという網焼肉店「つる屋」さんにスタッフ全員で出向き、お疲れ様会。いやあ、この松坂牛、とろけるほどおいしい。こんなジューシーな肉は久々に食べた。メニューにはないのだが、店主石山さんによると、ちょうど1頭入ったのでそれを出している、という。一回入ると、何日かそればっかり出すことになるそうだ。一応メニューにはでていない。オッシーたちが少し遅れてくることになったのだが、先行隊、あまりにその松坂牛がおいしいので、「この肉は今、全部食べちゃって、なかったことにしましょうか」とまで言い出す始末。(ちゃんと残しておきました) 箸が止まらない。それほどおいしかった。

これを七輪の炭、網の上で焼くのだが、聖美さん、桑野さん、佐藤さんたちのテーブルの七輪は、肉から落ちる油で火がボウボウ燃え盛って、炎大炸裂の大火事になっていた。僕とマーチンさんらの七輪は肉を4切れまでに抑えて、大火事にならないように細心の注意を払い、ゆったりと焼けた。しかし、ふと隣を見ると、いつも火柱が上がっているのである。ピーマンなんか黒焦げだ。(笑) 4切れまでというところが大事なポイント。

それはさておき、後半、僕はマーチンさんにゴスペラッツのことを若干取材した。昨年からの流れを説明され、ストーリーがひじょうに整理された。それらはマーチンさんのファンクラブの会報ラヴァーズの次号に原稿を書く。

十数人でのお疲れ会が幕を下ろそうかという時、店主が色紙とマジックペンを持ってサインをお願いしにやってきた。マーチンさんを始め、みんなさらさらとペンを走らせていた。元々関西のほうでやっていた店の横浜店だが、こちらではまだ3年ほどだという。ふと壁を見上げると、いろいろな有名人の色紙が所狭しと張られていた。

最後、お店の入口で集合写真の撮影。マネージャーのデジカメ、オッシーのデジカメ、善雄さんのデジカメ、お店のデジカメなど、カメラのフラッシュが次々と炸裂! 炸裂日和な一日でした。

(『ミッドナイト・ラヴ』第24回・最終回は、3月18日土曜・深夜25時30分からFM横浜で)

ENT>RADIO>Midnight Love
【ソウル・ジェネラル、ソウル・ナッツに現る】

総督。

ジェームス・ブラウン・ソウル・ジェネラルご一行様、ご到着。2日目(3月5日=日曜)のライヴが終わって、一度メンバーがホテルに戻り、勝本氏がダニー・レイ、フレッド・トーマスらを、三宿のソウルナッツに連れていった。車2台に分乗しナッツにやってきたのは、ダニー・レイ、フレッド・トーマスのほか、ドラムスのトニー・クック、ベースのレイ・ブランディージ、サックスのジェフ・ワトキンス、息子のダリル・ブラウン、シンガーのエイミー・クリスチャンの7人。さらに、ジェームス・ブラウン愛好家の佐藤さん、その友人でソウルサーチンのBBSにもよく書き込まれている栃木のあみさん、さらに関さん夫妻、そして、オーサカ=モノレールの中田さんまで。

最後の夜なので、みんなかなりリラックスしている様子。何人かとちょろっと話をした。ステージ向かって左にいたドラムスのトニーは、93年以来、約13年ぶりのソウル・ジェネラルへのカンバックだそうだ。なんでまた? 「ミスター・ブラウンから電話がかかってきて、またやらないか、と言われたんで、参加した。今は、オーランド・フロリダに家があって、そこに住んでいる。仕事はオーガスタ・ジョージア。行ったり来たりだな」 クックがJBズに参加したのは、76年だそうだ。以来93年まで、出たり入ったりしたらしい。すでに孫もいるという。

ベースのレイ・ブランディージは96年頃から参加しているが、前回の日本ツアーは来ていない。バンド内では第一ベースがヴェテランのフレッド・トーマス。ポイントはフレッドがプレイするようだ。何かのソロはあなたですか、と尋ねた時、「そこは、フレッドがやってる。フレッドにやらせてもらえないんだ(笑)」というようなことを言っていた。つまり、バンド内にもしっかり序列があるということだろう。おいしいところは、フレッドがプレイし、比較的地味なところは、このレイが弾いてるのかもしれない。

シンガーのエイミーも、91年からメンバーだが、前回は来ていない。だが何回か来日はしているようだ。日本は大好きだという。彼女も、誰かが来ないと呼ばれたりするのだろう。要は、ソウル・ジェネラルの要員は何人もいるということだ。女性コーラスは前回来日4人のうち、2人が参加している。シンシアとシーラだ。

ステージではけっこうソロも取るサックス奏者、リロイ・ハーパーは、1961年生まれ。彼もけっこう長い。前回来日している。

座って話をしていると、フレッド・トーマスが隣にやってきた。何度も会っているので覚えてくれているらしい。「今度、DVDを出すんだ。出来たら、送るからな。名刺をくれ」 そういえば、以前、彼のCDを送ってもらったことがあった。フレッドは本当にいつもニコニコしていて人懐っこい。

ダニー・レイは、生の声も、あの声。(当たり前だが・・・) 彼はいつも「(君は)オーガスタにやってきたな。何年も前に。ちゃんと覚えてるぞ」と言う。東京で会ったことよりも、オーガスタで会ったことのほうを覚えているところがおもしろい。

フライド・ポテト、チキン、おつまみ。彼らはいろいろ食べている。ダニー・レイはウォッカをロックで飲む。レモンを絞り、サイドに水を置いて。フレッドは日本酒だ。トニーはウイスキーだ。そして、DJケイコはずっとジェームス・ブラウン・ファミリーのレコードをかけつづけている。

ふと勝本氏がいないことに気がついた。あれ? 下に降りると車の中で寝ていた。「昨日からほとんど寝てないんだよ(笑)」 前日は彼らをダンステリアに招き、この日はナッツ。そして、2日ともブラウンに見込まれステージで踊った。ソウル・ジェネラルの添乗員もご苦労様です。(笑) ゲットンアップ!!  ソウル・ナッツの夜は更ける。

ENT>MUSIC>ARTIST>Brown, James
【『ソウル・サーチン』に新たにゲスト決定】

決定。

4月1日の『ソウル・サーチン』にもうひとり、トークゲストが決まった。アーティストで、これまでにあの伝説のソウル・ダンサー、ニック岡井さんのステップをキャンバスに印した岡伸昭さんだ。どんなものかは、下記日記に書いてある。

2004/06/18 (Fri)
Footsteps Of The Master Of Dance, Nick Okai Explode
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200406/diary20040618.html

岡さんも大のソウル好きだが、実は、なんと彼はここ十数年、毎年4月1日に青山のソウルスナック「オーエー(OA)」で、マーヴィン・ゲイをしのぶ会をやっていたのだ。彼も自分が集めた映像や、レコードをかけて、エイプリル・フールを多くの人たちと過ごしていたという。ほとんど同じことをやっていたことになる。

ところが、そのオーエーが3月でクローズすることになり、彼が「今年はできないんですよね」ということになり、ではこちらの「ソウル・サーチン」にいかがだろうか、という話が進み、参加に快諾をいただいた。(ただし、オーエーはその後急遽、閉店を4月中旬に伸ばしたため4月1日は営業する) 

というわけで、4月1日の『ソウル・サーチン』、第三のゲスト決定です。

岡さんは、アーティストの立場で、マーヴィンの気持ちがわかる時があるという。そこで、ひじょうに繊細だったマーヴィン・ゲイという類稀なアーティストについて、同じアーティストという立場からの意見をおうかがいしようかと思う。なによりも、岡さん自身がかなりのマーヴィン・ファンであることが心強い。

認定。

そんな話をしたのが、目黒にしばらく前にできたソウル・バー「下駄鬼」だ。

岡さんにご紹介いただいたのだが、このオウナーはホームページなどを作る会社を経営している1962年生まれの永澤さん。80年代初期あたりの、まさに今でいうダンス・クラシックあたりをリアルタイムで経験し、ダンス、ソウル・ミュージックが大好きになった人物だ。

以前からいつか自分でソウル・バーをやりたいと思っていた、という。昨年、たまたま事務所近くの行きつけの飲み屋でそんな話をしていたところ、同じビル内のテナントが空いていることを聞きつけた。このビルは昭和30年代に出来たらしい築40年を超えるかなり味のあるもの。その空いているテナントのオウナーをなんとか探し出し、直接交渉した。

一度2005年7月に店を出したが、ちょっとスタッフと方向性が食い違い、2ヶ月でクローズ。2005年12月9日、改めてソウル・バー「下駄鬼」としてオープンした。

店は3坪(6畳)、席数もカウンターで4人、奥にちょっと2−3人がなんとか座れる「小上がり」があるが、7人もいると満杯になるかなり小さな店だ。店を仕切るのはソウルとお酒が大好きな裕子さん。ソウルのCDをかけつつ、お酒を作り、ちょっとしたつまみ系料理も作る。けっこう料理も出来るので、小腹が空いても大丈夫な店だ。

ただし、ターンテーブル2台を置いたソウル・バーの厳格な定義にあてはまるかというと微妙。というのは、店が小さいために、またテナントの集合体というビルの性格上、大きな音量が出せない。なので、コンポで比較的小さめに、ソウルのCDがながれているという感じなのだ。「なにげに入ったバーで、よく聞くと流れている音楽は、全部ソウル・・・。そんな感じにしたかったんです」とオウナー永澤さん。

今日は、ブリオでソウル・バー紹介を7年以上続けている高畠さんが初めて遊びにくると言うので、かけつけた。(笑) しばらく前に、僕も連絡していたが、高畠さんの元にも情報が行っていた。かなり気に入っていただいたようで、なんと次の次の号での掲載(4月21日売り号)がほぼ決まった。そうこうするうちに、岡さんも登場。狭い店でソウル談義に花が咲いた。

「下駄鬼」という店名は、どこから来たか。なんとクール&ザ・ギャングのヒット「ゲット・ダウン・オン・イット」から取った。「ゲット・ダウン・オン・イット」→「ゲッダンオンニ」→「げったおに」→「下駄鬼」。下駄鬼3段活用! その話を聞いただけで、これは「ソウル・バー」に認定だ。(笑) 

もちろん、ソウルのCDなら、持ち込み大歓迎だという。というわけで、今日は僕もいろいろ持ち込んでみた。目黒のブルースアレーからは歩いて2分くらい。時間が許せば『ソウル・サーチン』の後にいいかもしれない。

■下駄鬼
bar get down on it

東京都目黒区目黒1−24−19 目黒新橋マンション1F
電話 03−3490−9302
営業時間 18時〜25時 (ただしお客がいれば延長も)
休業 日曜・祭日
チャージ 男性2000円、女性1000円 (ただし立ち飲みの場合チャージはなし)
ドリンク 600円〜

目黒駅から権ノ助坂を山手通り方面へ右側を歩く。4分くらいで左に交番が見え、そのほぼ向かいの右側のビル一階。「目黒新橋」という看板が目印。目黒川のすぐ手前になる。

ENT>SOUL BARS>Get Down On It
【第78回アカデミー賞授賞式】

順当。

第78回アカデミー賞が去る3月5日午後8時(東部時間)(日本時間6日午前10時)から、ロスアンジェルスのコダックシアターで発表された。ソウル・サーチン・ダイアリーではそのうちの9部門を予想、7部門が本命で、2部門が対抗で当たり、結局本命・対抗で10割の的中率となった。(グラミーより当たるというところが情けない=(笑)) 確か去年も全部当たってたような。

アニメでさすがに、アメリカの世論は『ウォレス・・』だったが、日本人なので、『ハウル』を本命にしたが、結局アメリカ世論通りということになった。また作品賞の『クラッシュ』は、きっと、『ブロークン・・・』と一騎打ちだったのだろう。下馬評では『ブローク・・・』だったが、『クラッシュ』は意外だった。そういう意味で言えば、全体的には作品賞の『クラッシュ』以外は、ほぼ順当な受賞ということになった。

受賞者など、オスカーのオフィシャルサイト。
http://www.oscar.com/

1.主演男優賞 Performance by an actor in a leading role

【受賞】 本命Philip Seymour Hoffman in "Capote" (UA/Sony Pictures Classics)
Terrence Howard in "Hustle & Flow" (Paramount Classics, MTV Films and New Deal Entertainment)
対抗Heath Ledger in "Brokeback Mountain" (Focus Features)
Joaquin Phoenix in "Walk the Line" (20th Century Fox)
David Strathairn in "Good Night, and Good Luck." (Warner Independent Pictures)

2.助演男優賞 Performance by an actor in a supporting role

【受賞】 本命George Clooney in "Syriana" (Warner Bros.)
対抗Matt Dillon in "Crash" (Lions Gate)
Paul Giamatti in "Cinderella Man" (Universal and Miramax)
Jake Gyllenhaal in "Brokeback Mountain" (Focus Features)
William Hurt in "A History of Violence" (New Line)

3.主演女優賞 Performance by an actress in a leading role

Judi Dench in "Mrs. Henderson Presents" (The Weinstein Company)
対抗Felicity Huffman in "Transamerica" (The Weinstein Company and IFC Films)
Keira Knightley in "Pride & Prejudice" (Focus Features)
Charlize Theron in "North Country" (Warner Bros.)
【受賞】 本命Reese Witherspoon in "Walk the Line" (20th Century Fox)

4.助演女優賞 Performance by an actress in a supporting role

Amy Adams in "Junebug" (Sony Pictures Classics)
Catherine Keener in "Capote" (UA/Sony Pictures Classics)
Frances McDormand in "North Country" (Warner Bros.)
【受賞】 本命Rachel Weisz in "The Constant Gardener" (Focus Features)
対抗Michelle Williams in "Brokeback Mountain" (Focus Features)

5.優秀アニメ映画 Best animated feature film of the year

本命"Howl’s Moving Castle" (Buena Vista)
Hayao Miyazaki
"Tim Burton’s Corpse Bride" (Warner Bros.)
Tim Burton and Mike Johnson
【受賞】 対抗"Wallace & Gromit in the Curse of the Were-Rabbit" (DreamWorks Animation SKG)
Nick Park and Steve Box

6.最優秀監督賞 Achievement in directing

【受賞】 本命"Brokeback Mountain" (Focus Features) Ang Lee
"Capote" (UA/Sony Pictures Classics) Bennett Miller
"Crash" (Lions Gate) Paul Haggis
対抗"Good Night, and Good Luck." (Warner Independent Pictures) George Clooney
"Munich" (Universal and DreamWorks) Steven Spielberg

7.最優秀作品 Best motion picture of the year

本命"Brokeback Mountain" (Focus Features) Diana Ossana and James Schamus, Producers A River Road Entertainment Production

"Capote" (UA/Sony Pictures Classics) Caroline Baron, William Vince and Michael Ohoven, An A-Line Pictures/Cooper’s Town/ Producers Infinity Media Production

【受賞】 対抗"Crash" (Lions Gate) Paul Haggis and Cathy Schulman, Producers A Bob Yari/DEJ/Blackfriar’s Bridge/
Harris Company/ApolloProscreen GmbH & Co./Bull’s Eye Entertainment Production

"Good Night, and Good Luck." Grant Heslov, Producer (Warner Independent Pictures) A Good Night Good Luck LLC Production

"Munich" (Universal and DreamWorks) Kathleen Kennedy, Steven Spielberg and A Universal Pictures/DreamWorks Barry Mendel, Producers Pictures Production

8.最優秀脚色 Adapted screenplay

【受賞】 本命"Brokeback Mountain" (Focus Features) Screenplay by Larry McMurtry & Diana Ossana

対抗"Capote" (UA/Sony Pictures Classics) Screenplay by Dan Futterman

"The Constant Gardener" (Focus Features) Screenplay by Jeffrey Caine

"A History of Violence" (New Line) Screenplay by Josh Olson

"Munich" (Universal and DreamWorks) Screenplay by Tony Kushner and Eric Roth

9. 最優秀脚本 Original screenplay

【受賞】 本命"Crash" (Lions Gate) Screenplay by Paul Haggis & Bobby Moresco Story by Paul Haggis

対抗"Good Night, and Good Luck." Screenplay by George Clooney & Grant Heslov
(Warner Independent Pictures)

"Match Point" (DreamWorks) Written by Woody Allen

"The Squid and the Whale" (Samuel Goldwyn Films and Sony Pictures Releasing) Written by Noah Baumbach

"Syriana" (Warner Bros.) Written by Stephen Gaghan

ENT>MOVIE>ACADEMY
【ジェームス・ブラウン・ライヴ】

アンコール。

東京2日目。ほとんど同じ時刻にスタート。影アナでダニー・レイの声が高らかに響く。1曲バック・バンド、ソウル・ジェネラルが「ソウル・パワー」を演奏してから、まず、ダニー・レイが登場。最近のダニー・レイのあおりのMCはけっこう長くてファンとしては嬉しいところ。彼の声がでてくるだけで、まもなくジェームス・ブラウンがやってくるということで興奮が高まる。そして、何度も何度も「ジェームス・ブラウン! ジェームス・ブラウン!」と繰り返されて、御大登場し「メイク・イット・ファンキー」から。この日は黒のスーツ。「コールド・スウエット」の後からは、前日と大幅に曲が変わった。

結論から言うと、1日目よりはるかに2日目のほうがよかった。曲数が少し増え、のりもさらによく、なによりもめったにやらないアンコールが聞かれた。

まさに自由自在にその瞬間の思いつきで曲が変わっていく。これだけ曲があり、その瞬間に思った曲をメンバーに指示し、それがすぐに演奏されるなんて、きっと思い切り気持ちいいに違いない。この日の「ペイバック」あたりの一連の曲は、ブラウンのその日の気分で演奏された曲だ。メンバーのレイ(ベース奏者)は、「同じショウはない」と言い切る。

「アイ・フィール・グッド」からこのところ続けて演奏されているのが「キャン・ユー・ロック・ゼア」と歌われるアップテンポの作品。(タイトルは不確定) ここで、前日に引き続きミスター・ブラウンに呼ばれてドン勝本(キング・オブ・ソウル)が登場。ブラウンばりの踊りを見せる。ブラウンが紹介する。「彼とは35年来の友人だ。35年」 

そして、それが終わった後、ミスター・ブラウンは「セックス・マシン」のイントロを指示して、その音が出た。だが、時刻はまだ7時20分。ちょっと終わるには早すぎだ。そこで、急遽方針転換で、「マンズ・ワールド」に。この長尺の「マンズ・ワールド」、今回は特に観客にメッセージを伝えるために通訳を呼び込む。

この日も前日同様「右の人に愛してるって言って、そして、左側の人にも愛してるって言ってください」と呼びかける。そして、こんなことも言った。「今回の来日の後、しばらく日本にはこれないかもしれないけれど、日本のことを愛してます」 あれ、もう来ないのかな。最後に、「私はみなさんのことを愛してます。そして、自分自身のことも愛してます。自分のことを愛せなければ、誰も愛せません」と言った。

それにしても、ソウル・レビューとしては、最高によくできたパッケージだ。歌と踊りと、ジャジーでファンキーな演奏。何百通りもある順列組合せを自由自在にミスター・ブラウンは操るのだから、すごいものだ。

この日のハイライトは、珍しく「セックス・マシン」の後、アンコールをやったこと。普段やらないミスター・ブラウンがアンコールをやったのは、日本最後の日程だったからかもしれない。2006年3月の来日が最後だなんて、言わないでね。

Setlist

show started 18:11
01. Soul Power (Soul General)
02. Ain’t It Funky Now (Introducing Members)
03. Make It Funky (James Brown)
04. Cold Sweat
05. I Can’t Stand Myself
06. Payback
07. What My Mama Say
08. Doing It To Death
09. What My Mama Say (Bridge)
10. Heavy Juice
11. Every Beat Of My Heart
(Tribute to Wilson Pickett ~ "In The Midnight Hour" snippet/
(Tribute to Ray Charles ~ "I Got A Woman" snippet)
12. Night Time Is The Right Time (Ray Charles)
13. I Feel Good
14. (Can You Rock There)(??) (King Of Soul, cameo)
15. It’s A Man’s Man’s Man’s World
16. Living In America
17. Sex Machine
Enc. Jam
show ended 20:07

(2006年3月5日日曜、東京国際フォーラムA=ジェームス・ブラウン・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Brown, James
2006-47
【ジェームス・ブラウン・ライヴ】

有事。

有楽町の駅から国際フォーラムに向かって急ぎ足で歩いていると行く手に見かけた顔が。あれ、オーサカ=モノレールの中田さん! 「よろしく〜〜!」と言って、チラシを渡された。そこにはこう書いてあった。

「マーヴァ・ホイットニー・ウィズ・オーサカ=モノレール初来日決定」
2006年6月4日(日曜) 大阪公演 シャングリラ(梅田)
2006年6月8日(木曜) 東京公演 クラブクアトロ(渋谷)
問合せ シャウト/RDレコーズ 03-5411-4814

「いやあどうもどうも。これもう発表していいの?」と僕。すると中田さん「いいですよ、ぜひ」 「今日は(ライヴは)?」 「僕は、明日です」 

2003年10月以来2年5ヶ月ぶりのジェームス・ブラウン・ライヴ。72歳、だいぶステージで他のミュージシャンやダンサーたちに時間を与えることが多くなったが、それでも、やはりゴッドファーザー・オブ・ソウルは、何が起こってもゴッドファーザーだ。

ドラムス2人、ギター3人、ベース、パーカッション、トランペット2、サックス、MC(ダニー・レイ)、ビター・スイート(コーラス4名)、男性コーラス(RJ)、ダンサー2人、最大ステージに18名とジェームス・ブラウンの19名。

いつも通りバックバンドのソウル・ジェネラルが1曲演奏してから、専属司会者ダニー・レイが出てきて、思い切り煽られてジェームス・ブラウン赤いスーツで登場。観客熱狂。

今回のステージのポイントは、バックコーラスのビタースイートの出番があまりなし。前回まで参加していた元妻トミー・レイがいなくなり、そのパートがなくなった。(これはよし) 1曲が長くなり、各ミュージシャンにソロをやらせる部分が多くなっていた。全体的に演奏部分が多くなっている。(微妙)

「リヴィング・イン・アメリカ」では、例のお約束のマントショウ。司会者ダニー・レイがマントをミスター・ブラウンにかけ、彼がそれを脱ぎ捨てる。まず銀色のマント、そして、曲が「プリーズ・プリーズ・プリーズ」になってから、2度目。緑色のラメのマント、そして、3度目は赤のぴかぴかのマント。3着ともみな色違いだ。(最高)

この日の最大のハプニングは、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」で、ミスター・ブラウンのマイクが壊れてしまったこと。急に声が入らなくなってしまったのだ。それまで使っていたスタンドマイクが入らなくなり、右手からスタッフがすぐに別のマイクスタンドを持ってきた。最初はその声が入ったが、すぐにそれもダウンした。マイクを指差し「これもだめだ」という仕草を見せたミスターブラウン。舞台右手のエンジニアたちは、みな焦っている。さすがにもう余分のマイクはなかったようで、ミスターブラウンも手持ち無沙汰となった。

有事のミスターブラウンはしかし、まったく焦りもしない。ゆっくりと舞台正面のキーボードのところに進むと、何やらバンドに指示を出して、ジャムセッションを始めた。まもなくサックス奏者に指示がだされ、サックスソロへ。

3−4分たって、マイクが直ってきて、ゴッドファーザーは言った。「技術的な問題はいつでも起こるもんだ。それを解決してくれたスタッフに大きな拍手を!」 当然、ブラウンはこの不手際に怒ってるに違いない。だが、マイクを直してくれたことに感謝した。いやあ、すばらしい。まさに百戦錬磨のライヴをこなしてきた超ヴェテランだけにできる余裕だ。

マイクが戻ってきたからのブラウンは、何事もなかったように、ショウを進めた。まさに Show Must Go On という感じだ。

ところで、このマイク・トラブルの場面だが、あの時、舞台にいたバックシンガーのひとりRJのワイアレス・マイクをブラウンに渡すという手はなかったのだろうか。とりあえず、歌は歌えるはずだ。ということを、ライヴ後に近くのバーで会ったジェームス・ブラウン愛好家の佐藤潔さんにぶつけてみた。すると「やはり、ブラウンはあのマイク、コード付きのマイクじゃなきゃだめなんじゃないでしょうか。ワイアレスでは。まあ、わかりませんが」というご意見。確かに、そう言われるとそうかもしれない。ワイアレスマイクで、マイクスタンドを観客席側に蹴ったら、倒れて終わる。(笑) コードがないからひっぱり戻せない。

それと途中どの曲だったか忘れたが、ミスターブラウンが後ろを向いている時に誰かのミュージシャンに向かって右手で左手を切るような仕草をした。それを見て、なんとなく誰かが間違いを犯し、「だめだぞ。罰金だ」あるいは「間違いだ、カットカット」とメッセージを送っているように思えた。誰かが粗相をしたのだろうか。思い過ごしかな。

この日のハイライトは、スローバラード「マンズ・マンズ・ワールド」でのこと。なんと、ブラウンは曲途中で通訳を呼び込んだ。そして、メッセージを語り始めた。「今、世界で起こっていることについて話をしたい。今、あちこちで戦争が起こっている。それは、人々に愛が足りないからではないだろうか。だから貴方の右側の人に『愛してるよ』と言ってあげてください。そして、今度は左側を向いて、『愛してるよ』と言ってください。みなさん愛が足りないのではないでしょうか。ぜひ、お互い愛し合ってください」 そう、世界に愛が溢れれば、戦争はなくなるはずだ。こんなことは、前代未聞だ。

そしておもしろかったのは、「アイ・フィール・グッド」、いつものように超ごきげんな二人の女性ダンサーが元気一杯跳ねていたが、途中で上半身を後ろにそらせ、見事なソウル版イナバウアーを見せてくれた。以前もやっていたのだろうが、なんか、妙にタイムリーであった。それにしても、前回とはまったく違う構成だったので驚いた。

かつてミスター・ブラウンは僕にこう言った。「君が(前日に)見たステージは、我々が出来ることのほんの5%だよ」 自由自在、変幻自在に何でも組合せが可能なジェームス・ブラウン・ショウ。二度と同じショウはない。組合せは無数だ。今日、また、別の5%を見せていただいたということになる。そして明日、また別の5%を見せていただこう。

■ジェームス・ブラウン過去記事

2003/10/03 (Fri)
James Brown Live At Budoukan: Papa’s Got A Brand New Stick
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031003.html

2003/10/04 (Sat)
James Brown Live At Budoukan, Day 2: "A" Sign Song
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031004.html

2003/10/06 (Mon)
I Ate Chicken With James Brown (Part 1)
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031006.html

2003/10/07 (Tue)
I Ate Chicken With James Brown (Part 2)
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031007.html

Setlist (Incomplete)

show started 18:11
01. Soul Power (Soul General)
02. Make It Funky
03. Cold Sweat
04. What My Mama Say
05. Try Me
06. Get On The Good Foot
07. What My Mama Say (Bridge)
08. Heavy Juice
09. Living In America
10. Please, Please, Please
11. (Instrumental Jam)
12. It’s A Man’s Man’s Man’s World
13. I Feel Good
14. (Can You Rock There)(??)
15. Sex Machine
show ended 20:01

(with special thanks to Mr. Sato Kiyoshi for making setlist)

(2006年3月4日土曜、東京国際フォーラムA=ジェームス・ブラウン・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Brown, James
2006-46

78th Oscar Predictions 

2006年3月4日
【オスカー予想】

予想。

第78回アカデミー賞が来る3月5日午後8時(東部時間)(日本時間6日午前10時)から、ロスアンジェルスのコダックシアターで発表される。そのうちの9部門の予想をしてみた。昨年同様、さまざまなメディアにでた記者の分析、予想記事を元にしてみた。本命と対抗あわせて4割も当たればいいところではないでしょうか。

1.主演男優賞 Performance by an actor in a leading role

本命Philip Seymour Hoffman in "Capote" (UA/Sony Pictures Classics)
Terrence Howard in "Hustle & Flow" (Paramount Classics, MTV Films and New Deal Entertainment)
対抗Heath Ledger in "Brokeback Mountain" (Focus Features)
Joaquin Phoenix in "Walk the Line" (20th Century Fox)
David Strathairn in "Good Night, and Good Luck." (Warner Independent Pictures)

2.助演男優賞 Performance by an actor in a supporting role

本命George Clooney in "Syriana" (Warner Bros.)
対抗Matt Dillon in "Crash" (Lions Gate)
Paul Giamatti in "Cinderella Man" (Universal and Miramax)
Jake Gyllenhaal in "Brokeback Mountain" (Focus Features)
William Hurt in "A History of Violence" (New Line)

3.主演女優賞 Performance by an actress in a leading role

Judi Dench in "Mrs. Henderson Presents" (The Weinstein Company)
対抗Felicity Huffman in "Transamerica" (The Weinstein Company and IFC Films)
Keira Knightley in "Pride & Prejudice" (Focus Features)
Charlize Theron in "North Country" (Warner Bros.)
本命Reese Witherspoon in "Walk the Line" (20th Century Fox)

4.助演女優賞 Performance by an actress in a supporting role

Amy Adams in "Junebug" (Sony Pictures Classics)
Catherine Keener in "Capote" (UA/Sony Pictures Classics)
Frances McDormand in "North Country" (Warner Bros.)
本命Rachel Weisz in "The Constant Gardener" (Focus Features)
対抗Michelle Williams in "Brokeback Mountain" (Focus Features)

5.優秀アニメ映画 Best animated feature film of the year

本命"Howl’s Moving Castle" (Buena Vista)
Hayao Miyazaki
"Tim Burton’s Corpse Bride" (Warner Bros.)
Tim Burton and Mike Johnson
対抗"Wallace & Gromit in the Curse of the Were-Rabbit" (DreamWorks Animation SKG)
Nick Park and Steve Box

6.最優秀監督賞 Achievement in directing

本命"Brokeback Mountain" (Focus Features) Ang Lee
"Capote" (UA/Sony Pictures Classics) Bennett Miller
"Crash" (Lions Gate) Paul Haggis
対抗"Good Night, and Good Luck." (Warner Independent Pictures) George Clooney
"Munich" (Universal and DreamWorks) Steven Spielberg

7.最優秀作品 Best motion picture of the year

本命"Brokeback Mountain" (Focus Features) Diana Ossana and James Schamus, Producers A River Road Entertainment Production

"Capote" (UA/Sony Pictures Classics) Caroline Baron, William Vince and Michael Ohoven, An A-Line Pictures/Cooper’s Town/ Producers Infinity Media Production

対抗"Crash" (Lions Gate) Paul Haggis and Cathy Schulman, Producers A Bob Yari/DEJ/Blackfriar’s Bridge/
Harris Company/ApolloProscreen GmbH & Co./Bull’s Eye Entertainment Production

"Good Night, and Good Luck." Grant Heslov, Producer (Warner Independent Pictures) A Good Night Good Luck LLC Production

"Munich" (Universal and DreamWorks) Kathleen Kennedy, Steven Spielberg and A Universal Pictures/DreamWorks Barry Mendel, Producers Pictures Production

8.最優秀脚色 Adapted screenplay

本命"Brokeback Mountain" (Focus Features) Screenplay by Larry McMurtry & Diana Ossana

対抗"Capote" (UA/Sony Pictures Classics) Screenplay by Dan Futterman

"The Constant Gardener" (Focus Features) Screenplay by Jeffrey Caine

"A History of Violence" (New Line) Screenplay by Josh Olson

"Munich" (Universal and DreamWorks) Screenplay by Tony Kushner and Eric Roth

9. 最優秀脚本 Original screenplay

本命"Crash" (Lions Gate) Screenplay by Paul Haggis & Bobby Moresco Story by Paul Haggis

対抗"Good Night, and Good Luck." Screenplay by George Clooney & Grant Heslov
(Warner Independent Pictures)

"Match Point" (DreamWorks) Written by Woody Allen

"The Squid and the Whale" (Samuel Goldwyn Films and Sony Pictures Releasing) Written by Noah Baumbach

"Syriana" (Warner Bros.) Written by Stephen Gaghan

ENT>MOVIE>ACADEMY
【ニュー・クラシック・ソウルを歌う日本人シンガー、マル】

ニュー・クラシック・ソウル。

ジェフリー・オズボーンのライヴ(2月21日)で、3人の観客が「ユー・シュド・ビー・マイン(ウー・ウー・ソング)」を歌い、それがみなうまかったという話を書いた。
http://blog.soulsearchin.com/archives/000850.html

で、そこでたけ君と歌ったマルさんが、その後、渋谷のプラグでライヴをやるというので出向いた。ちょうど、ハロルド・メルヴィンと同じ日で、ハロメル終了後、会場にかけつけた。

この日はマルが主催したイヴェントで4アーティストが対バン形式ででていて、彼女のグループは4番目。最後ということで、ちょうど、到着したら、休憩していて、次にやるということで間に合った。

さて、ある意味で時代は2006年になっているのだから、90年代初期のアーティストたちを模倣する世代がでてきても自然だ。この日のマルのライヴは、まさにニュー・クラシック・ソウルをそのままここに持ってきた日本人シンガーのショウだった。

バックのバンドも、まさにニュー・クラシック・ソウルだし、ヴォーカルのマルは、ジル・スコットに影響を受けたと公言するだけあって、まさにそのような雰囲気。1曲目のジルの作品、さらに、続くマリーナ・ショウのカヴァーではジャズシンガー、マリーナを思わせる節回しを聴かせた。

アンコールのディアンジェロのヒット「ブラウン・シュガー」では、遊びに来ていたシンガーたちを次々ステージにあげて少しずつ歌わせた。また、ベース、ギター、ドラムス、キーボードから成る4人のバック・バンドもしっかりしていた。

メンバー紹介をメロディーに載せて歌うあたりは、貫禄充分。これからは、こういうのも日本のソウル、R&Bシーンにありなんだな、と思わせられた。オリジナルもいい感じ。ここまでこうしたサウンドを追求しているとやはり、おもしろい。

Setlist (Maru & Her Band)

show started 21:31
01. Intro
02. Long Walk (Jill Scott)
03. Loving You Like A Party (Marlena Shaw)
04. 少しだけ (オリジナル)
05. Daisy (オリジナル)
06. I Can Love You (Mary J Blige)
07. (新曲・タイトル未定・オリジナル)
Enc. Brown Sugar (D’angelo)
show ended 22:34

(2006年2月26日日曜、渋谷プラグ=マル・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Maru
2006-41
【ブラザー・トム・ライヴ〜ブラザー・トムの2時間】

語り部。

ブラザー・トムが青山のライヴハウス「月見ル君想フ」でソロ・ライヴを行った。キーボードに橋本さん、ベースに元プリズムのケンさん、パーカッションにダイチさんという最小限の布陣でブラザー・トムの世界を最大限に作り上げた。

僕はこれまでにリアル・ブラッドのライヴと、前回のNHKの『ソウル・ミュージック・ライヴ』でのトムさんのピアノ奏者との二人でのステージしか見たことがなかったが、これまた予想以上に楽しめた。

誰もいないステージの椅子の上に小さな蛙のぬいぐるみがちょこんと座っている。トムさんが、腹話術でもやるのかと思った。すると、これは電池仕掛けで歌を歌う人形だった。トムさんが登場して、この蛙とやりとりすると、この蛙が歌いだした。ルイ・アームストロングの「ワット・ア・ワンダフル・ワールド」だった。そして、ミュージシャンが登場し、始めたのがなんと「ウォント・ビー・ロング」。これを実に音数を減らして、無駄を殺ぎ落として歌う。まるで、科学実験室のがい骨の模型のように、スカスカだ。しかし、その分、観客の参加度が高まり、徐々にグルーヴ感が増していく。まさに、「レス・イズ・モア(少ないほうが多くを伝えられる)」だ。

なにしろ、トムさんは話がうまい。この話術に、いつのまにかぐいぐいと引きつけられる。僕の魂(ソウル)が、僕の身体から出て、舞台のトムさんのほうにどんどんと吸い寄せられていくかのようだ。なんでこんなに話がうまいのだろう。「ウォント・ビー・ロング」を一回やって、「今のはリハーサルだから」と言って、もう一度やったのには笑った。

それが終ると、彼は母の話を始めた。バックに小さくキーボードが流れている。その話は、かつて、「トムの2分間」と題して紹介した話をさらに広げ、おもしろおかしく、そして涙を誘う感動の物語になっていた。今は亡き母親は強く、おかしく、しかし生涯で3度だけ泣いたという。その話しだ。

「トムの2分間」
2005/02/02 (Wed)
Brother Tom’s Two Minutes: He Talked About When He First Heard Ray Charles
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200502/diary20050202.html

この物語は、今回はおよそ10分間のロング・ヴァージョンになり、その話からレイ・チャールズの「アイ・キャント・ストップ・ラヴィング・ユー(愛さずにはいられない)」を日本語にして歌った。レイの曲は、「なんて、悲しいんだろう」というタイトルになった。すばらしい。

December 25, 2005
"Soul Music Live Vol.5"(Part 2)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_12_25.html

ブルースも、日本語で。ジェームス・ブラウンの「アヒル食う」ソング(「アイ・フィール・グッド」のこと)は、「気持ちいい!」に、「ドック・オブ・ザ・ベイ」は、「がんばんべい」に。これは、12月にFMの公開放送で歌った歌詞と少し違えていた。「男性だけでなく、女性にもあてたんで」と説明してくれた。

どこがアドリブで、どこまでが作りこんでいるのか、そんなことがまったくわからないほど、自然に話の流れと音楽が一体化していく。約2時間の語り部歌い手のブラザー・トムの世界は、やさしく、厳しく、熱く、ほんわりと暖かい空気で満たされた。

++++

■ブラザー・トム関連、次はリアル・ブラッドのライヴ。

2006年3月28日(火) BLUES ALLEY JAPAN
(東京都目黒区目黒1-3-14 ホテルウィングインターナショナル目黒B1) Open 18:30
Start 20:00 前売 5,000(テーブル席)
4,500(立見)
当日各 500up お問い合わせ:
BLUES ALLEY JAPAN
TEL:03-5496-4381

■その次は、ブラザー・トムとルーサー市村の異色二人ライヴ (サイモン&ガーファンクル、サム&デイヴ、狩人などデュエット曲を)

2006年4月5日(水) - TOM with Luther
場所 AOYAMA 月見ル君想フ(東京都港区南青山4-9-1 シンプル青山ビルB1)
時間 Open 18:30 / Start 19:30
お問い合わせ先
AOYAMA 月見ル君想フ TEL:03-5474-8115 http://www.moonromantic.com/

+++++

Setlist Brother Tom At Tsukimiru Kimi Omou

show started 19:33
00. What A Wonderful World (The Frog)
01. Won’t Be Long (Rehearsal)
02. Won’t Be Long
03. I Can’t Stop Loving You (なんて悲しいんだろう)
04. Blues On B♭(月見ル君想フ・ブルース)
05. Sweet Memory 〜 Bitter Memory
06. 部屋の灯り
07. I Feel Good (気持ちいい)
08. The Dock Of The Bay (がんばんべい)
09. Blind Love
10. うちひしがれても
Enc. Beautiful People
00. What A Wonderful World (The Frog)
show ended 21:29

(2006年3月1日水曜、青山・月見ル君想フ=ブラザー・トム・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Brother Tom
2006-44
【アン・ヴォーグ・ライヴ】

鎖。

これまた期待以上の出来だった。現在はトリオになっているガールズ・グループ、アン・ヴォーグのライヴ。アン・ヴォーグ自体は、今回が3度目の来日だという。

スプリームスがいて、スリー・ディグリーズがいて、ポインター・シスターズがいて、アン・ヴォーグがでた。

TLC、ディスティニーズ・チャイルドの前に、アン・ヴォーグがいた。

彼らのパフォーマンスは、まさに、ガールズ・グループの歴史の鎖を切らずに、過去、現在、未来を結ぶ線にこのアン・ヴォーグもいることを、堂々と証明していた。

オリジナル・メンバー、ちょっと小柄なテリー・エリス、金髪のマキシン・ジョーンズに3年ほど前から加入した背の高いローナ・ベネット(2001年にエピック/ダークチャイルドからアルバム『ローナ』を出したシンガー)の3人は、いずれもが、思い切り歌えるシンガーだ。そして、このトリオは、リードをバランスよく3人が取るので飽きない。

ニュー・ジャック・スウィングのガイの持ち歌で知られる「ピース・オブ・マイ・ラヴ」でのローナの迫力あるヴォーカルは、見事。かと思えばテリーから歌い始める「ドント・レット・ゴー」などは、テリーから3人へとコーラスを自由自在に操る。

バックはドラムス、キーボード、ベースの3人だが、実に固くしかも、思い切りグルーヴ感のあふれる演奏を聞かせる。ベースは、シーラE、フランク・マッコムなどで来ているレイモンドだった。

この日は、同郷のブレンダ・ヴォーンが客席にいた。テリーとマキシンは、ブレンダと旧知の仲。マキシンがステージで宣言した。「私が、今日、こうしてこのステージに立っていられるのも、そこにいるブレンダのおかげ。私が彼女のバック・コーラスをして、彼女が私に人前で歌える自信を与えてくれたの。みなさん、ブレンダ・ヴォーン! ステージに来て!」 

ちょっと躊躇したブレンダだったが、手を引かれステージへ。「ピース・オブ・マイ・ラヴ」の中で、いきなりものすごい歌声を聴かせた。本当に、このブレンダは実力者だ。こうした本気で歌った時のブレンダは、すごい。彼女がマイクを握り、一声歌いだしただけで、またまたコットンの空気が変わった。おそらく、観客の誰も、ブレンダが何者か知らないだろう。ただ、ぱっとステージに上がって、ものすごくめちゃくちゃ歌がうまいシンガーだというくらいだ。だが、一気につかんだ感じだ。

さらにこの曲に続いては、「ディーヴァ・メドレー」。これは、いい。アン・ヴォーグのヒットを知らない人でも、誰でも楽しめる。いきなり観客も立ち上がり、盛り上がった。

歌もうまく、踊りもかっこいい。なんと言うガールズだろうか。(Whatta girl)  ちょっとオールド・スクールだが、ガールズ・グループ好きなら必見だ。

■アン・ヴォーグ・ライヴ、3月5日(日)まで、毎日2ショウ。
コットン・クラブ
http://www.cottonclubjapan.co.jp/ccj/top.html
2.28.tue-3.5.sun
CHARGE : ¥ 8,925 (税込)
SHOWTIMES : 7:00 p.m. & 9:30 p.m.
※3/5 sun.のみSHOWTIMES : 5:00 p.m. & 8:00 p.m.

■アン・ヴォーグ・メンバー

Terry Ellis(vo), Maxine Jones(vo), Rhona Bennett(vo),

Reginald "Wizard" Jones(key), Raymond McXinley(b), Tony Royster(ds)

Setlist

show started 21:33
01. My Lovin’ (You’re Never Gonna Get It)
02. Lies
03. You Don’t Have To Worry]
04. Riddle
05. Ooh Boy
06. Piece Of My Love
07. Diva Medley: Best Of My Love
~I Heard It Through The Grapevine
~Respect
~Lady Marmalade
~Tell Me Something Good
~Square Biz
08. Whatta Man
09. Give It Up, Turn It Loose
10. Whatever
11. Don’t Let Go
12. Hold On
Enc. Free Your Mind
show ended 22:44

(2006年2月28日火曜、丸の内コットンクラブ=アン・ヴォーグ・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>En Vogue
2006-43
【ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ】

伝統。

『ウェイク・アップ・エヴリバディー』のアナログ・ジャケットを持ってきたファンが何人もいる。ライヴ終了後、メンバーが出てきて、それぞれのアルバムやCDにサインをしている。だが、おもしろいことに『ウェイク・・・』の裏に映っている写真のメンバーは、今日は来ていない。だが彼らは何一つ嫌がることなく、サインしている。

今回のブルー・ノーツのメンバーは一体どれくらいやっているのか気になったので、ちょっと尋ねてみた。まず、もっとも長くグループに在籍しているのは、ルーファス・ソーン。彼は80年代初期から在籍、ブルー・ノーツの初来日(80年代初期)の時にも来ていたという。(ブルー・ノーツは80年代に2度来日している。1度目はアイシャ・コーポレーションが呼び、二度目は今回と同じチョコレート・クリームが招聘していた。青山のカイでやったのは、後者) ルーファスは、『リーサル・ウィポン』の俳優ダニー・グローヴァーに似ていると僕は思った。

次にアンソニー・ブルックスは、70年代にハロルド・メルヴィンらと仕事をしたという。そして、一時期彼らと離れていたが、ハロルドの他界(97年3月)を機にグループに戻った。彼は現在57歳だという。

リード・シンガーのダーネル・ガレスピーは、本人によれば「80年からグループにいる」とのことだったが、来日はしておらず、おそらく90年頃からの参加と見られる。それにしてもダーネルのリードは迫力があった。彼もおそらく50代後半から60代前半だろう。

そして、一番の若手ジョン・モリスは、90年以降に参加した。グループにもっとも長く在籍しているのは、シャロン・ページ、ルーファス、アンソニー、ダーネル、ジョン、の順番か。

ところで、初日は「ウェイク・アップ・エヴリバディー」で終わりしばらくしてから、アンコールに応じて最後の曲「イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース」が歌われた。だが、実際は彼らは初日はアンコールはやらない、と言っていたそうだ。最後の曲として「ウェイク・・・」を歌った。ところが、川畑さん(ミラクル・オウナーであり、今回の招聘元)が楽屋に行き、「頼むからやってくれ」と拝み倒してやっともう1曲やったという。

2日目は、最後の曲(アンコール)として、「ウェイク・・・」を用意していたので、「イエスタデイ・・・」が先に歌われた。僕も、絶対に「イエスタデイー・・・」をやった後にアンコールで「ウェイク・・・」という並びがいいと思ったのだが、元々そういうシナリオだったのだ。

初日が終った後、メンバーの何人かは六本木のSSBに出向いた。そして、DJがハロルド・メルヴィン&ブルー・ノーツのレコード(「ユー・ノウ・ハウ・トゥ・メイク・ミー・フィール・ソー・グッド」)をかけてメンバーを紹介すると、来ていたアンソニーとドネル、そしてシャロンまでがDJブースのマイクを取り、レコードにあわせて歌ったそうだ。シャロンの「ホープ・ザット・ウィ・・・・」を始め4曲もだ。これはその場にいた人はラッキーだった。 

■メンバー (ザ・ブルー・ノーツ)

John Morris, Anthony Brooks, Rufus Thorne, Darnell Gillespie, Sharon Paige

Setlist (Day Two: 2/27/2006)

show started 19:08
01. Intro Medley: Lovely Day
02. Da Butt
03. Brick House
04. Play That Funky Music
05. Funky Broadway
06. Shotgun
07. Tell The World How I Feel About ’Cha Baby
08. Where Are All My Friends
09. If You Don’t Know Me By Now
10. The Love I Lost
11. I Miss You
12. Bad Luck
13. Hope That We Can Be Together Soon (with Sharon Paige)
14. I’m Weak For You
15. You Know How To Make Me Feel So Good
16. At Last (Sharon solo)
17. Don’t Leave Me This Way
18. I Should Be Your Lover
19. Yesterday I Had The Blues
Enc. Wake Up Everybody
show ended 20:53

(2006年2月27日月曜、渋谷デュオ[Duo}=ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Melvin, Harold & The Blue Notes
2006-42
【ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツ・ライヴ】

ブランド。

いやあ、予想よりよかった。実はこのザ・ブルーノーツ、グループのリーダー格ハロルド・メルヴィンも他界しており、オリジナルのメンバーはいないので、一体どんなパフォーマンスを見せるのか若干心配ではあったのだ。ところが、バンド演奏が終わり、彼らが青いスーツに身を包んで華麗に登場した瞬間、そんな心配は吹き飛んだ。しかも、リード・シンガー、ダーネル(ダーネル・ガレスピー)の声や歌い方が、グループのかつてのリード・ヴォーカル、テディー・ペンダグラスを彷彿させる。実にいい声で驚いた。

観客はさすがに年齢層が高く、しかも、ソウルマニア度が高かった。ソウルバー関係者、いつも見かけるソウル好きファンが多数きていた。

あとは約1時間半にわたって、次々と彼らのヒット曲がこれでもかこれでもかと出てくる。スローあり、ミディアムあり、こうして曲を並べられると改めて彼らがフィラデルフィアで、オージェイズと並んで重要なR&Bヴォーカル・グループだったのだあ、と思った。そして、オールド・スクールのヴォーカルグループらしく、曲に付随する振り付けが楽しい。ヒット曲の連続ということで、やはり彼らの作品群の良さというのが際立っていた。

1972年の大ヒット「イフ・ユー・ドント・ノウ・ミー・バイ・ナウ(邦題、二人の絆)」などのバラードでのダーネルのヴォーカルも圧倒的だが、「バッドラック」などのアップテンポでも実に聴かせる。時に、マイクを離し、ノーマイクで喉を聞かせるあたりすごい。

また「ホープ・ザット・・・」のレコード(CD)でも共演している女性シンガー、シャロン・ペイジは、レコードで聴かれるさわやかなイメージよりも、はるかにゴスペル臭が漂う本格派のシンガーだった。

ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツというグループ名は実にいいにくい。DJ泣かせである。しかも、初期のヒット「イフ・ユー・ドント・ノウ・ミー・バイ・ナウ」などタイトルにも長いものが多く、これまたDJ泣かせ。しかも、頭にハロルド・メルヴィンとつけながら、メルヴィンはリード・ヴォーカルではないからややこしい。内山田弘とクールファイヴのリードシンガーが前川清のようなものだ。しかも、一番人気のリードシンガー、テディーは抜け、メルヴィンもいない。だが、グループはひとつの「ブランド名」として、しっかりとそのグループの歴史と伝統を受け継いでいるわけだ。ブランド名が引き継がれ、レガシーも代々受け継がれていく。

年末のウィスパーズ、今年に入ってからマンハッタンズ、そして、このブルー・ノーツと良質のR&Bヴォーカル・グループのライヴが続いた。これからも、たくさんのグループに来て欲しい。

(ブルーノーツ公演は、今日2月27日も渋谷デュオで行われます。当日券もあります。ソウル・ヴォーカル・グループ・ファンはぜひどうぞ。おそらく次回はありません(笑))

デュオのウェッブ
http://www.duomusicexchange.com/
開場6時、開演7時

■メンバー (ザ・ブルー・ノーツ)

John Morris, Anthony Brooks, Rufus Thorne, Darnell Gillespie, Sharon Paige

Setlist
show started 19:05
01. Intro Medley: Tighten Up
02. I Get Lifted
03. Bustin Loose
04. Play That Funky Music
05. Funky Broadway
06. (??) (01-06, band only)
07. Tell The World How I Feel About ’Cha Baby
08. Where Are All My Friends
09. If You Don’t Know Me By Now
10. The Love I Lost
11. I Miss You
12. Bad Luck
13. Hope That We Can Be Together Soon (with Sharon Paige)
14. I’m Weak For You
15. You Know How To Make Me Feel So Good
16. At Last (Sharon solo)
17. Don’t Leave Me This Way
18. I Should Be Your Lover
19. Wake Up Everybody
Enc. Yesterday I Had The Blues
show ended 20:44

(2006年2月26日日曜、渋谷デュオ[Duo}=ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Melvin, Harold & The Blue Notes
2006-40
【アートカフェ・アフリカに】

アフリカ。

定例会、今月のゲストは、京都に住む山下さんという方。アフリカの楽器、ジャンベイとガーナのトーキング・ドラムというものを持ってきて、その場で深町さんと即興でデュエットした。

ジャンベイは、何度かその音を聞いたことがある。トーキング・ドラムは、日本のつつみみたいな楽器。肩に担いで叩く。これは、アフリカでは言葉のメッセージを送るものにも使われるそうで、叩き方で、例えば3キロ先の人と会話ができるそうだ。

こういうあんまり普段見慣れない楽器について、その専門家が解説してくれるというのは、実に興味深くて楽しい。

このジャンベイとピアノのコラボレーションはかなり聴き応えがあった。クラシカルなアートカフェの雰囲気が一瞬にして、アフリカ的なプリミティブな空気に変わった。こういう事前のアレンジなしのぶっつけ本番のコラボレーションというのは、かなり音楽的実力がないとできないが、今回はそこそこうまく行ったようだ。このようなコラボレーションは、二人がそれぞれ相手の音(楽器)を自分の楽器以上に聞き込まなければならないが、若干若手の山下さんのほうが、深町ピアノの音に対する集中力が弱く、自分の音に集中してしまったような感じがした。

また、この日は深町さんも、ソウル・サーチン・ダイアリー2月19日付けでお知らせした「電気用品安全法に関する法案」に対する署名運動の話題を取り上げた。なお、2月23日現在、この署名集め運動の結果、3万5千名ほどの署名が集まっている、という。

他の話題としては、深町さんが今月、10日以上の演奏ツアーを経験し、その中で初めてファミレスの「バーミヤン」に行ったとか、回転寿司に行ったこと、オリンピックのフィギュアスケートの話題など。書籍『生きて死ぬ智慧』(柳澤 桂子・著)の紹介。生きて死ぬ智慧

今回の音楽比率は、ファーストで38.4%、セカンドで49.7%。音楽比率とは、ライヴショウ全体の中で音楽演奏が占める割合。音楽比率38%というと、例えば、60分のショウのうち、約22分が演奏で、残る38分がトーク(おしゃべり)ということです。

過去4ヶ月の音楽比率は次の通り。(単位は%)

2005年11月 第一部 41.70 第二部 51.82
2005年12月 第一部 39.86 第二部 58.91
2006年01月 第一部 58.81 第二部 67.23
2006年02月 第一部 38.4  第二部 49.7

Setlist

1st Set

show started 19:44
01. 2006年2月25日19時44分の作品 (関門橋とおでん)(12.18)
02. 2006年2月25日20時17分の作品 (ドコモの携帯)(5.53)
03. 2006年2月25日御題拝借作品1. (2.31)
04. 2006年2月25日御題拝借作品2. (1.58)
show ended 20:43
(approximately performing time: 22.40 of 59 minutes show)(.384)

2nd Set

show started 21.09
00. ジャンベイとトーキングドラムの試打
01. 2006年2月25日21時13分の作品(ジャンベイとともに)(3.31)
02. 2006年2月25日21時17分の作品(ジャンベイとともに)(2.49)
03. 2006年2月25日21時21分の作品 (ジャンベイと歌とともに)(3.42)
04. 2006年2月25日21時34分の作品(8.17)
05. 2006年2月25日21時53分の作品(7.03)
show ended 22.00
(approximately performing time: 25.22 of 51 minutes show)(.497)

(2006年2月25日土曜、恵比寿アートカフェ=深町純ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Fukamachi, Jun
2006-39
【ファンク・ブラザース来日決定】

決定。

映画『永遠のモータウン』で一躍注目されたモータウン・サウンドを影で支えた男たち、ファンク・ブラザースの来日がついに決まった。一度、来日の話があったが、流れていた。今回の来日は、4月10日(月)から15日(土)までの6日間、東京・丸の内のコットンクラブ。毎日2回ずつライヴが行われる。

来日メンバーは、現在はジャック・アシュフォードを中心に人選が進められている。アーティスト名義は「ザ・ファンク・ブラザース・フィーチャリング・ジャック・アシュフォード」となる。アシュフォードは、モータウン・サウンドのパーカッションを担当し、独特のグルーヴ感を生み出すのに大きく寄与した人物。自身のレコードも出している。

チケットは2月26日(日)から発売する。

ザ・ファンク・ブラザース・フィーチャリング・ジャック・アシュフォード
2006年4月10日(月)から15日(土) 
丸の内・コットンクラブ 03−3215−1555
http://www.cottonclubjapan.co.jp
ファースト午後7時から、セカンドは9時半から
料金7875円 (ボックス席は別料金)

■関連記事

2004/05/08 (Sat)

"Standing In The Shadows Of Motown" : Story Of Unsung Heroes
『永遠のモータウン』についてまとめた記事↓
とりあえず、ざっと読むとわかった気になります

http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200405/diary20040508.html

2002/12/02 (Mon)
"Standing In The Shadows Of Motown"
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200212/diary20021202.html

2003/04/29 (Tue)
Funk Brothers Live
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200304/diary20030429.html

2003/10/24 (Fri)
"Standing In The Shadows Of Motown": Motown’s Sparkle & Shadow
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200310/diary20031024.html

2004/03/28 (Sun)
The Funk Brothers’ Album Released
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200403/diary20040328.html

2004/05/08 (Sat)
"Standing In The Shadows Of Motown" : Story Of Unsung Heroes
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200405/diary20040508.html

+++++
(ライヴ評です。これからライヴに行かれる方はあなたのリスクにおいてお読みください)

【タワー・オブ・パワー〜階下も階上もホット】

黒光り。

このところ毎年この時期にやってくるサンフランシスコ・オークランドのヴェテラン・ファンク・グループ、タワー・オブ・パワー。相変わらず、最高にのりのいいサウンドを聴かせてくれる。腰を直撃するようなギター・カッティング、ファンクの塊あふれるオルガンの響き、そして、抜群ののりを演出するベースはロッコー、日本刀のように切れ味の鋭い歯切れのいいブラスセクション(もー、サイコー)。

ブルーノートがいつになく熱い。

「今年で結成38年を迎えるこのグループのリーダー、タワー・オブ・パワーのインスティテューション(大学) 創始者! エミリオ・カスティーヨ!」と言って紹介されたようにこのグループには、すでに充分すぎる歴史がある。タワーの歴史の全てがこの男にある。だからこそのインスティテューション(大学)だ。そして、メンバー紹介でそれぞれの名前が呼び出されるごとに歓声が大きくなる。

1968年に結成されたタワー・オブ・パワーは、ジェームス・ブラウンなどのファンクをルーツにした現在10人組大型ファンク・バンド。40年近く泥臭いファンクをやり続けている。アップテンポののりのいい作品も、スローバラードも、どちらも味わい深い。ここにも継続は力なりを感じさせるソウルがある。

「アイ・ガット・トゥ・グルーヴ」ではジェームス・ブラウンの「スーパーバッド」を下敷きにしたリズムでギターでブラウンの「スーパーバッド」のリフもいれる。彼らがいかにジェームス・ブラウン好きがよくわかる1曲だ。管の全員がブレイクダウンといって腕をぶるぶる振るわせる古いダンスを披露する。全員が揃ってこれをやるととにかく盛り上がる。

続く「ギヴ・ミー・ユア・ラヴ」では、ラリーのリードにエミリオのしわがれたヴォーカルがかぶる。この二人のかけあいを聴いていると、ジェームス・ブラウンとその相方であるボビー・バードとのかけあいを思い浮かべる。彼らがいかにジェームス・ブラウンのレコードを研究しているかがよくわかる1曲だ。

この日は演奏しなかったが、そんな彼らを象徴する1曲がそのままストレートな「ディッギン・オン・ジェームス・ブラウン」(ジェームス・ブラウン大好き)という曲だ。

それにしても、ミディアム、アップテンポの曲での彼らは、加減をするとか、押さえるということをしない。全力疾走、全身全霊をかけてそれぞれの楽器に魂を込める。

リード・シンガー、ラリー・ブラッグスは、初期のレニー・ウィリアムスみたいな感じでタワーの70年代を彷彿。ロッコの熟練のベース、エミリオの額の皺(しわ)、トランペット、サックス、トロンボーンが揃って振り付けをするその様、どれをとっても時代ががっていていい。5人の管楽器が揃うところは、最高にかっこいい。黒い帽子を被ったスティーブン・マッケンジー・クプカ(別名ファンキー・ドクター)のバリトンサックスはものすごく特徴的。

それにしても、気持ちのいいファンク、グルーヴ。

本編12曲中、唯一のスローが「タイム・ウィル・テル」。箸休めとしては、最高のポジションにある。ラリーの熱唱がすばらしい! 曲を歌い終わり、歓声と拍手。そしてエミリオが叫ぶ。「もう一度リード・ヴォーカルへ盛大な拍手を、LB、ラリー・ブラックス! 彼の最新のソロCDを今夜お買い求めください!」 「エミリオ、ありがとう。ちょっと聞いてくれ」 「なんだ?」 「今日、僕は東京タワーに行ったんだ。そしたら、タワーのトップで僕のCDを売ってた。でも、それだけじゃないんだ。僕は東京タワーで迷子になったんだよ。(笑) なんで、あそこで迷子になるかって? 上がってきたエレヴェーターに乗って降りればいいだけだろ。でも、僕は1時間半も迷ったんだよ(笑)」

本編を終え、アンコールになるとき、会場からは「TOP、TOP!」の掛け声がかかった。

彼らはセカンドセットが終るとすぐに着替え、上の受付のところにやってきて、ファンのためにサインする。この日はメンバー全員が横一列に揃い(壮観)、サインを待つファンも長い列を作った。全員のサインが入ったCDやレコードなんて、なんと素敵なおみやげか。日本思いの彼らならではだ。本当に日本の観客のことを気に入っているのだろう。

そんなサイン会場も熱かった。地下二階のライヴ会場も、地下一階のサイン会場も、どちらもタワーの熱気にやられた。

そして、奇しくも彼らが愛したジェームス・ブラウンはいよいよ来週来日だ。タワー・オブ・パワーのファンの方でまだジェームス・ブラウンのライヴを見たことがない方は、ぜひ。タワーのルーツが垣間見られる。ソウルの歴史の点と点が線になる瞬間だ。ソウルやファンクは継続していくと、黒光りしてくる。タワーたちのファンクもまさに黒光り状態だ。

■関連記事

2004/01/21 (Wed)
Down To The Night Club: Tower Of Power Show What Is Hip
2004年来日時のライヴ評
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040121.html

2004/01/22 (Thu)
Stranger Turned To Be A Friend By Power Of Tower & Champagne
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040122.html

■Complete Set List:
Tower Of Power
2006.2.22(Wednesday) Second Show
At Blue Note Tokyo
Transcribed By Yoshioka Masaharu

show started 21:47
00. (Funk Is On)(CD)
01. Eastside
02. Soul With Capitol ’S’
03. You Strike My Main Nerves
04. Just Enough And Too Much
05. Only So Much Oil In The Ground
06. Time Will Tell
07. So I Got To Groove
08. Give Me Your Love
--  Introducing members
09. Funk Medley(09-12): You Got To Funkifized
10. Down To The Nightclub
11. This Time It’s Real
12. Knock Yourself Out
Enc. You’re Still A Young Man
Enc. What Is Hip
show ended 22:59

■メンバー

エミリオ・カスティーヨ(ボーカル、サックス)、
ラリー・”LB”・ブラッグス(ヴォーカル)、
トム・ポリッツァー(サックス)、
スティーブン・マッケンジー・クプカ〜"ファンキー・ドクター"(バリトン・サックス)、
マイク・”ボギー”・ボガート(トランペット、フリューゲルホルン、ヴォーカル)、
アドルフ・アコスタ(トランペット、フリューゲルホルン)、
ロジャー・スミス(キーボード、ヴォーカル)、
ジェフ・タメリアー(ギター、ヴォーカル)、
フランシス・ロッコ・プレスティアー(ベース)、
デイヴィッド・ガリバルディ(ドラムス)

Emilio Castillo(vo,sax) ,
Larry Braggs(vo),
Tom Politzer(tenor sax),
Stephen "Doc" Kupka(bariton sax) ,
Mike Bogart(tp,flh,vo),
Adolfo Acosta(tp,flh),
Roger Smith(key,vo),
Jeff Tamelier(g,vo),
Francis Rocco Prestia(b),
David Garibaldi(ds)

■関連ウェッブ

ブルーノートウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20060220.html
2月25日(土曜)まで

日本のタワー・オブ・パワーの公式ファンクラブのウェッブ。音楽評論家でありタワー・オブ・パワーの日本一の研究家、櫻井隆章氏らが運営。
http://www.towerofpower.jp/

タワー・オブ・パワー公式ウェッブ(英語)
http://www.bumpcity.com/

(2006年2月22日水、東京ブルーノート=タワー・オブ・パワー・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Tower Of Power
2006-37
【スーパーボール・プレミアショウ】

デトロイト。

去る2006年2月5日(日本時間6日朝)に行われたスーパーボールの日本ではテレビ中継されなかったプレミアショウの部分の映像を入手した。今回はデトロイトで行われるということで、スティーヴィー・ワンダー、およびモータウン的ショウになった。

基本はスティーヴィーのショウ。ここに様々なアーティストがからむというなんともぜいたくなラインアップだ。オープニングは、愛娘アイシャを従え、「アップタイト」。さらに続く「悲しい噂」ではジョン・レジェンドが登場。続いてジョス・ストーンが登場、とまさにその3日後(2月8日)に行われたグラミー賞の前哨戦という形になっていた。そして、インディア・アリーが登場。

その後「スーパースティション」では、ゲスト総出演という豪華さ。こんなことが起こるというのも、スーパーボールならではだ。そして、このプレミア・ショウが終わった後、国歌斉唱になったわけだが、これがアレサとアーロン・ネヴィルという組みあわせ。ここからは日本の中継にも入ったので、僕も見ていた。

演奏はドクター・ジョンという超豪華。今回のスーパーボールはデトロイト郊外ということで、デトロイトのアレサが選ばれたようだ。また、昨年のハリケーン・カトリーナへのトリビュートも含めニューオーリンズ出身のアーティスト、アーロンとドクター・ョンも登場したようだ。

ハーフタイムショウではローリング・ストーンズが登場。最初、ひいたカメラからの映像は、ストーンズのおなじみの舌がデザインされた舞台になっていた。すごいな、これは。 そして、舌の部分が布で覆われていて、しばらくすると、その布が取られ、そこには観客が大勢いた。これまた、すごい演出。さすが、ストーンズです。このスケールの大きさには改めて驚かされる。

Setlist
2006/2/5 Detroit MI Ford Field(Super Bowl XL)

Stevie Wonder

01. Uptight (Stevie Wonder + Aisha)
02. I Heard It Through The Grapevine (SW + John Legend)
03. Signed Sealed Delivered I’m Yours (SW + Joss Stone)
04. Dancing In The Street (Indie.Arie)
05. Living For The City (SW)
06. My Cherie Amour (SW + John Legend)
07. Superstition (SW + John Legend + Joss Stone + Aisha)
08. So What The Fuss (SW)
09. A Time To Love (SW)

Rolling Stones

01. Start Me Up
02. Rough Justice
03. (I Can’t Get No) Satisfaction

(2006年2月5日日曜、デトロイトMIフィールド=スーパーボール・ライヴショウ)

ENT>MUSIC>LIVE>Super Bowl 2006
【ジェフリー・オズボーン・ライヴ】

濃厚。

「今からそっち(客席)に降りてくから、誰か(コーラスのところの)『う〜〜う〜〜う〜〜』って歌ってくれ」 大柄の黒人シスターが客席から立ち上がった。ジェフリーが彼女のところに近づき「名前は?」と尋ねる。「オリヴィア」と彼女は答えた。ジェフリーがまず歌い、それをオリヴィアがなぞった。これがまた予想外にうまい。どうやら歌手なのか。一声歌い出すだけで、観客が驚きの声援を送る。さらに続いて今度は日本人の女の子。「名前は?」 「マリコ」 そして、う〜〜う〜〜う〜〜。これまたうまい。「さて、他にはいないかな。歌いたい人は?」 ジェフリーがワイアレスマイクを持って、会場をうろつく。ひとり男の子が立候補した。「名前は?」 「たけ」 そして、「う〜〜う〜〜う〜〜! ユー・シュド・ビー・マイン〜〜!」 これまたうまい。ジェフリーがあきれて言った。「今日は歌手ばっかりいるのかい?(笑)」 

この3人の観客の歌で、それまでの空気は一変した。この観客を巻き込んだ作品は、「ユー・シュド・ビー・マイン(ウー・ウー・ソング)」。ジェフリーの1986年のヒットだ。リアル・ソウル・シンガー、ジェフリー・オズボーンは85年のソロとしての初来日以来、何度か日本の土を踏んでいるそうだ。今回は丸の内のコットンクラブ。

やはり、圧倒的に歌がうまい。声もよく出ている。歌物のエンタテインメントとしては文句なしだ。スローはじっくり聴かせ、そしてミディアム調の曲は大変なグルーヴ感を見せ、のってくる。歌の表現力が、圧倒的だ。言葉に魂を込めるまさにソウルシンガーだ。

「では、僕のファースト・ソロアルバムから1曲歌いましょう。この曲はもう何百万回と歌ってきました。おそらく貴方たちも1−2回はどこかで聴いたことがあるでしょう。曲のタイトルは、『オン・ザ・ウィングス・オブ・ラヴ』」 イエ〜〜! ピアノのイントロが始まり、すぐにジェフリーが最初の歌詞を歌い始めた。そして、一番最後のタイトルのところを、思い切りひっぱって、マイクを遠ざけたり近づけたりして、声で遊ぶ。バンドもタイト、ジェフリーも最高。ジェームス・イングラム以来のグレイトなヴォーカル・ライヴだ。

名曲「オン・ザ・ウィングス・オブ・ラヴ」は、レコードでも生でも本当に素晴らしい楽曲だ。レコードでピアノを弾いていたのはジョージ・デュークだった。

LTDの大ヒット「バック・イン・ラヴ・アゲイン」では、メンバーを改めて紹介。シンガーのところでは女性シンガー、シャノン・ピアソンがルーファスの「エイント・ノーバディー」を、男性シンガー、ジョーイ・ディグスがスティーヴィーの「アイ・ウィッシュ」を歌い喝采を浴びていた。シャノンはデニース・ウィリアムスのような細くて高い声、ジョーイも比較的高いいい声だった。

アンコールではスピナーズのヒットで知られる「アイル・ビー・アラウンド」を歌ったが、これはラス・フリーマン&リッピングトーンズでジェフリーが客演してレコーディングしていたもの。

ジェフリー・オズボーンは、70年代に多数のヒットを放った大型セルフ・コンテインド・グループ、LTDのリードシンガー。82年に円満に独立し、以後ソロシンガーとして現在まで活躍している。80年代に多数のソウルヒットを放った。

82年4月、僕は原稿用紙に向かってジェフリーについて書いていた。彼のソロデビュー作『ジェフリー・オズボーン』のライナーノーツである。LTD時代からの歴史と、ソロになっての抱負、またジョージ・デュークがプロデュースしたアルバムの内容の充実度について書いた。

コットンクラブの入口で会ったフィリップ・ウーは、以前ジェフリーのバックバンドにいた。今回の来日メンバーの何人かを知っている。ライヴが終ってしばらくすると、メンバーが客席にでてきた。ジェフリー本人もだ。フィリップがジェフリーを改めて紹介してくれた。僕のことは覚えていなかったが、サインを頼むと快く書いてくれた。

デビュー作は82年の作品だから、ジャケットには24年前のジェフリーが映っている。「24年前ですね」と言うと、笑いながら「スリムだろ」と答えた。ジェームス・イングラム、ピーボ・ブライソンとジェフリーのレコーディングそしてツアーの話を尋ねると、「そうなんだ、そういう話が来ている。まだ契約書にサインはしてないんだけどね。でも、たぶんやるよ。ただ、ピーボ、ジェームスそして僕と、みんなツアーしてるから、日程を調整するのが大変なんだよ。一度みんなで会って、楽曲を探して、プロデューサーを探して、それからレコーディングだよ」と言う。

「『ラヴ・バラード』を今日は歌わなかったですね」 「うん、今日は歌わなかった。なにしろ、ヒット曲がたくさんあるので、全部は歌えないんだ。これは日本では人気があるかい?」 「もちろん、ありますよ」 

すると「ウー・ウー・ソング」でいい喉を聞かせたたけ君が、やはり、「ラヴ・バラード」を歌ってくれと言っていた。「『オール・アット・ワンス』は、最近はぜんぜん歌わないですか?」と尋ねると「ああ、あれは随分うたってないなあ」 「え? あの曲、あなたが書いたの?」とさっきウー・ウー・ソングを歌ったオリヴィアが入ってきた。

「オール・アット・ワンス」は、ジェフリーがマイケル・マッサーと書いて、当時はまだデビュー前の新人女性シンガーに提供した。彼女が歌いアルバムに収録したが、シングルのB面に収まった。ところが、これがイギリスや日本でもちょっとした人気になった。その彼女とはホイットニー・ヒューストンである。「そんなこの曲の誕生秘話でも話してから、歌ったらどうですか」 「どれくらい日本人は英語をわかってくれるんだろうか」 「ゆっくりしゃべれば、半分くらいの人はわかってくれるんじゃないかなあ」 「う〜〜む、じゃあ考えてみるか・・・」 

ドラムのジェリー・ブラウンは、前回のスティーヴィー・ワンダー、あるいは、ダイアナ・ロス、スタンリー・クラークなどで何度も来日している。「初めて来たのは76年だったか、スタンリー・クラークとだったよ」と振り返る。ファーストとセカンドは、同じ曲かと尋ねると、若干入れ替えているという。

ミュージシャンたちと立ち話をしていると、少し離れたところから僕に手を振る男が。なんと下町兄弟の工藤さん。彼が出た劇以来。「いやあ、グルーヴものすごいですね、ジェフリー。大好きでねえ。前の厚生年金(85年10月)も行きましたよ」 

アンコール含めて1時間15分くらい。う〜〜ん、あと2曲くらい聴きたかったなあ。でも、内容はかなり濃厚だったので満足した。ちなみにジェフリーは1948年3月9日生まれなので、来月58歳になる。

Setlist (2nd)
show started 21:33
01. Party Hardy (LTD)
02. Close The Door (Teddy Pendergrass, Jeffrey Osborne)
03. I Really Don’t Know Need Light
04. In Your Eyes
05. Stay With Me
06. On The Wings Of Love
07. You Should Be Mine (Woo Woo Song)
08. Back In Love Again (LTD)
 〜Ain’t Nobody (Rufus, Chaka)
 〜I Wish (Stevie) 〜 Back In Love Again
Enc. I’ll Be Around (Spinners, Russ Freeman & The Rippingtons)
show ended 22:48

■メンバー

Jeffrey Osborne(vo)
Joey Diggs(vo)
Shannon Pearson(vo)
Frankie Crawford(key)
Ming Freeman(key)
Kevin Chokan(g)
C.C.Thomas Jr.(b)
Gerry Brown(ds)

■コットンクラブ・ウェッブ
http://www.cottonclubjapan.co.jp/ccj/top.html
ジェフリーは、26日(日曜)まで

(2006年2月21日火曜、丸の内コットンクラブ=ジェフリー・オズボーン・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Osborne, Jeffrey
2006-36
【トク・ライヴ〜雨の日と月曜日】

憂鬱。

雨の日と月曜日はいつも憂鬱。まさにそんな週の始まりだったが、店内は超満員。

「照明消して〜〜」 7割以上は女性客で占められているボディー&ソウルのママがスタッフに言いつけた。照明が消え、ピアノの秋田慎治が、プレイし始める。なんとトク本人にはサプライズの「ハッピー・バースデイ」だった。2月20日は、トクの誕生日ライヴ。楽屋からなかなかトクはでてこない。曲がほぼ終って、やっとステージにでたトクにママから大きな袋がプレゼントされた。

ごそごそとその袋を覗くジャズ・ヴォーカリストに、どこからともなく「あけなよ」の声。紐解くとその中から現れたのは立派なバッグだ。「譜面が入るバッグよ」とママ。実に気の利いた誕生日プレゼントだった。

ところがちょっとお茶目なマネージャーM氏。「ブッキングした時(出演日を決めた時)は、実は(トクの誕生日だということを)知らなかったのよ(笑)」 どうやら怪我の功名らしい。

ヴァン・モリソンの作品で、トク自身はレコーディングしていないが、最近よくライヴではやる「ムーンダンス」を演奏後、メンバー紹介してから始まったのがスティーヴィーの「クリーピン」。トクのライヴには、事前に決められたセットリストはない。その場の雰囲気で、彼が次にやる曲を決め、メンバーに伝える。「クリーピン」が終ってから、トクはメンバーに言った。「アイ・ジャスト・ウォナ・ストップでもやろうか」 78年、カナダ・モントリオールのジノ・ヴァネリの大ヒット曲だ。この2曲の並びは素敵だ。

もう1曲(新曲)を終えたところで、トクが友人を紹介した。登場したのは、とてもイケメンの男。その名はセルゲイ・ナカリャコフ。1977年旧ソ連生まれ。クラシック・トランペットとして、天才の名をほしいままに9歳の頃から人前で演奏してきた人物だという。調べてみるとアルバムも既に10枚以上出しているということで、クラシックだけでなく、ポピューラー楽曲も数多く録音していた。

ベースの佐藤さんに音をもらい吹き始めたのが「G線上のアリア」だった。おそらく3分弱のパフォーマンスだったと思うが、う〜〜ん、これは聴かせる。

普段はもっと大きなホールでやるライヴが満員になるという人気者。僕はこの日、セカンドを見たのだが「吉岡さん、ほんとに、ついてるよ」とマネージャー氏。確かに、これはクラシックの門外漢でも、うなる。ラッキー! 「それに比べてファーストを見たオッシーにはこういうおいしいのがないもんね〜(笑)」 

ライヴが終ってもう何時間も経っているのに、あのやさしいトランペットの響きがなぜか耳に残っている。

彼はほとんどマウスから口をはずさず、息継ぎをしないで演奏を続ける。曲が終わり、拍手がくると、トクは言った。「終ろうか(笑)」 音量はまったく大きくないのに、それほど濃密な3分弱だった。ベースの佐藤さんが「息はどうなってるの?」とトクに尋ねる。「あれは、循環呼吸。息を吐きながら、鼻で吸ってやるんだよ」 「ちょっとやってみてよ」 「できね〜よ(笑)」 

そして、2月22日に発売される新作『ア・ブラン・ニュー・ビギニング』からの新曲「シャッフル・イン・ザ・レイン」。この日、秋田さんはピアノとキーボードの二刀使い。ファンキーなオルガンの音をマックにつないだキーボードから出す。この曲ではそんなファンキーな音が。

アンコールも新曲「ため息エンジェル・ブルー」。ピアノのイントロから始まるちょっと「(ユー・メイク・ミー・フィール・ライク・ア・)ナチュラル・ウーマン」を思わせるいい曲。

ライヴが終った後しばらくしてから、ろうそくがたくさんのったケーキがトクにプレゼントされ、そのピースが残っていた観客に配られた。ケーキもファーストではなかった。これまた、ラッキー。

雨の日と月曜日は、いつも、人々を憂鬱にさせる。だが、こんなライヴがあれば、憂鬱も吹き飛んでいくことだろう。

■メンバー
トク(ヴォーカル、フルーゲルホーン)
秋田慎治(pf) 佐藤ハチ恭彦(b) 荻原亮(g) 藤井伸昭 (ds)

Setlist

show started 22:32
01. Happy Birthday
02. Moondance (Van Morrison)
03. Creepin (Stevie Wonder)
04. I Just Wanna Stop (Gino Vanelli)
05. In The Moon Hour (song from Toku’s new album)
06. Air From Overture (J.S.Bach)(Sergei Nakariakov, trumpet)
07. Shuffle In The Rain (song from Toku’s new album)
08. Roberta (Toku)
09. Kiss Of Life (Sade)
Enc. ためいきAngel Blue (song from Toku’s new album)
show ended 23:52

(2006年2月20日月曜、青山ボディー&ソウル=トク(TOKU)ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Toku
2006-35
【ゴー・ゴー・サウンド】

延々。

その昔、ワシントンDCの一ローカル・ファンク音楽だった「ゴー・ゴー・ミュージック」というサウンドは、1986年頃、イギリスのレコード会社、クリサリスがこれに目をつけ、大々的に世界に売り出したことによって一躍一般的にその存在を知られるようになった。

「ゴー・ゴー・サウンド」とは、ドラムスの音が軽快な跳ねる音を作り、これにかなり重度なパーカッションが加わるファンキーなサウンドのこと。ワシントンDCで70年代から始まった。同地のライヴハウスなどでは、曲間に休みがなく、延々と2時間でも3時間でも同じビート、リズムが続くライヴが繰り広げられていた。

代表的アーティストは、チャック・ブラウン&ソウル・サーチャーズ、トラブル・ファンク、EUなど。

さて、そんな「ゴー・ゴー・サウンド」を演奏する日本人グループが集まったイヴェントが2006年2月19日(日曜)、渋谷のライヴハウス・プラグで行われた。参加バンドは、ゴー・スペシャル・ゴー・バンド、グルーヴ・プラネット、ヒッピー・トゥイスト、キミーの4組。

時間の関係で僕が到着したのは午後8時半すぎ。まもなく始まったのはゴー・スペシャル・ゴー・バンド。ジェイ&シルキーのシルキー藤野さんが、「25年以上前から作りたかったグループ」と言って結成したグループだ。シルキーさんが、なんとドラムを叩き、しかも、歌も歌うというバンドだ。ドラムス、ギター、ベース、キーボード、パーカッション、3管という布陣。

これは全曲メドレーということではなく、曲ごとにトークが入っていた。最初の1曲目の中には、アイズレー・ブラザースの「イッツ・ユア・シング」などが織り込まれていたが、ちょっとばかりドラムスのリズムがニューオーリンズ・ファンク風を思わせた。途中「ハーレム・ノクターン」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」をゴー・ゴー・サウンドにして演奏。そして、「ゴー・ゴー・メドレー」では定番、「バスティン・ルーズ」が登場。

続いてグルーヴ・プラネットが登場。ドラムス、ギター2人、パーカッション2人、オルガン、キーボード。どちらのバンドもなかなかの大所帯だ。しかし、それにしても、こちらのグルーヴ・プラネットのほうは、延々とリズムをキープしつづけるタイプだ。どちらのグループも、ゴー・ゴー・サウンドで徹底的にやっている。1時間半くらいのノンストップは彼らにとっては、まったく問題ないようだ。

それにしても、ゴー・ゴーの曲は何度見てもわからない。どこで曲が変わったかも、それらの曲を知らないと何もかけない。それにしても、こんなにゴー・ゴー好きの人がまだ日本にもいることを知ってちょっとびっくりした。

Setlist (Go Special Go Band)
show started 20;41
01. Cissy Strut Medley: It’s Your Thing--
02. You
03. Cameosis
04. Go Go Swing Medley: It Don’t Mean A Thing
--- Woody Woodpecker
---Harlem Nocturne
---My Funny Valentine
05. GO Go Medley:; Good To Go
---Bustin’ Loose
---Money
---Say What
show ended 21:36

Setlist (Groove Planet)

show started 21:54
01. Get Wild
02. Hercules
03. Brazillian Rhyme
04. Bustin’ Loose
05. Buns Funky Stuff
show ended 22.36

ENT>MUSIC>LIVE>Go Special Go Band
ENT>MUSIC>LIVE>Groove Planet
2006-33 / 2006-34
【「電気用品安全法に関する法案」に対する署名運動】

署名。

来る2006年4月1日から経済産業省が完全施行する「電気用品安全法に関する法案」に対して規制緩和(規定変更)を訴える署名運動を、音楽関係者・有志が起こした。

この法案が施行されると、中古の楽器、アンプなどの電気製品などの売買がひじょうにやりづらくなる。

発起人は坂本龍一、高中正義、椎名和夫、松武秀樹の各氏。JSPA のホームページで2月18日から署名運動を開始。JSPAは、ジャパン・シンセサイザー・プログラミング・アソシエーションの略で、日本のシンセサイザーを使うアーティストたちの団体。

JSPAのウェッブ
HP http://www.jspa.gr.jp
この中の署名ページ
http://www.jspa.gr.jp/pse/
また、 電気用品安全法について
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO234.html

今回の最大の問題点は、規制の対象となる機材が、電気楽器、ギターアンプ、電子楽器、レコーディング機器、ラジオ受信機、アナログ/デジタル・テープレコーダー、ビデオテープレコーダー、ターンテ ーブル、ジュークボックス、音響機器など、電源トランスを内蔵している製品すべてに及ぶ点。

この規制がかかると、専門機器を取り扱う中古機器販売、下取り市場も閉鎖せざるを得ない状況になってしまい、これからの日本の音楽と芸術文化の発展に大きな支障をきたすことになる、という。

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最近、知らないところで、いろいろな法案が作られては可決されているんですねえ。さらっと読んでみたが、確かに、これはこういう中古楽器やアンプなどを使うほうからすると、かなり不便に思えたので、署名してきました。

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