【ハービー・ハンコックそして、ザ・カルテット、VSOP蘇る】

熟練唯一。

かつてマイルス・デイヴィスという巨星の元に若き血を滾(たぎ)らせたミュージシャンたちが、それから40年を経て、集う。1960年代にマイルス門下生だったハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーターらは、1977年に同窓会的にライヴを行った。それが、VSOP(すなわち、ヴェリー・スペシャル・ワンタイム・パフォーマンス、ただ1回だけのパフォーマンス)と題されたライヴだった。そのときは5人が集まったが、その後ドラムスのトニー・ウィリアムスは死去、トランペットのフレディ・ハバードは健康問題で現役を退いている。

そこで、ドラムスにジャック・デジョネットを加え、4人でこのVSOPを再結成、グループ名をシンプルに「ザ・カルテット」として、そのライヴが国際フォーラムで10月15日(月曜)に行われた。確かに会場が大きすぎるきらいはあるが、これだけの人たちが集まってしまうとなると、こういう会場でやらざるを得ないということになる。

一言で言えば、グレイトなパフォーマーたちのプレイがこのユニークなバンドを生かし続けているという感じだ。それぞれの楽曲の中で、それぞれが思い切り十分なソロを演じる。熟練たちの円熟のソロ。ジャックのドラムは若い感じがしたが、一番若いといっても65歳。ウェイン・ショーターのサックスがかなり枯れた感じがしたが、これも最長老という実年齢からすると当然か。

ハービー(1940年4月12日生まれ=67歳)のピアノはさえずり、ウェイン(1933年8月25日生まれ=74歳)のサックスは泣き、ロン(1937年5月4日生まれ=70歳)のベースは歌い、そして、ジャック(1942年8月9日=65歳)のドラムスははしゃいだ。平均年齢69歳の今宵のカルテット(4人編成)には、定冠詞の「ザ」が付く。「ザ・カルテット」。熟練にして唯一の4人組だ。

■メンバー

Herbie Hancock (Keyboards)
Ron Carter (Bass)
Wayne Shorter (Sax)
Jack De Johnette (Drums)

■セットリスト
Setlist : The Quartet; Herbie Hancock, Wayne Shorter, Ron Carter, Jack De Johnette @ Kokusai Forum Hall A, October 15, 2007

show started 19:12
01. So What [Miles Davis]
02. Maiden Voyage [Herbie Hancock]
03. Seven Steps To Heaven [Miles Davis]
04. I Thought About You [Johnny Mercer/James Van Heusen, Miles Davis]
05. Aung San Suu Kyi [Wayne Shorter]
06. Someday My Prince Will Come [Frank Churchill, Public Domain, Miles Davis](From "Snow White")
07. 81 [Miles Davis]
08. A Riff Of "Take Me Out To The Ball Game" (Ron Carter bass adlib) -- Nefertiti [Wayne Shorter]
Enc. Footprints [Wayne Shorter]

(2007年10月15日月曜、東京国際フォーラム・ホールA=ザ・カルテット〜ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、ジャック・デジョネット・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>The Quartet, Hancock, Herbie / Shorter, Wayne / Carter, Ron / De Jonette, Jack
2007-132