【深町純サントリー・ホール・ブルー・ローズでスタインウェイを弾く】
体内時計。
音が違う。響きが違う。空気が違う。ふだんのキーボード・パーティーとはすべてが違っていた。恵比寿アートカフェでのピアノの即興演奏、そして、祐天寺FJズでのヤマハのCP80を使ったキーボード・パーティーで聴きなれたはずの深町サウンドが違っていた。アンプ増幅なしに、生ピアノの生音が会場の一番後ろの席に座っていてもしっかりと体に響いてくる。天井も高く、全面木目でできていて、よくピアノが鳴っている。
即興演奏の魔術師深町純が、サントリーホールの小ホールに初登場。この小ホール、今は「ブルー・ローズ」という。ブルー・ローズとは青いバラ。サントリーがオーストラリアのバイオ企業とともに十余年の歳月と30億円の費用をかけて作り上げたという奇跡の花だ。英語では「ブルー・ローズ」とは長い間、「決してできないこと」「不可能なこと」を意味する言葉として使われていたという。まさにその名にふさわしい演奏を繰り広げた。
この日使われたのはスタインウェイのピアノ。調律が終わり、サウンドチェックのために座り、彼の指が鍵盤に触れた瞬間、すでにストーリーは始まっていた。素人目(耳)にもわかるこのピアノの響きのよさ。会場のどこで聴いてもしっかり生音が入ってくる。
演奏が始まる前にビデオ収録用にほんの数分インタヴューした。「いいピアノとそうでないピアノの違いを普通の人にもわかるように説明していただけますか」 「それはたとえば、自分が弾いていて、『お、うまいじゃない』なんて、自分自身がうまくなったように思わせてくれるようなピアノと言えるんじゃないかな。ピアノにまったくの素人が弾いてもわからないかもしれないけれど、ある程度のレベルのピアニストが弾くと、引き立つピアノ、演奏がよく聴こえる、よく響くピアノ、そういうのは確かにあって、そういうのがいいピアノだと思う。僕も過去の経験で何度かそういうピアノに遭遇したことがある。東京芸大のピアノはそうだった。ここのスタインウェイも、きっと値段は1500万とかするかもしれないけど、いいピアノなんじゃない」
カメラマンが「自分は、今日初めて即興演奏を(リハーサルで)聴いたんですけど、即興演奏は、どのように終わるのですか」と尋ねた。「いい質問だね。あまりその演奏がよくないと、なかなか終われないんだ。お客さんがそろそろ終わりそうだな、って感じてるというのがわかったりすると、それを裏切ってまた続けたりすることもある。でも、基本的にはまあ、自分がそろそろ終わろうかと思ったら、徐々に終わるように演奏を整えていくんだ。あ、そうそう、僕は体内時計というのを信じていて、たとえば営業とかで(即興を)5分でやってくれ、と言われたらだいたい5分で演奏を終えられるんだよ。1秒が60集まって1分、1分が60集まって1時間。なんかそういうのを無意識に持ってるんだと思う。僕は目覚し時計使わないんだ。何時に起きなければならないと思うと、だいたいその時刻に起きられる。ま、ときどき演奏中も時計を見ることがあるけど、そういう時っていい演奏になってないことが多いかな(笑)。時間の概念で言うと、いい即興演奏の時って、始まったと思ったら、もう終わってるんだよ。ほら、なんでもマージャンでも遊びでも、楽しい時間はあっという間に過ぎるでしょう、それと同じ」
この日、ファーストセットは7時半スタートの8時10分までの予定で、10分の休憩をはさんで8時20分から1時間くらいということになっていた。下記セットリストの4曲目が静かに着地し演奏を終えた時、時刻は8時10分丁度だったのだ。これには僕も思わず「うそだろ」と驚嘆した。究極の体内時計ではないか。ところが深町さんは、拍手をもらいながら、時計をちらっと見て、もう1曲4分弱の小品を演奏した。あれれれれ。(笑)
(この項、続く)
■深町純オフィシャル・ウェッブ
http://www.bekkoame.ne.jp/~cisum/
■FJ’ズ オフィシャル・ウェッブ
http://fjs.fukamachi-jun.com/
■Setlist: Fukamachi Jun @ Suntory Hall Blue Rose, October 27, 2007 (Saturday)
セットリスト 深町純 サントリーホール・ブルーローズでスタインウェイを弾く
First Set
show started 19:30
01. 2007年10月27日19時30分の作品 (7.34)
02. 2007年10月27日19時38分の作品 (9.19)
03. 2007年10月27日19時47分の作品(9.22)
04. 2007年10月27日19時57分の作品(13.30)
05. 2007年10月27日20時10分の作品 (3.56)
show ended 20:15
Second Set
show started 20.25
01. 奇跡 (3.14)
02. 君のなかま (2.35)
03. 悲しみのあとに(2.05)
04. サファイア(3.02)
05. 2007年10月27日20時47分の作品 (6.20)
06. 2007年10月27日20時54分の作品 (9.45)
07. 2007年10月27日21時03分の作品 (12.44)
Enc. 2007年10月27日21時17分の作品 (2.48)
show ended 21.22
■過去の音楽比率(ライヴ全体の中での音楽の割合を表します)(単位は%)
2005年11月 第一部 41.70 第二部 51.82
2005年12月 第一部 39.86 第二部 58.91
2006年01月 第一部 58.81 第二部 67.23
2006年02月 第一部 38.4 第二部 49.7
2006年03月 第一部 50.9 第二部 92.7
2006年04月 第一部 53.1 第二部 57.3
2006年05月 第一部 45.15 第二部 82.08
2006年06月 第一部 52.16 第二部 59.02
2006年09月 第一部 47.77 第二部 77.63
2007年01月 第一部 65.53 第二部 54.97
2007年02月 第一部 53.88 第二部 49.33
2007年04月 第一部 65.26 第二部 68.58
2007年05月 第一部 40.89 第二部 58.19 【恵比寿・アートカフェ最終回】
2007年06月 第一・二部(通し)64.78 (2時間50分)【祐天寺FJ’s1回目】
2007年07月 第一部 66.23 第二部 66.45
2007年08月 第一部 67.03 第二部 68.04
2007年09月 第一部 71.16 第二部 67.30
2007年10月20日 第一部 67.81 第二部 49.29(通算82回)
2007年10月27日 第一部 96.00 第二部 74.65 (サントリー・ホール・ブルー・ローズ)
(2007年10月27日土曜、サントリー・ホール・ブルー・ローズ=深町純ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Fukamachi, Jun
2007-142
体内時計。
音が違う。響きが違う。空気が違う。ふだんのキーボード・パーティーとはすべてが違っていた。恵比寿アートカフェでのピアノの即興演奏、そして、祐天寺FJズでのヤマハのCP80を使ったキーボード・パーティーで聴きなれたはずの深町サウンドが違っていた。アンプ増幅なしに、生ピアノの生音が会場の一番後ろの席に座っていてもしっかりと体に響いてくる。天井も高く、全面木目でできていて、よくピアノが鳴っている。
即興演奏の魔術師深町純が、サントリーホールの小ホールに初登場。この小ホール、今は「ブルー・ローズ」という。ブルー・ローズとは青いバラ。サントリーがオーストラリアのバイオ企業とともに十余年の歳月と30億円の費用をかけて作り上げたという奇跡の花だ。英語では「ブルー・ローズ」とは長い間、「決してできないこと」「不可能なこと」を意味する言葉として使われていたという。まさにその名にふさわしい演奏を繰り広げた。
この日使われたのはスタインウェイのピアノ。調律が終わり、サウンドチェックのために座り、彼の指が鍵盤に触れた瞬間、すでにストーリーは始まっていた。素人目(耳)にもわかるこのピアノの響きのよさ。会場のどこで聴いてもしっかり生音が入ってくる。
演奏が始まる前にビデオ収録用にほんの数分インタヴューした。「いいピアノとそうでないピアノの違いを普通の人にもわかるように説明していただけますか」 「それはたとえば、自分が弾いていて、『お、うまいじゃない』なんて、自分自身がうまくなったように思わせてくれるようなピアノと言えるんじゃないかな。ピアノにまったくの素人が弾いてもわからないかもしれないけれど、ある程度のレベルのピアニストが弾くと、引き立つピアノ、演奏がよく聴こえる、よく響くピアノ、そういうのは確かにあって、そういうのがいいピアノだと思う。僕も過去の経験で何度かそういうピアノに遭遇したことがある。東京芸大のピアノはそうだった。ここのスタインウェイも、きっと値段は1500万とかするかもしれないけど、いいピアノなんじゃない」
カメラマンが「自分は、今日初めて即興演奏を(リハーサルで)聴いたんですけど、即興演奏は、どのように終わるのですか」と尋ねた。「いい質問だね。あまりその演奏がよくないと、なかなか終われないんだ。お客さんがそろそろ終わりそうだな、って感じてるというのがわかったりすると、それを裏切ってまた続けたりすることもある。でも、基本的にはまあ、自分がそろそろ終わろうかと思ったら、徐々に終わるように演奏を整えていくんだ。あ、そうそう、僕は体内時計というのを信じていて、たとえば営業とかで(即興を)5分でやってくれ、と言われたらだいたい5分で演奏を終えられるんだよ。1秒が60集まって1分、1分が60集まって1時間。なんかそういうのを無意識に持ってるんだと思う。僕は目覚し時計使わないんだ。何時に起きなければならないと思うと、だいたいその時刻に起きられる。ま、ときどき演奏中も時計を見ることがあるけど、そういう時っていい演奏になってないことが多いかな(笑)。時間の概念で言うと、いい即興演奏の時って、始まったと思ったら、もう終わってるんだよ。ほら、なんでもマージャンでも遊びでも、楽しい時間はあっという間に過ぎるでしょう、それと同じ」
この日、ファーストセットは7時半スタートの8時10分までの予定で、10分の休憩をはさんで8時20分から1時間くらいということになっていた。下記セットリストの4曲目が静かに着地し演奏を終えた時、時刻は8時10分丁度だったのだ。これには僕も思わず「うそだろ」と驚嘆した。究極の体内時計ではないか。ところが深町さんは、拍手をもらいながら、時計をちらっと見て、もう1曲4分弱の小品を演奏した。あれれれれ。(笑)
(この項、続く)
■深町純オフィシャル・ウェッブ
http://www.bekkoame.ne.jp/~cisum/
■FJ’ズ オフィシャル・ウェッブ
http://fjs.fukamachi-jun.com/
■Setlist: Fukamachi Jun @ Suntory Hall Blue Rose, October 27, 2007 (Saturday)
セットリスト 深町純 サントリーホール・ブルーローズでスタインウェイを弾く
First Set
show started 19:30
01. 2007年10月27日19時30分の作品 (7.34)
02. 2007年10月27日19時38分の作品 (9.19)
03. 2007年10月27日19時47分の作品(9.22)
04. 2007年10月27日19時57分の作品(13.30)
05. 2007年10月27日20時10分の作品 (3.56)
show ended 20:15
Second Set
show started 20.25
01. 奇跡 (3.14)
02. 君のなかま (2.35)
03. 悲しみのあとに(2.05)
04. サファイア(3.02)
05. 2007年10月27日20時47分の作品 (6.20)
06. 2007年10月27日20時54分の作品 (9.45)
07. 2007年10月27日21時03分の作品 (12.44)
Enc. 2007年10月27日21時17分の作品 (2.48)
show ended 21.22
■過去の音楽比率(ライヴ全体の中での音楽の割合を表します)(単位は%)
2005年11月 第一部 41.70 第二部 51.82
2005年12月 第一部 39.86 第二部 58.91
2006年01月 第一部 58.81 第二部 67.23
2006年02月 第一部 38.4 第二部 49.7
2006年03月 第一部 50.9 第二部 92.7
2006年04月 第一部 53.1 第二部 57.3
2006年05月 第一部 45.15 第二部 82.08
2006年06月 第一部 52.16 第二部 59.02
2006年09月 第一部 47.77 第二部 77.63
2007年01月 第一部 65.53 第二部 54.97
2007年02月 第一部 53.88 第二部 49.33
2007年04月 第一部 65.26 第二部 68.58
2007年05月 第一部 40.89 第二部 58.19 【恵比寿・アートカフェ最終回】
2007年06月 第一・二部(通し)64.78 (2時間50分)【祐天寺FJ’s1回目】
2007年07月 第一部 66.23 第二部 66.45
2007年08月 第一部 67.03 第二部 68.04
2007年09月 第一部 71.16 第二部 67.30
2007年10月20日 第一部 67.81 第二部 49.29(通算82回)
2007年10月27日 第一部 96.00 第二部 74.65 (サントリー・ホール・ブルー・ローズ)
(2007年10月27日土曜、サントリー・ホール・ブルー・ローズ=深町純ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Fukamachi, Jun
2007-142