【エナメル楽屋にて】

速攻。

クロポンの日、9月6日、台風9号、会場は目黒(メ・クロ)のソロ・ライヴ。実はファーストを見た後、黒沢薫さん、マーチンさんのエナメル楽屋に挨拶に行った。

さすが、エナメル楽屋といわれるだけのことはある。壁一面エナメルでピカピカに塗られ、白いスーツ、白黒のスーツなど80着が壁の端から端までだ〜っとハンガーにかけられ、まるでエナメル・ブティックのよう、さらに、黒のサングラス100本ちかく置かれ、まるでエナメル・サングラス博物館のよう、そしてそして極めつけは、白、黒、いろいろとりどりなエナメル靴がイメルダ婦人のシューズケースのようにまるでワシントン靴店銀座本店かと思われるほど置かれていた。

きっと、ブラザー・スズとブラザー・クロはその瞬間の気分でどのスーツを着て、どのサングラスをかけ、どのエナメルシューズを履くか決めるのだろう。ここにいると、相当エナメル気分が盛り上がる。

そんな中、ブラザー・クロが「エナメル6箇条」を小さな声で緊張しながら復唱する横で、ブラザー・スズは出番も一番最後のせいか、かなりリラックスしていて、エナメルで覆われた特注エナメル・テレビをつけ、ちょうどやっていた『うたばん』を見ていた。すると宇多田ヒカルが出ていて、その前で小島よしおが、「そんなの関係ねえ!」のネタをやって、受けていた。

すくっと立ち上がったマーチン、「おおっ、黒沢!」と呼ぶ。「頭のMCこうしよう。我々がエナメル・ブラザーズです」(ブラザー・スズ) 「我々がエナメル・ブラザーズです」(ブラザー・クロ) 「台風9号が近づいています」 (ブラザー・スズ) 「台風が近づいています」(ブラザー・クロ) 「それで、俺が1,2,3ってカウントするから、『そんなの関係ねえ!』を3回な。いいか。で、『オッパッピー』な」(ブラザー・スズ) 「はいっ!」(ブラザー・クロ) 

前々からクロポンは、マーチンさんは本番直前であろうが、いつであろうが、何かぽ〜〜んとアイデアが浮かんだら、すぐに実行するので、ときどきついていけないこともあるとこぼしていた。振り付けなどのアイデアも本番直前にこういう振りでとその場で教えたりすることがあるという。マーチンはマーチンで、「おれって、何かにインスパイアーされたりすると、すぐいろんなアイデアがぽんぽん出てきちゃうんだよ」と突然浮かんだアイデアを速攻で実行するのをよしとしている。

歌の練習などせずに、何度かネタのタイミングあわせをする2人。まるで漫才コンビだ。そして、セカンド・ショーのアンコール。ブラザー・クロに呼び込まれ熱狂する観客にもみくちゃにされながら、さっそうとステージに登場したブラザー・スズ。イントロのドラムが鳴る間、さっきまで練習したネタを披露。観客からはバカ受けだ。ところが、ブラザー・クロが「そんなの関係ねえ!」を3回言って「オッパッピー」のあとの台詞を忘れてしまったのだ。そこで、もう一度。再び出てこない。結局、3回やって、曲に行った。

というわけで、ファーストのアンコールではこのネタはない。なにしろ、ファーストとセカンドの間に生まれたアイデアなのだ。マーチンのネタ取り入れ速攻実行の真髄を垣間見た瞬間であった。

なお、エナメル楽屋の描写について、若干の誇張があるかもしれません。あなたのイマジネーションをお使いの上、お読みください。おっと、「そんなの関係ねえっ!」

(2007年9月6日木曜、目黒ブルース・アレー=黒沢薫・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Kurosawa, Kaoru
2007-110

黒沢薫 ソロライヴ 目黒ブルース・アレー 鈴木雅之 エナメル・ブラザース