◎ メイヤー・ホーソーン(パート2)~ソウルに敬意を表して~新しい時代のブルーアイドソウル
2011年11月22日 音楽◎メイヤー・ホーソーン(パート2)~ソウルに敬意を表して~新しい時代のブルーアイドソウル
【Mayer Hawthorne (Part 2): New Age Of Blue-Eyed Soul】
ソウルマニア。
ファーストの後は、いつもメンバーは食事をするのだが、本人が快く応対してくれた。
メイヤー・ホーソーンは、実はステージ・ネーム(芸名)。本名は、アンドリュー・メイヤー・コーエン。ミドルネームの「メイヤー」とデトロイト近くの生まれ育ったストリートの名前「ホーソーン」から、芸名を作った。1979年2月2日、ミシガン州アン・アーバー生まれ。現在32歳。デトロイトのすぐ近くなので、デトロイトに育ったといってもいい。ということで、モータウンの影響が強いのは当然なのだが、しかし、32歳だと、60年代のモータウン全盛は、リアルタイムではない。そのあたりがとても不思議だった。
彼のサウンドは60年代、70年代のモータウン・サウンドがベースになっている。「そんなに若いのになぜ、こうした古いソウルに触れているの?」と尋ねると、「僕はデトロイト出身だからね。それに父親がミュージシャンでたくさんのレコード(アナログ)を持っていたんだ。それをよく聞いていた。父はロックだけど、いまだにプレイしているよ。父親が聴いていた音楽を聴いたり、自分で父親のレコードを聴いたりしたんだ」という。「フィリー・ソウルやモータウンが大好きなんですね」とふると、「オオ・イエー(もちろんだよ)」。
好きなシンガーはと訊くと間髪をいれずに、「バリー・ホワイト」との返答。なかなか意外なところが出てきた。彼自身なかなかいいファルセット(裏声)を聴かせていたが、では好きなファルセット・シンガーは誰かと尋ねると、「エディー・ホールマン、ラッセル・トンプキンス、カーティス・メイフィールド、モーメンツのハリー・レイ…。たくさんいる」。
「けっこう古いレコード持っているのですか」と訊くと、「たくさんある」。
彼自身かなりのレコードコレクターだと聞いて驚いた。どれくらい持っているのかと訊くと「1万枚はあると思う」と、楽屋の壁の端から端まで指差した。しかも、なんと、アナログのアルバムだけでなく、7インチも12インチも集めるという。「デトロイトにはいいレコード屋があるんだよ、新譜も、古いのも扱う店もある。もちろん、今でも買うよ」
彼はもともとDJとしてクラブ・シーンで活躍を始めた。それから歌を始めた。「歌を始める前から僕はDJで、歌は最近なんだ」 だから、彼の作品群が今のクラブ風というか、DJ風に受け入れられる要素があると妙に納得した。そして、その楽曲もひょっとしたらDJに好まれるような感じでシンプルに作られているのかもしれないと思った。
「7インチでこれまでにもっとも高く払ったものは覚えてる?」「ああ、何枚かある。ミッドナイト・エクスプレスのえ~と曲名なんだっけな。その7インチは200ドルだったか払った。それを、そのアーティストの知り合いという男が最後の10枚だとか言って持ってて、その値段を言われて、どうしても欲しかったから、買ったんだよ(笑)」 そして、ベース奏者のジョーに「なあ、ミッドナイト・エクスプレスのあの曲名なんだっけ」と尋ねると、彼が「『デンジャー・ゾーン』じゃないか」と答える。「あ、そうだ、『デンジャー・ゾーン』だ」。帰って調べてみると、これは12インチもでているコレクター向けの1枚だが、今では比較的安価で手に入るようだ。
ということは、欲しいレコードのリストというのはあるわけだ。「もちろん、これくらい(と手を広げる)、いつもあるよ。いわゆる『ウォンツ・リスト』がね(笑)」うむ、これは一度、メイヤーとソウルバーに行って、じっくり話をしてみたいなと思った。
あれだけ、古いソウルを知っているのだったら、地元デトロイトのブラック・ラジオ局でもかじりついて聴いていたかと思い、「ラジオは?」と尋ねると、「ラジオはだめだよ。何にも(そういったものを)かけない」と言い、「ではあなたのCDもかけないの?」ときくと、「そう、僕のCDも全然かからないよ。だから、プロモーションはレコードショップや、ライヴをやったり、口コミだったりだね」と言う。これにはさすがに僕も驚いた。
黒沢薫さんが彼の曲をこう分析する。「メイヤーの曲がいいのは、彼がそんなに歌がうまくないので、それでいいバランスの曲を作るからだと思う。たとえばルーサー・ヴァンドロスやジョニー・ギルみたいにめちゃくちゃうまくて、そのうまさを思い切り聞かせてやろう、っていう風にならないので、その分、いい曲を作ってそれを聞かせようっていうスタンスになるんだと思う」 なるほど、その通りだ。
西寺郷太さんは、「おしゃれでかっこいい。スーツにスニーカー。僕もああいうキャッチーでポップなのをやりたいんです。今、新しいアルバム用に曲作ってて、ちょっと止まっちゃってるんですけど、今日のメイヤー見て、なんかインスピレーションもらった」という。
■ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス
リスペクト。
スタイル・カウンシルやダリル・ホールみたいだと思ったら、なんと、メイヤーはすでにあの名音楽番組『ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス』に出演していた。その中でダリルが、「ある種の音楽が好きな連中がいて、彼らはそうした音楽への愛を自分のものにしている。彼もそんなアーティストだ」と言っている。まさにその通り。
http://www.livefromdarylshouse.com/currentep.html?ep_id=58
メイヤーが歌うホール&オーツの「プライヴェート・アイズ」など、はまりすぎだ。
メイヤーはスタイル・カウンシル、インコグニートのブルーイなどと同列で、一方同じ60年代、70年代ソウルに傾注するラファエル(ラフィーエル)・サディークあたりと比べると、メイヤーのほうがサディークよりポップで軽い印象がする。その分、日本人受けするのかなあ、などとも思った。
また、CDよりも、ライヴのほうが何倍もいいという発見も、ライヴを見ての大きな感想のひとつ。
そうそう、余談だが、ドラムスのクイントン・ジョセフという名前をみて、フィラデルフィアに同名のドラマーがいて、オージェイズのバックなどをしていると思っていたが、なんとフィリーのクイントンとは、まったく同名別人だそうだ。同じ名前で、同じ楽器とは、これはややこしい。(笑) このメイヤーのバックのクイントンは1980年生まれで若い。彼はフィリーのクイントンの存在を知っていたが、会ったことはないそうだ。
おりしも、最近のビルボード誌が、メイヤーがツアーに行くときに持っていくものというネタで記事にしていた。
http://www.billboard.com/column/the-hook/mayer-hawthorne-s-style-council-1005543882.story#/column/the-hook/mayer-hawthorne-s-style-council-1005543882.story
そのトップが、ナイキのスニーカー。東京でもそれを履いてた。ツアーどこへ行くにもポータブル・ターンテーブルを持って行くというところが、レコード好きの証明だ。
彼がツアーに出るとき必ず持っていくもの。来年来たら、また必ず見に行こうと思う。
1.DJ AM Nike Dunks
"These are my DJ AM dunks which are some of my all time favorites, partly because AM was a homie and they’re also some of the dopest kicks. They have the Technics 1200 pattern on the back which is one of the dopest details ever."
2.Custom Made Pajamas
"The PJs! Yeah, I had those tailored-I get almost all of my clothing tailored-and the pajamas are no exception. Those come with me everywhere I go."
3.Flud Turntable Watch
"I have my own signature model of this watch coming out soon. It’s going to have my heart record on the turntable and my little logo on the bottom." See style details for more quotes.
4.Oliver Peoples Glasses
5.Portable Turntable
"The biggest travel essential is my portable turntable, for sure. I don’t go anywhere without that. And a boatload of D batteries - it runs on six DJ batteries. D MOTHERFU**A D."
6.Olympus Stylus Epic Camera
"It has a 2.8-macro lens in it, which is really rare for a compact point-and-shoot camera. I love shooting with film. It’s really small and compact; I can carry it around in my pocket. I can just pull it out and slide the thing open.Yeah, it’s a film camera. I’ve been documenting all of my journeys around the world and touring with this thing."
■これが去年話題になったアルバム『ア・ストレンジ・アレンジメント』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002HRTMHQ/soulsearchiho-22/ref=nosim
■そしてこれが最新作
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005HWUBZ0/soulsearchiho-22/ref=nosim/
ENT>ARTIST>Hawthorn, Mayer
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【Mayer Hawthorne (Part 2): New Age Of Blue-Eyed Soul】
ソウルマニア。
ファーストの後は、いつもメンバーは食事をするのだが、本人が快く応対してくれた。
メイヤー・ホーソーンは、実はステージ・ネーム(芸名)。本名は、アンドリュー・メイヤー・コーエン。ミドルネームの「メイヤー」とデトロイト近くの生まれ育ったストリートの名前「ホーソーン」から、芸名を作った。1979年2月2日、ミシガン州アン・アーバー生まれ。現在32歳。デトロイトのすぐ近くなので、デトロイトに育ったといってもいい。ということで、モータウンの影響が強いのは当然なのだが、しかし、32歳だと、60年代のモータウン全盛は、リアルタイムではない。そのあたりがとても不思議だった。
彼のサウンドは60年代、70年代のモータウン・サウンドがベースになっている。「そんなに若いのになぜ、こうした古いソウルに触れているの?」と尋ねると、「僕はデトロイト出身だからね。それに父親がミュージシャンでたくさんのレコード(アナログ)を持っていたんだ。それをよく聞いていた。父はロックだけど、いまだにプレイしているよ。父親が聴いていた音楽を聴いたり、自分で父親のレコードを聴いたりしたんだ」という。「フィリー・ソウルやモータウンが大好きなんですね」とふると、「オオ・イエー(もちろんだよ)」。
好きなシンガーはと訊くと間髪をいれずに、「バリー・ホワイト」との返答。なかなか意外なところが出てきた。彼自身なかなかいいファルセット(裏声)を聴かせていたが、では好きなファルセット・シンガーは誰かと尋ねると、「エディー・ホールマン、ラッセル・トンプキンス、カーティス・メイフィールド、モーメンツのハリー・レイ…。たくさんいる」。
「けっこう古いレコード持っているのですか」と訊くと、「たくさんある」。
彼自身かなりのレコードコレクターだと聞いて驚いた。どれくらい持っているのかと訊くと「1万枚はあると思う」と、楽屋の壁の端から端まで指差した。しかも、なんと、アナログのアルバムだけでなく、7インチも12インチも集めるという。「デトロイトにはいいレコード屋があるんだよ、新譜も、古いのも扱う店もある。もちろん、今でも買うよ」
彼はもともとDJとしてクラブ・シーンで活躍を始めた。それから歌を始めた。「歌を始める前から僕はDJで、歌は最近なんだ」 だから、彼の作品群が今のクラブ風というか、DJ風に受け入れられる要素があると妙に納得した。そして、その楽曲もひょっとしたらDJに好まれるような感じでシンプルに作られているのかもしれないと思った。
「7インチでこれまでにもっとも高く払ったものは覚えてる?」「ああ、何枚かある。ミッドナイト・エクスプレスのえ~と曲名なんだっけな。その7インチは200ドルだったか払った。それを、そのアーティストの知り合いという男が最後の10枚だとか言って持ってて、その値段を言われて、どうしても欲しかったから、買ったんだよ(笑)」 そして、ベース奏者のジョーに「なあ、ミッドナイト・エクスプレスのあの曲名なんだっけ」と尋ねると、彼が「『デンジャー・ゾーン』じゃないか」と答える。「あ、そうだ、『デンジャー・ゾーン』だ」。帰って調べてみると、これは12インチもでているコレクター向けの1枚だが、今では比較的安価で手に入るようだ。
ということは、欲しいレコードのリストというのはあるわけだ。「もちろん、これくらい(と手を広げる)、いつもあるよ。いわゆる『ウォンツ・リスト』がね(笑)」うむ、これは一度、メイヤーとソウルバーに行って、じっくり話をしてみたいなと思った。
あれだけ、古いソウルを知っているのだったら、地元デトロイトのブラック・ラジオ局でもかじりついて聴いていたかと思い、「ラジオは?」と尋ねると、「ラジオはだめだよ。何にも(そういったものを)かけない」と言い、「ではあなたのCDもかけないの?」ときくと、「そう、僕のCDも全然かからないよ。だから、プロモーションはレコードショップや、ライヴをやったり、口コミだったりだね」と言う。これにはさすがに僕も驚いた。
黒沢薫さんが彼の曲をこう分析する。「メイヤーの曲がいいのは、彼がそんなに歌がうまくないので、それでいいバランスの曲を作るからだと思う。たとえばルーサー・ヴァンドロスやジョニー・ギルみたいにめちゃくちゃうまくて、そのうまさを思い切り聞かせてやろう、っていう風にならないので、その分、いい曲を作ってそれを聞かせようっていうスタンスになるんだと思う」 なるほど、その通りだ。
西寺郷太さんは、「おしゃれでかっこいい。スーツにスニーカー。僕もああいうキャッチーでポップなのをやりたいんです。今、新しいアルバム用に曲作ってて、ちょっと止まっちゃってるんですけど、今日のメイヤー見て、なんかインスピレーションもらった」という。
■ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス
リスペクト。
スタイル・カウンシルやダリル・ホールみたいだと思ったら、なんと、メイヤーはすでにあの名音楽番組『ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス』に出演していた。その中でダリルが、「ある種の音楽が好きな連中がいて、彼らはそうした音楽への愛を自分のものにしている。彼もそんなアーティストだ」と言っている。まさにその通り。
http://www.livefromdarylshouse.com/currentep.html?ep_id=58
メイヤーが歌うホール&オーツの「プライヴェート・アイズ」など、はまりすぎだ。
メイヤーはスタイル・カウンシル、インコグニートのブルーイなどと同列で、一方同じ60年代、70年代ソウルに傾注するラファエル(ラフィーエル)・サディークあたりと比べると、メイヤーのほうがサディークよりポップで軽い印象がする。その分、日本人受けするのかなあ、などとも思った。
また、CDよりも、ライヴのほうが何倍もいいという発見も、ライヴを見ての大きな感想のひとつ。
そうそう、余談だが、ドラムスのクイントン・ジョセフという名前をみて、フィラデルフィアに同名のドラマーがいて、オージェイズのバックなどをしていると思っていたが、なんとフィリーのクイントンとは、まったく同名別人だそうだ。同じ名前で、同じ楽器とは、これはややこしい。(笑) このメイヤーのバックのクイントンは1980年生まれで若い。彼はフィリーのクイントンの存在を知っていたが、会ったことはないそうだ。
おりしも、最近のビルボード誌が、メイヤーがツアーに行くときに持っていくものというネタで記事にしていた。
http://www.billboard.com/column/the-hook/mayer-hawthorne-s-style-council-1005543882.story#/column/the-hook/mayer-hawthorne-s-style-council-1005543882.story
そのトップが、ナイキのスニーカー。東京でもそれを履いてた。ツアーどこへ行くにもポータブル・ターンテーブルを持って行くというところが、レコード好きの証明だ。
彼がツアーに出るとき必ず持っていくもの。来年来たら、また必ず見に行こうと思う。
1.DJ AM Nike Dunks
"These are my DJ AM dunks which are some of my all time favorites, partly because AM was a homie and they’re also some of the dopest kicks. They have the Technics 1200 pattern on the back which is one of the dopest details ever."
2.Custom Made Pajamas
"The PJs! Yeah, I had those tailored-I get almost all of my clothing tailored-and the pajamas are no exception. Those come with me everywhere I go."
3.Flud Turntable Watch
"I have my own signature model of this watch coming out soon. It’s going to have my heart record on the turntable and my little logo on the bottom." See style details for more quotes.
4.Oliver Peoples Glasses
5.Portable Turntable
"The biggest travel essential is my portable turntable, for sure. I don’t go anywhere without that. And a boatload of D batteries - it runs on six DJ batteries. D MOTHERFU**A D."
6.Olympus Stylus Epic Camera
"It has a 2.8-macro lens in it, which is really rare for a compact point-and-shoot camera. I love shooting with film. It’s really small and compact; I can carry it around in my pocket. I can just pull it out and slide the thing open.Yeah, it’s a film camera. I’ve been documenting all of my journeys around the world and touring with this thing."
■これが去年話題になったアルバム『ア・ストレンジ・アレンジメント』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002HRTMHQ/soulsearchiho-22/ref=nosim
■そしてこれが最新作
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005HWUBZ0/soulsearchiho-22/ref=nosim/
ENT>ARTIST>Hawthorn, Mayer
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