◎アース・トリビュート~アフリカン・リズムの輝き

【Jazz Funk Africa: Sparkles Of Rhythm】

輝き。

ベースの坂本竜太さんが仕切り、ジェイ・スティックスやアフリカのミュージシャンを集めて「アース・ウィンド&ファイアー」のトリビュートをやるというので、ブルース・アレイに参上。

そうしたら、このアフリカン・リズムの素晴らしさに完璧にノックアウトさせられた。まあ、アースに釣られて行ったのだが、アフリカに釣られた感じだ。

ちょっと遅れて行ったので、ファーストの「ブラジリアン・ライム」から。二人のアフリカン・ブラザーたちのパーカッションの強烈さにびっくり。パーカッションひとつだけで、リズムに生を与え、音楽に息吹を与えるなんて、本当にすごい。コンゴ出身のBBモフラン、タブー・ンゴンゴ、ジャン・ポール・センセイ、セネガル出身のママドゥ・ロー、アブドゥ・バイファル、トリニダッド出身のトニー・グッピー(スティール・パン)らが集まり、強烈なリズム隊を作り上げていた。なんで彼らはただ物を叩くだけなのに、高揚感が生まれるのだろうか。まさに輝きのリズム、リズムの輝き。

僕はアースのトリビュートということで見に来たのだが、本当のライヴの趣旨はアフリカ音楽を聴かせることだった。これはこれで大変嬉しい誤算だった。僕はこういうドラムスとかパーカッションの肉感的なリズム・サウンドが大好きだからだ。『ドラムライン』や『ノイズ&ファンク』はもちろんのこと、日本の和太鼓ものでさえ食指が動く。

下記セットリスト・セカンドの3曲目にあたるチーム・セネガルのインプロヴィーゼーションのところは、後半ママドゥーの強烈なアフリカン・ダンスまで見せてくれた。こういうのは実に上がる。客席にいた、おそらく友人なのだろう。アフリカ系の人が日本語で「すげー」と連発していたのが、めちゃおもしろかった。

また、トニーのスティール・パンの音色が実に素晴らしい。2日前のライヴ、「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」ではスティール・パンの音をシンセサイザーで代用したが、本物の音は美しい。

第二部最後はアース曲3連発となったが、さすがにめちゃくちゃ盛り上がる。そして、もう一点おもしろいのが、メンバーのコミカルな日本語のトーク。サンコンさんやボビー・オロコンさんのようなアフリカ人特有の日本語でのトークが、受ける。

鬱(うつ)。

これを主催した平山さんによると、スティーヴィー・ワンダーの傑作『キー・オブ・ライフ』(1976年10月リリース)を後年聴いて、そこに入っている「Ngiculela(I Am Singing)」(ンギクレラ=アイ・アム・シンギング)という曲、特にそのサウンドにノックアウトさせられたのがそもそものきっかけだという。その音というのがアフリカの楽器コラのサウンドを、スティーヴィーがシンセサイザーで真似て作ったものだ。そこから平山さんはその楽器コラ、はてはアフリカの音楽をサーチンするようになり、いろいろなことを知るうちにアフリカの文化に傾注し、さまざまなアフリカ系のライヴに通うようになり、2009年12月、知己を得たアフリカのミュージシャンたち(みな、日本在住)に声をかけ、横浜の赤レンガ倉庫でライヴを行った。

実はその平山さんは、最後あいさつでステージにあがったが、その中で、自分は鬱だったが、アフリカの音楽に触れて鬱が治ったと証言した。

このライヴ、イヴェントのコンセプトは、あらゆる音楽の起源は結局アフリカに行き着く。そのアフリカの音楽を多くの人に紹介したいということ。2009年12月のライヴは内容的には好評を博したが、興行的には大赤字で終わったそうだ。しかし、アフリカ音楽への熱い情熱は衰えることなく、2年間個人で貯めた資金でまた同様の企画を再演することになった。その一環で、1年半ぶりに横浜赤レンガ倉庫でのライヴ、さらにブルース・アレイでのライヴを行った。

「アフリカそのものだとなかなかお客さんが来てくれないのでアースのトリビュートという形にしました。アースの音楽にもカリンバがあったり、ピラミッドがでてきたり、グループのアフリカへの志向は大変強いものがあり、アースのアフリカ的魅力からこのイヴェントに足を運んでもらえれば嬉しいです」と平山さんは言う。

また、ブルース・アレイでのライヴはアース寄りだが、横浜のライヴはよりアフリカ寄りになる、という。

今回、バンドマスターとしていろいろ仕切った坂本さんに聞くと、「みんな楽譜読めないから、音源渡して、覚えてもらった。リハも大変だった」と言う。それにしては、アース楽曲のアレンジはレコード音源とまったく違っていて、ひじょうに個性的でおもしろかった。ファンキー・ベースマンでおなじみの坂本さんも、このアフリカのリズム隊になんら違和感なくなじんでいたのが、これまたすごい。(笑) 

平山さんは言う。「アース・ウィンド&ファイアーや、マイケル・ジャクソンの『チェンジ』のメッセージ、スティーヴィー・ワンダーの強いメッセージは、音楽というものの中に、すべてがあるからだと思います。アフリカでの音楽というものは、会話であり、史実の伝承であり、ときには病気治癒としても何千年も前から使われてきました。興味深いことにそうした文化の中には、ほとんど文字がなかったんです。アフリカ人には書く習慣がなかったのです。だからこそ音楽が重要だった」

そうした生活感あふれるアフリカの音楽がアメリカに来て、アースやスティーヴィー、マイケルの音楽のDNAの中に組み込まれた。だからそのメッセージは強いというわけだ。そこで、そのルーツ的な意味も持ったアフリカの音楽を紹介したいという思いがこのイヴェントに込められている。

■今日の『ソウル・ブレンズ』内「ソウル・サーチン」(午後2時半~、インターFM76.1mhz)で、このライヴ音源を使用してご紹介します。

関東地区の方は、パソコン通してラジコで聞けます。
http://radiko.jp/player/player.html#INT

■平山さんの人生を変えたスティーヴィー・ワンダーの「Ngiculela - Es Una Historia - I am Singing」



http://youtu.be/FIJzT5BtmQE

■「ジャズ・ファンク・アフリカ」のライヴは2011年7月9日(土)赤レンガ倉庫で

詳細↓
http://www.jfafesta.com/

横浜公演
【日時】2011年7月9日(土)
【場所】横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
【開場】15:00
【演奏】1st: 16:00~17:30 / 2nd: 18:30~20:00 (入替無し)
【ワークショップ】カリンバ、コラ、アフリカンドラム
【物販コーナー】
☆アフリカのハープ「コラ」の展示販売。最高峰のToumani Diabate工房製
☆マリの「泥染め」衣装 ☆西アフリカの「パーニュ」布の衣装、小物
☆コンゴの木工芸品、美しい砂絵、愛らしい子供服
☆東アフリカの布「カンガ」。美しい柄にスワヒリ語の諺などの文字がプリントされており、女性がその気分に合った文字のプリントされたカンガを身に纏い、意思表示としても使われます。
【入場料】 前売¥3500(ペア¥6000) 当日¥4000(ペア¥7000)
(何れも小学生以下無料)
※ご入場は受付番号順です。ご入金確認後受付番号をメールでお送り致します。
【お申込方法】
Jazz Funk Africa!公式ホームページの『ご案内・ご予約/Ticket』(下記URL)にあるお申込フォームをご利用下さい。
http://www.jfafesta.com/ticket001.html
【問合せ先】jazz.african@gmail.com

【出演アーチスト】

B.B.モフラン (key, perc, vo) from RDCongo
http://www.myspace.com/bbmofranc
Tabu Ngongo タブー・ンゴンゴ(as, perc, vo) from RDCongo http://www.myspace.com/tabungongomusic
Mamadou Doumbia ママドゥ・ドゥンビア(kora) from Mali http://mamadoujpn.web.fc2.com/index.html
Mamadou Lo ママドゥ・ロー(perc, vo) from Senegal
http://www.mamadoulo.net/
Abdou Bayefall アブドゥ・バイファル(Sabar Dance) from Senegal
http://bayefall-lj.blogspot.com/
Tony Guppy トニー・グッピー(steel pan) from Trinidad and Tobago http://tonyguppy.com/homejp.htm
Jean Paul Sensey ジャン・ポール・センセイ(gt, ba, perc, vo) from RDCongo http://www.myspace.com/546271435
Davie Joseph Daudi デヴィ・ジョセフ・ダウディ(gt, ba, perc, vo) from Tanzania
LaouLaou Bangoura (ラウラウ・バングーラ)(perc) from Ginea
Kevn Spears ケヴィン・スピアーズ( Kalimba, perc, vo) from USA http://www.myspace.com/kevinspears
SEBENE Jazz African Company from Japan
JunJun from Japan


【主催】わーるどのーとmusic
【協力】横浜赤レンガ倉庫1号館(公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団)
【協賛】(財)International Women’s Club Japan、(株)道祖神、(株)セブン銀行、 (株)レゾワゾ、(有)アフリカンスクエアー、ポレポレオフィス、 マデリーフ&カニールス、Sheepdog Global Project、Doudou & Mimi’s Art、 konkoina
【後援】コンゴ民主共和国大使館、タンザニア大使館、マダガスカル大使館、 マリ共和国大使館、エチオピア大使館 他

■メンバー (7月1日ブルース・アレイ分)

“Jazz Funk Africa!”~グルーヴミュージックから音楽の源流へ~
Tribute to Earth Wind&Fire

(B)坂本竜太 (Ds)Jay Stixx (Key/Per/Vo)B.B.Mo-franck
(Sax/Per/Vo)Tabu Ngongo (G/Per/Vo)Jean Paul Sensey
(Per)Mamadou Lo (Dance/Per)Abdou Bayefall (Steel Pan)Tony Guppy
(Key)高瀬順 and  (Kalimba) Kevin Spears
「FIRE HORNS」 (Tp)湯本淳希 (Sax)近藤淳也 (Tb)半田信英

■ セットリスト:
Setlist

01.Bambala
02.Fatouyo
03.Salia
04.Bango Wanna (B.B’s original)
05.Sesse Sengola
06.Kalimba Story
07.Brazilian Rhyme
08.In The Stone
Performance ended 20:55

2nd set

performance started 21:21
01.Kevin Solo Improvisation
02.Kevin Solo Improvisation
03.Team Senegal Improvisation
04.Summertime
05.Hoochie Coochie Man
06.Got My Mojo Working
07.Sing A Song
08.Let’s Groove
Encore September
Show ended 22:28

(2011年7月1日金曜、目黒ブルース・アレイ、Jazz Funk Africa~Tribute To Earth Wind&Fireライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE> Jazz Funk Africa~Tribute To Earth Wind&Fire
2011-